(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバー本体にはねじ孔が形成された縦向きの締結板が設けられる一方、前記他の取付部には前記締結板に当接可能でねじの挿通孔が開口された被締結板が設けられ、前記挿通孔が縦長の長孔状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の機器用コネクタ。
前記カバー本体の前記締結板の上縁には水平な受け面が形成されて位置決めピンが立てられている一方、前記他の取付部の前記被締結板の上縁には前記受け面に当てられる当て板が形成され、この当て板に、前記位置決めピンが挿通されることで、前記ねじ孔と前記挿通孔とが整合して前記締結板と前記被締結板とが対面する形態に位置決めする位置決め孔が開口されていることを特徴とする請求項2記載の機器用コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構造の機器用コネクタでは、ケースにボルト締めされるシェルカバーは、振動に耐える強度を得るためにも剛性の高いものに形成することが望ましい。
一方、使用態様によっては、機器側の端子を収容したケースが、例えば別体に二分割されたものが並んで設けられ、シェルカバーが両分割ケースに跨って装着されてそれぞれに対してボルト締結される場合がある。しかるに両分割ケースは、それぞれのボルト締結面の高さ位置が公差内でやむを得ずずれる場合があり、そうした場合、剛性の高いシェルカバーでは、各分割カバーに対して正確にボルト締めできない可能性があり、シールド機能が損なわれるおそれがあった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、シェルカバーの高剛性を確保した上で、両分割ケースに跨って正確なボルト締めを可能とするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内部に機器側の端子が収容されかつ分割されたものが並んで配された金属製のケースに対し、前記機器側の端子と接続するべく装着される機器用コネクタであって、前記機器側の端子と接続された第1端子を収容した第1ハウジングと、電線の端末に接続された第2端子を収容し前記第1ハウジングと嵌合可能な第2ハウジングとが設けられ、前記両ハウジングが嵌合されることに伴い対応する前記第1端子と前記第2端子の接続部同士がボルト締め可能に重なって配され、かつ前記第1ハウジングには前記両端子の接続部同士をボルト締めするための作業孔が開口されているとともに、嵌合された前記両ハウジングを覆って配される金属製のシールドシェルが設けられ、このシールドシェルは、前記両ハウジングの嵌合部分を覆うシェル本体と、このシェル本体と一部がオーバーラップしつつ前記作業孔を覆うシェルカバーとを備えて、前記シェル本体と前記シェルカバーとはボルト締めにより結合され、前記シェル本体には前記一の分割ケースに取り付けられる一の取付部が、前記シェルカバーには前記他の分割ケースに取り付けられる他の取付部がそれぞれ設けられており、かつ前記シェルカバーは、前記他の取付部が前記シェル本体と結合され
るカバー本体とは別体に形成されて、前記カバー本体に対して高さ調節可能に結合されているところに特徴を有する。
【0007】
両分割ケースのボルト締結面の高さ位置にずれがあったとしても、他の取付部がカバー本体に対して高さ調節されて結合されることにより、カバー本体と一体結合されたシェル本体に設けられた一の取付部が一の分割ケースの上面に、また他の取付部は他の分割ケースの上面にそれぞれ正確にボルト締結される。
そのため、シェルカバーを剛性の高いものに形成しながらも、両分割ケースに跨る正確なボルト締めが担保され、耐振動性に優れたものとした上で、良好なシールド性能を発揮することができる。
【0008】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記カバー本体にはねじ孔が形成された縦向きの締結板が設けられる一方、前記他の取付部には前記締結板に当接可能でねじの挿通孔が開口された被締結板が設けられ、前記挿通孔が縦長の長孔状に形成されている。
被締結板に通したねじを締結板のねじ孔に仮止めし、ねじに対して長孔を上下動させることで他の取付部の高さ調節をしたのち、ねじを本締めすることで高さ調節された他の取付部がカバー本体に対して結合される。
【0009】
(2)前記カバー本体の前記締結板の上縁には水平な受け面が形成されて位置決めピンが立てられている一方、前記他の取付部の前記被締結板の上縁には前記受け面に当てられる当て板が形成され、この当て板に、前記位置決めピンが挿通されることで、前記ねじ孔と前記挿通孔とが整合して前記締結板と前記被締結板とが対面する形態に位置決めする位置決め孔が開口されている。
【0010】
位置決めピンに位置決め孔を挿通しつつ、他の取付部の当て板をカバー本体の受け板に当てると、ねじ孔と挿通孔とが整合した形態で締結板と被締結板とが対面するから、引き続きねじを仮止めしたのち他の取付部の高さ調節を行い、最後にねじを本締めすることで、高さ調節された他の取付部がカバー本体に結合される。他の取付部をカバー本体に対して結合する作業を能率良く行うことができる。
【0011】
(3)前記シェルカバーにおける前記カバー本体がダイキャスト製であり、前記他の取付部が金属板製である。シェルカバーの大部分を占めるをカバー本体をダイキャスト製としたことにより、シェルカバーの高剛性化に有効となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シェルカバーの高剛性を確保して耐振動性に優れたものとした上で、両分割ケースに跨る正確なボルト締めを担保して良好なシールド性能を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
本発明の一実施形態を
図1ないし
図8に基づいて説明する。本実施形態では、ハイブリット車等に搭載されたジェネレータとインバータとの接続部分、より具体的には、インバータから引き出されたシールド電線を機器であるジェネレータに接続する部分に配される機器用コネクタを例示している。ジェネレータは、シールド機能を有する金属製のケース10内に収容されている。なお、ケース10は、
図3ないし
図5に示すように、別体の2個の第1ケース11と第2ケース12とが並んで設置されて構成されている。
【0015】
コネクタは、ケース10(第1ケース11)の上面に取り付けられる機器側ハウジングである第1ハウジング20と、インバータから引き出されたシールド電線の端末に接続された電線側ハウジングである第2ハウジング40とを備えている。
第1ハウジング20は合成樹脂製であって、
図1及び
図4に示すように、横長の箱形をなすハウジング本体21を備えており、同ハウジング本体21の奥側の下面から、第1ケース11の上面の取付孔に嵌合される嵌合体22が鈍角をなして突出形成されている。嵌合体22の根元部にはフランジ23が左右両側に突出した形態で形成され、左右両端部に取付孔24が開口されている。第1ハウジング20は、フランジ23を第1ケース11の上面に当てた形態で取り付けられ、このときハウジング本体21は、前方の斜め上方を指向した姿勢を採るようになっている。
【0016】
ハウジング本体21の前面には、相手の第2ハウジング40が嵌合されるフード部25が形成されている。ハウジング本体21内には、
図8にも示すように、3個の端子台26が横方向に並んで形成され、その上面にはナット27が仕込まれているとともに、それぞれの下端は脚部28となって、嵌合体22の下面側に個別に突出している。
端子台26にはそれぞれ第1端子30が装着されている。第1端子30は縦方向に長い形状であって、その上端が直角曲げされて挿通孔32を有する接続部31が形成された全体外観略L字状となっている。第1端子30は、接続部31がそれぞれ対応する端子台26の上面に重ねられるとともに、嵌合体22を貫通して脚部28に沿った形態でインサート成形により装着されている。
各第1端子30の下端は、ケース10内に収容されたジェネレータ側の対応する端子(図示せず)とそれぞれボルト締め等によって接続されている。
【0017】
ハウジング本体21の天井壁には、3個の端子台26の直上に開口して作業孔34が形成されている。この作業孔34は、端子台26上で、上記した第1端子30の接続部31と、後記する第2端子55の接続部56とをボルト27Aで締結する作業を行うためのものである。この作業孔34には、合成樹脂製のキャップ35が水密にかつ着脱可能に装着されるようになっている。
【0018】
第2ハウジング40は同じく合成樹脂製であって、
図2に示すように、全体として扁平なブロック状に形成され、後面側には、上記した第1ハウジング20のフード部25内に、シールリング41Aを介して水密に嵌合される嵌合部41が形成され、同嵌合部41の根元部にはフランジ42が形成されている。
第2ハウジング40内には、前後両面に開口した3本のキャビティ43が横方向に並んで形成されている。各キャビティ43には、シールド電線の端末に接続された第2端子55が収容されるようになっている。
【0019】
シールド電線は、
図3にも示すように、3本の被覆電線50の回りに編組線51が嵌装された形態でシース(図示せず)内に挿通された構造であり、シースの端末が皮剥ぎされることで3本の被覆電線50が露出され、露出された被覆電線50の端末にそれぞれ第2端子55が接続されている。
第2端子55は前後方向に細長い形状であって、その先端部には、挿通孔57を有する接続部56が形成されている。第2端子55は、その後端のバレル部58が被覆電線50の端末にかしめ圧着されることで固定されている。
【0020】
3本の第2端子55は、第2ハウジング40の対応するキャビティ43に対して前方から挿入され、先端の接続部56が嵌合部41の後面から所定量突出するまで押し込まれたところで停止される。
このように第2端子55を装着した第2ハウジング40の嵌合部41が、第1ハウジング20のフード部25に対して嵌合され、フランジ42がフード部25の開口縁に当たる正規位置まで押し込まれたときに、各第2端子55の先端の接続部56が、端子台26上に配された第1端子30の接続部31の上面に整合して重なる設定となっている。
【0021】
上記のように嵌合された両ハウジング20,40を覆うようにしてシールドシェル60が装着されている。シールドシェル60は、シェル本体61とシェルカバー80とから構成されている。
シェル本体61はアルミダイキャスト製であって、
図2に示すように、第2ハウジング40におけるフランジ42よりも前方の所定長さ領域を覆うことが可能な筒形に形成されている。同シェル本体61の前縁には、厚肉の取付環部62が形成されている。
【0022】
シェル本体61の左右の側面からは、同シェル本体61をケース10(第1ケース11)の上面(第1ボルト締結面11A)に取り付けるべく左右の取付腕63,64が突出形成されている。左取付腕63は、
図3に示すように、左側に少し突出したのち後方に直角曲げされて延出した形状となっている。この左取付腕63の延出端がケース10(第1ケース11)に対する第1取付部65となっており、同第1取付部65にはボルト70Aの挿通孔67が形成されている。
右取付腕64は、上記した左取付腕63よりも所定寸法上方位置において右側に真直に突出した形態で形成され、その突出端が同じくケース10(第1ケース11)に対する第2取付部66となっている。同第2取付部66にも同様にボルト70Bの挿通孔67が形成されている。右取付腕64の途中位置には、シェルカバー80との結合部68が一段高くなった形態で形成されている。同結合部68にはねじ孔68Aが開口されている。
【0023】
シェル本体61は第2ハウジング40の前方から嵌合され、その後縁がフランジ42に当たったところで、第2ハウジング40の上下両面に2本ずつ設けられた係止片45が、取付環部62の内面に形成された係止孔(図示せず)に弾性的に係止することで、第2ハウジング40の外周の所定位置に装着されるようになっている。
【0024】
シェル本体61の前面には、上記したシールド電線における編組線51の端末の開口部を固定するためのブラケット75が着脱可能に取り付けられるようになっている。ブラケット75は同じくアルミダイキャスト製であって、第2ハウジング40と同じ径でかつ短寸の筒形をなし、後縁には取付板76がフランジ状に張り出し形成されている。ブラケット75には、編組線51の開口部が嵌められ、かしめリング77により固定されるようになっている。
ブラケット75は、取付板76が取付環部62の前面に位置決めされて当てられ、取付板76の左右の側縁部に開口された挿通孔78Aに通したねじ78を、取付環部62に形成されたねじ孔79に螺合して締め付けることで固定されるようになっている。
【0025】
シェルカバー80は、
図1に示すように、カバー本体81と取付部材90とから構成されている。
カバー本体81はアルミダイキャスト製であって、第1ハウジング20の上面を覆うことが可能な前面開口の浅皿状に形成されており、同前面開口には、上記したシェル本体61における後端部の上面に重なる重畳部82が形成されている。
この重畳部82の正面視で右端部には、シェル本体61の右取付腕64に設けられた結合部68に重ねられる被結合部83が形成されており、同被結合部83には、ボルト84(
図3参照)の挿通孔84Aが形成されている。
【0026】
カバー本体81の後面における正面視で右端寄りの位置には、取付部材90を高さ調節可能に取り付けるための装着部85が形成されている。この装着部85は、概ね方形の箱形をなし、その縦向きの後面が締結板86となっていて、同締結板86にはボルト87が螺合可能なねじ孔86Aが形成されている。また、装着部85の上面が受け面88となっており、同受け面88の中央部に、位置決めピン89が立ち上がり形成されている。
【0027】
取付部材90は金属板製であって、例えば鋼板を素材としてプレス加工により所定形状に形成したのちすずメッキを施して形成されている。
取付部材90は、
図8にも示すように、同取付部材90を第2ケース12の上面(第2ボルト締結面12A)にボルト締めにより固定するための第3取付部91を有しており、同第3取付部91の後縁寄りの位置には、ボルト70Cの挿通孔92が開口されている。
【0028】
第3取付部91の前縁には縦板93が立ち上がり形成され、同縦板93の背面視で左端が左方に延出され、かつ延出端側の所定幅領域の下縁が下方に延出されることで、上記した装着部85の締結板86と対向した被締結板94が形成されている。この被締結板94には、上記したボルト87が挿通される挿通孔95が開口され、この挿通孔95はやや縦長の長孔状に形成されている。
【0029】
縦板93の上縁における背面視で第3取付部91よりも左方にずれた位置には、上記した装着部85の受け面88に当接可能な当て板96が、前方に直角曲げされた形態で形成されている。この当て板96の中央部には、受け面88に立てられた位置決めピン89が挿通される位置決め孔97が開口され、同位置決め孔97は、前後方向にやや長い長孔として形成されている。
位置決めピン89を位置決め孔97に挿通しつつ当て板96を受け面88上に載せると、ねじ孔86Aの中心線と挿通孔95の中心線とが、少なくとも左右方向において整合した状態で、締結板86と被締結板94とが対面するようになっている。
【0030】
続いて、本実施形態に係るコネクタの組み付け手順の一例を説明する。
ケース10のうち第1ケース11の上面の所定位置に第1ハウジング20が当てられ、フランジ23の両端の取付孔24にボルト24Aを通して第1ケース11の上面のねじ孔にねじ込むことで固定される。このとき第1ハウジング20は、ハウジング本体21の前面のフード部25が斜め上方を指向して開口した形態を採る。
それとともに、各端子台26に装着された第1端子30の下端が、ジェネレータ側の対応する端子と接続される。
【0031】
一方、シールド電線側では既述した端末処理が施され、すなわちシースの端末が皮剥ぎされることで3本の被覆電線50と編組線51の端末とが露出され、露出された各被覆電線50の端末に第2端子55が圧着により接続される。
それとともに、シールド電線の端末に、かしめリング77と、ブラケット75と、シールドシェル60におけるシェル本体61とが先通しされる。
【0032】
この状態から各第2端子55が、第2ハウジング40の対応するキャビティ43内に挿入され、各第2端子55の接続部56が嵌合部41の後面から所定量突出するまで押し込まれたところで停止される。
次に、先通しされていたシェル本体61が第2ハウジング40に外嵌され、その後縁がフランジ42に当たったところで、計4本の係止片45が、取付環部62の内面の対応する係止孔に弾性的に係止することで、第2ハウジング40の外周におけるフランジ42の前側の所定位置に装着される。
【0033】
それとともに、シェル本体61の取付環部62の前面に、ブラケット75の後縁の取付板76が位置決めされて当てられ、左右2箇所をねじ78で止めることにより取り付けられる。
この状態から、ブラケット75の外周に編組線51(
図3)の端末の開口部が嵌められ、さらにその外周にかしめリング77が嵌められてかしめられることで、編組線51の端末の開口部がブラケット75の外周に対して固定される。
その結果、シールド電線の端末では、3本の被覆電線50の端末に接続された第2端子55が第2ハウジング40に装着されるとともにその外周にシェル本体61が装着され、さらに同シェル本体61の前面側に装着されたブラケット75に、編組線51の端末の開口部が嵌着された形態となる。
【0034】
次に、シェル本体61ともどもシールド電線の端末に接続された第2ハウジング40の後面の嵌合部41が、第1ケース11の上面に取り付けられて待ち受けている第1ハウジング20のフード部25に向けて嵌合される。フランジ42がフード部25の開口縁に当たる正規位置まで押し込まれると、シェル本体61の左右の第1取付部65と第2取付部66とが、第1ケース11の上面の第1ボルト締結面11Aに重ねられ、各取付部65,66に開口された挿通孔67が同第1ボルト締結面11Aに切られたねじ孔と整合する。
そのため、第1取付部65と第2取付部66の各挿通孔67にボルト70A,70Bを通して対応するねじ孔(図示せず)にねじ込むことで、シェル本体61が第1ケース11の上面(第1ボルト締結面11A)に固定される。
【0035】
このとき併せて、第2ハウジング40に装着された3本の第2端子55の先端の接続部56が、第1ハウジング20内の端子台26上に配された第1端子30の接続部31の上面に整合して重なった状態となる。
この状態から、作業孔34を通して、各端子台26上において重ねられた第1端子30と第2端子55の接続部31,56の挿通孔32,57にボルト27Aを通し、仕込まれたナット27に螺合して締め付ることによって、対応する第1端子30と第2端子55同士が接続される。そののち、作業孔34がキャップ35で塞がれる。
【0036】
一方、シェルカバー80については、カバー本体81における装着部85の後面側に取付部材90が配されて仮組みされる。詳細には、取付部材90の当て板96が、カバー本体81の装着部85の受け面88に対して、位置決め孔97を位置決めピン89に挿入しつつ当てられ、このとき、締結板86と被締結板94とが対面するから、被締結板94の挿通孔95にボルト87を通して締結板86のねじ孔86Aに所定量ねじ込むことにより、いわゆるボルト87を仮締めした状態で取付部材90を仮組みしておく。
【0037】
このように仮組みされたシェルカバー80におけるカバー本体81が、キャップ35を含む第1ハウジング20の上面を覆って被せられる。このとき、カバー本体81の前縁の重畳部82がシェル本体61の後縁部の上面に重ねられ、それとともにカバー本体81の被結合部83がシェル本体61の結合部68に対して、挿通孔84Aとねじ孔68Aとが整合した形態で重ねられる。そうしたら、挿通孔84Aにボルト84を通してねじ込むことによって、結合部68と被結合部83とが締結され、これによりシェル本体61とシェルカバー80におけるカバー本体81とが電気的に接続される。
【0038】
さらにこのとき、カバー本体81に仮組みされた取付部材90の第3取付部91が、第1ケース11と並んで配された第2ケース12の上面の第2ボルト締結面12Aに当てられ、第3取付部91に開口された挿通孔92が第2ボルト締結面12Aに切られたねじ孔(図示せず)と整合する。ここで、並んで設けられた第1ケース11と第2ケース12とは、それぞれのボルト締結面11A,12Aの高さ位置の関係が公差内でやむを得ずずれる場合がある。この高さ位置のずれに応じて、取付部材90の装着部85に対する装着位置が高低調節される。
【0039】
具体的には、第2ボルト締結面12Aが所定の高さ位置よりも低い方にずれている場合は、
図6に示すように、仮止めされたボルト87の軸部87Aを挿通孔95内を上方に移動させつつ、取付部材90が装着部85に沿って下方に移動する。逆に、第2ボルト締結面12Aが所定の高さ位置よりも高い方にずれている場合は、同ボルト87の軸部87Aを挿通孔95内を下方に移動させつつ、取付部材90が装着部85に対して上方に移動する。すなわち取付部材90の第3取付部91が第2ボルト締結面12Aに正規に当てられることを担保した上で、取付部材90の高さ調節が行われることになる。
【0040】
この状態において、ボルト87が本締めされることで取付部材90とカバー本体81とが電気的に接続され、ひいては一体化されたシールドシェル60が構成される。それとともに、取付部材90の第3取付部91の挿通孔92にボルト70Cを通して対応するねじ孔(図示せず)にねじ込むことで、取付部材90の第3取付部91が第2ケース12の上面(第2ボルト締結面12A)に固定される。
【0041】
以上によりコネクタの組み付けが完了し、組み付け状態では、シールド電線の端末において第1ハウジング20と第2ハウジング40とが嵌合されて第1ケース11に固定され、両ハウジング20,40内の端子台26上で対応する第1端子30と第2端子55同士がボルト27Aの締め付けにより接続される。それとともに、嵌合された両ハウジング20,40を覆うようにしてシールドシェル60が装着され、
図3に示すように、同シールドシェル60におけるシェル本体61に設けられた第1取付部65と第2取付部66とが第1ケース11の第1ボルト締結面11Aに、またシェルカバー80に固定された取付部材90の第3取付部91が、第2ケース12の第2ボルト締結面12Aに、それぞれボルト70A〜70Cの締め付けにより接続される。
すなわち、シールドシェル60は、第1ケース11と第2ケース12とに跨って配されて、都合3箇所でボルト締めにより固定されており、かつ3箇所の取付部65,66,91が、各辺の長さが概ね等しい三角形をなすように配された形態を採る。
【0042】
本実施形態の作用としては、シールド電線における各被覆電線50から発生した電磁波ノイズは編組線51を介してシールドシェル60に吸収され、またシールド電線の端末部等のハウジング20,40内から発生した電磁波ノイズは直接にシールドシェル60に吸収され、3箇所の取付部65,66,91からケース10に落とされる。ここで、3箇所の取付部65,66,91は、各辺の長さが概ね等しい三角形をなすような配置で設けられていることで、電磁波ノイズがケース10に対して効率良く落とされ、結果高いシールド性能が得られる。
【0043】
メンテナンス等において、シールド電線側の第1端子30とジェネレータ側の第2端子55との接続を解除する場合は、ボルト84を緩めてシェルカバー80のシェル本体61に対する結合を解除し、また、ボルト70Cを緩めてシェルカバー80の取付部材90の第2ケース12に対する結合を解除したのち、シェルカバー80が外される。
これによりキャップ35の被着部分が開放されるから、引き続いてキャップ35を外して
図8に示すように作業孔34を開口し、同作業孔34を通して各端子台26にねじ込んであるボルト27Aを外して第1端子30と第2端子55同士の結合を解除する。それとともに、ねじ78を緩めてブラケット75が外される。
この状態からシールド電線を引っ張ると、ブラケット75ともども各第2端子55が第2ハウジング40のキャビティ43の前方に引き抜かれる。
第1端子30と第2端子55同士を再度接続する場合は、上記とは逆の手順によって組み付ければよい。
【0044】
以上のように本実施形態によれば、第1ケース11と第2ケース12のそれぞれのボルト締結面11A,12Aの高さ位置の関係にずれがあったとしても、第3取付部91を備えた取付部材90がカバー本体81に対して高さ調節されて結合されるようになっているから、被結合部83と結合部68をボルト84で締結することで、カバー本体81と一体結合されたシェル本体61に設けられた第1取付部65と第2取付部66とが第1ケース11の第1ボルト締結面11Aに、また第3取付部91は第2ケース12の第2ボルト締結面12Aにそれぞれ正確にボルト締結される。このことは、高さ位置のずれを吸収するために、シェルカバー80の剛性を落とす必要が無いことを意味する。
すなわち、シェルカバー80を剛性が高いものに形成しながらも、両ケース11,12に跨る正確なボルト締めが担保され、耐振動性に優れたものとした上で、良好なシールド性能を発揮することができる。
【0045】
取付部材90をカバー本体81の装着部85に対して高さ調整可能に装着するための具体的な手段として、装着部85にはねじ孔86Aが形成された縦向きの締結板86が設けられる一方、取付部材90には締結板86に当接可能で縦長の長孔状をなすボルト87の挿通孔95が開口された被締結板94が設けられた構造となっている。この構造であると、被締結板94に通したボルト87を締結板86のねじ孔86Aに仮止めし、ボルト87に対して挿通孔95を上下動させることで取付部材90の高さ調節をしたのち、ボルト87を本締めすることで高さ調節された取付部材90が装着部85に対して結合される。簡単な構造で以て、取付部材90を高さ調節して固定する作業を正確に行うことができる。
【0046】
また、カバー本体81の装着部85における締結板86の上縁には水平な受け面88が形成されて位置決めピン89が立てられている一方、取付部材90の被締結板94の上縁には受け面88に当てられる当て板96が形成され、この当て板96に、位置決めピン89が挿通されることで、ねじ孔86Aと挿通孔95とが整合して締結板86と被締結板94とが対面する形態に位置決めする位置決め孔97が開口された構造となっている。
この構造であると、位置決めピン89に位置決め孔97を挿通しつつ、取付部材90の当て板96をカバー本体81の受け面88に当てると、ねじ孔86Aと挿通孔95とが整合した形態で締結板86と被締結板94とが対面するから、引き続きボルト87を仮止めしたのち取付部材90の高さ調節を行い、最後にボルト87を本締めすることで、高さ調節された取付部材90が装着部85に結合される。取付部材90をカバー本体81に対して高さ調節して結合する作業を、より能率良く行うことができる。
【0047】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)取付部材をカバー本体の装着部に高さ調節可能に装着する部分の構造において、装着部の締結板からスタッドボルトを立てる一方、被締結板の長孔状の挿通孔を貫通したスタッドボルトの突出端にナットを螺合して締め付ける構造としてもよい。
(2)取付部材を装着部に仮組みする際に適用される位置決め手段は必ずしも設ける必要はなく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(3)ケースに取り付けられる取付部は、第1ケースと第2ケースとに分かれている限り、その数並びに配設形状は任意である。
【0048】
(4)上記実施形態で例示したコネクタの組み付け手順はあくまでも一例であって、適宜に変更し得るものである。
(5)本発明は、上記実施形態に例示したハイブリット車等に搭載されたジェネレータとインバータとの接続部分に配される機器用コネクタに限らず、モータとインバータとの接続部分に配される機器用コネクタにも同様に適用することができる。
(6)さらに本発明は、電源側等から引き出されたシールド電線の端末に設けられた端子を、金属製のケースに収容された機器側の端子に接続するべく設けられる機器用コネクタ全般に広く適用することが可能である。