特許第5924053号(P5924053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924053
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20060101AFI20160516BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20160516BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   G06T7/60 200H
   G06T1/00 330A
   B60R21/00 628D
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-62028(P2012-62028)
(22)【出願日】2012年3月19日
(65)【公開番号】特開2013-193545(P2013-193545A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石丸 和寿
(72)【発明者】
【氏名】今西 勝之
(72)【発明者】
【氏名】柳川 博彦
【審査官】 永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−016514(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/065399(WO,A1)
【文献】 特開2009−196408(JP,A)
【文献】 特開2012−017021(JP,A)
【文献】 特開2007−141167(JP,A)
【文献】 特開2009−020613(JP,A)
【文献】 特開2003−271975(JP,A)
【文献】 特開2013−120517(JP,A)
【文献】 特開2010−239412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/60
G06T 1/00
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車が駐車枠の付近を走行する際に前記駐車枠側の景色を繰り返し撮影するためのカメラ(10)の撮影画像から前記駐車枠を検出して、この検出された駐車枠に基づいて運転者の駐車操作を支援する駐車支援装置であって、
前記駐車枠の付近に前記自車が到達したか否かを判定する第1判定手段(S110)と、
前記駐車枠付近を前記自車が通過したか否かを判定する第2判定手段(S190)と、
前記カメラ(10)が撮影する毎に前記自車の位置情報を取得する取得手段(S130)と、
前記自車が前進しているときに、前記駐車枠の付近に前記自車が到達したと前記第1判定手段が判定したときから、前記駐車枠付近を前記自車が通過したと前記第2判定手段が判定するとき迄、前記カメラの撮影毎の前記位置情報に基づいて前記撮影画像中のエッジ点の座標を前記撮影毎の前記位置情報に対応付けるように前記撮影画像中のエッジ点の座標を前記撮影毎に変換し、この変換毎に前記変換された座標上のエッジ点を共通のハフ空間に投票して、この投票毎に前記投票の履歴をメモリ(20)に記憶させる投票手段(S160、S170、S180)と、
前記自車が後退し始めたか否かを判定する第3判定手段(S200)と、
前記自車が後退し始めたと前記第3判定手段が判定したときに、前記メモリに記憶される前記投票毎の履歴から前記駐車枠を示す前記直線を検出する検出手段(S210)と、を備えることを特徴とする車載画像処理装置。
【請求項2】
自車が駐車枠の付近を走行する際に前記駐車枠側の景色を繰り返し撮影するためのカメラ(10)の撮影画像から前記駐車枠を検出して、この検出された駐車枠に基づいて運転者の駐車操作を支援する駐車支援装置であって、
前記カメラが撮影する毎に前記自車の位置情報を取得する取得手段(S130)と、
前記自車が一定距離以上走行したか否かを繰り返し判定する距離判定手段(S220)と、
前記自車が前進しているときに、前記自車が一定距離以上走行したかと前記距離判定手段が判定する毎に、前記自車の位置に対応する前記カメラの撮影領域を対象とするハフ空間を設定する設定手段(S230)と、
前記自車の走行距離が一定距離以上であると前記距離判定手段が判定した判定回数がN−1回である場合には、前記カメラの撮影毎の前記位置情報に基づいて前記撮影画像中のエッジ点の座標を前記撮影毎の前記位置情報に対応付けるように前記撮影画像中のエッジ点の座標を前記撮影毎に変換し、この変換毎に前記変換されたエッジ点を少なくともN番目の前記ハフ空間に対して投票する投票手段(S160、S170A、S170B)と、
前記投票手段の投票毎に前記投票の履歴をメモリ(20)に記憶させる制御手段(S180、S250)と、
前記自車が後退し始めたか否かを判定する第3判定手段(S200)と、
前記自車が後退し始めたと前記第3判定手段が判定したときに、前記メモリに記憶される前記ハフ空間毎の投票の履歴から前記駐車枠を含む前記直線を検出する検出手段(S210、S260)と、
前記メモリにおいて前記写像毎の履歴が記憶される容量が所定値以上であるか否かを判定する容量判定手段(S240)と、を備え、
前記メモリにおいて前記写像毎の履歴が記憶される容量が所定値以上であると前記容量判定手段が判定したときには、前記制御手段は、前記メモリに記憶される前記投票毎の履歴のうち最も古いタイミングで投票されたハフ空間の履歴に代えて最も新しいタイミングで投票されたハフ空間の履歴を前記メモリに記憶させるようになっていることを特徴とする車載画像処理装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記メモリに記憶される前記ハフ空間毎の投票の履歴を1つのハフ空間の投票の履歴に統合して、この統合された1つのハフ空間の投票の履歴から前記駐車枠を含む前記直線を検出することを特徴とする請求項2に記載の車載画像処理装置。
【請求項4】
前記自車の走行距離が一定距離以上であると前記距離判定手段が判定した判定回数がN−1回であるときには、前記投票手段は、前記カメラの撮影毎に、前記座標上のエッジ点をN番目の前記ハフ空間とN+1番目の前記ハフ空間とに対して投票し、
前記判定回数がN回であるときには、前記投票手段は、前記カメラの撮影毎に前記座標上のエッジ点を前記N+1番目の前記ハフ空間とN+2番目の前記ハフ空間とに対して投票することを特徴とする請求項2または3に記載の車載画像処理装置。
【請求項5】
前記設定手段によって設定される複数のハフ空間のうち隣接する2つのハフ空間は、互いに前記カメラの撮影領域がオーバーラップするように設定されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車載画像処理装置。
【請求項6】
前記投票手段(S150、S160、S170)は、前記カメラの撮影毎に前記撮影画像からエッジ点を抽出し、この抽出したエッジ点を前記カメラの撮影毎に車両上側から視た鳥瞰座標上のエッジ点に座標変換し、この座標変換毎に前記カメラの撮影毎の前記位置情報に基づいて前記座標変換されたエッジ点の座標を前記撮影毎の前記位置情報に対応付けるように座標変換し、かつこの座標変換された鳥瞰座標上のエッジ点を前記ハフ空間に前記カメラの撮影毎に投票することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車載画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の駐車操作を支援する駐車支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車支援装置において、右側方カメラおよび左側方カメラにより目標駐車場を撮像するとともに、前方カメラおよび後方カメラにより車両の周囲を撮像し、車両周囲の映像の中で車体の死角になって映像が欠落している範囲の映像を目標駐車場の映像から切り出し、車両周囲の映像を補完して表示するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
このものにおいて、カメラの死角による映像欠落部分の少ない車両周囲の映像を表示することにより、駐車範囲を区分する駐車枠の白線などがはっきりと映し出すことができる。このため、運転者による駐車するための操作を良好に支援することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−29314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の車載画像処理装置では、車両周囲の映像の中で車体の死角になる範囲の映像を目標駐車場の映像から切り出し、車両周囲の映像を補完して表示することにより、駐車範囲を区分する駐車枠がはっきりと映し出すことができるものの、車両周囲の映像に加えて目標駐車場の映像をもメモリに記憶させることが必要になる。このため、メモリの使用容量の増大化を招くことになる。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、運転者の駐車操作を支援する駐車支援装置において、メモリの使用容量の増大化を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、自車が駐車枠の付近を走行する際に駐車枠側の景色を繰り返し撮影するためのカメラ(10)の撮影画像から駐車枠を検出して、この検出された駐車枠に基づいて運転者の駐車操作を支援する駐車支援装置であって、
駐車枠の付近に自車が到達したか否かを判定する第1判定手段(S110)と、
駐車枠付近を自車が通過したか否かを判定する第2判定手段(S190)と、
カメラ(10)が撮影する毎に自車の位置情報を取得する取得手段(S130)と、
自車が前進しているときに、駐車枠の付近に自車が到達したと第1判定手段が判定したときから、駐車枠付近を自車が通過したと第2判定手段が判定するとき迄、カメラの撮影毎の位置情報に基づいて撮影画像中のエッジ点の座標を撮影毎の位置情報に対応付けるように撮影画像中のエッジ点の座標を撮影毎に変換し、この変換毎に変換された座標上のエッジ点を共通のハフ空間に投票して、この投票毎に投票の履歴をメモリ(20)に記憶させる投票手段(S160、S170、S180)と、
自車が後退し始めたか否かを判定する第3判定手段(S200)と、
自車が後退し始めたと第3判定手段が判定したときに、メモリに記憶される投票毎の履歴から駐車枠を示す直線を検出する検出手段(S210)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
以上説明した、請求項1に記載の発明によれば、自車が駐車枠の付近を走行する際にカメラの撮影毎に投票手段が、前記座標上のエッジ点を共通のハフ空間に投票して、この投票毎に投票の履歴をメモリに記憶させる。このことにより、駐車枠を示す直線を検出するためにメモリには、投票毎の投票の履歴が記憶される。このため、撮影画像が繰り返しメモリに記憶される場合に比べて、メモリの使用容量を減らすことができる。以上により、駐車支援装置におけるメモリの使用容量の増大化を抑えることができる。
【0009】
エッジ点とは、カメラにより撮影された画像のうち輝度の変化を示す点のことである。
【0010】
ハフ空間とは、直線を表す第1、第2のパラメータ、およびエッジ点の投票数をそれぞれ座標軸とする三次元空間のことである。
【0011】
請求項2に記載の発明では、自車が駐車枠の付近を走行する際に駐車枠側の景色を繰り返し撮影するためのカメラ(10)の撮影画像から駐車枠を検出して、この検出された駐車枠に基づいて運転者の駐車操作を支援する駐車支援装置であって、
カメラが撮影する毎に自車の位置情報を取得する取得手段(S130)と、
自車が一定距離以上走行したか否かを繰り返し判定する距離判定手段(S220)と、
自車が前進しているときに、自車が一定距離以上走行したかと距離判定手段が判定する毎に、自車の位置に対応するカメラの撮影領域を対象とするハフ空間を設定する設定手段(S230)と、
自車の走行距離が一定距離以上であると距離判定手段が判定した判定回数がN−1回である場合には、カメラの撮影毎の位置情報に基づいて撮影画像中のエッジ点の座標を撮影毎の位置情報に対応付けるように撮影画像中のエッジ点の座標を撮影毎に変換し、この変換毎に変換されたエッジ点を少なくともN番目のハフ空間に対して投票する投票手段(S160、S170A、S170B)と、
投票手段の投票毎に投票の履歴をメモリ(20)に記憶させる制御手段(S180、S250)と、
自車が後退し始めたか否かを判定する第3判定手段(S200)と、
自車が後退し始めたと第3判定手段が判定したときに、メモリに記憶されるハフ空間毎の投票の履歴から駐車枠を含む直線を検出する検出手段(S210、S260)と、
メモリにおいて写像毎の履歴が記憶される容量が所定値以上であるか否かを判定する容量判定手段(S240)と、を備え、
メモリにおいて写像毎の履歴が記憶される容量が所定値以上であると容量判定手段が判定したときには、制御手段は、メモリに記憶される投票毎の履歴のうち最も古いタイミングで投票されたハフ空間の履歴に代えて最も新しいタイミングで投票されたハフ空間の履歴をメモリに記憶させるようになっていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明では、制御手段によってメモリのうち写像毎の履歴が記憶される容量が制限される。このため、撮影画像が繰り返しメモリに記憶される場合に比べて、メモリの使用容量を減らすことができる。以上により、請求項1に記載の発明と同様に、駐車支援装置におけるメモリの使用容量の増大化を抑えることができる。なお、Nは1以上の整数である。
【0013】
請求項3に記載の発明では、前記検出手段は、前記メモリに記憶される前記ハフ空間毎の投票の履歴を1つのハフ空間の投票の履歴に統合して、この統合された1つのハフ空間の投票の履歴から前記駐車枠を含む前記直線を検出することを特徴とする。
【0014】
ここで、N番目のハフ空間は、設定手段によってN番目に設定されるハフ空間である。N+1番目のハフ空間は、設定手段によってN+1番目に設定されるハフ空間である。N+2番目のハフ空間は、設定手段によってN+2番目に設定されるハフ空間である。
【0015】
請求項4に記載の発明では、前記自車の走行距離が一定距離以上であると前記距離判定手段が判定した判定回数がN−1回であるときには、前記投票手段は、前記カメラの撮影毎に、前記座標上のエッジ点をN番目の前記ハフ空間とN+1番目の前記ハフ空間とに対して投票し、前記判定回数がN回であるときには、前記投票手段は、前記カメラの撮影毎に前記座標上のエッジ点を前記N+1番目の前記ハフ空間とN+2番目の前記ハフ空間とに対して投票することを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、判定回数がN−1回である場合と、判定回数がN回である場合とのいずれのときにも、投票手段は、カメラの撮影毎にN+1番目のハフ空間に座標上のエッジ点を投票する。このため、判定回数がN−1回であるときに投票手段がN番目のハフ空間だけに投票し、かつ判定回数がN回であるときに投票手段がN+1番目のハフ空間だけに投票する場合に比べて、N+1番目のハフ空間に投票される投票数を増やすことができる。よって、N+1番目のハフ空間において、直線を表す第1パラメータおよび第2パラメータが投票数によって明確に表されることになる。これにより、直線の検出を容易に行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、前記設定手段によって設定される複数のハフ空間のうち隣接する2つのハフ空間は、互いに前記カメラの撮影領域がオーバーラップするように設定されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、隣接する2つのハフ空間の間においてハフ空間の対象から外れてしまった撮影領域が生じることを避けることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、前記投票手段(S150、S160、S170)は、前記カメラの撮影毎に前記撮影画像からエッジ点を抽出し、この抽出したエッジ点を前記カメラの撮影毎に車両上側から視た鳥瞰座標上のエッジ点に座標変換し、この座標変換毎に前記カメラの撮影毎の前記位置情報に基づいて前記座標変換されたエッジ点の座標を前記撮影毎の前記位置情報に対応付けるように座標変換し、かつこの座標変換された鳥瞰座標上のエッジ点を前記ハフ空間に前記カメラの撮影毎に投票することを特徴とする。
【0020】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態における駐車支援装置の概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態の具体例を説明するための図である。
図3】第1実施形態の具体例を説明するためCCDカメラの撮影画像およびその鳥瞰画像を示す図である。
図4】第1実施形態の駐車枠検出処理を示すフローチャートである。
図5】駐車枠検出処理の実行で検出される駐車枠を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態の駐車枠検出処理を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態で用いる複数のハフ空間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0023】
(第1実施形態)
図1に本発明の駐車支援装置1の概略構成を示す。駐車支援装置1は、CCDカメラ10、メモリ20、およびマイクロコンピュータ30から構成されている。
【0024】
CCDカメラ10は、自車の後方に配置されて、自車の後方の景色を撮影する。自車とは、駐車支援装置1が搭載されている自動車のことである。メモリ20は、マイクロコンピュータ30のコンピュータプログラムを記憶するとともに、マイクロコンピュータ30がコンピュータプログラムを実行する際に生じるデータを保存するバッファとして機能する。
【0025】
マイクロコンピュータ30は、測距センサ40、操舵角センサ41、車速センサ42、および駐車開始スイッチ43、および自動変速機44のそれぞれの出力信号を用いて、CCDカメラ10の撮影画像からハフ変換を用いて駐車枠を検出する駐車枠検出処理を実行する。
【0026】
測距センサ40は、自車とその周辺の障害物との間の距離を測定するためのセンサである。本実施形態の測距センサ40として、例えば、超音波センサが用いられている。超音波センサは、超音波信号を送信してから、障害物表面で反射して戻ってきた反射波を受信するまでに要する伝搬時間tsを計測して、この伝搬時間tsを距離に換算して、超音波センサから障害物までの間の距離L{=(ts/2)×Vs(音速)}を測定する。
【0027】
操舵角センサ41は、自車の前輪の操舵角を検出するセンサである。車速センサ42は、自車の速度を検出するセンサである。駐車開始スイッチ43は、駐車枠検出処理の実行開始を指示する際に乗員によって操作されるスイッチである。自動変速機44は、車速、エンジンの回転速度、運転者の操作などに応じて変速レンジを切り替えるものである。自動変速機44は、設定されている変速レンジを示す出力信号を出力する。
【0028】
次に、本実施形態の作動の具体例として、図2の自車40が駐車場50の付近をA点からB点に向けて前進する際にCCDカメラ10の撮影画像から路上の駐車枠51を検出する例について説明する。駐車枠51は、路上において平行に配置される二本の直線状の白線からなるものであって、車両の駐車領域を示すものである。図2は、自車40がA点→B点→C点→D点の順に移動して自動車41、42の間の駐車枠51に駐車する例を示している。
【0029】
図3(a)、(c)、(e)、(g)は、CCDカメラ10の撮影画像、図3(b)、(d)、(f)、(h)は撮影画像を鳥瞰変換した鳥瞰画像である。図3(a)はA点の撮影画像、図3(b)はA点の撮影画像の鳥瞰画像、図3(c)はB点の撮影画像、図3(d)はB点の撮影画像の鳥瞰画像、図3(e)はC点の撮影画像、図3(f)はC点の撮影画像の鳥瞰画像、図3(g)はD点の撮影画像、図3(h)はD点の撮影画像の鳥瞰画像である。
【0030】
マイクロコンピュータ30は、図4のフローチャートにしたがって、駐車枠検出処理を実行する。駐車枠検出処理の実行は、駐車開始スイッチ43をオンしたときに開始される。
【0031】
まず、ステップS100において、測距センサ40の作動を開始する。これにより、測距センサ40が障害物との間の距離Lを繰り返し測定する。
【0032】
例えば、自車40が自動車41付近に位置するときには、測距センサ40からの超音波信号が障害物としての自動車41によって反射されているので、測距センサ40の測定距離Lは所定値未満になる。
【0033】
次に、ステップS110において、測距センサ40の測定距離Lに基づいて、駐車枠51に隣接する車両(具体的には、自動車41)のうち駐車枠51側の端点41aを検出したか否かを判定する。
【0034】
例えば、自動車41によって反射される反射波に基づいて測距センサ40が算出した測定距離Lは所定値未満になる一方、自車40が駐車枠51付近に到達したときには、測距センサ40からの超音波信号が駐車枠51から遠方に位置する障害物に反射されるので、測定距離Lは所定値以上になる。
【0035】
そこで、測距センサ40の前回の測定距離Lと今回の測定距離Lがそれぞれ所定値未満であるときには、自動車41との間の距離Lを測定して自動車41の駐車枠51側端点41aを検出していないとしてステップS110でNOと判定する。このため、ステップS110の判定を繰り返すことになる。
【0036】
一方、測距センサ40の前回の測定距離Lが所定値未満であり、かつ測距センサ40の今回の測定距離Lが所定値以上である場合には、前回の測定距離Lとして、自動車41の駐車枠51側端点41aと測距センサ40との間の距離を測定したと判定する。つまり、自車40がA点から前進してから駐車枠51付近に到達したとしてステップS110でYESと判定することになる。
【0037】
次に、ステップS120において、CCDカメラ10を制御して後方の景色を撮影させる。このとき、図4(a)に示すように、CCDカメラ10が、自車40の真後ろの景色、右後方の景色、および左後方の景色を含む後方画像を撮影することになる。
【0038】
次に、ステップS130において、操舵角センサ41の出力信号および車速センサ42の出力信号に基づいて、自車40の位置情報(すなわち、CCDカメラ10の撮影位置)を算出する。
【0039】
次に、ステップS140において、CCDカメラ10の撮影画像からエッジ点を抽出する。本実施形態のエッジ点とは、CCDカメラ10の撮影画像のうち輝度の変化を示す点である。このように撮影画像から抽出された複数のエッジ点に対してトップビュー変換を施す(ステップS150)。つまり、複数のエッジ点を自車40の上側から視た鳥瞰座標上の複数のエッジ点に座標変換する。つまり、撮影画像毎に複数のエッジ点を鳥瞰座標上の複数のエッジ点に座標変換することになる。
【0040】
ここで、後述するように、駐車枠の検出には複数の撮影画像が用いられる。複数の撮影画像は、撮影画像毎にその撮影位置が異なる。これに加えて、撮影毎の鳥瞰座標はそれぞれ独立して設定されている。このため、撮影画像毎の鳥瞰座標の位置関係が定まっていない。
【0041】
そこで、次のステップS160において、自車41の位置情報(つまり、CCDカメラ10の撮影位置)を用いて上記ステップS150の鳥瞰座標をCCDカメラ10の撮影位置に対応付けるように鳥瞰座標を撮影毎に座標変換する。つまり、上記ステップS150の鳥瞰座標上の複数のエッジ点を撮影画像毎に共通の鳥瞰座標上に写像することになる。このことにより、撮影画像毎の鳥瞰座標の位置関係を撮影画像毎の位置情報を用いて設定することができる。
【0042】
このようにステップS160で座標変換された鳥瞰座標上の複数のエッジ点を共通のハフ空間(パラメータ空間)に投票する(ステップS170)。つまり、前記座標変換された鳥瞰座標上の複数のエッジ点を共通のハフ空間に写像することになる。ハフ空間とは、直線を表すための3次元座標のことである。具体的には、X軸をρとし、Y軸をθとし、Z軸をエッジ点の投票数とする空間である。
【0043】
ここで、ρおよびθは、二次元のXY座標上の点(xi、yi)を通る直線Aを極座標表現にてρ=xi・cosθ+yi・sinθと表すために用いられるパラメータである。ρは、直線Aへ原点から下ろした垂線の長さを示す第1パラメータである。θは、X軸と垂線とがなす角度を示す第2パラメータである。本実施形態のハフ空間は、駐車枠51を含む撮影領域が対象となっている。撮影領域とはCCDカメラ10によって撮影される領域のことである。このように撮影画像中の複数のエッジ点が共通のハフ空間に投票される。このことにより、撮影画像から直線を検出するための特徴量が算出されることになる。次に、上述のように共通のハフ空間に投票された投票履歴をメモリ20に記憶させる(ステップS180)。
【0044】
次に、ステップS190において、自車40の駐車枠51(つまり駐車空間)付近を通過したか否かを判定する。
【0045】
例えば、測距センサ40の測定距離Lが所定値以上であるときには、自車40が駐車枠51付近を前進していると判定して、ステップS190でNOと判定する。
【0046】
一方、測距センサ40の測定距離Lが所定値未満になると、測定距離Lとして、自動車42の駐車枠51側端点42aと測距センサ40との間の距離を測定したと判定する。つまり、自車40が駐車枠51を通過して自動車42付近に到達したとしてステップS190でYESと判定することになる。
【0047】
例えば、ステップS190でNOと判定したときには、ステップS120に戻る。このため、自車40の駐車枠51付近を通過するまで、ステップS120のカメラ撮影処理、ステップS130の位置算出処理、ステップS140のエッジ抽出処理、ステップS150のトップビュー変換処理、ステップS160のエッジ座標変換処理、ステップS170のハフ空間投票処理、およびステップS180のメモリ保存処理を繰り返す。
【0048】
以上により、CCDカメラ10の撮影毎に撮影画像から複数のエッジ点を抽出し(ステップS140)、この抽出した複数のエッジ点に対してトップビュー変換を施し(ステップS150)、このトップビュー変換された複数のエッジ点の鳥瞰座標をCCDカメラ10の撮影位置に対応付けるように当該鳥瞰座標を撮影毎に座標変換し(ステップS160)、この座標変換された鳥瞰座標上の複数のエッジ点を共通のハフ空間に投票して(ステップS170)、この投票履歴を投票毎にメモリ20に保存する(ステップS180)。
【0049】
その後、測距センサ40の測定距離Lが所定値未満になると、測定距離Lとして、自動車42の駐車枠51側端点42aと測距センサ40との間の距離を測定したと判定する。つまり、自車40が駐車枠51を通過して自動車42付近に到達したとしてステップS190でYESと判定する。これに伴い、次のステップS200において、変速機44がリバースレンジに設定されているか否かについて変速機44の出力信号に基づいて判定する。つまり、自車40がB点に到達して後退し始めているか否かを判定することになる。
【0050】
このとき、変速機44がリバースレンジ以外のレンジに設定されているときには、ステップS200においてNOと判定して、ステップS200の判定を繰り返すことになる。
【0051】
その後、変速機44がリバースレンジに設定されると、ステップS200においてYESと判定して、次のステップS210において、メモリ20に記憶される投票毎の投票履歴に基づいて駐車枠51を示す直線を図5に示すように検出する。図5は、XY座標上において、ステップS210で検出した駐車枠51を移動軌跡とともに示している。図5中の点線は、A点からB点まで自車40が前進する軌跡、太実線は、B点からC点を経てD点まで自車40が後退する軌跡を示している。直線の検出は、周知であるのでその説明を省略する。
【0052】
このように検出される駐車枠51は、自動駐車制御の目標対象として用いることにより、駐車操作を支援する。自動駐車制御とは、自動的に操舵角を制御して目標対象としての駐車枠51内に自車40を駐車させる制御のことである。これに加えて、図3(c)〜(h)に示すように、駐車枠51をCCDカメラ10の撮影画像に重畳して車室内の表示ディスプレイによって運転者に向けて表示させることにより、運転者の駐車操作を支援する。
【0053】
例えば、図3(c)、図3(d)は、自車40がB点で後退を開始するときの表示ディスプレイの表示画像である。図3(e)、図3(f)は、自車40がC点を通過するときの表示ディスプレイの表示画像である。図3(g)、図3(h)は、自車40がD点に到着したときの表示ディスプレイの表示画像である。
【0054】
なお、上述のステップS210において、駐車枠51を示す直線を検出できなかったときには、各種の車両信号を用いて駐車枠51を示す直線を推定する。
【0055】
以上説明した本実施形態によれば、自車40が駐車枠51付近に到達してから自車40が駐車枠51を通過するまで、CCDカメラ10の撮影毎に、撮影画像中のエッジ点を鳥瞰座標上のエッジ点に座標変換し、この座標変換毎にCCDカメラ10の撮影毎の位置情報に基づいて前記座標変換されたエッジ点の座標を撮影毎の位置情報に対応付けるように座標変換し、かつこの座標変換された鳥瞰座標上のエッジ点を共通のハフ空間にCCDカメラ10の撮影毎に投票する。この投票毎に投票の履歴をメモリ20に記憶させる。このことにより、駐車枠51を示す直線を検出するためにメモリ20には、投票毎の投票の履歴が記憶される。このため、撮影画像が繰り返しメモリ20に記憶される場合に比べて、メモリ20の使用容量を減らすことができる。以上により、駐車支援装置1におけるメモリ20の使用容量の増大化を抑えることができる。
【0056】
本実施形態では、駐車枠51を検出する際に、撮影画像中の複数のエッジ点を鳥瞰変換して、この鳥瞰変換された複数のエッジ点を用いて共通のハフ空間に投票する。
【0057】
ここで、駐車枠51と駐車枠51に隣接する自動車41(或いは自動車42)との間の距離が非常に小さい場合には、撮影画像中の複数のエッジ点を鳥瞰変換することなく、複数のエッジ点をハフ空間に投票すると、駐車枠51が自動車41(或いは自動車42)の影になり、この影となった駐車枠51のエッジ点を抽出することができなくなる。このため、駐車枠51を示す複数のエッジ点をハフ空間に投票することができなくなり、駐車枠51を良好に検出することができない場合がある。
【0058】
これに対して、本実施形態では、上述の如く、撮影画像中の複数のエッジ点を鳥瞰変換して、この鳥瞰変換された複数のエッジ点を用いて共通のハフ空間に投票する。このため、駐車枠51のエッジ点が自動車41(或いは自動車42)の影になり難くなる。これにより、駐車枠51とそれに隣接する自動車41(或いは自動車42)との間の距離が非常に小さい場合でも、駐車枠51のエッジ点がハフ空間に投票することができるので、駐車枠51を良好に検出することができる。
【0059】
本実施形態では、ステップS140において、CCDカメラ10の撮影画像からエッジ点を抽出し、その後のステップS150で、この抽出された複数のエッジ点に対してトップビュー変換を実施する。このため、CCDカメラ10の撮影画像に対してトップビュー変換し、このトップビュー変換された撮影画像からエッジ点を抽出する場合に比べて、画像処理の処理量を減らすことができる。
【0060】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、測距センサ40の測定距離Lを用いて自車40が駐車枠51付近を走行するときだけハフ空間への投票を実施してメモリ20の使用容量を減らすようにした例について説明したが、測距センサ40の測定距離Lを用いない場合にメモリ20の使用容量を減らす例について説明する。
【0061】
図6に本実施形態の駐車枠検出処理のフローチャートを示す。マイクロコンピュータ30は、図4のフローチャートに代わる図6のフローチャートにしたがって、駐車枠検出処理を実行する。
【0062】
まず、本実施形態の駐車枠検出処理の詳細の説明に先立って、本実施形態の駐車枠検出処理で用いるハフ空間について説明する。
【0063】
本実施形態の駐車枠検出処理では、共通のハフ空間ではなく、複数のハフ空間が設定される。
【0064】
具体的には、自車40が所定距離、進行する毎に自車40の位置情報に対応する撮影領域を対象とするハフ空間を設定する。撮影領域とは、CCDカメラ10により撮影される領域のことである。このことにより、複数のハフ空間の撮影領域が、自車40の進行方向に所定距離毎に並べられることになる。複数のハフ空間の撮影領域は、それぞれ、自車40の位置から自車40の進行方向に対する直交方向に伸びる長方形状(短冊状)に設定されている。
【0065】
ここで、所定距離は、ハフ空間を設定する走行距離の基準値であって、例えば、1メートルである。所定距離は短くなるほど、順次設定されるハフ空間の個数が増えるため、ハフ空間に対する投票履歴を保存するメモリ20の容量を大きくすることが必要になる。このため、使用されるメモリ20の容量に応じて、所定距離が設定される。
【0066】
さらに、本実施形態では、複数のハフ空間のうち互いに隣接する2つのハフ空間の撮影領域は、互いにオーバーラップするように設定されている。
【0067】
図7では、自車40がA点からB点に向けて前進する際にハフ空間N、ハフ空間N+1、ハフ空間N+2、ハフ空間N+3を順次設定する例を示している。ハフ空間Nおよびハフ空間N+1は、互いの撮影領域がオーバーラップする。ハフ空間N+1およびハフ空間N+2は、互いの撮影領域がオーバーラップする。ハフ空間N+2およびハフ空間N+3は、互いの撮影領域がオーバーラップする。
【0068】
ここで、Nは1以上の整数である。ハフ空間Nは、N番目に設定されるハフ空間を示し、ハフ空間N+1は、N+1番目に設定されるハフ空間を示し、ハフ空間N+2は、N+2番目に設定されるハフ空間を示し、ハフ空間N+3は、N+3番目に設定されるハフ空間を示している。
【0069】
次に、本実施形態の駐車枠検出処理の具体例として、図7に示すように自車40が駐車枠51の付近をA点からB点に向けて前進する例について説明する。図6において、図4と同一符号は同一ステップを示し、その説明を簡略化する。駐車枠検出処理の実行は、駐車開始スイッチ43をオンしたときに開始される。
【0070】
まず、ステップS120において、CCDカメラ10によって後方の景色を撮影させる。次に、ステップS130において、操舵角センサ41の出力信号および車速センサ42の出力信号に基づいて、自車40の位置情報を算出する。次に、ステップS140において、CCDカメラ10の撮影画像からエッジ点を抽出する。次に、このように撮影画像から抽出された複数のエッジ点に対してトップビュー変換を施す(ステップS150)。
【0071】
その後、ステップS160において、自車41の位置情報を用いて上記ステップS150の鳥瞰座標をCCDカメラ10の撮影位置に対応付けるように鳥瞰座標を撮影毎に座標変換する。このようにステップS160で座標変換された鳥瞰座標上の複数のエッジ点をハフ空間1、およびハフ空間2のそれぞれに投票する(ステップS170A、S170B)。ハフ空間1およびハフ空間2は、ハフ空間として予め設定されるものである。ハフ空間1は、1番目に設定されるハフ空間である。ハフ空間2は、2番目に設定されるハフ空間である。このようにハフ空間1およびハフ空間2に投票された投票履歴をメモリ20に記憶させる(ステップS180)。
【0072】
次に、ステップS220において、駐車開始スイッチ43がオンされてから、自車40が所定距離(例えば、1メートル)以上走行したか否かを判定する。
【0073】
具体的には、操舵角センサ41の出力信号および車速センサ42の出力信号に基づいて自車40の位置情報を求め、この位置情報から自車40が走行距離を求める。そして、走行距離が所定距離未満であるときには、NOと判定して、ステップS120に戻る。
【0074】
その後、走行距離が所定距離以上になるまで、ステップS120のCCDカメラ10撮影処理、ステップS130の位置情報算出処理、ステップS140のエッジ点抽出処理、ステップS150のトップビュー変換処理、ステップS160座標変換処理、ステップS170A、S170Bの投票処理、ステップS180の投票履歴保存処理、およびステップS220のNO判定処理を繰り返す。
【0075】
このため、CCDカメラ10の撮影毎に撮影画像から複数のエッジ点を抽出し(ステップS140)、この抽出した複数のエッジ点に対してトップビュー変換を施し(ステップS150)、このトップビュー変換された複数のエッジ点の鳥瞰座標をCCDカメラ10の撮影位置に対応付けるように当該鳥瞰座標を撮影毎に座標変換し(ステップS160)、この座標変換された鳥瞰座標上の複数のエッジ点を撮影毎にハフ空間1およびハフ空間2に対して投票し(ステップS170A、S170B)、この投票毎に投票履歴をメモリ20に保存する(S180)。
【0076】
その後、走行距離が所定距離以上になると、ステップS220でYESと判定する。これに伴い、ステップS230に進んで、ステップS170A、S170Bで投票対象となるハフ空間の番号をそれぞれインクリメントする。すなわち、自車40の位置に対応するハフ空間3を新たに設定することになる。このため、ステップS170Aで投票対象となるハフ空間をハフ空間2として、ステップS170Bで投票対象となるハフ空間をハフ空間3とする。このとき、ハフ空間3に対応する自車40の位置情報をメモリ20に記憶させる。
【0077】
その後、ステップS240において、メモリ20のうち投票履歴が記憶される記憶容量が規定容量以上か否かを判定する。このとき、メモリ20のうち投票履歴が記憶される記憶容量が規定容量未満であるときには、ステップS240でNOと判定して、次のステップS200に進む。このとき、変速機44がリバースレンジに設定されているか否かについて変速機44の出力信号に基づいて判定する。このとき、変速機44がリバースレンジ以外のレンジに設定されているときには、ステップS200においてNOと判定して、ステップS120に戻る。
【0078】
その後、ステップS120、S130、S140、S150、S160、S170A、S170B、S180のそれぞれの処理を実行してからステップS220に進む。このステップS220では、前回にステップS220でYESと判定してから所定距離(例えば、1メートル)以上走行したか否かを判定する。前回にステップS220でYESと判定してから自車40が走行した走行距離が所定距離未満であるときには、今回のステップS220でNOと判定して、ステップS120に戻る。
【0079】
その後、前回にステップS220でYESと判定してから自車40が走行した走行距離が所定距離未満である限り、次回にステップS220でYESと判定されるまで、ステップS120、S130、S140、S150、S160、S170A、S170B、S180のそれぞれの処理、およびステップS220のNO判定処理を繰り返すことになる。
【0080】
このため、上記ステップS160で座標変換された鳥瞰座標上の複数のエッジ点をハフ空間2およびハフ空間3に対してCCDカメラ10の撮影毎に投票する(ステップS170A、S170B)。このようにハフ空間2およびハフ空間3に投票された投票履歴をCCDカメラ10の撮影毎にメモリ20に記憶させることになる(ステップS180)。
【0081】
その後、前回にステップS220でYESと判定してから自車40が走行した走行距離が所定距離以上になると、次にステップS220においてYESと判定する。
【0082】
次にステップS230において、ステップS170A、S170Bで投票対象となるハフ空間の番号をそれぞれインクリメントする。すなわち、自車40の位置に対応するハフ空間4を新たに設定することになる。このため、ステップS170Aで投票対象となるハフ空間をハフ空間3として、ステップS170Bで投票対象となるハフ空間をハフ空間4とする。このとき、ハフ空間4に対応する自車40の位置情報をメモリ20に記憶させる。
【0083】
このことにより、ステップS220でYESと判定される回数(以下、単に判定回数という)が2回目であるときには、CCDカメラ10の撮影毎にハフ空間3およびハフ空間4に対して投票し、この投票毎にその投票履歴をメモリ20に記憶させることになる(ステップS180)。
【0084】
その後、ステップS240において、メモリ20のうち投票履歴が記憶される記憶容量が規定容量以上か否かを判定する。このとき、メモリ20のうち投票履歴が記憶される記憶容量が規定容量未満あるときには、ステップS240でNOと判定して、次のステップS200に進む。このとき、変速機44がリバースレンジ以外のレンジに設定されているときには、NOと判定して、ステップS120に戻る。
【0085】
このため、次にステップS220でYESと判定するまで、ステップS120、S130、S140、S150、S160、S170A、S170B、S180のそれぞれの処理、およびステップS220のNO判定処理を繰り返すことになる。このため、上記ステップS160で座標変換された鳥瞰座標上の複数のエッジ点をハフ空間3およびハフ空間4に対してCCDカメラ10の撮影毎に投票する(ステップS170A、S170B)。このようにハフ空間2およびハフ空間3に投票された投票履歴をCCDカメラ10の撮影毎にメモリ20に記憶させることになる(ステップS180)。
【0086】
その後、3回目にステップS220でYESと判定されると、次のステップS230において、ステップS170Aで投票対象となるハフ空間をハフ空間4として、ステップS170Bで投票対象となるハフ空間をハフ空間5とする。このとき、ハフ空間5に対応する自車40の位置情報をメモリ20に記憶させる。
【0087】
その後、ステップS240において、メモリ20のうち投票履歴が記憶される記憶容量が規定容量以上か否かを判定する。このとき、メモリ20のうち投票履歴が記憶される記憶容量が規定容量以上であるときには、ステップS240でYESと判定して、ステップS250に進む。これに伴い、メモリ20において記憶される複数のハフ空間の履歴のうち最も古いタイミングで投票されるハフ空間の履歴を初期化する。例えば、メモリ20において、ハフ空間1、ハフ空間2、ハフ空間3、ハフ空間4のそれぞれの履歴が記憶されている場合には、最も古いタイミングで投票されるハフ空間1の履歴が消去される。
【0088】
次のステップS200において、変速機44がリバースレンジ以外のレンジに設定されているとき、NOと判定してステップS120に戻る。その後、ステップS120、S130、S140、S150、S160の処理を経て、上記ステップS160で座標変換された鳥瞰座標上の複数のエッジ点をハフ空間4およびハフ空間5に対して投票する(ステップS170A、S170B)。このようにハフ空間4およびハフ空間5に投票された投票履歴をCCDカメラ10の撮影毎にメモリ20に記憶させる(ステップS180)。このとき、メモリ20においてハフ空間1の投票履歴に代えてハフ空間5の投票履歴が記憶されることになる。そして、ステップS220のNO判定処理(或いはYES判定処理)、ステップS230、ステップS240のNO判定処理(或いはステップS240のYES判定処理およびステップS250)、およびステップS200のNO判定を実施する。
【0089】
その後、変速機44がリバースレンジ以外のレンジに設定されている限り、ステップS120、S130、S140、S150、S160、S170A、S170B、S180、およびステップS220のNO判定処理(或いはYES判定処理)、ステップS230、ステップS240のNO判定処理(或いはステップS240のYES判定処理およびステップS250)、およびステップS200のNO判定を繰り返す。
【0090】
例えば、判定回数がN−1回であるときには、CCDカメラ10の撮影毎に、上記ステップS160で座標変換された鳥瞰座標上の複数のエッジ点をハフ空間Nとおよびハフ空間N+1に投票する(ステップS170A、170B)。
【0091】
一方、判定回数がN回であるときには、CCDカメラ10の撮影毎に、上記ステップS160で座標変換された鳥瞰座標上の複数のエッジ点をハフ空間N+1とおよびハフ空間N+2に投票する(ステップS170A、170B)。このように投票されるハフ空間の投票履歴はメモリ20に記憶される(ステップS180)。
【0092】
例えば、メモリ20において、ハフ空間N−1、ハフ空間N、ハフ空間N+1、ハフ空間N+2のそれぞれの投票履歴が記憶されている場合において、次のステップS220でYESと判定後に、ステップS230に進むと、ステップS170Aで投票対象となるハフ空間をハフ空間N+2として、ステップS170Bで投票対象となるハフ空間をハフ空間N+3とする。このとき、ハフ空間N+3に対応する自車40の位置情報をメモリ20に記憶させる。つまり、ハフ空間が設定される毎にこの設定されるハフ空間に対応する自車40の位置情報をメモリ20に記憶させる。
【0093】
その後、ステップS240に移行すると、次のようにメモリ20のうち投票履歴を初期化する。すなわち、メモリ20のうち投票履歴が記憶される記憶容量が規定容量以上であるとしてステップS240でYESと判定したときには、メモリ20において、ハフ空間N−1、ハフ空間N、ハフ空間N+1、ハフ空間N+2のうち最も古いタイミングで投票されるハフ空間N−1の履歴を消去する(ステップS200)。
【0094】
その後、ステップS200においてNOと判定した場合に、ステップS120、S130、S140、S150、S160の処理を経て、上記ステップS160で座標変換された鳥瞰座標上の複数のエッジ点をハフ空間N+2およびハフ空間N+3に対して投票する(ステップS170A、S170B)。このようにハフ空間N+2およびハフ空間N+3に投票された投票履歴をCCDカメラ10の撮影毎にメモリ20に記憶させる(ステップS180)。このとき、メモリ20においてハフ空間N−1の投票履歴に代えてハフ空間N+3の投票履歴が記憶されることになる。そして、ステップS220のNO判定処理(或いはYES判定処理)、ステップS230、ステップS240のNO判定処理(或いはステップS240のYES判定処理およびステップS250)を実施する。
【0095】
その後、変速機44がリバースレンジに設定されると、ステップS200でYESと判定して、次のステップS260に移行する。例えば、ハフ空間N、ハフ空間N+1、ハフ空間N+2、およびハフ空間N+3のそれぞれ投票履歴がメモリ20に記憶されている場合において、メモリ20に記憶されるハフ空間N、ハフ空間N+1、ハフ空間N+2、およびハフ空間N+3に対応する自車40の位置情報を用いて、ハフ空間N、ハフ空間N+1、ハフ空間N+2、およびハフ空間N+3のそれぞれ投票履歴を共通のハフ空間に写像する。
【0096】
ここで、共通のハフ空間の撮影領域は、ハフ空間N、ハフ空間N+1、ハフ空間N+2、およびハフ空間N+3をそれぞれの撮影領域を全てカバーする領域である。
【0097】
このよう共通のハフ空間への写像により、ハフ空間N、ハフ空間N+1、ハフ空間N+2、およびハフ空間N+3が統合されることになる。その後、ステップS210において、上記共通のハフ空間に写像された投票履歴から駐車枠51を示す直線を検出する。
【0098】
以上説明した本実施形態によれば、メモリ20に記憶される複数のハフ空間の投票履歴のうち最も古いタイミングで投票されるハフ空間の投票履歴に代えて最も新しいタイミングで投票されたハフ空間の投票履歴が記憶される。このことにより、メモリ20において複数のハフ空間の投票履歴を記憶する際に使用される記憶容量が制限されることになる。そして、自動変速機の変速レンジがリバースレンジに設定されると、メモリ20に記憶される複数のハフ空間の投票履歴をそれぞれ共通のハフ空間に写像し、この写像された投票履歴から駐車枠51を示す直線を検出する。このため、撮影画像が繰り返しメモリに記憶される場合に比べて、メモリの使用容量を減らすことができる。以上により、上記第1実施形態と同様に、駐車支援装置1におけるメモリ20の使用容量の増大化を抑えることができる。
【0099】
本実施形態では、判定回数がN−1回であるときと、判定回数がN回であるときとのいずれのときにも、CCDカメラ10の撮影毎にN+1番目のハフ空間に鳥瞰座標上のエッジ点を投票する。このため、判定回数がN−1回であるときにハフ空間Nだけに投票し、かつ判定回数がN回であるときに投票手段がハフ空間N+1だけに投票する場合に比べて、N+1番目のハフ空間に投票される投票数を増やすことができる。
【0100】
ここで、ハフ空間において、投票数が多い点のρおよびθが撮影画像上の直線を表している。このため、上述の如く、N+1番目のハフ空間に投票される投票数を増やすことにより、N+1番目のハフ空間において、直線を表すρおよびθが投票数によって明確に表されることになる。これにより、直線の検出を容易に行うことができる。
【0101】
本実施形態では、自車40の進行方向に並ぶ複数のハフ空間のうち隣接する2つのハフ空間は、互いにオーバーラップしている。このため、CCDカメラ10の撮影領域のうち、複数のハフ空間の対象から外れる領域が生じることを避けることができる。
【0102】
(他の実施形態)
上述の第1、第2実施形態では、直線を表すための第1パラメータをρとし、直線を表すための第2パラメータをθとして、X軸をρ、Y軸をθ、Z軸をエッジ点の投票数とする空間をハフ空間とする例について説明したが、これに代えて、直線を表すための第1パラメータを傾きaとし、直線を表すための第2パラメータを切片bとして、X軸を傾きa、Y軸を切片b、およびZ軸をエッジ点の投票数とする空間をハフ空間としてもよい。ここで、傾きaおよび切片bは、二次元のXY座標上の点(xi、yi)を通る直線Aをyi=a×xi+bと表すために用いられるパラメータである。
【0103】
上述の第1、第2実施形態では、操舵角センサ41の出力信号および車速センサ42の出力信号に基づいて、自車40の位置情報を算出した例について説明したが、これに代えて、GPSを用いて自車40の位置情報を算出してもよい。
【0104】
上述の第1、第2実施形態では、撮影画像中のエッジ点を鳥瞰変換してこの鳥瞰変換した鳥瞰座標上のエッジ点を用いて駐車枠51を示す直線を検出する例について説明したが、これに代えて、撮影画像中のエッジ点を鳥瞰変換することなく、撮影画像中のエッジ点を用いて駐車枠51を示す直線を検出するようにしてもよい。
【0105】
例えば、第1実施形態では、CCDカメラ10の撮影毎に撮影画像から複数のエッジ点を抽出し(ステップS140)、この抽出した複数のエッジ点の座標をCCDカメラ10の撮影位置に対応付けるように当該座標を撮影毎に座標変換し(ステップS160)、この座標変換された座標上の複数のエッジ点を撮影毎に共通のハフ空間に投票し、この投票毎に投票履歴をメモリ20に保存する。
【0106】
例えば、第2実施形態では、CCDカメラ10の撮影毎に撮影画像から複数のエッジ点を抽出し(ステップS140)、この抽出した複数のエッジ点の座標をCCDカメラ10の撮影位置に対応付けるように当該座標を撮影毎に座標変換し(ステップS160)、この座標変換された座標上の複数のエッジ点を撮影毎にハフ空間Nおよびハフ空間N+1に対して投票し、この投票毎に投票履歴をメモリ20に保存する。
【0107】
上述の第2実施形態では、判定回数がN−1回であるとき、CCDカメラ10の撮影毎に、複数のエッジ点をハフ空間Nとおよびハフ空間N+1に投票し、判定回数がN回であるときに、CCDカメラ10の撮影毎に、複数のエッジ点をハフ空間N+1とおよびハフ空間N+2に投票する例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
【0108】
すなわち、判定回数がN−1回であるとき、CCDカメラ10の撮影毎に、複数のエッジ点をハフ空間Nだけに投票し、判定回数がN回であるときに、CCDカメラ10の撮影毎に、複数のエッジ点をハフ空間N+1にだけに投票するようにしてもよい。
【0109】
上述の第1、第2実施形態では、自車の後方に配置されるCCDカメラ10を用いて、周囲の景色として駐車枠側の景色を撮影する例について説明したが、これに限らず、駐車枠側の景色を撮影することが可能ならば、自車の後方以外の箇所に配置されるCCDカメラ10を用いてもよい。
【0110】
上述の第1、第2の実施形態では、CCDカメラ10の撮影画像からエッジ点を抽出して、この抽出された複数のエッジ点に対してトップビュー変換を実施する例について説明したが、これに代えて、CCDカメラ10の撮影画像に対してトップビュー変換し、このトップビュー変換された撮影画像からエッジ点を抽出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 駐車支援装置
10 CCDカメラ
20 メモリ
30 マイクロコンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7