特許第5924095号(P5924095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924095
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】保護回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/00 20060101AFI20160516BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20160516BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160516BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20160516BHJP
   H02H 3/093 20060101ALI20160516BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   H02H7/00 K
   H02H7/00 B
   H02H7/18
   H02J7/00 S
   H02J7/00 P
   H02H3/087
   H02H3/093 D
   B60L11/18 Z
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-94617(P2012-94617)
(22)【出願日】2012年4月18日
(65)【公開番号】特開2013-223369(P2013-223369A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2014年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】尾藤 照敏
(72)【発明者】
【氏名】野中 隆志
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−364316(JP,A)
【文献】 特開平06−082498(JP,A)
【文献】 特開平07−241027(JP,A)
【文献】 特開平09−308078(JP,A)
【文献】 特開2000−308276(JP,A)
【文献】 特開2001−128354(JP,A)
【文献】 特開2002−290222(JP,A)
【文献】 特開2009−276354(JP,A)
【文献】 特開2010−148166(JP,A)
【文献】 特開2011−130648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
B60L 11/18
H02H 3/087
H02H 3/093
H02H 7/18
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源手段から電気負荷へと給電する給電線における電流の電流値を検出する電流センサと、
前記給電線に流れる電流を遮断または接続する開閉器と、
それぞれ長さが異なる複数の演算期間について、各演算期間内で前記電流センサが検出した複数の前記電流値に基づいて前記電流の実効値を算出する算出手段と、
複数の前記演算期間に関して前記算出手段がそれぞれ算出した複数の前記実効値のいずれかが、複数の前記演算期間に対応してそれぞれ予め定められた複数の遮断閾値のうちの同じ演算期間に対応する前記遮断閾値を超えたことに応じて前記給電を遮断するように前記開閉器を開とする遮断制御手段とを具備する保護回路。
【請求項2】
前記算出手段は、複数の前記演算期間の終了時点をいずれも同一時点とする請求項1に記載の保護回路。
【請求項3】
前記算出手段は、複数の前記演算期間のうちの少なくとも1つの長さを、電流の瞬時値と前記電流の継続時間との関数として表され、前記電源手段から前記電気負荷への給電経路中に介挿されたヒューズの溶断を示す溶断曲線と、前記実効値と前記継続時間との関数として表され、前記給電線の発煙を示す発煙曲線とが交差する点を表す前記継続時間よりも長くする請求項1または請求項2に記載の保護回路。
【請求項4】
前記電源手段から前記電気負荷への給電量を抑制する抑制手段と、
前記複数の前記演算期間に関して前記算出手段がそれぞれ算出した複数の前記実効値のいずれかが、複数の前記演算期間に関してそれぞれ同じ演算期間に対応する前記遮断閾値よりも小さな値として予め定められた複数の抑制閾値のうちの前記同じ演算期間に関する前記抑制閾値を超えたことに応じて前記給電量を抑制するように前記抑制手段を制御する抑制制御手段をさらに具備する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の保護回路。
【請求項5】
前記抑制制御手段は、前記複数の前記演算期間に関して前記算出手段がそれぞれ算出した複数の前記実効値のいずれかが、複数の前記演算期間に対応した同じ演算期間に関する前記抑制閾値よりも小さな値として予め定められた複数の復帰閾値のうちの前記同じ演算期間に関する前記復帰閾値を下回ったことに応じて前記給電量の抑制を解除するように前記抑制手段を制御する請求項4に記載の保護回路。
【請求項6】
前記それぞれ長さが異なる複数の演算期間は、比較的大きな過大電流が急激に生じる第1の場合と、比較的小さな過大電流が長時間に渡って継続的に生じる第2の場合とのいずれの場合を含む監視期間内に設定され、前記複数の演算期間の少なくとも1つは前記第1場合と前記第2の場合とを含むように設定される請求項1に記載の保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両で用いて好適な保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両では、走行用のモータなどのような大きな電気負荷を備える。このような電気負荷への給電には、高電圧に堪え得るケーブルを利用する。
【0003】
しかしながら、ケーブルの耐久性にも限りがあり、異常な高電流が流れた場合には、発煙などの不具合が生じる恐れがある。
【0004】
そこで、ケーブルの電流が過大となった場合に、その電流を低減、または停止することによって発煙などの不具合を防止する保護回路が知られている。
【0005】
保護回路は、典型的にはヒューズを利用したものが知られている。
【0006】
また特許文献1には、入力電気量の実効値に基づき保護演算を行って遮断器のトリップ指令を出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平3−245715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながらヒューズは、短期間の間に大きな電流が流れることにより溶断する特性を有し、小さめの過大電流が比較的長時間に渡って継続するような場合には溶断に至らないケースがある。
【0009】
また、特許文献1の技術であると、入力電気量の瞬時値が小さい状態が継続した後に入力電気量が増大した場合には、その入力電気量の変化が実効値の変化として直ぐには現れず、トリップ指令を適正に出力できない恐れがある。
【0010】
本発明は、比較的大きな過大電流が急激に生じる場合と、比較的小さな過大電流が長時間に渡って継続的に生じる場合のいずれにおいても、その過大電流に伴う不具合の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載される発明の保護回路は、電源手段から電気負荷へと給電する給電線における電流の電流値を検出する電流センサと、前記給電線に流れる電流を遮断または接続する開閉器と、それぞれ長さが異なる複数の演算期間について、各演算期間内で前記電流センサが検出した複数の前記電流値に基づいて前記電流の実効値を算出する算出手段と、複数の前記演算期間に関して前記算出手段がそれぞれ算出した複数の前記実効値のいずれかが、複数の前記演算期間に対応してそれぞれ予め定められた複数の遮断閾値のうちの同じ演算期間に対応する前記遮断閾値を超えたことに応じて前記給電を遮断するように前記開閉器を開とする遮断制御手段とを備える。
【0012】
請求項2に記載される発明の保護回路は、請求項1に記載される算出手段が、複数の前記演算期間の終了時点をいずれも同一時点とする。
【0013】
請求項3に記載される発明の保護回路は、請求項1または請求項2に記載される算出手段が、複数の前記演算期間のうちの少なくとも1つの長さを、電流の瞬時値と前記電流の継続時間との関数として表され、前記電源手段から前記電気負荷への給電経路中に介挿されたヒューズの溶断を示す溶断曲線と、前記実効値と前記継続時間との関数として表され、前記給電線の発煙を示す発煙曲線とが交差する点を表す前記継続時間よりも長くする。
【0014】
請求項4に記載される発明の保護回路は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載される発明に加えて、前記電源手段から前記電気負荷への給電量を抑制する抑制手段と、前記複数の前記演算期間に関して前記算出手段がそれぞれ算出した複数の前記実効値のいずれかが、複数の前記演算期間に関してそれぞれ同じ演算期間に対応する前記遮断閾値よりも小さな値として予め定められた複数の抑制閾値のうちの同じ演算期間に関する前記抑制閾値を超えたことに応じて前記給電量を抑制するように前記抑制手段を制御する抑制制御手段を備える。
【0015】
請求項5に記載される発明の保護回路は、請求項に記載される抑制制御手段が、前記複数の前記演算期間に関して前記算出手段がそれぞれ算出した複数の前記実効値のいずれかが、複数の前記演算期間に対応した同じ演算期間に関する前記抑制閾値よりも小さな値として予め定められた複数の復帰閾値のうちの前記同じ演算期間に関する前記復帰閾値を下回ったことに応じて前記給電量の抑制を解除するように前記抑制手段を制御する。
請求項6に記載される発明の保護回路は、請求項1に記載されるそれぞれ長さが異なる複数の演算期間が、比較的大きな過大電流が急激に生じる第1の場合と、比較的小さな過大電流が長時間に渡って継続的に生じる第2の場合とのいずれの場合を含む監視期間内に設定され、前記複数の演算期間の少なくとも1つは前記第1場合と前記第2の場合とを含むように設定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、比較的大きな過大電流が急激に生じる場合と、比較的小さな過大電流が長時間に渡って継続的に生じる場合のいずれにおいても、その過大電流に伴う不具合の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電気自動車の構成を示す図。
図2図1中のECUのブロック図。
図3図1中のヒューズの溶断特性の一例と図1中の給電線の発煙特性の一例とを示す図。
図4図2中のCPUのフローチャート。
図5】監視期間内における瞬時値の変化の一例と演算期間の一例とを示す図。
図6】実効値Irms_1の変化と第1乃至第3の閾値THa_1,THb_1,THc_1との一例を示す図。
図7】実効値Irms_5の変化と第1乃至第3の閾値THa_5,THb_5,THc_5との一例を示す図。
図8】抑制モードにおける瞬時値の変化の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお本実施形態は、電動車両の一例としての電気自動車100に関するものとする。
【0019】
図1は電気自動車100の構成を示す図である。なお、電気自動車100は既存の別の電気自動車が備えるのと同様な多数の要素を備えるが、図1においてはそれらの要素のうちの一部の要素のみを示している。
【0020】
電気自動車100は、本体1、前輪2、後輪3、モータ4、減速機5、バッテリ6、インバータ7、給電線8、コンタクタ9,10、ヒューズ11、サービスプラグ12、ECU(electric control unit)13および電流センサ14を含む。
【0021】
本体1は、車台および車体などを含み、他の各要素を支持するとともに、乗員が搭乗するための空間を形成する。
【0022】
前輪2は、図1における奥行方向に並ぶ2つを有し、回転自在に本体1に支持されている。
【0023】
後輪3は、図1における奥行方向に並ぶ2つを有し、回転自在に本体1に支持されている。
【0024】
前輪2および後輪3は、電気自動車100の通常の使用状態においてはそれぞれ接地し、本体1を支持するとともに、回転して本体1を移動させる。
【0025】
モータ4は、インバータ7から供給される交流電力で動作し、出力軸を回転する。
【0026】
減速機5は、モータ4の出力軸に連結されており、当該出力軸の回転を減速して後輪3に伝達する。
【0027】
バッテリ6は、多数のバッテリセル6aが直列に接続されて構成される。バッテリ6は、高電圧の直流電圧を発生する。つまりバッテリ6は、電源手段の一例である。
【0028】
インバータ7は、バッテリ6が発生する直流電圧を交流電圧に変換する。インバータ7は、交流電圧をモータ4に印加することにより、モータ4に交流電力を供給する。インバータ7は、ECU13の制御の下に、発生する交流電圧の電圧値を変更できる。
【0029】
給電線8は、バッテリ6が発生する直流電圧をインバータ7に印加する。
【0030】
コンタクタ9は、バッテリ6の正極と給電線8との間に介挿されている。コンタクタ9は、ECU13の制御の下にバッテリ6の正極と給電線8との電気的接続をオン/オフする。
【0031】
コンタクタ10は、バッテリ6の負極と給電線8との間に介挿されている。コンタクタ10は、ECU13の制御の下にバッテリ6の負極と給電線8との電気的接続をオン/オフする。
【0032】
かくしてコンタクタ9,10は、開閉器の一例である。なお、コンタクタ9,10は、一方を省略することも可能である。また、別種の周知の開閉器をコンタクタ9,10の双方または一方に代えて用いることもできる。
【0033】
ヒューズ11は、2つのバッテリセル6aの間に介挿されている。ヒューズ11は、定格以上の過大な電流によって溶断し、バッテリ6からインバータ7への給電を遮断する。
【0034】
サービスプラグ12は、2つのバッテリセル6aの間に介挿されており、メンテナンスや緊急時の安全のために、電気回路を遮断する。
【0035】
ECU13は、インバータ7およびコンタクタ9,10などの一部の制御対象要素の動作を制御する。
【0036】
電流センサ14は、インバータ7に向かって給電線8を流れる電流の電流値(瞬時値)を検出する。
【0037】
図2はECU13のブロック図である。なお、図2に示される要素のうちで図1に示されるのと同一の要素には同一の符号を付して示している。
【0038】
ECU13は、CPU(central processing unit)13a、ROM(read-only memory)13b、RAM(random-access memory)13c、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)13dおよびインタフェースユニット13eを含む。そしてこれらの各要素は、バス13fにそれぞれ接続されている。
【0039】
CPU13aは、ROM13bおよびRAM13cに記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、ECU13の制御対象となる各要素の動作を制御するための情報処理を行う。CPU13aは、後述する処理を実行することで、算出手段、遮断制御手段、抑制手段および抑制制御手段として機能する。
【0040】
ROM13bは、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM13bは、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM13bは、CPU13aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合もある。
【0041】
RAM13cは、CPU13aが各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0042】
EEPROM13dは、CPU13aが各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU13aでの処理によって生成されたデータを保存する。EEPROM13dに記憶されるデータには、履歴情報を含む。履歴情報は、電流センサ14が検出した瞬時値を時系列に蓄積した情報である。ただし履歴情報は、RAM13cが記憶しても良い。
【0043】
ROM13b、RAM13cまたはEEPROM13dに記憶されるアプリケーションプログラムには、後述する処理に関して記述した制御プログラムを含む。この制御プログラムがRAM13cまたはEEPROM13dに記憶される場合、ECU13、ECU13を含んだユニット、あるいは電気自動車100の譲渡は、一般的に上記の制御プログラムがRAM13cまたはEEPROM13dに記憶された状態にて行われる。しかし、ECU13、ECU13を含んだユニット、あるいは電気自動車100が上記の制御プログラムがRAM13cまたはEEPROM13dに記憶されない状態で譲渡されるとともに、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して上記の制御プログラムが譲渡され、この制御プログラムが上記の別途に譲渡されたECU13、ECU13を含んだユニット、あるいは電気自動車100のRAM13cまたはEEPROM13dに書き込まれても良い。
【0044】
インタフェースユニット13eは、ECU13の制御対象となる各要素や各種センサなどを物理的に接続する。すなわちインバータ7、コンタクタ9,10および電流センサ14は、インタフェースユニット13eに接続される。インタフェースユニット13eは、接続された各要素とCPU13aとの間でのデータの授受をインタフェースする。具体的にはインタフェースユニット13eは、インバータ7の出力電圧値を指令するコマンドをCPU13aから受けると、このコマンドを伝送するための伝送信号を生成してインバータ7へと送信する。またインタフェースユニット13eは、コンタクタ9またはコンタクタ10をオンするように指令するコマンドをCPU13aから受けると、コンタクタ9、10に内蔵された電磁石を動作させるための電流をコンタクタ9またはコンタクタ10に出力する。またインタフェースユニット13eは、電流センサ14が出力する瞬時値をディジタル化した上で、CPU13aに与える。
【0045】
次に以上のように構成された電気自動車100の動作について説明する。なお、電気自動車100は既存の別の電気自動車が備えるのと同様な様々な機能を備えるが、それらの機能に関する動作は既存の別の電気自動車と同様であるので、その詳細な説明は省略する。そして以下においては、給電線8に過電流が生じた場合における保護動作に関して詳細に説明する。
【0046】
電気自動車100が走行する際、ECU13はコンタクタ9,10をオンとしておき、バッテリ6が発生する直流電圧をインバータ7に印加する。インバータ7は、印加された直流電圧を交流電圧に変換し、モータ4へと供給する。これにより、モータ4が回転し、このモータ4の回転力が減速機5で減速された上で後輪3に伝達されることによって後輪3が駆動され、電気自動車100が走行する。インバータ7は、ECU13の制御の下に、車速などに応じて出力する交流電圧の大きさを変化させる。この際、バッテリ6にとっての負荷が変動することになり、給電線8を流れる電流の大きさが変動する。また、給電線8の破損などの何らかの異常により給電線8がショートした場合にも、給電線8を流れる電流の大きさが変化することがある。
【0047】
給電線8に流れる電流が過大となった場合には、ヒューズ11が溶断し、バッテリセル6aの直列接続を遮断する。これにより、バッテリ6からインバータ7への給電を遮断し、給電線8に過大な電流が流れ続けることを防止する。
【0048】
ところでヒューズ11は、電流の瞬時値が定格値を超えた場合に溶断する特性を持つ。ヒューズ11は、定格値よりも小さな電流が長時間に渡り流れ続ける状況では、溶断に至らない場合がある。
【0049】
一方で給電線8は、瞬間的な大電流による影響は少ないが、大きな電流が長時間に渡り流れ続ける状況で発煙が生じ易い。
【0050】
図3はヒューズ11の溶断特性の一例と給電線8の発煙特性の一例とを示す図である。
【0051】
実線で表す曲線がヒューズ11の溶断特性を示す。この溶断特性は、一定の大きさの電流をヒューズ11に継続的に流した場合にヒューズ11が溶断するまでの時間を表している。破線で表す曲線が給電線8の発煙特性である。この発煙特性は、一定の大きさの電流を給電線8に継続的に流した場合に給電線8から発煙が生じるまでの時間を表している。
【0052】
図3に示す例では、溶断特性が発煙特性を上回っている期間が生じており、この期間における溶断特性と発煙特性とにより挟まれた領域(ハッチングで示す領域)は、ヒューズ11が溶断することなく給電線8からの発煙が生じ得る。つまり、ヒューズ11の機能により給電線8からの発煙を完全には防止できないことがある。
【0053】
そこでCPU13aは、図4に示す処理を一定の時間間隔で繰り返し実行する。時間間隔は任意でよいが、例えば1秒間隔とすることが考えられる。
【0054】
ステップSa1においてCPU13aは、電流センサ14が出力する瞬時値をインタフェースユニット13eを介して取得する。
【0055】
ステップSa2においてCPU13aは、EEPROM13dが記憶している履歴情報を更新する。具体的には、履歴情報に含まれたもっとも古い瞬時値を削除し、ステップSa1で取得した瞬時値を履歴情報に新たに含める。なお履歴情報には、図4に示す処理の実行間隔よりも十分に長く定めた監視期間において取得した全ての瞬時値を含める。なお、監視期間の長さは、ヒューズ11の溶断特性が給電線8の発煙特性を上回るときの時間よりも長く定める。すなわち、ヒューズ11の溶断特性および給電線8の発煙特性が図3に示すものであるならば、監視期間は時間T1よりも長く定められる。監視期間は一例としては500秒間に定める。図4に示す処理の実行間隔が1秒であるとすると、履歴情報に含まれる瞬時値の数は500である。
【0056】
ステップSa3においてCPU13aは、変数Nの値を1とする。
【0057】
ステップSa4においてCPU13aは、第Nの演算期間に関する実効値Irms_Nを算出する。演算期間は、それぞれの長さが異なるように、監視期間内にN個が予め設定される。
【0058】
図5は監視期間内における瞬時値の変化の一例と演算期間の一例とを示す図である。
【0059】
図5の例では、第1乃至第5の演算期間P1,P2,P3,P4,P5を設定している。第1乃至第5の演算期間P1,P2,P3,P4,P5の長さはそれぞれ、100,200,300,400,500秒としている。そして第1乃至第5の演算期間P1,P2,P3,P4,P5の終了タイミングは、いずれも監視期間の終了タイミングと一致させている。
【0060】
なお、監視期間の数、各監視期間の長さ、各監視期間の終了タイミングは、上記の条件を満たす範囲でそれぞれ任意に定められて良い。ただし、各監視期間の終了タイミングは、監視期間の終了タイミングと近いことが好ましい。
【0061】
さて、本実施形態においては、実効値Irms_Nを次式のように定義する。ただし実効値Irms_Nは、全ての演算期間についてそれぞれ同一の定義の下に求められれば良く、例えば次式に一定の係数を加えるなどの変形実施が可能である。
【数1】
【0062】
ただし、T1は第Nの演算期間の開始タイミングまでの監視期間の開始タイミングからの経過時間である。T2は第Nの演算期間の終了タイミングまでの監視期間の開始タイミングからの経過時間である。I(t)は第Nの演算期間中に取得されてEEPROM13dに記憶されている瞬時値のそれぞれである。dtは、瞬時値を取得する時間間隔である。
【0063】
最初にステップSa4を実行する際にCPU13aは、第1の演算期間P1についての実効値Irms_1を算出することになる。そして実効値Irms_1は、第1の演算期間P1中に取得されてEEPROM13dに記憶されている瞬時値の全てを利用して、最近の100秒間に給電線8を流れた電流の実効値として求められることになる。
【0064】
こののちにCPU13aは、ステップSa4にて求めた実効値Irms_Nを第1の閾値THa_N、第2の閾値THb_Nおよび第3の閾値THc_Nと比較する。第1乃至第3の閾値は、各演算期間に関連付けてそれぞれ定めておく。つまり、第1乃至第5の演算期間P1,P2,P3,P4,P5に関連付けて、5つの第1の閾値THa_1,THa_2,THa_3,THa_4,THa_5、5つの第2の閾値THb_1,THb_2,THb_3,THb_4,THb_5および5つの第3の閾値THc_1,THc_2,THc_3,THc_4,THc_5をそれぞれ定めておく。
【0065】
第3の閾値は、給電線8の発煙特性を考慮して定める。一例としては、給電線8が図3に示す発煙特性を持つ場合、100秒間に渡って瞬時値Iiv_1の電流が流れ続けると発煙が生じる恐れがあるので、この場合の実効値を求めて、当該実効値にさらに1よりも小さな係数を乗じることにより求まる値を第3の閾値THc_1として定める。同様に、200秒、300秒、400秒および500秒で発煙に至る瞬時値Iiv_2,Iiv_3,Iiv_4,Iiv_5に基づいて、第3の閾値THc_2,THc_3,THc_4,THc_5をそれぞれ定める。かくして、第3の閾値は典型的には、THc_1>THc_2>THc_3>THc_4>THc_5のような関係となる。ただし、これはあくまでも一例であって、第3の閾値は電気自動車100の設計者などによって任意に定められて良い。
【0066】
第2の閾値は、同じ演算期間に関連する第3の閾値よりも小さな値として定める。一例としては、第3の閾値に1よりも小さな一定の係数を乗じて求まる値として定める。
【0067】
第1の閾値は、同じ演算期間に関連する第2の閾値よりも小さな値として定める。一例としては、第2の閾値に1よりも小さな一定の係数を乗じて求まる値として定める。
【0068】
かくして、第1乃至第3の閾値は、THa_N<THb_N<THc_Nのような関係となる。
【0069】
ステップSa5においてCPU13aは、ステップSa4にて求めた実効値Irms_Nが第1の閾値THa_Nよりも大きいか否かを確認する。そしてここでNOと判定したならばCPU13aは、ステップSa6へと進む。
【0070】
ステップSa6においてCPU13aは、ステップSa4にて求めた実効値Irms_Nが予め定めた第2の閾値THb_Nよりも大きいか否かを確認する。そしてここでYESと判定したならばCPU13aは、ステップSa7へ進む。
【0071】
ステップSa7においてCPU13aは、抑制モードを設定する。なお、既に抑制モードが設定された状態であるならば、CPU13aはそのまま抑制モードを継続する。
【0072】
抑制モードを設定したならば、CPU13aはステップSa8へ進む。これに対して、ステップSa6にてNOと判定したならばCPU13aは、ステップSa7をパスしてステップSa8へ進む。
【0073】
ステップSa8においてCPU13aは、ステップSa4にて求めた実効値Irms_Nが予め定めた第3の閾値THc_Nよりも大きいか否かを確認する。そしてここでYESと判定したならばCPU13aは、ステップSa9へ進む。
【0074】
ステップSa9においてCPU13aは、コンタクタ9,10をオフとする。
【0075】
コンタクタ9,10をオフとしたならば、CPU13aはステップSa10へ進む。これに対してステップSa8においてNOと判定したならばCPU13aは、ステップSa9をパスしてステップSa10へ進む。
【0076】
なお、ステップSa5でNOと判定した場合にCPU13aは、ステップSa12へ進む。
【0077】
ステップSa12においてCPU13aは、抑制モードが設定された状態にあるならば、抑制モードを解除する。そしてこののちにCPU13aは、ステップSa10に進む。
【0078】
ステップSa10においてCPU13aは、変数Nが最大値Nmaxに到達しているか否かを確認する。最大値Nmaxは、演算期間の数である。つまり第1乃至第5の演算期間P1〜P5を設定しているならば、最大値Nmaxは5である。そしてここでNOと判定したならばCPU13aは、ステップSa11へ進む。
【0079】
ステップSa11においてCPU13aは、変数Nの値を1つ増加する。そしてこののちにCPU13aは、ステップSa4以降の処理を前述と同様にして繰り返す。
【0080】
そして、ステップSa10においてYESと判定したならばCPU13aは、図4に示す処理を終了する。
【0081】
かくしてCPU13aは、第1乃至第5の演算期間P1〜P5のそれぞれについての実効値Irms_1〜Irms_5をそれぞれ求め、かつこれら実効値Irms_1〜Irms_5を同じ演算期間に関連する第1乃至第3の閾値と比較する。
【0082】
図6は実効値Irms_1の変化と第1乃至第3の閾値THa_1,THb_1,THc_1との一例を示す図である。
【0083】
図7は実効値Irms_5の変化と第1乃至第3の閾値THa_5,THb_5,THc_5との一例を示す図である。
【0084】
これら図6および図7を比較して分かるように、実効値Irms_1は、実効値Irms_5に比較して瞬時値の変化が大きく反映される。このため、インバータ7が出力する交流電圧の大きさを短期的に変化させることによりインバータ7へと供給される電流の瞬時値が短期的に変化するような期間PAにおいて、給電線8を流れる電流の瞬時値が短期的に過大となった場合には、実効値Irms_5が第1乃至第3の閾値THa_5,THb_5,THc_5を超えなくとも、実効値Irms_1が第1乃至第3の閾値THa_1,THb_1,THc_1を超えることがある。
【0085】
一方で、給電線8を連続的に一定の電流が流れる状況においては、実効値Irms_5は実効値Irms_1よりも大幅に上昇する。このため、給電線8がショートした場合などで給電線8を連続的に一定の電流が流れるような期間PBにおいては、実効値Irms_1が第1乃至第3の閾値THa_1,THb_1,THc_1を超えなくとも、実効値Irms_5が第1乃至第3の閾値THa_5,THb_5,THc_5を超えることがある。
【0086】
なお、実効値Irms_2,Irms_3,Irms_4については、これら実効値Irms_1および実効値Irms_5の特性の中間的な特性を示し、さらに実効値Irms_2は実効値Irms_1の特性により近く、実効値Irms_4は実効値Irms_5により近い特性を示す。
【0087】
かくして、実効値Irms_1〜Irms_5は、それぞれ異なる過電流の発生状況において第1乃至第3の閾値を超えることになる。そして、実効値Irms_1〜Irms_5のいずれかが第3の閾値THc_1〜THc_5を超えたならば、CPU13aはコンタクタ9,10をオフとするので、バッテリ6と給電線8とが遮断されることとなり、給電線8に過電流が流れ続けることが防止される。つまり、それぞれ異なる過電流の発生状況のいずれにおいても、給電線8に過電流が流れ続けることを防止できる。
【0088】
ところで、実効値Irms_1〜Irms_5のいずれかが第3の閾値THc_1〜THc_5よりも小さな第2の閾値THb_1〜THb_5を超えたならば、CPU13aは抑制モードを設定する。
【0089】
抑制モードを設定しているときにCPU13aは、図8に示す期間PCのように、瞬時値が予め定めた抑制値を超えないようにインバータ7が出力する交流電圧の大きさを制限する。
【0090】
これにより、実効値Irms_1〜Irms_5の上昇が抑えられることになるので、実効値Irms_1〜Irms_5のいずれかが第3の閾値THc_1〜THc_5を超えてしまう可能性を低下することができ、インバータ7の動作を止めてしまう状況となる可能性を低減できる。
【0091】
そして、実効値Irms_1〜Irms_5のいずれかが第2の閾値THb_1〜THb_5よりも小さな第1の閾値THa_1〜THa_5以下まで低下したならば、抑制モードは解除され、通常の動作状態に戻る。
【0092】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0093】
5つの期間P11,P12,P13,P14,P15のそれぞれについての積算値Iint1,Iint2,Iint3,Iint4,Iint5をEEPROM13dに記憶しておき、これらの積算値から実効値Irms_1〜Irms_5を算出しても良い。例えば、期間P15をX(1〜100までの範囲で変化)秒から1秒前までの可変長の期間、期間P14を100+X秒前から1+X秒前までの100秒間、期間P13を200+X秒前から101+X秒前までの100秒間、期間P12を300+X秒前から201+X秒前までの100秒間、期間P11を400+X秒前から301+X秒前までの100秒間とする。そして実効値Irms_5を400+X秒前〜現在までの実効値とし、T2=(400+X)、T1=0で∫[I(t)]2dt=(Iint1+Iint2+Iint3+Iint4+Int5)とし、Irms5=√[(Iint1+Iint2+Iint3+Iint4+Iint5)/(400+X)]として求める。同様に実効値I_rms4を300+X秒前〜現在までの実効値とし、I_rms4=√[(Iint2+Iint3+Iint4+Iint5)/(300+X)]として、実効値I_rms3を200+X秒前〜現在までの実効値とし、I_rms3=√[(Iint3+Iint4+Iint5)/(200+X)]として、実効値I_rms2を100+X秒前〜現在までの実効値とし、I_rms2=√[(Iint4+Iint5)/(100+X)]として、実効値I_rms1をX秒前〜現在までの実効値とし、I_rms1=√(Iint5/X)としてそれぞれ求める。なお、Xが100になったら,Iint1=Iint2,Iint2=Iint3,Iint3=Iint4,Iint4=Iint5をそれぞれ代入し、Iint5は1からカウントを始める。このようにすれば、前記実施形態では500個の瞬時値をEEPROM13dが記憶する必要があるのに対して、5個の積算値をEEPROM13dが記憶すれば良いのであり、EEPROM13dの使用領域を大幅に縮小できる。また、実効値Irms_5の算出のためには、前記実施形態では500個の瞬時値を用いた演算を行う必要があるのに対して、5個の積算値を用いた演算を行えば良いのであり、CPU13aの演算負荷を大幅に軽減できる。なお、積算値Iint1,Iint2,Iint3,Iint4,Iint5は、RAM13cに記憶しても良い。
【0094】
電気自動車100が走行していないときにCPU13aが、インバータ7の動作を完全に停止させた状態で電流センサ14から瞬時値を取得することにより、この瞬時値から短絡電流を推定することができる。そしてCPU13aが、推定した短絡電流を考慮して、その後に過負荷とならないようにインバータ7の出力電圧を抑制することもできる。なお、エアーコンディショナ(AC)やDC/DCコンバータなどのようなインバータ7以外の負荷がバッテリ6に接続される場合には、短絡電流の推定の際には、これらの負荷も停止させる。
【0095】
電源手段は、エンジンの回転力により発電する発電機であっても良い。
【0096】
電気負荷は、インバータ7には限らず、モータ、エアーコンディショニング装置、あるいはDC/DCコンバータなどのような様々な電気的要素のいずれであっても良い。
【0097】
ハイブリッド自動車、電動二輪車、あるいは電動アシスト自転車などの他の種類の電動車両にも本発明を適用可能である。
【0098】
コンタクタ9およびコンタクタ10の少なくとも一方と、電流センサ14と、ECU13とを少なくとも含んで本体1から取り外し可能としたモジュールとして構成することにより、電動車両から独立した保護回路として実現することもできる。なお、このような保護回路は、電動車両以外の電気装置において使用することも可能である。
【0099】
ヒューズ11は省略しても良い。
【0100】
抑制モードの設定/解除は省略しても良い。
【0101】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(1)電源手段から電気負荷へと給電する給電線における電流の電流値を検出する電流センサと、前記給電線に流れる電流を遮断または接続する開閉器と、それぞれ長さが異なる複数の演算期間について、各演算期間内で前記電流センサが検出した複数の前記電流値に基づいて前記電流の実効値を算出する算出手段と、複数の前記演算期間に関して前記算出手段がそれぞれ算出した複数の前記実効値のいずれかが、複数の前記演算期間に対応してそれぞれ予め定められた複数の遮断閾値のうちの同じ演算期間に対応する前記遮断閾値を超えたことに応じて前記給電を遮断するように前記開閉器を開とする遮断制御手段とを具備する保護回路。
(2)前記算出手段は、複数の前記演算期間の終了時点をいずれも同一時点とする(1)に記載の保護回路。
(3)前記算出手段は、複数の前記演算期間のうちの少なくとも1つの長さを、前記実効値と前記電流の継続時間との関数として表され、前記電源手段から前記電気負荷への給電経路中に介挿されたヒューズの溶断を示す溶断曲線と、前記実効値と前記継続時間との関数として表され、前記給電線の発煙を示す発煙曲線とが交差する点を表す前記継続時間以下とする(1)または(2)に記載の保護回路。
(4)前記電源手段から前記電気負荷への給電量を抑制する抑制手段と、前記複数の前記演算期間に関して前記算出手段がそれぞれ算出した複数の前記実効値のいずれかが、複数の前記演算期間に関してそれぞれ同じ演算期間に対応する前記遮断閾値よりも小さな値として予め定められた複数の抑制閾値のうちの前記同じ演算期間に関する前記抑制閾値を超えたことに応じて前記給電量を抑制するように前記抑制手段を制御する抑制制御手段をさらに具備する(1)から(3)のいずれか一項に記載の保護回路。
(5)前記抑制制御手段は、前記複数の前記演算期間に関して前記算出手段がそれぞれ算出した複数の前記実効値のいずれかが、複数の前記演算期間に対応した同じ演算期間に関する前記抑制閾値よりも小さな値として予め定められた複数の復帰閾値のうちの前記同じ演算期間に関する前記復帰閾値を下回ったことに応じて前記給電量の抑制を解除するように前記抑制手段を制御する(4)に記載の保護回路。
【符号の説明】
【0102】
1…本体、2…前輪、3…後輪、4…モータ、5…減速機、6…バッテリ、6a…バッテリセル、7…インバータ、8…給電線、9,10…コンタクタ、11…ヒューズ、12…サービスプラグ、13…ECU、13a…CPU、13b…ROM、13c…RAM、13d…EEPROM、13e…インタフェースユニット、13f…バス、14…電流センサ、100…電気自動車。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8