特許第5924161号(P5924161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924161
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】融着接続機および融着接続方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/255 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
   G02B6/255
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-150496(P2012-150496)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2014-13310(P2014-13310A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2015年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100108257
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 伊知良
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐野 知巳
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 和人
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−090152(JP,A)
【文献】 特開昭61−179404(JP,A)
【文献】 特開2003−029078(JP,A)
【文献】 特開2003−021744(JP,A)
【文献】 特開平05−257028(JP,A)
【文献】 特開2005−010769(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0071414(US,A1)
【文献】 特開2014−013309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255−6/27
G02B 6/30− 6/34
G02B 6/36− 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多心光ファイバケーブルの複数本の光ファイバの端部と、所定軸線に沿った方向を長手方向として多心光コネクタのフェルールに保持された複数本の内蔵ファイバの端部とを互いに融着接続する融着接続機であって、
前記複数本の内蔵ファイバのうち2本以上の前記内蔵ファイバ(以下、第1の内蔵ファイバ)を収容する2本以上の第1の溝、および前記複数本の内蔵ファイバのうち他の2本以上の前記内蔵ファイバ(以下、第2の内蔵ファイバ)を収容する2本以上の第2の溝を有するコネクタ側支持部と、
前記第1の内蔵ファイバに融着される前記光ファイバ(以下、第1の光ファイバ)を収容する2本以上の第3の溝、および前記第2の内蔵ファイバに融着される前記光ファイバ(以下、第2の光ファイバ)を収容する2本以上の第4の溝を有するケーブル側支持部と、
前記コネクタ側支持部と前記ケーブル側支持部との間の空間に放電を行うための一対の電極を有する放電部と
を備え、
前記所定軸線を含む基準平面によって仕切られる二つの領域のうち一方の領域に前記第1の内蔵ファイバが配置され、他方の領域に前記第2の内蔵ファイバが配置され、前記基準平面の垂線方向から見て前記第1の内蔵ファイバと前記第2の内蔵ファイバとが交互に並ぶように前記第1及び第2の溝が形成されており、
前記一方の領域に前記第1の光ファイバが配置され、前記他方の領域に前記第2の光ファイバが配置され、前記基準平面の垂線方向から見て前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとが交互に並ぶように前記第3及び第4の溝が形成されていることを特徴とする、融着接続機。
【請求項2】
前記第1の内蔵ファイバおよび前記第2の内蔵ファイバのうち少なくとも一方の前記内蔵ファイバの端部が前記所定軸線に対して垂直な断面において前記基準平面に沿う直線上に並んで配置されるように前記第1及び第2の溝が形成されており、
前記少なくとも一方の内蔵ファイバに融着される前記光ファイバの端部が前記所定軸線に対して垂直な断面において前記直線上に並んで配置されるように前記第3及び第4の溝が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の融着接続機。
【請求項3】
前記第1の内蔵ファイバおよび前記第2の内蔵ファイバのうち少なくとも一方の前記内蔵ファイバの端部が前記所定軸線に対して垂直な断面において前記基準平面から遠ざかる方向へ膨らむ湾曲線上に並んで配置されるように前記第1及び第2の溝が形成されており、
前記少なくとも一方の内蔵ファイバに融着される前記光ファイバの端部が前記所定軸線に対して垂直な断面において前記湾曲線上に並んで配置されるように前記第3及び第4の溝が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の融着接続機。
【請求項4】
前記所定軸線の方向から見て前記一対の電極を結ぶ線が前記第1の内蔵ファイバ及び前記第1の光ファイバと前記第2の内蔵ファイバ及び前記第2の光ファイバとの間に位置するように前記一対の電極が配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の融着接続機。
【請求項5】
多心光ファイバケーブルの複数本の光ファイバの端部と、所定軸線に沿った方向を長手方向として多心光コネクタのフェルールに保持された複数本の内蔵ファイバの端部とを互いに融着接続する方法であって、
前記複数本の内蔵ファイバのうち2本以上の前記内蔵ファイバ(以下、第1の内蔵ファイバ)を収容する2本以上の第1の溝、および前記複数本の内蔵ファイバのうち他の2本以上の前記内蔵ファイバ(以下、第2の内蔵ファイバ)を収容する2本以上の第2の溝を有するコネクタ側支持部の前記第1及び第2の溝に前記第1及び第2の内蔵ファイバをそれぞれ収容し、前記第1の内蔵ファイバに融着される前記光ファイバ(以下、第1の光ファイバ)を収容する2本以上の第3の溝、および前記第2の内蔵ファイバに融着される前記光ファイバ(以下、第2の光ファイバ)を収容する2本以上の第4の溝を有するケーブル側支持部の前記第3及び第4の溝に前記第1及び第2の光ファイバをそれぞれ収容するステップと、
前記コネクタ側支持部と前記ケーブル側支持部との間の空間に放電を行うことにより前記複数本の光ファイバの端部と前記複数本の内蔵ファイバの端部とを互いに融着接続するステップと
を備え、
前記第1及び第2の溝は、前記所定軸線を含む基準平面によって仕切られる二つの領域のうち一方の領域に前記第1の内蔵ファイバが配置され、他方の領域に前記第2の内蔵ファイバが配置され、前記基準平面の垂線方向から見て前記第1の内蔵ファイバと前記第2の内蔵ファイバとが交互に並ぶように形成されており、
前記第3及び第4の溝は、前記一方の領域に前記第1の光ファイバが配置され、前記他方の領域に前記第2の光ファイバが配置され、前記基準平面の垂線方向から見て前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとが交互に並ぶように形成されていることを特徴とする、融着接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融着接続機および融着接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数本の光ファイバが横一列に配列された一次元の多心光コネクタが記載されている。また、特許文献1には、光ファイバが縦横両方向に配列された二次元の多心光コネクタについての記載がある。
【0003】
また、特許文献2には、構内光配線等の現地において光ファイバケーブルに光コネクタを取り付ける際に、光コネクタ内の短尺光ファイバと光ファイバケーブルの光ファイバとを融着する融着接続機、及び光コネクタの組立方法が記載されている。
【0004】
また、非特許文献1には、融着技術を利用した現地付け光コネクタに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−170482号公報
【特許文献2】国際公開第2008/059843号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】野田哲也他5名、「融着内蔵型現地付けコネクタの開発」、電子情報通信学会技術研究報告.OFT,光ファイバ応用技術、107(451)、55−58頁、2008年1月17日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、例えば、急激に進展するFTTxの施工の簡素化やメンテナンスの容易化などの為、現地付け可能な光コネクタへの要求が高まっている。例えば特許文献2や非特許文献1に記載されているように、現地付け可能な光コネクタは短尺の光ファイバを内蔵しており、光コネクタを光ファイバケーブルに組み付ける際には、この短尺の内蔵ファイバと光ファイバケーブルの光ファイバとを互いに融着接続する必要がある。
【0008】
また、近年の通信データ量の増大に伴い、複数本の光ファイバを集合させた多心光ファイバケーブルが実用化されつつある。そして、この多心光ファイバケーブルに組み付けられる光コネクタの複数本の内蔵ファイバと、多心光ファイバケーブルの複数本の光ファイバとを互いに融着接続することにより、光コネクタを現地付け可能とすることが望まれる。
【0009】
多心光ファイバケーブル用の光コネクタには、例えば24心MPOコネクタのように、レセプタクルとの接続端面において光ファイバが二列にわたって配列されたものがある。このような光コネクタを現地付け可能とするためには、光コネクタが内蔵する複数列の内蔵ファイバと、多心光ファイバケーブルの複数の光ファイバとを互いに融着接続する必要がある。しかしながら、従来の融着接続装置では、例えば光ファイバの軸方向に対して直交する方向に並んだ複数のV溝に複数の光ファイバを収容してこれらの位置決めを行いつつ、アーク放電等により融着を行う。このような方法は内蔵ファイバが一列に並んでいる場合には有用であるが、24心MPOコネクタのように内蔵ファイバが二列にわたって配列されている場合には、多心光ファイバケーブルの光ファイバとの融着接続が困難となる場合がある。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、二列にわたって配列された複数の内蔵ファイバと多心光ファイバケーブルの複数の光ファイバとの融着接続が容易な融着接続機および融着接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明による融着接続機は、多心光ファイバケーブルの複数本の光ファイバの端部と、所定軸線に沿った方向を長手方向として多心光コネクタのフェルールに保持された複数本の内蔵ファイバの端部とを互いに融着接続する融着接続機であって、複数本の内蔵ファイバのうち2本以上の内蔵ファイバ(以下、第1の内蔵ファイバ)を収容する2本以上の第1の溝、および複数本の内蔵ファイバのうち他の2本以上の内蔵ファイバ(以下、第2の内蔵ファイバ)を収容する2本以上の第2の溝を有するコネクタ側支持部と、第1の内蔵ファイバに融着される光ファイバ(以下、第1の光ファイバ)を収容する2本以上の第3の溝、および第2の内蔵ファイバに融着される光ファイバ(以下、第2の光ファイバ)を収容する2本以上の第4の溝を有するケーブル側支持部と、コネクタ側支持部とケーブル側支持部との間の空間に放電を行うための一対の電極を有する放電部とを備え、所定軸線を含む基準平面によって仕切られる二つの領域のうち一方の領域に第1の内蔵ファイバが配置され、他方の領域に第2の内蔵ファイバが配置され、基準平面の垂線方向から見て第1の内蔵ファイバと第2の内蔵ファイバとが交互に並ぶように第1及び第2の溝が形成されており、一方の領域に第1の光ファイバが配置され、他方の領域に第2の光ファイバが配置され、基準平面の垂線方向から見て第1の光ファイバと第2の光ファイバとが交互に並ぶように第3及び第4の溝が形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明による融着接続方法は、多心光ファイバケーブルの複数本の光ファイバの端部と、所定軸線に沿った方向を長手方向として多心光コネクタのフェルールに保持された複数本の内蔵ファイバの端部とを互いに融着接続する方法であって、複数本の内蔵ファイバのうち2本以上の内蔵ファイバ(以下、第1の内蔵ファイバ)を収容する2本以上の第1の溝、および複数本の内蔵ファイバのうち他の2本以上の内蔵ファイバ(以下、第2の内蔵ファイバ)を収容する2本以上の第2の溝を有するコネクタ側支持部の第1及び第2の溝に第1及び第2の内蔵ファイバをそれぞれ収容し、第1の内蔵ファイバに融着される光ファイバ(以下、第1の光ファイバ)を収容する2本以上の第3の溝、および第2の内蔵ファイバに融着される光ファイバ(以下、第2の光ファイバ)を収容する2本以上の第4の溝を有するケーブル側支持部の第3及び第4の溝に第1及び第2の光ファイバをそれぞれ収容するステップと、コネクタ側支持部とケーブル側支持部との間の空間に放電を行うことにより複数本の光ファイバの端部と複数本の内蔵ファイバの端部とを互いに融着接続するステップとを備え、第1及び第2の溝は、所定軸線を含む基準平面によって仕切られる二つの領域のうち一方の領域に第1の内蔵ファイバが配置され、他方の領域に第2の内蔵ファイバが配置され、基準平面の垂線方向から見て第1の内蔵ファイバと第2の内蔵ファイバとが交互に並ぶように形成されており、第3及び第4の溝は、一方の領域に第1の光ファイバが配置され、他方の領域に第2の光ファイバが配置され、基準平面の垂線方向から見て第1の光ファイバと第2の光ファイバとが交互に並ぶように形成されていることを特徴とする。
【0013】
上述した融着接続機及び融着接続方法では、コネクタ側支持部の第1及び第2の溝が、複数本の内蔵ファイバを次のように支持する。すなわち、コネクタ側支持部は、複数本の内蔵ファイバのうち2本以上の第1の内蔵ファイバと、他の2本以上の第2の内蔵ファイバとを、それぞれ基準平面の両側(一方の領域と他方の領域)に配置する。そして、該基準平面の垂線方向から見て、第1の内蔵ファイバと第2の内蔵ファイバとが交互に並ぶようにこれらを配置する。更に、ケーブル側支持部の第3及び第4の溝が、多心光ファイバケーブルの複数本の光ファイバを内蔵ファイバと同様に配置する。これにより、例えば24心MPOコネクタのように、内蔵ファイバおよび多心光ファイバケーブルの光ファイバがそれぞれ二列にわたって配列されている場合であっても、第1ないし第4の溝といった複数の溝(典型的にはV溝)によって内蔵ファイバおよび多心光ファイバケーブルの光ファイバを位置決めすることが可能になる。
【0014】
このように、上記した融着接続機および融着接続方法によれば、二列にわたって配列された複数の内蔵ファイバおよび多心光ファイバケーブルの光ファイバを複数の溝に収容することができ、これらを容易に位置決めすることができる。したがって、これらの内蔵ファイバと多心光ファイバケーブルの複数の光ファイバとの融着接続を容易にすることができる。
【0015】
また、上記の融着接続機および融着接続方法は、第1の内蔵ファイバおよび第2の内蔵ファイバのうち少なくとも一方の内蔵ファイバの端部が所定軸線に対して垂直な断面において基準平面に沿う直線上に並んで配置されるように第1及び第2の溝が形成されており、少なくとも一方の内蔵ファイバに融着される光ファイバの端部が所定軸線に対して垂直な断面において直線上に並んで配置されるように第3及び第4の溝が形成されていることを特徴としてもよい。或いは、上記した融着接続機および融着接続方法は、第1の内蔵ファイバおよび第2の内蔵ファイバのうち少なくとも一方の内蔵ファイバの端部が所定軸線に対して垂直な断面において基準平面から遠ざかる方向へ膨らむ湾曲線上に並んで配置されるように第1及び第2の溝が形成されており、少なくとも一方の内蔵ファイバに融着される光ファイバの端部が所定軸線に対して垂直な断面において湾曲線上に並んで配置されるように第3及び第4の溝が形成されていることを特徴としてもよい。これらのうち何れの形態であっても、上記の融着接続機および融着接続方法によれば、二列にわたって配列された複数の内蔵ファイバと多心光ファイバケーブルの複数の光ファイバとの融着接続を容易にすることができる。特に、内蔵ファイバおよび光ファイバが、基準平面から遠ざかる方向へ膨らむ湾曲線上に並んで配置される構成によれば、放電部によって形成される放電路における定温領域に沿って融着部位を配置できるので、融着の程度のばらつきを抑えることができる。
【0016】
また、上記の融着接続機は、所定軸線の方向から見て一対の電極を結ぶ線が第1の内蔵ファイバ及び第1の光ファイバと第2の内蔵ファイバ及び第2の光ファイバとの間に位置するように一対の電極が配置されていることを特徴としてもよい。これにより、放電による融着の程度のばらつきを抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による融着接続機及び融着接続方法によれば、二列にわたって配列された複数の内蔵ファイバと多心光ファイバケーブルの複数の光ファイバとの融着接続を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実施形態に係る融着接続方法に用いられる融着接続機の外観を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された融着接続機が備える融着処理部の拡大図である。
図3図3は、ホルダの外観を示す斜視図であり、ホルダの蓋部材が閉じた状態を示している。
図4図4は、ホルダの外観を示す斜視図であり、ホルダの蓋部材が開いた状態を示している。
図5図5は、ケーブル側支持部及びコネクタ側支持部の外観を示す拡大斜視図である。
図6図6は、図5に示されたコネクタ側支持部のIII−III断面図であって、所定軸線に対して垂直な断面を示している。
図7図7は、図5に示されたケーブル側支持部のIV−IV断面図であって、所定軸線に対して垂直な断面を示している。
図8図8は、アーク放電の様子を模式的に示す図であって、X軸方向から見た様子を示している。
図9図9は、アーク放電における温度分布の例を示す図である。
図10図10は、変形例として、コネクタ側支持部の断面を示す図である。
図11図11は、変形例として、ケーブル側支持部の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明による融着接続機及び融着接続方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る融着接続方法に用いられる融着接続機1Aの外観を示す斜視図である。図2は、図1に示された融着接続機1Aが備える融着処理部10の拡大図である。本実施形態の融着接続機1Aは、光通信網の施工の際の現地において、多心光ファイバケーブルF1を構成する複数本の光ファイバF5の端部と、多心光コネクタのフェルールに保持された短尺状の複数本の内蔵ファイバ23の端部とを互いに融着接続する装置である。なお、本実施形態の多心光コネクタは、例えばMPO(Multi-fiber Push-on)型の光コネクタである。多心光コネクタは、MPOレセプタクルに光アダプタを介して接続される。
【0021】
融着接続機1Aは、融着処理部10を備えている。融着処理部10は、通常は、開閉カバー16によって覆われる装置の上面部に設けられている。図2に示されるように、融着処理部10は、ケーブル装着部12、ケーブル側支持部13、コネクタ側支持部14、及び放電部15を備えている。また、融着処理部10は、ホルダ30及びホルダ装着部11を更に備えている。
【0022】
ケーブル装着部12は、多心光ファイバケーブルF1を所定軸線Xに沿って保持する部分である。ケーブル側支持部13は、多心光ファイバケーブルF1の先端から露出した複数本の光ファイバF5の端部を支持しつつ位置決めする部分であって、複数本の光ファイバF5を収容するための複数のV溝を有する。ケーブル側支持部13は、ケーブル装着部12に対して所定軸線Xの方向に並んで配置されている。
【0023】
ホルダ30は、多心光コネクタの運搬時にフェルールを収容して保護するとともに、融着接続機1Aを使用する際、所定軸線X上のホルダ装着部11に装着されて、該フェルールに保持された複数本の内蔵ファイバ23を固定する。複数本の内蔵ファイバ23は、所定軸線Xに沿った方向を長手方向としてフェルールに保持されており、ホルダ30の側面から該方向Xに延び出ている。このようなホルダ30がホルダ装着部11に装着されることにより、複数本の内蔵ファイバ23がホルダ30ごと融着処理部10に取り付けられて、複数本の内蔵ファイバ23の融着位置への大凡の位置決めがなされる。
【0024】
ここで、図3及び図4は、本実施形態のホルダ30の外観を示す斜視図である。図3はホルダ30の蓋部材32が閉じた状態を示しており、図4は蓋部材32が開いた状態を示している。このホルダ30は、フェルールを内蔵するコネクタプラグ20を収容する。より具体的には、ホルダ30は、フェルールを囲むプラグフレーム21にストッパ22が装着されたコネクタプラグ20を、ダストキャップ24(図4を参照)が装着された状態で収容することにより、フェルールに予め取り付けられている複数本の内蔵ファイバ23及びコネクタプラグ20を保護する。
【0025】
ホルダ30は、ホルダ本体31と、蓋部材32とを有する。ホルダ本体31は、プラグフレーム21を収容する凹みであるプラグ収容部31a(図4を参照)を有する。また、蓋部材32は、ホルダ本体31に対して回転支持軸32aを支点として開閉可能に取り付けられており、プラグ収容部31aを覆うとともにプラグフレーム21を押さえる。
【0026】
また、図4に示されるように、内蔵ファイバ23が通過するホルダ本体31の前端壁31bの上端面には、複数本の内蔵ファイバ23を位置決め支持するための複数のV溝が形成されている。蓋部材32は、閉じた状態のときに、複数のV溝に位置決めされた複数本の内蔵ファイバ23を前端壁31bに対して押さえ付ける。
【0027】
再び図2を参照する。コネクタ側支持部14は、ホルダ30から延びる複数本の内蔵ファイバ23の端部を支持しつつ位置決めする部分であって、複数本の内蔵ファイバ23を収容するための複数のV溝を有する。コネクタ側支持部14は、ホルダ30に対して所定軸線Xの方向に並んで配置され、且つホルダ30とケーブル側支持部13との間に配置されている。
【0028】
放電部15は、ケーブル側支持部13とコネクタ側支持部14との間に配置された一対の電極15a,15bを有する。一対の電極15a,15bは、ケーブル側支持部13とコネクタ側支持部14との間の空間にアーク放電を行い、該空間内で突き合わされた複数本の内蔵ファイバ23と複数本の光ファイバF5とを互いに融着させる。
【0029】
ここで、本実施形態のケーブル側支持部13及びコネクタ側支持部14の詳細な構成について説明する。
【0030】
図5は、ケーブル側支持部13及びコネクタ側支持部14の外観を示す拡大斜視図である。なお、ケーブル側支持部13とコネクタ側支持部14との間に設けられている空隙53は、一対の電極15a,15b(図2を参照)によってアーク放電が行われる空間である。図6は、図5に示されたコネクタ側支持部14のIII−III断面図であって、所定軸線Xに対して垂直な断面を示している。図7は、図5に示されたケーブル側支持部13のIV−IV断面図であって、所定軸線Xに対して垂直な断面を示している。なお、図6には複数の内蔵ファイバ23も併せて示されており、図7には複数の光ファイバF5も併せて示されている。
【0031】
また、図5図7には、理解の容易の為、XYZ直交座標系が示されている。この直交座標系に含まれるX軸は、図1及び図2に示される所定軸線Xと平行な軸である。Y軸は、X軸と共に、所定軸線Xを含む基準平面P1(図6図7を参照)と平行なXY平面を形成する軸である。Z軸は、基準平面P1の垂線と平行な軸である。
【0032】
図5及び図6に示されるように、コネクタ側支持部14は、複数の内蔵ファイバ23のうち二以上(図では7本)の内蔵ファイバ(第1の内蔵ファイバ)23aを収容する2本以上(図では7本)のV溝(第1の溝)14aと、複数の内蔵ファイバ23のうち他の二以上(図では6本)の内蔵ファイバ(第2の内蔵ファイバ)23bを収容する2本以上(図では6本)のV溝(第2の溝)14bとを有する。V溝14aは、X軸方向(すなわち所定軸線Xに沿った方向)に延びており、Y軸方向に並んで形成されている。同様に、V溝14bは、X軸方向に延びており、Y軸方向に並んで形成されている。
【0033】
図6に示されるように、V溝14a及び14bによって、複数の内蔵ファイバ23は、基準平面P1に沿った二つの列が基準平面P1に対して垂直な方向に並ぶように配列される。すなわち、第1の内蔵ファイバ23aは、一方のファイバ列を構成しており、基準平面P1によって仕切られる二つの領域A1、A2のうち一方の領域A1に配置される。また、第2の内蔵ファイバ23bは、他方のファイバ列を構成しており、二つの領域A1、A2のうち他方の領域A2に配置される。
【0034】
更に、V溝14aとV溝14bとは、Z軸方向から見て交互に並んで配置されている。そして、V溝14aとV溝14bとは、互いに高低差hを有している。より具体的に説明すると、V溝14aは、その底部がXY平面に沿った仮想平面P2に重なるように配置され、V溝14bは、その底部がXY平面に沿った仮想平面P3に重なるように配置され、仮想平面P2と仮想平面P3とは距離hを隔てて互いに平行に配置される。そして、V溝14aの底部とV溝14bの底部とは、それらのY軸方向位置が互いに交互になるように配置されている。
【0035】
これにより、複数の内蔵ファイバ23は、基準平面P1の垂線方向から見て、第1の内蔵ファイバ23aと第2の内蔵ファイバ23bとが交互に並ぶように配列される。言い換えれば、基準平面P1に沿った方向における各内蔵ファイバ23の位置が、内蔵ファイバ23a,内蔵ファイバ23b,内蔵ファイバ23a,内蔵ファイバ23b,・・・と交互になるように配列される。
【0036】
また、本実施形態の第1の内蔵ファイバ23aの端部は、所定軸線Xに対して垂直な断面において、基準平面P1に沿う直線La上に並んで配置されている。同様に、本実施形態の第2の内蔵ファイバ23bの端部は、所定軸線Xに対して垂直な断面において、基準平面P1に沿う直線Lb上に並んで配置されている。なお、第1の内蔵ファイバ23aおよび第2の内蔵ファイバ23bのうちいずれか一方のみの端部が、基準平面P1に沿う直線上に配置されてもよい。
【0037】
図5及び図7に示されるように、ケーブル側支持部13は、複数の光ファイバF5のうち二以上(図では7本)の光ファイバ(第1の光ファイバ)F5aを収容する2本以上(図では7本)のV溝(第3の溝)13aと、複数の光ファイバF5のうち他の二以上(図では6本)の光ファイバ(第2の光ファイバ)F5bを収容する2本以上(図では6本)のV溝(第4の溝)13bとを有する。V溝13aは、X軸方向(すなわち所定軸線Xに沿った方向)に延びており、Y軸方向に並んで形成されている。同様に、V溝13bは、X軸方向に延びており、Y軸方向に並んで形成されている。
【0038】
図7に示されるように、V溝13a及び13bによって、複数の光ファイバF5は、基準平面P1に沿った二つの列が基準平面P1に対して垂直な方向に並ぶように配列される。すなわち、第1の光ファイバF5aは、一方のファイバ列を構成しており、基準平面P1によって仕切られる二つの領域A1、A2のうち一方の領域A1に配置される。また、第2の光ファイバF5bは、他方のファイバ列を構成しており、二つの領域A1、A2のうち他方の領域A2に配置される。
【0039】
更に、V溝13aとV溝13bとは、Z軸方向から見て交互に並んで配置されている。そして、V溝13aとV溝13bとは、互いに高低差hを有している。より具体的に説明すると、V溝13aは、その底部がXY平面に沿った仮想平面P4に重なるように配置され、V溝13bは、その底部がXY平面に沿った仮想平面P5に重なるように配置され、仮想平面P4と仮想平面P5とは距離hを隔てて互いに平行に配置される。そして、V溝13aの底部とV溝13bの底部とは、それらのY軸方向位置が互いに交互になるように配置されている。なお、V溝13a同士の間隔は図6のV溝14a同士の間隔と等しく、V溝13b同士の間隔は図6のV溝14b同士の間隔と等しい。
【0040】
これにより、複数の光ファイバF5は、基準平面P1の垂線方向から見て、第1の光ファイバF5aと第2の光ファイバF5bとが交互に並ぶように配列される。言い換えれば、基準平面P1に沿った方向における各光ファイバF5の位置が、光ファイバF5a,光ファイバF5b,光ファイバF5a,光ファイバF5b,・・・と交互になるように配列される。
【0041】
また、本実施形態の第1の光ファイバF5aの端部は、所定軸線Xに対して垂直な断面において、基準平面P1に沿う直線La上に並んで配置されている。同様に、本実施形態の第2の光ファイバF5bの端部は、所定軸線Xに対して垂直な断面において、基準平面P1に沿う直線Lb上に並んで配置されている。なお、第1の光ファイバF5aおよび第2の光ファイバF5bのうちいずれか一方のみの端部が、基準平面P1に沿う直線上に配置されてもよい。
【0042】
本実施形態に係る融着接続機1Aでは、以下の方法によって、複数本の内蔵ファイバ23と複数本の光ファイバF5とを互いに融着接続する。すなわち、第1の内蔵ファイバ23aをV溝14aに収容するとともに、第2の内蔵ファイバ23bをV溝14bに収容する。また、第1の光ファイバF5aをV溝13aに収容するとともに、第2の光ファイバF5bをV溝13bに収容する。そして、第1の内蔵ファイバ23aの端部と第1の光ファイバF5aの端部とを空隙53において互いに突き合わせ、同時に、第2の内蔵ファイバ23bの端部と第2の光ファイバF5bの端部とを空隙53において互いに突き合わせて、それらの突き合わせた部分に対し、放電部15の一対の電極15a,15bによるアーク放電を行う。これにより、複数本の内蔵ファイバ23と複数本の光ファイバF5とを互いに融着接続する。
【0043】
図8は、アーク放電の様子を模式的に示す図であって、X軸方向から見た様子を示している。アーク放電は、Y軸方向における空隙53の両端に配置された一対の電極15a,15bの間で行われ、電極15aと電極15bとの間に放電路Aが生じる現象である。放電路Aは、電極15aと電極15bとに挟まれる空間において中央部が膨らんだ形状をしており、この放電路Aに囲まれた領域の内部に、複数本の内蔵ファイバ23の端部と複数本の光ファイバF5の端部とが配置される。融着の際、これらのファイバ23及びF5の端部における温度は、例えば1000度以上となる。
【0044】
また、X軸方向から見た一対の電極15a,15bの位置は、一対の電極15a,15bを互いに結ぶ線Lcが、第1の内蔵ファイバ23a及び第1の光ファイバF5aと、第2の内蔵ファイバ23b及び第2の光ファイバF5bとの間に位置するように決定されるとよい。
【0045】
以上に説明した融着接続機1Aおよび融着接続方法による効果について説明する。上述したように、本実施形態の融着接続機1Aでは、コネクタ側支持部14のV溝14a,14bが、複数本の内蔵ファイバ23を次のように支持する。すなわち、コネクタ側支持部14は、複数本の内蔵ファイバ23のうち2本以上の第1の内蔵ファイバ23aと、他の2本以上の第2の内蔵ファイバ23bとを、それぞれ基準平面P1の両側(一方の領域A1と他方の領域A2)に配置する。そして、基準平面P1の垂線方向から見て、第1の内蔵ファイバ23aと第2の内蔵ファイバ23bとが交互に並ぶように、内蔵ファイバ23a,23bを配置する。更に、ケーブル側支持部13のV溝13a,13bが、複数本の光ファイバF5を内蔵ファイバ23と同様に配置する。これにより、例えば24心MPOコネクタのように、内蔵ファイバおよび多心光ファイバケーブルの光ファイバがそれぞれ二列にわたって配列されている場合であっても、V溝13a,13b,14a,及び14bといった複数の溝によって、内蔵ファイバ23および光ファイバF5を簡易に位置決めすることが可能になる。
【0046】
このように、本実施形態の融着接続機1Aおよび融着接続方法によれば、二列にわたって配列された複数の内蔵ファイバ23および光ファイバF5を複数のV溝13a,13b,14a,及び14bに収容することができ、これらを容易に位置決めすることができる。したがって、これら複数の内蔵ファイバ23と複数の光ファイバF5との融着接続を容易に行うことができる。
【0047】
また、図8に示されたように、一対の電極15a,15bを互いに結ぶ線Lcが、第1の内蔵ファイバ23a及び第1の光ファイバF5aと、第2の内蔵ファイバ23b及び第2の光ファイバF5bとの間に位置するように、一対の電極15a,15bが配置されることが好ましい。ここで、図9は、アーク放電における温度分布の例を示す図である。同図において、領域B1はアーク放電の中心付近の領域であり、領域B3はアーク放電の外周付近の領域であり、領域B2は領域B1と領域B3との間の領域である。通常、領域B3、B2及びB1の順に温度が高くなる。すなわち、アーク放電では、電流路の中心付近の温度が最も低くなり、電流路の外周付近の温度が最も高くなる傾向がある。したがって、一対の電極15a,15bが上記のように配置されることにより、複数本の内蔵ファイバ23及び複数本の光ファイバF5の各端部の融着温度のばらつきを抑えることができる。
【0048】
また、本実施形態では、図3及び図4に示されたホルダ30が、多心光コネクタのフェルール及び複数本の内蔵ファイバ23を保持しており、このホルダ30が融着処理部10のホルダ装着部11に装着されることによって複数本の内蔵ファイバ23が融着処理部10に固定される。このようなホルダ30によれば、予め内蔵ファイバ23が取り付けられたフェルールを含むコネクタプラグ20をホルダ30に収容した状態にしておけば、ホルダ30は、フェルールや内蔵ファイバ23を外部からの衝撃等から保護して、現地への搬入や保管時等の取り扱いを容易にできる。しかも、ホルダ30は、コネクタプラグ20を収容した状態のままでホルダ装着部11に装着されるので、融着接続の際にコネクタプラグ20をホルダ30から取り出すという面倒な作業が不要になり、融着接続時における取り扱い性を向上させることができる。
【0049】
また、図4に示されたように、内蔵ファイバ23が通過するホルダ本体31の前端壁31bの上端面には、複数本の内蔵ファイバ23を位置決め支持するための複数のV溝33が形成されている。この複数のV溝33もまた、コネクタ側支持部14のV溝14a,14bと同様の形状に形成されることが好ましい。これにより、ホルダ30に収容したコネクタプラグ20の内蔵ファイバ23がV溝33によって正確に位置決めされるので、ホルダ30を融着処理部10に装着したときに、内蔵ファイバ23の位置決めを更に容易にすることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、上記のようにホルダ30がコネクタプラグ20を保持しているが、複数本の内蔵ファイバ23を含むコネクタプラグ20は、融着処理部10のホルダ装着部11の位置に直接取り付けられてもよい。このような形態であっても、上述した本実施形態による効果を好適に得ることができる。
【0051】
(変形例)
図10は、上記実施形態の変形例として、コネクタ側支持部18の断面を示す図である。また、図11は、ケーブル側支持部17の断面を示す図である。これらの図は、コネクタ側支持部18及びケーブル側支持部17の、所定軸線Xに対して垂直な断面を示している。また、これらの図には、所定軸線Xを含む基準平面P1が示されており、更に、図10には複数の内蔵ファイバ23の断面が併せて示されており、図11には複数の光ファイバF5の断面が併せて示されている。
【0052】
図10に示されるように、コネクタ側支持部18は、二以上(図では7本)の第1の内蔵ファイバ23aを収容する2本以上(図では7本)のV溝(第1の溝)18aと、他の二以上(図では6本)の第2の内蔵ファイバ23bを収容する2本以上(図では6本)のV溝(第2の溝)18bとを有する。また、図11に示されるように、ケーブル側支持部17は、二以上(図では7本)の第1の光ファイバF5aを収容する2本以上(図では7本)のV溝(第1の溝)17aと、他の二以上(図では6本)の第2の光ファイバF5bを収容する2本以上(図では6本)のV溝(第2の溝)17bとを有する。
【0053】
そして、図10及び図11に示されるように、V溝18a,18b及びV溝17a,17bによって、複数の内蔵ファイバ23および複数の光ファイバF5は、基準平面P1に沿った二つの列が基準平面P1に対して垂直な方向に並ぶように配列される。すなわち、第1の内蔵ファイバ23a及び第1の光ファイバF5aは、一方のファイバ列を構成しており、基準平面P1によって仕切られる二つの領域A1、A2のうち一方の領域A1に配置される。また、第2の内蔵ファイバ23b及び第2の光ファイバF5bは、他方のファイバ列を構成しており、二つの領域A1、A2のうち他方の領域A2に配置される。
【0054】
但し、本変形例の第1の内蔵ファイバ23a及び第1の光ファイバF5aは、所定軸線Xに対して垂直な断面において、基準平面P1から遠ざかる方向へ膨らむ湾曲線Ld上に並んで配置される。また、同様に、本変形例の第2の内蔵ファイバ23b及び第2の光ファイバF5bは、所定軸線Xに対して垂直な断面において、基準平面P1から遠ざかる方向へ膨らむ湾曲線Le上に並んで配置される。なお、第1の内蔵ファイバ23a及び第1の光ファイバF5aと、第2の内蔵ファイバ23b及び第2の光ファイバF5bとのうちいずれか一方のみの配置が、このように基準平面P1から遠ざかる方向へ膨らむ湾曲線上であってもよい。
【0055】
本変形例のように複数の内蔵ファイバ23及び複数の光ファイバF5を配置することによって、アーク放電の放電路における定温領域(図9を参照)に沿って内蔵ファイバ23と光ファイバF5との融着部位を配置できるので、融着の程度のばらつきをより効果的に抑えることができる。
【0056】
本発明による融着接続機及び融着接続方法は、上述した実施形態及び変形例に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記の実施形態及び変形例では、内蔵ファイバおよび多心光ファイバケーブルの光ファイバがそれぞれ13本(一列に7本、他の一列に6本)である場合の融着接続機の構成が例示されているが、各列における内蔵ファイバおよび多心光ファイバケーブルの光ファイバの本数は、これらに限られない。
【符号の説明】
【0057】
1A…融着接続機、10…融着処理部、11…ホルダ装着部、12,17…ケーブル装着部、13…ケーブル側支持部、13a,13b,14a,14b…V溝、14,18…コネクタ側支持部、15…放電部、15a,15b…電極、16…開閉カバー、20…コネクタプラグ、21…プラグフレーム、22…ストッパ、23…内蔵ファイバ、23a…第1の内蔵ファイバ、23b…第2の内蔵ファイバ、24…ダストキャップ、30…ホルダ、31…ホルダ本体、31a…プラグ収容部、31b…前端壁、32…蓋部材、32a…回転支持軸、33…V溝、53…空隙、A…放電路、F1…多心光ファイバケーブル、F5…光ファイバ、F5a…第1の光ファイバ、F5b…第2の光ファイバ、P1…基準平面、X…所定軸線。
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図1
図2
図3
図4