(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924240
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス用のプロテクタ
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20160516BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20160516BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20160516BHJP
F16B 2/22 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
H02G3/04 018
H02G3/04 068
H02G3/30
B60R16/02 623U
F16B2/22 C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-249861(P2012-249861)
(22)【出願日】2012年11月14日
(65)【公開番号】特開2014-99976(P2014-99976A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2014年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072660
【弁理士】
【氏名又は名称】大和田 和美
(72)【発明者】
【氏名】長橋 直也
【審査官】
久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−005217(JP,A)
【文献】
特開平09−130940(JP,A)
【文献】
実開平04−086022(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/30
B60R 16/02
F16B 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリット付きコルゲートチューブで外装しているワイヤハーネスがプロテクタに設けている入口から挿入され、該プロテクタ内部で前記スリット付きコルゲートチューブの先端から引き出されたワイヤハーネスが複数の枝線に分岐され、該プロテクタの複数の出口から前記枝線がそれぞれ引き出されているワイヤハーネス用のプロテクタであって、
プロテクタ本体の周壁に設ける前記入口を囲む周壁端面に沿って、コルゲートチューブ用の係止リブが突設されていると共に、該係止リブの一部が分断され、該分断部分の周壁端面からスリット挿入突起が突設されており、
前記スリット挿入突起は、開口内方に向けて突出する平板部と、該平板部の突出端に直交方向に突出する上板部を備えると共に、前記平板部の奥端および前記上板部の奥端に連続する位置決め板を備え、かつ、該スリット挿入突起の突出量は前記係止リブの突出量より大とし、
前記プロテクタ本体の前記入口を通すワイヤハーネスに外装した前記スリット付きコルゲートチューブは、先端が前記位置決め板に突き当てられると共に、前記スリットを挟む分割端は前記スリット挿入突起の両面に当接され、且つ該コルゲートチューブの谷部に前記係止リブが挿入される構造とされていることを特徴とするワイヤハーネス用のプロテクタ。
【請求項2】
前記プロテクタ本体と、該プロテクタ本体の上面開口を閉鎖する蓋とを備え、
前記プロテクタ本体の周壁に上端からU形状に切り込まれた前記入口と、前記蓋の側壁に設けられた入口とを組み合わせて前記ワイヤハーネス挿通用の開口とされ、
前記プロテクタ本体の前記入口の底部中央から前記スリット挿入突起が突設されている請求項1に記載のワイヤハーネス用のプロテクタ。
【請求項3】
前記スリット挿入突起は、前記入口を囲む周壁端面の厚さ方向の全長から突設されており、該周壁端面から厚さ方向で並列に突出する複数の前記係止リブの分割端面と対向している請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネス用のプロテクタ。
【請求項4】
自動車に搭載するエンジンの外面側に取り付けられるものである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイヤハーネス用のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤハーネス用のプロテクタに関し、詳しくは、自動車に配索されるワイヤハーネスを挿通保護するプロテクタであって、該プロテクタの入口又は/及び出口に挿入するワイヤハーネスに外装したコルゲートチューブを確実に位置決め保持できるようにするものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に配索されるワイヤハーネスの電線群を集束保護する外装材としてコルゲートチューブが汎用されており、かつ、ワイヤハーネスの長さ方向の所要箇所に配索方向のガイド、ワイヤハーネスの分岐部の規制保護および鋭利な外部干渉材等からの保護を図るために樹脂成形品からなるプロテクタにワイヤハーネスを挿通している。よって、ワイヤハーネスに外装したコルゲートチューブの端部をプロテクタの入口または出口に挿入して、コルゲートチューブとプロテクタとを連結する場合がある。
【0003】
この種のコルゲートチューブと連続するプロテクタとして、本出願人は特開2012−5217号公報(特許文献1)で
図9(A)(B)に示すプロテクタ100を提供している。該プロテクタ100はプロテクタ本体101に蓋102を被せる構造であり、プロテクタ本体101の出入口となる先端開口105に隣接した底壁および両側壁の内面に、コルゲートチューブ用の係止リブ110を設け、かつ、蓋102の内面にも係止リブ120を設けている。これら係止リブ110と120は、ワイヤハーネスに外装するコルゲートチューブ200の谷部201に嵌合するものとし、突出端面110s、120sが谷部201の外周面に当接する連続した円弧状としている。
【0004】
前記プロテクタ100のプロテクタ本体101の先端開口105からワイヤハーネスに外装したコルゲートチューブ200の端部を挿入し、該コルゲートチューブ200の谷部201の下側外周面に係止リブ110を挿入係止し、この状態で蓋102を被せ、蓋102の係止リブ120を谷部201の上側外周面に挿入係止している。このように、上下からコルゲートチューブ200の谷部201に係止リブ110、120を挿入係止すると、係止リブ110、120を挿入する谷部201に隣接する山部202が係止リブ110、120により軸線方向の移動が阻止され、プロテクタ内でコルゲートチューブ200を位置決め保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−5217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ワイヤハーネスに外装するコルゲートチューブ200は、通常、
図10(A)(B)に示すように、長さ方向に連続したスリット210を設けた「割り有りコルゲートチューブ」を用い、スリット210を開いて、ワイヤハーネスW/Hを横入れできるようにしている。このようにスリット210を設けて横入れ可能とすると、スリット無しのコルゲートチューブに、長さ方向の一端開口からワイヤハーネスを挿入して、他端開口から引き出すワイヤハーネスの貫通作業が不要となり、ワイヤハーネスへのコルゲートチューブの取り付け作業性が高まる利点がある。
【0007】
しかしながら、コルゲートチューブ200にスリット210を設けると、
図11(A)に示すように、スリット210で分割された一端側211が他端側212の内面に入り込んで重なり、コルゲートチューブ200が小径化し、コルゲートチューブ200の山部202の外径も縮小する。この場合、
図11(B)に示すように、プロテクタ100に設けた係止リブ110で山部202が係止されず、コルゲートチューブ200はプロテクタ100内で位置決め保持されず、移動が可能となり、
図11(C)に示すように、プロテクタ100の先端開口から外れて抜ける恐れがある。
【0008】
特に、自動車のエンジン上に搭載されるプロテクタに連結されるコルゲートチューブは、走行時のエンジン振動により、コルゲートチューブのスリットを挟む部分が重なって小径化し、プロテクタから抜ける恐れがある。
【0009】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、ワイヤハーネスに外装したスリット有りコルゲートチューブの端部を、プロテクタの開口に挿入して連結する場合、該コルゲートチューブがプロテクタから抜けないようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、
スリット付きコルゲートチューブで外装しているワイヤハーネスがプロテクタに設けている入口から挿入され、該プロテクタ内部で前記スリット付きコルゲートチューブの先端から引き出されたワイヤハーネスが複数の枝線に分岐され、該プロテクタの複数の出口から前記枝線がそれぞれ引き出されているワイヤハーネス用のプロテクタであって、
プロテクタ本体の周壁に設け
る前記入口を囲む周壁端面に沿って、コルゲートチューブ用の係止リブ
が突設
されていると共に、該係止リブの一部
が分断
され、該分断部分の周壁端面からスリット挿入突起
が突設
されており、
前記スリット挿入突起は、開口内方に向けて突出する平板部と、該平板部の突出端に直交方向に突出する上板部を備えると共に、前記平板部の奥端および前記上板部の奥端に連続する位置決め板を備え、かつ、該スリット挿入突起の突出量は前記係止リブの突出量より大とし、
前記プロテクタ本体の前記
入口を通すワイヤハーネスに外装した
前記スリット付きコルゲートチューブは、
先端が前記位置決め板に突き当てられると共に、前記スリットを挟む分割端
は前記スリット挿入突起の両面に当接
され、且つ該コルゲートチューブの谷部に前記係止リブ
が挿入
される構造と
されていることを特徴とするワイヤハーネス用のプロテクタを提供している。
【0011】
前記のように、コルゲートチューブのスリットに、プロテクタに設けたスリット挿入突起を挿入すると、スリットを挟む両側の分割端がスリット挿入突起と当接し、一方の分割端が他方の分割端の内面に入り込んで重なり、コルゲートチューブが小径化するのを防止できる。よって、コルゲートチューブの小径化により、プロテクタに設けた係止リブからコルゲートチューブが外れて係止が解かれ、コルゲートチューブが移動してプロテクタの開口から抜けるのを防止できる。
【0012】
本発明のプロテクタは、プロテクタ本体と、該プロテクタ本体の上面開口を閉鎖する蓋とからなり、
前記プロテクタ本体の側壁に上端からU形状に切り込んだ開口と、前記蓋の側壁に設けた開口とを組み合わせて前記ワイヤハーネス挿通用の開口を設け、
前記プロテクタ本体の開口の底部中央から前記スリット挿入突起を突設していることが好ましい。
【0013】
前記スリット挿入突起は、開口内方に向けて突出する平板部と、該平板部の突出端に直交方向に突出して
前記平板部とでT形状となる上板部を備え
ている。
前記T形状とすると、コルゲートチューブのスリットを挟む両側分割端が、内方へと変形しても前記上板部と当接し、スリット挿入突起がスリットより外れるのを防止できる。
【0014】
また、前記スリット挿入突起は、前記開口を囲む周壁端面の厚さ方向の全長から突設し、該周壁端面から厚さ方向で並列に突出する複数の前記係止リブの分割端面と対向させている。
これにより、プロテクタの係止リブと係止するコルゲートチューブの挿入端部の複数の山部および谷部のスリットを挟む両側分割端を前記スリット挿入突起と接触させることができる。
【0015】
前記のように、本発明のプロテクタは、前記スリット挿入突起
の前記平板部の奥端および前記上板部の奥端に連続する位置決め板を設け、該位置決め板にワイヤハーネスに外装したコルゲートチューブの先端を突き当てるようにしてい
る。
【0016】
前記プロテクタ本体は上面開口の四角状ボックスとし、
前記のように、一側壁に前記ワイヤハーネス挿通用の開口からなる
前記入口を設け、他側壁にワイヤハーネス用の出口を複数設け、入口から挿入するワイヤハーネスを内部で分岐して複数の出口から引き
出し、前記入口に前記係止リブとスリット挿入突起を設け
ている。
【0017】
前記プロテクタの入口に挿入するワイヤハーネスにスリット付きコルゲートチューブを外装しているために、前記入口に前記係止リブと前記スリット挿入突起を設けている。複数の出口から引き出すワイヤハーネスにコルゲートチューブを外装していない場合には、出口にはスリット付きコルゲートチューブ用の係止リブおよびスリット挿入突起を設ける必要はない。
【0018】
また、本発明のプロテクタは、プロテクタ本体を樋形状とし、長さ方向の一端の開口をワイヤハーネス挿通用の入口、他端
側の
複数の開口を出口としている場合にも適用でき、該プロテクタ
の出口より外方へ延在するワイヤハーネスにスリット付きコルゲートチューブを外装してい
る出口に前記係止リブおよびスリット挿入突起を設けて
もよい。さらに、前記のようにプロテクタ本体が樋形状で、蓋がなく、プロテクタ本体にワイヤハーネスを挿通した状態で、テープ巻きでプロテクタ本体内にワイヤハーネスを保持する場合にも適用できる。
【0019】
本発明のプロテクタは、自動車に搭載するエンジンの外面側に取り付け、該エンジンを囲むパネルに沿って配索するワイヤハーネスを前記パネルから前記エンジンへ架け渡す領域に前記スリット付きコルゲートチューブを外装している場合に特に好適に用いられる。
【0020】
自動車に搭載するエンジンの外面側にプロテクタを取り付けると、走行時のエンジン振動でプロテクタに振動が発生し、該プロテクタと接続するコルゲートチューブが振動による変形でプロテクタから外れて抜けやすくなる。よって、このコルゲートチューブのプロテクタからの外れを防止するために、本発明のプロテクタは好適に用いられる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のプロテクタでは、ワイヤハーネスに外装するスリット付きコルゲートチューブの端部をプロテクタの開口に挿入した箇所で、コルゲートチューブのスリットにプロテクタの開口周縁から突出したスリット挿入突起を挿入するため、スリットを挟む分割端面がスリット挿入突起の両側面に当接し、分割部の一方が他方の内面に入り込んで重なり、コルゲートチューブが小径化することを確実に防止できる。よって、コルゲートチューブが小径化して開口周縁に設けた係止リブから外れ、プロテクタからコルゲートチューブが離脱するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(A)は本発明の実施形態のプロテクタの搭載箇所を示す概略平面図、(B)は前記プロテクタに連結するコルゲートチューブの正面図、(C)は(B)の断面図である。
【
図2】
第1参考実施形態のプロテクタの斜視図である。
【
図3】(A)は
図2に示すプロテクタの本体に蓋をかぶせる前の分解側面図、(B)は本体に蓋をかぶせた状態のプロテクタの側面図である。
【
図4】(A)は
図2に示すプロテクタの要部拡大斜視図、(B)は(A)の矢視図である。
【
図5】ワイヤハーネスを外装したコルゲートチューブを
図2に示すプロテクタに連結する状態を示し、(A)はコルゲートチューブのスリットの方向を示す断面図、(B)はスリットを開いて分割端面をプロテクタのスリット挿入突起に当接している状態の説明図、(C)はプロテクタ本体の入口にコルゲートチューブの端部を挿入し、係止リブおよびスリット挿入突起と係止している状態を示す図面である。
【
図6】
図2に示すプロテクタとコルゲートチューブの連結部分を示し、(A)は側面図、(B)は断面図である。
【
図7】第2
参考実施形態を示し、
(A)はプロテクタ本体の側面図
、(B)は斜視図である。
【
図8】本発明
の実施形態
のプロテクタの要部を示し、(A)はスリット挿入突起の斜視図、(B)はスリット挿入突起にコルゲートチューブのスリット分割端面を接触させた状態を示す図面である。
【
図10】(A)(B)はスリット付きコルゲートチューブを示す図面である。
【
図11】(A)〜(C)は従来の問題点を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のプロテクタの実施形態を図面を参照して説明する。
図
1に本発明のプロテクタ
の搭載箇所を示す。
本
発明のプロテクタ1は、
図1(A)に概略的に示すように、自動車のエンジンEの上面に搭載され、エンジンルームRを囲むパネルPに沿って配索した後に、該パネルPとエンジンEとの間の空間を渡り配索したワイヤハーネス2を挿通するものであり、該ワイヤハーネス2には前記空間の渡り配索領域に
図1(B)(C)に示すスリット付きコルゲートチューブ3を外装している。
【0024】
前記コルゲートチューブ3は、前記
図10と同様な汎用されている樹脂製のスリット有りのコルゲートチューブである。即ち、環状の山部4と谷部5を軸線方向に交互に設け、該軸線方向の全長に延在する1本のスリット6を備え、該スリット6を挟む分割端面7、8の間を開いてワイヤハーネス2を挿通するものである。
【0025】
プロテクタ1はワイヤハーネス2の分岐部を保護する分岐用のプロテクタであ
る。図2乃至図6に示す第1参考実施形態のプロテクタは、図3に示すように上面開口のボックス状のプロテクタ本体10と、別体の蓋11とからなり、該プロテクタ本体10および蓋11は樹脂成形品である。プロテクタ本体10の側壁にロック枠18を設け、該ロック枠18にロック結合するロック爪19を蓋11の周縁から突設している。
【0026】
前記プロテクタ本体10の一辺の周壁10aの上端からU形状に切り込んだワイヤハーネス挿通用の開口からなる入口13を設け、前記パネルPから渡り配索するワイヤハーネス2に外装したコルゲートチューブ3の端部を前記入口13に挿入して連結するものとしている。蓋11には前記入口13の上側と対向する部位の側壁11aに円弧状の入口14を設け、プロテクタ本体10に蓋11を被せて閉鎖した状態で、入口13と14とを組み合わせて略円形の入口15を形成している。
【0027】
プロテクタ本体10の入口13を囲むU形状の周壁端面20には、厚さ方向に間隔をあけて3個の係止リブ21(21A、21B、21C)を設けている。これら3つの係止リブ21のピッチはコルゲートチューブ3の谷部5のピッチと一致させ、係止リブ21Aと21Bの間、21Bと21Cの間にそれぞれ係止空間22(22A、22B)を設けている。該係止空間22A、22Bにそれぞれコルゲートチューブ3の先端側の山部4、4を挿入係止する寸法設定としている。
【0028】
前記入口13を円弧状に囲む前記係止リブ21は、U形状の入口13の底面中央部に設けず、3個の係止リブ21およびその間の2個の係止空間のU形状の連続を底部中央で分断し、この分断箇所の底面中央からスリット挿入突起25を周壁端面20の厚さ方向に延在させて、入口13の内方に向けて突設している。該スリット挿入突起25の突出量は係止リブ21より高くしている。かつ、該スリット挿入突起25は周壁端面20の厚さ方向に延在する平板部25aの突出端に直交方向へ突出する幅広の上板部25bを設けて、略T形状としている。
【0029】
前記蓋11に設けた入口14の端面にも、プロテクタ本体10を閉鎖した状態で、入口13の係止リブ21に連続する3つの係止リブ26を突設している。
【0030】
プロテクタ1は、プロテクタ本体10内でコルゲートチューブ3から引き出したワイヤハーネス2の電線群を3本の枝線2−1、2−2、2−3に分岐し、1つの枝線2ー1をプロテクタ本体10の他辺の側壁に設けた出口12ー1から引き出し、枝線2−2をプロテクタ本体10の他の他辺の側壁に設けた出口12−2から引き出し、さらに、枝線2−3を蓋11に設けた出口12−3から引き出すようにしている。前記3つの出口12−1〜12−3から引き出すワイヤハーネスの枝線2−1〜2−3はコルゲートチューブで外装せず、テープ巻きで集束保護するものとし、よって、出口12−1〜12−3を囲む部分からテープ巻き片27、28、29を突設している。
【0031】
次に、前記プロテクタ1とワイヤハーネス2に外装したコルゲートチューブ3との連結方法について説明する。
図5(A)に示すように、プロテクタ本体10の入口13に挿入するコルゲートチューブ3は、そのスリット6を下側に位置させて、該コルゲートチューブ3の端部を入口13から挿入する。挿入部分では、
図5(B)(C)に示すように、スリット6を開き、スリット6を挟む分割端面7、8をスリット挿入突起25の平板部25aの両側面に当接させる。かつ、該コルゲートチューブ3の挿入端部の谷部5に係止リブ21を挿入係止し、山部4を係止空間22に挿入する。
【0032】
ついで、プロテクタ本体10内部で、コルゲートチューブ3の先端から引き出したワイヤハーネス2の電線群を枝線2−1、2−2、2−3と分岐し、
図1(A)に示すように、出口12−1〜12−3から引き出す。其の際、出口12−3からは蓋11を閉じた時に引き出す。このように、枝線を引き出した後に蓋11を被せ、プロテクタ本体10とロック結合する。蓋11を被せると、入口14に設けた係止リブ26がコルゲートチューブ3の上面側の谷部5に挿入係止する。
【0033】
前記のように、プロテクタ1の入口15に挿入したコルゲートチューブ3の端部の谷部5に係止リブ21、26を挿入係止することで、コルゲートチューブ3は位置決めされる。また、スリット6の分割端面7、8はスリット挿入突起25の両面に接触し、分割端面7、8の一方が他方の内面に入り込んで重なることがない。よって、コルゲートチューブ3は縮径することはなく、係止リブ21による山部4の係止が外れてコルゲートチューブ3が移動し、プロテクタ1からコルゲートチューブ3が抜けるのを確実に防止できる。かつ、スリット挿入突起25の平板部25aの先端から上板部25bを突出させているため、分割端面7、8が内方へ撓んでも、上板部25bと接触し、上板部25bを越えてスリット6からスリット挿入突起25が外れるのを防止できる
【0034】
このように、コルゲートチューブ3を挿入する入口に、コルゲートチューブ3のスリット6に挿入するスリット挿入突起25を設け、スリット6を挟む分割端面7、8をスリット挿入突起25の両面に当接させるだけで、スリットを挟む分割端面の一方が他方の内面に入りこんでコルゲートチューブ3が縮径して、プロテクタ1の係止リブ21から外れるのを防止できる。よって、プロテクタ1とコルゲートチューブ3との連結が解かれ、プロテクタ1からコルゲートチューブ3が抜けて、当該部分でワイヤハーネス2の電線が外部に露出するのを防止できる。
【0035】
図7(A)(B)に第2
参考実施形態を示す。
プロテクタ本体10−1は樋形状とし、長さ方向の両端のワイヤハーネス挿通用の開口は、一方を入口15−A、他方を出口15−Bとしスリット挿入突起25ー1は、T字状とせずに、突出端に設ける上板を無くしている。
スリット挿入突起25−1では上板部を無くした形状としているが、コルゲートチューブ3のスリット6の分割端面をスリット挿入突起25−1の両側面に接触させることで、分割端面7、8の一方が他方の内面に入りこんで縮径するのを防止し、プロテクタからコルゲートチューブが抜けるのを防止できる。
【0036】
図8(A)(B)に
本発明のプロテクタの実施形態を示す。
該実施形態で設けるスリット挿入突起25−2は、平板部25aの内側端に幅広とした位置決め板部25cを設けている。
コルゲートチューブ3をプロテクタ内に挿入する工程で、コルゲートチューブ3の先端が位置決め板部25cに突き当たることにより、コルゲートチューブ3の挿入寸法が自動的に決められ、該位置で、コルゲートチューブ3の谷部5に係止リブ21が正確に挿入でき、作業性が良くなる。また、コルゲートチューブ3の長さ方向の移動が位置決め板部25cによっても阻止できる。
プロテクタの全体形状を含め他の形状は前記第1参考実施形態のプロテクタと同一であり、同一の作用効果を有するため説明を省略する。
【0037】
なお、本発明は前記実施形態の自動車に配索するワイヤハーネス用に限定されず、ワイヤハーネスに外装するコルゲートチューブと連結するプロテクタであれば、用途限定されずに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 プロテクタ
2 ワイヤハーネス
3 コルゲートチューブ
4 山部
5 谷部
6 スリット
7、8 分割端面
10 プロテクタ本体
11 蓋
13 入口
21 係止リブ
25 スリット挿入突起