(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について詳細に説明する。
【0014】
−(A)着色剤−
本発明の着色組成物は、(A)下記式(1)で表される化合物(以下、「本着色剤」とも称する。)を含む着色剤を含有する。
【0016】
〔式(1)において、
X
+は、カチオン性発色団を示す。;
Z
-は、重合性不飽和基及びハロ基を有する有機酸の共役塩基を示す。〕
【0017】
先ず、式(1)中のZ
-について説明する。
Z
-は、重合性不飽和基及びハロ基を有する有機酸の共役塩基であれば特に限定されるものではない。酸としては、例えば、カルボン酸(−CO
2H)、スルホン酸(−SO
3H)、イミド酸(−CONHCO−)、スルホンイミド酸(−SO
2NHSO
2−)、オキソスルファミン酸(−CONHSO
2−)等を挙げることができる。本発明においては、より酸性度の強い有機酸の共役塩基を形成するという点から、前記酸の中でも、スルホンイミド酸(−SO
2NHSO
2−)、オキソスルファミン酸(−CONHSO
2−)が好ましい。
本発明における好適なZ
-としては、例えば、下記式(1a−1)で表されるアニオンを挙げることができる。
【0019】
〔式(1a−1)において、
Y
1は、重合性不飽和基を有する基を示す。;
Y
2は、ハロ基又は炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有しても良いハロゲン化炭化水素基を示す。〕
【0020】
Y
1は、重合性不飽和基を有する基であれば特に限定されるものではないが、重合性不飽和基を有する有機基が好ましい。前記有機基としては、鎖状有機基、環式有機基を挙げることができるが、鎖状有機基が好ましい。なお、これら有機基に対する重合性不飽和基の結合位置及び結合数は任意である。また、前記有機基が重合性不飽和基以外にも置換基を有する場合、その種類、結合位置、結合数は制限を受けない。重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等を挙げることができる。本発明においては、前記アニオンが重合性不飽和基を有することにより、露光時もしくはポストベーク時に重合性不飽和基が架橋反応を起こし、液晶中への染料の溶出が抑制されるために、良好な電圧保持率を示すものと本発明者らは推察する。
【0021】
さらに、特に好ましいZ
-として、下記式(1a−2)、式(1a−3)で表されるアニオンを挙げることができる。
【0023】
〔式(1a−2)において、
R
1は、(メタ)アクリロイル基又はアリル基を示す。;
X
1は、−O−又は−O−(R
2O)
q−(*)を示す(但し、R
2は炭素数2又は3のアルカンジイル基を示し、qは1〜100の整数を示し、(*)はX
2との結合手を示す。)。;
X
2は、置換又は非置換のアルカンジイル基を示す。;
Y
2は、式(1a−1)におけるY
2と同義である。〕
【0025】
〔式(1a−3)において、
R
3は、水素原子又はメチル基を示す。;
X
3は、単結合又は置換若しくは非置換のアルカンジイル基を示す。;
Y
2は、式(1a−1)におけるY
2と同義である。〕
【0026】
R
1は(メタ)アクリロイル基又はアリル基を示すが、架橋反応の容易性から、(メタ)アクリロイル基をより好ましく用いることができる。
【0027】
X
1に係るR
2は、炭素数2又は3のアルカンジイル基を示す。具体的には、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基を挙げることができるが、製造し易さの点から、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基がより好ましい。
【0028】
X
1に係るqは、1〜100の整数であるが、1〜30が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が特に好ましい。
【0029】
X
2におけるアルカンジイル基としては、炭素数1〜10のアルカンジイル基が好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基等を挙げることができ、中でも、炭素数2〜8のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜6のアルカンジイル基がより好ましい。
【0030】
X
3におけるアルカンジイル基としては、炭素数1〜10のアルカンジイル基が好ましい。具体的には、前記と同様のものを挙げることができるが、中でも、炭素数1〜8のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜6のアルカンジイル基がより好ましい。
【0031】
上記式(1a−1)におけるY
1の代表例としては、例えば、下記式で表される基を挙げることができる。なお、「*」はN
-との結合手を示す。
【0033】
次に、式(1a−1)、式(1a−2)及び式(1a−3)に係るY
2について説明する。Y
2は、ハロ基又は炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基を有しても良いハロゲン化炭化水素基を示す。前記ハロ基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。前記ハロゲン化炭化水素基の骨格をなす炭化水素基としては、例えば、(1)脂肪族炭化水素基、(2)脂環式炭化水素基、(3)置換基として脂環式炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基(以下、「脂環式炭化水素置換脂肪族炭化水素基」と称する)、(4)芳香族炭化水素基、(5)置換基として脂肪族炭化水素基を有する芳香族炭化水素基(以下、「脂肪族炭化水素置換芳香族炭化水素基」と称する)、(6)置換基として芳香族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基(以下、「芳香族炭化水素置換脂肪族炭化水素基」と称する)等を挙げることができる。前記ハロゲン化炭化水素基の骨格をなす炭化水素基としては、有機溶媒に対する溶解性の観点から、以下の特性基であることが好ましい。
【0034】
即ち、上記(1)脂肪族炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素数としては、1〜20であることが好ましく、特に1〜8であることが好ましい。また、上記(2)脂環式炭化水素基としては、脂環式飽和炭化水素基が好ましく、その炭素数としては、3〜20であることが好ましく、特に3〜12であることが好ましい。また、上記(3)脂環式炭化水素置換脂肪族炭化水素基としては、脂環式飽和炭化水素置換アルキル基が好ましく、その総炭素数としては、4〜20であることが好ましく、特に6〜14であることが好ましい。また、上記(4)芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜14(より好ましくは炭素数6〜10)の芳香族炭化水素基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。また、上記(5)脂肪族炭化水素置換芳香族炭化水素基としては、アルキル置換フェニル基が好ましく、その総炭素数としては、7〜30であることが好ましく、特に7〜20であることが好ましい。また、上記(6)芳香族炭化水素置換脂肪族炭化水素基としては、アラルキル基が好ましく、その総炭素数としては、7〜30であることが好ましく、特に7〜20であることが好ましい。なお、本明細書におけるアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0035】
これらのうち、前記ハロゲン化炭化水素基の骨格をなす炭化水素基としては、(1)脂肪族炭化水素基、(3)脂環式炭化水素置換脂肪族炭化水素基、(4)芳香族炭化水素基(5)脂肪族炭化水素置換芳香族炭化水素基又は(6)芳香族炭化水素置換脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基、脂環式飽和炭化水素置換アルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、アラルキル基がより好ましく、特にアルキル基が好ましい。
【0036】
また、Y
2におけるハロ基及びハロゲン化炭化水素基中のハロゲンとしては、着色剤の耐熱性の観点から、フッ素原子が好ましい。置換基としてフッ素原子を選択することにより、本着色剤のアニオン部がより酸性度の強い有機酸の共役塩基となることから、イオン結合力のより強い塩が形成されて耐熱性が高められると考えられる。
【0037】
また、Y
2において、炭素原子、水素原子及びハロゲン原子以外の原子を含む連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO
2−等を挙げることができる。そして、段落〔0034〕でいうところの炭素数は、該連結基を構成する炭素原子を除いた部分の総炭素数を意味する。
【0038】
本発明において、着色剤の耐熱性の観点から、Y
2としては、下記式(1−1)又は(1−2)で表される基が好ましく、特に、より酸性度の強い有機酸の共役塩基を形成する下記式(1−1)で表される基が好ましい。
【0040】
〔式(1−1)において、
R
23は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ化アルキル基、脂環式炭化水素基、アルコキシ基、フッ化アルコキシ基、R
24COOR
25−又はR
24COOR
25CFH−(R
24はアルキル基、脂環式炭化水素基、ヘテロアリール基又は置換若しくは非置換のアリール基を示し、R
25はアルカンジイル基を示す。)を示す。;
nは、0以上の整数を示す。;
「*」は、結合手であることを示す。〕
【0042】
〔式(1−2)において、
R
18〜R
22は、相互に独立に、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、フッ化アルキル基又はアルコキシ基を示す。;
「*」は、結合手であることを示す。;
但し、R
18〜R
22のうち少なくとも1つは、フッ素原子又はフッ化アルキル基である。〕
【0043】
式(1−1)において、R
23としては、フッ素原子、フッ化アルキル基、脂環式炭化水素基、フッ化アルコキシ基、R
24COOR
25−又はR
24COOR
25CFH−が好ましく、特にフッ素原子、脂環式炭化水素基、パーフルオロアルコキシ基、R
24COOCH
2CH
2−又はR
24COOCH
2CH
2CFH−が好ましい。
R
24はアルキル基、脂環式炭化水素基、ヘテロアリール基又は置換若しくは非置換のアリール基を示すが、アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、アルキル基の炭素数は1〜12(より好ましくは1〜8)であることが好ましい。脂環式炭化水素基は2〜4環の橋かけ脂環式炭化水素基でもよく、脂環式炭化水素基の炭素数は3〜20(より好ましくは3〜12)であることが好ましい。ヘテロアリール基としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族複素環から構成される基が好ましい。アリール基としては、炭素数6〜14(より好ましくは炭素数6〜10)のアリール基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。なお、置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基が挙げられ、置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
また、R
25はアルカンジイル基を示すが、炭素数1〜6のアルカンジイル基が好ましく、製造し易さの点から、特にエチレン基が好ましい。
なお、nの上限は、10が好ましく、8がより好ましい。
また、式(1−2)においては、R
18〜R
22のうち少なくとも3つがフッ素原子又はフッ化アルキル基であることが好ましい。
【0044】
上記式(1a−1)、式(1a−2)及び式(1a−3)で表されるY
2の具体例としては、例えば、下記式で表される基を挙げることができる。なお、「*」はSO
2との結合手を示す。
【0047】
次に、式(1)中のX
+について説明する。
X
+は、カチオン性発色団、即ちX
+Z
-として塩基性着色剤を形成するカチオンであれば特に限定されるものではないが、例えば、トリアリールメタン系発色団、メチン系発色団、アゾ系発色団、ジアリールメタン系発色団、キノンイミン系発色団、アントラキノン発色団、フタロシアニン系発色団、キサンテン系発色団等を挙げることができる。
【0048】
上記トリアリールメタン系発色団としては、下記式(2)で表わされるものが好ましい。なお、下記式(2)で表わされるカチオンには種々の共鳴構造が存在するが、本明細書においては、それら共鳴構造について下記式(2)で表わされるカチオンと同等のものとする。
【0050】
〔式(2)において、
Arは置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。;
R
4〜R
7は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基又はフェニル基又はエチレン性不飽和結合を有する基を示す。;
R
8〜R
15は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、−COOR'(R'は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)又はハロ基を示す。;
Y
3は、水素原子又は下記式(3)で表される基を示す。〕
【0052】
〔式(3)において、R
16及びR
17は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキ
ル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基又はエチレン性不飽和結合を有する
基を示す。〕
【0053】
Arにおける芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20(より好ましくは炭素数6〜10)の芳香族炭化水素基が好ましく、具体的には、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基などを挙げることができる。その置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
R
4〜R
17(R
8〜R
17における−COOR'のR'を含む)における炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル等を挙げることができる。
【0054】
本発明においては、上記式(2)で表されるカチオンの中でも、輝度及び色純度の向上の観点から、特に下記式(4)で表されるカチオンが好ましい。
【0056】
〔式(4)において、R
4〜R
7及びR
16〜R
17は、上記式(2)及び(3)におけるR
4〜R
7及びR
16〜R
17と同義である。〕
【0057】
上記式(4)において、R
4、R
5、R
16及びR
17としては、炭素数1〜8(より好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基が好ましく、またR
6としては、炭素数1〜8(より好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基又はフェニル基が好ましく、更にR
7としては、炭素数1〜8(より好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基又は水素原子が好ましい。
【0058】
上記式(2)で表されるカチオンの代表例としては、例えば、下記式で表されるカチオンを挙げることができる。
【0062】
上記メチン系発色団としては、下記式(5−1)〜(5−3)で表わされるものが好ましい。
【0064】
〔式(5−1)〜(5−3)において、
R
31は、水素原子又はハロゲン原子を示す。;
R
32、R
33、R
34及びR
35は、相互に独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示す。;
R
36は、置換又は非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示す。;
Gは、−CH=CH−、−CH=CH−NR
37−(R
37は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)、−CH=N−NR
37−(R
37は前記と同義である。)又は−N=N−NR
37−(R
37は前記と同義である。)を示す。;
R
aは、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若しくは非置換の複素環基を示す。〕
【0065】
R
aとしては、下記式(5a)〜(5g)で表される基が好ましい。
【0067】
〔式(5a)〜(5g)において、
R
38及びR
45は、相互に独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示す。;
R
39は、置換又は非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示す。;
R
40、R
42、R
43及びR
44は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。;
R
41及びR
46は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、水酸基又はシアノ基を示す。〕
【0068】
上記アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基等が挙げられる。
【0069】
上記式(5−1)〜(5−3)で表されるカチオンの代表例としては、例えば、下記式で表されるカチオンを挙げることができる。
【0071】
上記アゾ系発色団としては、下記式(6−1)〜(6−6)で表わされるものが好ましい。
【0073】
〔式(6−1)〜(6−6)において、
R
51、R
52、R
53、R
54、R
55及びR
57は、相互に独立に、置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示す。;
R
56及びR
60は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、水酸基又はシアノ基を示す。;
R
58は、炭素数1〜6のアルキル基を示す。;
R
59は、4級アンモニウムを形成する基を示す。;
R
bは、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若しくは非置換の複素環基を示す。〕
【0074】
上記R
59としては、−NR
61C
mH
2mN
+R
62R
63R
64(mは1〜5の整数であり、R
61は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R
62、R
63及びR
64は相互に独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す)、−COC
mH
2mN
+R
62R
63R
64(m、R
62、R
63及びR
64は前記と同義である)、−C
mH
2mN
+(NH
2)R
74R
75(mは前記と同義であり、R
74及びR
75は相互に独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す)、又は下記式(6−i)若しくは(6−ii)で表される基が好ましい。
【0076】
〔式(6−i)及び(6−ii)において、R
61及びmは前記と同義である。〕
【0077】
上記R
bとしては、下記式(6a)〜(6e)で表される基、置換若しくは非置換のフェニル基が好ましい。
【0079】
〔式(6a)〜(6d)において、
R
65は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示す。;
R
66は、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示す。;
R
67は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示す。;
R
68は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。;
R
69は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。;
R
70〜R
73は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、水酸基又はシアノ基を示す。〕
【0080】
上記アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、−CONH
2基等が挙げられる。上記フェニル基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0081】
上記式(6−1)〜(6−6)で表されるカチオンの代表例としては、例えば、下記式で表されるカチオンを挙げることができる。
【0084】
上記ジアリールメタン系発色団としては、下記式(7−1)又は(7−2)で表わされるものが好ましい。
【0086】
〔式(7−1)及び(7−2)において、
R
81、R
82、R
83、R
84、R
86、R
87、R
88及びR
89は、相互に独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示す。;
R
85、R
90及びR
91は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
【0087】
上記式(7−1)〜(7−2)で表されるカチオンの代表例としては、例えば、下記式で表されるカチオンを挙げることができる。
【0089】
上記キノンイミン系発色団としては、下記式(8−1)〜(8−3)で表わされるものが好ましい。
【0091】
〔式(8−1)〜(8−3)において、
R
101、R
102、R
103、R
104、R
105、R
106、R
108、R
109、R
110、R
111、R
114、R
115、R
116、R
117及びR
118は、相互に独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フェニル基又はベンジル基を示す。;
R
107及びR
113は、相互に独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示す。;
R
112は、−NR
119R
120(R
119及びR
120は相互に独立に置換又は非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示す)、水酸基、ニトロ基又はシアノ基を示す。;
Qは、酸素原子又は硫黄原子を示す。〕
【0092】
上記アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基等が挙げられる。
【0093】
上記式(8−1)〜(8−3)で表されるカチオンの代表例としては、例えば、下記式で表されるカチオンを挙げることができる。
【0095】
上記アントラキノン系発色団としては、下記式(9−1)又は(9−2)で表わされるものが好ましい。
【0097】
〔式(9−1)及び(9−2)において、
R
131、R
135及びR
136は、相互に独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は置換若しくは非置換のフェニル基を示す。;
R
132、R
133、R
134、R
138、R
139及びR
140は、相互に独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示す。;
R
137は、メチレン基又は置換若しくは非置換の炭素数2〜20のアルカンジイル基を示す。〕
【0098】
上記アルキル基又はフェニル基の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基等が挙げられる。また、上記炭素数2〜20のアルカンジイル基の置換基としては、水酸基、シアノ基又はニトロ基等が挙げられる。
【0099】
上記式(9−1)又は(9−2)で表されるカチオンの代表例としては、例えば、下記式で表される示すカチオンを挙げることができる。
【0101】
上記フタロシアニン系発色団としては、下記式(10)で表わされるものが好ましい。
【0103】
〔式(10)において、
CuPcは銅フタロシアニン残基を示す。;
Tは下記式(10a)又は(10b)で表される基を示す。〕
【0105】
〔式(10a)及び(10b)において、
R
151、R
152、R
153、R
154、R
155、R
156、R
157及びR
158は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示す。;
pは、相互に独立に、2〜8の整数を示す。;
mは、前記と同義である。〕
【0106】
上記式(10)で表されるカチオンの代表例としては、例えば、下記式で表されるカチオンを挙げることができる。
【0108】
キサンテン系発色団としては、下記式(11)で表わされるものが好ましい。
【0110】
〔式(11)において、
R
171、R
172、R
173及びR
174は、相互に独立に、水素原子、−R
178又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基(但し、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R
178、−OH、−OR
178、−SO
3H、−SO
3M、−CO
2H、−CO
2R
178、−SO
3R
178、−SO
2NHR
179又は−SO
2NR
179R
180で置換されていてもよい。)を示す。;
R
175及びR
176は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。;
R
177は、−SO
3H、−SO
3M、−CO
2H、−CO
2R
178、−SO
3R
178、−SO
2NHR
179又は−SO
2NR
179R
180を示す。;
rは、0〜5の整数を示し、rが2以上の整数である場合、複数のR
177は、同一であっても異なっていてもよい。;
R
178は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基(但し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、また飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR
178−で置換されていてもよい。)を示す。;
R
179及びR
180は、相互に独立に、炭素数1〜10の鎖状のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基又は−Zを示すか、あるいはR
179及びR
180が互いに結合して形成される炭素数1〜10の置換若しくは非置換の複素環基を示す。但し、該アルキル基及びシクロアルキル基に含まれる水素原子は、水酸基、ハロゲン原子、−Z、−CH=CH
2又は−CH=CHR
178で置換されていてもよく、また該アルキル基及びシクロアルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR
178−で置換されていてもよく、該複素環基に含まれる水素原子は、−R
178、−OH又は−Zで置換されていてもよい。;
Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子を示す。;
Zは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数5〜10の芳香族複素環基を示す。但し、該芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基に含まれる水素原子は、−OH、R
178、−OR
178、−NO
2、−CH=CH
2、−CH=CHR
178又はハロゲン原子で置換されていてもよい。〕
【0111】
R
178における飽和炭化水素基は、炭素数が1〜10であれば、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、橋かけ構造を有していてもよい。具体的には、上記式(2)におけるR
4と同様のアルキル基の他、ノニル基、デカニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデカニル基を挙げることができる。飽和炭化水素基に含まれるメチレン基が酸素原子で置換された基として、例えば、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、2−エチルヘキシロキシプロピル基、メトキシヘキシル基等を挙げることができる。
【0112】
R
179及びR
180が互いに結合して形成される炭素数1〜10の置換若しくは非置換の複素環基としては、ピロール、ピリジン、インドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、イソクロメン、キサンテン、チオフェン、チアントレン、フェノキサチイン、ファノチアジン等を挙げることができる。前記複素環基における置換基としては、例えば、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキル基等を挙げることができる。また、Zにおける炭素数5〜10の芳香族複素環基としてはフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジル基等を挙げることができる。
【0113】
R
171、R
172、R
173、R
174及びZにおける芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
R
171、R
172、R
173、R
174及びR
177における−SO
3R
178としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ヘキサンスルホニル基、デカンスルホニル基等が挙げられる。また、−CO
2R
178としては、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、メトキシプロピルオキシカルボニル基等が挙げられる。更に、−SO
2NHR
179、−SO
2NR
179R
180におけるR
179、R
180としては、炭素数6〜8の分枝鎖状のアルキル基、炭素数5〜7の脂環式炭化水素基、アリル基、炭素数8〜10のアラルキル基、炭素数2〜8の水酸基含有アルキル基、炭素数2〜8のアルコキシ基含有アルキル基、アリール基が好ましい。
【0114】
上記式(11)で表されるカチオンの代表例としては、例えば、下記式で表されるカチオンを挙げることができる。
【0116】
その他カチオン性発色団としては、例えば、下記式で表されるカチオンを挙げることができる。
【0118】
本着色剤は、公知の方法により製造することが可能であるが、例えば、特開2003−206415号公報の実施例と同様の方法により製造することができる。特開2003−206415号公報の実施例のように塩交換反応により本着色剤を製造する場合、上記式(1a−1)で表されるアニオンの塩が必要となるが、該塩としては、市販品を用いてもよく、公知の方法、例えば、特開2011−133844号公報の実施例1に記載の方法を参考にして合成したものを用いてもよい。このようにして得られた本着色剤は、シクロヘキサノン等のケトンを始めとする種々の有機溶媒に可溶であり、また優れた耐熱性を有する。
【0119】
本着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本着色剤は、例えば、X
+がトリアリールメタン系発色団である場合、有機溶媒に溶解すると青〜赤色を呈することから、該着色剤を単独で、又は他の着色剤と適宜混合して使用することにより、例えば、青色画素、赤色画素、黒色の着色層を形成するための着色組成物に適用することができる。
【0120】
本発明の着色組成物は、着色剤として、本着色剤と共に、更に他の着色剤を含有することができる。他の着色剤としては、特に限定されるものではなく、用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。
他の着色剤としては、本着色剤以外の顔料、本着色剤以外の染料及び天然色素の何れをも使用することができるが、輝度及び色純度の高い画素を得るという意味においては、有機顔料、有機染料が好ましい。
【0121】
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物、即ち下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0122】
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー61:1、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー133、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー169、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー183、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー191:1、C.I.ピグメントイエロー206、C.I.ピグメントイエロー209、C.I.ピグメントイエロー209:1、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー212;
【0123】
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ68、C.I.ピグメントオレンジ70、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ74;
【0124】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド49:3、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド54、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58、C.I.ピグメントレッド58:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:3、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド63:3、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド237、C.I.ピグメントレッド239、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド247、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272;
【0125】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38、C.I.ピグメントバイオレット39;
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー24、C.I.ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー80;
C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
【0126】
本発明において、他の着色剤として顔料を使用する場合、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用することが好ましい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0127】
本発明において、他の着色剤として顔料を使用する場合、更に公知の分散剤及び分散助剤を含有せしめることもできる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等を、分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。
【0128】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)等を、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)等を、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)等を、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等を、それぞれ挙げることができる。
【0129】
また、上記顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0130】
また、上記染料としては、各種の油溶性染料、直接染料、酸性染料、金属錯体染料等の中から適宜選択することができ、例えば、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0131】
C.I.ソルベントイエロー4、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー24、C.I.ソルベントイエロー82、C.I.ソルベントイエロー88、C.I.ソルベントイエロー94、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー162、C.I.ソルベントイエロー179;
C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド49;
C.I.ソルベントオレンジ2、C.I.ソルベントオレンジ7、C.I.ソルベントオレンジ11、C.I.ソルベントオレンジ15、C.I.ソルベントオレンジ26、C.I.ソルベントオレンジ56;
C.I.ソルベントブルー35、C.I.ソルベントブルー37、C.I.ソルベントブルー59、C.I.ソルベントブルー67;
【0132】
C.I.アシッドイエロー17、C.I.アシッドイエロー29、C.I.アシッドイエロー40、C.I.アシッドイエロー76;
C.I.アシッドレッド91、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド97、C.I.アシッドレッド114、C.I.アシッドレッド138、C.I.アシッドレッド151;
C.I.アシッドオレンジ51、C.I.アシッドオレンジ63;
C.I.アシッドブルー80、C.I.アシッドブルー83、C.I.アシッドブルー90;
C.I.アシッドグリーン9、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドグリーン25、C.I.アシッドグリーン27。
【0133】
本発明において他の着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明においては、X
+がメチン系発色団である場合、本着色剤と緑色の他の着色剤を併用して緑色画素形成用の着色組成物とするか、本着色剤と赤色の他の着色剤を併用して赤色画素形成用の着色組成物とすることが好ましい。この場合、他の着色剤としての緑色の着色剤としては、緑色の有機顔料が好ましく、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特にC.I.ピグメントグリーン58が好ましい。また、他の着色剤としての赤色の着色剤としては、赤色の有機顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、X
+がアゾ系発色団、キノンイミン系発色団である場合、本着色剤と青色の他の着色剤若しくは紫色の他の着色剤を併用して青色画素形成用の着色組成物とするか、本着色剤と赤色の他の着色剤を併用して赤色画素形成用の着色組成物とすることが好ましい。この場合、他の着色剤としての青色の着色剤としては、青色の有機顔料が好ましく、C.I.ピグメントブルー15:6が好ましい。また、他の着色剤としての紫色の着色剤としては、紫色の有機顔料が好ましく、C.I.ピグメントバイオレット23が好ましい。
また、X
+がジアリールメタン系発色団である場合、本着色剤と緑色の他の着色剤を併用して緑色画素形成用の着色組成物とするか、本着色剤と赤色の他の着色剤を併用して赤色画素形成用の着色組成物とすることが好ましい。この場合、他の着色剤としての緑色の着色剤としては、緑色の有機顔料が好ましく、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特にC.I.ピグメントグリーン58が好ましい。他の着色剤としての赤色の着色剤としては、赤色の有機顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、X
+がアントラキノン系発色団、キサンテン系発色団である場合、本着色剤と青色の他の着色剤若しくは紫色の他の着色剤を併用して青色画素形成用の着色組成物とすることが好ましい。この場合、他の着色剤としての青色の着色剤としては、青色の有機顔料が好ましく、C.I.ピグメントブルー15:6が好ましい。また、他の着色剤としての紫色の着色剤としては、紫色の有機顔料が好ましく、C.I.ピグメントバイオレット23が好ましい。
本段落における本着色剤の含有割合は、要求される色度特性により異なるが、通常、全着色剤中10〜99質量%であり、より好ましくは30〜95質量%、更に好ましくは、50〜90質量%である。
【0134】
(A)着色剤の含有割合は、輝度が高く色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。ここでいう固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
【0135】
−(B)バインダー樹脂−
本発明における(B)バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」とも称する。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」とも称する。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」とも称する。)との共重合体を挙げることができる。
【0136】
上記不飽和単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0137】
また、上記不飽和単量体(b2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0138】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0139】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0140】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0141】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0142】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平09−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0143】
本発明におけるバインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。Mwが小さすぎると、得られる被膜の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方大きすぎると、解像度が低下したり、パターン形状が損なわれたり、またスリットノズル方式による塗布時に乾燥異物が発生し易くなるおそれがある。
【0144】
また、本発明におけるバインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
【0145】
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0146】
本発明において、バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0147】
本発明において、バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。バインダー樹脂の含有量が少なすぎると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、得られる着色組成物の保存安定性が低下したりするおそれがあり、一方多すぎると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0148】
−(C)架橋剤−
本発明において(C)架橋剤とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、(C)架橋剤としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0149】
上記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0150】
ここで、上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0151】
また、上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種により変性されたジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド付加物及びイソシアヌル酸のプロピレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種により変性されたトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物及びトリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種により変性されたトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物及びペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種により変性されたトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物及びペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種により変性されたテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物及びジペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物及びジペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種により変性されたヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0152】
また、上記2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N',N',N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0153】
これらの架橋剤のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N',N',N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、(C)架橋剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0154】
本発明における(C)架橋剤の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、特に20〜500質量部が好ましい。この場合、架橋剤の含有量が少なすぎると、十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、架橋剤の含有量が多すぎると、本発明の着色組成物にアルカリ現像性を付与した場合に、アルカリ現像性が低下し、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
【0155】
−光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、(C)架橋剤の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0156】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物、オニウム塩系化合物等を挙げることができる。
【0157】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0158】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0159】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0160】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0161】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0162】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0163】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)等を使用することもできる。
【0164】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0165】
本発明において、光重合開始剤の含有量は、(C)架橋剤100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0166】
−溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(C)成分、及び任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。上記溶媒としては、着色組成物を構成する(A)〜(C)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0167】
このような溶媒としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0168】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類;
【0169】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0170】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類等を挙げることができる。
【0171】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
本発明において、溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0172】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような態様とすることにより、分散性、安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性の良好な着色組成物を得ることができる。
【0173】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤;特開2008−242078号公報等に開示されている反応性官能基を有するシロキサンオリゴマー等を挙げることができる。
【0174】
本発明の着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、本着色剤が染料である場合は、例えば、特開2008−58642号公報、特開2010−132874号公報等に開示されている方法により調製することができる。着色剤として染料である本着色剤と顔料の両方を使用する場合、特開2010−132874号公報に開示されているように、本着色剤等を含む染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液を、別途調製した顔料分散液等と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用することができる。また、本着色剤等を含む染料と、上記(B)〜(C)成分、並びに必要に応じて使用する他の成分を溶媒に溶解し、得られた溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用してもよい。また、本着色剤等を含む染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液と、上記(B)〜(C)成分、並びに必要に応じて使用する他の成分を混合・溶解し、得られた溶液を第2のフィルタに通し、更に第2のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第3のフィルタに通すことにより調製する方法も採用することができる。
【0175】
カラーフィルタ及びその製造方法
本発明のカラーフィルタは、本着色剤を含有する着色層を備えるものである。
【0176】
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、本着色剤を含有する青色の本発明の感放射線性組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、青色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0177】
次いで、緑色又は赤色の各感放射線性着色組成物を用い、上記と同様にして、各感放射線性着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び赤色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。また、カラーフィルタを製造する第一の方法においては、上記青色、緑色、赤色の画素アレイのいずれか1以上が、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層であればよい。
【0178】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。本発明の着色組成物は、かかるブラックマトリックスの形成にも好適に使用することができる。
【0179】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0180】
感放射線性着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0181】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0182】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
【0183】
画素及び/又はブラックマトリックスを形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は、190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0184】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m
2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0185】
上記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0186】
ポストベークの条件は、通常120〜280℃で10〜60分程度であるが、本着色剤の耐熱性の点から、ポストベークの温度は、好ましくは240℃以下、特に好ましくは230℃以下である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1〜3μmである。
【0187】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、本着色剤を含有する青色の本発明の熱硬化性着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、青色の画素パターンを形成する。
【0188】
次いで、緑色又は赤色の各熱硬化性着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び赤色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。また、カラーフィルタを製造する第二の方法においても、上記青色、緑色、赤色の画素アレイのいずれか1以上が、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層であればよい。
【0189】
なお、上記隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにしてインクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
【0190】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。
【0191】
表示素子
本発明の表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができ、さらに薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【0192】
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0193】
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【0194】
また、本発明のカラーフィルタを具備する有機EL表示素子は、適宜の構造を採ることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【0195】
また、本発明のカラーフィルタを具備する電子ペーパーは、適宜の構造を採ることが可能であり、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【実施例】
【0196】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0197】
<本着色剤の合成及び評価>
1.本着色剤の合成
【0198】
合成例1
塩化チオニル(12mmol)をDMF 10mLに溶解し、0℃で冷却後、メタクリル酸3−スルホプロピルカリウム(10mmol)を分割添加した。5時間反応後、反応液を濃縮し、これにアセトンを加えて生成した塩を濾過により除去し、濾液を濃縮して下記式(A1)で表される化合物を得た。得られた化合物を、中間体1とする。
【0199】
【化37】
【0200】
合成例2
東京化成工業(株)製トリフルオロメタンスルホンアミド(20.1mmol)を塩化メチレン30mL中に溶解し、内温を5℃以下に冷却した。内温が10℃を越えないように和光純薬工業(株)製トリエチルアミン(50.4mmol)を滴下し、滴下終了後10℃以下で中間体1(20.1mmol)を添加した。5℃以下で1時間攪拌した後、室温下で5時間さらに攪拌し、該反応液に水100mLを加え抽出した。分液した有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで脱水し、有機層をエバポレーターで減圧濃縮して、下記式(A2)で表される化合物を得た。得られた化合物を、中間体2とする。
【0201】
【化38】
【0202】
合成例3
3つ口フラスコにC.I.ベーシックブルー7(2.70mmol)、水300mLを仕込み、攪拌しながら80℃に加熱し、溶解するまで攪拌した。その後、中間体2(5.40mmol)を水10mLに溶解した溶液を加え、同温度で1時間加熱した。反応溶液を室温まで放令した後、−15℃で12時間放置した。その後、室温まで戻し、デカンテーションにより上澄み液を除去した。残渣に氷水100mLを注いで洗浄を行った。同操作を3回繰り返した。得られた固体を60℃で減圧乾燥し、青黒い固体450mgを得た。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、得られた化合物が下記式(A3)で表される化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−1)とする。
【0203】
【化39】
【0204】
合成例4
合成例2において、中間体1に代えてメタクリル酸クロリドを使用した以外は同様にして、下記式(A4)で表される化合物を得た。得られた化合物を、中間体3とする。
【0205】
【化40】
【0206】
合成例5
合成例3において、中間体2に代えて中間体3を使用した以外は同様にして着色剤を合成した。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、得られた化合物が下記式(A5)で表される化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−2)とする。
【0207】
【化41】
【0208】
合成例6
合成例3において、C.I.ベーシックブルー7に代えてメチン系塩基性染料であるC.I.ベーシックバイオレット16を使用した以外は同様にして着色剤を合成した。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、目的化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−3)とする。
【0209】
合成例7
合成例3において、C.I.ベーシックブルー7に代えてメチン系塩基性染料であるC.I.ベーシックレッド13を使用した以外は同様にして着色剤を合成した。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、目的化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−4)とする。
【0210】
合成例8
合成例3において、C.I.ベーシックブルー7に代えてメチン系塩基性染料であるC.I.ベーシックイエロー21を使用した以外は同様にして着色剤を合成した。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、目的化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−5)とする。
【0211】
合成例9
合成例3において、C.I.ベーシックブルー7に代えてアゾ系塩基性染料であるC.I.ベーシックブルー41を使用した以外は同様にして着色剤を合成した。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、目的化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−6)とする。
【0212】
合成例10
合成例3において、C.I.ベーシックブルー7に代えてアゾ系塩基性染料であるC.I.ベーシックイエロー25を使用した以外は同様にして着色剤を合成した。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、目的化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−7)とする。
【0213】
合成例11
合成例3において、C.I.ベーシックブルー7に代えてアゾ系塩基性染料であるC.I.ベーシックオレンジ24を使用した以外は同様にして着色剤を合成した。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、目的化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−8)とする。
【0214】
合成例12
合成例3において、C.I.ベーシックブルー7に代えてジアリールメタン系塩基性染料であるC.I.ベーシックイエロー2を使用した以外は同様にして着色剤を合成した。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、目的化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−9)とする。
【0215】
合成例13
合成例3において、C.I.ベーシックブルー7に代えてキノンイミン系塩基性染料であるC.I.ベーシックブルー3を使用した以外は同様にして着色剤を合成した。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、目的化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−10)とする。
【0216】
合成例14
合成例3において、C.I.ベーシックブルー7に代えてキノンイミン系塩基性染料であるC.I.ベーシックレッド2を使用した以外は同様にして着色剤を合成した。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、目的化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−11)とする。
【0217】
合成例15
合成例3において、C.I.ベーシックブルー7に代えてアントラキノン系塩基性染料であるC.I.ベーシックブルー22を使用した以外は同様にして着色剤を合成した。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、目的化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−12)とする。
【0218】
合成例16
合成例3において、C.I.ベーシックブルー7に代えてキサンテン系塩基性染料であるC.I.ベーシックバイオレット11:1を使用した以外は同様にして着色剤を合成した。
1H−NMRスペクトル(溶剤:重水素化クロロホルム)測定により、目的化合物であることを確認した。得られた化合物を、染料(A−13)とする。
【0219】
2.本着色剤の評価
上記各合成例で得られた染料(A−1)〜(A−13)は、いずれもシクロヘキサノンに10質量%以上溶解した。
また、染料(A−1)〜(A−13)の、熱重量−示差熱同時測定分析に基づく5%質量減少温度は、いずれも250℃以上であった。一方、C.I.ベーシックブルー7、C.I.ベーシックバイオレット16、C.I.ベーシックレッド13、C.I.ベーシックイエロー21、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックイエロー25、C.I.ベーシックオレンジ24、C.I.ベーシックイエロー2、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックレッド2、C.I.ベーシックブルー22及びC.I.ベーシックバイオレット11:1の、熱重量−示差熱同時測定分析に基づく5%質量減少温度は、いずれも200℃未満であった。なお、熱重量−示差熱同時測定分析に基づく5%質量減少温度が高いほど、着色剤の耐熱性が高いと言える。
【0220】
<顔料分散液の調製>
調製例1
着色剤としてC.I.ピグメントバイオレット23を15質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)12.5質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート72.5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(a−1)を調製した。
【0221】
<染料溶液の調製>
調製例2
染料(A−1)15重量部と、シクロヘキサノン85重量部とを混合し、染料溶液(A−1)を調製した。
【0222】
調製例3
調製例2において、染料(A−1)に代えて染料(A−2)を用いた以外は、調製例2と同様にして、染料溶液(A−2)を調製した。
【0223】
調製例4
調製例2において、染料(A−1)に代えてC.I.ベーシックブルー7を用いた以外は、調製例2と同様にして、染料溶液(A−3)を調製した。
【0224】
調製例5
調製例2において、染料(A−1)に代えて染料(A−4)を用いた以外は、調製例2と同様にして、染料溶液(A−4)を調製した。
【0225】
調製例6
調製例2において、染料(A−1)に代えて染料(A−6)を用いた以外は、調製例2と同様にして、染料溶液(A−5)を調製した。
【0226】
調製例7
調製例2において、染料(A−1)に代えて染料(A−11)を用いた以外は、調製例2と同様にして、染料溶液(A−6)を調製した。
【0227】
調製例8
調製例2において、染料(A−1)に代えて染料(A−13)を用いた以外は、調製例2と同様にして、染料溶液(A−7)を調製した。
【0228】
<バインダー樹脂の合成>
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度33質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mwが12,200、Mnが6,500であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(B1)」とする。
【0229】
<電圧保持率の評価>
実施例1
染料溶液(A−1)7.2質量部、バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B1)溶液9.9質量部、架橋剤として東亞合成株式会社製M−402(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)15.4質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名IRGACURE369)1.8質量部、NCI−930(ADEKA社製)0.1重量部、フッ素系界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)0.2質量部、及び溶媒として乳酸エチルを混合して、固形分濃度20質量%の着色組成物(CR1)を調製した。
【0230】
表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が形成され、さらにITO(インジウム−酸化錫合金)電極を所定形状に蒸着したソーダガラス基板上に、得られた着色組成物(CR1)をスピンコートした後、100℃のホットプレートで1分間プレベークを行って、膜厚2.0μmの被膜を形成した。次いで、フォトマスクを介さずに、被膜に700J/m
2の露光量で露光した。その後、この基板を23℃の0.04質量%の水酸化カリウム水溶液からなる現像液に1分間浸漬して、現像した後、超純水で洗浄して風乾し、さらに230℃で30分間ポストベークを行い、被膜を硬化させて、永久硬化膜を形成した。次いで、この画素を形成した基板とITO電極を所定形状に蒸着しただけの基板とを、1.8mmのガラスビーズを混合したシール剤で貼り合わせた後、メルク製液晶(MLC6608)を注入して、液晶セルを作製した。次いで、液晶セルを60℃の恒温層に入れて、液晶セルの電圧保持率を液晶電圧保持率測定システム(VHR−1A型、東陽テクニカ社製)により測定した。このときの印加電圧は5.5Vの方形波、測定周波数は60Hzとした。ここで電圧保持率とは、(16.7ミリ秒後の液晶セル電位差/0ミリ秒で印加した電圧)により求められる値である。液晶セルの電圧保持率が90%以下であると、液晶セルは16.7ミリ秒の時間、印加電圧を所定レベルに保持できず、十分に液晶を配向させることができないことを意味し、残像等の「焼き付き」を起こすおそれがある。結果を表1に示す。
【0231】
実施例2〜6及び比較例1
実施例1において、染料溶液の種類を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、着色組成物(CR2)〜(CR7)を調製した。
次いで、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、電圧保持率を測定した。結果を表1に示す。
【0232】
【表1】
【0233】
<色度特性及びコントラストの評価>
実施例7
顔料分散液(a−1)13.5質量部、染料溶液(A−1)7.2質量部、バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B1)溶液9.9質量部、架橋剤として東亞合成株式会社製M−402(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)15.4質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名IRGACURE369)1.8質量部、NCI−930(ADEKA社製)0.1重量部、フッ素系界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)0.2質量部、及び溶媒として乳酸エチルを混合して、固形分濃度20質量%の着色組成物(CR8)を調製した。
【0234】
着色組成物(CR8)を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、80℃のホットプレートで10分間プレベークを行って塗膜を形成した。スピンコーターの回転数を変えて同様の操作により、膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。
次いで、これらの基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を2,000J/m
2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に230℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、評価用硬化膜を形成した。
【0235】
色度特性の評価
得られた3枚の硬化膜について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。また、得られた硬化膜の膜厚を、KLA−Tencor製アルファステップIQを用いて測定した。測定結果より、色度座標値y=0.080での色度座標値x、刺激値(Y)及び膜厚を求めた。評価結果を表2に示す。なお、刺激値(Y)が高いほど輝度が高く、膜厚が薄いほど着色剤の着色力が大きいと言える。
【0236】
コントラストの評価
硬化膜が形成された基板を2枚の偏向板で挟み、背面側から蛍光灯(波長範囲380〜780nm)で照射しつつ前面側の偏向板を回転させ、輝度計LS−100(ミノルタ(株)製)により透過する光強度の最大値と最小値を測定した。そして、各々の硬化膜について、最大値を最小値で除した値をコントラスト比とした。測定結果より、色度座標値y=0.080でのコントラスト比を求めた。評価結果を表2に示す。
【0237】
実施例8、比較例2
実施例7において、顔料分散液及び染料溶液の種類及び量を表2に示すように変更した以外は実施例7と同様にして着色組成物(CR9)〜(CR10)を調製した。そして、得られた着色組成物(CR9)〜(CR10)について、実施例7と同様にして評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0238】
【表2】