特許第5924270号(P5924270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5924270ゴム組成物の製造方法およびタイヤの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924270
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】ゴム組成物の製造方法およびタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 15/00 20060101AFI20160516BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20160516BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20160516BHJP
   C08C 19/25 20060101ALI20160516BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20160516BHJP
   B60C 1/00 20060101ALN20160516BHJP
【FI】
   C08L15/00
   C08K3/36
   C08K5/098
   C08C19/25
   C08J3/20 ZCEQ
   !B60C1/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-556921(P2012-556921)
(86)(22)【出願日】2012年2月9日
(86)【国際出願番号】JP2012052928
(87)【国際公開番号】WO2012108488
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2014年7月3日
(31)【優先権主張番号】特願2011-26042(P2011-26042)
(32)【優先日】2011年2月9日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078754
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 正彦
(72)【発明者】
【氏名】柴田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】岡田 公二
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−8870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 15/00
C08C 19/25
C08J 3/20
C08K 3/36
C08K 5/098
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカと結合し得る官能基を有する共役ジエン系重合体を含有するゴム成分と、金属含有アシレート化合物と、シリカとを混練することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
【請求項2】
前記シリカと結合し得る官能基を有する共役ジエン系重合体、前記金属含有アシレート化合物および前記シリカと共に、前記共役ジエン系重合体以外のゴム成分として、シリカと結合し得る官能基を有さない重合体を混練することを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項3】
前記シリカと結合し得る官能基を有さない重合体、用いられる前記シリカの一部若しくは全部、および前記金属含有アシレート化合物を混練し、その後、前記シリカと結合し得る官能基を有する共役ジエン系重合体を添加して混練することを特徴とする請求項2に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項4】
前記共役ジエン系重合体におけるシリカと結合し得る官能基が、ヒドロカルビルオキシシリル基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、チオール基、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタン基、ヒドロカルビルチオ基、およびオニウム生成剤によってオニウムになり得る基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項5】
前記金属含有アシレート化合物が、下記一般式(1)または下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
一般式(1):M1 −(OCOR1 n
(一般式(1)において、M1 は2〜4価の金属元素、R1 は、炭素数が1〜20の炭化水素基を示し、nは2〜4の整数である。)
一般式(2):O=M2 −(OCOR2 2
(一般式(2)において、M2 は4価の金属元素、R2 は、炭素数が1〜20の炭化水素基を示す。)
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の製造方法によって得られるゴム組成物から少なくともトレッドを製造することを特徴とするタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物製造方法およびタイヤの製造方法に関し、更に詳しくは、例えばタイヤのトレッド用として好適なゴム組成物製造方法、およびこの製造方法によって得られるゴム組成物を用いるタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のタイヤのトレッドに用いられるゴム組成物としては、共役ジエン系ゴムよりなるゴム成分と共に、補強剤としてカーボンブラックが配合されてなるものが知られている。
また、近年においては、自動車に対する低燃費化の要請が高まってきていることから、このような要請に応じるべく、タイヤの転がり抵抗を低減させることを目的として、補強剤としてシリカが用いられてきている。
そして、補強剤としてシリカが配合されてなるゴム組成物においては、シリカ同士が凝集しやすく、組成物中において均一に分散させることが困難であることから、このような問題を解決すべく、種々の提案がなされている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−95724号公報
【特許文献2】国際公開第02/00779号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、本発明者らは補強剤としてシリカが配合されてなるゴム組成物について研究を重ねた結果、ゴム組成物中におけるシリカの分散性が過度に高くなると、当該ゴム組成物から得られるゴム弾性体に十分な反発弾性が得られなくなってしまう、という問題が生じることが明らかとなった。
【0005】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、転がり抵抗が小さく、しかも、優れた反発弾性を有するゴム弾性体を得ることのできるゴム組成物製造方法を提供することにある。
また本発明の他の目的は、転がり抵抗が小さく、しかも、優れた反発弾性を有するタイヤの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゴム組成物の製造方法は、シリカと結合し得る官能基を有する共役ジエン系重合体を含有するゴム成分と、金属含有アシレート化合物と、シリカとを混練することを特徴とする。
【0007】
本発明のゴム組成物の製造方法においては、前記シリカと結合し得る官能基を有する共役ジエン系重合体、前記金属含有アシレート化合物およびシリカと共に、前記共役ジエン系重合体以外のゴム成分として、シリカと結合し得る官能基を有さない重合体を混練することが好ましい。
また、本発明のゴム組成物の製造方法においては、前記シリカと結合し得る官能基を有さない重合体、用いられる前記シリカの一部若しくは全部、および前記金属含有アシレート化合物を混練し、その後、前記シリカと結合し得る官能基を有する共役ジエン系重合体を添加して混練することが好ましい。
【0008】
また、本発明のゴム組成物の製造方法においては、前記共役ジエン系重合体におけるシリカと結合し得る官能基が、ヒドロカルビルオキシシリル基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、チオール基、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタン基、ヒドロカルビルチオ基、およびオニウム生成剤によってオニウムになり得る基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基であることが好ましい。
【0009】
また、本発明のゴム組成物の製造方法においては、前記金属含有アシレート化合物が、下記一般式(1)または下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0010】
一般式(1):M1 −(OCOR1 n
(一般式(1)において、M1 は2〜4価の金属元素、R1 は、炭素数が1〜20の炭化水素基を示し、nは2〜4の整数である。)
一般式(2):O=M2 −(OCOR2 2
(一般式(2)において、M2 は4価の金属元素、R2 は、炭素数が1〜20の炭化水素基を示す。)
【0014】
本発明のタイヤの製造方法は、上記の製造方法によって得られるゴム組成物から少なくともトレッドを製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のゴム組成物の製造方法によれば、シリカと結合し得る官能基を有する共役ジエン系重合体を含有するゴム成分と、金属含有アシレート化合物と、シリカとを混練するため、共役ジエン系重合体における官能基がシリカと結合することにより、シリカの分散性が向上すると共に、金属含有アシレート化合物によって、シリカ間において当該シリカにおけるシラノール基が縮合し、これにより、シリカの凝集体が形成される結果、シリカが過度に分散されることが抑制される。
本発明の製造方法によって得られるゴム組成物によれば、ゴム成分としてシリカと結合し得る官能基を有する共役ジエン系重合体が含有されているため、当該官能基がシリカと結合することにより、シリカの分散性が向上し、しかも、金属含有アシレート化合物が含有されているため、シリカ間において当該シリカにおけるシラノール基が縮合し、これにより、シリカの凝集体が形成される結果、シリカが過度に分散されることが抑制されるので、転がり抵抗が小さく、しかも、優れた反発弾性を有するゴム弾性体を得ることができる。
従って、本発明の製造方法によって得られるゴム組成物は、タイヤのトレッドを得るためのゴム組成物として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のゴム組成物は、シリカと結合し得る官能基(以下、「特定の官能基」という。)を有する共役ジエン系重合体(以下、「特定の官能基含有共役ジエン系重合体」という。)よりなる(A)成分を含むゴム成分に、少なくとも金属含有アシレート化合物よりなる(B)成分およびシリカよりなる(C)成分が添加されてなるものである。また、本発明のゴム組成物には、上記の(A)成分〜(C)成分と共に、必要に応じて(A)成分以外のゴム成分として特定の官能基を有さない重合体よりなる(D)成分が含有される。
【0017】
<(A)成分>
(A)成分である特定の官能基含有共役ジエン系重合体は、本発明のゴム組成物におけるゴム成分を構成するものである。この特定の官能基含有共役ジエン系重合体は、分子量分布のコントロールが容易であるため、転がり抵抗を悪化させる要因となる低分子量成分を除去することができる。
【0018】
このような特定の官能基含有共役ジエン系重合体において、ベースポリマーとなる共役ジエン系重合体としては、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体を用いることができる。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどを、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらの中では、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが好ましい。
また、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、tert−ブトキシジメチルシリルスチレンおよびイソプロポキシジメチルシリルスチレンなどを、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらの中では、スチレンが好ましい。
【0019】
ベースポリマーとなる共役ジエン系重合体の好ましい具体例としては、ブタジエン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、およびスチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体などが挙げられる。
【0020】
特定の官能基含有共役ジエン系重合体において、特定の官能基としては、シリカにおけるシラノール基と結合(共有結合、水素結合、分子極性による相互作用を含む。)し得るものであれば特に限定されず、例えばヒドロカルビルオキシシリル基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、チオール基、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタン基、ヒドロカルビルチオ基、およびオニウム生成剤によってオニウムになり得る基などを用いることができるが、得られるゴム組成物よりなるゴム弾性体の転がり抵抗が充分に低減されることから、ヒドロカルビルオキシシリル基、1級アミノ基、2級アミノ基、およびオニウム生成剤によってオニウムになり得る基からなる群から選ばれた少なくとも1種の基であることが好ましい。また、1級アミノ基、2級アミノ基などは、ヒドロカルビルオキシシリル基の置換基として含有されていてもよい。
【0021】
また、オニウム生成剤によってオニウムになり得る基としては、ホスフィノ基等のリン含有基、チオール基等の硫黄含有基などが挙げられる。
【0022】
また、オニウム生成剤としては、四塩化ケイ素、トリメチルシリルクロライド、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシランなどのハロゲン化ケイ素化合物、四塩化スズ等のハロゲン化スズ化合物、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド等のハロゲン化アルミニウム化合物、四塩化チタン、チタノセンジクロライド等のハロゲン化チタン化合物、四塩化ジルコニウム、ジルコノセンジクロライド等のハロゲン化ジルコニウム化合物、四塩化ゲルマニウム等のハロゲン化ゲルマニウム化合物、三塩化ガリウム等のハロゲン化ガリウム化合物、塩化亜鉛等のハロゲン化亜鉛化合物などのハロゲン化金属化合物、硫酸ジエチル、硫酸ジメチル、ラウレス硫酸マグネシウム、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ニトロセルロース、ニトログリセリン、ニトログリコールなどのエステル化合物、弗酸、塩酸、臭酸、沃酸、硫酸、硝酸、炭酸、燐酸などの無機酸、フッ化カリウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウムなとの無機酸塩、カルボン酸、スルホン酸などの有機酸を用いることができる。
【0023】
ベースポリマーである共役ジエン系重合体に特定の官能基を導入する方法としては、ベースポリマーである共役ジエン系重合体を得るための単量体、例えば共役ジエン化合物および芳香族ビニル化合物をリビングアニオン重合し、重合停止剤として特定の官能基を有する化合物(以下、「特定の官能基含有化合物」という。)を用いて重合を停止する方法、ベースポリマーである共役ジエン系重合体を得るための単量体、例えば共役ジエン化合物および芳香族ビニル化合物と、特定の官能基を有する共役ジエン化合物と共重合可能な単量体(以下、「特定の官能基含有単量体」という。)とを共重合させる方法などを挙げることができる。
また、特定の官能基として1級アミノ基または2級アミノ基を有する特定の官能基含有化合物または特定の官能基含有単量体を用いる場合には、1級アミノ基または2級アミノ基における水素原子か、離脱可能な保護基、例えば炭素数が1〜10のトリヒドロカルビルシリル基によって置換されていてもよい。
【0024】
特定の官能基含有化合物の具体例としては、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(t−ブチルジメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(t−ブチルジメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(t−ブチルジメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(t−ブチルジメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(t−ブチルジメチルシリル)アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N,N−ビス(t−ブチルジメチルシリル)アミノプロピルジメチルエトキシシラン、およびこれらのヒドロカルビルオキシシリル基を有するアルコキシシラン化合物のうちのアミノ部位が複数のトリアルキルシリル基で保護されている化合物において、複数のトリアルキルシリル基の一部がメチル基、エチル基、プロピル基あるいはブチル基で置換されてなるアルコキシシラン化合物;
【0025】
ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−エチルメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−エチルメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエチルメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルジエチルメトキシシラン、3−エチルメチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メチル−3−エチルアミノプロピルエチルジメトキシシラン、ビス−(3−ジメチルアミノプロピル)−ジメトキシシラン、ビス−(3−エチルメチルアミノプロピル)−ジエトキシシラン、ビス−[(3−ジメチルアミノ−3−メチル)プロピル]−ジメトキシシラン、ビス−[(3−エチルメチルアミノ−3−メチル)プロピル]−ジメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエチルエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルジエチルエトキシシラン、3−エチルメチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−エチルメチルアミノプロピルエチルジエトキシシラン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、3−ジ(メトキシメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジ(メトキシエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジ(メトキシメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジ(メトキシエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジ(エトキシエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジ(エトキシメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジ(エトキシエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジ(エトキシメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリメトキシシリル)−2−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(メチルジエトキシシリル)−3−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(エチルジメトキシシリル)−4−プロパンアミン;
【0026】
N,N' ,N' −トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N' ,N' −トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N' ,N' −トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N' ,N' −トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、およびこれらのヒドロカルビルオキシシリル基を有するアルコキシシラン化合物のうちのアミノ部位が複数のトリアルキルシリル基で保護されている化合物において、複数のトリアルキルシリル基の一部がメチル基、エチル基、プロピル基あるいはブチル基で置換されてなるアルコキシシラン化合物;
【0027】
N−〔3−(トリメトキシシリル)−プロピル〕−N,N' −ジエチル−N' −トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、N−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕−N,N' −ジエチル−N' −トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、N−[3−(メチルジメトキシシリル)−プロピル]−N,N' −ジエチル−N' −トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、N−[3−(メチルジメトキシシリル)−プロピル]−N,N' −ジエチル−N' −トリメチルシリル−p−フェニレンジアミン、N−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕−N,N' −ジエチル−N' −トリメチルシリル−p−フェニレンジアミン、N−〔3−(ジエトキシメチルシリル)−プロピル〕−N−エチル−N' −(2−エトキシエチル)−N' −トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、N−〔3−(トリプロポキシシリル)−プロピル〕−N−プロピル−N' −(2−エトキシエチル)−N' −トリエチルシリル−p−フェニレンジアミン、N−〔2−(ジエトキシメチルシリル)−1−メチルエチル〕−N−エチル−N' −(2−ジエチルアミノ−エチル)N' −トリエチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、N−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕−N−エチル−N' −(2−ジエチルアミノエチル)−N' −トリエチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、N−[2−(トリメトキシシリル)−エチル]−N,N' ,N' −トリメチルエタン−1,2−ジアミン、N−[2−(ジメトキシメチルシリル)−エチル]−N−エチル−N' ,N' −ジメチルエタン−1,2−ジアミン、N−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−N,N' ,N' −トリメチルプロパン−1,3−ジアミン、N−[3−(ジメトキシメチルシリル)−プロピル]−N−エチル−N' ,N' −ジメチルプロパン−1,3−ジアミン、N−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−N,N' ,N' −トリエチル−2−メチルプロパン−1,3−ジアミン、N−[3−(ジメトキシメチルシリル)−プロピル]−2,N,N' ,N' −テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N−(2−ジメチルアミノエチル)−N' −[2−(トリメトキシシリル)−エチル]−N,N' −ジメチルエタン−1,2−ジアミン、N−[2−(ジエトキシプロピルシリル)−エチル]−N' −(3−エトキシプロピル)−N,N' −ジメチルエタン−1,2−ジアミン、N−[2−(トリメトキシシリル)−エチル]−N' −メトキシメチル−N,N' −ジメチルエタン−1,2−ジアミン、N−[2−(トリメトキシシリル)−エチル]−N,N' −ジメチル−N' −(2−トリメチルシリルエチル)−エタン−1,2−ジアミン、N−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−N,N' −ジエチル−N' −(2−ジブチルメトキシシリルエチル)−エタン−1,2−ジアミン、
【0028】
1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、3−〔3−(トリメチルシリルエチルアミノ)−1−ピロリジニル〕−プロピル−メチルジエトキシシラン、3−〔3−(トリメチルシリルプロピルアミノ)−1−ピロリジニル〕−プロピル−トリエトキシシラン、3−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジノ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジノ)プロピルトリブトキシシラン、4−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジニル)ブチルトリエトキシシラン、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(ジエトキシエチルシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、2−(トリエトキシシリル)−1,4−ジエチルピペラジン、2−(ジメトキシメチルシリル)−1,4−ジメチルピペラジン、2−(3−トリエトキシシリル−プロピル)−1,4−ジエチルピペラジン、2−(3−ジメトキシメチルシリル−プロピル)−1,4−ジメチルピペラジン、3−ピペリジノプロピルトリメトキシシラン、3−ピペリジノプロピルトリエトキシシラン、3−ピペリジノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ピペリジノプロピルエチルジメトキシシラン、3−ピペリジノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ピペリジノプロピルエチルジエトキシシラン、3−(3−トリメチルシリル−1−イミダゾリジニル)プロピルエチルジエトキシシラン、3−(3−トリメチルシリル−1−イミダゾリジニル)プロピルトリエトキシシラン、1−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−3−メチルイミダゾリジン、1−[3−(ジエトキシエチルシリル)−プロピル]−3−エチルイミダゾリジン、1−(2−エトキシエチル)−3−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−イミダゾリジン、2−(トリメトキシシリル)−1,3−ジメチルイミダゾリジン、2−(3−トリメトキシシリル−プロピル)−1,3−ジメチルイミダゾリジン、2−(ジエトキシエチルシリル)−1,3−ジエチルイミダゾリジン、2−[3−(2−ジメチルアミノエチル)−2−(エチルジメトキシシリル)−イミダゾリジン−1−イル]−エチル−ジメチルアミン、2−(3−ジエトキシエチルシリル−プロピル)−1,3−ジエチルイミダゾリジン、2−[3−(2−ジメチルアミノエチル)−2−(3−エチルジメトキシシリル−プロピル)−イミダゾリジン−1−イル]−エチル−ジメチルアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−イミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−イミダゾール、
【0029】
3−(3−トリメチルシリル−1−ヘキサヒドロピリミジニル)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(3−トリメチルシリル−1−ヘキサヒドロピリミジニル)プロピルトリエトキシシラン、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、1−[3−(ジメトキシメチルシリル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、3−[3−(トリブトキシシリル)−プロピル]−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、3−[3−(ジメトキシメチルシリル)−プロピル]−1−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、2−{3−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−テトラヒドロピリミジン−1−イル}−エチルジメチルアミン、5−(トリエトキシシリル)−1,3−ジプロピルヘキサヒドロピリミジン、5−(ジエトキシエチルシリル)−1,3−ジエチルヘキサヒドロピリミジン、5−(トリメトキシシリル)−1,3−ビス−(2−メトキシエチル)−ヘキサヒドロピリミジン、5−(エチルジメトキシシラニル)−1,3−ビス−トリメチルシラニルヘキサヒドロピリミジン、5−(3−トリエトキシシリル−プロピル)−1,3−ジプロピルヘキサヒドロピリミジン、5−(3−ジエトキシエチルシリル−プロピル)−1,3−ジエチルヘキサヒドロピリミジン、5−(3−トリメトキシシリル−プロピル)−1,3−ビス−(2−メトキシエチル)−ヘキサヒドロピリミジン、5−(3−エチルジメトキシシリル−プロピル)−1,3−ビス−(2−トリメチルシリルエチル)−ヘキサヒドロピリミジン、
【0030】
3−モルホリノプロピルトリメトキシシラン、3−モルホリノプロピルトリエトキシシラン、3−モルホリノプロピルメチルジメトキシシラン、3−モルホリノプロピルエチルジメトキシシラン、3−モルホリノプロピルメチルジエトキシシラン、3−モルホリノプロピルエチルジエトキシシラン、3−ヘキサメチレンイミノプロピルトリメトキシシラン、3−ヘキサメチレンイミノプロピルトリエトキシシラン、3−ヘキサメチレンイミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ヘキサメチレンイミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−ヘキサメチレンイミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ヘキサメチレンイミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(メチルジエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(エチルジメトキシシリル)−1−プロパンアミン、 [(3−メチル−3−エチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[(3−メチル−3−エチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、P,P−ビス(トリメチルシリル)ホスフィノプロピルメチルジメトキシシラン、P,P−ビス(トリメチルシリル)ホスフィノプロピルトリメトキシシラン、P,P−ビス(トリメチルシリル)ホスフィノプロピルトリエトキシシラン、P,P−ビス(トリメチルシリル)ホスフィノプロピルメチルジエトキシシラン、P,P−ビス(トリメチルシリル)ホスフィノエチルトリメトキシシラン、P,P−ビス(トリメチルシリル)ホスフィノエチルトリエトキシシラン、P,P−ビス(トリメチルシリル)ホスフィノエチルメチルジメトキシシラン、P,P−ビス(トリメチルシリル)ホスフィノエチルメチルジエトキシシラン、
【0031】
3−ジメチルフォスフィノプロピルトリメトキシシラン、3−ジエチルフォスフィノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルフォスフィノプロピルトリエトキシシラン、3−ジエチルフォスフィノプロピルトリエトキシシラン、3−エチルメチルフォスフィノプロピルトリメトキシシラン、3−エチルメチルフォスフィノプロピルトリエトキシシラン、3−ジメチルフォスフィノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ジエチルフォスフィノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ジメチルフォスフィノプロピルエチルジメトキシシラン、3−ジエチルフォスフィノプロピルエチルジメトキシシラン、3−ジメチルフォスフィノプロピルジメチルメトキシシラン、3−ジメチルフォスフィノプロピルジエチルメトキシシラン、3−ジエチルフォスフィノプロピルジメチルメトキシシラン、3−ジエチルフォスフィノプロピルジエチルメトキシシラン、3−エチルメチルフォスフィノプロピルメチルジメトキシシラン、3−エチルメチルフォスフィノプロピルエチルジメトキシシラン、3−ジメチルフォスフィノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ジエチルフォスフィノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ジメチルフォスフィノプロピルエチルジエトキシシラン、3−ジエチルフォスフィノプロピルエチルジエトキシシラン、3−ジメチルフォスフィノプロピルジメチルエトキシシラン、3−ジメチルフォスフィノプロピルジエチルエトキシシラン、3−ジエチルフォスフィノプロピルジメチルエトキシシラン、3−ジエチルフォスフィノプロピルジエチルエトキシシラン、3−エチルメチルフォスフィノプロピルメチルジエトキシシラン、3−エチルメチルフォスフィノプロピルエチルジエトキシシラン、3−ジフェニルフォスフィノプロピルトリメトキシシラン、3−ジフェニルフォスフィノプロピルトリエトキシシラン、3−ジフェニルフォスフィノプロピルメリルジメトキシシラン、3−ジフェニルフォスフィノプロピルメリルジエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルトリメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルトリエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルメチルジメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0032】
これらのうちでは、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、N,N' ,N' −トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N−〔3−(トリメトキシシリル)−プロピル〕−N,N' −ジエチル−N' −トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、N−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕−N,N' −ジエチル−N' −トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、3−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジノ)プロピルトリエトキシシラン、N−[2−(トリメトキシシリル)−エチル]−N,N' ,N' −トリメチルエタン−1,2−ジアミン、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、2−(トリメトキシシリル)−1,3−ジメチルイミダゾリジン、2−(3−トリメトキシシリル−プロピル)−1,3−ジメチルイミダゾリジン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−イミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−イミダゾール、ビス−(3−ジメチルアミノプロピル)−ジメトキシシラン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、3−ジフェニルフォスフィノプロピルトリメトキシシラン、3−ジフェニルフォスフィノプロピルトリエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジエトキシシランが好ましい。
【0033】
また、特定の官能基含有単量体の具体例としては、例えば、1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、1−(4−N,N−ジエチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、1−(4−N,N−ジプロピルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、1−(4−N,N−ジブチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、1−(4−N,N−ジメトキシアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、1−(4−N,N−ジエトキシアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、1−(4−N,N−ジプロポキシアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、1−(4−N,N−ジブトキシアミノフェニル)−1−フェニルエチレンなどが挙げられる。これらの中では、省燃費性が著しく改善されるという観点から、1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレンが好ましい。
【0034】
このような特定の官能基含有共役ジエン系重合体においては、共役ジエン化合物に由来の構造単位中の1,2−ビニル結合の含有量が30〜70mol%であることが好ましい。1,2−ビニル結合の含有量が過小である場合には、ゴム組成物から得られるゴム弾性体におけるウェットグリップ性能と転がり抵抗とのバランスが悪化するおそれがある。一方、1,2−ビニル結合の含有量が過大である場合には、ゴム組成物から得られるゴム弾性体が耐摩耗性が著しく小さいものとなるおそれがある。
ここに、共役ジエン化合物に由来の構造単位中の1,2−ビニル結合の含有量は、500MHz、 1H−NMRスペクトルから算出することができる。
【0035】
<(B)成分>
(B)成分である金属含有アシレート化合物は、後述するシリカにおけるシラノール基を縮合させる作用を有するものである。このような金属含有アシレート化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(1)または下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0036】
一般式(1):M1 −(OCOR1 n
(一般式(1)において、M1 は2〜4価の金属元素、R1 は、炭素数が1〜20の炭化水素基を示し、nは2〜4の整数である。)
【0037】
一般式(2):O=M2 −(OCOR2 2 (一般式(2)において、M2 は4価の金属元素、R2 は、炭素数が1〜20の炭化水素基を示す。)
【0038】
一般式(1)および一般式(2)において、M1 およびM2 で示される金属元素は、周期律表の4族、8族、12族、13族、14族および15族に含まれる金属元素であることが好ましく、このような金属元素の好適な具体例としては、チタン、 鉄、ジルコニウム、 アルミニウム、 ビスマス、スズなどが挙げられる。
【0039】
一般式(1)で表される金属含有アシレート化合物の具体例としては、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタニウム、 テトラキス(ラウレート)チタニウム、テトラキス(ナフテート)チタニウム、 テトラキス(ステアレート)チタニウム、 テトラキス(オレエート)チタニウム、 テトラキス(リノレート)チタニウム等のM1 が4価のチタンであるアシレート化合物、
トリス(2−エチルヘキサノエート)鉄、トリス(ラウレート)鉄、トリス(ナフテート)鉄、トリス(ステアレート)鉄、トリス(オレエート)鉄、トリス(リノレート)鉄等のM1 が3価の鉄であるアシレート化合物、
テトラキス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフテート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、 テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウム等のM1 が4価のジルコニウムであるアシレート化合物、
トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ラウレート)アルミニウム、トリス(ナフテート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、トリス(オレエート)アルミニウム、トリス(リノレート)アルミニウム等のM1 が3価のアルミニウムであるアシレート化合物、
トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス等のM1 が3価のビスマスであるアシレート化合物、
ビス(n−オクタノエート)スズ、 ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、 ジラウレートスズ、 ジナフトエネートスズ、 ジステアレートスズ、 ジオレエートスズ等のM1 が2価のスズであるアシレート化合物などが挙げられる。
これらの中では、 トリス(2−エチルヘキサノエート)鉄、 トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズが好ましい。
【0040】
一般式(2)で表される金属含有アシレート化合物の具体例としては、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタニウムオキサイド、ビス(ラウレート)チタニウムオキサイド、ビス(ナフテート)チタニウムオキサイド、 ビス(ステアレート)チタニウムオキサイド、ビス(オレエート)チタニウムオキサイド、ビス(リノレート)チタニウムオキサイド等のM2 が4価のチタンであるアシレート化合物、
ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、 ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、 ビス(ナフテート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド等のM2 が4価のジルコニウムであるアシレート化合物などが挙げられる。
これらの中では、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイドが好ましい。
【0041】
一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物以外の金属含有アシレート化合物の具体例としては、ジブチルスズジアセテート、 ジブチルスズビス(n−オクタノエート)、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジラウレート、 ジブチルスズマレート、ジブチルスズビス(ベンジルマレート)、ジブチルスズビス(2−エチルヘキシルマレート)、ジ−n−オクチルスズジアセテート、 ジ−n−オクチルスズビス(n−オクタノエート)、ジ−n−オクチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジ−n−オクチルスズジラウレート、 ジ−n−オクチルスズマレート、 ジ−n−オクチルスズビス(ベンジルマレート)、ジ−n−オクチルスズビス(2−エチルヘキシルマレート)などが挙げられる。これらの中では、ジ−n−オクチルスズビス(2−エチルヘキシルマレート)が好ましい。
【0042】
このような(B)成分の含有量は、シリカよりなる(C)成分100質量部に対して0.5〜5質量部であることが好ましい。(B)成分の含有量が過小である場合には、反発弾性の向上幅が小さくなってしまう。一方、(B)成分の含有量が過大である場合には、熱安定性が悪化するおそれがある。
【0043】
<(C)成分>
本発明のゴム組成物中には、通常、充填剤として粒子状のシリカよりなる(C)成分が含有される。このシリカは、一般的に充填剤として用いられるものであればよいが、一次粒子径が50nm以下である合成ケイ酸であることが好ましい。
【0044】
このような(C)成分の含有量は、(A)成分および後述する(D)成分の合計100質量部に対して20〜100質量部であることが好ましい。(C)成分の含有量が過小でも過大であっても硬度および転がり抵抗のバランスが悪化してしまう。
【0045】
<(D)成分>
本発明のゴム組成物において、(D)成分である特定の官能基を有さない重合体(以下、「特定の官能基非含有重合体」という。)は、(A)成分である特定の官能基含有共役ジエン系重合体と共にゴム成分を構成するものである。
このような特定の官能基非含有重合体としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、合成イソプレンゴム、および、スチレン−ブタジエンゴムなどを用いることができる。
【0046】
このような(D)成分の含有量は、(A)成分および(D)成分の合計100質量部に対して40質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10〜35質量部である。(D)成分の含有量が過大である場合には、転がり抵抗が悪化してしまうおそれがある。
【0047】
<その他の成分>
本発明のゴム組成物においては、上記の(A)成分〜(D)成分以外に、必要に応じてその他の成分が含有されていてもよい。このようなその他の成分としては、カーボンブラックなどの補強剤、オイルなどの軟化剤、シランカップリング剤、ワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄などの加硫剤または架橋剤、加硫促進剤などが挙げられる。
【0048】
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、上記の各成分を、例えばプラストミル、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練機を用いて混練することによって調製することができるが、(D)成分である特定の官能基非含有重合体、(C)成分であるシリカの一部若しくは全部、および(B)成分である金属含有アシレート化合物を混練し(以下、この工程を「第1混練工程」という。)、その後、得られた混練物に、(A)成分である特定の官能基含有共役ジエン系重合体、或いは(A)成分である特定の官能基含有共役ジエン系重合体および(C)成分であるシリカの残部を添加して混練する(以下、この工程を「第2混練工程」という。)ことが好ましい。
このような方法によれば、得られるタイヤの反発弾性と転がり抵抗のバランスが向上する。
【0049】
本発明のゴム組成物によれば、ゴム成分として特定の官能基含有共役ジエン系重合体が含有されているため、当該特定の官能基含有共役ジエン系重合体における特定の官能基がシリカにおけるシラノール基と結合することにより、シリカの分散性が向上し、しかも、金属含有アシレート化合物が含有されているため、シリカ間において当該シリカにおけるシラノール基が縮合し、これにより、シリカの凝集体が形成される結果、シリカが過度に分散されることが抑制されるので、転がり抵抗が小さく、しかも、優れた反発弾性を有するゴム弾性体を得ることができる。
従って、本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッドを得るためのゴム組成物として好適である。
【0050】
<タイヤ>
本発明のタイヤは、上記のゴム組成物から得られるトレッドを有するものである。このタイヤは、上記のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。
すなわち、例えば本発明のゴム組成物(未架橋ゴム組成物)を、形成すべきタイヤの形状(具体的には、トレッドの形状)に応じて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形することにより、タイヤ用未架橋成形体を製造する。このタイヤ用未架橋成形体を例えば加硫機中で加熱加圧することによって、トレッドを製造し、このトレッドと他の部品を組み立てることにより、目的とするタイヤを製造することができる。
本発明のタイヤは、上記のゴム組成物から得られるトレッドを有するため、転がり抵抗が小さく、しかも、優れた反発弾性を有するものである。
【実施例】
【0051】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、各種物性値の測定法は以下の通りである。
【0052】
(1)特定の官能基含有共役ジエン系重合体における芳香族ビニル化合物(スチレン)に由来の構造単位の含有割合(以下、「結合スチレン含量」ともいう。):
重クロロホルムを溶媒として用い、500MHz、 1H−NMRスペクトルから算出した。
【0053】
(2)特定の官能基含有共役ジエン系重合体における共役ジエン化合物に由来の構造単位中の1,2−ビニル結合の含有量(以下、「ビニル結合含量」ともいう。):
500MHz、 1H−NMRスペクトルから算出した。
【0054】
(3)ガラス転移温度(Tg):
ASTM D3418に準拠して示差走査熱量測定(DSC)によって測定した。
【0055】
(4)特定の官能基含有共役ジエン系重合体に係るベースポリマーの分子量:
下記の条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)によって測定を行い、得られたGPC曲線の最大ピーク頂点に相当する保持時間から、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
【0056】
(GPC条件)
・カラム;商品名「GMHHXL」(東ソー社製)2本
・カラム温度;40℃
・移動相;テトラヒドロフラン
・流速;1.0ml/分
・サンプル濃度;10mg/20ml
【0057】
(5)ムーニー粘度:
JIS K6300に準拠し、Lローターを用い、予熱1分間、ローター作動時間4分間、温度100℃の条件で測定した。
【0058】
[特定の官能基含有共役ジエン系重合体の合成]
合成例1:
先ず、窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、溶媒としてシクロヘキサン2750g、ビニル結合含有を調整するための調整剤としてテトラヒドロフラン50g、単量体としてスチレン125gおよび1,3−ブタジエン375gを仕込み、反応器内の温度を10℃に調整した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウム5.80mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加することによって重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達したことを確認した後、重合転化率が99%に達した時点から更に5分間重合させた後、得られた反応溶液、すなわち共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とからなる共重合体を含有するポリマー溶液から、分子量測定用(ベースポリマーの分子量測定用)として10gを採取した。
その後、ポリマー溶液に、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン(以下、「特定の官能基含有化合物(1)」という。)4.96mmolを含むシクロヘキサン溶液を加えて15分間反応を行った。その後、得られたポリマー溶液に2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール2gを添加し、更に水酸化ナトリウムでpHを9に調整した熱水を用いてスチームストリッピングを行うことによって脱溶媒処理した後、110℃に調温された熱ロールによって乾燥処理することにより、特定の官能基含有共役ジエン系重合体(以下、「重合体(A1)」という。)を得た。
得られた重合体(A1)の結合スチレン含量、ビニル結合含量、ガラス転移温度、ムーニー粘度、およびベースポリマーの重量平均分子量を下記表1に示す。
【0059】
合成例2:
特定の官能基含有化合物(1)の代わりに3−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジノ)プロピルトリエトキシシラン(以下、「特定の官能基含有化合物(2)」という。)4.96mmolを用いたこと以外は、合成例1と同様にして特定の官能基含有共役ジエン系重合体(以下、「重合体(A2)」という。)を得た。
得られた重合体(A2)の結合スチレン含量、ビニル結合含量、ガラス転移温度、ムーニー粘度、およびベースポリマーの重量平均分子量を下記表1に示す。
【0060】
合成例3:
特定の官能基含有化合物(1)の代わりに[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン(以下、「特定の官能基含有化合物(3)」という。)4.96mmolを用いたこと以外は、合成例1と同様にして特定の官能基含有共役ジエン系重合体(以下、「重合体(A3)」という。)を得た。
得られた重合体(A3)の結合スチレン含量、ビニル結合含量、ガラス転移温度、ムーニー粘度、およびベースポリマーの重量平均分子量を下記表1に示す。
【0061】
合成例4(比較用):
特定の官能基含有化合物(1)の代わりにメタノール4.96mmolを用いたこと以外は、合成例1と同様にして共役ジエン系重合体(以下、「重合体(A4)」という。)を得た。
得られた重合体(A4)の結合スチレン含量、ビニル結合含量、ガラス転移温度、ムーニー粘度、およびベースポリマーの重量平均分子量を下記表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
〔実施例1〕
温度制御装置を付属したプラストミル(内容量250cc)を用い、以下のようにして本発明のゴム組成物を製造した。
(B)成分としてトリス(2−エチルヘキサノエート)鉄1質量部、(C)成分としてシリカ(東ソー・シリカ社製,品名「ニプシルAQ」,一次平均粒子径15nm)84質量部、(D)成分としてブタジエンゴム(JSR社製,品名「BR01」)30質量部、伸展油(三共油化工業社製,品名「SNH46」)45質量部、カーボンブラック6.7質量部、シランカップリング剤(デグサ社製,品名「Si69」)10質量部、ステアリン酸2.4質量部、老化防止剤(大内新興化学工業社製,品名「ノクラック810NA」)1.2質量部、および酸化亜鉛(亜鉛華)3.6質量部を、回転数60rpm、充填率72%の混練条件によって5分間混練し(第1混練工程)、その後、得られた混練物に、(A)成分として重合体(A1)70質量部を添加し、回転数60rpm、温度120℃の混練条件によって5分間混練した(第2混練工程)。
次いで、得られた混練物を室温まで冷却した後、当該混練物に、加硫促進剤「ノクセラ−CZ」(大内新興化学工業社製)2.2質量部、加硫促進剤「ノクセラ−D」(大内新興化学工業社製)1.8質量部、イオウ1.8質量部を添加し、回転数60rpm、温度80℃の混練条件によって1分間混練することにより、ゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物を「ゴム組成物(1)」とする。また、ゴム組成物(1)のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0064】
〔実施例2〕
(A)成分として重合体(A1)の代わりに重合体(A2)70質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物を「ゴム組成物(2)」とする。また、ゴム組成物(2)のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0065】
〔実施例3〕
(A)成分として重合体(A1)の代わりに重合体(A3)70質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物を「ゴム組成物(3)」とする。また、ゴム組成物(3)のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0066】
〔実施例4〕
(B)成分としてトリス(2−エチルヘキサノエート)鉄の代わりにトリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物を「ゴム組成物(4)」とする。また、ゴム組成物(4)のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0067】
〔実施例5〕
(B)成分としてトリス(2−エチルヘキサノエート)鉄の代わりにビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物を「ゴム組成物(5)」とする。また、ゴム組成物(5)のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0068】
〔比較例1〕
トリス(2−エチルヘキサノエート)鉄の代わりにテトラエトキシジルコニウム1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物を「ゴム組成物(6)」とする。また、ゴム組成物(6)のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0069】
〔比較例2〕
トリス(2−エチルヘキサノエート)鉄の代わりにトリ−n−プロポキシアルミニウム1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物を「ゴム組成物(7)」とする。また、ゴム組成物(7)のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0070】
〔比較例3〕
トリス(2−エチルヘキサノエート)鉄の代わりにテトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタニウム1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物を「ゴム組成物(8)」とする。また、ゴム組成物(8)のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0071】
〔比較例4〕
重合体(A1)の代わりに重合体(A4)70質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物を「ゴム組成物(9)」とする。また、ゴム組成物(9)のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0072】
〔比較例5〕
トリス(2−エチルヘキサノエート)鉄を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物を「ゴム組成物(10)」とする。また、ゴム組成物(10)のムーニー粘度を下記表2に示す。
【0073】
〈ゴム組成物の評価〉
ゴム組成物(1)〜ゴム組成物(10)の各々を成型した後、加硫プレス機を用いて160℃の条件で加硫処理することにより、ゴム弾性体を調製し、これらのゴム弾性体について、下記の特性評価を行った。結果を下記表2に示す。
【0074】
(1)反発弾性:
トリプソ式反発弾性試験(東洋精機製作所製)を用い、50℃の条件で測定し、比較例5に係るゴム弾性体の値を100としたときの指数を求めた。この指数の値が大きいほど反発弾性が大きく良好であることが示される。
(2)ウェットスキッド抵抗性(0℃tanδ):
動的スペクトロメーター(米国レオメトリックス社製)を用い、引張動歪0.14%、角速度100ラジアン毎秒、温度0℃の条件で測定し、比較例5に係るゴム弾性体の値を100としたときの指数を求めた。この指数の値が大きいほどウェットスキッド抵抗性が大きく良好であることが示される。
(3)低ヒステリシスロス特性(70℃tanδ):
動的スペクトロメーター(米国レオメトリックス社製)を使用し、引張動歪0.7%、角速度100ラジアン毎秒、温度70℃の条件で測定し、比較例5に係るゴム弾性体の値を100としたときの指数を求めた。この指数の値が大きいほど低ヒステリシスロス特性が大きく良好であることが示される。
【0075】
【表2】
【0076】
表2の結果から明らかなように、実施例1〜5に係るゴム組成物によれば、転がり抵抗が小さく、しかも、優れた反発弾性を有するゴム弾性体が得られることが確認された。