(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について詳細に説明する。
【0012】
−(A)着色剤−
本発明の着色組成物は、着色剤として(a1)レーキ顔料を含有する。レーキ顔料とは、可溶性である染料を沈殿剤により不溶性の顔料としたものをいい、沈殿剤としては、例えば、塩化バリウム、塩化カルシウム、硫酸アンモニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、酢酸鉛、タンニン酸、カタノール、タモール、イソポリ酸、ヘテロポリ酸等が挙げられる。イソポリ酸としては、例えば、イソポリタングステン酸、イソポリバナジン酸、イソポリモリブデン酸等が挙げられ、またヘテロポリ酸としては、例えば、フォスフォタングステン酸、フォスフォモリブデン酸、フォスフォタングステン・モリブデン酸、シリコタングステンモリブデン酸、シリコタングステン酸、シリコモリブデン酸等を挙げることができる。これらのうち、沈殿剤としては、イソポリ酸、ヘテロポリ酸が好ましく、モリブデン原子を含有するヘテロポリ酸がより好ましく、フォスフォタングステン・モリブデン酸がさらに好ましい。
【0013】
このようなレーキ顔料としては、例えば、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0014】
C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー61:1、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー133、C.I.ピグメントイエロー169、C.I.ピグメントイエロー183、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー191:1、C.I.ピグメントイエロー206、C.I.ピグメントイエロー209、C.I.ピグメントイエロー209:1、C.I.ピグメントイエロー212;
【0015】
C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド49:3、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド54、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58、C.I.ピグメントレッド58:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:3、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド63:3、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントレッド237、C.I.ピグメントレッド239、C.I.ピグメントレッド247;
【0016】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット39;
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー24、C.I.ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62;
C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4。
【0017】
これらのレーキ顔料のうち、トリアリールメタン系レーキ顔料及びキサンテン系レーキ顔料から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特にC.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット39等のトリアリールメタン系レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド81:2、C.I.ピグメントレッド81:3、C.I.ピグメントレッド81:4、C.I.ピグメントレッド81:5、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット1:1、C.I.ピグメントバイオレット1:2、C.I.ピグメントバイオレット2等のキサンテン系レーキ顔料が色度特性の観点から好ましい。また、特開2011-150195号公報、特開2011-186043号公報等に開示されている、イソポリ酸又はヘテロポリ酸を沈殿剤として調製されたトリアリールメタン系レーキ顔料も使用することが可能である。
【0018】
本発明において、レーキ顔料は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0019】
本発明の着色組成物は、着色剤として、レーキ顔料と共に、更に他の着色剤を含有することができる。他の着色剤としては、特に限定されるものではなく、用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。
他の着色剤としては、レーキ顔料以外の顔料、染料及び天然色素の何れをも使用することができるが、輝度及び色純度の高い画素を得るという意味においては、レーキ顔料以外の有機顔料、有機染料が好ましい。
【0020】
レーキ顔料以外の有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物、即ち下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0021】
C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264等の赤色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー80等の青色顔料;
C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー179、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー215等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ38等の橙色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット23等の紫色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等の黒色顔料。
【0022】
本発明の着色組成物は、着色剤としてトリアリールメタン系レーキ顔料を使用する場合、青色画素又は赤色画素の形成に用いることが好ましい。本発明の着色組成物を青色画素の形成に用いる場合、(A)着色剤としてはレーキ顔料と共に、紫色顔料及び青色顔料よりなる群から選ばれる少なくとも1種と併用することが、色度特性の観点で好ましく、特にC.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントバイオレット23よりなる群から選ばれる少なくとも1種と併用することが好ましい。また、本発明の着色組成物を赤色画素の形成に用いる場合、(A)着色剤としてはレーキ顔料と共に、赤色顔料及び紫色顔料よりなる群から選ばれる少なくとも1種と併用することが、色度特性の観点で好ましく、特にC.I.ピグメントレッド177及びC.I.ピグメントレッド254よりなる群から選ばれる少なくとも1種と併用することが好ましい。
【0023】
本発明において、他の着色剤として顔料を使用する場合、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001-108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9-71733号公報、特開平9-95625号公報、特開平9-124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用してもよい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平8-179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0024】
本発明において、他の着色剤として顔料を使用する場合、更に公知の分散剤及び分散助剤を含有せしめることができる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等が挙げられ、また分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。
【0025】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)等を、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)等を、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)等を、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等を、それぞれ挙げることができる。
【0026】
また、上記顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0027】
また、染料としては、各種の油溶性染料、直接染料、酸性染料、金属錯体染料等の中から適宜選択することができ、例えば、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0028】
C.I.ソルベントイエロー4、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー24、C.I.ソルベントイエロー82、C.I.ソルベントイエロー88、C.I.ソルベントイエロー94、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー162、C.I.ソルベントイエロー179;
C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド49;
C.I.ソルベントオレンジ2、C.I.ソルベントオレンジ7、C.I.ソルベントオレンジ11、C.I.ソルベントオレンジ15、C.I.ソルベントオレンジ26、C.I.ソルベントオレンジ56;
C.I.ソルベントブルー35、C.I.ソルベントブルー37、C.I.ソルベントブルー59、C.I.ソルベントブルー67。
【0029】
本発明において、他の着色剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0030】
(A)着色剤の含有割合は、輝度が高く色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。ここでいう固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
また、レーキ顔料の含有割合は、求められる色度に応じて適宜決定されるものであるが、本発明の着色組成物を用いれば、レーキ顔料の含有割合が全着色剤中、30質量%以上、更には60質量%以上の場合であっても、耐熱性及び耐溶剤性に優れた着色層を形成することができる。
【0031】
−(B)共重合体−
本発明における(B)共重合体は、含酸素飽和ヘテロ環基を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3)」とも称する。)を有するものであり、(A)着色剤の分散剤として機能する。
【0032】
本発明における「含酸素飽和ヘテロ環基」とは、ヘテロ環を構成するヘテロ原子として酸素原子を有する飽和ヘテロ環基を意味するが、中でも、環を構成する原子数が3〜7個の環状エーテル基が好ましく、その具体例としては、グリシジル基、2−メチルグリシジル基、グリシドキシ基等のオキシラニル基;3−メチルオキセタン−3−イル基、3−エチルオキセタン−3−イル基、3−メチルオキセタン−3−イルメトキシ基、3−エチルオキセタン−3−イルメトキシ基等のオキセタニル基;3,4−エポキシシクロヘキシル基;テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロフラン−3−イル基等のテトラヒドロフラニル基;テトラヒドロピラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−3−イル基等のテトラヒドロピラニル基等を挙げることができる。これらのうち、オキシラニル基、オキセタニル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、テトラヒドロフラニル基が、所望の効果がより顕著に得られる点で好ましい。
【0033】
繰り返し単位(3)としては、例えば、下記式(3)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0035】
〔式(3)において、
R
8は、水素原子又はメチル基を示し、
Qは、含酸素飽和ヘテロ環基を示し、
X
2は、単結合又は2価の連結基を示す。〕
【0036】
上記式(3)において、R
8としては水素原子及びメチル基のうち、メチル基が好ましい。
2価の連結基(X
2)としては、例えば、−CONH−R
9−(*
2)基、−COO−R
10−(*
2)基、−COO−R
11−OOCNH−R
12−(*
2)基、−C
6H
4CH
2−(*
2)基、−C
6H
4CH
2OR
13−(*
2)基等が挙げられる。ここで、R
9及びR
10は、相互に独立に、単結合、水酸基を有していてもよい炭素数1〜10のアルカンジイル基又は炭素数2〜10のアルカンジイルオキシアルカンジイル基を示し、R
11及びR
12は、相互に独立に、炭素数1〜10のアルカンジイル基を示し、R
13は、水酸基を有していてもよい炭素数1〜10のアルカンジイル基を示し、(*
2)は、Qと結合する結合手であることを示す。
R
9〜R
12におけるアルカンジイル基としては、炭素数1〜6のアルカンジイル基が好ましく、またR
13におけるアルカンジイル基としては、炭素数2〜6のアルカンジイル基が好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等を挙げることができる。本明細書において「アルカンジイルオキシアルカンジイル基」とは、2つのアルカンジイル基が酸素原子を介して結合した基をいう。アルカンジイルオキシアルカンジイル基としては、炭素数2〜6のアルカンジイルオキシアルカンジイル基が好ましく、例えば、エチレンオキシエチレン基、エチレンオキシプロピレン基、プロピレンオキシプロピレン基、エチレンオキシブチレン基等を挙げることができる。
中でも、X
2としては、−COO−R
10−(*
2)基、−COO−R
11−OOCNH−R
12−(*
2)基が好ましい。
【0037】
(B)共重合体は、上記以外の繰り返し単位を有していてもよく、このような繰り返し単位の例としては、例えば、下記式(1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(1)」とも称する);下記式(2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(2)」とも称する);下記式(4)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(4)」とも称する);酸性基を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(5)」とも称する);スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;(メタ)アクリロイルオキシエチル(4−ベンゾイルベンジル)ジメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸クロライド等の(メタ)アクリル酸ハライド系単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル;アリル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル;クロトン酸グリシジルエーテル;N−メタクリロイルモルホリン等の単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
中でも、耐熱性の観点から繰り返し単位(1)を、また分散性の観点から繰り返し単位(2)を、それぞれ有することが好ましく、より一層の分散性向上の観点から、更に繰り返し単位(4)を有することが好ましい。ここで、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味するものとする。
【0039】
〔式(1)において、
R
1は、水素原子又はメチル基を示し、
Zは、−NR
2R
3(但し、R
2及びR
3は、相互に独立に、水素原子又は置換若しくは非置換の炭化水素基を示す。)又は置換若しくは非置換の含窒素複素環基を示し、
X
1は、2価の連結基を示す。〕
【0041】
〔式(2)において、
R
4は、水素原子又はメチル基を示し、
R
5は、脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を示す。〕
【0043】
〔式(4)において、
R
14は、水素原子又はメチル基を示し、
R
15は、相互に独立に、炭素数2〜4のアルカンジイル基を示し、
R
16は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、
nは、1〜150の整数を示す。〕
【0045】
〔式(5)において、
R
17は、水素原子又はメチル基を示し、
Aは、酸性基を示し、
X
3は、単結合又は2価の連結基を示す。〕
【0046】
上記式(1)において、R
1としては、水素原子及びメチル基のうち、メチル基が好ましい。
【0047】
上記式(1)において、Zは−NR
2R
3又は置換若しくは非置換の含窒素複素環基を示し、R
2及びR
3は、相互に独立に、水素原子又は置換若しくは非置換の炭化水素基を示す。ここで、本発明において「炭化水素基」とは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含する概念であり、直鎖状、分岐状及び環状のいずれの形態であってもよい。脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよく、不飽和結合は任意の位置に有することができる。
【0048】
上記脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基がより好ましい。より具体的には、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等を挙げることができる。また、アルケニル基としては、炭素数2〜12のアルケニル基が好ましく、具体的には、エテニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−エチル−2−ブテニル基、2−オクテニル基、(4−エテニル)−5−ヘキセニル基、2−デセニル基等が挙げられる。アルキニル基としては、炭素数2〜12のアルキニル基が好ましく、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−エチル-2−ブチニル基、2−オクチニル基、(4−エチニル)−5−ヘキシニル基、2−デシニル基等を挙げることができる。
【0049】
また、上記脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基が好ましく炭素数3〜12の脂環式炭化水素基がより好ましい。具体的には、炭素数3〜20のシクロアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、炭素数3〜12のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等を挙げることができる。ここで、本発明において「脂環式炭化水素基」とは、炭素原子が環状に結合した構造をもつ炭素環式化合物のうち、芳香族化合物を除くものの総称であって、前述の脂肪族炭化水素基を置換基又は窒素原子等との連結基として有するものも包含するものとする。
更に、上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基が好ましい。より具体的には、炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、アリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が好ましい。ここで、本発明において「アリール基」とは、単環〜3環式芳香族炭化水素基をいい、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、アズレニル基等を挙げることができる。
【0050】
炭化水素基における置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基等を挙げることができる。
【0051】
また、本発明において「含窒素複素環基」とは、環の構成要素として少なくとも1個の窒素原子を有する複素環基をいい、複素単環基、又はこれらが2個縮合してなる縮合複素環基であることが好ましい。これら複素環基は、不飽和環でも飽和環でもよく、窒素原子以外のヘテロ原子を環内に有していてもよい。窒素原子以外のヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子を挙げることができる。
不飽和複素環としては、例えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、イミダゾリン環、ピペラジン環等が挙げられる。また、飽和複素環としては、例えば、モルホリン環、ピペリジン環、テトラヒドロピリミジン環等が挙げられる。
なお、含窒素複素環基における置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、エステル基、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、チオール基、チオエーテル基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、前述と同様のものを挙げることができる。エステル基としては、例えば、炭素数1〜7のエステル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等を挙げることができる。アルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、具体例としては前述と同様のものを挙げることができる。アミノ基としては、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられ、アミド基としては、例えば、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基等を挙げることができる。チオエーテル基としては、炭素数1〜6のチオエーテル基が好ましく、具体的には、メチルチオエーテル基、エチルチオエーテル基、ブチルチオエーテル基等を挙げることができる。
【0052】
上記複素単環基としては、5〜7員環が好ましく、具体的には、下記式(1−1)で表される基本骨格を有する基が挙げられ、これら複素単環基は更に置換基を有していてもよい。
【0054】
式(1−1)において、「*」は結合手であることを示す。
【0055】
また、上記縮合複素環基としては、具体的には、下記式(1−2)〜(1−4)で表される基本骨格を有する基が挙げられ、これら縮合複素環基は更に置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基等が挙げられ、その具体例としては前述と同様のものを挙げることができる。
【0059】
式(1−2)〜(1−4)において、「*」は結合手であることを示す。
【0060】
上記式(1)において、2価の連結基(X
1)としては、例えば、炭素数1〜10のアルカンジイル基、炭素数6〜20のアリーレン基、−CONH−R
6−(*
1)基、−COO−R
7−(*
1)基等が挙げられる。ここで、R
6及びR
7は、相互に独立に、単結合、炭素数1〜10のアルカンジイル基、又は炭素数2〜10のアルカンジイルオキシアルカンジイル基を示し、(*
1)はZと結合する結合手であることを示す。
X
1におけるアリーレン基としては、炭素数6〜14のアリーレン基が好ましく、X
1、R
6及びR
7におけるアルカンジイル基としては、炭素数1〜6のアルカンジイル基が好ましく、またR
6及びR
7におけるアルカンジイルオキシアルカンジイル基としては、炭素数2〜6のアルカンジイルオキシアルカンジイル基が好ましい。これらの具体例としては、前述と同様のものが挙げられる。また、アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基等を挙げることができる。
中でも、X
1としては、−COO−R
7−(*
1)基が好ましく、R
7としては、炭素数2〜6のアルカンジイル基が好ましい。
【0061】
式(2)において、R
4としては水素原子又はメチル基のうち、メチル基が好ましい。
R
5における脂肪族炭化水素基としては、前述と同様のものを挙げることができる。
また、R
5における脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基、スピロ炭化水素基、環状テルペン炭化水素基等が挙げられる。脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基等を挙げることができる。これら置換基の具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。
中でも、R
5としては、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数4〜15の脂環式炭化水素基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソデシル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、デカヒドロ−2−ナフチル基、トリシクロ[5.2.1.
0
2,6]デカン−8−イル基、アダマンチル基、ジシクロペンテニル基、ペンタシクロペンタデカニル基、トリシクロペンテニル基、イソボルニル基が挙げられる。
【0062】
式(4)において、R
14としては水素原子又はメチル基のうち、メチル基が好ましい。
また、R
15におけるアルカンジイル基としては、例えば、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基等を挙げることができる。
R
16におけるアルキル基としては、前述と同様のものを挙げることができる。
nは1〜150の整数を示すが、1〜20の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましく、1〜5の整数が特に好ましい。
【0063】
繰り返し単位(5)は酸性基を有するが、かかる酸性基としては特に限定されるものではなく、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホ基、−SO
2NH
2、−C(CF
3)
2−OH等が挙げられる。本発明において、酸性基としては、分散性及び得られる着色組成物のアルカリ現像性の点から、フェノール性水酸基、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基が特に好ましい。
【0064】
上記式(5)において、R
17としては水素原子及びメチル基のうち、メチル基が好ましい。
2価の連結基(X
3)としては、例えば、炭素数1〜10のアルカンジイル基、アリーレン基、−CONH−R
18−(*
3)基、−COO−R
19−(*
3)基、−OCOR
20−(*
3)基、−R
21−OCO−R
22−(*
3)基、−COO−(C
mH
2mCOO)
l−C
mH
2m−(*
3)基、−COO−R
23−OCO−R
24−(*
3)基等が挙げられる。ここで、R
18〜R
22は、相互に独立に、単結合、炭素数1〜10のアルカンジイル基、又は炭素数2〜10のアルカンジイルオキシアルカンジイル基を示し、mは1〜10の整数を示し、lは1〜4の整数を示し、R
23は炭素数1〜10のアルカンジイル基を示し、R
24は単結合、炭素数1〜10のアルカンジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基又はフェニレン基を示し、(*
3)はAと結合する結合手であることを示す。
X
3、R
18〜R
22、R
23及びR
24におけるアルカンジイル基としては、炭素数1〜6のアルカンジイル基が好ましく、X
3におけるアリーレン基としては、炭素数6〜14のアリーレン基が好ましく、R
18〜R
22におけるアルカンジイルオキシアルカンジイル基としては、炭素数2〜6のアルカンジイルオキシアルカンジイル基が好ましい。アルカンジイル基、アリーレン基及びアルキレンオキシアルキレン基の具体例としては、前述と同様のものを挙げることができる。また、フェニレン基の具体例としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,4−フェニレン基が挙げられる。
中でも、X
3としては、単結合、フェニレン基、−COO−R
19−(*
3)基、−COO−(C
mH
2mCOO)
l−C
mH
2m−(*
3)基又は−COO−R
23−OCO−R
24−(*
3)基が好ましい。
【0065】
(B)共重合体において、各繰り返し単位の含有割合は、特に制限されるものではないが、耐溶剤性及び耐熱性の観点から、繰り返し単位(3)の含有割合は、全繰り返し単位中に、1〜50質量%、更に3〜40質量%、更に5〜30質量%であることが好ましい。
(B)共重合体が、繰り返し単位(3)に加えて、更に繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(2)を有する場合、繰り返し単位(1)の含有割合は、耐熱性の観点から、全繰り返し単位中に、5〜60質量%、更に5〜50質量%、更に10〜40質量%、特に10〜30質量%であることが好ましい。また、繰り返し単位(2)の含有割合は、分散性の観点から、全繰り返し単位中に、5〜80質量%、更に10〜75質量%、更に15〜70質量%であることが好ましい。
更に、(B)共重合体が、繰り返し単位(1)、繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(3)に加えて、繰り返し単位(4)を有する場合、繰り返し単位(4)の含有割合は、分散性の観点から、全繰り返し単位中に、5〜50質量%、更に10〜40質量%、更に10〜30質量%であることが好ましい。
更に、(B)共重合体が繰り返し単位(1)、繰り返し単位(2)、繰り返し単位(3)及び繰り返し単位(4)に加えて、繰り返し単位(5)を有する場合、繰り返し単位(5)の含有割合は、分散性の観点から、全繰り返し単位中に、15質量%以下、更に10質量%以下、更に6質量%以下であることが好ましい。なお、繰り返し単位(5)の含有割合の下限値は、特に限定されず、全繰り返し単位中に、0質量%であってもよいが、0.5質量%であることが好ましい。
【0066】
(B)共重合体のアミン価は、特に制限されるものではないが、耐熱性の観点から、上限値は250mgKOH/g、更に200mgKOH/g、更に150mgKOH/g、特に100mgKOH/g、殊更に60mgKOH/gであることが好ましく、下限値は1mgKOH/g、更に10mgKOH/g、更に15mgKOH/gであることが好ましい。ここで、本発明において「アミン価」とは、共重合体溶液の溶媒を除いた不揮発分1gを中和するのに必要な酸と当量のKOHのmg数であり、具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定されるものをいう。
【0067】
一方、(B)共重合体が繰り返し単位(5)を有する場合、(B)共重合体の酸価は、着色組成物の保存安定性の観点から、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは25mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下である。なお、かかる酸価の下限値は特に限定されず、0mgKOH/gであってもよいが、1mgKOH/gであることが好ましい。ここで、本発明において「酸価」とは、共重合体溶液の溶媒を除いた不揮発分1gを中和するのに必要なKOHのmg数である。
【0068】
(B)共重合体は、繰り返し単位(3)を有する限り、特に限定されるものではないが、所望の効果がより顕著であるという点から、繰り返し単位(3)、繰り返し単位(2)、繰り返し単位(4)及び繰り返し単位(5)を有さず、繰り返し単位(1)を有するAブロックと、繰り返し単位(1)を有さず、繰り返し単位(3)と、所望により繰り返し単位(2)、繰り返し単位(4)及び繰り返し単位(5)から選ばれる少なくとも1種を有するBブロックとを含む、A−Bブロック共重合体及びB−A−Bブロック共重合体であることが好ましい。
【0069】
Aブロック中において、繰り返し単位(1)は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよく、その場合、各々の繰り返し単位は、該Aブロック中においてランダム共重合及びブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。
また、繰り返し単位(1)以外の繰り返し単位が、Aブロック中に含有されていてもよく、そのような繰り返し単位の例としては、上記4級アンモニウム塩構造を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0070】
一方、Bブロック中において、各々の繰り返し単位は、ランダム共重合及びブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。(B)共重合体がB−A−Bブロック共重合体である場合、2つのBブロックを構成する繰り返し単位の組み合わせは特に制限されず、例えば、繰り返し単位(3)、繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(4)を有しかつ繰り返し単位(5)を有さないB1ブロックと、繰り返し単位(3)及び繰り返し単位(5)を有しかつ繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(4)を有さないB2ブロックとを有するB1−A−B2ブロック共重合体であってもよい。
【0071】
(B)共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:ジメチルホルムアミド)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは3,000〜50,000、更に好ましくは5,000〜30,000である。このような態様とすることにより、耐熱性と耐溶剤性を高水準で両立することができる。
【0072】
また、本発明における(B)共重合体の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mnは、GPC(溶出溶媒:ジメチルホルムアミド)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
【0073】
(B)共重合体は、公知の方法により製造することができるが、(B)共重合体がブロック共重合体である場合、例えば、上記各繰り返し単位を導入する単量体を、リビング重合することにより製造することができる。リビング重合法としては、例えば、特開平9−62002号公報;特開2002−31713号公報;P.Lutz,P.Masson et al,Polym.Bull.12,79 (1984);B.C.Anderson,G.D.Andrews et al,Macromolecules,14,1601(1981);K.Hatada,K.Ute,et al,Polym.J.17,977(1985);K.Hatada,K.Ute,et al,Polym.J.18,1037(1986);右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36,366(1987);東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46,189(1989);M.Kuroki,T.Aida,J.Am.Chem.Soc,109,4737(1987);相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43,300(1985);D.Y.Sogoh,W.R.Hertler et al,Macromolecules,20,1473(1987);J.Polym.Sci.Part A Polym.Chem.,47,3773−3794(2009);J.Polym.Sci.Part A Polym.Chem.,47,3544−3557(2009)等に記載されている公知の方法を採用することができる。
【0074】
繰り返し単位(3)を与える単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(テトラヒドロフルフリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0075】
繰り返し単位(1)を与える単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノブトキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら
は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0076】
繰り返し単位(2)を与える単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、デカヒドロ−2−ナフチル(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカニル(メタ)アクリレート、トリシクロペンテニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0077】
繰り返し単位(4)を与える単量体としては、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングルコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。繰り返し単位(4)を与える単量体としては、PME−100、PME−200(以上、日油株式会社製)等を使用することもできる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0078】
また、酸性基を有する繰り返し単位(5)を与える単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、(メタ)アクリル酸カルボキシメチルエステル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシ−エチルエステル、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、2−アクリロイロキシエチルスルホン酸、2−メタクリロキシエチルスルホン酸、2−アクリロイロキシエチルスルホン酸ナトリウム、2−アクリロイロキシエチルスルホン酸リチウム、2−アクリロイロキシエチルスルホン酸アンモニウム、2−アクリロイロキシエチルスルホン酸イミダゾリウム、2−アクリロイロキシエチルスルホン酸ピリジニウム、2−メタクリロキシエチルスルホン酸ナトリウム、2−メタクリロキシエチルスルホン酸リチウム、2−メタクリロキシエチルスルホン酸アンモニウム、2−メタクリロキシエチルスルホン酸イミダゾリウム、2−メタクリロキシエチルスルホン酸ピリジニウム、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸リチウム、スチレンスルホン酸アンモニウム、スチレンスルホン酸イミダゾリウム、スチレンスルホン酸ピリジニウム等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0079】
本発明において、(B)共重合体の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、5〜300質量部が好ましく、特に10〜200質量部が好ましい。このような態様とすることにより、耐熱性と耐溶剤性を両立しやすくなる。
【0080】
−(C)架橋剤−
本発明において(C)架橋剤とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、(C)架橋剤としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0081】
上記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0082】
ここで、上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0083】
また、上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11-44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0084】
また、上記2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N',N',N'',N''−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0085】
これらの架橋剤のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N',N',N'',N''−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、(C)架橋剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0086】
本発明における(C)架橋剤の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、特に20〜500質量部が好ましい。この場合、架橋剤の含有量が少なすぎると、硬化性が不十分となるおそれがある。一方、架橋剤の含有量が多すぎると、本発明の着色組成物にアルカリ現像性を付与した場合に、アルカリ現像性が低下し、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
【0087】
−(D)バインダー樹脂−
本発明の着色組成物には、バインダー樹脂(但し、前記(B)成分を除く。)を含有せしめることができる。これにより、着色組成物にアルカリ現像性や基板への結着性を高めることができる。このようなバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」という。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(d1)」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(d2)」という。)との共重合体を挙げることができる。
【0088】
上記不飽和単量体(d1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(d1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0089】
また、上記不飽和単量体(d2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0090】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0091】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(d2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0092】
不飽和単量体(d1)と不飽和単量体(d2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(d1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(d2)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0093】
不飽和単量体(d1)と不飽和単量体(d2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7-140654号公報、特開平8-259876号公報、特開平10-31308号公報、特開平10-300922号公報、特開平11-174224号公報、特開平11-258415号公報、特開2000-56118号公報、特開2004-101728公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0094】
また、本発明においては、例えば、特開平5-19467号公報、特開平6-230212号公報、特開平7-207211号公報、特開平09-325494号公報、特開平11-140144号公報、特開2008-181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0095】
本発明におけるバインダー樹脂は、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。Mwが小さすぎると、得られる被膜の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方大きすぎると、解像度が低下したり、パターン形状が損なわれたり、またスリットノズル方式による塗布時に乾燥異物が発生し易くなるおそれがある。
【0096】
また、本発明におけるバインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
【0097】
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003-222717号公報、特開2006-259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0098】
本発明において、バインダー樹脂は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0099】
本発明において、バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。バインダー樹脂の含有量が少なすぎると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、得られる着色組成物の保存安定性が低下したりするおそれがあり、一方多すぎると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0100】
−(E)光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、(C)架橋剤の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0101】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物、オニウム塩系化合物等を挙げることができる。
【0102】
本発明において、光重合開始剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0103】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0104】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0105】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0106】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体;4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0107】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0108】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)等を使用することもできる。
【0109】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。また、本発明においては、連鎖移動剤として作用する多官能チオールを含有せしめることにより、着色組成物の感度を高めることができる。このような連鎖移動剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等を挙げることができる。
【0110】
本発明において、光重合開始剤の含有量は、(C)架橋剤100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0111】
−(F)溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(C)成分、及び任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、(a1)レーキ顔料を含む着色剤を(F)溶媒中、(B)共重合体及び必要に応じて他の分散剤や(D)バインダー樹脂の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液とし、次いで、この顔料分散液に、(C)架橋剤と、必要に応じて(D)バインダー樹脂、(E)光重合開始剤、更に追加の(F)溶媒等を添加し、混合する方法により調製される。上記溶媒としては、着色組成物を構成する(A)〜(C)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0112】
このような溶媒としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0113】
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類;
【0114】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0115】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類等を挙げることができる。
【0116】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類及び(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明において、溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0117】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような態様とすることにより、分散性、安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性の良好な着色組成物を得ることができる。
【0118】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、アゾ系化合物、有機過酸化物等の熱重合開始剤;ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤;特開2008−242078号公報等に開示されている反応性官能基を有するシロキサンオリゴマー等を挙げることができる。
【0119】
カラーフィルタ及びその製造方法
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層を備えるものである。
【0120】
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、レーキ顔料が分散された本発明の青色の感放射線性着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、青色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0121】
次いで、緑色又は赤色の各感放射線性着色組成物を用い、上記と同様にして、各感放射線性着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び赤色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。また、カラーフィルタを製造する第一の方法においては、上記青色、緑色、赤色の画素アレイのいずれか1以上が、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層であればよい。
【0122】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、レーキ顔料とともに黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。本発明の着色組成物は、かかるブラックマトリックスの形成にも好適に使用することができる。
【0123】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0124】
感放射線性着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0125】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0126】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
【0127】
画素及び/又はブラックマトリックスを形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0128】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m
2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0129】
上記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0130】
ポストベークの条件は、通常120〜280℃で10〜60分程度であるが、本着色剤の耐熱性の点から、ポストベークの温度は、好ましくは240℃以下、特に好ましくは230℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1〜3μmである。
【0131】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、レーキ顔料が分散された本発明の青色の熱硬化性着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、青色の画素パターンを形成する。
【0132】
次いで、緑色又は赤色の各熱硬化性着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び赤色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。また、カラーフィルタを製造する第二の方法においても、上記青色、緑色、赤色の画素アレイのいずれか1以上が、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層であればよい。
【0133】
なお、上記隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにしてインクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
【0134】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。
【0135】
表示素子
本発明の表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができ、さらに薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極あるいはIZO(酸化インジュウムと酸化亜鉛との混合物)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【0136】
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0137】
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【0138】
また、本発明のカラーフィルタを具備する有機EL表示素子は、適宜の構造を採ることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【0139】
また、本発明のカラーフィルタを具備する電子ペーパーは、適宜の構造を採ることが可能であり、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
【実施例】
【0140】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。なお、以下実施例に使用する原料の略称は、次のとおりである。
THF :テトラヒドロフラン
nBMA:ノルマルブチルメタクリレート
MMA :メチルメタクリレート
AMA :アリルメタクリレート
OXMA:3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン
THFMA:テトラヒドロフルフリルメタクリレート
DAMA :ジメチルアミノエチルメタクリレート
PME−200:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、商品名PME−200。前記式(4)において、n≒4)
AIBN :2,2'−アゾビスイソブチロニトリル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0141】
<(B)共重合体の合成>
合成例1
攪拌子を入れて十分に窒素置換を行った内容積1000mLの三口フラスコを準備し、窒素雰囲気下でトルエン231g、1,2−ジメトキシエタン12g、及び濃度0.5mol/Lの(ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムのトルエン溶液86mLを加えた。反応容器内容物の温度を0℃に調整したのち、1.0mol/Lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液4.3mLを加えて20分間撹拌した。この溶液に、撹拌下、0℃に保持しながら、nBMA10.5g、PME−200 8.1g及びOXMA4.5gの混合溶液を60分かけて滴下し、更に1時間反応を継続した。次いで、DAMA6.9gを30分かけて滴下し、更に1時間反応を継続した。ガスクロマトグラフィー分析(以下GCと略す)により反応完結を確認した後、反応溶液にメタノール0.5mLを添加して重合反応を停止させた。
得られた溶液のトルエンをロータリーエバボレーターを使用して除去し、共重合体を回収した。回収した共重合体をアセトンに溶解させた後、この溶液をヘキサン中に注いで沈殿物を得た。この操作を5回繰り返して精製を行った後、真空下、60℃で2時間乾燥を行った。最後に、共重合体をPGMEAに溶解し、40質量%濃度の溶液に調整した。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、nBMA、PME−200及びOXMA由来の繰り返し単位を有するBブロックとからなるジブロック共重合体を含有する溶液を得た。得られた共重合体を「共重合体(B−1)」とする。
【0142】
合成例2
攪拌子を入れて十分に窒素置換を行った内容積500mLの三口フラスコを準備し、窒素雰囲気下でTHF231.0g、及び濃度0.25mol/Lの1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウムのTHF溶液13.3mLを加えた。この溶液に、撹拌下、−70℃に保持しながら、nBMA13.5g、PME−200 8.1g及びOXMA1.5gの混合溶液を60分かけて滴下し、更に1時間反応を継続した。次いで、DAMA6.9gを30分かけて滴下し、更に1時間反応を継続した。GCにより反応完結を確認した後、反応溶液にメタノール0.5mLを添加して重合反応を停止させた。
得られた溶液を1.5Lのヘキサン中に注ぎ、生成した共重合体を沈殿させ、回収した。更に、回収した共重合体をメタノールに溶解させた後、この溶液をヘキサン中に注いだ。この操作を5回繰り返して精製を行った後、真空下、60℃で2時間乾燥を行った。最後に、共重合体をPGMEAに溶解し、40質量%濃度の溶液に調整した。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、nBMA、PME−200及びOXMA由来の繰り返し単位を有するBブロックとからなるジブロック共重合体を含有する溶液を得た。得られた共重合体を「共重合体(B−2)」とする。
【0143】
合成例3
攪拌子を備えた300mLフラスコにトルエン30g、nBMA12.0g、PME−200 10.9g、THFMA3.4g、AIBN236mg及びピラゾール−1−ジチオカルボン酸シアノ(ジメチル)メチルエステル608mgを加えて溶解し、30分間窒素置換を行った。その後ゆるやかに攪拌して、反応溶液の温度を60℃に上昇させ、この温度を24時間保持してリビングラジカル重合を行った。
次いで、AIBN410mgとDAMA7.9gをトルエン20gに溶解した後に30分間窒素置換を行った溶液を上記反応溶液に添加し、60℃で24時間リビングラジカル重合を行った。その後、減圧濃縮により、40質量%濃度のPGMEA溶液に調整した。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、nBMA、PME−200及びTHFMA由来の繰り返し単位を有するBブロックとからなるジブロック共重合体を含有する溶液を得た。得られたジブロック共重合体を「共重合体(B−3)」とする。
【0144】
合成例4
攪拌子を備えた300mLフラスコにトルエン30g、MMA8.8g、PME−200 7.9g、OXMA2.9g、AIBN217mg及びピラゾール−1−ジチオカルボン酸シアノ(ジメチル)メチルエステル559mgを加えて溶解し、30分間窒素置換を行った。その後ゆるやかに攪拌して、反応溶液の温度を60℃に上昇させ、この温度を24時間保持してリビングラジカル重合を行った。
次いで、AIBN504mgとDAMA9.7gをトルエン20gに溶解した後に30分間窒素置換を行った溶液を上記反応溶液に添加し、60℃で24時間リビングラジカル重合を行った。その後、減圧濃縮により、40質量%濃度のPGMEA溶液に調整した。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、MMA、PME−200及びOXMA由来の繰り返し単位を有するBブロックとからなるジブロック共重合体を含有する溶液を得た。得られたジブロック共重合体を「共重合体(B−4)」とする。
【0145】
合成例5
攪拌子を備えた300mLフラスコにトルエン30g、MMA10.2g、nBMA6.9g、PME−200 3.3g、THFMA1.3g、AIBN278mg及びピラゾール−1−ジチオカルボン酸シアノ(ジメチル)メチルエステル716mgを加えて溶解し、30分間窒素置換を行った。その後ゆるやかに攪拌して、反応溶液の温度を60℃に上昇させ、この温度を24時間保持してリビングラジカル重合を行った。
次いで、AIBN199mgとDAMA3.8gをトルエン20gに溶解した後に30分間窒素置換を行った溶液を上記反応溶液に添加し、60℃で24時間リビングラジカル重合を行った。その後、減圧濃縮により、40質量%濃度のPGMEA溶液に調整した。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、MMA、nBMA、PME−200及びTHFMA由来の繰り返し単位を有するBブロックとからなるジブロック共重合体を含有する溶液を得た。得られたジブロック共重合体を「共重合体(B−5)」とする。
【0146】
合成例6
攪拌子を備えた300mLフラスコにトルエン30g、nBMA8.0g、PME−200 3.2g、OXMA6.4g、AIBN168mg及びピラゾール−1−ジチオカルボン酸シアノ(ジメチル)メチルエステル433mgを加えて溶解し、30分間窒素置換を行った。その後ゆるやかに攪拌して、反応溶液の温度を60℃に上昇させ、この温度を24時間保持してリビングラジカル重合を行った。
次いで、AIBN749mgとDAMA14.4gをトルエン20gに溶解した後に30分間窒素置換を行った溶液を上記反応溶液に添加し、60℃で24時間リビングラジカル重合を行った。その後、減圧濃縮により、40質量%濃度のPGMEA溶液に調整した。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、nBMA、PME−200及びOXMA由来の繰り返し単位を有するBブロックとからなるジブロック共重合体を含有する溶液を得た。得られたジブロック共重合体を「共重合体(B−6)」とする。
【0147】
比較合成例1
合成例2において、nBMA13.5g、PME−200 8.1g及びOXMA1.5gの混合溶液を、nBMA15.0g及びPME−200 8.1gの混合溶液に変更した以外は、合成例2と同様にしてジブロック共重合体の合成を実施し、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、nBMA及びPME−200由来の繰り返し単位を有するBブロックとからなるジブロック共重合体を含有する40質量%濃度のPGMEA溶液を得た。得られたジブロック共重合体を「共重合体(b−1)」とする。
【0148】
比較合成例2
合成例2において、nBMA13.5g、PME−200 8.1g及びOXMA1.5gの混合溶液を、nBMA10.5g、PME−200 8.1g及びAMA4.5gの混合溶液に変更した以外は、合成例2と同様にしてジブロック共重合体の合成を実施し、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、nBMA、PME−200及びAMA由来の繰り返し単位を有するBブロックとからなるジブロック共重合体を含有する40質量%濃度のPGMEA溶液を得た。得られたジブロック共重合体を「共重合体(b−2)」とする。
【0149】
比較合成例3
攪拌子を備えた300mLフラスコにトルエン30g、MMA8.7g、PME−200 7.8g、AIBN188mg及びピラゾール−1−ジチオカルボン酸シアノ(ジメチル)メチルエステル485mgを加えて溶解し、30分間窒素置換を行った。その後ゆるやかに攪拌して、反応溶液の温度を60℃に上昇させ、この温度を24時間保持してリビングラジカル重合を行った。
次いで、AIBN647mgとDAMA12.4gをトルエン20gに溶解した後に30分間窒素置換を行った溶液を上記反応溶液に添加し、60℃で24時間リビングラジカル重合を行った。その後、減圧濃縮により、40質量%濃度のPGMEA溶液に調整した。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、MMA及びPME−200由来の繰り返し単位を有するBブロックとからなるジブロック共重合体を含有する溶液を得た。得られたジブロック共重合体を「共重合体(b−3)」とする。
【0150】
比較合成例4
攪拌子を備えた300mLフラスコにトルエン30g、MMA8.2g、nBMA11.5g、PME−200 6.3g、AIBN303mg及びピラゾール−1−ジチオカルボン酸シアノ(ジメチル)メチルエステル782mgを加えて溶解し、30分間窒素置換を行った。その後ゆるやかに攪拌して、反応溶液の温度を60℃に上昇させ、この温度を24時間保持してリビングラジカル重合を行った。
次いで、AIBN71mgとDAMA1.4gをトルエン20gに溶解した後に30分間窒素置換を行った溶液を上記反応溶液に添加し、60℃で24時間リビングラジカル重合を行った。その後、減圧濃縮により、40質量%濃度のPGMEA溶液に調整した。このようにして、DAMA由来の繰り返し単位を有するAブロックと、MMA、nBMA及びPME−200由来の繰り返し単位を有するBブロックとからなるジブロック共重合体を含有する溶液を得た。得られたジブロック共重合体を「共重合体(b−4)」とする。
【0151】
<Mw及びMw/Mnの測定>
上記の各合成例において得られた(B)共重合体のMw及びMnを、各単量体の共重合割合(質量%)と共に表1に示す。なおMw及びMnは、下記仕様のGPCにより測定した。
装置 :GPC−104(昭和電工株式会社製)。
カラム:KD−G、KF−603、KF−602、KF−601(昭和電工株式会社製)を結合して用いた。
移動相:DMF。
【0152】
<アミン価の測定>
上記各合成例で得た(B)共重合体のアミン価を下記の要領で測定した。表1に測定結果を示す。
共重合体溶液0.5gを1mgの単位まで精密に秤量し、硝子容器に取り分けた。無水酢酸/酢酸=9/1(体積比)20mLを添加して溶解し、室温で3時間放置した。その後、さらに酢酸30mLを加えた後、電位差測定装置AT−510(京都電子工業株式会社製)を用いて、0.1mol/L過塩素酸・酢酸溶液で滴定を行った。同様に空試験を行なった。(B)共重合体と空試験の0.1mol/L過塩素酸・酢酸溶液滴下量からアミン価(単位:mgKOH/g)を算出した。
【0153】
【表1】
【0154】
<顔料分散液の調製>
調製例1
着色剤として下記式(6)で表されるトリアリールメタン系レーキ顔料(式中、x=1〜2)を12質量部、共重合体(B−1)溶液10質量部(不揮発成分=40質量%)、溶媒としてPGMEA73質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(A−1)を調製した。
【0155】
【化10】
【0156】
調製例2〜6及び比較調製例1〜4
調製例1において、(B)共重合体の種類を表2に示すように変更した以外は調製例1と同様にして、顔料分散液(A−2)〜(A−10)を調製した。
【0157】
調製例7
着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177/C.I.ピグメントレッド81:2(シリコモリブデン酸でレーキ化されたキサンテン系レーキ顔料)=10/70/20(質量比)混合物を12質量部、共重合体(B−1)溶液10質量部(不揮発成分=40質量%)、溶媒としてPGMEA73質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(A−11)を調製した。
【0158】
調製例8、9及び比較調製例5、6
調製例7において、(B)共重合体の種類を表2に示すように変更した以外は調製例7と同様にして、顔料分散液(A−12)〜(A−15)を調製した。
【0159】
【表2】
【0160】
<バインダー樹脂の合成>
合成例7
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、ベンジルメタクリレート30.0g、nBMA20.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート15.0g、スチレン20.0g、メタクリル酸15.0g及びPGMEA200gを加えて溶解し、さらにAIBN3.0g及びα−メチルスチレンダイマー5.0gを投入し、その後15分間窒素置換した。その後、反応液を攪拌しながら80℃に加熱し、5時間重合することにより、バインダー樹脂(D−1)を33質量%含む溶液を得た。このバインダー樹脂(D−1)は、GPC(移動相:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算のMwが10,000、Mw/Mnが2.5であった。
【0161】
<着色組成物の調製及び評価>
着色組成物の調製
実施例1
顔料分散液(A−1)100質量部、バインダー樹脂としてバインダー樹脂(D−1)溶液52.9質量部、架橋剤として日本化薬株式会社製MAX−3510(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物であり、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが主成分)32.9質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)5.8質量部、及び溶剤としてPGMEA205.2質量部を混合して、液状の着色組成物を調製した。
【0162】
得られた着色組成物を、ナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が表面に形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。
次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/m
2の露光量で露光した。その後、この基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に200℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、基板上に200μm×200μmのドットパターンを形成した。
【0163】
耐熱性の評価
得られたドットパターンについて、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。次いで、200℃で90分間追加ベークをした後の色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定し、追加ベーク前後での色変化、すなわちΔE
*abを評価した。評価結果を表3に示す。なお、ΔE
*abの値が小さいほど、耐熱性が高いことを示す。
【0164】
耐溶剤性の評価
青色ドットパターンを形成した上記基板を、25℃のN−メチルピロピドンに30分間浸漬して、浸漬前後のドットパターンを走査型電子顕微鏡で観察した。良好なエッジ形状を有するパターンが形成され、且つ浸漬前後での膜厚比(浸漬後の膜厚×100/浸漬前の膜厚)が95%以上である場合を「○」、浸漬前後での膜厚比が95%未満であるか、あるいはパターンの一部に欠けが認められる場合を「△」、浸漬後にパターンが全て基板から剥がれる場合を「×」として、評価した。評価結果を表3に示す。
【0165】
実施例2〜9及び比較例1〜6
実施例1において、顔料分散液の種類を表3に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、着色組成物の調製及び評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0166】
【表3】