(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ジョブ管理部は、前記第2記憶部に、ラスターイメージデータを含めたジョブデータをバックアップする際に、該ラスターイメージデータの生成に用いた状態パラメーターのキー情報も併せてバックアップすることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
前記第2記憶部は、前記画像形成装置に含まれる、あるいは該画像形成装置とネットワークで接続された外部の記憶装置であって、該画像形成装置以外の他の画像形成装置からもジョブデータのバックアップが可能であり、
前記バックアップしたジョブデータには、更に、画像形成装置の本体識別情報が含まれ、
前記ジョブ管理部は、前記更新部により状態パラメーターが更新されるに応じて、前記第2記憶部にバックアップされたジョブデータであって、現在の状態パラメーター以外の状態パラメーターのキー情報、および装置自体の本体識別情報が含まれる全てのジョブデータを対象として、ラスターイメージデータを削除することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
前記第2記憶部は、前記画像形成装置が備える、あるいは前記画像形成装置とネットワークで接続された外部の記憶装置であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
前記状態パラメーターは、ラスターイメージデータの生成に影響する因子であって、画像データの信号量に対する前記画像形成部の出力特性の変化を補正する調整データであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
更新可能な状態パラメーターを用いて画像データに対してラスタライズ処理を行ってラスターイメージデータを生成するラスタライズ処理部と、生成したラスターイメージに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、画像データおよび該画像データから生成されたラスターイメージデータを一組のジョブデータとして保存する第1記憶部と、を備える画像形成装置で実行されるジョブデータの管理方法であって、
ジョブデータを対象とした、前記第1記憶部から第2記憶部へのバックアップあるいは、前記第2記憶部から前記第1記憶部へのリストアの処理の処理要求を受信するステップと、
前記処理の対象のジョブデータに含まれるラスターイメージデータが、現在の状態パラメーターを用いて生成されたか否かを判断するステップと、
前記判断するステップの結果が、現在の状態パラメーター以外の状態パラメーターを用いて生成されたという判断であればラスターイメージデータを除いた該ジョブデータを対象とした前記処理要求に応じた処理を実行し、現在の状態パラメーターを用いて生成されたという判断であればラスターイメージデータを含めた該ジョブデータを対象とした前記処理を実行するステップと、
を有することを特徴とするジョブデータの管理方法。
更新可能な状態パラメーターを用いて画像データに対してラスタライズ処理を行ってラスターイメージデータを生成するラスタライズ処理部と、生成したラスターイメージに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、画像データ、該画像データから生成されたラスターイメージデータ、および該ラスターイメージデータの生成に用いた状態パラメーターのキー情報、を一組のジョブデータとして保存する第1記憶部と、を備える画像形成装置で実行されるジョブデータの管理方法であって、
前記第1記憶部以外の第2記憶部へのバックアップの処理要求を受信するステップと、
バックアップ対象のジョブデータのキー情報が現在の状態パラメーターのキー情報と一致するか否かを判断するステップと、
前記判断するステップの結果が、キー情報が一致しないという判断であればラスターイメージデータを除いた該ジョブデータを前記第2記憶部にバックアップし、キー情報が一致するという判断であればラスターイメージデータを含めた該ジョブデータをバックアップするステップと、
を有することを特徴とするジョブデータの管理方法。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式等のオッフィスユースの画像形成装置は、その高速化、高機能化にともないPOD(Print On Demand)市場でも利用されてきており、近年では、ますますその利用が拡大している。
【0003】
一般に、印刷の出力手順としては、PC(パーソナルコンピュータ)等から画像形成装置に、プリンタ言語(PDL:page description language)で記述された画像データと印刷設定が記述されたジョブチケットからなる印刷ジョブが投入される。そして投入された画像データに対してRIP(Raster Image Processor)のラスタライズ処理によりラスターイメージデータを生成し、この生成したラスターイメージに基づいて画像形成部が用紙上に画像形成する。
【0004】
POD市場に利用される画像形成装置では、高機能化、高画質化への対応にともない、ユーザーが行う印刷設定が複雑化してきている。そして多くの場合には、試し刷りで印刷ジョブの出力結果を確認しながら印刷設定のチューニングを行い、その後に本刷りを行うというワークフローが採用されている。
【0005】
ほとんどのPODに対応する画像形成装置においては、このようなワークフローを支援するためのジョブ保存編集機能を備えている。ジョブ保存編集機能とは、画像形成装置に投入された印刷ジョブを、画像形成装置内部の記憶領域に「保存ジョブ」として保存しておくことで、その後の印刷設定の変更を可能とするものである。これによりPCから印刷ジョブが投入された後に、印刷設定が変更されたとしても、保存ジョブにより変更後の印刷設定を適用した印刷を行うことでPCからの再度の印刷ジョブの投入が不要となる。
【0006】
さらに特許文献1では印刷ジョブとともに、これをラスタライズ処理したラスターイメージを保存し、これを再利用する方法が開示されている。これにより印刷時のラスタライズ処理を省略して更なる生産性の改善を図ることが可能となる。特許文献1には、また保存ジョブをバックアップする技術として、画像データとラスターイメージの両方が保存されていれば、画像データのみを保存し、どちらか一方のデータが保存されていればそのデータを保存する技術、およびこの保存したデータをリストアして再利用する技術も開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、画像形成装置によっては更なる高画質化を図るために、経年劣化等による出力特性の変化を補償するためのLUT(ルックアップテーブル)など補正データを適宜更新し、更新した補正データをラスタライズ処理に反映させることで、色再現性を向上させる機能を備えるものがある。
【0009】
このような機能を備えた画像形成装置における懸念点としては、現在の画像形成装置で、最新の補正データより前の補正データによりラスタライズ処理したラスターイメージを再利用して画像形成した場合、色再現性が適切ではない恐れがある。そのため色再現性を向上させるためには、最新の補正データを用いた再度のラスタライズ処理によりラスターイメージを作成する必要がある。このような再利用が出来ないラスターイメージに対して、バックアップ処理、あるいはリストア処理をすることは保存領域を無駄に消費することになり好ましくない。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、再利用出来ないラスターイメージに対する不要なバックアップあるいはリストアの処理がなされることを防ぐ画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1.状態パラメーターを用いて画像データに対してラスタライズ処理を行って、ラスターイメージデータを生成するラスタライズ処理部と、
生成したラスターイメージデータに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、
画像データ、および該画像データから生成されたラスターイメージデータを一組のジョブデータとして保存する第1記憶部と、
前記状態パラメーターを更新する更新部と、
受信した、ジョブデータを対象とした処理要求に応じて、前記第1記憶部から第2記憶部へのバックアップあるいは前記第2記憶部からのリストアの処理を実行するジョブ管理部と、を備え
前記ジョブ管理部は、(1)前記処理の対象のジョブデータに含まれるラスターイメージデータが、現在の状態パラメーター以外の状態パラメーターを用いて生成されたと判断した場合には、ラスターイメージデータを除いた該ジョブデータを対象とした前記処理を実行し、(2)前記対象のジョブデータに含まれるラスターイメージデータが、現在の状態パラメーターを用いて生成されたと判断した場合には、ラスターイメージデータを含めた該ジョブデータを対象とした前記処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【0012】
2.状態パラメーターを用いて画像データに対してラスタライズ処理を行って、ラスターイメージデータを生成するラスタライズ処理部と、
生成したラスターイメージデータに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、
画像データ、該画像データから生成されたラスターイメージデータ、および該ラスターイメージデータの生成に用いた状態パラメーターのキー情報、を一組のジョブデータとして保存する第1記憶部と、
前記状態パラメーターを更新する更新部と、
受信した、ジョブデータを対象としたバックアップの処理要求に応じて、前記第1記憶部から第2記憶部へのバックアップの処理を実行するジョブ管理部と、を備え
前記ジョブ管理部は、前記処理の対象のジョブデータのキー情報が現在の状態パラメーターのキー情報と一致しなければ、ラスターイメージデータを除いた該ジョブデータを対象としてバックアップ処理を実行し、前記対象のジョブデータのキー情報が現在の状態パラメーターのキー情報と一致すれば、ラスターイメージデータを含めた該ジョブデータを対象としてバックアップ処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【0013】
3.前記ジョブ管理部は、前記第2記憶部に、ラスターイメージデータを含めたジョブデータをバックアップする際に、該ラスターイメージデータの生成に用いた状態パラメーターのキー情報も併せてバックアップすることを特徴とする前記2に記載の画像形成装置。
【0014】
4.前記ジョブ管理部は、受信した、ジョブデータを対象としたリストアの処理要求に応じて、前記第2記憶部からのリストアの処理が実行可能であり、
前記ジョブ管理部は、前記処理の対象のジョブデータに含まれるキー情報が、現在の状態パラメーターのキー情報と一致すれば、ラスターイメージデータを含めた該ジョブデータを対象としてリストア処理を実行し、前記対象のジョブデータに含まれるキー情報が現在の状態パラメーターのキー情報と一致しない場合、ラスターイメージデータを除いた該ジョブデータのリストア処理を実行することを特徴とする前記3に記載の画像形成装置。
【0015】
5.前記ジョブ管理部は、受信した、ジョブデータを対象としたリストアの処理要求に応じて、前記第2記憶部からのリストアの処理が実行可能であり、
該リストアの処理を実行する場合に、
前記処理の対象のジョブデータに含まれるキー情報が、現在の状態パラメーターのキー情報と一致しない場合、第2記憶部にバックアップされている該ジョブデータのラスターイメージデータを削除することを特徴とする前記3または4に記載の画像形成装置。
【0016】
6.前記ジョブ管理部は、前記更新部により状態パラメーターが更新されるに応じて、
前記第2記憶部にバックアップされているジョブデータのうち、更新前の状態パラメーターのキー情報が含まれるジョブデータのラスターイメージデータを削除することを特徴とする前記2〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0017】
7.前記第2記憶部は、前記画像形成装置に含まれる、あるいは該画像形成装置とネットワークで接続された外部の記憶装置であって、該画像形成装置以外の他の画像形成装置からもジョブデータのバックアップが可能であり、
前記バックアップしたジョブデータには、更に、画像形成装置の本体識別情報が含まれ、
前記ジョブ管理部は、前記更新部により状態パラメーターが更新されるに応じて、前記第2記憶部にバックアップされたジョブデータであって、現在の状態パラメーター以外の状態パラメーターのキー情報、および装置自体の本体識別情報が含まれる全てのジョブデータを対象として、ラスターイメージデータを削除することを特徴とする前記2〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0018】
8.前記第2記憶部は、前記画像形成装置が備える、あるいは前記画像形成装置とネットワークで接続された外部の記憶装置であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0019】
9.前記状態パラメーターは、ラスターイメージデータの生成に影響する因子であって、画像データの信号量に対する前記画像形成部の出力特性の変化を補正する調整データであることを特徴とする前記1〜8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0020】
10.更新可能な状態パラメーターを用いて画像データに対してラスタライズ処理を行ってラスターイメージデータを生成するラスタライズ処理部と、生成したラスターイメージに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、画像データおよび該画像データから生成されたラスターイメージデータを一組のジョブデータとして保存する第1記憶部と、を備える画像形成装置で実行されるジョブデータの管理方法であって、
ジョブデータを対象とした、前記第1記憶部から第2記憶部へのバックアップあるいは、前記第2記憶部から前記第1記憶部へのリストアの処理の処理要求を受信するステップと、
前記処理の対象のジョブデータに含まれるラスターイメージデータが、現在の状態パラメーターを用いて生成されたか否かを判断するステップと、
前記判断するステップの結果が、現在の状態パラメーター以外の状態パラメーターを用いて生成されたという判断であればラスターイメージデータを除いた該ジョブデータを対象とした前記処理要求に応じた処理を実行し、現在の状態パラメーターを用いて生成されたという判断であればラスターイメージデータを含めた該ジョブデータを対象とした前記処理を実行するステップと、
を有することを特徴とするジョブデータの管理方法。
【0021】
11.更新可能な状態パラメーターを用いて画像データに対してラスタライズ処理を行ってラスターイメージデータを生成するラスタライズ処理部と、生成したラスターイメージに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、画像データ、該画像データから生成されたラスターイメージデータ、および該ラスターイメージデータの生成に用いた状態パラメーターのキー情報、を一組のジョブデータとして保存する第1記憶部と、を備える画像形成装置で実行されるジョブデータの管理方法であって、
前記第1記憶部以外の第2記憶部へのバックアップの処理要求を受信するステップと、
バックアップ対象のジョブデータのキー情報が現在の状態パラメーターのキー情報と一致するか否かを判断するステップと、
前記判断するステップの結果が、キー情報が一致しないという判断であればラスターイメージデータを除いた該ジョブデータを前記第2記憶部にバックアップし、キー情報が一致するという判断であればラスターイメージデータを含めた該ジョブデータをバックアップするステップと、
を有することを特徴とするジョブデータの管理方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ジョブデータを対象として、バックアップあるいはリストアの処理を実行する際に、ジョブデータに含まれるラスターイメージデータが、現在の状態パラメーター以外の状態パラメーターを用いて生成されている場合には、ラスターイメージデータを処理の対象とはせずに、バックアップあるいはリストアの処理を実行する。これにより再利用出来ないラスターイメージに対する不要なバックアップあるいはリストアの処理がなされることを防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0025】
<一の実施形態>
図1は一の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。また、
図2は、画像形成装置の制御ブロック図である。
図3、4は状態パラメーターを説明する図である。
図5は、ジョブデータ等の流れを説明する模式図である。
【0026】
図1に示すように画像形成装置10(10a、10b)は、ネットワークNを介して、印刷端末50や外部記憶装置22に接続されている。画像形成装置10は、電子写真方式の印刷装置であり、C、M、Y、Kの4色のトナーで形成したフルカラー画像を用紙上に形成する。印刷端末50は、例えばPCであり、ユーザーの操作により印刷ジョブの送信や、ジョブ管理もしくは状態パラメーターの更新に関する要求等を送信する。画像形成装置10の本体内部に設けられた第1記憶部としての内部記憶装置21には複数のジョブデータが保存されている。画像形成装置10の外に設けられた第2記憶部としての外部記憶装置22には、ユーザーの操作指示により内部記憶装置21に保存されているジョブデータがバックアップされ、バックアップにより保存されたジョブデータは操作指示によりリストアがなされる。内部記憶装置21、および外部記憶装置22は、例えばハードディスクドライブ(HDD)あるいはSSD(Solid State Drive)などで構成される大容量の記憶装置である。
図1に示す例では、外部記憶装置22aは、画像形成装置10aとUSB(Universal Serial Bus)規格などでローカル接続されている。一方、外部記憶装置22b、22cはローカルあるいはフォーリンネットワークに位置するファイルサーバ内に設けられた記憶装置であり、ネットワークNを介して画像形成装置10a、10bとデータのやり取りを行う。なお、外部記憶装置22a、22b、22cは、画像形成装置10a、10bの双方からアクセス可能であり、さらに本実施形態においては外部記憶装置22a、22b、22cにおけるジョブデータを取り扱うファイル保存領域(フォルダ)については、それぞれの画像形成装置10a、10bが新規追加、読み取り、書込み、削除の権限を有している。
【0027】
図2の画像形成装置10の制御ブロック図に示すように、画像形成装置10は、プリンタコントローラ11、状態パラメーター管理部12、エンジン制御部13、画像形成部14、操作・表示部15、ジョブ管理部16、内部記憶装置21を備える。印刷端末50から送られた印刷ジョブは、プリンタコントローラ11の受信部111で受信される。印刷端末50からは、ジョブチケットと画像データから構成される印刷ジョブ(プリントジョブともいう)が送信される。
【0028】
ジョブチケットには、用紙サイズ、各画像データの印刷順序および用紙面へ配置情報や後処理の内容等の各種の印刷設定に関する処理内容が記述されている。画像データは、PS、PCLなどのプリンタ言語で記述されており、これは印刷端末50のプリンタドライバーで生成されたものである。このプリンタ言語は、PDL解析部112で解析された後に中間データに変換される。中間データはRIP(ラスターイメージ処理部)113により処理可能なデータであり、中間データはRIP113によりラスタライズ処理されてビットマップ形式のラスターイメージデータ(以下、単に「ラスターイメージ」という)に変換される。このラスタライズ処理においては、状態パラメーター管理部12に保持されている「状態パラメーター」が用いられる。状態パラメーターについては後述する。RIP113で生成されたラスターイメージは、エンジン制御部13に送られ、エンジン制御部13は、画像形成部14を制御して、ジョブチケットと、ラスターイメージに基づいて用紙上に画像を形成させる。操作・表示部15は、液晶表示パネルにタッチセンサを重畳させたタッチパネル等で構成され、ユーザーからの操作指示を受け付ける。ジョブ管理部16は、操作・表示部15、あるいは印刷端末50からのユーザーの操作指示に基づいて、内部記憶装置21および外部記憶装置22へのファイル管理を行う。
【0029】
<状態パラメーター>
次に
図3、4を参照して状態パラメーターについて説明する。
図3(a)は状態パラメーターを説明する図であり、
図3(b)は状態パラメーターの他の例である。
図3(a)に示すように、PDLで記述された画像データの各画素の色情報は、例えばsRGBなどのデバイス非依存の各色8bitのRGB信号であり、ラスタライズ処理時にはこの入力の色信号は、状態パラメーターを用いてデバイス依存のCMYKの各色8bitの出力の色信号(以下、「プリンタデバイス値」ともいう)に変換される。
【0030】
画像形成装置10の画像の出力特性は、(1)画像形成装置10の本体の機械寸法や内部にトナーを含む2成分現像剤などの物性値のばらつき、等の本体固有値、(2)感光体ドラムや2成分現像剤の使用や、機械部品の摩耗に伴う経年劣化、および(3)使用する温度、湿度などの環境によって変化する。出力特性が変化した場合には、同じプリンタデバイス値であっても用紙上に形成される画像の色が異なることになるため、色再現性のよい高品質の出力をするためにはこれを補正する必要がある。状態パラメーターはこの出力特性の変化を補正する調整データである。状態パラメーターの算出方法としては、例えば、ユーザーの指示により異なるプリンタデバイス値で出力した数百〜数千個程度の大量のパッチ画像を用紙上に形成し、これを外部の測色器あるいは画像形成装置が備える測色器により測定することで、出力特性に合わせた状態パラメーターを算出することができる。状態パラメーターの算出は印刷端末50等の外部装置で行ってもよく、あるいは測色データを画像形成装置10に取り込むことにより状態パラメーター管理部12で算出してもよい。状態パラメーターを算出し、更新する頻度としては数か月に一度程度を標準とするが、これよりも短い間隔で行うようにしてもよい。
【0031】
図3(b)の変形例は、簡易的な状態パラメーターであり、同図に示す状態パラメーターは上段の第1パラメーターによりRGB信号をC'M'Y'K'の中間の色信号に変換し、これを下段の第2パラメータ(状態パラメータ)によりCMYKのプリンタデバイス値に変換するものである。第1パラメーターは、基本は固定値であり画像形成装置本体の出力特性が変化した場合であっても変更しない。一方、第2パラメーターは出力特性の変化に合わせてその値を変更するパラメーターである。第2パラメーターは例えば、C’→C、M’→M、Y’→Y、K’→Kといったように各色の8bit信号値をそれぞれの対応色の8bit信号値に変換する1次元の変換テーブルとしてもよい。このような場合は、容易にパラメーターの設定(算出)を行うことが可能であるとともにデータ量を非常に小さくすることができる。
【0032】
図4は、画像形成装置10が保持している状態パラメーターのリストを示す図である。前述のように状態パラメーターは、画像形成装置本体の出力特性の変化に応じて、ユーザーの指示より適宜更新されるものである。同図のTable1に示す例では、現在の状態パラメーターは201x年11月10日に更新されたものであり、キー情報として「ID002」が付与されている。「現在の状態パラメーター」は、RIP113でのラスタライズ処理に使用されるものである。一方で、キー情報「ID001」が付与されている状態パラメーターは1つ前の古いものであり、現在はRIP113でのラスタライズ処理には使用されない。キー情報は状態パラメーター管理部12により設定される。
図4に示す例では、状態パラメーターが更新される毎に画像形成装置側で付与した連続番号をキー情報として用いているがこれに限られず、(1)状態パラメーター更新時のタイムスタンプ、(2)状態パラメーターから算出されたハッシュ値、あるいは(3)
図3(b)のようにデータ量が小さい「状態パラメーター」であればその状態パラメーターそのものをキー情報として用いてもよい。
【0033】
図5は、ジョブデータの流れを説明する模式図である。同図においては
図1、2と共通の機能構成部については同じ番号を付すことで説明に代える。印刷端末50では、ユーザーが、OS上で動作する種々のアプリケーションにより原稿データを作成する。その原稿データと、印刷設定、出力先(画像形成装置の本体ID)をプリンタドライバー上で設定し、この設定に基づいてプリンタドライバーは、ジョブチケットを作成するとともに、原稿データに基づいてPDLで記述された画像データを生成し、これらを印刷ジョブとして送信する。RIP113は、前述のとおりPDL解析部112と協働することで受信した画像データからラスターイメージを生成する。生成されたラスターイメージは、画像形成部14に送られて、これに基づいて用紙への画像形成が行われ、印刷物が得られる。
【0034】
印刷ジョブに含まれる「ジョブチケット」、「画像データ」、この画像データに基づいてRIP113で生成された「ラスターイメージ」、および、このラスターイメージの生成に用いられた状態パラメーターの「キー情報」は、一組のジョブデータとして内部記憶装置21に保存される。このジョブデータは、操作・表示部15を通じたユーザーからのバックアップあるいはリストアの処理要求に基づいて、外部記憶装置22へのバックアップあるいはリストアの処理が行われる。以下においては、内部記憶装置21に保存されたジョブデータを「保存ジョブ」、外部記憶装置22にバックアップされたジョブデータを「バックアップジョブ」とも称する。
【0035】
<バックアップ処理についての制御フロー>
次に、
図6、7を参照して主にジョブ管理部16が実行するバックアップ処理について説明する。
図6はバックアップ処理に関する制御フロー図であり、
図7は、ジョブのリストの例である。
図6のステップS11では、操作・表示部15の操作パネルを介したユーザーからのバックアップ要求が入力される。バックアップ要求には、バックアップの対象となるジョブデータを特定する情報が含まれる。特定方法としては、内部記憶装置21に保存されている保存ジョブのうち1または複数のジョブデータを指定してもよく、あるいは全ての保存ジョブを指定してもよい。
図7のTable2に示す例では、内部記憶装置21には保存ジョブとしてジョブID001〜ID007が保存されている。そしてステップS11では、全ての保存ジョブをバックアップの対象ジョブとして指定している。
【0036】
ステップS12では、状態パラメーター管理部12からRIP113で使用されている現在の状態パラメーターのキー情報を取得する。
図4の例ではキー情報は「ID102」である。ステップS13では、内部記憶装置21から対象ジョブのジョブデータを取得する。ジョブデータに属するデータはジョブチケット、画像データ、ラスターイメージ、キー情報である。ステップS14では、対象ジョブそれぞれについて、ステップ12で取得したキー情報とステップ13で取得したジョブデータのキー情報とを比較する。
図7のTabel2に示すようにジョブID005〜ID007は、現在の状態パラメーターを用いてラスタライズ処理がなされているのでキー情報は「ID102」であり、これはステップS13で取得したキー情報と一致する(ステップS14:YES)。この結果によりステップS15においてジョブID005〜007については、ラスターイメージ、キー情報を含めたジョブデータを、外部記憶装置22にバックする。
【0037】
一方で、バックアップの対象ジョブのうちジョブID001〜ID004については、現在のではなく、ひとつ前の状態パラメーターを用いてラスタライズ処理がなされておりキー情報はID101である。そのため、ステップS13で取得したキー情報(「ID102」)とは一致しないため(ステップS14:NO)、ステップS16で、ラスターイメージ、キー情報を除いて、外部記憶装置22にバックアップする。
【0038】
ステップS13からS16までの制御をバックアップの対象ジョブに対して繰り返し行い、これを全対象ジョブが終了するまで行う(ステップS17)。
【0039】
図7のTable3は、上記のバックアップ処理によりバックアップされたジョブデータのリストである。同図からジョブID001〜004については、ラスターイメージとキー情報はバックアップされないことが理解できる。なお、外部記憶装置22におけるバックアップ先は、ユーザーが指定してもよく、あるいはジョブ管理部16で所定のフォルダを設定するようにしてもよい。
【0040】
<リストア処理についての制御フロー>
続いて、
図8を参照して、ジョブ管理部16が実行するリストア処理について説明する。
図8のステップS21では、操作・表示部15の操作パネルを介したユーザーからのリストア要求が入力される。リストア要求には、リストアの対象となるジョブデータを特定する情報が含まれるが、ユーザーが外部記憶装置22の保存フォルダを参照して、バックアップジョブの中から1または複数のジョブデータを指定してもよい。あるいはフォルダ単位、若しくは装置自体の本体ID(
図7のTable3参照)を指定することにより対象となるジョブデータを特定してもよい。
【0041】
ステップS22では、状態パラメーター管理部12からRIP113で使用されている現在の状態パラメーターのキー情報を取得する。ステップS23では、外部記憶装置22のバックアップジョブの中から対象ジョブのキー情報を取得する。なお、このとき、
図7のTable3に示したように対象ジョブのジョブデータにキー情報が含まれていない場合もあり得る。この場合は、当然ながら取得するキー情報はNULLデータである。
【0042】
ステップS24では、リストアの対象ジョブについて、ステップS22で取得したキー情報とステップS23で取得したキー情報とを比較する。キー情報が一致すれば(ステップS24:YES)、ステップS25でラスターイメージ、キー情報を含めた対象ジョブのジョブデータを、画像形成装置10の内部記憶装置21等の保存領域にリストアする。
【0043】
一方で、キー情報が一致しない対象ジョブについては(ステップS24:NO)、ステップS26でラスターイメージ、キー情報を除いたジョブデータを画像形成装置10の保存領域にリストアする。
【0044】
ステップS23からS26までの制御をリストアの対象ジョブに対して繰り返し行い、これを全ての対象ジョブが終了するまで行う(ステップS27)。
【0045】
<効果>
上記の説明から明らかなように本実施形態では、現在の状態パラメーターを使用してラスタライズ処理が実行されたジョブデータであれば、バックアップ処理あるいはリストア処理を行う際に、ジョブデータに含まれるラスターイメージを含めてバックアップあるいはリストアの処理を実行している。換言すれば、現在の状態パラメーターではなく、これよりも前の状態パラメーターを使用したラスタライズ処理により生成されたラスターイメージは、バックアップあるいはリストアの処理対象とはしていない。このようなラスターイメージを再利用して画像形成を行ったとしても色再現性が適切ではなく高画質化を達成できなくなる恐れがあるためである。
【0046】
このように、本実施形態においては、再利用できないラスターイメージについては、外部記憶装置22へのバックアップあるいは外部記憶装置22からのリストアの処理対象としてない。このような不要なラスターイメージをバックアップしないようにすることで、外部記憶装置22の保存領域が無駄に消費されることを避け得る。またバックアップした後に不要となったラスターイメージであってもこれをリストアしないようにすることでリストア処理に係る無駄な処理が発生することを避けること、およびリストア処理することによる画像形成装置10の保存領域を無駄に消費することを避けることが可能となる。一方で、現在の状態パラメーターでラスタライズ処理されたラスターイメージについては再利用できるので、これを適切にバックアップおよびリストアすることで再RIPが不要となり処理の効率化を図ることが可能となる。
【0047】
なお、ラスターイメージが再利用できないジョブデータについては、画像データに対して現在の状態パラメーターを用いた再度のラスタライズ処理(再RIP)を行うことで新たなラスターイメージを生成している。また、
図7等に示したように再利用できないラスターイメージに対応するキー情報もバックアップおよびリストアの対象外としていたが、これに限られず、バックアップおよびリストアの対象としてもよい。ラスターイメージは、A4用紙サイズであれば1ページあたり100〜200MBとそのファイルサイズは非常におおきい、その一方でキー情報のファイルサイズは数KBあるいはこれ以下で非常に小さい。そのため不要なキー情報をバックアップおよびリストアの対象としても影響が小さいからである。
【0048】
<バックアップジョブ中のラスターイメージの削除処理についての制御フロー>
続いて、
図9、
図10それぞれを参照してバックアップジョブ中のラスターイメージの削除処理およびその変形例について説明する。このラスターイメージの削除処理は、例えばバックアップ時には最新(現在)の状態パラメーターでラスタライズ処理されたラスターイメージであったが、その後に画像形成装置10で状態パラメーターの更新が実行される等により、事後的に再利用できなくなったラスターイメージを対象として削除処理するものである。以下、説明する。
【0049】
図9は、ジョブ管理部16が実行する第1の削除処理に関する制御フロー図である。同図は、
図8のステップS26に続いて行う処理である。状態パラメーターのキー情報が一致していない場合には、ステップS261において、リストア対象のバックアップジョブに含まれるキー情報とラスターイメージを外部記憶装置22から削除する。削除した後は、
図8のステップS27の処理を実行する。
【0050】
このようにすることで、事後的に再利用できなくなったような、不要なラスターイメージをリストア時に削除することができるので、外部記憶装置22の保存領域を無駄に消費することを避けることが可能となる。
【0051】
続いて、削除処理の変形例について
図10を参照して説明する。変形例における削除処理はジョブ管理部16や状態パラメーター管理部12等により実行される処理であり、状態パラメーターが更新されたことを契機として再利用できなくなった複数のラスターイメージを対象としてまとめて削除処理するものである。
【0052】
図10のステップS31では、状態パラメーターの更新要求が入力される。この要求は、操作・表示部15の操作パネルを介してもよく、あるいは印刷端末50を介して行ってもよい。ステップS32では、状態パラメーターの更新処理を実行する。状態パラメーターの更新処理は、主に状態パラメーター管理部12により実行される。画像形成部14によりCMYKのプリンタデバイス値を異ならせた多量のパッチ画像を形成させ、これを測色器によって測色する。パッチ画像から得られた測色データと対応するプリンタデバイス値に基づいて状態パラメーターを作成し、これにより現在の状態パラメーターを更新する。以降においては、RIP113は更新後の状態パラメーターを用いてラスタライズ処理を実行する。また状態パラメーターを更新する際に、状態パラメーター管理部12は、更新後の状態パラメーターのキー情報を作成する。
【0053】
ステップS33では、バックアップ先のアドレスを取得する。バックアップ先アドレスは、外部記憶装置22が一つであり、バックアップ先のフォルダが固定されているのであればそのフォルダのアドレスとなる。また、外部記憶装置22の所在がフォーリンネットワーク上にあれば、そのIPアドレスになる。なお、その場合はバックアップ時にバックアップ先のネットワークアドレスを履歴として保持し、履歴からバックアップ先アドレスの情報を得るようにしてもよい。
【0054】
ステップS41からステップS46では、バックアップ先アドレスに含まれる全てのバックアップジョブを対象として、判断結果に応じてラスターイメージの削除を行う。具体的にはステップS42では、バックアップ先アドレスに存在する対象のバックアップジョブに含まれる本体ID(装置識別情報)およびキー情報を取得する。本体IDの情報は、ジョブチケットあるいはキー情報に含めてもよく、
図7のTable3に示したようにこれらとは分離した情報であってもよい。ステップS43ではステップS42で取得したキー情報がステップS32で作成した現在の状態パラメーターのキー情報と一致するか否かを判断する。ステップS44ではステップS42で取得した本体IDが自装置の本体ID(以下、「自装置ID」という)と一致しているか否かを判断する。
【0055】
キー情報が一致せず(ステップS43:NO)、かつ本体IDが自装置IDと一致していれば(ステップS44:YES)、次のステップS45で対象のバックアップジョブに含まれるラスターイメージとキー情報を削除する。一方で、キー情報が一致する(ステップS43:YES)あるいは本体IDと自装置IDが一致しない(ステップS44:NO)場合には、バックアップジョブからラスターイメージとキー情報を削除しない。
【0056】
以降は、バックアップ先アドレスに含まれるバックアップジョブを対象として順次ステップS42からS46の処理を繰り返し、これを全てのバックアップジョブに対して行う(エンド)。
【0057】
ここで、
図10のステップS44で示したように、バックアップジョブに含まれる本体IDと自装置IDが一致しない場合にはラスターイメージを削除対象としていない。当該ラスターイメージは他の画像形成装置により作成されたものであり、他の画像形成装置によってラスタ―イメージが再利用される可能性があるためである。一方で、状態パラメーターはそれぞれの画像形成装置固有の特性に合わせたものであるから、画像形成装置10aと画像形成装置10bのような異なる装置間で状態パラメーターが一致する可能性はほとんどない。つまり自装置の状態パラメーターを用いて生成されたラスターイメージは他の装置で再利用される可能性はほとんどない。そのため、
図10の制御フローに示すように、自装置の過去の状態パラメーターを用いて生成されたラスターイメージを削除しても問題はない。
【0058】
このように、
図10に示す第2の削除処理により、利用する可能性がなくなったラスターイメージをまとめて削除することが可能となるので、より効果的に外部記憶装置22の保存領域を無駄に消費することを防げる。
【0059】
なお、
図10に示す第2の削除処理では、本体IDを削除の判断に用いていたが、画像形成装置毎にバックアップ先アドレスが分離されており、他の画像形成装置のバックアップジョブが保存されていないように管理されているのであれば、本体IDを削除の判断に用いずに、ステップS43のキー情報が一致するか否かのみで判断するようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態においては、状態パラメーターのキー情報を用いてラスターイメージのバックアップあるいはリストアを行うか否かを判断したが、キー情報を用いずに、ラスターイメージのタイムスタンプ(作成時刻)と、状態パラメーターのタイムスタンプ(更新時刻)とを比較することで、このラスターイメージが現在の状態パラメーターを用いて生成されたか否かを判断してもよい。例えばラスターイメージのタイムスタンプが状態パラメーターのそれよりも後であれば、ラスターイメージが現在の状態パラメーターを用いて生成されたと判断できる。
【0061】
<キー種別情報を用いた変形例>
図11から
図13を参照し、キー種別情報を用いる変形例について説明する。ここで「キー種別情報」とは、状態パラメーターの種類を示す情報である。種類としては「共通」と「固有」の2つがある。「共通」とは画像形成装置本体、あるいは画像形成装置の特性変化に依存せずに共通の状態パラメーターを用いる場合である。「固有」とは、
図4等で説明したような状態パラメーターが画像形成装置本体、あるいは画像形成装置の特性変化に対応して適宜変更される固有の状態パラメーターを用いる場合である。なお、共通・固有の何れかであるかは、画像形成装置本体のソフトウェア、ハードウェアの種類により決定されるものである。また「共通」の場合であっても、ソフトウェアのバージョン、特にプリンタコントローラ11、状態パラメーター管理部12のソフトウェアのバージョンにより異なる状態パラメーターを用いる場合がある。例えばソフトウェアのバージョンを更新することにより色変換に関する処理を改善するような場合である。なお、ソフトウェアのバージョンアップは、ユーザーやサービスマン等の意図により手動で行う場合や、管理サーバー等にネットワークに接続されている環境であれば管理サーバーの管理下の下で自動に行われる場合がある。そして手動、自動にかかわらず、ほとんどの場合、バージョンアップはユーザーの好みにより行われるものであり、異なるバージョンが市場で混在する場合もある。以下、変形例について説明する。
【0062】
図11の状態パラメータリストに示すように、本体IDが、装置10a、装置10bの画像形成装置10のキー種別情報は「固有」であり、本体IDが装置10x、装置10y、装置10zの画像形成装置10のキー種別情報は「共通」である。キー種別情報が「共通」の画像形成装置10は、「固有」の画像形成装置10とは、ラスタライズ処理に関して異なる種類のソフトウェアが適用されている。このキー種別情報が「共通」の画像形成装置に適用されるソフトウェアでは、状態パラメーターは固定であり、異なる画像形成装置間でも同じ状態パラメーターが用いられる。そのためキー種別情報が「共通」となっている画像形成装置10間では、同じラスタライズ処理が実行される。すなわち、同じ画像データ(PDL形式)であれば、画像形成装置本体によらず、基本的には同じラスターイメージが得られることになる。ただし例外がある。それは、以下に説明するように、この種類のソフトウェアに対して、ラスタライズ処理に影響するバージョンアップが行われた場合である。
【0063】
図11においては、共通タイプの種類のソフトウェアを適用した、キー種別情報が「共通」の画像形成装置10のうち、装置10x、10yのキー情報は「ver1.1」でありバージョン1,1に対応した状態パラメーターAが用いられることを示している。一方で、同じく装置10zは、キー情報は「ver1.2」であり、バージョン1.2に対応した状態パラメーターBが用いられることを示している。この場合、装置10x、装置10zの画像形成装置10間では、同じラスタライズ処理が実行されるので、これらの画像形成装置10間で作成したラスターイメージは相互に利用可能である。一方で、装置10zの画像形成装置10は、異なる状態パラメーターを用いたラスタライズ処理が行われるので、作成したラスターイメージを異なるキー情報の画像形成装置10間とで相互に利用することはできない。
【0064】
図12は、外部記憶装置22にバックアップされている一のバックアップジョブに保存されている一組のファイルを示す図であり、同図に示すように、ジョブデータには、ジョブチケット、画像データ、ラスターイメージ、キー情報、キー種別情報、本体IDのファイルが含まれる。
【0065】
次に、ラスターイメージを削除する処理について、
図13を参照して説明する。同図の処理は、
図8のステップS26に続いて、ジョブ管理部16により実行される処理である。
【0066】
ステップS265では、外部記憶装置22のバックアップジョブの中からステップS21(
図8)で指定された対象ジョブのキー種別情報、本体IDを取得する。
【0067】
ステップS266、ステップS267において、ステップS265で取得した本体IDが自装置IDと一致しており、かつ、キー種別情報が「固有」であれば、続くステップS268でリストア対象のバックアップジョブに含まれるファイル(
図12参照)の中から、ラスターイメージ、キー情報、キー種別情報、および本体IDのファイルを削除する。削除した後は、
図8のステップS27の処理を実行する。
【0068】
一方で、本体IDが自装置IDと一致しておらず、あるいはキー種別情報が「固有」でなく「共通」である場合は、ステップS268の削除処理を行うことなく
図8のステップS27の処理を実行する。
【0069】
このように、キー種別情報が「固有」ではなく「共通」である場合には、自装置(例えば装置10x)が作成したラスターイメージであっても、他の画像形成装置10(例えば装置10y)で利用可能であるため、ステップS268の削除処理を実行していない。このようにすることで、再利用する可能性のあるラスターイメージが削除されることを防ぐことが可能となる。
【0070】
なお、
図12は、
図9に対してキー種別情報を適用した制御フローであるが、同様に
図10のステップS44とS45との間に、
図13のステップS267の判断を行うようにすることで、
図10にキー種別情報を適用してもよい。