(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のグループ及び前記第2のグループは、何れか一方が奇数の変速段であり、他方が偶数の変速段であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車用変速装置。
前記ワンウェイクラッチと前記第2の切換手段との間、及び前記第2の切換手段と前記第1の入力軸または前記第2の入力軸との間に、夫々変速ギヤが介装されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハイブリッド車用変速装置。
前記第2の切換手段と前記第1の入力軸または前記第2の入力軸との間の前記変速ギヤは、前記第1のグループまたは前記第2のグループの変速段の変速ギヤと共有することを特徴とする請求項5に記載のハイブリッド車用変速装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の変速装置では、流体継ぎ手を使用しており、動力の伝達ロスにより燃費が悪化する虞がある。また、2つの入力軸及び2つのクラッチを有する一般的なデュアルクラッチ式変速装置に対し、流体継ぎ手と2つのワンウェイクラッチとが追加されているので、変速装置の大きさや重量が大幅に増加してしまうといった問題点がある。
【0008】
上記特許文献2では、変速中において変速ギヤを介さずに動力が伝達されるので、変速しようとする変速段によっては変速中に著しくエンジン回転数が変化し、変速フィーリングが悪化する虞がある。
また、上記特許文献1及び2のいずれも、走行駆動源をエンジンのみとした車両の変速装置であり、ハイブリッド車に採用すべく、EV走行やパラレル走行に切換可能であることが要求される。
【0009】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、EV走行及びパラレル走行が可能であるとともに、変速装置の大きさや重量の増加を抑えつつ、容易な制御で変速中のトルク切れを抑制可能なハイブリッド車用変速装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、エンジンの駆動軸及びモータと車両の駆動輪との間の動力伝達路に介装されるハイブリッド車用変速装置であって、2つのグループに分けた複数の変速段のうちの第1のグループの変速段の変速ギヤが設けられた第1の入力軸と、複数の変速段のうちの第2のグループの変速段の変速ギヤが設けられた第2の入力軸と、駆動軸から順番に第1のクラッチ及び第2のクラッチを介して動力が伝達される第1の動力伝達軸と、第1のクラッチを介して駆動軸から動力が伝達される第2の動力伝達軸と、第1の動力伝達軸を、第1の入力軸及び第2の入力軸のいずれか一方に選択的に接続可能な第1の切換手段と、第2の動力伝達軸を、第1の入力軸及び第2の入力軸のいずれか一方に選択的に接続可能な第2の切換手段と、第2の動力伝達軸に介装され、駆動軸から第2の切換手段への動力の伝達のみ許容するワンウェイクラッチと、第1のグループ及び第2のグループの変速段の変速ギヤに選択的に接続され、当該変速ギヤを介して第1の入力軸または第2の入力軸から動力が伝達され、駆動輪に動力を伝達する出力軸と、を備え、モータは、第1のクラッチと第2のクラッチとの間の動力伝達路に動力を伝達可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1において、第1のグループ及び第2のグループは、何れか一方が奇数の変速段であり、他方が偶数の変速段であることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または2において、ワンウェイクラッチは、駆動軸と同一軸線上に配置されていることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに1項において、第2の切換手段は、出力軸
と同軸に出力軸に支持されて配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項において、ワンウェイクラッチと第2の切換手段との間、及び第2の切換手段と第1の入力軸または第2の入力軸との間に、夫々変速ギヤが介装されていることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項5において、第2の切換手段と第1の入力軸または第2の入力軸との間の変速ギヤは、第1のグループまたは第2のグループの変速段の変速ギヤと共有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1のハイブリッド車用変速装置によれば、第1の切換手段を切換えることで、エンジンやモータから第1のクラッチ、第2のクラッチ、第1のグループ及び第2のグループのいずれか一方の変速段の変速ギヤを介して出力軸に動力が伝達可能となるので、エンジンやモータは2つのグループのいずれの変速段でも出力軸に動力が伝達可能となる。また、第2の切換手段を接続作動させることで、エンジンやモータから、ワンウェイクラッチ、第1のグループ及び第2のグループのいずれか一方の変速段の変速ギヤを介しても出力軸に動力が伝達可能となる。
【0014】
そして、第1のグループの変速段と第2のグループの変速段との間での変速中に、第1の切換手段を切換えるべく第2のクラッチを切断しているときにも、ワンウェイクラッチを介して出力軸に動力が伝達可能であるので、変速中でのトルク抜けを防止することができる。
更には、第2の切換手段を切換作動させることで、第2の動力伝達軸が第1の入力軸及び第2の入力軸のいずれにも選択的に接続可能であるので、変速中におけるワンウェイクラッチを介した動力伝達時に、変速ギヤの選択に応じて変速比を変更することが可能である。したがって、変速中でのエンジン回転速度の変化を抑え、変速フィーリングを向上させることができる。
【0015】
また、第1のクラッチを切断することで、モータのみにより走行するEV走行が可能となる。第1のクラッチ及び第2のクラッチの両方が接続している場合には、エンジンで走行駆動するエンジン走行と、モータとエンジンの両方で走行駆動するパラレル走行とが可能となる。
また、ワンウェイクラッチを用いることで、EV走行やパラレル走行に切換え可能としつつも、エンジン駆動車のデュアルクラッチ式変速装置に対して、比較的大型であるクラッチや流体継ぎ手の追加を必要とせず、変速装置の大きさや重量の増加を抑制することができる。また、ワンウェイクラッチは第2のクラッチの伝達トルクに応じて受動的に動力が伝達されるので、クラッチの制御を簡素化することができる。
【0016】
本発明の請求項2のハイブリッド車用変速装置によれば、第1のグループ及び第2のグループが、奇数の変速段と偶数の変速段とに分けられるので、いずれか一方のグループの変速段でエンジンやモータにより走行している状態からその前後の変速段に変速する際に、第1の切換手段を切換えて他方のグループの変速段に変速することができる。したがって、変速段の切断をする前に次の目標変速段を接続するプレシフトが可能となり、継ぎ目のない変速が可能となる。
【0017】
また、本発明の請求項3のハイブリッド車用変速装置によれば、ワンウェイクラッチは、エンジンの駆動軸と同一軸線上に配置されているので、駆動軸上の空いたスペースにワンウェイクラッチを配置して変速装置の大きさを抑制することができる。
また、本発明の請求項4の車両用変速装置によれば、第2の切換手段が出力軸上に配置されているので、第2の切換手段を支持する軸を追加する必要がなく、変速装置の構造の複雑化及び幅方向の寸法の増大を抑制することができる。
【0018】
また、本発明の請求項5のハイブリッド車用変速装置によれば、第2の切換手段の前後に夫々変速ギヤが設けられているので、第2の切換手段の接続時においてワンウェイクラッチが契合しないように変速ギヤを設定することが可能となる。よって、変速中での第2の切換手段の接続時にエンジンからのトルクの干渉を無くして、変速フィールをより向上させることができる。
【0019】
また、本発明の請求項6のハイブリッド車用変速装置によれば、第2の切換手段と第1の入力軸または第2の入力軸との間の変速ギヤは、第1のグループまたは第2のグループの変速段の変速ギヤと共有しているので、変速ギヤの点数を抑制し、構造の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
[第1実施例]
本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車用変速装置は、走行駆動源としてエンジン1を横置きに搭載するとともにモータ26を搭載したハイブリッド車両に適用される、前進5段後進1段の変速装置である。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車用変速装置の変速機部2の模式図である。
図1に示すように、変速機部2は、2個のクラッチ3、25と、1個のワンウェイクラッチ4と、2本の動力伝達軸5、6と、2本の入力軸7、8と、2本の副軸9、10と、2個の切換機構11、12と、を備えている。
【0023】
2個のクラッチ3、25は、エンジン1の駆動軸13と第1の動力伝達軸5との間に同軸上に配置されており、エンジン1の駆動軸13の端部に第1のクラッチ25が接続され、第1の動力伝達軸の端部に第2のクラッチ3が接続されている。
第1の動力伝達軸5は、エンジン1の駆動軸13から順番に第1のクラッチ25及び第2のクラッチ3を介して動力が伝達されるとともに、他端部に第1の切換機構11(第1の切換手段)が接続されている。
【0024】
第1の入力軸7は、第1の切換機構11を挟んでエンジン1とは反対側に第1の動力伝達軸5と同軸上に配置されており、エンジン1側の端部が第1の切換機構11に接続されている。第2の入力軸8は、中空状に形成され、内部に第1の動力伝達軸5が相互回転可能に挿入されて第1の動力伝達軸5と同軸に配置されるとともに、エンジン1とは反対側の端部に第1の切換機構11が接続されている。
【0025】
第2の動力伝達軸6は、中空状に形成され、内部に第1の動力伝達軸5が相互回転可能に挿入されて第1の動力伝達軸5と同軸に、かつ第2の入力軸8とクラッチ3との間に配置されている。第2の動力伝達軸6は、一端部に第1のクラッチ25を介してエンジン1の駆動軸13から動力が伝達されるとともに、他端部に切換機構前段固定ギヤ20aが固定されている。
【0026】
ワンウェイクラッチ4は、第2の動力伝達軸6に介装され、第2の動力伝達軸6の一端部から他端部、即ちエンジン1の駆動軸13から切換機構前段固定ギヤ20aへの動力の伝達のみ許容する機能を有している。
第1の切換機構11は、第1の動力伝達軸5に対し、第1の入力軸7及び第2の入力軸8を選択的に接続して動力を伝達する機能を有する。
【0027】
第1の副軸9及び第2の副軸10は、第1の動力伝達軸5、第1の入力軸7及び第2の入力軸8と軸線が平行になるように夫々離間して配置されているとともに、エンジン1側の端部に出力ギヤ15、16が夫々固定されている。第1の副軸9及び第2の副軸10は、夫々の出力ギヤ15、16、デフ17及びドライブシャフト18(出力軸)を介して、図示しない走行駆動輪に動力を伝達可能となっている。なお、第1の副軸9及び第2の副軸10は、本発明の出力軸に含まれる。
【0028】
第1の入力軸7には、エンジン1とは反対側から順番に、1速用固定ギヤ31aと、3速及び5速用固定ギヤ33aとが第1の入力軸7と一体回転するように固定されている。第2の入力軸8には、エンジン1とは反対側から順番に、2速用固定ギヤ32aと、切換機構後段固定ギヤ21aと、4速用固定ギヤ34aとが第2の入力軸8と一体回転するように固定されている。
【0029】
また、第1の副軸9には、エンジン1とは反対側から順番に、1速用遊転ギヤ31b、5速用遊転ギヤ35b、2速用遊転ギヤ32b及び4速用遊転ギヤ34bが、第1の副軸9に対して相対回転可能に枢支されている。第2の副軸10には、エンジン1とは反対側から順番に、リバース用遊転ギヤ37b、3速用遊転ギヤ33b、切換機構後段遊転ギヤ21b及び切換機構前段遊転ギヤ20bが、第2の副軸10に対して相対回転可能に枢支されている。リバース用遊転ギヤ37bは、1速用遊転ギヤ31bに噛合するように配置されている。
【0030】
第2の切換機構12(第2の切換手段)は、第2の副軸10上に3速用遊転ギヤ33bと切換機構後段遊転ギヤ21bとの間に配置され、切換機構前段遊転ギヤ20bに対し、3速用遊転ギヤ33b及び切換機構後段遊転ギヤ21bを選択的に接続して動力を伝達する機能を有する。
このようなギヤ配置により、1速用固定ギヤ31aと1速用遊転ギヤ31bとで1速ギヤ31を構成し、2速用固定ギヤ32aと2速用遊転ギヤ32bとで2速ギヤ32を構成し、3速及び5速用固定ギヤ33aと3速用遊転ギヤ33bとで3速ギヤ33を構成し、4速用固定ギヤ34aと4速用遊転ギヤ34bとで4速ギヤ34を構成し、3速及び5速用固定ギヤ33aと5速用遊転ギヤ35bとで5速ギヤ35を構成し、1速用固定ギヤ31aと1速用遊転ギヤ31bとリバース用遊転ギヤ37bとでリバースギヤ37を構成する。
【0031】
また、切換機構前段固定ギヤ20aと切換機構前段遊転ギヤ20bとが噛み合い、切換機構前段変速ギヤ20を構成するとともに、切換機構後段固定ギヤ21aと切換機構後段遊転ギヤ21bとが噛み合い、切換機構後段変速ギヤ21を構成する。
変速機部2には、シンクロスリーブ41、42、43が備えられており、シンクロスリーブ41〜43は、図示しないシフトフォークによって第1の副軸9または第2の副軸10の軸線に沿ってスライド移動させられる。このうち第1のシンクロスリーブ41及び第2のシンクロスリーブ42は、第1の副軸9の軸線に沿ってスライド移動可能に設置されている。第3のシンクロスリーブ43は、第2の副軸10の軸線に沿ってスライド移動可能に設置されている。
【0032】
これらのシンクロスリーブ41〜43をスライド移動させることで、第1のシンクロスリーブ41により1速ギヤ31及び5速ギヤ35を、第2のシンクロスリーブ42により2速ギヤ32及び4速ギヤ34を、夫々選択的に第1の副軸9に断接可能となっているとともに、第3のシンクロスリーブ43により3速ギヤ33及びリバースギヤ37を選択的に第2の副軸10に断接可能となっている。
【0033】
モータ26は、第1のクラッチ25及び第2のクラッチ3の外周に配置され、第1のクラッチ25と第2のクラッチ3との間の動力伝達路に動力が伝達可能に構成されている。詳しくは、モータ26は、第1のクラッチ25を介してエンジン1と相互に動力を伝達可能であり、第2のクラッチ3を介して第1の動力伝達軸5に動力を伝達可能であるとともに、第2の動力伝達軸6に動力を伝達可能に構成されている。
【0034】
したがって、変速機部2では、エンジン1から第1のクラッチ25、第2のクラッチ3を介して第1の動力伝達軸5に入力した動力が、第1の切換機構11によって第1の入力軸7及び第2の入力軸8のいずれか一方に選択的に伝達可能となっている。第1の入力軸7には、1速、3速、5速、即ち奇数段(第1のグループ)の変速ギヤ31、33、35とリバースギヤ37が設けられ、第2の入力軸8には、2速、4速、即ち偶数段(第2のグループ)の変速ギヤ32、34が設けられている。よって、エンジン1の駆動軸13は、第1の切換機構11によって奇数段及び偶数段の変速ギヤに選択的に接続可能となっている。
【0035】
各シンクロスリーブ41〜43、各切換機構11、12及び各クラッチ3、25は、夫々図示しないアクチュエータにより作動され、当該アクチュエータは、シフトレバーの操作やエンジン1の運転状態等に基づいて作動制御される。
また、本実施形態では、第1のクラッチ25を切断することで、エンジン1の駆動軸13から第1の動力伝達軸5及び第2の動力伝達軸6への動力の伝達が遮断され、モータ26のみにより走行するEV走行が可能となる。
【0036】
第1のクラッチ25及び第2のクラッチ3の両方が接続している場合には、エンジン1の駆動軸から第1のクラッチ25及び第2のクラッチ3を介して第1の動力伝達軸5へ動力が伝達可能であるとともに、モータ26から第2のクラッチ3を介して第1の動力伝達軸5へ動力が伝達可能であって、エンジン1のみで走行駆動するエンジン走行と、モータ26及びエンジン1の両方で走行駆動するパラレル走行とが可能となる。
【0037】
また、第2のクラッチ3を切断するとともに、第2の切換機構12の接続を解除させることで、モータ26及びエンジン1から第1の動力伝達軸5及び第2の動力伝達軸6への動力の伝達を遮断しつつ、モータ26とエンジン1とが相互に動力を伝達可能となっており、車両停車時にエンジン1の駆動力でモータ26を駆動して発電させる停車発電が可能となる。
【0038】
図2は、各走行モードでの各変速段選択時での各クラッチ3、25、シンクロスリーブ41〜43及び切換機構11、12の切換状態を示す表である。図中の欄内の●は契合を示し、空白は開放(非契合)を示している(
図3、
図12においても同様に示す)。
図2に示すように、エンジン走行やパラレル走行では、全ての変速段選択時に、第1のクラッチ25及び第2のクラッチ3を接続する。
【0039】
そして、1速時には、第1の動力伝達軸5と第1の入力軸7とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SA)とともに、第1の副軸9と1速用遊転ギヤ31bとが接続するように第1のシンクロスリーブ41を作動させる(S1)。2速時には、第1の動力伝達軸5と第2の入力軸8とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SB)とともに、第1の副軸9と2速用遊転ギヤ32bとが接続するように第2のシンクロスリーブ42を作動させる(S2)。3速時には、第1の動力伝達軸5と第1の入力軸7とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SA)とともに、第2の副軸10と3速用遊転ギヤ33bとが接続するように第3のシンクロスリーブ43を作動させる(S3)。4速時には、第1の動力伝達軸5と第2の入力軸8とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SB)とともに、第1の副軸9と4速用遊転ギヤ34bとが接続するように第2のシンクロスリーブ42を作動させる(S4)。5速時には、第1の動力伝達軸5と第1の入力軸7とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SA)とともに、第1の副軸9と5速用遊転ギヤ35bとが接続するように第1のシンクロスリーブ41を作動させる(S5)。リバース時には、第1の動力伝達軸5と第1の入力軸7とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SA)とともに、第2の副軸10とリバース用遊転ギヤ37bとが接続するように第3のシンクロスリーブ43を作動させる(SR)。そして、上記のように各シンクロスリーブ41〜43及び各切換機構11、12を作動させた状態で第1のクラッチ25及び第2のクラッチ3を接続することで、各変速段の変速ギヤ31〜35、37を選択的に介してエンジン1の駆動軸13から出力軸18に動力が伝達可能となる。なお、ニュートラル時には、いずれのシンクロスリーブ41〜43及び切換機構11、12において接続しないように作動制御する。
【0040】
EV走行時では、第1のクラッチ25を開放し、第2のクラッチ3、各シンクロスリーブ41〜43及び各切換機構11、12は各変速段でパラレル走行と同様に作動させる。
停車発電では、第1のクラッチ25を接続、第2のクラッチ3を開放し、第1の動力伝達軸5と第1の入力軸7とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SA)とともに、第1の副軸9と1速用遊転ギヤ31bとが接続するように第1のシンクロスリーブ41を作動させる(S1)。
【0041】
次に、エンジン走行、パラレル走行時における、変速中での各シンクロスリーブ41〜43、各切換機構11、12及び第2のクラッチ3の作動制御について説明する。
まず、奇数段から偶数段への変速、例えば1速から2速への変速時について、
図3〜
図11を用いて説明する。
図3は、1速から2速への変速時における各動作中での、第1のクラッチ25、第2のクラッチ3、第1の切換機構11、第2の切換機構12、第1のシンクロスリーブ41及び第2のシンクロスリーブ42の切換状態を示す表である。なお、1速から2速への変速中においては、第3のシンクロスリーブ43は常に契合しない開放状態である。
図4〜11は、エンジン走行での変速時における各作動状態での動力の伝達経路を示す説明図である。なお、
図4〜11において、変速機部2内での動力の伝達径路を太線にて示している。
【0042】
まず、1速走行中では、
図3中番号1に示すように、第1の動力伝達軸5と第1の入力軸7とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SA)とともに、第1の副軸9と1速用遊転ギヤ31bとが接続するように第1のシンクロスリーブ41を作動させ(S1)、第1のクラッチ25、第2のクラッチ3を接続している。この状態では、
図4に示すように、エンジン1の駆動軸13から、第1のクラッチ25、第2のクラッチ3、第1の動力伝達軸5、第1の切換機構11、第1の入力軸7、1速用固定ギヤ31a、1速用遊転ギヤ31b、第1のシンクロスリーブ41、第1の副軸9を介して、出力軸18に動力が伝達される。
【0043】
次に、変速の前処理として、
図3中番号2に示すように、第1の副軸9と2速用遊転ギヤ32bとが接続するように第2のシンクロスリーブ42を作動させる(S2)。この状態では、
図5に示すようにエンジン1の駆動軸13から出力軸18に動力が伝達しつつ、第2の入力軸8も第1の副軸9の回転に伴って回転駆動する(2速プレシフト)。
次に、
図3中番号3及び
図6に示すように、切換機構前段遊転ギヤ20bと3速用遊転ギヤ33bとが接続するように第2の切換機構12を作動させる(SC)(変速アシストオン)。
【0044】
次に、変速処理として、
図3中番号4に示すように、第2のクラッチ3を開放作動する。これにより、第1の動力伝達軸5を介する第1の入力軸7への動力の伝達が遮断され、
図7に示すように、エンジン1の駆動軸13から、第1のクラッチ25、ワンウェイクラッチ4を含む第2の動力伝達軸6、切換機構前段固定ギヤ20a、切換機構前段遊転ギヤ20b、第2の切換機構12、3速用遊転ギヤ33b、3速及び5速用固定ギヤ33aを介して第1の入力軸7に動力が伝達される(クラッチ開放)。
【0045】
次に、
図3中番号5に示すように、第1の動力伝達軸5と第2の入力軸8とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SB)。これにより、
図8に示すように、第1の動力伝達軸5が、奇数段の変速ギヤを有する第1の入力軸7から偶数段の変速ギヤを有する第2の入力軸8に切り換わって接続されることとなる(動力経路切換え)。
次に、
図3中番号6に示すように、第2のクラッチ3を契合させる。これにより、
図9に示すように、エンジン1の駆動軸13から、第1のクラッチ25、第2のクラッチ3、第1の動力伝達軸5、第1の切換機構11、第2の入力軸8、2速用固定ギヤ32a、2速用遊転ギヤ32b、第2のシンクロスリーブ42、第1の副軸9を介して、出力軸18に動力が伝達される。したがって、2速の動力伝達路が確保されることとなる(クラッチ契合)。
【0046】
次に、変速の後処理として、
図3中番号7及び
図10に示すように、第2の切換機構12の接続を解除させる。これにより、エンジン1の駆動軸13からワンウェイクラッチ4を介する動力伝達が解除される(変速アシストオフ)。
次に、
図3中番号8及び
図11に示すように、第1のシンクロスリーブ41の接続を解除させる(1速シンクロ開放)。以上により、1速から2速への変速が完了する。
【0047】
なお、他の奇数段から偶数段へのアップシフト時では、上記の1速から2速への変速と同様に第2のクラッチ3、各切換機構11、12と、変速段に応じたシンクロスリーブ41〜43とを作動制御すればよい。
次に、
図12を用いて、エンジン走行、パラレル走行での偶数段から奇数段への変速、例えば2速から3速への変速について説明する。
【0048】
図12は、2速から3速への変速時における各動作中での、第2のクラッチ3、第1の切換機構11、第2の切換機構12、第2のシンクロスリーブ42及び第3のシンクロスリーブ43の切換状態を示す表である。なお、2速から3速への変速時においては、第1のシンクロスリーブ41は常に契合しない開放状態である。
2速走行中では、
図12中番号1に示すように、第1の動力伝達軸5と第2の入力軸8とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SB)とともに、第1の副軸9と2速用遊転ギヤ32bとが接続するように第2のシンクロスリーブ42を作動させ(S2)、第2のクラッチ3を接続している。
【0049】
次に、変速の前処理として、
図12中番号2に示すように、第2の副軸10と3速用遊転ギヤ33bとが接続するように第3のシンクロスリーブ43を作動させる(S3)(3速プレシフト)。
次に、
図12中番号3に示すように、切換機構前段遊転ギヤ20bと切換機構後段遊転ギヤ21bとが接続するように第2の切換機構12を作動させる(SD)(変速アシストオン)。
【0050】
次に、変速処理として、
図12中番号4に示すように、第2のクラッチ3を開放作動する(クラッチ開放)。
次に、
図12中番号5に示すように、第1の動力伝達軸5と第1の入力軸7とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SA)(動力経路切換え)。
次に、
図12中番号6に示すように、第2のクラッチ3を契合させる。これで、3速の動力伝達路が確保される(クラッチ契合)。
【0051】
次に、変速の後処理として、
図12中番号7に示すように、第2の切換機構12の接続を解除させる(変速アシストオフ)。
次に、
図12中番号8に示すように、第2のシンクロスリーブ42を開放させる(2速シンクロ開放)。以上により、2速から3速への変速が完了する。
なお、他の偶数段から奇数段へのアップシフト時では、上記の2速から3速への変速と同様に第2のクラッチ3、各切換機構11、12と、変速段に応じたシンクロスリーブ41〜43とを作動制御すればよい。
【0052】
また、ダウンシフト時では、ワンウェイクラッチ4を介して変速中に動力を伝達させる変速アシストを行わないようにすればよい。具体的には、
図3中または
図12中の番号3及び7の作動を省略すればよい。
以上のように、制御することで、第1の切換機構11を切換えることで、エンジン1から第2のクラッチ3、奇数段及び偶数段のいずれか一方の変速段の変速ギヤを介して出力軸18に動力が伝達可能となるので、エンジン1は奇数段及び偶数段のいずれの変速段でも出力軸18に動力が伝達して走行可能となる。
【0053】
奇数段及び偶数段のいずれか一方の変速段でエンジン1により走行している状態からその前後の変速段に変速する際に、第1の切換機構11を切換えて奇数段から偶数段へ、または偶数段から奇数段へ変速することができる。したがって、変速段の切断をする前に次の目標変速段を接続するプレシフトが可能となり、迅速な変速が可能となる。
また、第2の切換機構12を接続させることで、エンジン1からワンウェイクラッチ4、奇数段及び偶数段のいずれか一方の変速段の変速ギヤを介しても出力軸18に動力が伝達可能な構成となっている。そして、変速時に第1の切換手段11を切換えるべくクラッチ3を切断しているときにも、ワンウェイクラッチ4を介して出力軸18に動力が伝達可能であるので、変速時におけるトルク抜けを防止することができる。
【0054】
更には、ワンウェイクラッチ4を介して、駆動軸13から第2の切換手段12へ伝達された動力は、第1の入力軸7及び第2の入力軸8に選択的に接続可能であるので、変速中でのワンウェイクラッチ4を介した動力伝達時に、変速ギヤの選択に応じて変速比を任意に設定することが可能である。したがって、全ての変速段の変速時において、変速中のエンジン回転速度の変化を抑え、変速フィーリングを向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、第1のクラッチ25の断接を切換えることで、エンジン走行、パラレル走行とEV走行とを切り換え可能となっている。また、第2のクラッチ3も合わせて制御することで、停車充電が可能であり、ハイブリッド車に適した変速装置となっている。更に、エンジン走行、パラレル走行、EV走行のいずれにおいても、上記のように変速中にワンウェイクラッチ4を介して動力伝達が可能であって、トルク抜けを防止することができる。
【0056】
図13は、1速から5速へ変速段を順次シフトアップしたときの、変速機部2の出力トルク比の推移を示したグラフである。出力トルク比は、エンジン1及びモータ26からの入力トルクを1とした場合の出力軸18の出力トルクの比である。
本実施形態では、
図13中Aで示したように、各変速段の変速時において、変速中の第2のクラッチ3開放時に、出力トルク比が0とならず、上記のようにワンウェイクラッチ4を介したエンジン1からの動力の伝達により出力トルクが維持される。
【0057】
また、本実施形態では、第2の切換機構12の前後に変速ギヤ20、21、33を夫々備えており、変速中において第2の切換機構12を接続させるときに、ワンウェイクラッチ4の前後で速度差が極力発生しないように、少なくともワンウェイクラッチ4の前段側(エンジン1、モータ26側)が後段側(第1の入力軸7または第2の入力軸8側)より速度が下回るように、変速ギヤのギヤ比を設定することができる。
【0058】
図14は、1速から5速へ変速段を順次シフトアップしたときの、ワンウェイクラッチ4の前後の回転速度の推移を示すグラフである。上記のようにワンウェイクラッチ4の前後の変速ギヤ20、21、33の変速比を設定することで、
図14中Bに示すように、変速中において第2の切換機構12を接続させるときに、ワンウェイクラッチ4の契合が抑制され、エンジン1またはモータ26からのトルク干渉を無くし、第2の切換機構12の作動をスムーズに行うことができる。
【0059】
また、第2の切換機構12がシンクロ機能を有している場合には、シフトブロックの発生を低減させることができ、シフトフィールを向上させることができる。
また、ワンウェイクラッチ4を用いることで、EV走行やパラレル走行に切換え可能としつつも、エンジン駆動車のデュアルクラッチ式変速装置に対して、比較的大型であるクラッチや流体継ぎ手の追加を必要とせず、変速装置の大きさや重量の増加を抑制することができる。また、ワンウェイクラッチ4は、第2のクラッチ3の伝達トルクに応じて受動的に動力が伝達されるので、第2のクラッチ3の制御を簡素化することができる。
【0060】
また、ワンウェイクラッチ4は、駆動軸13と同軸線上かつ第1の副軸9の出力ギヤ15と第2の副軸10の出力ギヤ16との間に配置されており、変速機部2内の空いたスペースにワンウェイクラッチ4を配置して変速機部2の全長を更に抑制することができる。
また、第2の切換手段12が第2の副軸10上に配置されているので、第2の切換手段12を支持する軸を追加する必要がなく、変速機部2の構造の複雑化及び幅方向の寸法を抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、第2の切換手段12と第1の入力軸7との間の変速ギヤが、3速用変速ギヤ33と共有しているので、変速ギヤの点数を抑制し、構造の簡素化を図ることができる。
[第2実施例]
上記第1の実施形態では、エンジン横置きの車両に本発明を適用しているが、エンジン縦置きの車両にも本発明を適用可能である。
【0062】
図15は、本発明の第2の実施形態の車両用変速装置の変速機部50の模式図である。
本発明の第2の実施形態の変速機部50は、前進6段後進1段の変速装置である。
図15に示すように、変速機部50は、エンジン1の縦置きに伴って、各動力伝達軸5、6及び各入力軸7、8が車両前後方向に延びるように配置されている。
本実施形態では、変速機部50の各遊転ギヤ31b〜33b、35b〜37bを枢支する副軸51が1本となっており、出力軸18が第1の入力軸7と同軸上にエンジン1とは反対側に配置されている。
【0063】
第1の入力軸7には、エンジン1とは反対側から順番に、2速用固定ギヤ32a、6速用固定ギヤ36aが固定され、第2の入力軸8には、エンジン1とは反対側から順番に、3速用固定ギヤ33a、5速用固定ギヤ35a、1速用固定ギヤ31a、リバース用固定ギヤ37aが固定されている。副軸51には、エンジン1とは反対側から順番に、2速用遊転ギヤ32b、6速用遊転ギヤ36b、3速用遊転ギヤ33b、5速用遊転ギヤ35b、1速用遊転ギヤ31b、リバース用遊転ギヤ37bが支持されている。そして、各変速段の固定ギヤと遊転ギヤとが契合されて1〜3、5、6段の変速ギヤ31〜33、35、36が構成されている。また、リバースギヤ37は、リバース用固定ギヤ37aとリバース用中間ギヤ37cとリバース用遊転ギヤ37bとで構成されている。
【0064】
副軸51上には、第1のシンクロスリーブ52、第2のシンクロスリーブ53、第3のシンクロスリーブ54が備えられている。第1のシンクロスリーブ52により2速ギヤ32及び6速ギヤ36を、第2のシンクロスリーブ53により3速ギヤ33及び5速ギヤ35を、第3のシンクロスリーブ54により1速ギヤ31及びリバースギヤ37を選択的に副軸51に断接可能となっている。
【0065】
出力軸18は、出力ギヤ55を介して副軸51と接続されるとともに、第4のシンクロスリーブ56を介して第1の入力軸7に接続可能である。第4のシンクロスリーブ56を接続することで、第1の入力軸7と出力軸18とを直結して4速となる。
本実施形態の変速機部50では、第2の動力伝達軸6は、第1の動力伝達軸5や副軸51と軸線が平行になるように離間して配置されている。第2の動力伝達軸6上にワンウェイクラッチ4及び第2の切換機構12が配置されている。したがって、第1の実施形態において第2の切換機構12とワンウェイクラッチ4との間に配置された切換機構前段固定ギヤ20aと切換機構前段遊転ギヤ20bとからなる変速ギヤ20が、ワンウェイクラッチ4とエンジン1の駆動軸13との間に配置されている。第2の切換機構12の後段には、切換機構後段変速ギヤ21c、21dが備えられ、切換機構後段変速ギヤ21cが6速用固定ギヤ36aと契合して第1の入力軸に7に接続され、切換機構後段変速ギヤ21dが5速用固定ギヤ35aと契合して第2の入力軸に8に接続されている。
【0066】
以上のような構成により、本実施形態の変速機部50においても、第1の実施形態の変速機部2と同様に、変速時においてワンウェイクラッチ4を介してエンジン1やモータ26から駆動力を伝達可能であって、変速中におけるトルク抜けを防止することができる。
本実施形態では、副軸51が1つとなっているので、変速機部50の幅寸法を抑えることができ、縦置きエンジン車の変速装置に適している。
[第3実施例]
図16は、本発明の第3の実施形態に係る変速装置の変速機部60の模式図である。
【0067】
第3の実施形態の変速機部60は、第1の実施形態の変速機部2に対して、ワンウェイクラッチ61を1つ追加して、前進6段後進2段の変速を可能にしている。
図16に示すように、変速機部60の第1の入力軸7には2速用固定ギヤ32aと4速及び6速用固定ギヤ34aが固定され、第2の入力軸8には3速用固定ギヤ33aと5速用固定ギヤ35aが固定されている。第1の副軸9には、エンジン1とは反対側から順番に、2速用遊転ギヤ32b、6速用遊転ギヤ36b、3速用遊転ギヤ33b、5速用遊転ギヤ35bが枢支されている。第2の副軸10には、エンジン1とは反対側から順番に、リバース用遊転ギヤ37b、4速用遊転ギヤ34b、切換機構後段遊転ギヤ21b、切換機構前段遊転ギヤ20bが枢支されている。
【0068】
したがって、本実施形態では、第1の入力軸7に偶数段の変速ギヤ32、34、36及びリバースギヤ37が、第2の入力軸8に奇数段の変速ギヤ33、35が配置されている。
更に、本実施形態では、3速用遊転ギヤ33bと6速用遊転ギヤ36bとの間に、第1の副軸9に枢支されたワンウェイクラッチ61が設けられている。第2のワンウェイクラッチ61は、3速用遊転ギヤ33bから6速用遊転ギヤ36bに動力を伝達し、6速用遊転ギヤ36bから3速用遊転ギヤ33bへは動力を伝達不能とする機能を有している。
【0069】
図17〜19は、エンジン走行における変速機部60の1速から2速への変速時での動力の伝達経路を示す説明図である。
本実施形態では、1速走行中では、
図17に示すように、第1の動力伝達軸5と第2の入力軸8とが接続するように第1の切換機構11を作動させるとともに(SA)、第1の副軸9と2速用遊転ギヤ32bとが接続するように第1のシンクロスリーブ41を作動させ(S2)、第2のクラッチ3を接続している。この状態では、エンジン1の駆動軸13から、第1のクラッチ25、第2のクラッチ3、第1の動力伝達軸5、第1の切換機構11、第2の入力軸8、3速用固定ギヤ33a、3速用遊転ギヤ33b、ワンウェイクラッチ61、6速用遊転ギヤ36b、6速用固定ギヤ36a、第1の入力軸7、2速用固定ギヤ32a、2速用遊転ギヤ32b、第1のシンクロスリーブ41、第1の副軸9を介して出力軸18に動力が伝達される。
【0070】
本実施形態では、1速から2速への変速中において、
図18に示すように、切換機構前段遊転ギヤ20bと切換機構後段遊転ギヤ21bとが接続するように第2の切換機構12を作動させる(SC)ことで、エンジン1の駆動軸13から、ワンウェイクラッチ4を含む第2の動力伝達軸6、切換機構前段固定ギヤ20a、切換機構前段遊転ギヤ20b、第2の切換機構12、切換機構後段遊転ギヤ21b、5速用固定ギヤ35a、第2の入力軸8、3速用固定ギヤ33a、3速用遊転ギヤ33b、ワンウェイクラッチ61、6速用遊転ギヤ36b、6速用固定ギヤ36a、第1の入力軸7、2速用固定ギヤ32a、2速用遊転ギヤ32b、第1のシンクロスリーブ41、第1の副軸9を介して出力軸18に動力が伝達される。
【0071】
そして、
図19に示すように、第1の動力伝達軸5と第1の入力軸7とが接続するように第1の切換機構11を作動させ(SB)、第2のクラッチ3を接続することで、エンジン1の駆動軸13から、第2のクラッチ3、第1の動力伝達軸5、第1の切換機構11、第1の入力軸7、2速用固定ギヤ32a、2速用遊転ギヤ32b、第1のシンクロスリーブ41、第1の副軸9を介して出力軸18に動力が伝達され、2速走行が可能となる。
【0072】
図20〜22は、エンジン走行における変速機部60の後進1速から後進2速への変速時での動力の伝達経路を示す説明図である。
本実施形態では、後進1速走行中では、
図20に示すように、第1の動力伝達軸5と第2の入力軸8とが接続するように第1の切換機構11を作動させるとともに(SA)、第2の副軸10とリバース用遊転ギヤ37bとが接続するように第3のシンクロスリーブ43を作動させ(SR)、第2のクラッチ3を接続している。この状態では、エンジン1の駆動軸13から、第2のクラッチ3、第1の動力伝達軸5、第1の切換機構11、第2の入力軸8、3速用固定ギヤ33a、3速用遊転ギヤ33b、ワンウェイクラッチ61、6速用遊転ギヤ36b、6速用固定ギヤ36a、第1の入力軸7、2速用固定ギヤ32a、2速用遊転ギヤ32b、リバース用遊転ギヤ37b、第3のシンクロスリーブ43、第2の副軸10を介して出力軸18に動力が伝達される。
【0073】
そして、変速中において、
図21に示すように、切換機構前段遊転ギヤ20bと切換機構後段遊転ギヤ21bとが接続するように第2の切換機構12を作動させる(SC)ことで、エンジン1の駆動軸13から、ワンウェイクラッチ4を含む第2の動力伝達軸6、切換機構前段固定ギヤ20a、切換機構前段遊転ギヤ20b、第2の切換機構12、切換機構後段遊転ギヤ21b、5速用固定ギヤ35a、第2の入力軸8、3速用固定ギヤ33a、3速用遊転ギヤ33b、ワンウェイクラッチ61、6速用遊転ギヤ36b、6速用固定ギヤ36a、第1の入力軸7、2速用固定ギヤ32a、2速用遊転ギヤ32b、リバース用遊転ギヤ37b、第1のシンクロスリーブ43、第2の副軸10を介して出力軸18に動力が伝達される。
【0074】
そして、
図22に示すように、第1の動力伝達軸5と第1の入力軸7とが接続するように第1の切換機構11を作動させ(SB)、第2のクラッチ3を接続することで、エンジン1の駆動軸13から、第2のクラッチ3、第1の動力伝達軸5、第1の切換機構11、第1の入力軸7、2速用固定ギヤ32a、2速用遊転ギヤ32b、リバース用遊転ギヤ37b、第3のシンクロスリーブ43、第2の副軸10を介して出力軸18に動力が伝達され、後進2速走行が可能となる。
【0075】
なお、他の変速段の変速については、第1の実施形態と同様に、各変速段に応じて第2のクラッチ3、各切換機構11、12、及びシンクロスリーブ41〜43を作動制御すればよい。また、他の走行モードについても、第1の実施形態と同様に第1のクラッチ25を合わせて制御すればよい。
以上のように制御することで、本実施形態においても、変速中に第2の切換手段12を接続させることで、エンジン1やモータ26からワンウェイクラッチ4、奇数段及び偶数段のいずれか一方の変速段の変速ギヤ31〜35を介して出力軸18に動力が伝達可能な構成となっており、変速時におけるトルク抜けを防止することができる。
【0076】
また、本実施形態では、1速及び後進1速時にワンウェイクラッチ61を介して動力を伝達する構造になっている。したがって、1速及び後進1速時においてエンジンブレーキが作用せず、これらの変速比を比較的高くしても変速ショックの低減を図ることができる。
なお、本発明は以上の実施形態に限定するものではない。例えば、
図23に示すようにモータ26を変速機部2に対して並列に配置してもよい。このようにすれば、モータ26及び変速機部2を合わせたユニットを比較的コンパクトに保ちつつ、モータ26の容量を増加することができ、EV走行時における出力トルクを大きく確保することができる。
【0077】
また、上記実施形態と変速段の数が異なるものでもよいし、各変速ギヤの配置が異なる変速機部においても、本発明を適用することが可能である。