特許第5924488号(P5924488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924488
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】スイッチ体の構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 21/00 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
   H01H21/00 330C
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-139041(P2012-139041)
(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-2975(P2014-2975A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】上野 泰正
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−162940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体および当該機器本体の少なくとも一部を覆う封止体で筺体が構成される電気機器が備えるスイッチ体の構造において、
当該スイッチ体は、前記封止体の開口部から露出する操作部と、前記スイッチ体を前記筺体に軸支する支持部と、前記操作部および前記支持部を接続する接続部と、を備え、
前記支持部は、その一端が前記封止体の裏面に形成された第一係合部に係合する第一被係合部、および、その他端が前記電気機器の内部に形成された第二係合部に係合する第二被係合部を備え、
前記操作部が押圧操作されたときに、前記第一被係合部を支点として、前記操作部が前記電気機器の内部方向に揺動し、かつ、前記第二被係合部が前記第二係合部から逃げ移動可能であり、
前記操作部への操作時に過大な操作力が作用した場合、前記第二被係合部および前記第二係合部の係合を解除するように、前記支持部は前記第一被係合部を支点として揺動することができ、前記スイッチ体と当該スイッチ体が押圧する被押圧部材との接触を解除することができるスイッチ体の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に設置される防災用又は防犯用の電気機器が備えるスイッチ体の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器などが備えるスイッチ体の構造としては、片持ち梁(カンチレバー)タイプの構造が知られていた(例えば特許文献1)。具体的には、当該スイッチ体は、操作時に弾性変形するアーム部(接続部)を備え、当該接続部の自由端側には、被押圧部材を押圧する押圧部が形成されている。
当該接続部は、その長手方向の少なくとも一箇所に曲げ加工部が形成されている場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−3472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した片持ち梁タイプのスイッチ体では、操作時に、仮に過大な操作力が接続部に作用した場合、当該接続部の接続端付近や曲げ加工部に過大な負荷がかかり、これらの部位で破損する虞があった。また、押圧部が過大な押圧力で被押圧部材を押圧した場合は、当該被押圧部材が損傷する虞があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、操作時に過大な操作力が作用した場合でも、接続部が破損し難く、かつ被押圧部材の損傷を防止できるスイッチ体の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係るスイッチ体の構造は、機器本体および当該機器本体の少なくとも一部を覆う封止体で筺体が構成される電気機器が備えるスイッチ体の構造において、その第一特徴構成は、当該スイッチ体は、前記封止体の開口部から露出する操作部と、前記スイッチ体を前記筺体に軸支する支持部と、前記操作部および前記支持部を接続する接続部と、を備え、前記支持部は、その一端が前記封止体の裏面に形成された第一係合部に係合する第一被係合部、および、その他端が前記電気機器の内部に形成された第二係合部に係合する第二被係合部を備え、前記操作部が押圧操作されたときに、前記第一被係合部を支点として、前記操作部が前記電気機器の内部方向に揺動し、かつ、前記第二被係合部が前記第二係合部から逃げ移動可能であり、前記操作部への操作時に過大な操作力が作用した場合、前記第二被係合部および前記第二係合部の係合を解除するように、前記支持部は前記第一被係合部を支点として揺動することができ、前記スイッチ体と当該スイッチ体が押圧する被押圧部材との接触を解除することができる点にある。
【0007】
本構成によれば、操作部が押圧操作されたときには、操作部および支持部を接続する接続部が弾性変形して、当該操作部を電気機器の内部方向に揺動させることができる。
本構成では、第一被係合部および第一係合部は単に係合しているだけである。そのため、第一被係合部および第一係合部が一体接続している場合に比べて、支持部は第一被係合部を支点として揺動し易くなる。即ち、仮に操作部への操作時に過大な操作力が作用した場合、第一被係合部および第一係合部が一時的に離間できるため、支持部は種々の方向に揺動できるようになる。
そのため、操作部が押圧操作されたときには、接続部の弾性変形、および、支持部の揺動し易さが相乗した状態で、操作部を電気機器の内部方向に揺動させることができるため、接続部にかかる負荷を減少させることができる。
【0008】
また、本構成では、第二被係合部および第二係合部も、単に係合しているだけである。そのため、仮に操作部への操作時に過大な操作力が作用した場合、第二被係合部および第二係合部の係合を解除するように、支持部は第一被係合部を支点として揺動することができる。これにより、第二被係合部が第二係合部に対して位置ズレし、スイッチ体と当該スイッチ体が押圧する被押圧部材との接触を解除することができる。よって、操作時に過大な操作力が作用した場合でも、被押圧部材の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電気機器の概要を示す斜視図である。
図2】電気機器の分解斜視図である。
図3】電気機器の分解斜視図である。
図4】電気機器の分解斜視図である。
図5】スイッチ体を筺体に組み付けた状態を示す概略図である。
図6】スイッチ体を筺体に組み付けた状態を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、機器本体および当該機器本体の少なくとも一部を覆う封止体で筺体が構成される電気機器が備えるスイッチ体の構造である。
【0011】
図1〜6に示したように、当該スイッチ体40の構造は、封止体20の開口部(スイッチ開口部)23から露出する操作部41と、スイッチ体40を筺体Yに軸支する支持部42と、操作部41および支持部42を接続する接続部43と、を備え、支持部42は、その一端が封止体20の裏面に形成された第一係合部20Aに係合する第一被係合部42a、および、その他端が電気機器Xの内部に形成された第二係合部20Bに係合する第二被係合部42bを備える。
このスイッチ体40は、操作部41が押圧操作されたときに、第一被係合部42aを支点として、操作部41が電気機器Xの内部方向に揺動し、かつ、第二被係合部42bが第二係合部20Bから逃げ移動可能に構成してある。
【0012】
電気機器Xは、壁面に設置する態様であればどのような機器であってもよい。当該壁面に設置する電機機器としては、例えば防災用又は防犯用の警報器が挙げられる。本実施形態では、電気機器Xとして、可燃性ガス(LPガス)の漏洩を検知するガス警報器を屋内の壁面に設置する態様について説明する。当該電気機器Xの形状は特に限定されるものではないが、本実施形態では上面視で矩形状であり、厚板状(例えば12×7×2.5cm)の形状を呈するものを例示する。この場合、当該電気機器Xは、その短辺a1を地面に垂直に設置する横置き姿勢、あるいは、その長辺a2を地面に垂直に設置する縦置き姿勢によって設置することができる。
【0013】
機器本体10は回路基板30を収容するものであり、底面11と側面12とを一体に形成して構成されている。即ち、底面11および側面12とで囲まれた空間に回路基板30が収容される。側面12の端部(封止体20の側)には、封止体20と重ね配置される本体周縁端部12aが形成してある。本実施形態では、機器本体10に封止体20を組み付けた際、本体周縁端部12aと封止端部21とが重ね配置されたときに、本体周縁端部12aが内側に位置する場合について説明する。
【0014】
また、本実施形態では、本体周縁端部12aに、電気機器Xの周縁Aに沿うように溝部Bが形成してある場合について説明する。この場合、封止端部21と本体周縁端部12aとが重ね配置されたとき、当該封止端部21は、本体周縁端部12aに形成された溝部Bを覆う。
【0015】
本体周縁端部12aには、その全周に亘って複数の止水リブ12bが形成されており、当該溝部Bは、隣接する止水リブ12bどうしの間の空間で構成される。当該溝部Bは、少なくとも一本形成すればよい。
【0016】
封止体20は、機器本体10の少なくとも一部を覆う部材である。本実施形態では、封止体20は、機器本体10の全体を覆う第一封止体20a、および、第一封止体20aの開口部22を覆う第二封止体20bを有する。
【0017】
第一封止体20aには、スイッチ体40を露出させるスイッチ開口部23、警報音を外部に伝えるスピーカ開口部24が形成してある。本実施形態では、スイッチ開口部23から露出するスイッチ体40の部分(操作部41)がオーバル形、例えば角丸長方形(二つの等しい長さの平行線と二つの半円形からなる)となるように構成してあり、スイッチ開口部23はその露出部分に対応するように角丸長方形に形状してある。
【0018】
第一封止体20aにおいてスイッチ開口部23が設けてある角部には、当該角部にいくに従って第一封止体20aの厚さが徐々に薄くなるように傾斜面25が形成してある。本実施形態では、当該傾斜面25は、スイッチ開口部23の半分程度の位置から傾斜するように構成してある。
【0019】
第一封止体20aの側面には、被検知ガスをガス検知部31に導入する被検知ガス導入口26が設けてある。また、第一封止体20aの内部(裏面)には、スイッチ体40における支持部42の一端である第一被係合部42aを保持する保持部27(第一係合部20A)が設けてあり、さらに、機器本体10と第一封止体20aとの距離を決定する位置決め突起部28が設けてある。
【0020】
回路基板30には、例えばガス検知部31、報知部32、端子台33などの部品が配設してある。回路基板30には、電源コード34が接続してある。
【0021】
本実施形態では、回路基板30の封止体20の側の表面に、スイッチ体40における支持部42の他端である第二被係合部42bと係合する第二係合部20Bが形成してある。即ち、支持部42は、封止体20の裏面から回路基板30の表面に亘るように筺体Yの内部においてスイッチ体40を軸支する。
【0022】
本発明のスイッチ体40は、操作部41が押圧操作されたときに、第一被係合部42aを支点として、操作部41が電気機器Xの内部方向に揺動し、かつ、第二被係合部42bが第二係合部20Bから逃げ移動可能に構成してある。
【0023】
当該スイッチ体40は、例えば金属や樹脂など、弾性変形可能な材料で構成するとよい。本構成では、操作部41が押圧操作されたときには、操作部41および支持部42を接続する接続部43が弾性変形して、当該操作部41を電気機器Xの内部方向に揺動させることができる。
【0024】
また、本構成では、支持部42の第一被係合部42aおよび第一係合部20A(第一封止体20aの裏面)は、保持部27において単に係合しているだけである。そのため、第一被係合部42aおよび第一係合部20Aが一体接続している場合に比べて、支持部42は第一被係合部42aを支点として揺動し易くなる。即ち、仮に操作部41への操作時に過大な操作力が作用した場合、第一被係合部42aおよび第一係合部20Aが一時的に離間したりしてこれらの係合を解除できるため、支持部42は種々の方向に揺動できるようになる。そのため、操作部41が押圧操作されたときには、接続部43の弾性変形、および、支持部42の揺動し易さが相乗した状態で、操作部41を電気機器Xの内部方向に揺動させることができるため、接続部43にかかる負荷を減少させることができる。
【0025】
スイッチ体40おいて操作部41を電気機器Xの内部方向に揺動させた場合、例えば回路基板30に配設してある被押圧部材(ボタン類)35を押圧部44が押圧することができる。
【0026】
さらに、本構成では、支持部42の第二被係合部42bおよび第二係合部20B(回路基板30の表面)も、単に係合しているだけである。そのため、仮に操作部41への操作時に過大な操作力が作用した場合、第二被係合部42bおよび第二係合部20Bの係合を解除するように、支持部42は第一被係合部42aを支点として揺動することができる。これにより、第二被係合部42bが第二係合部20Bに対して位置ズレし(図6(b))
、さらに押圧部44と被押圧部材35との接触を解除することができる。よって、操作時に過大な操作力が作用した場合でも、被押圧部材35の損傷を防止することができる。
【0027】
本実施形態では、電気機器Xの周縁Aに、電気機器Xの内部に浸入した水を排出できる水抜部Cを形成してある。
【0028】
本構成では、水抜部Cが形成してある周縁Aが下向きになるように電気機器Xを配置した場合、電気機器Xの内部に浸入した水を重力によって水抜部Cから排出することができる。即ち、溝部Bおよび止水リブ12bは、水の浸入方向に対して略直交する方向に設けられているため、止水リブ12bによって浸入してきた水を堰き止めることができる。仮に最初の止水リブ12bを越えて水がガス警報器Xの内部空間側に浸入してきた場合でも、これを次の止水リブ12bで堰き止めることができる。堰き止められた水は溝部Bを伝って電気機器Xの下方に流れ落ちて水抜部Cに到達し、外部に排出することができる。
【0029】
本実施形態では、水抜部Cは、本体周縁端部12aおよび封止端部21をそれぞれ重ね配置したときの隙間としている。
【0030】
このような隙間は、本体周縁端部12aに形成された溝部Bと通じている。よって、本構成によれば、機器本体10に封止体20を組み付けたときに形成される隙間を水抜部Cとすることができるため、容易に水抜部Cを形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、壁面に設置される防災用又は防犯用の電気機器が備えるスイッチ体の構造に利用できる。
【符号の説明】
【0032】
X 電気機器
Y 筺体
10 機器本体
20 封止体
20A 第一係合部
20B 第二係合部
23 開口部
40 スイッチ体
41 操作部
42 支持部
42a 第一被係合部
42b 第二被係合部
43 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6