(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切断部が前記所定揺動位置よりも前記上死点側に位置する際であっても前記モータを最大回転数で回転させるように、前記第1の回転速度での回転制御を解除する信号を前記制御部に出力する、操作可能な解除部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の卓上切断機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来一般的な卓上切断機は、トリガスイッチをオン(ON)すると切断工具を有する切断部を操作者が手動で下降操作する前から切断工具を最高速で回転駆動する構成が普通である。このため、被切断材の切断操作に入る前から切断工具を最高速で駆動するので、電力消費が多く、また発生する騒音も大きくなるきらいがある。
【0006】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、消費電力の低減及び騒音の低減を図ることのできる卓上切断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は卓上切断機である。この卓上切断機は、被切断材を載置可能なベースと、切断工具を回転駆動するモータを有する切断部と、前記切断部を揺動可能に支持する切断部支持機構とを備え、
前記切断部は前記切断工具の上部を覆う主カバーを有するとともに、前記主カバーで覆われない切断工具部分を覆う保護カバーを有し、前記保護カバーは前記切断部が上死点から下死点に向けて揺動したときに前記切断工具を露出させる向きに移動するものであり、
更に前記モータの回転速度を制御する制御部を備えた卓上切断機であって、
前記切断部の位置を検出する検出手段を設け、
前記制御部は、前記検出手段の出力により前記切断部が前記上死点と前記下死点との間に位置する所定揺動位置よりも前記上死点側に位置すると判断した際には、前記モータを最大回転速度よりも遅い第1の回転速度で回転させ、前記切断部が前記所定揺動位置よりも前記下死点側に位置すると判断した際には、前記モータを前記第1の回転速度よりも速い回転速度で回転させ、
更に前記制御部は、
前記モータの起動の際と、前記モータの回転速度を前記第1の回転速度から前記第1の回転速度よりも速い回転速度に切り替える際に、前記モータの回転速度を徐々に増加させるよう制御し、
前記モータの起動時に前記モータの回転速度を徐々に増加させる第1の傾きと、前記第1の回転速度から前記第1の回転速度よりも速い回転速度に切り替える際に、前記モータの回転速度を徐々に増加させる第2の傾きとは、前記第1の傾きが前記第2の傾きよりも緩やかであり、
前記所定揺動位置は最大切断能力となる被切断材の切断を開始する前記切断部の揺動位置よりも前記上死点側に位置することを特徴とする。
【0010】
前記態様において、前記検出手段は、前記保護カバーの位置を検出することにより、前記切断部の位置を検出するとよい。
【0013】
前記態様において、前記制御部は、前記モータの起動時に前記モータの回転速度を徐々に増加させるよう制御するとよい。
【0014】
前記態様において、前記モータの起動時に前記モータの回転速度を徐々に増加させる第1の傾きと、前記第1の回転速度から前記第1の回転速度よりも速い回転速度に切り替える際に、前記モータの回転速度を徐々に増加させる第2の傾きとは、前記第1の傾きが前記第2の傾きよりも緩やかであるとよい。
【0016】
前記態様において、前記切断部が前記
所定揺動位置よりも前記上死点
側に位置する際であっても前記モータを最大回転数で回転させるように、前記第1の回転速度での回転制御を解除する
信号を前記制御部に出力する、操作可能な解除部を設けるとよい。
【0017】
前記態様において、前記切断部支持機構は前記切断部を揺動自在に連結するヒンジを有し、前記ヒンジの近傍に前記検出手段が配設されているとよい。
【0018】
本発明のもう一つの態様は卓上切断機である。この卓上切断機は、被切断材を載置可能なベースと、切断工具を回転駆動するモータを有する切断部と、前記切断部を揺動可能に支持する切断部支持機構とを備え、
前記切断部は前記切断工具の上部を覆う主カバーを有するとともに、前記主カバーで覆われない切断工具部分を覆う保護カバーを有し、前記保護カバーは前記切断部が上死点から下死点に向けて揺動したときに前記切断工具を露出させる向きに移動するものであり、
更に前記モータの回転速度を制御する制御部を備えた卓上切断機であって、
前記切断部の位置を検出する検出手段を設け、
前記制御部は、前記モータの起動時に前記モータの回転速度を徐々に増加させるよう制御するとともに、前記検出手段の検出結果に基づいて前記モータの回転速度を最大回転速度よりも遅い第1の回転速度から前記第1の回転速度よりも速い回転速度に切り替え、
前記制御部は、前記検出手段の出力により前記切断部が前記上死点と前記下死点との間に位置する所定揺動位置よりも前記上死点側に位置すると判断した際には、前記モータを最大回転速度よりも遅い第1の回転速度で回転させ、前記切断部が前記所定揺動位置よりも前記下死点側に位置すると判断した際には、前記モータを前記第1の回転速度よりも速い回転速度で回転させ、
前記制御部が、前記モータの起動時に前記モータの回転速度を徐々に増加させる際の第1の傾きと、前記第1の回転速度から前記第1の回転速度よりも速い回転速度まで徐々に増加させる第2の傾きとは、前記第1の傾きが前記第2の傾きよりも緩やかであることを特徴とする。
前記各態様において、前記ベース又は前記切断部に電池が配置され、前記モータは前記電池から電力供給を受ける構成であるとよい。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る卓上切断機によれば、充分な切断性能を確保しつつ消費電力の低減を図ることができ、また騒音の低減を実現可能である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
本発明に係る卓上切断機としての卓上丸鋸の第1の実施の形態を
図1乃至
図8を用いて以下説明する。なお、以下の説明における上下方向及び前後方向を
図1のように定義する。
【0024】
これらの図において、卓上丸鋸は、被切断材40を載置可能なベース1と、切断工具としての丸鋸刃20を回転駆動する電動モータ21を有する切断部10と、切断部10をベース1の上下方向に揺動自在で、ベース1に平行に摺動自在に支持するとともに、丸鋸刃20の回転面(側面)をベース1の上面に対して傾動自在に支持する切断部支持機構30とを備えている。
【0025】
ベース1は床面、テーブル面等に載置可能な構造であり、ベース1には、ベース1上面とほぼ面一となる上面を有するターンテーブル2が埋設され、かつターンテーブル2はその上面に直交する回動軸を介して回動自在にベース1と連結されている。作業時には、ベース1及びターンテーブル2に被切断材40が載置可能となっている。
【0026】
切断部支持機構30の構造は後述するが、切断部支持機構30はターンテーブル2に取り付けられており、ターンテーブル2を回動させると、これと一体となって切断部支持機構30及び切断部10も回動する(つまりベース1に対する向きか変化する)。
ベース1には上面とほぼ直交する押さえ面3aを有する一対のフェンス3が設けられており、断面が四角形状をした
図1仮想線に示すような被切断材40を切断加工する際にはフェンス3の押さえ面3aに被切断材40の一面を当接させた状態で切断作業を行うことにより、安定した切断作業を行うことができるようにしている。ターンテーブル2をベース1に対して回動させると、ターンテーブル2と一体となって回動する切断部10のフェンス3に対する位置が変化し、これによって、フェンス3の押さえ面3aと丸鋸刃20の回転面(側面)との角度が変化することとなり、フェンス3に当接された被切断材40を様々な角度で切断加工を行うことができる。
【0027】
切断部支持機構30は、ターンテーブル2の後方側(
図1に示す左側)端部付近においてターンテーブル2上面とほぼ平行に支持された傾動軸4と、傾動軸4を介してターンテーブル2に対して傾動自在(ターンテーブル上面に垂直な立設状態からその上面に対して所定角度を成すように左右に傾斜した状態に姿勢を調整可能)に取り付けらけるホルダ5と、ホルダ5で前記ターンテーブル上面に平行に固定支持された少なくとも2本のガイドバー7と、ガイドバー7に対して摺動自在に設けられるスライダ8と、スライダ8に切断部10を揺動自在に連結するヒンジ9とを具備している。
【0028】
ホルダ5を所定の傾斜角度に固定するために、ホルダ5の後方において、ターンテーブル2の後端からは傾動軸4を中心とする円弧状の長穴51aが形成されたブラケット51が立設され、クランプレバー52の軸部52aが長穴51aを貫通してホルダ5に螺合するようになっている。クランプレバー52の締め付け操作により、ターンテーブル上面に対してホルダ5を任意の傾斜角度に固定できる。ホルダ5の傾斜角度を固定することにより、丸鋸刃20も同様な傾斜角度に固定され、いわゆる傾斜切りが可能となる。
【0029】
切断部10は、モータ21の回転を回転伝達機構を介して丸鋸刃20が固定される回転軸22に伝達するものあり、モータ21及び回転伝達機構を収納する切断部ケース11を有し、切断部ケース11と一体に丸鋸刃20の上部を覆う主カバー12が形成されている。
【0030】
切断部ケース11の後端部はスライダ8にヒンジ9を介して連結される連結部11aとなっており、連結部11aはヒンジ9のヒンジピン9aにてスライダ8に回動自在、すなわちベース1に対し近接及び遠ざかる方向に揺動自在に取り付けられる。ヒンジピン9aの周りに設けられたバネ13により、切断部ケース11は上方に持ち上げる向きに付勢されている。従って、切断部ケース11の上部に設けられた操作ハンドル14に下向きの操作力を加えない限り、切断部10はヒンジ9の周囲に設けられたストッパ(具体的な説明は省略する)により上死点(
図1及び
図5の状態)に位置規制されている。ここでは説明の都合上、切断部10の位置の基準として丸鋸刃20が固定される回転軸22の位置を用いることとする。つまり、操作ハンドル14に下向きの操作力を加えない限り、回転軸22は上死点に位置することになる。操作ハンドル14にはモータ21の回転、停止を制御するためのトリガスイッチSW1が設けられている。
【0031】
切断部ケース11には操作ハンドル14とは別に、卓上丸鋸全体を運搬するための運搬用ハンドル15が設けられており、運搬用ハンドル15に解除スイッチSW2が設けられている。解除スイッチSW2の機能は後述する。
【0032】
切断部10は、主カバー12で覆われない丸鋸刃20の部分を覆う保護カバー16を有する。保護カバー16は主カバー12の内側に沿って回転移動するように支持され、保護カバー16の回動機構となるリンク17の一端が連結され、リンク17の他端はスライダ8に固定の固定アーム18に連結されている。また、リンク17の中間部は主カバー12の内側に回転自在に取り付けられたローラ19に接するようになっている。
【0033】
切断部10の回転軸22が上死点にあるとき、操作ハンドル14を下死点に向けて押し下げると、リンク17により保護カバー16は
図1の矢印Lのように左回りに回動して丸鋸刃20を露出させて被切断材40を切断可能な状態とする。
【0034】
モータ21の電源としては交流商用電源と電池電源の両方を使用可能な構成であり、切断部10には商用電源供給のための電源コード45が接続されている。また、ベース1の側方に突出した部分に
図3及び
図4に示す電池収納部46が配置されており、電池47を内蔵した電池ユニット48が、電池収納部46の止めネジ49で固定されるようになっている。
【0035】
本実施の形態では、消費電力の低減及び騒音の低減を図るために、切断部10の回転軸22が上死点に位置する際(操作ハンドル14に押し下げ方向の操作力が無いとき)には、モータ21を最大回転速度よりも遅い低速(第1の回転速度)で回転させ、切断部22の回転軸22が上死点と下死点との間に位置する所定揺動位置よりも下死点側に位置する際に、モータ21を高速(前記第1の回転速度よりも速い回転速度)で回転可能な構成とする。
【0036】
このため、
図5及び
図6に示すように、保護カバー16の位置を検出することにより、切断部10の位置(上死点にあるかどうか)を検出するために、検出手段としての検出スイッチSW3(マイクロスイッチ等)を主カバー12の縁部に取り付けている。検出スイッチSW3の取付位置は、
図5のように切断部10の回転軸22が上死点にあるときは保護カバー16によって検出スイッチSW3の操作部(アクチュエータ)71が押圧される位置であり、操作ハンドル14が下方に操作されて(つまり、切断部10の回転軸22が上死点よりも下方に移動して)
図6のように保護カバー16が回動したときには検出スイッチSW3の操作部71は保護カバー16によっては押圧されない。従って、検出スイッチSW3は、切断部10の回転軸22が上死点にあるときにオン(ON)、保護カバー16が回動して検出スイッチSW3の操作部71が保護カバー16によって押圧されなくなるとオフ(OFF)となる。
【0037】
図7はモータ21の回転速度を制御する制御系の概略構成を示し、制御部60は、トリガスイッチSW1、解除スイッチSW2及び検出スイッチSW3が接続され、電池47から電力供給を受ける制御回路61と制御回路61によって制御されてモータ21への供給電圧を変化させる駆動回路62とを備え、駆動回路62はモータ供給電圧を例えばパルス幅制御(PWM)するものである。なお、交流商用電源使用時は、図示しないが、所定電圧に降圧後、整流平滑回路で整流、平滑した直流電圧を電池電圧の代わりに使用する。前記解除スイッチSW2は、切断部10の回転軸22が上死点に位置する際であってもモータ21を最大回転数で回転させるように、低速回転での回転制御を解除するものであり、手動操作可能な解除部として機能する。
【0038】
図8は本実施の形態の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS1でトリガスイッチSW1をオンにした後、ステップS2で解除スイッチSW2がオフがどうか判断し、解除スイッチSW2がオンの場合(NOの場合)にはステップS6でモータ21を高速運転する。すなわち、
図7の制御部60では、制御回路61により駆動回路62を制御して電池47の全電圧がモータ21に加わるようにする。この際、全電圧を直ちにモータ21に印加する代わりに、モータ起動時の切断部10の揺れ防止及び騒音の低減のために、制御回路61で駆動回路62を制御してモータ供給電圧のパルス幅制御を行うことでモータ21の実効電圧を徐々に増加してモータ21の回転速度を最大回転速度に到達するまで徐々に増加させることが望ましい。
【0039】
ステップS2で解除スイッチSW2がオフである場合(YESの場合)、検出スイッチSW3がオンである(保護カバー16が閉じている)かどうか判断する。検出スイッチSW3がオフである(保護カバー16が開いている)場合(NOの場合)、操作者によって操作ハンドル14が被切断材40に向けて押し下げられている過程でトリガスイッチSW1がオンされたと判断してステップS6に移行しモータ21を高速運転する。
【0040】
ステップS3で、検出スイッチSW3がオンである(保護カバー16が閉じている)場合(YESの場合)、操作ハンドル14が押し下げられておらず、切断部10の回転軸22は上死点にあると判断してステップS4でモータ21を低速運転、つまり最大回転速度よりも遅い第1の回転速度で回転させる。これにより、待機時の省電力化及び騒音の低減が図れる。なお、制御部60のパルス幅制御で低速運転に必要な実効電圧値にまでモータ21の実効電圧を徐々に増加してモータ21の回転速度を徐々に増加させることが望ましい。
【0041】
その後、ステップS5で検出スイッチSW3がオフである(保護カバー16が開いている)かどうか判断する。検出スイッチSW3がオンである(保護カバー16が閉じている)場合(NOの場合)、状態に変化なしと判断して低速運転を継続するとともにステップS5の判断を繰り返す。
【0042】
ステップS5で検出スイッチSW3がオフである(保護カバー16が開いている)場合、ステップS6に移行しモータ21を高速運転する。つまり、最大回転速度にまで回転数を上げる。モータ21の高速運転中、切断部10の回転軸22が下死点に至るまで操作ハンドル14を押し下げることで(必要に応じて切断部10を摺動させて)被切断材40を切断することができる。
【0043】
その後、ステップS7でトリガスイッチSW1がオフかどうを判断する。トリガスイッチSW1がオンの場合(NOの場合)は高速運転を行いつつステップS7を繰り返す。
【0044】
ステップS7でトリガスイッチSW1がオフの場合(YESの場合)、ステップS8でモータ停止となる。
【0045】
図9(A)はモータ21の起動からステップS4の低速運転、さらにステップS6の高速運転に至るまでのモータ回転数(≒実効電圧)と時間との関係の一例を示す。
図9(A)の場合、制御部60はモータ21の回転速度を低速運転状態から高速運転状態に切り替える際に、制御回路61で駆動回路62を制御してモータ供給電圧のパルス幅制御を行うことでモータ21の回転速度を徐々に増加させて切り替えを行う。また、モータ起動時にモータ21の回転速度を徐々に増加させる第1の傾きと、低速運転から高速運転に切り替える際にモータ21の回転速度を徐々に増加させる第2の傾きとを対比したとき、前記第1の傾きが前記第2の傾きよりも緩やかであるようにモータ回転数を制御する。
【0046】
図9(B)は揺動支点(ヒンジピン9a)を中心として切断部10の回転軸22を上死点から下死点に向けて下降させた場合において、モータ21の低速運転を行う低速制御の領域と、高速運転を行う高速制御の領域と区分したものである。
図5及び
図6に示した検出スイッチSW3の配置で保護カバー16の位置を検出する場合、操作ハンドル14を僅かに押し下げただけて保護カバー16は大きく開くため、低速制御を行う領域は上死点位置を含むごく狭い範囲である。つまり、低速運転から高速運転に切り替える切断部10(回転軸22の位置基準)の所定揺動位置は、最大切断能力が必要な被切断材40の切断を開始する切断部10の揺動位置よりも十分上死点側に位置する。
【0047】
第1の実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0048】
(1) 切断部10の回転軸22が上死点に位置するときはモータ21は低速回転で待機し、操作ハンドル14の押し下げ操作があるとモータ21は高速回転に切り替えられるため、被切断材40の切断能力を損なうことなく省電力化を図ることができ、また騒音の低減を図ることが可能である。
【0049】
(2) 制御部60は、モータ21の起動時にモータ回転速度を徐々に増加させるよう制御することが可能であり、モータ起動時の切断部10の揺れ防止及び騒音の低減が可能である。
【0050】
(3) 制御部60は、モータ21の回転速度を低速回転から高速回転に切り替える際に、前記モータの回転速度を徐々に増加させ切り替えることができる。これにより、モータ21の回転速度を急に切り替えるとその反動で下方に揺動させようとしている切断部10が上方に揺動してしまうが、回転速度を徐々に増加させることでこれを防ぐことができる。
【0051】
(4)
図9(A)で説明したが、モータ21の起動時にモータ回転速度を徐々に増加させる第1の傾きと、低速回転から高速回転に切り替える際にモータ回転速度を徐々に増加させる第2の傾きとは、第1の傾きが第2の傾きよりも緩やかであるように、制御部60で速度制御可能である。第2の傾きが緩やかでゆっくりと速度を上げるようにすると、切断開始前にモータ回転数が最大回転速度にならない恐れがあり、切れ味がわるくなる嫌いがあるが、第2の傾きを比較的急傾斜にすることで、それを回避できる。
【0052】
図10は本発明の第2の実施の形態を示す。前述の第1の実施の形態とは、検出スイッチSW3の配置が異なっている。すなわち、切断部支持機構30は切断部10を揺動自在に連結するヒンジ9を有し、ヒンジ9の近傍となるスライダ8上に検出スイッチSW3が配設されている。そして、スライダ8にヒンジ9を介して連結される切断部ケース11の連結部11aの位置を検出スイッチSW3で検出するようにしている。この場合、検出スイッチSW3はヒンジ9の周りの一方の部材に対する他方の部材の相対移動を検出する機構となる。
【0053】
図10に図示の状態は切断部10の回転軸22が上死点に位置しており、連結部11aの縁で検出スイッチSW3の操作部(アクチュエータ)71が押圧される結果、検出スイッチSW3はオンである。操作ハンドル14が下死点に向けて操作されると検出スイッチSW3の操作部71が連結部11aによって押圧されなくなってオフとなる。
【0054】
第2の実施の形態の場合、操作ハンドル14の押し下げ操作に伴う連結部11aの動きは、保護カバー16の動きに比べて緩やかであるため、低速制御と高速制御の領域の区分は
図9(B)に比べて低速制御の領域を広げた
図9(C)のように設定することが可能になる。切断部10の回転軸22が上死点から所定揺動位置までが低速制御領域となる。但し、前記所定揺動位置は、最大切断能力となる被切断材40の切断開始位置よりも上死点側に位置する。これは切断能力を低下させないために必要である。
【0055】
図11は本発明の第3の実施の形態を示す。検出スイッチSW3はヒンジ9の近傍であるが、前述の第2の実施の形態とは、検出スイッチSW3の配置が逆になっている。すなわち、スライダ8にヒンジ9を介して連結される切断部ケース11の連結部11aに検出スイッチSW3が取り付けられ、検出スイッチSW3の操作部71を押圧するために当接部材72がスライダ8に固定されている。
【0056】
図11に図示の状態は切断部10の回転軸22が上死点に位置しており、スライダ8側の当接部材72で検出スイッチSW3の操作部71が押圧される結果、検出スイッチSW3はオンである。操作ハンドル14が下死点に向けて操作されると検出スイッチSW3の操作部71が当接部材72によって押圧されなくなってオフとなる。
【0057】
第3の実施の形態の場合も、操作ハンドル14の押し下げ操作に伴う連結部11aの動きは、保護カバー16の動きに比べて緩やかであるため、低速制御と高速制御の領域の区分は
図9(B)に比べて低速制御の領域を広げた
図9(C)のように設定することが可能になる。
【0058】
第2及び第3の実施の形態においては、
図9(C)の低速制御から高速制御に切り替わる所定揺動位置は第1の実施の形態よりも下死点に近い位置となる場合があり、このため
図9(A)に示した第1の傾きよりも第2の傾きを急にして、切断開始前にモータ回転数が最大回転速度に到達できるように制御部60でモータ21を制御する。これにより、切断開始前にモータ回転数が最大回転速度にならなくて、切れ味がわるくなる問題を回避できる。その他の作用効果は第1の実施の形態と同様である。
【0059】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0060】
第1の実施の形態において、制御部60は例えばモータ供給電圧のパルス幅制御でモータの回転速度を制御する旨説明したが、制御部60の構成はこれに限定されるものではなく、モータ供給電圧の周波数制御、位相制御等であっても差し支えない。
【0061】
各実施の形態において、検出スイッチSW3は機械的なマイクロスイッチ等を想定したが、近接スイッチ等であってもよい。
【0062】
各実施の形態において、切断工具として丸鋸刃を例示したが、切断工具として回転砥石を用いる高速切断機にも本発明は適用できる。