特許第5924493号(P5924493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5924493熱交換器及び熱交換器の管支持板の据え付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924493
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】熱交換器及び熱交換器の管支持板の据え付け方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/013 20060101AFI20160516BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20160516BHJP
   F22B 37/20 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   F28F9/013 B
   F28F9/02 B
   F22B37/20 D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-164588(P2012-164588)
(22)【出願日】2012年7月25日
(65)【公開番号】特開2014-25618(P2014-25618A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 順一郎
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/114048(WO,A1)
【文献】 特開平9−133490(JP,A)
【文献】 特開昭62−272097(JP,A)
【文献】 特開2010−197096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00 − 9/02
F22B 37/20 − 37/24
G21D 1/00 − 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝熱管と、
これらの伝熱管の端部を支える管板と、
この管板と並列に配置されて前記伝熱管の中間部分を支える複数枚の管支持板と、
前記管板に取り付けられると共に順次継ぎ足されて前記管板及び該管板と対向する管支持板の間隔並びに隣接する管支持板同士の間隔を保持するステイロッドを備えた熱交換器において、
前記管板に形成された伝熱管挿通用孔に対して、前記管板の前記管支持板とは反対側から継ぎ足しを繰り返して挿入されて、前記複数枚の管支持板を前記ステイロッドの長さ分の間隔をおいて互いに平行に固定する締付ロッドが設けられ、
前記管板から最も遠方に位置する前記管支持板における前記締付ロッドの先端が挿通する伝熱管挿通用孔には、ロッド係止部が形成され、
前記締付ロッドの先端には、前記管板から最も遠方に位置する前記管支持板の伝熱管挿通用孔を通過した状態で該締付ロッド自体を捻ることで前記管支持板のロッド係止部と係止する支持板係止部が形成されていると共に、該締付ロッドにおける前記管板の管支持板とは反対側に位置する基端には、ナットがねじ込まれるねじ部が形成されている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記管板から最も遠方に位置する前記管支持板と前記締付ロッドの先端における支持板係止部との間には、支持板保護座金が配置され、この支持板保護座金の前記締付ロッドの先端が挿通するロッド挿通孔に、座金側ロッド係止部が形成されている請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記支持板保護座金は、互いに近接する複数の締付ロッドの各先端が挿通する複数のロッド挿通孔を有している請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
請求項1に記載の熱交換器の管支持板を据え付けるに際して、
前記管板にステイロッドを固定し、該管板に対向配置する管支持板を前記ステイロッドに当てつつ、前記管板及び管支持板を順次貫通させた前記締付ロッドを捩じって、該締付ロッドの支持板係止部と前記管支持板のロッド係止部とを互いに係止させると共に、前記締付ロッドの基端のねじ部にナットをねじ込んで、前記管板に対向配置する管支持板を固定し、
以降、予定した枚数の管支持板の据え付けが済むまで、前記ステイロッドの追加、ナットを一旦取り外したうえでの前記締付ロッドに対する継ぎ足しロッドの継ぎ足し、次の管支持板のロッド係止部に対する前記締付ロッドの支持板係止部の係止及び前記継ぎ足しロッドの基端のねじ部に対するナットのねじ込みを繰り返す
ことを特徴とする熱交換器の管支持板の据え付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、熱源からの熱を利用して蒸気を発生させる蒸気発生器として用いられる熱交換器及び熱交換器の管支持板の据え付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記したような熱交換器としては、例えば、特許文献1に記載された蒸気発生器がある。この蒸気発生器は、中空円筒形状を成す外殻内部に、複数の伝熱管と、管板と、管支持板を収容して成っている。
【0003】
管板は、外殻の端部に位置しており、伝熱管の端部を固定する伝熱管挿通用孔を複数有している。一方、管支持板は、伝熱管の中間部分を支えるものであり、管板と同じく伝熱管挿通用孔を複数有していて、外殻内において管板と並列に複数枚配置されている。
【0004】
この蒸気発生器では、通常管板及びこれと対向する管支持板の間にステイロッドを配置すると共に、互いに隣接する管支持板同士の間にもステイロッドを配置することで、管板及びこれと対向する管支持板の間隔や、隣接する管支持板同士の間隔を確保するようにしている。
【0005】
複数の管支持板は、外殻内に対して管板とは反対側から順次挿入され、最も管板に近い(最も奥側の)管支持板は、あらかじめ管板に取り付けられたステイロッドにより位置決めが成される。そして、2枚目以降の管支持板は、ステイロッドとこのステイロッドに継ぎ足される次のステイロッドとにより挟持されることで、順次位置決めが成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-197096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来において、上記したように、ステイロッドを継ぎ足しつつ各ステイロッド間で管支持板を挟持することで、複数の管支持板の各位置決めを行うようにしているが、蒸気発生器では、継ぎ足す際のステイロッド間の締め込みトルクに制限が課せられることが多く、継ぎ足されるステイロッド間で管支持板を挟持するだけでは、例えば、管支持板が直径約4mで且つ厚さ約30mmの円板である場合において、管支持板の自重による撓みを矯正し得ずに、決められた平面度等の幾何公差を守ることができない事態が起こり得るという問題があり、これを解決することが従来の課題となっている。
【0008】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、複数枚の管支持板の据え付け時において、管支持板の自重による撓みが簡単且つ確実に矯正され、その結果、平面度及び位置精度が確保された状態で据え付けられた複数枚の管支持板を有する熱交換器及び熱交換器の管支持板の据え付け方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するべく、本発明の請求項1に係る発明は、複数の伝熱管と、これらの伝熱管の端部を支える管板と、この管板と並列に配置されて前記伝熱管の中間部分を支える複数枚の管支持板と、前記管板に取り付けられると共に順次継ぎ足されて前記管板及び該管板と対向する管支持板の間隔並びに隣接する管支持板同士の間隔を保持するステイロッドを備えた熱交換器において、前記管板に形成された伝熱管挿通用孔に対して、前記管板の前記管支持板とは反対側から継ぎ足しを繰り返して挿入されて、前記複数枚の管支持板を前記ステイロッドの長さ分の間隔をおいて互いに平行に固定する締付ロッドが設けられ、前記管板から最も遠方に位置する前記管支持板における前記締付ロッドの先端が挿通する伝熱管挿通用孔には、ロッド係止部が形成され、前記締付ロッドの先端には、前記管板から最も遠方に位置する前記管支持板の伝熱管挿通用孔を通過した状態で該締付ロッド自体を捻ることで前記管支持板のロッド係止部と係止する支持板係止部が形成されていると共に、該締付ロッドにおける前記管板の管支持板とは反対側に位置する基端には、ナットがねじ込まれるねじ部が形成されている構成としたことを特徴としており、この構成の熱交換器を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る熱交換器において、前記管板から最も遠方に位置する前記管支持板と前記締付ロッドの先端における支持板係止部との間には、支持板保護座金が配置され、この支持板保護座金の前記締付ロッドの先端が挿通するロッド挿通孔に、座金側ロッド係止部が形成されている構成としており、この構成を採用すると、締付ロッドの支持板係止部が管支持板に直接触れることがなくなるので、支持板係止部による管支持板の傷付きが回避されることとなる。
【0011】
さらに、本発明の請求項3に係る熱交換器において、前記支持板保護座金は、互いに近接する複数の締付ロッドの各先端が挿通する複数のロッド挿通孔を有している構成としており、この場合には、複数の締付ロッドの各先端に保護用の座金を個々に介在させる必要がなくなり、手間暇が軽減されることとなる。
【0012】
一方、本発明の請求項4に係る発明は、請求項1に記載の熱交換器の管支持板を据え付けるに際して、前記管板にステイロッドを固定し、該管板に対向配置する管支持板を前記ステイロッドに当てつつ、前記管板及び管支持板を順次貫通させた前記締付ロッドを捩じって、該締付ロッドの支持板係止部と前記管支持板のロッド係止部とを互いに係止させると共に、前記締付ロッドの基端のねじ部にナットをねじ込んで、前記管板に対向配置する管支持板を固定し、以降、予定した枚数の管支持板の据え付けが済むまで、前記ステイロッドの追加、ナットを一旦取り外したうえでの前記締付ロッドに対する継ぎ足しロッドの継ぎ足し、次の管支持板のロッド係止部に対する前記締付ロッドの支持板係止部の係止及び前記継ぎ足しロッドの基端のねじ部に対するナットのねじ込みを繰り返す構成としている。
【0013】
本発明に係る熱交換器では、その管支持板の据え付けに際して、まず、ステイロッドを管板に固定する。次いで、この固定したステイロッドの先端部に、管板と対向配置される管支持板を当てつつ、管板の伝達管挿通孔に締付ロッドを挿入し、その先端部が管支持板を貫通するまで押し込む。
【0014】
次に、締付ロッドを捩じることで、締付ロッドの支持板係止部を管支持板の伝達管挿通孔のロッド係止部に係止させ、これに続いて、管板から突き出ている締付ロッドの基端のねじ部にナットをねじ込むことで、管板に最も近い管支持板の固定が完了する。
【0015】
続いて、管板に固定したステイロッドに、次の管支持板との間隔を確保するためのステイロッドを連結した後、ナットを締付ロッドのねじ部から一旦取り外し、継ぎ足しロッドを継ぎ足して押し込む。
【0016】
そして、ステイロッドに次の管支持板を当てつつ、次の管支持板の設置位置付近に到達して伝達管挿通孔から突き出でた締付ロッドの支持板係止部を管支持板のロッド係止部に係止させ、これに続いて、管板から突き出ている締付ロッドの基端のねじ部にナットをねじ込むことで、管板から数えて2番目の管支持板と管板に最も近い管支持板との固定が完了する。
【0017】
これ以降、予定した枚数の管支持板の固定が済むまで、ステイロッドの追加、ナットを一旦取り外したうえでの締付ロッドに対する継ぎ足しロッドの継ぎ足し、次の管支持板のセット及び継ぎ足しロッドのねじ部に対するナットのねじ込みを繰り返す。
【0018】
このとき、管板とこれに対向する管支持板との間隔及び隣接する管支持板同士の間隔を保持するステイロッドには圧縮力がかかり、一方、締付ロッドには引張力がかかることから、管支持板の自重による撓みが確実に矯正され、管支持板の平面度及び位置精度が確保されることとなる。
【0019】
このように、管支持板の据え付けにあたっては、締付ロッドに対するナットのねじ込み作業が管板側のみで成されるので、据え付け作業が容易なものとなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る熱交換器では、上記した構成としているので、複数枚の管支持板の据え付け時において、管支持板の自重による撓みが簡単且つ確実に矯正され、したがって、複数枚の管支持板が、各々の平面度及び位置精度が確保された状態で据え付けられるという非常に優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例による熱交換器の一部を断面で示す部分斜視説明図である。
図2図1の熱交換器における管板付近の管支持板据え付け構造を詳細に示す部分断面説明図である。
図3図1の熱交換器における管支持板の据え付け要領を示す締付ロッド挿入時の部分断面説明図である。
図4図3の状況を管支持板側から見た締付ロッド先端部付近の斜視説明図である。
図5図3の状況を管支持板側から見たリング状座金と締付ロッドとの関係を詳細に示す斜視説明図である。
図6】リング状座金のロッド挿通孔に締付ロッド先端部を挿通する状況を示す拡大説明図(a)及びロッド挿通孔のロッド係止部に締付ロッドの矢じり状係止部を係止させる状況を示す拡大説明図(b)である。
図7図3の状況を管板側から見た締付ロッドにおける基端のねじ部付近の斜視説明図である。
図8図3の状況を経て1枚目の管支持板が据え付けられた状態を示す部分断面説明図である。
図9】2枚目の管支持板の据え付け要領を示す継ぎ足しロッド挿入時の部分断面説明図である。
図10】2枚目の管支持板の据え付け要領を示す継ぎ足しロッド押し込み時の部分断面説明図である。
図11】2枚目の管支持板の据え付け要領を示すリング状座金を一旦締付ロッドから取り外した状況の部分断面説明図である。
図12】2枚目の管支持板を据え付ける際のリング状座金を再度締付ロッドに取り付ける状況を示す部分断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
図1図12は本発明に係る熱交換器及び熱交換器の管支持板の据え付け方法の一実施例を示しており、この実施例では、熱交換器が蒸気発生器である場合を例に挙げて説明する。
【0023】
図1に示すように、この蒸気発生器1は、中空円筒形状を成す外殻1aの内部に、複数本の伝熱管3と、管板2と、管支持板4を収容して成っている。
【0024】
管板2は、外殻1aの端部に位置しており、伝熱管3の端部を固定する伝熱管挿通用孔2aを複数有している。一方、管支持板4は、伝熱管3の中間部分を支えるものであって、管板2と同じく伝熱管挿通用孔4aを複数有しており、外殻1a内において管板2と並列に複数枚配置されている。
【0025】
この蒸気発生器1では、図2に示すように、管板2及びこれと対向する管支持板4の間にステイロッド5を配置すると共に、互いに隣接する管支持板4,4同士の間にもステイロッド5を配置することで、管板2及びこれと対向する管支持板4の間隔や、隣接する管支持板4,4同士の間隔を確保するようにしている。
【0026】
この蒸気発生器1において、外殻1a内に管支持板4を据え付ける場合には、管板2の伝熱管挿通用孔2aに対して、管板2の管支持板4とは反対側(図2右側)から締付ロッド6を挿入して、管支持板4をステイロッド5の長さ分の間隔をおいて固定するようにしており、管支持板4の枚数が増える毎に継ぎ足しロッド6Aの継ぎ足しを繰り返すことで、締付ロッド6の長さ寸法を伸ばすようにしている。
【0027】
この場合、管板2から遠い方に位置する管支持板4には、リング状座金7が隣接して配置され、後述するように、このリング状座金7に複数の締付ロッド6の各矢じり状係止部6bを係止させると共に、締付ロッド6における管板2側に位置する基端のねじ部6cに管板保護座金8を介してナット9をねじ込むようになっている。
【0028】
そこで、蒸気発生器1の管支持板4の取り付け要領を説明する。
まず、図3に示すように、ステイロッド5の基端のねじ部5dを管板2のねじ孔2bにねじ込んで固定する。
【0029】
次いで、この固定したステイロッド5の先端部5aの肩5bに、管板2と対向配置される管支持板4のステイロッド連結孔4cのロッド受け4dを当てつつ、管板2の伝達管挿通孔2aに締付ロッド6を挿入し、図4に示すように、締付ロッド6の先端部6aが管支持板4に到達するまで押し込む。
【0030】
ここで、図5にも示すように、締付ロッド6の先端部6aに矢じり状係止部6bが形成され、一方、管支持板4の伝達管挿通孔4a及びこの管支持板4に隣接させたリング状座金7の複数のロッド挿通孔7aがいずれも矢じり状を成しており、これらの伝達管挿通孔4a及びロッド挿通孔7aを通過した締付ロッド6の矢じり状係止部6bを捩じることで(図6(a)に示す状態から図6(b)に示す状態とすることで)、締付ロッド6の矢じり状係止部6bをリング状座金7のロッド挿通孔7aに形成された座金側ロッド係止部7bに係止させる。
【0031】
そして、図7に示すように、管板2の管支持板4とは反対側に突き出ている締付ロッド6の基端のねじ部6cに、複数のねじ挿通孔8aを有するリング状の管板保護座金8を介してナット9をねじ込むことで、管板2に最も近い管支持板4の据え付けが完了する。
【0032】
このとき、図8に示すように、管板2とこれに対向する管支持板4との間隔を保持するステイロッド5には圧縮力(互いに離間する方向の矢印)がかかり、一方、締付ロッド6には引張力(互いに接近する方向の矢印)がかかることから、管支持板4の平面度及び位置精度が確保されることとなる。
【0033】
続いて、図9に示すように、管支持板4のステイロッド連結孔4cを通してリング状座金7の中央部分に露出しているステイロッド5のねじ孔5cに、次の管支持板4との間隔を確保するためのステイロッド5の基端のねじ部5dをねじ込んで連結した後、管板2側のナット9及びリング状の管板保護座金8を締付ロッド6の基端のねじ部6cから一旦取り外し、このナット9が取り外された締付ロッド6のねじ部6cを継ぎ足しロッド6Aの先端に形成されたねじ孔にねじ込んで継ぎ足す。
【0034】
次に、図10に示すように、継ぎ足しロッド6Aが継ぎ足されて長さ寸法が伸びた締付ロッド6を押し込む。この際、図10の拡大部分に示すように、締付ロッド6の先端部6aにおける肩6dと矢じり状係止部6bとで、リング状座金7を挟持した状態となっているので、上記締付ロッド6のさらなる押し込みにより、リング状座金7を次の管支持板4の設置位置付近まで容易に移動させ得ることとなる。
【0035】
そして、図11に示すように、次の管支持板4の設置位置付近に到達した締付ロッド6の先端部6aから、締付ロッド6に戻りの捩りを加えてリング状座金7を一旦取り外し、続いて、図12に示すように、ステイロッド5の先端部5aの肩5bに次の管支持板4のステイロッド連結孔4cのロッド受け4dを当てつつ、伝達管挿通孔4aから突き出した締付ロッド6の矢じり状係止部6bに、上記と同様にしてリング状座金7を取り付ける。
【0036】
この後、図2に示すように、管板2の管支持板4とは反対側に突き出ている継ぎ足しロッド6Aの基端のねじ部6cに、リング状の管板保護座金8を介してナット9をねじ込むことで、管板2から数えて2番目の管支持板4と管板2に最も近い管支持板4との据え付けが完了する。
【0037】
これ以降、予定した枚数の管支持板4の据え付けが済むまで、ステイロッド5の追加、ナット9及びリング状の管板保護座金8を一旦取り外したうえでの継ぎ足しロッド6Aの継ぎ足し、リング状座金7を一旦取り外したうえでの次の管支持板4のセット及び継ぎ足しロッド6Aの基端のねじ部6cに対するナット9のねじ込みを繰り返す。
【0038】
このように、管支持板4の据え付けにあたっては、締付ロッド6に対するナット8のねじ込み作業が管板2側のみで成されるので、据え付け作業が容易なものとなる。
【0039】
なお、予定した枚数の管支持板4の据え付けが完了した後において、管支持板4は外殻1aに対して溶接により固定され、この固定後には、管支持板4の据え付けに用いた複数本の締付ロッド6は、すべて管板2及び複数枚の管支持板4の各伝熱管挿通用孔2a,4aから引き抜かれ、締付ロッド6が引き抜かれた各伝熱管挿通用孔2a,4aは、他の伝熱管挿通用孔2a,4aと同様に伝熱管3の挿通用孔として使用される。
【0040】
上記した実施例では、複数のロッド挿通孔7aを有するリング状座金7を管支持板4に隣接して配置していると共に、複数のねじ挿通孔8aを有するリング状の管板保護座金8を管板2に隣接して配置しているので、管支持板4に締付ロッド6の矢じり状係止部6bの係止痕がつくことや、管板2にナット9の締め込み痕がつくことを回避できるうえ、個々に座金を用いなくて済む分だけ、手間暇が軽減されることとなる。
【0041】
上記したリング状座金7及び管板保護座金8は必要に応じて省略することができ、この場合には、管支持板4の伝熱管挿通用孔4aにおける管支持突部4bが、ロッド係止部として機能する。
【0042】
本発明に係る熱交換器及び熱交換器の管支持板の据え付け方法の構成は、上記した実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1 蒸気発生器(熱交換器)
2 管板
2a 伝熱管挿通用孔
3 伝熱管
4 管支持板
4a 伝熱管挿通用孔
4b 管支持突部(ロッド係止部)
5 ステイロッド
6 締付ロッド
6A 継ぎ足しロッド
6a 締付ロッドの先端部
6b 矢じり状係止部(支持板係止部)
6c ねじ部
7 リング状座金(支持板保護座金)
7a ロッド挿通孔
7b 座金側ロッド係止部
9 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12