(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記輝度差算出手段は、上記仮想円の円周に沿って配置された4組又は8組の上記外側判定枠と上記内側判定枠との各組について、上記抽出画像の上記外側判定枠内における輝度と上記内側判定枠内における輝度との輝度差を算出し、
上記標識判定手段は、上記輝度差算出手段により算出された各輝度差のうち少なくとも1つが所定値以上の場合に、上記探索ウィンドウ内に標識の画像が含まれていると判定する、請求項1又は2に記載の車両用標識認識装置。
上記標識判定手段は、上記輝度差算出手段により算出された各輝度差のうち何れか1つの輝度差が所定値以上であり、且つこの輝度差とその他の輝度差との差が所定の範囲内である場合に、上記探索ウィンドウ内に標識の画像が含まれていると判定する、請求項3に記載の車両用標識認識装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両用標識認識装置を説明する。
まず、
図1により、本発明の実施形態による車両用標識認識装置の構成を説明する。
図1は、本発明の実施形態による車両用標識認識装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、車両用標識認識装置1は、車両前方を撮影するカメラ2と、カメラ2により撮影された画像の処理を行う画像処理部4と、画像処理部4による処理結果を使用して画像に標識が含まれているか否かを判定する標識判定部6と、標識判定部6が標識の有無を判定する際に用いるデータを記憶する記憶部8とを有する。
【0015】
カメラ2は、車両用標識認識装置1が搭載された車両の前方に向けて車両に設置され、撮影した画像データを画像処理部4に出力する。このカメラ2としては、例えば撮像素子としてCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサを使用したカメラが使用される。
【0016】
画像処理部4は、カメラ2により撮影された画像から所定の大きさの探索ウィンドウ内の画像を抽出する画像抽出部10と、探索ウィンドウ内に配置された複数の判定枠内に含まれる各々の抽出画像間の輝度差を算出する輝度差算出部12と、探索ウィンドウ内の画像を白黒2値化する白黒2値化部14とを備える。
画像処理部4及び標識判定部6は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
【0017】
記憶部8は、画像に含まれる標識候補の外形が円形か否かを標識判定部6が判定する際に用いるテンプレート16を記憶する。この記憶部8は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の不揮発性記憶装置を用いて構成される。
【0018】
ここで、
図2により、本発明の実施形態による車両標識認識装置が行う標識認識処理の基本的な概念を説明する。
図2は、本発明の実施形態による車両用標識認識装置1がカメラ2により撮影された画像から所定の大きさの探索ウィンドウ内の画像を抽出する順序を示す概略図である。
図2に示すように、車両標識認識装置は、カメラ2により撮影された画像18から所定の大きさの探索ウィンドウ20内の画像を抽出し、探索ウィンドウ20内に標識の画像が含まれているか否かを判定する。
具体的には、車両標識認識装置は、まず、カメラ2により撮影された画像18の左上角に所定の大きさ(例えば20画素角)の探索ウィンドウ20を設定し、この探索ウィンドウ20内に標識の画像が含まれているか否かを判定する。次に、探索ウィンドウ20の位置を、標識の有無を判定した探索ウィンドウ20から右方向に、予め設定した画素数だけずらすように変更する(
図2における探索ウィンドウ20a)。そして、位置変更した探索ウィンドウ20a内に標識の画像が含まれているか否かを判定する。以降同様に、カメラ2により撮影された画像18の左から右に向かう方向に探索ウィンドウ20の位置を変更しながら標識の有無を判定する。
さらに、車両標識認識装置は、カメラ2により撮影された画像18の右上角において探索ウィンドウ20内の標識の有無を判定した後、探索ウィンドウ20の位置を、左上角に設定した探索ウィンドウ20から下方向に、予め設定した画素数だけずらすように変更する(
図2における探索ウィンドウ20b)。このように探索ウィンドウ20の位置をカメラ2により撮影された画像18の右下角に至るまで順次変更することにより、画像18の中に標識が含まれているか否かを判定する。
次に、車両標識認識装置は、探索ウィンドウ20の大きさを変更し(例えば30画素角)、上述したようにカメラ2により撮影された画像18の左上角から右下角まで探索ウィンドウ20の位置を順次変更しながら標識の有無を判定する。
車両標識認識装置は、予め設定されている全ての大きさ(例えば20画素角、30画素角及び40画素角)の探索ウィンドウ20を用いてカメラ2により撮影された画像18の中に標識が含まれているか否かを判定した後、標識認識処理を終了する。
【0019】
次に、
図3乃至
図9により、車両標識認識装置が行う各処理について説明する。
図3は、本発明の実施形態による車両用標識認識装置1が標識を認識する標識認識処理のフローチャートである。
この標識認識処理は、車両のイグニッションがオンにされ、車両用標識認識装置1に電源が投入された場合に起動され、繰り返し実行される。
【0020】
図3に示すように、標識認識処理が開始されると、ステップS1において、カメラ2は車両前方を撮影し、撮影した画像データを画像処理部4に出力する。
【0021】
次に、ステップS2において、標識判定部6は、全ての大きさの探索ウィンドウ20による標識の有無の判定が完了したか否かを判定する。その結果、標識の有無の判定が完了した場合、標識認識処理を終了する。
【0022】
一方、標識の有無の判定が完了していない場合、ステップS3に進み、標識判定部6は、現在設定されている大きさの探索ウィンドウ20により、カメラ2により撮影された画像18全体について標識の有無の判定が完了したか否かを判定する。
【0023】
その結果、標識の有無の判定が完了していない場合、ステップS4に進み、標識判定部6は、縁判定処理を実行する。この縁判定処理において、標識判定部6は、標識の外周に沿った所定幅の縁取りに相当する画像が探索ウィンドウ20内に存在するか否かを判定する。その結果、縁取りに相当する画像が存在する場合、探索ウィンドウ20内の画像は標識の可能性のある画像(以下「標識候補」)であると判定し、縁取りに相当する画像が存在しない場合には、探索ウィンドウ20内の画像は標識候補ではないと判定する。縁判定処理の詳細な内容については後述する。
【0024】
ステップS4の縁判定処理の後、ステップS5に進み、標識判定部6は、縁判定処理の結果に基づき、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であるか否かを判定する。
【0025】
その結果、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補である場合、ステップS6に進み、標識判定部6は、文字領域判定処理を実行する。この文字領域判定処理において、標識判定部6は、縁判定処理において判定された標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が、文字領域であるか否かを判定する。その結果、文字領域である場合、探索ウィンドウ20内の画像は標識候補であると判定し、文字領域ではない場合には、探索ウィンドウ20内の画像は標識候補ではないと判定する。文字領域判定処理の詳細な内容については後述する。
【0026】
ステップS6の文字領域判定処理の後、ステップS7に進み、標識判定部6は、文字領域判定処理の結果に基づき、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であるか否かを判定する。
【0027】
その結果、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補である場合、ステップS8に進み、標識判定部6は、円形判定処理を実行する。この円形判定処理において、標識判定部6は、標識候補の画像の輪郭が円形か否かを判定する。その結果、円形である場合、探索ウィンドウ20内の画像は標識であると判定し、円形ではない場合には、探索ウィンドウ20内の画像は標識ではないと判定する。円形判定処理の詳細な内容については後述する。
【0028】
ステップS5において、縁判定処理の結果探索ウィンドウ20内の画像が標識候補ではない場合、ステップS7において、文字領域判定処理の結果探索ウィンドウ20内の画像が標識候補ではない場合、又はステップS8の後、標識判定部6は探索ウィンドウ20の位置を変更し、ステップS3に戻る。以降、ステップS3において、現在設定されている大きさの探索ウィンドウ20により、カメラ2により撮影された画像18全体について標識の有無の判定が完了したと判定されるまで、ステップS3からS9の処理を繰り返す。
【0029】
ステップS3において、現在設定されている大きさの探索ウィンドウ20により、カメラ2により撮影された画像18全体について標識の有無の判定が完了した場合、ステップS10に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20の大きさを変更し、ステップS2に戻る。以降、ステップS2において、全ての大きさの探索ウィンドウ20による標識の有無の判定が完了したと判定されるまで、ステップS2からS10の処理を繰り返す。
【0030】
次に、標識の外周に沿った所定幅の縁取りに相当する画像が探索ウィンドウ20内に存在するか否かを判定する縁判定処理の内容を詳細に説明する。
図4は、本発明の実施形態による車両用標識認識装置1が実行する縁判定処理のフローチャートである。
図5は、本発明の実施形態による車両用標識認識装置1が縁判定処理において縁取りに相当する画像が探索ウィンドウ20内に存在するか否かを判定するために使用される判定枠を含む探索ウィンドウ20を示す図である。
図6は、本発明の実施形態による車両用標識認識装置1が実行する縁判定処理において使用される、標識の画像を含む探索ウィンドウ20を示す図であり、
図6(a)は昼間の固定標識の画像を含む探索ウィンドウ20を示す図、
図6(b)は昼間の電光標識の画像を含む探索ウィンドウ20を示す図、
図6(c)は夜間の電光標識の画像を含む探索ウィンドウ20を示す図である。
【0031】
図4に示すように、縁判定処理が開始されると、ステップS21において、画像抽出部10は、カメラ2により撮影された画像18からその時点で設定されている大きさ及び位置の探索ウィンドウ20内の画像(以下、「抽出画像」)を抽出する。
【0032】
次に、ステップS22に進み、輝度差算出部12は、探索ウィンドウ20内に包含される仮想円の円周に沿ってこの円周の外側に配置された外側判定枠内における抽出画像の輝度と、外側判定枠に隣接して円周の内側に配置された内側判定枠内における抽出画像の輝度との輝度差を算出する。
図5においてB
1乃至B
8により示す外側判定枠は、正方形の探索ウィンドウ20の各辺に内接するように配置されている。特に、本実施形態においては、探索ウィンドウ20の辺に沿って相互に隣接する2枠の外側判定枠の組が、探索ウィンドウ20の各辺毎に4組配置される((B
1,B
2)(B
3,B
4)(B
5,B
6)(B
7,B
8))。これにより、外側判定枠は、探索ウィンドウ20の中央を中心とし且つ探索ウィンドウ20内に包含される仮想円(
図5において点線により示す円)の円周に沿って円周の外側に配置されることになる。
また、
図5においてW
1乃至W
8により示す内側判定枠は、各外側判定枠の内側(即ち探索ウィンドウ20の中心側)に隣接するように配置されている。特に、本実施形態においては、外側判定枠の各組に沿って相互に隣接する2枠の内側判定枠の組が、外側判定枠の各組毎に4組配置される((W
1,W
2)(W
3,W
4)(W
5,W
6)(W
7,W
8))。これにより、内側判定枠は、外側判定枠に隣接して、上述した円周の内側に配置される。
ステップS22において、輝度差算出部12は、上述したように配置された外側判定枠内における抽出画像の輝度I(B
i)と、外側判定枠の内側に隣接するように配置された内側判定枠内における抽出画像の輝度I(W
i)との輝度差D
i=I(W
i)−I(B
i) (i=1,…,8)を算出する。
なお、各外側判定枠内における抽出画像の輝度I(B
i)は、各外側判定枠内の各画素の輝度の平均値であり、各内側判定枠内における抽出画像の輝度I(W
i)は、各内側判定枠内の各画素の輝度の平均値である。
【0033】
次に、ステップS23に進み、標識判定部6は、ステップS22において算出した輝度差のうちの1つ(本実施形態においてはD
1)が所定値m以上か否かを判定する。
【0034】
その結果、輝度差D
1が所定値m以上である場合、ステップS24に進み、標識判定部6は、輝度差D
1とその他の輝度差D
i(i=2,…,8)との差が所定の範囲(本実施形態においては±n)内であるか否かを判定する。即ち、標識判定部6は、輝度差D
i(i=2,…,8)がD
1−n以上D
1+n以下であるか否かを判定する。
【0035】
その結果、輝度差D
1とその他の輝度差D
i(i=2,…,8)との差が所定の範囲内である場合、ステップS25に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であると判定する。
一方、ステップS23において輝度差D
1が所定値m以上ではない(m未満である)場合、又はステップS24において輝度差D
1とその他の輝度差D
i(i=2,…,8)との差が所定の範囲内ではない場合、ステップS26に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補ではないと判定する。
ステップS25又はS26の後、標識判定部6は縁判定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0036】
例えば
図6(a)に示す例においては、探索ウィンドウ20に昼間の固定標識の画像が含まれており、標識の外周に沿った縁取りが外側判定枠の位置に重なり、且つ、縁取りと標識の文字領域との間の白色部分が内側判定枠の位置に重なっている。
この場合、外側判定枠内における抽出画像(即ち縁取りの部分)の輝度I(B
i)に対して、内側判定枠内における抽出画像(即ち白色部分)の輝度I(W
i)が相対的に高く且つその輝度差が大きいため、ステップS23において、標識判定部6は、輝度差D
1が所定値m以上であると判定する。
さらに、
図6(a)に示すように、各外側判定枠内における抽出画像(即ち縁取りの部分)の輝度I(B
i)はそれぞれ同程度であり、各内側判定枠内における抽出画像(即ち白色部分)の輝度I(W
i)もそれぞれ同程度であるので、外側判定枠と内側判定枠との各組における輝度差D
i(i=1,…,8)はそれぞれ同程度となっている。従って、ステップS24において、標識判定部6は、輝度差D
1とその他の輝度差D
i(i=2,…,8)との差が所定の範囲内であると判定する。その結果、
図6(a)の例において、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であると判定する。
【0037】
また、
図6(b)に示す例においては、探索ウィンドウ20に昼間の電光標識の画像が含まれており、標識の外周に沿った縁取りが内側判定枠の位置に重なり、且つ、標識の外側の背景が外側判定枠の位置に重なっている。
この場合、外側判定枠内における抽出画像(即ち背景の部分)の輝度I(B
i)に対して、内側判定枠内における抽出画像(即ち縁取りの部分)の輝度I(W
i)が相対的に高く且つその輝度差が大きいため、ステップS23において、標識判定部6は、輝度差D
1が所定値m以上であると判定する。
さらに、
図6(b)に示すように、各外側判定枠内における抽出画像(即ち背景の部分)の輝度I(B
i)はそれぞれ同程度であり、各内側判定枠内における抽出画像(即ち縁取りの部分)の輝度I(W
i)もそれぞれ同程度であるので、外側判定枠と内側判定枠との各組における輝度差D
i(i=1,…,8)はそれぞれ同程度となっている。従って、ステップS24において、標識判定部6は、輝度差D
1とその他の輝度差D
i(i=2,…,8)との差が所定の範囲内であると判定する。その結果、
図6(b)の例において、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であると判定する。
【0038】
また、
図6(c)に示す例においては、探索ウィンドウ20に夜間の電光標識の画像が含まれており、標識の外周に沿った縁取りが内側判定枠の位置に重なり、且つ、標識の外側の背景が外側判定枠の位置に重なっている。
この場合においても、
図6(b)と同様に、外側判定枠内における抽出画像(即ち背景の部分)の輝度I(B
i)に対して、内側判定枠内における抽出画像(即ち縁取りの部分)の輝度I(W
i)が相対的に高く且つその輝度差が大きいため、ステップS23において、標識判定部6は、輝度差D
1が所定値m以上であると判定する。
さらに、
図6(c)に示すように、各外側判定枠内における抽出画像(即ち背景の部分)の輝度I(B
i)はそれぞれ同程度であり、各内側判定枠内における抽出画像(即ち縁取りの部分)の輝度I(W
i)もそれぞれ同程度であるので、外側判定枠と内側判定枠との各組における輝度差D
i(i=1,…,8)はそれぞれ同程度となっている。従って、ステップS24において、標識判定部6は、輝度差D
1とその他の輝度差D
i(i=2,…,8)との差が所定の範囲内であると判定する。その結果、
図6(c)の例において、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であると判定する。
【0039】
次に、縁判定処理において判定された標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が、文字領域であるか否かを判定する文字領域判定処理の内容を詳細に説明する。
図7は、本発明の実施形態による車両用標識認識装置1が実行する文字領域判定処理において、標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が文字領域であるか否かを判定するために使用される判定枠を含む探索ウィンドウ20を示す図である。
図8は、本発明の実施形態による車両用標識認識装置1が実行する文字領域判定処理のフローチャートである。
【0040】
図7においてR
1乃至R
4により示す文字領域判定枠は、内側判定枠によって囲まれる領域に配置されている。特に、本実施形態においては、内側判定枠によって囲まれるほぼ正方形の領域を2行2列に分割した4つの文字領域判定枠が設けられている。
【0041】
図8に示すように、文字領域判定処理が開始されると、ステップS31において、標識判定部6は、各文字領域判定枠内における抽出画像の輝度I(R
j)(j=1,…,4)の最大値max{I(R
j)}が、各内側判定枠内における抽出画像の輝度I(W
i)(i=1,…,8)の最大値max{I(W
i)}に所定のマージンkを加算した値以下か否か、即ちmax{I(R
j)}−max{I(W
i)}がk以下か否かを判定する。
【0042】
その結果、max{I(R
j)}−max{I(W
i)}がk以下である場合、文字領域判定枠内の輝度が内側判定枠内の輝度よりも低いケース、即ち固定標識の白色部分が内側判定枠の位置に重なり且つ固定標識の文字部分が文字領域判定枠内に重なっているケースと考えられることから、標識判定部6は、ステップS32に進み、探索ウィンドウ20内の画像が固定標識候補であると判定する。
【0043】
次に、ステップS33に進み、標識判定部6は、各文字領域判定枠内における抽出画像の輝度I(R
j)(j=1,…,4)の最大値max{I(R
j)}が、各外側判定枠内における抽出画像の輝度I(B
i)(i=1,…,8)の平均値mean{I(B
i)}から所定のマージンpを減算した値より大きいか否かを判定する。
max{I(R
j)}がmean{I(B
i)}−pより大きい場合は、文字領域判定枠内の輝度が外側判定枠内の輝度よりも十分に高いケース、即ち固定標識の縁取りの部分が外側判定枠の位置に重なり且つ固定標識の文字部分が文字領域判定枠内に重なっているケースと考えられる。
【0044】
その結果、max{I(R
j)}がmean{I(B
i)}−pより大きい場合、ステップS34に進み、標識判定部6は、各文字領域判定枠内における抽出画像の輝度I(R
j)(j=1,…,4)の最小値min{I(R
j)}が、各外側判定枠内における抽出画像の輝度I(B
i)(i=1,…,8)の最大値max{I(B
i)}より大きいか否かを判定する。
min{I(R
j)}がmax{I(B
i)}より大きい場合は、文字領域判定枠内の輝度が外側判定枠内の輝度よりも十分に高いケース、即ち固定標識の縁取りの部分が外側判定枠の位置に重なり且つ固定標識の文字部分が文字領域判定枠内に重なっているケースと考えられる。
【0045】
その結果、min{I(R
j)}がmax{I(B
i)}より大きい場合、ステップS35に進み、標識判定部6は、各文字領域判定枠内における抽出画像の輝度I(R
j)(j=1,…,4)の最大値max{I(R
j)}が、各内側判定枠内における抽出画像の輝度I(W
i)(i=1,…,8)の最小値min{I(W
i)}より小さいか否かを判定する。
max{I(R
j)}がmin{I(W
i)}より小さい場合は、文字領域判定枠内の輝度が内側判定枠内の輝度よりも十分に低いケース、即ち固定標識の白色部分が内側判定枠の位置に重なり且つ固定標識の文字部分が文字領域判定枠内に重なっているケースと考えられる。
【0046】
その結果、max{I(R
j)}がmin{I(W
i)}より小さい場合、縁判定処理において判定された標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が、文字領域である可能性が高いことから、ステップS36に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であると判定する。
【0047】
一方、ステップS33においてmax{I(R
j)}がmean{I(B
i)}−pより大きくない(max{I(R
j)}がmean{I(B
i)}−p以下である)場合、ステップS34においてmin{I(R
j)}がmax{I(B
i)}より大きくない(min{I(R
j)}がmax{I(B
i)}以下である)場合、又はステップS35においてmax{I(R
j)}がmin{I(W
i)}より小さくない(max{I(R
j)}がmin{I(W
i)}以上である)場合、縁判定処理において判定された標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が文字領域である可能性は低いことから、ステップS37に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補ではないと判定する。
【0048】
また、ステップS31において、max{I(R
j)}−max{I(W
i)}がk以下ではない(max{I(R
j)}−max{I(W
i)}がkより大きい)場合、文字領域判定枠内の輝度が内側判定枠内の輝度よりも高いケース、即ち電光標識の縁取りの部分が内側判定枠の位置に重なり且つ電光標識の文字発光部分が文字領域判定枠内に重なっているケースと考えられることから、標識判定部6は、ステップS38に進み、探索ウィンドウ20内の画像が電光標識候補であると判定する。
【0049】
次に、ステップS39に進み、標識判定部6は、各文字領域判定枠内における抽出画像の輝度I(R
j)(j=1,…,4)の最小値min{I(R
j)}が、各外側判定枠内における抽出画像の輝度I(B
i)(i=1,…,8)の平均値mean{I(B
i)}から所定のマージンqを減算した値より大きいか否かを判定する。
min{I(R
j)}がmean{I(B
i)}−qより大きい場合は、文字領域判定枠内の輝度が外側判定枠内の輝度よりも十分に高いケース、即ち電光標識の外側の背景部分が外側判定枠の位置に重なり且つ電光標識の文字発光部分が文字領域判定枠内に重なっているケースと考えられる。
【0050】
その結果、min{I(R
j)}がmean{I(B
i)}−qより大きい場合、ステップS40に進み、標識判定部6は、各文字領域判定枠内における抽出画像の輝度I(R
j)(j=1,…,4)の最大値max{I(R
j)}が、各外側判定枠内における抽出画像の輝度I(B
i)(i=1,…,8)の最小値min{I(B
i)}より大きいか否かを判定する。
max{I(R
j)}がmin{I(B
i)}より大きい場合は、文字領域判定枠内の輝度が外側判定枠内の輝度よりも十分に高いケース、即ち電光標識の外側の背景部分が外側判定枠の位置に重なり且つ電光標識の文字発光部分が文字領域判定枠内に重なっているケースと考えられる。
【0051】
その結果、max{I(R
j)}がmin{I(B
i)}より大きい場合、ステップS41に進み、標識判定部6は、各文字領域判定枠内における抽出画像の輝度I(R
j)(j=1,…,4)の最小値min{I(R
j)}が、各内側判定枠内における抽出画像の輝度I(W
i)(i=1,…,8)の最大値max{I(W
i)}より大きいか否かを判定する。
min{I(R
j)}がmax{I(W
i)}より大きい場合は、文字領域判定枠内の輝度が内側判定枠内の輝度よりも十分に高いケース、即ち電光標識の縁取りの部分が内側判定枠の位置に重なり且つ電光標識の文字発光部分が文字領域判定枠内に重なっているケースと考えられる。
【0052】
その結果、min{I(R
j)}がmax{I(W
i)}より大きい場合、縁判定処理において判定された標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が、文字領域である可能性が高いことから、ステップS36に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であると判定する。
【0053】
一方、ステップS39においてmin{I(R
j)}がmean{I(B
i)}−qより大きくない(min{I(R
j)}がmean{I(B
i)}−q以下である)場合、ステップS40においてmax{I(R
j)}がmin{I(B
i)}より大きくない(max{I(R
j)}がmin{I(B
i)}以下である)場合、又はステップS41においてmin{I(R
j)}がmax{I(W
i)}より大きくない(min{I(R
j)}がmax{I(W
i)}以下である)場合、縁判定処理において判定された標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が、文字領域である可能性が低いことから、ステップS42に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補ではないと判定する。
ステップS36、S37又はS42の後、標識判定部6は文字領域判定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0054】
次に、標識候補の画像の輪郭が円形か否かを判定する円形判定処理の内容を詳細に説明する。
図9は、本発明の実施形態による車両用標識認識装置1が実行する円形判定処理において、標識候補の画像の輪郭が円形か否かを判定するために使用されるテンプレート16を示す図であり、
図9(a)は白黒2値化した探索ウィンドウ20内の画像から所定の大きさのエッジ検出ウィンドウ内の画像を抽出する順序を示す概略図、
図9(b)は標識の縁取りの内周縁を検出するために使用されるテンプレート16を示す図、
図9(c)は標識の外周縁を検出するために使用されるテンプレート16を示す図である。
図10は、本発明の実施形態による車両用標識認識装置1が実行する円形判定処理のフローチャートである。
【0055】
まず、円形判定処理の基本的な概念について説明する。
図9(a)に示すように、白黒2値化部14は、探索ウィンドウ20内の画像を白黒2値化する。次に、画像抽出部10は、白黒2値化した探索ウィンドウ20内の画像の左上角に所定の大きさ(本実施形態においては3画素角)のエッジ検出ウィンドウ22を設定し、このエッジ検出ウィンドウ22内の画像を抽出する。そして、標識判定部6は、抽出した画像の各画素における白黒2値のパターンと、記憶部8に記憶されているテンプレート16に含まれる各パターンとを比較する。
【0056】
テンプレート16は、
図9(b)及び
図9(c)に示すように、エッジ検出ウィンドウ22が標識の縁取りの内周縁に重なった場合にエッジ検出ウィンドウ22内の各画素が取りうる白黒2値のパターン(
図9(b)に示す)と、エッジ検出ウィンドウ22が標識の外周縁に重なった場合にエッジ検出ウィンドウ22内の各画素が取りうる白黒2値のパターン(
図9(c)に示す)とを有している。さらに、各パターンに対応付けて、そのパターンが検出された場合におけるエッジ検出ウィンドウ22の位置から標識の中心に向かう方向及び距離が記憶部8に記憶されている。
【0057】
エッジ検出ウィンドウ22内の各画素における白黒2値のパターンと、テンプレート16に含まれる各パターンのうちの何れかとが一致した場合、標識判定部6は、エッジ検出ウィンドウ22の位置と、一致したパターンに対応付けて記憶部8に記憶されている方向及び距離とに基づき、探索ウィンドウ20内の標識候補の中心座標を推定し、その中心座標に対応するカウンタを1加算する。
【0058】
続いて、標識判定部6は、エッジ検出ウィンドウ22の位置を、現在のエッジ検出ウィンドウ22から右方向に、予め設定した画素数だけずらすように変更する。そして、位置変更したエッジ検出ウィンドウ22内の各画素における白黒2値のパターンと、テンプレート16に含まれる各パターンとを比較する。そして、一致するパターンが存在した場合、エッジ検出ウィンドウ22の位置と、一致したパターンに対応付けて記憶部8に記憶されている方向及び距離とに基づき、探索ウィンドウ20内の標識候補の中心座標を推定し、その中心座標に対応するカウンタを1加算する。
以降同様に、探索ウィンドウ20内の画像の左から右に向かう方向にエッジ検出ウィンドウ22の位置を変更しながらエッジ検出ウィンドウ22内の各画素における白黒2値のパターンとテンプレート16に含まれる各パターンとを比較し、探索ウィンドウ20内の標識候補の中心座標を推定する。
【0059】
さらに、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像の右上角においてエッジ検出ウィンドウ22内の各画素における白黒2値のパターンとテンプレート16に含まれる各パターンとを比較した後、エッジ検出ウィンドウ22の位置を、左上角に設定したエッジ検出ウィンドウ22から下方向に、予め設定した画素数だけずらすように変更する。このようにエッジ検出ウィンドウ22の位置を探索ウィンドウ20内の画像の右下角に至るまで順次変更しながら、探索ウィンドウ20内の画像全体について、エッジ検出ウィンドウ22内の各画素における白黒2値のパターンと、テンプレート16に含まれる各パターンとを比較し、探索ウィンドウ20内の標識候補の中心座標を推定する。
その後、標識判定部6は、探索ウィンドウ20の中心座標に対応するカウンタが所定数rを超えている場合、即ち探索ウィンドウ20内の標識候補の中心座標が探索ウィンドウ20の中心座標と一致する場合に、探索ウィンドウ20内に円形の標識の画像が含まれていると判定する。
【0060】
次に、円形判定処理の具体的な処理を説明する。
図10に示すように、円形判定処理が開始されると、ステップS51において、白黒2値化部14は、所定の2値化フィルタを使用して探索ウィンドウ20内の画像を白黒2値化する。
【0061】
次に、ステップS52に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像全体について、エッジ検出ウィンドウ22内の各画素における白黒2値のパターンと、テンプレート16に含まれる各パターンとを比較したか否かを判定する。
【0062】
その結果、探索ウィンドウ20内の画像全体について、エッジ検出ウィンドウ22内の各画素における白黒2値のパターンと、テンプレート16に含まれる各パターンとを比較していない場合、ステップS53に進み、画像抽出部10は、白黒2値化された探索ウィンドウ20内の画像からその時点で設定されている位置のエッジ検出ウィンドウ22内の画像を抽出する。
【0063】
次に、ステップS54に進み、標識判定部6は、抽出したエッジ検出ウィンドウ22内の画像の各画素における白黒2値のパターンと、テンプレート16に含まれる各パターンのうちの何れかとが一致するか否かを判定する。
【0064】
その結果、エッジ検出ウィンドウ22内の画像の各画素における白黒2値のパターンと、テンプレート16に含まれる各パターンのうちの何れかとが一致した場合、ステップS55に進み、標識判定部6は、エッジ検出ウィンドウ22の位置と、一致したパターンに対応付けて記憶部8に記憶されている方向及び距離とに基づき、探索ウィンドウ20内の標識候補の中心座標を推定し、その中心座標に対応するカウンタを1加算する。
【0065】
例えば、一致したパターンが
図9(b)のパターンAである場合、エッジ検出ウィンドウ22が標識の縁取りの内周縁の上端に重なっている可能性が考えられるため、エッジ検出ウィンドウ22の位置から標識の中心に向かう方向は下方向となっている。また、これに対応する距離は、標識の縁取りの内周縁の半径R
innerである。
この場合、
図9(c)のパターンBも同じく一致する。このパターンの場合には、エッジ検出ウィンドウ22が標識の外周縁の下端に重なっている可能性が考えられるため、エッジ検出ウィンドウ22の位置から標識の中心に向かう方向は上方向となっている。また、これに対応する距離は、標識の外周縁の半径R
outerである。
【0066】
ステップS54において、エッジ検出ウィンドウ22内の画像の各画素における白黒2値のパターンと、テンプレート16に含まれる各パターンとが一致しなかった場合、又はステップS55の後、ステップS56に進み、標識判定部6は、エッジ検出ウィンドウ22の位置を変更する。
以降、ステップS52において、探索ウィンドウ20内の画像全体について、エッジ検出ウィンドウ22内の各画素における白黒2値のパターンと、テンプレート16に含まれる各パターンとを比較したと判定されるまで、ステップS52からS56を繰り返す。
【0067】
また、ステップS52において、探索ウィンドウ20内の画像全体について、エッジ検出ウィンドウ22内の各画素における白黒2値のパターンと、テンプレート16に含まれる各パターンとを比較した場合、ステップS57に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像の中心座標に対応するカウンタが所定数rを超えているか否かを判定する。
【0068】
その結果、探索ウィンドウ20内の画像の中心座標に対応するカウンタが所定数rを超えている場合、ステップS58に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識であると判定する。
一方、探索ウィンドウ20内の画像の中心座標に対応するカウンタが所定数rを超えていない(r以下である)場合、ステップS59に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識ではないと判定する。
【0069】
次に、本発明の実施形態のさらなる変形例を説明する。
上述した実施形態の縁判定処理においては、
図4に示したように、ステップS22において算出した輝度差D
1が所定値m以上であり、且つ、輝度差D
1とその他の輝度差D
i(i=2,…,8)との差が所定の範囲(上述の実施形態においては±n)内である場合に、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であると判定するが、これとは異なる条件により、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であるか否かを判定してもよい。
【0070】
図11は、本発明の実施形態の第1変形例による縁判定処理のフローチャートである。
図11の各ステップのうちステップS71及びS72は、
図4のステップS21及びS22の同様であるので説明を省略する。
ステップS73において標識判定部6は、ステップS72において算出した各輝度差D
i(i=1,…,8)の絶対値|D
i|が所定値m以上か否かを判定する。
その結果、各輝度差D
iの絶対値が所定値m以上である場合、ステップS74に進み、標識判定部6は、隣接する内側判定枠内における抽出画像の輝度差の絶対値|I(W
i)−I(W
i+1)|及び隣接する外側判定枠内における抽出画像の輝度差の絶対値|I(B
i)−I(B
i+1)|が所定値n以下か否かを判定する。
その結果、|I(W
i)−I(W
i+1)|及び|I(B
i)−I(B
i+1)|が所定値n以下である場合、ステップS75に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であると判定する。
一方、ステップS73において|D
i|が所定値m以上ではない(m未満である)場合、又はステップS74において|I(W
i)−I(W
i+1)|若しくは|I(B
i)−I(B
i+1)|が所定値n以下ではない(nより大きい)場合、ステップS76に進み、標識判定部6は、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補ではないと判定する。
【0071】
図12は、本発明の実施形態の第2変形例による縁判定処理において縁取りに相当する画像が探索ウィンドウ20内に存在するか否かを判定するために使用される判定枠を含む探索ウィンドウ20を示す図である。
図12に示すように、第2変形例による外側判定枠は、正方形の探索ウィンドウ20の各辺毎に1枠ずつ内接するように、4枠配置される(B
1,B
2,B
3,B
4)。
また、第2変形例による内側判定枠は、各外側判定枠の内側(即ち探索ウィンドウ20の中心側)に1枠ずつ隣接するように、4枠配置される(W
1,W
2,W
3,W
4)。
【0072】
輝度差算出部12は、外側判定枠内における抽出画像の輝度I(B
i)と、外側判定枠の内側に隣接するように配置された内側判定枠内における抽出画像の輝度I(W
i)との輝度差D
i=I(W
i)−I(B
i) (i=1,…,4)を算出する。標識判定部6は、算出した各輝度差D
iが所定値以上である場合に、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であると判定する。あるいは、標識判定部6は、算出した各輝度差D
iのうち3つが所定値以上である場合に、探索ウィンドウ20内の画像が標識候補であると判定するようにしてもよい。
【0073】
あるいは、探索ウィンドウ20の辺に沿って相互に隣接する3枠又は4枠の外側判定枠の組が、探索ウィンドウ20の各辺毎に4組配置される(即ち、合計12枠又は16枠の外側判定枠が配置される)と共に、外側判定枠の各組に沿って相互に隣接する3枠又は4枠の内側判定枠の組が、外側判定枠の内側に隣接するように、外側判定枠の各組毎に4組配置される(即ち、合計12枠又は16枠の内側判定枠が配置される)ようにしてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態の文字領域判定処理においては、内側判定枠によって囲まれるほぼ正方形の領域を2行2列に分割した4つの文字領域判定枠内における抽出画像の輝度I(R
j)と、外側判定枠内の輝度I(B
i)又は内側判定枠内の輝度I(W
i)とに基づき、縁判定処理において判定された標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が、文字領域であるか否かを判定するが、これとは異なる基準により、標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が文字領域であるか否かを判定してもよい。
【0075】
図13(a)及び
図13(b)は、本発明の実施形態の第3変形例による文字領域判定処理において、標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が文字領域であるか否かを判定するために使用される判定枠を含む探索ウィンドウ20を示す図である。
例えば
図13(a)に示すように、内側判定枠W
1とW
3との間に、これらの内側判定枠W
1,W
3と平行に文字領域判定枠B
5を設ける。あるいは、
図13(b)に示すように、内側判定枠W
2とW
4との間に、これらの内側判定枠W
2,W
4と平行に文字領域判定枠B
5を設ける。
図13(a)の例においては、標識判定部6は、内側判定枠W
1,W
3の輝度I(W
i) (i=1,3)と、文字領域判定枠B
5の輝度I(B
5)とを比較する。探索ウィンドウ20内の画像が固定標識候補である場合には、I(W
i)>I(B
5)が成立する場合に、標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が文字領域であると判定する。また、探索ウィンドウ20内の画像が電光標識候補である場合には、I(W
i)<I(B
5)が成立する場合に、標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が文字領域であると判定する。
同様に、
図13(b)の例においては、標識判定部6は、内側判定枠W
2,W
4の輝度I(W
i)(i=2,4)と、文字領域判定枠B
5の輝度I(B
5)とを比較する。探索ウィンドウ20内の画像が固定標識候補である場合には、I(W
i)>I(B
5)が成立する場合に、標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が文字領域であると判定する。また、探索ウィンドウ20内の画像が電光標識候補である場合には、I(W
i)<I(B
5)が成立する場合に、標識の縁取りに相当する画像の内側の領域が文字領域であると判定する。
【0076】
また、上述した実施形態においては、円形判定処理のステップS51において、白黒2値化部14が探索ウィンドウ20内の画像を白黒2値化すると説明したが、標識認識処理のステップS1においてカメラ2が車両前方を撮影し、撮影した画像データを画像処理部4に出力した後、この画像を白黒2値化し、白黒2値化した画像データを用いて以降の各処理(即ち、縁判定処理、文字領域判定処理、及び円形判定処理)を行うようにしてもよい。
【0077】
次に、上述した本発明の実施形態及び本発明の実施形態の変形例による車両用標識認識装置1の効果を説明する。
【0078】
まず、車両用標識認識装置1の画像抽出部10は、カメラ2により撮影された画像18から所定の大きさの探索ウィンドウ20内の抽出画像を抽出し、輝度差算出部12は、探索ウィンドウ20内に包含される仮想円の円周に沿ってこの円周の外側に配置された外側判定枠内における抽出画像の輝度と、外側判定枠に隣接して円周の内側に配置された内側判定枠内における抽出画像の輝度との輝度差を算出し、標識判定部6は、輝度差算出部12により算出された輝度差が所定値以上の場合に、探索ウィンドウ20内に標識の画像が含まれていると判定するので、標識の外周に沿った縁取りと他の部分(縁取りによって囲まれる領域又は標識の背景)との輝度差に基づいて標識を認識することができる。即ち、標識が固定標識か電光標識かに関わらず、共通の処理によって標識の認識を行うことができるので、処理負担を増大させることなく、電光標識及び固定標識のどちらも認識することができる。
【0079】
また、輝度差算出部12は、仮想円の円周に沿って配置された4組又は8組の外側判定枠と内側判定枠との各組について、抽出画像の外側判定枠内における輝度と内側判定枠内における輝度との輝度差を算出し、標識判定部6は、輝度差算出部12により算出された各輝度差のうち少なくとも1つが所定値以上の場合に、探索ウィンドウ20内に標識の画像が含まれていると判定するので、街路樹や電柱等の障害物の画像が標識の画像の一部に重複している場合においても、これらの障害物が重複していない範囲における標識の外周に沿った縁取りと他の部分との輝度差に基づいて確実に標識の認識を行うことができる。
【0080】
また、標識判定部6は、輝度差算出部12により算出された各輝度差のうち何れか1つの輝度差が所定値以上であり、且つこの輝度差とその他の輝度差との差が所定の範囲内である場合に、探索ウィンドウ20内に標識の画像が含まれていると判定するので、探索ウィンドウ20内の画像が標識の外周に沿った縁取りに相当する画像か否かを確実に判別することができ、一層確実に標識の認識を行うことができる。
【0081】
また、標識判定部6は、内側判定枠によって囲まれる文字領域判定枠内における抽出画像の輝度が、内側判定枠内における抽出画像の輝度以下である場合、探索ウィンドウ20内に固定標識の画像が含まれていると判定し、文字領域判定枠内における抽出画像の輝度が、内側判定枠内における抽出画像の輝度以下ではない場合、探索ウィンドウ20内に電光標識の画像が含まれていると判定するので、固定標識と電光標識とを容易且つ確実に判別することができる。
【0082】
また、記憶部8は、エッジ検出ウィンドウ22が標識の縁取りの内周縁に重なった場合にエッジ検出ウィンドウ22内の各画素が取りうる白黒2値のパターンと、エッジ検出ウィンドウ22が標識の外周縁に重なった場合にエッジ検出ウィンドウ22内の各画素が取りうる白黒2値のパターンと、各パターンが検出された場合におけるエッジ検出ウィンドウ22の位置から標識の中心に向かう方向及び距離とを記憶し、標識判定部6は、エッジ検出ウィンドウ22内の画像の各画素における白黒2値のパターンと、記憶部8に記憶されている各パターンの何れかとが一致した場合、エッジ検出ウィンドウ22の位置と、一致したパターンに対応付けて記憶部8に記憶されている方向及び距離とに基づき、探索ウィンドウ20内の標識画像の中心座標を推定し、推定された中心座標と探索ウィンドウ20内の画像の中心座標とが一致する場合、探索ウィンドウ20内に標識の画像が含まれていると判定するので、円形の標識を容易且つ確実に認識することができる。