特許第5924549号(P5924549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5924549太陽電池モジュールを製造するための方法及び装置並びに太陽電池モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924549
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールを製造するための方法及び装置並びに太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/18 20060101AFI20160516BHJP
   H01L 31/048 20140101ALI20160516BHJP
【FI】
   H01L31/04 424
   H01L31/04 560
   H01L31/04 460
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-513683(P2013-513683)
(86)(22)【出願日】2011年6月9日
(65)【公表番号】特表2013-529395(P2013-529395A)
(43)【公表日】2013年7月18日
(86)【国際出願番号】EP2011059550
(87)【国際公開番号】WO2011154472
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2014年4月3日
(31)【優先権主張番号】10165532.2
(32)【優先日】2010年6月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512283760
【氏名又は名称】ソーラーウエイブ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ラッソン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】スケレリド,ベングト
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04663829(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0073978(US,A1)
【文献】 特開平07−226528(JP,A)
【文献】 特開昭62−088372(JP,A)
【文献】 特開2007−273425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/18 − 31/20
H01L 31/04 − 31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの太陽電池モジュールの連続フィルムを製造するための方法であって、
以下の順序で実施される次のステップ、すなわち、
a)連続的なループで移動されるベルト(1)の形態の代理基板に光透過性の剥離層(9)を形成する材料を蒸着するステップと、
b)前記剥離層に太陽電池フィルムを形成する層(13、15、16、19)を蒸着するステップと、
c)前記太陽電池フィルムに第1の保護プラスチック層(26)を適用するステップと、
d)少なくとも、前記剥離層(9)と、前記太陽電池フィルムと、前記太陽電池フィルムに取り付けられた前記第1の保護プラスチック層とを含むフィルムを前記ベルトから分離するステップと、
e)前記第1の保護プラスチック層の反対側に分離された前記フィルムの側面に第2の保護プラスチック層(35)を適用するステップとを含み、
ステップd)が、ステップc)の後に又はステップc)と関連して実施される方法。
【請求項2】
ステップa)で、前記剥離層(9)が、≦0.2μmの平均表面粗さを有する鋼製ベルトのようなベルト(1)に蒸着されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ベルト(1)が、再び代理基板として作用するために、前記分離ステップd)を通過して、ステップa)を実施するために前記ループに沿ってスタートの位置に戻る時に洗浄されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)で、ステップd)のフィルムの前記分離を容易にするために適した剥離層材料が前記ベルトに蒸着されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)で、SiOが前記ベルトに蒸着され、前記剥離層(9)の構造をガラス状に変換する程度に十分な500℃〜700℃のような温度に加熱されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップb)で前記太陽電池フィルムの活性層(15)として蒸着されるものが、CIGS(銅インジウムガリウムセレン)又はSiであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップb)で、背部接点用の層又は前記太陽電池フィルムの前部接点用の層が前記剥離層に蒸着されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップb)において実施されるステップf)複数の太陽電池を形成するために前記太陽電池フィルムをパターン化するステップを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップb)の後、かつ、ステップc)の前に実施される、別のステップg)前記太陽電池フィルムを相互に分離された太陽電池モジュール(24)に分離するステップを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップc)で、前記第1の保護プラスチック層(26)が、前記第1の保護プラスチック層を前記太陽電池フィルムに接着させるために、プラスチックフォイルを前記フィルムにプレスする及び/又は前記プラスチックフォイルを加熱する及び/又は接着剤を前記プラスチックフォイルに適用することによって前記太陽電池フィルムに適用されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップd)で、前記フィルムが圧力及び/又は圧縮空気及び/又は熱を受け、及び/又は前記分離を達成するために前記ベルトの前記ループが方向転換されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップe)の後に実施されるステップh)少なくとも1つの太陽電池モジュールの前記フィルムをローラのようなキャリア(40)に巻き取るステップを含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの太陽電池モジュールの連続フィルムを製造するための方法、このような方法を実施することによって製造される太陽電池モジュール、ならびに少なくとも1つの太陽電池モジュールの連続フィルムを連続的に製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールを製造するための公知の方法の共通の問題は、それらの方法が実施するには高価であるか、あるいはさもなければ太陽電池モジュールの製造コストの結果、その太陽エネルギー発生技術が他のより成熟したエネルギー発生技術と成功裏に競争することを困難にすることである。
【0003】
太陽電池モジュールの1つの高価な構成要素は、活性層及び前部と後部の接点を含む太陽電池フィルムのいくぶんか厚いキャリアであり得る。この厚いキャリアは大部分ガラスから製造される。
【0004】
はるかに薄いキャリアを有する太陽電池モジュールの製造を可能にする太陽電池モジュールの連続フィルムを製造するための方法は、キャリアが薄いプラスチックフォイルであり得る米国特許第4663828号によって公知である。同様の方法が米国特許第2006/0073978A1号によっても公知である。
【0005】
しかし、当然、エネルギー源としての太陽エネルギーをより魅力的にするために、このような方法を改善するための進行中の試みがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、このような既知の方法に関し、少なくともある観点で改良される冒頭に規定した種類の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明に従って、以下の順序で実施される次のステップ、すなわち、
a)連続的なループで移動されるベルトの形態の代理基板に剥離層を形成する材料を蒸着するステップと、
b)前記剥離層に太陽電池フィルムを形成する層を蒸着するステップと、
c)前記太陽電池フィルムに第1の保護プラスチック層を適用するステップと、
d)少なくとも前記太陽電池フィルムと、前記太陽電池フィルムに取り付けられた前記プラスチック層とを含むフィルムを前記ベルトから分離するステップと、
e)前記第1の保護プラスチック層の反対側に分離された前記フィルムの側面に第2の保護プラスチック層を適用するステップとを含み、
ステップd)が、ステップc)の後に又はステップc)と関連して実施されるこのような方法を提供することによって達成される。
【0008】
これらのステップの組み合わせにより、少なくとも1つ、実際には、たいていは多数の太陽電池モジュールの非常に薄いフィルムを確実に製造することが可能であり、このフィルムは、太陽電池フィルムの両側の保護プラスチック層のキャリアと共に数ミリメートル又はそれ未満のオーダの厚さを有することが可能である。剥離層を形成する材料を前記代理基板に蒸着することによって、代理基板からの太陽電池フィルムの分離が容易になる。この分離は、分離前に又は分離と関連して、前記第1の保護層を太陽電池フィルムに適用するお陰で太陽電池フィルムを損傷することなく実施することが可能である。「剥離層」は、本明細書では、単に代理基板からの太陽電池フィルムの分離を容易にするために適用され、かつ最終的な太陽電池フィルム製品の操作に関連する部分を形成しない層と解釈されることが指摘される。
【0009】
本発明の実施形態によれば、前記剥離層は、ステップa)で、≦0.2μm、≦0.1μm又は≦0.05μmの平均表面粗さを有する鋼製ベルトのようなベルトに蒸着される。代理基板のような滑らかなベルトの使用は、剥離層材料が、ベルトに対して弱い接触を行い、前記分離を容易にしつつベルトに蒸着することが可能であることを意味する。代理基板としての鋼製ベルトの使用は、前記層蒸着の間の高温の使用を可能にし、このことは方法の最終結果にプラスの影響を有する。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、前記ベルトは、再び代理基板として作用するために、分離ステップd)を通過し、ステップa)を実施するために前記ループに沿って位置に戻った後に洗浄される。このような洗浄は、剥離層が分離ステップで完全にベルトから除去されるとしても有利である。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、ステップa)で、ステップd)のフィルムの前記分離を容易にするために適した剥離層材料がベルトに蒸着される。このように、このような性質を有する剥離層用の材料の選択が有利である。この性質は、前記ベルトのために使用される材料に対する弱い付着力、分離のための温度変化の使用を可能にするためにベルト材料とは実質的に異なる熱膨張係数等を含み得る。
【0012】
本発明の他の実施形態によれば、SiOがステップa)で前記ベルトに蒸着され、前記剥離層の構造をガラス状に変換する程度に十分な500℃〜700℃のような温度に加熱される。剥離層材料としての二酸化ケイ素の使用及び前記変換用の温度を超えて剥離層材料を加熱することにより、前記ベルト、特に前記鋼製ベルトからの分離が容易な非常に面一な層が得られることが判明している。
【0013】
本発明の他の実施形態によれば、ステップb)で前記太陽電池フィルムの活性層として蒸着されるものは、CIGS(銅インジウムガリウムセレン)又はSiである。
【0014】
本発明の他の実施形態によれば、背部接点用の層又は太陽電池フィルムの前部接点用の層は、ステップb)で前記剥離層に蒸着され、太陽電池フィルムの前部接点用の層の場合、剥離層の材料が光透過性でない場合に剥離層がステップd)で前記前部接点から除去される。したがって、太陽電池モジュールの製造中に背部接点及び前部接点をベルトに最も近くに蒸着させることが共に可能であるが、前部接点の場合、剥離層が光透過性でない材料からなる場合、剥離層を除去しなければならない。しかし、剥離層材料が光透過性であり、前部接点に残される場合、反射防止特性を太陽電池モジュールに設けることによって太陽電池モジュールの効率を高めることさえ可能である。
【0015】
本発明の他の実施形態によれば、本方法は、複数の太陽電池を形成するために太陽電池フィルムをパターン化する上部接点形成層を除いて、前記太陽電池フィルムを形成するすべての層を蒸着した後に前記ステップb)内で実施されるステップf)を含む。前記ベルトは、例えば数メートルのオーダのかなりの幅を有することが可能であり、このような寸法を有する太陽電池は、当然、十分に効率的でなく、この結果、直列に接続される好ましくはストライプの形態の複数の太陽電池がその代わりにこのように製造される。
【0016】
本発明の他の実施形態によれば、本方法は、ステップb)の後にまた前記太陽電池フィルムを相互に分離された太陽電池モジュールに分割するステップc)の前に実施される別のステップg)を含む。このように、各々が複数の太陽電池からなる複数の太陽電池モジュールが形成される。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、前記第1の保護プラスチック層は、ステップc)で、前記保護プラスチック層を前記太陽電池に接着させるために、プラスチックフォイルを前記フィルムにプレスする及び/又は前記プラスチックフォイルを加熱する及び/又は接着剤を前記プラスチックフォイルに適用することによって前記太陽電池フィルムに適用される。これらは、第1の保護プラスチック層を太陽電池フィルムに適用するために行われる好ましい措置である。
【0018】
本発明の他の実施形態によれば、前記フィルムは、ステップd)で、圧力及び/又は圧縮空気及び/又は熱を受け、及び/又は前記分離を達成するために前記ベルトのループが方向転換される。
【0019】
本発明の他の実施形態によれば、層が蒸着された前記ベルトは、ステップe)で、例えば液体浴を通して、前記剥離層を溶解する材料と接触させられる。前記剥離層のために使用される材料に応じて、これは、前記ベルトから前記フィルムを分離する有利な方法であり得る。
【0020】
本発明の他の実施形態によれば、本方法は、少なくとも1つの太陽電池モジュールの前記フィルムをローラのようなキャリアに巻き取るステップe)の後に実施されるステップh)を含む。したがって、前記ローラから切断される太陽電池モジュールの供給は、このようにして達成し得る。同様に、前記ローラに巻き取られた材料が1つの極めて長い太陽電池モジュールを形成することが可能であり、この結果、任意の長さの太陽電池モジュールを前記フィルムから切断し得る。
【0021】
本発明はまた、本発明による方法を実施することによって製造される太陽電池モジュールに関する。このような太陽電池モジュールの特に低コストに関する利点が、本発明による方法の上記の説明から明らかに理解される。
【0022】
本発明の他の実施形態によれば、前記太陽電池モジュールは、≦5mm、50μm〜2mm、50μm〜1mm又は50μm〜200μmの全厚を有する。このような極めて薄い太陽電池モジュールは、様々な設計の表面形状に容易に適応可能であり、この結果、例えば車両の屋根に取り付けることが可能である。
【0023】
本発明はまた、添付の独立した装置クレームに従って少なくとも1つの太陽電池モジュールの連続フィルムを連続的に製造するための装置に関する。このような装置は、競合コストで高品質の太陽電池モジュールを製造するために使用することが可能である。
【0024】
本発明のさらなる利点ならびに有利な特徴は、本発明の実施形態の次の説明から明らかになるであろう。
【0025】
添付図面を参照して、以下に、実施例として引用される本発明の実施形態の特定の説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態による少なくとも1つの太陽電池モジュールの連続フィルムを連続的に製造するための装置を示した非常に概略的な図面であり、本発明の異なる実施形態に従って少なくとも1つの太陽電池モジュールの連続フィルムを製造するための異なる方法ステップを説明するために使用することが可能である。
図2】本発明による方法のステップb)を実施した後の層が適用されたベルトの一部の縮尺によらない単純化した断面図である。
図3】本発明による太陽電池モジュールの層を示した図2に対応する図面である。
図4】本発明による方法で保護プラスチック層を太陽電池フィルムに適用し得るかを示した単純化した図面である。
図5】少なくとも太陽電池フィルムと、太陽電池フィルムに取り付けられた保護プラスチック層とを含むフィルムを前記ベルトから分離するステップを示した概略図である。
図6】前記分離を達成するための他の手段を示した概略図である。
図7】分離されたフィルムへの第2の保護プラスチック層の適用を示した概略図である。
図8】本発明の実施形態に従って製造されたフィルムの可能な外観を示した単純化した図面であり、フィルムはローラに巻き取られかつその上に位置する異なる寸法の太陽電池モジュールを有する。
図9】本発明による太陽電池モジュールの可能な適用を示した非常に概略的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の異なる実施形態による少なくとも1つの太陽電池モジュールの連続フィルムを製造するための方法について、本発明の実施形態による少なくとも1つの太陽電池モジュールの連続フィルムを連続的に製造するための装置の一般的構造を示した図1を参照して、同時に、このような方法の異なるステップを説明するために図2図8を参照して説明する。
【0028】
装置は、好ましくは低い平均表面粗さを有する鉄鋼からなるエンドレスベルト1と、矢印7の方向に連続的なループでベルト1を移動させるように構成された方向転換ローラ3−6の形態の手段とを備える。ベルトは、約500cmの幅及び100メートル超の長さを有することが可能である。
【0029】
ベルトは、代理基板を形成するように構成され、また前記ループに沿った経路で、剥離層9(図2参照)がベルト1に蒸着されるチャンバ8に最初に到達する。剥離層は、例えば剥離層材料をベルトに噴射するか又は前記材料の浴内にベルトを浸漬することによって蒸着することが可能である。層9の厚さは、例えば20nm〜50μmの間で変更してもよい。
【0030】
次に、ベルトと剥離層は、引き続くチャンバ10で、剥離層としての機能のためのそれらの適切な特性を得るように、それらの構造を変換するための加熱手段11によって加熱される。SiO2の場合、このことは、SiOを面一なガラス状の構造に変換する500℃〜700℃の温度に加熱することを意味し得る。
【0031】
次に、ベルトと剥離層が、背部接点13の層が剥離層に蒸着される別のチャンバ12に入る。この背部接点は、製造すべき太陽電池モジュールの陰極を形成するように設計される。この接点13に適切な材料はMoであり、PVD(物理蒸着)によって得ることが好ましい。
【0032】
ベルトは、その後にチャンバ14に入り、このチャンバで、太陽電池フィルムの活性層15がCVD(化学蒸着)のような任意の適切な蒸着技術によって前記背部接点層13に蒸着される。活性層用の材料の例は、CIGS(Cu、In、Ga及びSe)及びSiである。
【0033】
前部接点用の材料及び活性層の材料が互いに合わない場合に必要となり得るバッファ層16は、別のチャンバ17で、例えばPVD又はCVDによって活性層15に蒸着される。Cd及びZnOがバッファ層に用いることが可能な材料である。
【0034】
次に、ベルトはチャンバ18に入り、このチャンバで、チャンバ12、14と17で製造された太陽電池フィルムが、複数の太陽電池を得るためにレーザによってパターン化される。次に、光透過性の材料をバッファ層16に蒸着することによって前部接点層がチャンバ20に形成される。AlでドープされたZnOが、透明な前部接点に可能な材料である。
【0035】
次に、このように製造された太陽電池フィルムが、引き続くチャンバ21で、相互に分離した太陽電池モジュールにレーザ手段22によって切断される。しかし、太陽電池フィルム用の層は、ベルトの全面にわたって蒸着することが可能であるが、エンドレスベルトの限定領域に蒸着してもよいことが指摘される。
【0036】
図8は、チャンバ18におけるパターン化及びチャンバ21内の切断の可能な結果を示しており、このチャンバでは、各々のストライプ23は太陽電池であり、一群のストライプを形成しかつこのような他の群から分離されたいくつかの隣接するストライプは太陽電池モジュール24を形成する。異なる形状を有する太陽電池モジュールをこのようにして形成することが可能であるように見える。
【0037】
太陽電池フィルムを形成する層13、15、16と19の全厚は典型的に3〜4μmである。
【0038】
図1には、次にベルトがステーション25に導かれるかが示されており、このステーションで、第1の保護プラスチックフォイル26がベルトに供給され、供給ローラ27から送られることによって前記前部接点層19に適用され、またローラ28、29をプレスすることによって前部接点層にプレスされる。太陽電池フィルムに対する接着向上を達成するために、熱をプラスチックフォイルに加えることが可能であり、このことは図4の加熱手段30によって示されている。太陽電池フィルムに対するフォイルの適切な接着を達成するために、にかわを塗布してもよい。プラスチックフォイルの厚さは典型的に1〜100μmのオーダである。エチルビニルアセテート(EVA)、ポリイミド、フルオロポリマー又はアクリルは、透明である薄いプラスチックフォイル用の可能な材料であり、このことは、隣接する層が前部接点である場合の必要条件である。
【0039】
太陽電池フィルムの片側に取り付けられた保護プラスチックフォイルは、次に、ベルトに従い分離ステーション31内に入り、このステーションで、少なくとも前記太陽電池フィルム及びそれに取り付けられた前記プラスチックフォイルを含むフィルムがベルトから分離される。この分離が達成される方法は図5図6に示されている。図5は、ベルト1を方向転換して、プラスチックフォイルを有する太陽電池フィルムに牽引力を下向きに加えることによって、前記フィルムがベルトから如何に分離されるかを示している。このことは、前記分離を促進するために領域32に圧縮空気を加えることと組み合わせてもよい。
【0040】
図6は、層が蒸着されたベルトを剥離層を溶解する材料と接触させることによって前記分離を達成する他の可能性を示している。このことは、ベルト1の方向転換と関連して、ベルトと前記層とを液体浴33を通して導くことによって達成される。代替方法は、剥離層を除去するために溶解ガスを使用することである。
【0041】
分離ステップにより、薄いプラスチックフォイルのみによって支持された太陽電池フィルムが得られる。次に、プラスチックフォイル34を有する太陽電池フィルムがステーション35(図7参照)に導かれ、このステーションで、第2の保護プラスチックフォイル35が、第1の保護プラスチックフォイルの反対側に分離された前記太陽電池フィルムの側面に適用して取り付けるために供給ローラ36から送られる。この適用は、圧力ローラ37、38及び加熱手段39を使用することによってステーション25で達成される。フォイル35は、太陽電池フィルムの裏側に位置しかつ太陽電池フィルムの光透明性に影響を及ぼさない場合、フォイル26よりも厚くてもよく、また透明である必要はまったくない。
【0042】
このように製造された太陽電池モジュールの連続フィルムは、図8に示した外観又は他の任意の外観を有することが可能であり、次に、ローラの形態のキャリア40に巻き取られ、このキャリアで、前記フィルムを延伸して、ローラ40に巻き付けるシステムによってこの巻き取りが制御される。ローラに巻き取られる太陽電池モジュールフィルムの長さは、数百メートルであり得る。
【0043】
エンドレスベルトは、前記方向転換用のステーション31の後にループに沿って、洗浄ステーション41を通過し、このステーションで、おそらくは剥離層材料の残部又は他の廃棄物がベルトから除去され、この結果、ベルトは、代理基板として再び機能するためにチャンバ8に戻るときに完全に清浄である。ステーション41の洗浄手段は、例えば超音波を使用するか又は前記洗浄用のベルトに対して機械的に又は化学的に作用することが可能である。
【0044】
十分な取扱い強度を有し、同時に太陽電池モジュールフィルムが適用される異なる形状の対象物に対応するように適応可能な薄い太陽電池モジュールフィルムは、本発明による方法によって製造することが可能である。図9は、このような薄い太陽電池モジュール50が車両51のルーフの形状に従いつつ前記ルーフに固定し得るかを示している。このような太陽電池モジュールによって生成される太陽エネルギーは、例えば車両のバッテリーからエネルギーを排出することなしに駐車車両の空調装置を操作するために使用可能であり、この結果、車両が直接日光にさらされていたとしても、車両の空間は快適な温度を有することが可能である。本発明に従って製造される太陽電池モジュールの可能な用途の数には限界はない。建物、建築材料及び電気器具におけるこのようなモジュールの用途がいくつかの例としてあげられる。
【0045】
当然、本発明は、上述の実施形態に決して制限されず、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の範囲から逸脱することなしに、本発明の修正に対する多くの可能性が当業者には明白であろう。
【0046】
第1の保護プラスチック層は、分離ステーション31の下部ローラを通してベルトの上に巻かれるように、ベルトからのフィルムの分離と関連して太陽電池フィルムに適用することが可能である。
【0047】
太陽電池フィルム層に適用した後に次に固化される溶融形態の材料を適用することによって、保護プラスチック層を適用することも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9