【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、新規なホウ素含有化合物、及び、種々のホウ素含有化合物の新たな製造方法について種々検討したところ、ホウ素含有化合物を安定的な化合物とするためには、ホウ素原子に対して窒素原子が配位した構造を有するようにすればよいことに着目した。そして、ホウ素原子に臭素原子又はヨウ素原子が結合し、ホウ素原子と窒素原子とを有する骨格中に二重結合を有し、その骨格が少なくとも2つの環構造の一部分を形成する特定構造のホウ素含有化合物が安定な化合物でありながら、HOMO、LUMOのエネルギー準位を下げることができる有用な化合物であることを見出し、上記課題を見事に解決することができることに想到した。また、構造中に窒素原子と2つの環構造とを有し、更に少なくとも1つの二重結合を有する特定の構造の化合物と、特定の構造の臭素化又はヨウ素化ホウ素含有化合物とを反応させることにより、高価なパラジウム触媒を使用することなく、ホウ素原子に臭素原子又はヨウ素原子が置換基として結合し、窒素原子がホウ素原子に配位した構造を有する種々のホウ素含有化合物を製造できることを見出した。更に、このようなホウ素含有化合物のホウ素原子に結合した臭素原子又はヨウ素原子を他の原子や原子団に変換することができ、それによって従来法では製造困難であった様々な構造のホウ素含有化合物を製造することができること、及び、このようにして得られるホウ素含有化合物を用いることで、種々の構造をもつホウ素含有重合体を製造することができることを見出し、本発明に到達したものである。
また、HOILED素子等の分野においては、これまで検討されてきたフルオレン、ポリフルオレンに代わって、LUMOを下げる手段として分子内にホウ素原子を導入することが考えられるが、本発明者等は、実際にホウ素原子を導入することによりフルオレンなどと等電子構造でLUMOの低い疑似フルオレン化合物群を合成できることも見出した。そして、それらの化合物の発光量子収率の値が機能性電子素子素材としての適性に関係することを見出し、その範囲を特定することによって、安定した発光特性を得ることができるようになり、有機EL素子等の発光層を構成する発光材料として、特にHOILED素子の発光層を構成する発光材料として特に好適に用いることのできるホウ素含有化合物となることに想到した。
このように、本発明の好ましい形態の1つは、特定の構造を有するホウ素含有化合物のうち、発光量子収率が特定の範囲である化合物であり、また、本発明の好ましい形態の1つは、特定の構造を有するホウ素含有化合物のうち、特定の官能基(置換基)として直鎖状若しくは分岐状炭化水素基又は脂環式炭化水素基を有する化合物である。なお、これら2つの好ましい形態の両方の構成要素を持つ形態であることも好ましい。
【0013】
すなわち本発明は、ホウ素原子及び二重結合を有するホウ素含有化合物を含む発光材料であって、上記ホウ素含有化合物は、下記式(1);
【0014】
【化1】
【0015】
(式中、点線の円弧は、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表す。ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分は、少なくとも1対の原子が二重結合で結ばれることを表し、該二重結合が環構造と共役していてもよい。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。X
1及びX
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。R
1及びR
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は1価の置換基を表す。)で表されることを特徴とする発光材料である。
以下に本発明を詳述する。
【0016】
本発明の発光材料は、下記式(1);
【0017】
【化2】
【0018】
(式中、点線の円弧は、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表す。ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分は、少なくとも1対の原子が二重結合で結ばれることを表し、該二重結合が環構造と共役していてもよい。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。X
1及びX
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。R
1及びR
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は1価の置換基を表す。)で表される構造を有するホウ素含有化合物を含む。
なお、本発明の発光材料は、有機EL素子等の発光層を構成する発光材料等として好適に用いることができるものであり、発光体のホスト材料として用いられるものではなく、それ自体が発光体として用いられるものである。
【0019】
上記式(1)において、点線の円弧は、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表す。すなわち、上記式(1)で表されるホウ素含有化合物が構造中に少なくとも2つ環構造を有し、上記式(1)において、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分が、該環構造の一部として含まれていることを表している。
上記式(1)において、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分は、少なくとも1対の原子が二重結合で結ばれることを表し、該二重結合が環構造と共役していてもよいことを表す。式(1)で表される化合物のうち、二重結合が環構造と共役するものとしては、例えば、下記式(2−1)〜(2−4)のような構造のものが挙げられる。
【0020】
【化3】
【0021】
上記式(1)において、窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。ここで、配位しているとは、窒素原子がホウ素原子に対して配位子と同様に作用して化学的に影響していることを意味し、配位結合(共有結合)となっていてもよく、配位結合を形成していなくてもよい。好ましくは、配位結合となっていることである。
上記式(1)において、X
1及びX
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。すなわち、X
1及びX
2が水素原子である場合には、式(1)で表されるホウ素含有化合物の構造中、X
1及びX
2を有する2つの環構造は置換基を有していないことを示し、X
1及び/又はX
2が1価の置換基である場合には、該2つの環構造のいずれか、又は、いずれも置換基を有することとなる。その場合には、1つの環構造の有する置換基の数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
なお、本明細書中において置換基とは、炭素を含む有機基と、ハロゲン原子、ヒドロキシ基等の炭素を含まない基とを含めた基を意味している。
【0022】
本発明におけるホウ素含有化合物は、LUMOのエネルギー準位が低いために、有機EL素子の材料やN型半導体の材料として好適に用いることができるものであるが、そのような用途として用いられるホウ素含有化合物のLUMOのエネルギー準位としては、例えば、3.0eV〜5.2eVであることが好ましい。そのような範囲であると、有機EL素子やN型半導体の材料として用いた場合に、充分に性能を発揮することができる。LUMOのエネルギー準位としてより好ましくは、3.2eV〜5.1eVであり、更に好ましくは、3.4eV〜5.0eVである。特に好ましくは、3.6eV〜5.0eVである。
なお、LUMOのエネルギー準位は、例えば、後述する本願明細書の実施例及び比較例において行っているようにして求めることが好適である。
【0023】
上記式(1)において、R
1及びR
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は1価の置換基を表す。該R
1及びR
2は、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好適である。該R
1及びR
2としては、特に制限されないが、例えば、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、複素環基、アルキル基、アルコキシ基、アリールアルコキシ基、シリル基、ヒドロキシ基、ボリルオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、R
1とR
2とが結合してなる2,2’−ビフェニル基、置換基を有していてもよいオリゴアリール基、1価のオリゴ複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アゾ基、スタニル基、ホスフィノ基、シリルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基;メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基等のアルキルスルホネート基;ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基等のアリールスルホネート基;ベンジルスルホネート基等のアリールアルキルスルホネート基;下記式(3−1)〜(3−4)で表される基等のボリル基;下記式(3−5)〜(3−6)で表される基等のスルホニウムメチル基;下記式(3−7)で表される基等のホスホニウムメチル基;下記式(3−8)で表される基等のホスホネートメチル基;アリールスルホネート基;アルデヒド基;アセトニトリル基;下記式(3−9)で表されるハロゲン化マグネシウム等が挙げられる。
なお、式中、Meは、メチル基を表す。Etは、エチル基を表す。Xは、ハロゲン原子を表す。R´は、アルキル基、アリール基、又は、アリールアルキル基を表す。
【0024】
【化4】
【0025】
上記アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基、インデニル基、インダニル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基が好ましい。
上記複素環基としては、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、ピペリジニル基、ピペリジノ基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。これらの中でも、ピリジル基、チエニル基が好ましい。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、これらの中でも臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
【0026】
上記アルキル基としては、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状炭化水素基、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基が挙げられる。すなわち、式(1)で表されるホウ素含有化合物を含む発光材料において、式(1)におけるR
1及びR
2が、同一若しくは異なって、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状炭化水素基、又は、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記炭素数1〜30の直鎖状炭化水素基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等が挙げられる。
上記炭素数1〜30の分岐状炭化水素基としては具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基等が挙げられる。
上記炭素数3〜30の脂環式炭化水素基としては具体的には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、これらの中でもメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、オクチル基が好ましい。より好ましくは、メチル基、エチル基、イソブチル基、オクチル基である。
【0027】
上記R
1及びR
2における置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子;塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7の環状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等の炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基;ヒドロキシ基;チオール基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜4のアルキル基を有するモノ又はジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基などのアミノ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、ブテニル基、スチリル基等の炭素数2〜8のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基、フェニルアセチニル等の炭素数2〜8のアルキニル基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基;エチニルオキシ基、フェニルアセチルオキシ基等のアルキニルオキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基、ピレニルオキシ基等のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基等のパーフルオロ基及び更に長鎖のパーフルオロ基;ジフェニルボリル基、ジメシチルボリル基、ビス(パーフルオロフェニル)ボリル基等のボリル基;アセチル基、ベンゾイル基等のカルボニル基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のカルボニルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基等のスルフィニル基;トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリフェニルシリル基等のシリル基;ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基等で置換されていてもよいフェニル基、2,6−キシリル基、メシチル基、デュリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、トルイル基、アニシル基、フルオロフェニル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、フェナンスレニル基等のアリール基;チエニル基、フリル基、シラシクロペンタジエニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、アクリジニル基、キノリル基、キノキサロイル基、フェナンスロリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピロリル基、ベンゾオキサゾリル基、ピリミジル基、イミダゾリル基等のヘテロ環基;;カルボキシル基;カルボン酸エステル;エポキシ基;イソシアノ基;シアネート基;イソシアネート基;チオシアネート基;イソチオシアネート基;カルバモイル基;N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基等のN,N−ジアルキルカルバモイル基;ホルミル基;ニトロソ基;ホルミルオキシ基;等が挙げられる。なお、これらの基は、ハロゲン原子や芳香族等で置換されていてもよく、更に、これらの基がお互いに任意の場所で結合して環を形成していてもよい。
これらの中でも、上記R
1及びR
2における1価の置換基の有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、ハロアルキル基が好ましい。より好ましくは、エチル基、イソプロピル基、オクチル基、フッ素原子、臭素原子、ビニル基、エチニル基、ジフェニルアミノ基、ジフェニルアミノフェニル基、トリフルオロメチル基である。
【0028】
上記R
1及びR
2としては、上述したものの中でも、水素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、n−オクチル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,2’−ビフェニル基、スチリル基、ジフェニルアミノフェニル基がより好ましい。更に好ましくは、臭素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、n−オクチル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,2’−ビフェニル基、スチリル基、ジフェニルアミノフェニル基であり、特に好ましくは、臭素原子、イソプロピル基、イソブチル基、n−オクチル基、フェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,2’−ビフェニル基、スチリル基、ジフェニルアミノフェニル基である。
【0029】
上記式(1)において、X
1及びX
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は環構造の置換基となる1価の置換基を表す。該1価の置換基としては特に制限されないが、上記R
1及びR
2と同様のものが挙げられる。
【0030】
これらの中でも、X
1及びX
2としては、水素原子;ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アゾ基、アシル基、アリル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、シリル基、スタニル基、ボリル基、ホスフィノ基、シリルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基等の反応性基;炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基又は該反応性基で置換された炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基又は該反応性基で置換された炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基;アリール基又は該反応性基で置換されたアリール基;オリゴアリール基又は該反応性基で置換されたオリゴアリール基;1価の複素環基又は該反応性基で置換された1価の複素環基;1価のオリゴ複素環基又は該反応性基で置換された1価のオリゴ複素環基;アルキルチオ基;アリールオキシ基;アリールチオ基;アリールアルキル基;アリールアルコキシ基;アリールアルキルチオ基;アルケニル基又は該反応性基で置換されたアルケニル基;アルキニル基又は該反応性基で置換されたアルキニル基が好ましい。より好ましくは、水素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ボリル基、アルキニル基、アルケニル基、ホルミル基、スタニル基、ホスフィノ基、アリール基又は該反応性基で置換されたアリール基、該反応性基で置換されたオリゴアリール基、ジフェニルアミノ基等のアミノ基、下記式(3−10)で表される基等の1価の複素環基又は該反応性基で置換された1価の複素環基、該反応性基で置換された1価のオリゴ複素環基、アルケニル基又は該反応性基で置換されたアルケニル基、アルキニル基又は該反応性基で置換されたアルキニル基である。
【0031】
【化5】
【0032】
また、本発明においては、上記式(1)におけるX
1及びX
2が、上述したもののうち、反応性基を有する置換基であることもまた本発明の好適な実施形態の1つである。該X
1及びX
2が、上述したもののうち、反応性基を有する置換基である場合には、そのような置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アゾ基、アシル基、アリル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、シリル基、スタニル基、ボリル基、ホスフィノ基、シリルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基等の反応性基;該反応性基で置換された炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;該反応性基で置換された炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基;該反応性基で置換されたアリール基;該反応性基で置換されたオリゴアリール基;該反応性基で置換された1価の複素環基;該反応性基で置換された1価のオリゴ複素環基;アルケニル基又は該反応性基で置換されたアルケニル基;アルキニル基又は該反応性基で置換されたアルキニル基が好ましい。より好ましくは、臭素原子、ヨウ素原子、ボリル基、ホルミル基、スタニル基、ホスフィノ基、該反応性基で置換されたアリール基、該反応性基で置換されたオリゴアリール基、該反応性基で置換された1価の複素環基、該反応性基で置換された1価のオリゴ複素環基、アルケニル基又は該反応性基で置換されたアルケニル基、アルキニル基又は該反応性基で置換されたアルキニル基である。更に好ましくは、臭素原子、ボリル基、ホルミル基、スタニル基、ホスフィノ基、該反応性基で置換されたアリール基、該反応性基で置換されたオリゴアリール基、該反応性基で置換された1価の複素環基、該反応性基で置換された1価のオリゴ複素環基、アルケニル基又は該反応性基で置換されたアルケニル基、アルキニル基又は該反応性基で置換されたアルキニル基である。
上記X
1及びX
2が反応性基を有する置換基である場合には、X
1及びX
2の有する反応性基を異なるものとし、1種のホウ素含有化合物が単独で重縮合し得る反応性基の組み合わせとなるようにするか、式(1)で表されるホウ素含有化合物を2種以上含み、これらのホウ素含有化合物が共重合し得るような反応性基の組み合わせを有するものとなるようにするか、又は、式(1)で表されるホウ素含有化合物を1種又は2種以上と反応性基を少なくとも1つ有する他の化合物とが共重合し得るような反応性基の組み合わせを有するものとなるようにすることにより、重合体の原料として好適に用いることができる。
【0033】
上記式(1)において、点線の円弧と、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部とによって形成される環構造は、環状構造であれば特に制限されないが、式(1)においてX
1が結合している環としては、例えば、ベンゼン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、チアゾール環、オキサゾール環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環が挙げられ、これらはそれぞれ、下記式(4−1)〜(4−17)で表される。これらの中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、ベンゾチオフェン環が好ましい。
【0034】
【化6】
【0035】
また、式(1)においてX
2が結合している環としては、例えば、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリミジン環、インドール環、イソインドール環、キノリン環、イソキノリン環、フェナントリジン環、チアゾール環、オキサゾール環が挙げられる。これらはそれぞれ、下記式(5−1)〜(5−14)で表される。これらの中でも、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、フェナントリジン環が好ましい。より好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環である。
【0036】
【化7】
【0037】
本発明におけるホウ素含有化合物が上記式(1)において、X
1及び/又はX
2が1価の置換基である場合、環構造に対するX
1及び/又はX
2の結合位置や結合する数は、特に制限されない。
また、X
1として環構造に少なくとも2つの1価の置換基が結合しており、該1価の置換基のうちの1つが置換基を有していてもよいボリル基であり、該1価の置換基のうちの他の1つが置換基を有していてもよいピリジル基であって、該ピリジル基の窒素原子が該ボリル基のホウ素原子に配位している形態もまた本発明の好適な実施形態の1つである。すなわち、本発明においてホウ素含有化合物が、窒素原子がホウ素原子に配位している部分を構造中に2つ以上有していることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
【0038】
本発明におけるホウ素含有化合物は、上記式(1)で表される構造を有するものであって、発光量子収率が、20〜100%であることもまた本発明の好適な実施形態の1つである。ホウ素含有化合物の発光量子収率がそのような範囲のものであると、有機EL素子やHOILED素子等における発光層を構成する発光材料として用いた場合に、充分に安定した発光を得ることが可能となる。発光量子収率としてより好ましくは、30〜100%であり、更に好ましくは、40〜100%である。特に好ましくは、50〜100%であり、最も好ましくは60〜100%である。
なお、発光量子収率は、例えば、後述する本願明細書の実施例及び比較例において行っているようにして求めることが好適である。
【0039】
上記式(1)で表される構造を有するホウ素含有化合物のうち、発光量子収率が、20%以上を満たすためには、分子間でのπ−πスタッキング相互作用を防ぐような構造が望ましい。つまり、ホウ素上を嵩高くすることで分子同士の重なり合いが軽減され、発光量子収率が20%以上の値が得られることになる。
【0040】
本発明においては、上記式(1)において、X
1及びX
2の少なくとも一方が、末端部に2つの原子が二重結合で結ばれた構造を有し、該2つの原子のうちの一方の原子で点線の円弧部分を形成する環構造と結合した構造を有するような置換基であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。すなわち、ホウ素原子及び二重結合を有するホウ素含有化合物であって、該ホウ素含有化合物は、下記式(1);
【0041】
【化8】
【0042】
(式中、点線の円弧は、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表す。ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分は、少なくとも1対の原子が二重結合で結ばれることを表し、該二重結合が環構造と共役していてもよい。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。X
1及びX
2は、同一又は異なって、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。R
1及びR
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は1価の置換基を表す。)で表され、上記X
1及びX
2の少なくとも一方は、末端部に2つの原子が二重結合で結ばれた構造を有し、該2つの原子のうちの一方の原子で点線の円弧部分を形成する環構造と結合した構造を有することを特徴とするホウ素含有化合物もまた本発明の1つである。
【0043】
上記末端部に2つの原子が二重結合で結ばれた構造を有し、該2つの原子のうちの一方の原子で点線の円弧部分を形成する環構造と結合した構造とは、すなわち、X
1及び/又はX
2を構成する原子団において、それぞれ構造の末端部は少なくとも2つ存在するが、該末端部のうち、上記式(1)において点線の円弧部分を形成する環構造と結合する末端部が、点線の円弧部分を形成する環構造と結合する原子と、該原子の隣の原子とが二重結合で結ばれた構造を有していることを意味している。そのような置換基としては、下記式(6−1)〜(6−2)で表されるような構造が挙げられる。
なお、式(6−1)〜(6−2)中、*は、式(1)において点線の円弧部分を形成する環構造と結合している原子を表している。Z
1、Z
2、Z
3及びZ
4は、同一又は異なって、Z
1とZ
2との間、及び、Z
3とZ
4との間で、それぞれ二重結合を形成することが出来る原子を表している。式(6−1)中、Y
1は、水素原子又は1価の有機基を表し、Z
2の原子価に応じてZ
2に複数個結合していてもよいことを表している。式(6−2)中、点線の円弧は、Z
3及びZ
4により形成される二重結合部分と共に環構造が形成されていることを表している。Y
2は、水素原子又は環構造の置換基となる1価の置換基を表し、式(6−2)における点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよいことを表している。
【0044】
【化9】
【0045】
上記式(6−1)〜(6−2)において、Z
1、Z
2、Z
3及びZ
4は、同一又は異なって、Z
1とZ
2との間、及び、Z
3とZ
4との間で、それぞれ二重結合を形成することが出来る原子を表しているが、炭素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子であることが好ましい。より好ましくは、炭素原子、窒素原子である。
【0046】
上記式(6−1)において、Y
1は、水素原子又は1価の有機基を表し、Z
2の原子価に応じてZ
2に複数個結合していてもよいことを表しているが、これは、例えば、Z
2が窒素原子である場合には、Y
1はZ
2に1つ結合することとなり、Z
2が炭素原子である場合には、Y
1はZ
2に2つ結合することとなる、ということを示している。Y
1が、Z
2に複数個結合している場合には、Y
1は、全て同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。上記1価の有機基としては特に制限されず、上記式(1)における、R
1及びR
2と同様のものが挙げられる。
【0047】
これらの中でも、Y
1としては、水素原子;ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アゾ基、アシル基、アリル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、シリル基、スタニル基、ボリル基、ホスフィノ基、シリルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基等の反応性基;炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基又は該反応性基で置換された炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基又は該反応性基で置換された炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基;アリール基又は該反応性基で置換されたアリール基;オリゴアリール基又は該反応性基で置換されたオリゴアリール基;1価の複素環基又は該反応性基で置換された1価の複素環基;1価のオリゴ複素環基又は該反応性基で置換された1価のオリゴ複素環基;アルキルチオ基;アリールオキシ基;アリールチオ基;アリールアルキル基;アリールアルコキシ基;アリールアルキルチオ基;アルケニル基又は該反応性基で置換されたアルケニル基;アルキニル基又は該反応性基で置換されたアルキニル基が好ましい。より好ましくは、水素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ボリル基、アルキニル基、アルケニル基、ホルミル基、スタニル基、ホスフィノ基、アリール基又は該反応性基で置換されたアリール基、該反応性基で置換されたオリゴアリール基、該反応性基で置換された1価の複素環基、該反応性基で置換された1価のオリゴ複素環基、アルケニル基又は該反応性基で置換されたアルケニル基、アルキニル基又は該反応性基で置換されたアルキニル基である。
【0048】
上記式(6−2)において、Y
2は、水素原子又は環構造の置換基となる1価の置換基を表し、式(6−2)における点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよいことを表している。
すなわち、Y
2が水素原子である場合には、式(6−2)で表される構造中、Y
2を有する環構造は置換基を有していないことを示し、Y
2が1価の置換基である場合には、該環構造は置換基を有することとなる。その場合には、該環構造の有する置換基の数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
上記1価の置換基としては上記式(1)における、X
1及びX
2と同様のものが挙げられるが、これらの中でも、上記式(3−10)で表される基、ナフチル基、フェニル基であることが特に好ましい。
【0049】
本発明においては更には、上記式(1)におけるX
1及びX
2のいずれもが、末端部に2つの原子が二重結合で結ばれた構造を有し、該2つの原子のうちの一方の原子で点線の円弧部分を形成する環構造と結合した構造を有するような置換基であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。すなわち、ホウ素原子及び二重結合を有するホウ素含有化合物であって、該ホウ素含有化合物は、下記式(1);
【0050】
【化10】
【0051】
(式中、点線の円弧は、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表す。ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分は、少なくとも1対の原子が二重結合で結ばれることを表し、該二重結合が環構造と共役していてもよい。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。X
1及びX
2は、同一又は異なって、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。R
1及びR
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は1価の置換基を表す。)で表され、上記X
1及びX
2はいずれも、末端部に2つの原子が二重結合で結ばれた構造を有し、該2つの原子のうちの一方の原子で点線の円弧部分を形成する環構造と結合した構造を有することを特徴とするホウ素含有化合物もまた本発明の1つである。そのようなホウ素含有化合物は、特に発光量子収率が高いものであるために、有機EL素子やN型半導体の材料等として特に有用なものである。
【0052】
上記式(1)においてX
1及びX
2がいずれも、末端部に2つの原子が二重結合で結ばれた構造を有し、該2つの原子のうちの一方の原子で点線の円弧部分を形成する環構造と結合した構造を有するホウ素含有化合物としては、大きくは、上記式(1)において点線の円弧部分を形成する環構造と結合している原子が構成している上記二重結合部分が、環構造を構成しない形態と、環構造の一部分を構成する形態とが挙げられ、具体的には、下記式(1´−1)〜(1´−4)の形態が挙げられる。
なお、式(1´−1)〜(1´−4)中、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印、及び、R
1及びR
2は、式(1)と同様である。式(1´−1)中、点線の円弧は、式(1)と同様である。式(1´−2)〜(1´−4)中、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と接している点線の円弧は、式(1)と同様にホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表し、また、Z
5及びZ
6が形成する二重結合部分並びに/又はZ
7及びZ
8が形成する二重結合部分と接している点線の円弧は、該当する二重結合部分と共に環構造が形成されていることを表す。Z
5〜Z
8は、同一又は異なって、上記式(6−1)〜(6−2)における、Z
1〜Z
4と同様である。Y
3及びY
4は、同一又は異なって、上記式(6−1)における、Y
1と同様である。Y
5及びY
6は、同一又は異なって、上記式(6−2)における、Y
2と同様である。
【0053】
【化11】
【0054】
これらの形態の中でも、上記式(1)において点線の円弧部分を形成する環構造と結合している原子が構成している二重結合部分が共に、環構造を構成しない形態のものであるか、又は、環構造の一部分を構成する形態のものであるか、のいずれかであるものが好ましい。すなわち、上記式(1´−1)、(1´−4)の形態であることが好ましい。
このような、上記式(1´−1)で表されるホウ素含有化合物、又は、上記式(1´−4)で表されるホウ素含有化合物もまた本発明の1つである。
【0055】
上記式(1´−1)において、点線の円弧は、式(1)と同様に、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表すが、上記式(1´−1)において、点線の円弧と、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部とによって形成される環構造は、環状構造であれば特に制限されず、式(1´−1)においてY
3を有する基が結合している環としては、式(1)におけるX
1が結合している環と同様のものが挙げられる。また、式(1´−1)においてY
4を有する基が結合している環としては、式(1)におけるX
2が結合している環と同様のものが挙げられる。
【0056】
上記式(1´−2)〜(1´−4)において、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と接している点線の円弧は、式(1)と同様にホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表し、また、Z
5及びZ
6が形成する二重結合部分並びに/又はZ
7及びZ
8が形成する二重結合部分と接している点線の円弧は、該当する二重結合部分と共に環構造が形成されていることを表す。すなわち、上記式(1´−2)〜(1´−3)で表されるホウ素含有化合物は、構造中に少なくとも3つ環構造を有し、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分、及び、1つの二重結合部分が、該環構造の一部として含まれていることを表している。また、上記式(1´−4)で表されるホウ素含有化合物は、構造中に少なくとも4つ環構造を有し、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分、及び、2つの二重結合部分が、該環構造の一部として含まれていることを表している。
【0057】
上記式(1´−2)〜(1´−4)において、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と接している点線の円弧と、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部とによって形成される環構造は、環状構造であれば特に制限されないが、Z
5及びZ
6が形成する二重結合部分を含む基が結合している環としては、式(1)におけるX
1が結合している環と同様のものが挙げられる。また、Z
7及びZ
8が形成する二重結合部分を含む基が結合している環としては、式(1)におけるX
2が結合している環と同様のものが挙げられる。
【0058】
また、上記式(1´−2)〜(1´−4)において、Z
5及びZ
6が形成する二重結合部分並びに/又はZ
7及びZ
8が形成する二重結合部分と接している点線の円弧と、該当する二重結合部分とによって形成される環構造としては、例えば、式(1)におけるX
1が結合している環、及び、式(1)におけるX
2が結合している環と同様のものが挙げられる。なお、上記式(1´−4)においては、Z
5及びZ
6が形成する二重結合部分並びにZ
7及びZ
8が形成する二重結合部分と接している点線の円弧と、該二重結合部分とによって形成される環構造が少なくとも2つ存在するが、それらは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0059】
本発明はまた、上記式(1)で表される構造を有するホウ素含有化合物を製造する方法であって、該製造方法は、下記式(I);
【0060】
【化12】
【0061】
(式中、点線の円弧は、表記の水素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表す。表記の水素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分は、少なくとも1対の原子が二重結合で結ばれることを表し、該二重結合が環構造と共役していてもよい。X
1及びX
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。)で表される化合物と、下記式(II);
【0062】
【化13】
【0063】
(式中、Qは、同一若しくは異なって、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で表される化合物とを反応させる工程を必須とするホウ素含有化合物の製造方法でもある。
本発明のホウ素含有化合物の製造方法によると、パラジウム触媒のような高価な触媒を用いることなく、比較的短い反応時間で新規なホウ素含有化合物を製造することができる。
【0064】
上記製造方法は、上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程を含むものである限り、その他の工程を含むものであってもよい。また、上記式(I)で表される化合物、上記式(II)で表される化合物とも、それぞれ1種の化合物を用いてもよく、2種以上の化合物を用いてもよい。
上記式(I)における点線の円弧は、化合物が構造中に少なくとも2つの環構造を有していることを意味する。上記式(I)におけるX
1、X
2及び環構造として好ましいものは、上記式(1)におけるX
1、X
2及び環構造と同様である。
【0065】
上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる場合、式(I)で表される化合物1モルに対して、式(II)で表される化合物を1モル〜10モル用いることが好ましい。より好ましくは、1モル〜7モルであり、工業的な面から考えても、特に1モル〜3モルを用いることが好ましい。
【0066】
上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程に用いる溶媒としては、当該反応が進行するものである限り特に制限されず、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル等のエステル類;ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルフェニルエーテル(アニソール)等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)等のグリコールエーテル(セロソルブ)類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類が好ましい。溶媒は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0067】
上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程においては、反応促進剤を用いてもよい。反応促進剤としては、エチルジイソプロピルアミン(DIPEA)、ピリジン、トリエチルアミン、DBU等のアミン系化合物が挙げられる。これらの反応促進剤は1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0068】
上記反応促進剤を用いる場合、反応促進剤の使用量としては、上記式(I)で表される化合物1モルに対して、1モル〜10モルであることが好ましい。さらに好ましくは1モル〜5モルであり、特に好ましくは、1モル〜3モルである。
【0069】
上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程は、不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。不活性ガスとしては、特に制限されず、窒素、アルゴン、ヘリウム等のいずれを用いてもよいが、窒素、アルゴンが好ましい。不活性ガスは、1種又は2種以上を用いることができる。
【0070】
上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程の反応温度は、−78℃〜100℃であることが好ましい。より好ましくは、−30℃〜80℃であり、特に好ましくは溶媒にもよるが、0℃〜50℃である。
反応圧力は、加圧、常圧、減圧のいずれであってもよいが、常圧であることが好ましい。
また、反応時間は、10分間から48時間であることが好ましい。より好ましくは、30分間〜24時間であり、特に好ましくは、工業的、実用的な側面からみても1時間から12時間である。
【0071】
上述した本発明のホウ素含有化合物の製造方法で製造されたホウ素含有化合物は、更に、下記式(III);
【0072】
【化14】
【0073】
(式中、R
1及びR
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は1価の置換基を表す。Mは、同一若しくは異なって、金属元素を表す。nは、金属元素の価数に対応するR
1及び/又はR
2の結合数を表す。)で表される金属元素含有化合物を反応させることで、上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程により得られたホウ素含有化合物のホウ素原子に結合した臭素原子又はヨウ素原子を他の置換基と入れ換えることが可能であり、これにより、ホウ素原子に結合する置換基を様々に変えたホウ素含有化合物を製造することができる。
なお、以下においては、この反応工程を脱ハロゲン化工程と記載する。
【0074】
上記脱ハロゲン化工程は、上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程により得られたホウ素含有化合物と、上記式(III)で表される金属元素含有化合物とを反応させる工程を含むものである限り、その他の工程を含むものであってもよい。また、上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程により得られたホウ素含有化合物、上記式(III)で表される金属元素含有化合物とも、それぞれ1種の化合物を用いてもよく、2種以上の化合物を用いてもよい。
【0075】
上記脱ハロゲン化工程においては、式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程により得られたホウ素含有化合物1モルに対して、上記式(III)で表される金属元素含有化合物を金属元素の価数にもよるが、0.33モル〜5モル使用することが好ましい。より好ましくは、0.67モル〜4モルであり、特に好ましくは、工業的、実用的な側面からみても1モル〜3モルである。
【0076】
上記式(III)で表される金属元素含有化合物における金属元素Mとしては、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、リチウム、銅等が挙げられる。
R
1及びR
2としては、上記式(1)で表されるホウ素含有化合物のR
1及びR
2と同様のものを表している。
上記金属元素Mがマグネシウムである場合、マグネシウムに結合したR
1、R
2の少なくとも1つは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれかであることが好ましい。すなわち、上記式(III)で表される金属元素含有化合物は、MgCl、MgBr、又は、MgIを構造中に含むことが好ましい。
また、上記金属元素Mがマグネシウムである場合、上記脱ハロゲン化工程においては、ハロゲン化金属を反応の際に添加してもよい。ハロゲン化金属を脱ハロゲン化工程における反応の際に添加することによって、金属元素Mがマグネシウムである上記式(III)で表される金属元素含有化合物を用いる場合の、脱ハロゲン化工程における反応収率を向上させることができる。
【0077】
上記ハロゲン化金属におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、上記ハロゲン化金属における金属元素としては、亜鉛、アルミニウムが挙げられる。これらの中でも、上記ハロゲン化金属としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛が好適である。
【0078】
上記式(III)で表される金属元素含有化合物としては、具体的には例えば、リチウムアルミニウムヒドリド、フェニルリチウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソプロピル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジ(4−メトキシフェニル)亜鉛、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、トリオクチルアルミニウム、フェニルマグネシウムブロミド、4−プロピルフェニルマグネシウムブロミド、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロミド等が挙げられる。これらの中でも、トリオクチルアルミニウム、ジフェニル亜鉛、フェニルマグネシウムブロミドが好ましい。
【0079】
上記脱ハロゲン化工程に用いる溶媒としては、当該反応が進行するものである限り特に制限されないが、上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程に用いる溶媒と同様のものを用いることができる。これらの中でも、トルエン、ジクロロメタン、ジエチルエーテルが好ましい。溶媒は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0080】
上記脱ハロゲン化工程は、不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。不活性ガスとしては、特に制限されず、窒素、アルゴン、ヘリウム等のいずれを用いてもよいが、窒素、アルゴンが好ましい。不活性ガスは、1種又は2種以上を用いることができる。
【0081】
上記脱ハロゲン化工程の反応温度は、−78℃〜120℃であることが好ましい。より好ましくは、−30℃〜100℃であり、特に好ましくは溶媒にもよるが、0℃〜80℃である。反応圧力は、加圧、常圧、減圧のいずれであってもよいが、常圧であることが好ましい。また、反応時間は、1分間〜24時間であることが好ましい。より好ましくは、3分間〜18時間であり、特に好ましくは、工業的、実用的な側面からみても5分間〜12時間である。
なお、本発明の式(1)で表されるホウ素含有化合物の製造方法においては、上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程を行った後に、上記脱ハロゲン化工程を行う際、一旦上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程により得られるホウ素含有化合物を精製した後に、上記式(III)で表される金属元素含有化合物を投入し、脱ハロゲン化工程を行ってもよく、精製を行わずに、上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程が終了した後に、そこに上記式(III)で表される金属元素含有化合物を投入し、脱ハロゲン化工程を行ってもよい。このように、本発明の式(1)で表されるホウ素含有化合物の製造方法は、目的に応じて精製工程を行うか否かを選択することができる点においても、有用な方法であるということができる。
【0082】
上述した脱ハロゲン化工程を経て製造されたホウ素含有化合物、又は、上記式(I)で表される化合物と上記(II)で表される化合物とを反応させる工程により得られたホウ素含有化合物が、式(1)におけるX
1及びX
2として上述したハロゲン原子等の反応性基を有する置換基を有している場合には、適当な化合物とカップリング反応させることにより、更に、該環構造に結合する置換基を様々に変えたホウ素含有化合物を製造することができる。上記カップリング反応としては、通常用いられるカップリング反応であれば特に制限されず、例えば、Suzukiカップリング、Stilleカップリング、根岸カップリング等が挙げられる。また、上記カップリング反応の反応条件としては、後述するような各カップリング反応が通常行われる反応条件を適宜採用することができる。
【0083】
上記式(1)で表されるホウ素含有化合物は、式(1)におけるX
1、X
2、R
1及びR
2のうち少なくとも1つが、反応性基を有する置換基であることが好ましい。
上記式(1)で表されるホウ素含有化合物が、X
1、X
2、R
1及びR
2の中に少なくとも1組の重縮合し得る反応性基の組み合わせを有するか、又は、X
1、X
2、R
1及びR
2の中に少なくとも1つ単独で重合し得る反応性基を有するものであると、重合体の原料として好適に用いることができる。このような本発明におけるホウ素含有化合物を含む単量体成分を重合して得られるホウ素含有重合体もまた、本発明の1つである。本発明のホウ素含有重合体には、後述する式(7)で表される繰り返し単位を有するものと、式(11)で表される繰り返し単位を有するものとがある。以下においては、式(7)で表される繰り返し単位を有するホウ素含有重合体、及び、式(11)で表される繰り返し単位を有するホウ素含有重合体を総称して本発明のホウ素含有重合体という。
【0084】
ホウ素原子及び二重結合を有するホウ素含有化合物を含む単量体成分を重合して得られるホウ素含有重合体であって、該ホウ素含有化合物は、下記式(1);
【0085】
【化15】
【0086】
(式中、点線の円弧は、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表す。ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分は、少なくとも1対の原子が二重結合で結ばれることを表し、該二重結合が環構造と共役していてもよい。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。X
1及びX
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。R
1及びR
2は、同一若しくは異なって、水素原子又は1価の置換基を表す。)で表され、上記ホウ素含有化合物は、式(1)中のX
1、X
2、R
1及びR
2の少なくとも1つが、反応性基を有する置換基であることを特徴とするホウ素含有重合体もまた、本発明の1つである。
【0087】
上記ホウ素含有重合体は、式(1)中のX
1、X
2、R
1及びR
2の少なくとも2つの基が重縮合するか、又は、少なくとも1つの基が重合して形成される繰り返し単位を有するものである。すなわち、下記式(7);
【0088】
【化16】
【0089】
(式中、点線の円弧、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印は、式(1)と同様である。X
1´、X
2´、R
1´及びR
2´は、それぞれ、式(1)のX
1、X
2、R
1及びR
2と同様の基、2価の基、3価の基、又は、直接結合を表す。)で表される繰り返し単位の構造を有するホウ素含有重合体である。上記式(7)は、X
1´、X
2´、R
1´及びR
2´のうち、いずれか1つ以上が、重合体の主鎖の一部として結合を形成することを意味する。上記式(1)中のX
1、X
2、R
1及びR
2の少なくとも2つの基が重縮合してホウ素含有重合体が形成された場合、上記式(7)におけるX
1´、X
2´、R
1´及びR
2´のうち少なくとも2つが2価の基、又は、直接結合である。上記式(1)中のX
1、X
2、R
1及びR
2の少なくとも1つの基が単独で重合してホウ素含有重合体が形成された場合、上記式(7)におけるX
1´、X
2´、R
1´及びR
2´のうち少なくとも1つが3価の基、又は、直接結合である。
上記式(7)で表される繰り返し単位を有するホウ素含有重合体は、上記式(7)で表される構造の1種からなるものであってもよく、上記式(7)で表される2種以上の構造を含むものであってもよい。上記式(7)で表される2種以上の構造を含むものである場合、当該2種以上の構造は、ランダム重合体であっても、ブロック重合体でも、グラフト重合体等であってもよい。また、高分子主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーでも良い。
【0090】
上記式(7)で表される繰り返し単位の構造を有するホウ素含有重合体の中でも、上記式(7)中のR
1´及びR
2´が、それぞれ式(1)中のR
1及びR
2と同様の基であることが好ましい。そして、上記式(7)中のR
1´及びR
2´が、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状炭化水素基、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基であることが更に好ましい。
すなわち、式(1)で表されるホウ素含有化合物を含む単量体成分を重合して得られるホウ素含有重合体であって、式(1)におけるR
1及びR
2が、同一若しくは異なって、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状炭化水素基、又は、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
【0091】
上記式(7)で表される繰り返し単位の構造の具体例のうち、重縮合によって得られる構造としては、例えば、以下の式(8−1)〜(8−6)のような構造がある。これらの中でも、(8−1)、(8−6)の構造であることが好ましい。より好ましくは、(8−1)の構造である。すなわち、式(1)で表される構造を有し、式(1)におけるX
1及びX
2が、反応性基を有する置換基であるホウ素含有化合物から得られるホウ素含有重合体もまた、本発明の1つである。
【0092】
【化17】
【0093】
上記重縮合し得る反応性基の組み合わせとしては、重合し得るものであれば特に制限されないが、例えば、カルボキシル基とヒドロキシ基、カルボキシル基とチオール基、カルボキシル基とアミノ基、カルボン酸エステルとアミノ基、カルボキシル基とエポキシ基、ヒドロキシ基とエポキシ基、チオール基とエポキシ基、アミノ基とエポキシ基、イソシアネート基とヒドロキシ基、イソシアネート基とチオール基、イソシアネート基とアミノ基、ヒドロキシ基とハロゲン原子、チオール基とハロゲン原子、ボリル基とハロゲン原子、スタニル基とハロゲン原子、アルデヒド基とホスホニウムメチル基、ビニル基とハロゲン原子、アルデヒド基とホスホネートメチル基、ハロアルキル基とハロアルキル基、スルホニウムメチル基とスルホニウムメチル基、アルデヒド基とアセトニトリル基、アルデヒド基とアルデヒド基、ハロゲン原子とボリル基、ハロゲン原子とハロゲン化マグネシウム、ハロゲン原子とハロゲン原子等が挙げられる。
これらの中でも、ハロゲン原子とボリル基との組み合わせ、ハロゲン原子とハロゲン原子との組み合わせが好ましい。
【0094】
上記式(1)中のX
1、X
2、R
1及びR
2の少なくとも2つの基が重縮合してホウ素含有重合体が形成される場合、上記式(7)におけるX
1´、X
2´、R
1´及びR
2´のうち少なくとも2つが2価の基、又は、直接結合を表すが、該2価の基は、反応性基を有する置換基間の重縮合反応により脱離しない残基を表すこととなる。上記重縮合し得る反応性基の組み合わせとなるような反応性基を有する置換基が重縮合反応した場合には、残基が重合体中に残る場合と、残らない場合とがあり、前者の場合には、X
1´、X
2´、R
1´及びR
2´のうち少なくとも1つは、反応性基を有する置換基間の重縮合反応により脱離しない残基を表し、後者の場合には、X
1´、X
2´、R
1´及びR
2´のうち少なくとも1つは、直接結合を表すこととなる。
また、上記式(7)で表される繰り返し単位が2つ以上続く場合には、2つの繰り返し単位の間に、例えば、−X
1´−X
2´−のように、X
1´、X
2´、R
1´及びR
2´のうちの2つが連続する結合が形成されることになるが、この場合、当該2つのうちいずれか一方は、直接結合である。
【0095】
上記重縮合し得る反応性基の組み合わせとなるような反応性基を有する置換基が重縮合反応して残基が重合体中に残る場合の具体的としては、カルボキシル基を有する置換基とヒドロキシ基を有する置換基との組み合わせが挙げられる。例えば、−CH
2COOH基と−CH
2CH
2OH基とが重縮合反応した場合、重合体中に残る残基は−CH
2(CO)−O−CH
2CH
2−基となる。また、例えば、−COOH基と−OH基との反応のように、反応性基を有する置換基が反応性基のみから構成される場合、重合体中に残る残基は−(CO)−O−基となる。
また、上記重縮合し得る反応性基の組み合わせが重縮合反応して残基が重合体中に残らない場合の具体例としては、ボリル基とハロゲン原子、ハロゲン原子とハロゲン原子との組み合わせが挙げられる。
【0096】
上記式(7)で表される繰り返し単位の構造の具体例のうち、上記式(1)中のX
1、X
2、R
1及びR
2の少なくとも1つの基が単独で重合して得られる構造として、例えば、X
2が重合して得られる構造は、下記式(9)のような構造である。このように、式(1)中のX
2が、構造中に単独で重合し得る反応性基を有する置換基である場合、X
2´が3価の基又は直接結合である構造の繰り返し単位となる。同様に、式(1)中のX
1、X
2、R
1又はR
2のいずれかが、構造中に単独で重合し得る反応性基を有する置換基である場合、それぞれ、X
1´、X
2´、R
1´、R
2´が3価の基又は直接結合である構造の繰り返し単位となる。
【0097】
【化18】
【0098】
上記単独で重合し得る反応性基としては、3,5−ジブロモフェニル基、アルケニル基、アルキニル基、エポキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。上記式(1)のホウ素含有化合物がこれらの基のいずれかを少なくとも1つ有することで、上記式(1)のホウ素含有化合物は単独で重合することができる。これらの中でも、アルケニル基、エポキシ基、3,5−ジブロモフェニル基が好ましい。
【0099】
上記式(1)中のX
1、X
2、R
1及びR
2の中で、重縮合する基は、上記重縮合し得る反応性基を構造中に有する置換基であればよい。同様に、単独重合する基は、上記単独で重合し得る反応性基を構造中に有する置換基であればよい。このような置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素数3〜7の環状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルコキシ基、アリール基や複素環基等のいずれかの基の水素原子が上記重縮合し得る反応性基や単独で重合し得る反応性基で置換された基が挙げられる。これらの中でも、スチリル基、3,5−ジブロモフェニル基が好ましい。
【0100】
本発明のホウ素含有重合体は、上記式(1)で表されるホウ素含有化合物を含む単量体成分から得られるものである限り、単量体成分にその他の単量体が含まれていてもよい。
すなわち、式(1)で表されるホウ素含有化合物と、下記式(10);
【0101】
【化19】
【0102】
(式中、Aは、2価の基を表す。X
3及びX
4は、同一若しくは異なって、水素原子又は1価の置換基を表し、X
3及びX
4の少なくとも1つの基は、反応性基を有する置換基である。)で表されるその他の単量体とを重合して形成されるホウ素含有重合体もまた、本発明のホウ素含有重合体に含まれる。
【0103】
上記式(10)におけるAは、2価の基であれば、特に制限されないが、その構造を相当する化合物名として挙げると例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ルブレン、ピレン、ペリレン、インデン、アズレン、アダマンタン、フルオレン、フルオレノン、ジベンゾフラン、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、チオフェン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、ノルボルネン、ベンゾフラン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾオキサジアゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、クマリン、シノリン、キノキサリン、アクリジン、フェナントロリン、フェノチアジン、フラボン、トリフェニルアミン、アセチルアセトン、ジベンゾイルメタン、ピコリン酸、シロール、ポルフィリン、イリジウム等の金属配位化合物、又は、それらが置換基を有している誘導体、それら誘導体の構造を含むポリマー若しくはオリゴマー等が挙げられる。
なお、上記置換基としては、上記R
1及びR
2における置換基と同様のものを用いることができる。
【0104】
上記Aとしては、上述したものに加えて、例えば、下記式(11−1)〜(11−4)の構造が挙げられる。
【0105】
【化20】
【0106】
(式中、Ar1、Ar2、Ar3は、同一若しくは異なって、アリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を表す。Z1は、−C≡C−、−N(Q3)−、−(SiQ4Q5)b−、又は、直接結合を示す。Z2は、−CQ1=CQ2−、−C≡C−、−N(Q3)−、−(SiQ4Q5)b−、又は、直接結合を表す。Q1及びQ2は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、又は、シアノ基を表す。Q3、Q4及びQ5は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、又は、アリールアルキル基を示す。aは0〜1の整数を表す。bは1〜12の整数を表す。)
【0107】
上記アリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、環を構成する炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。該芳香族炭化水素としては、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。
上記アリーレン基としては、例えば、下記式(12−1)で表されるフェニレン基、下記式(12−2)〜(12−3)で表されるナフタレンジイル基、下記式(12−4)〜(12−7)で表されるアントラセンジイル基、下記式(12−8)で表されるビフェニル−ジイル基、下記式(12−9)で表されるフルオレン−ジイル基、下記式(12−10)で表されるターフェニル−ジイル基、下記式(12−11)〜(12−12)で表されるスチルベン−ジイル基,下記式(12−13)〜(12−14)で表されるジスチルベン−ジイル基、下記式(12−15)〜(12−20)で表される縮合環化合物基、下記式(12−21)〜(12−23)で表される基等が挙げられる。これらの中でもフェニレン基、ビフェニレン基、フルオレン−ジイル基、スチルベン−ジイル基が好ましい。
なお、式(12−1)〜(12−23)において、Rは、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミド基、イミン残基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基またはシアノ基を表す。式(12−1)中においてx−yで示した線のように、環構造に交差して付された線は、環構造が被結合部分における原子と直接結合していることを意味する。すなわち、式(12−1)においては、x−yで示される線が付された環を構成する炭素原子のいずれかと直接結合することを意味し、その環構造における結合位置は限定されない。式(12−10)中においてz−で示した線のように、環構造の頂点に付された線は、その位置において環構造が被結合部分における原子と直接結合していることを意味する。また、環構造に交差して付されたRの付いた線は、Rが、その環構造に対して1つ結合していてもよく、複数結合していてもよいことを意味し、その結合位置も限定されない。
また、式(12−1)〜(12−10)及び(12−15)〜(12−20)において、炭素原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
【0108】
【化21】
【0109】
上記2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、環を構成する炭素数は通常3〜60程度である。該複素環化合物としては、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素などのヘテロ原子を環内に含むものも含まれる。
【0110】
上記2価の複素環基としては、例えば、下記式(13−1)で表されるピリジン−ジイル基、下記式(13−2)〜(13−3)で表されるジアザフェニレン基、下記式(13−4)〜(13−6)で表されるキノリンジイル基、下記式(13−7)〜(13−9)で表されるキノキサリンジイル基、下記式(13−10)〜(13−12)で表されるアクリジンジイル基、下記式(13−13)で表されるビピリジルジイル基、下記式(13−14)で表されるフェナントロリンジイル基等のヘテロ原子として、窒素を含む2価の複素環基;
下記式(13−15)〜(13−17)で表されるヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基;
下記式(13−18)〜(13−20)で表されるヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基;
下記式(13−21)〜(13−26)で表されるヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素基;
下記式(13−27)〜(13−29)で表される、ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基;
下記式(13−30)〜(13−35)で表される、ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基;
下記式(13−36)〜(13−38)で表される、ヘテロ原子として酸素、窒素、硫黄、などを含む5員環縮合複素環基にフェニル基やフリル基、チエニル基が置換した基;等が挙げられる。
なお、式(13−1)〜(13−38)において、Rは、上記アリーレン基の有するRと同様である。Yは、O、S、SO、SO
2、Se、又は、Teを表す。環構造に交差して付された線、環構造の頂点に付された線、環構造に交差して付されたRの付いた線については、式(12−1)〜(12−23)と同様である。
また、式(13−1)〜(13−38)において、炭素原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
【0111】
【化22】
【0112】
上記金属錯体構造を有する2価の基とは、有機配位子を有する金属錯体の有機配位子から水素原子を2個除いた残りの2価の基である。該有機配位子の炭素数は、通常4〜60程度であり、例えば、8−キノリノール及びその誘導体、ベンゾキノリノール及びその誘導体、2−フェニル−ピリジン及びその誘導体、2−フェニル−ベンゾチアゾール及びその誘導体、2−フェニル−ベンゾキサゾール及びその誘導体、ポルフィリン及びその誘導体等が挙げられる。
【0113】
上記金属錯体の中心金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、ベリリウム、イリジウム、白金、金、ユーロピウム、テルビウムなどが挙げられ、上記有機配位子を有する金属錯体としては、低分子の蛍光材料、燐光材料として公知の金属錯体、三重項発光錯体などが挙げられる。
【0114】
上記金属錯体構造を有する2価の基としては、具体的には、例えば下記式(14−1)〜(14−7)で表される基が挙げられる。
なお、式(14−1)〜(14−7)において、Rは、上記アリーレン基の有するRと同様である。環構造の頂点に付された線については、式(12−1)〜(12−23)と同様、直接結合を意味する。
また、式(14−1)〜(14−7)において、炭素原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
【0115】
【化23】
【0116】
また、Aの構造としては、下記式(11−5)のような構造も挙げられる。
【0117】
【化24】
【0118】
(式中、Ar4、Ar5、Ar6及びAr7は、同一又は異なって、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。Ar8、Ar9及びAr10は、同一又は異なって、アリール基又は1価の複素環基を表す。o及びpは、同一又は異なって、0又は1を表し、0≦o+p≦1である。)
【0119】
上記式(11−5)で表される構造の具体例としては、下記式(15−1)〜(15−8)で表される構造が挙げられる。
【0120】
【化25】
【0121】
なお、式(15−1)〜(15−8)において、Rは、上記アリーレン基の有するRと同様である。環構造の頂点に付された線については、式(12−1)〜(12−23)と同様、直接結合を意味する。上記式(15−1)〜(15−8)において、1つの構造式中に複数のRを有しているが、それらは同一であってもよいし、異なる基であってもよい。溶媒への溶解性を高めるためには、水素原子以外を1つ以上有していることが好ましく、また置換基を含めた構造の形状の対称性が少ないことが好ましい。更に、上記式(15−1)〜(15−8)において、Rがアリール基や複素環基をその一部に含む場合は、それらが更に1つ以上の置換基を有していてもよい。また、Rがアルキル鎖を含む置換基においては、それらは直鎖、分岐若しくは環状のいずれか又はそれらの組み合わせであってもよく、直鎖でない場合としては、例えば、イソアミル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロヘキシル基、4−C1〜C12アルキルシクロヘキシル基等が挙げられる。本発明のホウ素含有共重合体の溶媒への溶解性を高めるためには、1つ以上に環状または分岐のあるアルキル鎖が含まれることが好ましい。
また、複数のRが連結して環を形成していてもよい。更に、Rがアルキル鎖を含む基の場合は、該アルキル鎖は、ヘテロ原子を含む基で中断されていてもよい。該ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
【0122】
上記Aの構造としては、上述したものの中でも、式(11−5)、式(12−9)、式(13−16)、式(13−28)であることが好ましい。
【0123】
上記ホウ素含有重合体は、式(1)中のX
1、X
2、R
1及びR
2の少なくとも1つの基と式(10)中のX
3及びX
4の少なくとも1つの基とが重合して形成される繰り返し単位を有するものである。すなわち、下記式(16);
【0124】
【化26】
【0125】
(式中、点線の円弧、ホウ素原子と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印は、式(1)と同様である。X
1´、X
2´、R
1´及びR
2´は、式(7)と同様である。Aは、同一若しくは異なって、2価の基を表す。X
3´及びX
4´は、それぞれ式(10)のX
3及びX
4と同様の基、2価の基、3価の基、又は、直接結合を表す。)で表される繰り返し単位の構造を有するホウ素含有重合体もまた本発明のホウ素含有重合体に含まれる。
上記式(16)は、X
1´、X
2´、R
1´及びR
2´のうち、いずれか1つ以上、かつ、X
3´及びX
4´のうち、いずれか1つ以上が、重合体の主鎖の一部として結合を形成することを意味する。
上記式(16)で表される繰り返し単位を有するホウ素含有重合体において、上記式(1)由来の繰り返し単位、上記式(10)由来の繰り返し単位は、ランダム重合体であっても、ブロック重合体でも、グラフト重合体あってもよい。また、高分子主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーでも良い
また、上記式(16)で表される繰り返し単位を有するホウ素含有重合体は、上記式(1)由来の繰り返し単位、上記式(10)由来の繰り返し単位をそれぞれ1種含むものであってもよく、2種以上含むものであってもよい。繰り返し単位を2種以上含むものである場合、当該2種以上の構造は、ランダム重合体であっても、ブロック重合体でも、グラフト重合体あってもよい。また、高分子主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーでも良い
【0126】
上記式(16)で表されるホウ素含有重合体としては、(i)上記式(1)中のX
1、X
2、R
1及びR
2のうち、いずれか2つと、上記式(10)中のX
3及びX
4とが、重合体の主鎖の一部として結合を形成する場合、(ii)上記式(1)中のX
1、X
2、R
1及びR
2のうち、いずれか1つと、上記式(10)中のX
3及びX
4のいずれか1つの基とが、重合体の主鎖の一部として結合を形成する場合がある。これらの場合の繰り返し単位の構造の具体例として、例えば、下記式(17)、(18)のような構造がある。
【0127】
【化27】
【0128】
上記(i)の構造の場合、上記式(16)で表される繰り返し単位のうち、上記式(1)由来の構造部分の具体例としては、上記式(8−1)〜(8−6)のような構造がある。これらの中でも、(8−1)、(8−6)の構造であることが好ましい。より好ましくは、(8−1)の構造である。
【0129】
上記式(1)中のX
1、X
2、R
1及びR
2のいずれかの基と、上記式(10)中のX
3及びX
4のいずれかの基とが重縮合する場合の反応性基の組み合わせとしては、上述したものと同様のものが挙げられる。すなわち、上記式(1)中のX
1、X
2、R
1及びR
2のいずれかの基と、上記式(10)中のX
3及びX
4のいずれかの基とが重縮合する場合、上記式(10)中のX
3及びX
4のうち、当該重縮合する基としては、上述した重縮合し得る反応性基を構造中に有する置換基のいずれかであることが好ましい。
また、上記式(10)中のX
3及びX
4のいずれかが、単独で重合し得る反応性基を構造中に有する置換基である場合、当該置換基は、上述した単独で重合し得る反応性基を構造中に有する置換基のいずれかであることが好ましい。
【0130】
本発明のホウ素含有重合体の両末端に結合している基は、特に制限されず、また、同一であっても良く、異なっていてもよい。上記両末端に結合している基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基、オリゴアリール基、1価の複素環基、1価のオリゴ複素環基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アミノ基、アゾ基、カルボキシル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、ニトロ基、シアノ基、シリル基、スタニル基、ボリル基、ホスフィノ基、シリルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0131】
本発明のホウ素含有重合体は、重量平均分子量が10
3〜10
8であることが好ましい。重量平均分子量がこのような範囲であると、良好に薄膜化できる。より好ましくは、10
3〜10
7であり、更に好ましくは10
4〜10
6である。
上記重量平均分子量は、ポリスチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC装置、展開溶媒;クロロホルム)によって以下の装置、及び、測定条件で測定することができる。
高速GPC装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
測定条件:
展開溶媒 クロロホルム
カラム TSK−gel GMHXL ×2本
溶離液流量 1ml/min
カラム温度 40℃
【0132】
本発明のホウ素含有重合体においても、本発明におけるホウ素含有化合物と同様、上述した範囲のLUMOのエネルギー準位を有することが好ましい。ホウ素含有重合体のLUMOのエネルギー準位がそのような範囲であることにより、有機EL素子やN型半導体の材料として好適に用いることができる。
【0133】
また本発明におけるホウ素含有化合物同様、上記ホウ素含有重合体についても、上述した範囲の発光量子収率を有することもまた本発明の好適な実施形態の1つである。ホウ素含有重合体の発光量子収率がそのような範囲のものであると、有機EL素子やHOILED素子等における発光層を構成する発光材料として用いた場合に、充分に安定した発光を得ることが可能となるため、有機EL素子やHOILED素子等に用いる発光デバイスとして、特に発光層を構成する発光材料として好適に用いることができる。
【0134】
本発明のホウ素含有重合体を製造する場合、式(1)で表されるホウ素含有化合物を含む単量体成分を重合する方法が挙げられる。該単量体成分は、式(1)で表されるホウ素含有化合物を含む限り、その他の単量体を含んでいてもよいが、単量体成分全体100質量%に対して、式(1)で表されるホウ素含有化合物を0.1〜99.9質量%含んでいることが好ましい。より好ましくは、10〜90質量%である。
また、重合反応の際には、単量体成分の固形分濃度は、0.01質量%〜溶解する最大濃度の範囲で適宜設定することができるが、希薄すぎると反応の効率が悪く、濃すぎると反応の制御が難しくなる恐れがあることから、好ましくは、0.1〜20質量%である。
【0135】
上記その他の単量体としては、上記式(10)で表される構造を有するものであることが好ましい。なお、上記単量体成分は、式(1)で表されるホウ素含有化合物、式(10)で表される化合物とも、1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0136】
上記式(10)で表される化合物において、X
3及びX
4は、上述したX
1及びX
2における反応性基を有する置換基と同様のものを用いることができる。
【0137】
本発明のホウ素含有重合体が重縮合反応により形成される場合、上記反応性基の組み合わせが、アルデヒド基とホスホニウムメチル基との組み合わせである場合にはWittig反応により、ビニル基とハロゲン原子との組み合わせである場合にはHeck反応により、アルデヒド基とホスホネートメチル基との組み合わせである場合にはHorner反応により、ハロアルキル基とハロアルキル基との組み合わせである場合には脱ハロゲン化水素法により、スルホニウムメチル基とスルホニウムメチル基との組み合わせである場合にはスルホニウム塩分解法により重合を行うことができる。また、上記反応性基の組み合わせが、アルデヒド基とアセトニトリル基との組み合わせである場合にはKnoevenagel反応により、アルデヒド基とアルデヒド基との組み合わせである場合にはMcMurry反応により、ハロゲン原子とボリル基との組み合わせである場合にはSuzukiカップリング反応により、ハロゲン原子とハロゲン化マグネシウムとの組み合わせである場合にはGrignard反応により、ハロゲン原子とハロゲン原子との組み合わせである場合には0価のニッケル触媒を用いた山本重合反応により重合することができる。その他、重合方法としては、塩化鉄(III)等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法等が挙げられる。
これらの重合方法のうちでも、Suzukiカップリング反応、山本重合反応により重合を行うことが好ましい。
【0138】
上記重合工程において用いる溶媒としては、当該反応が進行するものである限り特に制限されないが、上記式(I)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを反応させる工程に用いる溶媒に加え、水、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメトキシエタンを用いることができる。これらの中でも、トルエン、テトラヒドロフラン、キシレンが好ましい。溶媒は、1種又は2種以上を用いることができる。
中でも、上記Wittig反応、Horner反応、Knoevenagel反応の場合には、N、N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエンが好適に用いられる。また、上記Heck反応の場合には、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の比較的沸点の高い溶媒が好適に用いられる。上記Suzukiカップリング反応の場合には、N、N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランが好適に用いられる。上記Grignard反応の場合には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒が好適に用いられ、該溶媒中でハロゲン化物と金属マグネシウムとを反応させてGrignard試薬溶液とし、該試薬溶液とは別に用意した単量体成分を含む溶液とを混合して後述する触媒を用いて重合反応を行うこととなる。なお、この際には、触媒を過剰反応に注意しながら添加した後、昇温して還流させながら反応させることが好ましい。
また、上記溶媒を用いる際には、副反応を抑制するために、充分に脱酸素処理を行い、不活性雰囲気下で反応が進行するようにすることが好ましい。また、同様の理由から、脱水処理を行うことが好ましい場合もある。ただし、Suzukiカップリング反応のように、水との二相系で反応を行う場合にはその限りではない。
【0139】
上記重合工程においては、触媒を用いてもよく、特に、上記Heck反応、Suzukiカップリング反応、上記重縮合し得る反応性基の組み合わせがスタニル基とハロゲン原子のようなStille重合反応、Grignard反応、山本重合反応により重合を行う場合には、触媒が用いられる。
Heck反応、Suzukiカップリング反応、Stille重合する際の触媒としては、0価のパラジウム触媒、2価のパラジウム塩触媒等が挙げられ、具体的には、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロライド、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ビス(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)パラジウム、ビス(1,1’−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム、テトラキス(トリエチルホスファイト)パラジウム、パラジウム(II)アセテート類等を挙げることができる。これらの触媒は1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これらの中でも、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム,トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)が好ましい。
Grignard反応をする際の触媒としては、上記0価のパラジウム触媒、2価のパラジウム塩触媒やニッケル触媒が好適に挙げられる。
また、上記触媒を用いる際には、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフリルホスフィン等の配位子を添加剤として加えてもよい。
なお、触媒を反応液に混合する方法としては、反応液をアルゴンや窒素等の不活性雰囲気下で攪拌しながら、ゆっくりと触媒を含む溶液を添加する方法、触媒を含む溶液に反応液をゆっくりと添加する方法等が挙げられる。
【0140】
上記触媒を用いる場合、触媒の使用量としては、上記式(1)で表されるホウ素含有化合物1モルに対して、0.001〜0.2モルであることが好ましい。触媒の使用量が0.001モルより少ないと、触媒の機能が充分に発揮されず、0.2モルより多くしても、それ以上の効果の向上は期待できないため、製造コストの点から好ましくない。より好ましくは、0.005〜0.15モルであり、更に好ましくは、0.01〜0.1モルである。
【0141】
上記重合工程においては、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス−2メチルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のパーオキシド等を用いることができる。
また、促進剤として、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、モール塩、ピロ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、アスコルビン酸等の還元剤;エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシン等のアミン化合物を併用することもできる。
これらの重合開始剤や促進剤は、それぞれ1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0142】
上記重合開始剤を用いる場合、重合開始剤の使用量としては、単量体成分100質量%に対して、0.05質量%以上であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
上記促進剤を使用する場合の使用量としては、単量体成分100質量%に対して、例えば0.05質量%以上であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
【0143】
重合に際し、安定した分子量の制御には連鎖移動剤の使用が好ましく、モノマーとの相溶性、溶媒への溶解性から、必要に応じて1種又は2種以上の連鎖移動剤を使用することができる。このような連鎖移動剤としては、炭素数3以上の炭化水素基をもつチオール化合物又は25℃の水に対する溶解度が10%以下の化合物が好適であり、上述した連鎖移動剤や、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、2−メルカプトプロピオン酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;イソプロパノール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウムなど)や亜硫酸が好適である。
【0144】
上記連鎖移動剤の使用量は、単量体成分100質量%に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましい。0.5質量%以上であることがより好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0145】
上記重合工程においては、アルカリ成分を添加し、アルカリ存在下に反応を行ってもよい。特に、上記Wittig反応、Heck反応、Horner反応、脱ハロゲン化水素法、Knoevenagel反応、Suzukiカップリング反応の場合には、アルカリ存在下に反応を行うことが好ましい。上記アルカリ成分としては、特に制限されないが、例えば、Wittig反応、Horner反応、Knoevenagel反応の場合には、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、ナトリウムエチラート、リチウムメチラート等の金属アルコラート;水素化ナトリウム等のハイドライド試薬;ナトリウムアミド等のアミド類等を用いることができる。Heck反応の場合には、トリエチルアミン等を用いることができる。Suzukiカップリング反応の場合には、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化バリウム等の無機塩基;炭酸テトラエチルアンモニウム等の炭酸アンモニウム塩、トリエチルアミン、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の有機塩基;フッ化セシウム等の無機塩等を用いることができ、無機塩を用いる場合には、無機塩を水溶液として、二相系で反応させてもよい。
なお、アルカリ成分を反応液に混合する方法としては、反応液をアルゴンや窒素等の不活性雰囲気下で攪拌しながら、ゆっくりとアルカリ成分を含む溶液を添加する方法、アルカリ成分を含む溶液に反応液をゆっくりと添加する方法等が挙げられる。
【0146】
上記アルカリ成分の使用量としては、単量体成分の有する官能基に対して当量以上であることが好ましい。特に、Wittig反応、Horner反応、Knoevenagel反応の場合には、1〜3当量であることがより好ましく、Suzukiカップリング反応の場合には、1〜10当量であることがより好ましい。
【0147】
上記重合工程は、不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。不活性ガスとしては、特に制限されず、窒素、アルゴン、ヘリウム等のいずれを用いてもよいが、窒素、アルゴンが好ましい。不活性ガスは、1種又は2種以上を用いることができる。
【0148】
上記重合工程の反応温度は、50℃〜200℃であることが好ましい。特に、上記Wittig反応、Horner反応、Knoevenagel反応の場合には、通常室温から150℃程度で反応を進行させることができる。Heck反応の場合には、80℃から160℃程度で反応を進行させることができる。また、Suzukiカップリング反応の場合には、溶媒に応じて設定することができるが、50〜160℃で反応を行うことが好適である。
反応圧力は、加圧、常圧、減圧のいずれであってもよいが、常圧であることが好ましい。
また、反応時間は、5時間以上であることが好ましい。
特に、上記Wittig反応、Horner反応、Knoevenagel反応の場合には、通常5分〜40時間であればよいが、好ましくは、10分〜24時間である。Heck反応の場合には、1〜100時間程度であればよい。また、Suzukiカップリング反応の場合には、1〜200時間程度であればよい。
上記重合反応は、回分式でも連続式でも行うことができる。
【0149】
上記Grignard反応の場合における、上記Grignard試薬の使用量としては、単量体成分に対して当量以上であることが好ましい。より好ましくは、1〜1.5当量であり、更に好ましくは、1〜1.2当量である。
【0150】
本発明におけるホウ素含有化合物及び本発明のホウ素含有重合体は、有機EL素子やN型半導体の材料として好適に用いることができるものである。有機EL素子は、陽極、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、陰極を順に積層させた構造のもの、又は、更にホール注入層、電子注入層を有する構造のもの等がある。これらの素子においては、陰極から注入された電子が電子輸送層を通過して発光層に到達することになるが、エネルギー効率の点から、発光層や電子輸送層の材料の最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位は、電子注入層の材料の有するLUMOのエネルギー準位及び陰極の価電子帯との間でエネルギーギャップが小さいことが好ましい。陰極としては、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム等の金属やこれらの合金等が用いられるが、これらのうち価電子帯のエネルギーが高いものは、酸化されやすい性質を有するため、エネルギーの低いものを用いることが好ましい。最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位の低いホウ素含有化合物を用いることで、陰極として価電子帯のエネルギーが低く、酸化されにくい物質を陰極に用いることが可能となるため、陰極の選択の自由度を広げることができる。
したがって、このような点から、本発明におけるホウ素含有化合物及び/又は本発明のホウ素含有重合体は、有機EL素子やN型半導体の材料として好適に用いることができるものである。このように、上記式(1)で表されるホウ素含有化合物を含む本発明の発光材料及び/又は本発明のホウ素含有重合体が発光デバイス形成に用いられることもまた、本発明の1つである。このような、上記式(1)で表されるホウ素含有化合物を含む本発明の発光材料又は本発明のホウ素含有重合体を用いて形成される発光デバイスもまた、本発明の1つである。
更に本発明におけるホウ素含有化合物及び本発明のホウ素含有重合体のうち、発光量子収率が20〜100%であるものは、その発光量子収率の高さから、安定した発光を得ることができるため、発光デバイスの中でも特に、有機EL素子やHOILED素子の発光層形成に用いられることが好ましい。