【実施例】
【0018】
(実施例1)
ターミナルカバーにかかる実施例について、
図1〜
図12を参照して説明する。
図1に示すごとく、ターミナルカバー1は、電気絶縁性を有しており、バッテリー3に配されたバッテリーポスト31とバッテリーポスト31に接続されたターミナル部2とを覆うものである。ターミナルカバー1は、バッテリーポスト31及びターミナル部2とを覆うカバー本体部10と、カバー本体部10の側面に貫通形成された作業口121と、作業口121を覆う蓋体13とを有している。ターミナルカバー1は、蓋体13が作業口121を覆う閉状態(
図9)と、蓋体13が作業口121を覆っていない開状態(
図10)とに切換え可能に構成されている。
【0019】
本例のターミナルカバー1について、さらに詳細に説明する。
本例は、自動車において車室内に配置されたバッテリー3のバッテリーポスト31と、バッテリーポスト31と接続されたターミナル部2とを覆うターミナルカバー1を示すものである。
【0020】
図2及び
図3に示すごとく、バッテリー3は、車室内に面して配されたクォーターパネルにおいて、横方向に窪ませるように形成されたバッテリー配置スペース41の内側に配してある。バッテリー配置スペース41において、バッテリー3の上方に位置する天井面42とバッテリー上面33との間の距離は、ターミナルカバー1の高さにバッテリーポスト31の高さを加えた値よりも小さく、バッテリー配置スペース41内にバッテリー3を配置した状態でターミナルカバー1を上方に向かって開放することができない。
【0021】
バッテリー上面33において手前側の位置には、略円錐台形状をなす2つのバッテリーポスト31、32が配されており、一方はプラス電極をなし、他方はマイナス電極をなしている。本例においては、
図3及び
図4に示すバッテリーポスト31をプラス電極とし、反対側のバッテリーポスト32をマイナス電極とした。したがって、接触によりショートや漏電が発生する可能性があるプラス電極側のバッテリーポスト31及びターミナル部2にターミナルカバー1を配した。
【0022】
ターミナル部2は、
図4に示すごとく、車体側の機器と接続されたワイヤーハーネス22と接続されており、バッテリーポスト31と接続されるターミナル本体部21と、ターミナル本体部21とワイヤーハーネス22との間に配されたヒュージブルリンク23とを有している。
【0023】
ターミナル本体部21は、
図5及び
図6に示すごとく、バッテリーポスト31に固定されるターミナル保持部211と、ターミナル保持部211を締め付ける締付部213と、ヒュージブルリンク23と接続されるターミナル連結部216とを備えている。ターミナル保持部211は、略長方形状の板材をその長手方向が円周上に配されるよう略筒状に形成されており、その軸方向から見たとき円周上に開口部212を有すると共に、軸方向と直交する方向から見たとき略円錐台形状をなしている。
【0024】
ターミナル保持部211の開口部212に配された一対の端部には、それぞれボルト挿通穴(図示略)が形成されると共に径方向外側に向かって立設した一対の締付部213が形成されている。ボルト挿通穴にボルト214を挿通しナット215と締結することで、開口部212の間隔を狭めると共にターミナル保持部211の内径が狭められる。これにより、ターミナル保持部211をバッテリーポスト31に固定することができる。
【0025】
ターミナル連結部216は、ターミナル保持部211において締付部213と反対側の位置における下端部から、ターミナル保持部211の軸線方向と垂直な平面上に形成されると共に締付部213と反対側に向かって延設されている。
【0026】
図4に示すごとく、ヒュージブルリンク23は、一対の電極を有するヒューズ234を内蔵しており、一方の電極はワイヤーハーネス22と接続されており、他方の電極はバスバー231と接続されている。
【0027】
図5及び
図6に示すごとく、バスバー231は、ヒュージブルリンク23から延設されており、その延設方向とターミナル連結部216の延設方向とが同方向となるように、ターミナル本体部21の上面に重ねて配される。バスバー231とターミナル連結部216とは、ボルト232とナット233とにより互いに締結固定される。
図8に示すごとく、本例において、バスバー231の幅寸法W1は、ターミナル連結部216の幅寸法W2に対して大きく設定されており、バスバー231の端部がターミナル連結部216の端部から突き出すように配されている。
また、本例においては、バスバー231が配された範囲で、かつ後述の姿勢規制手段18の範囲内をバッテリーテスターの検出部5と接続する接続部24とした。
【0028】
上記のごとく接続されたバッテリーポスト31及びターミナル部2は、ターミナルカバー1によって覆われている。
図1及び
図7に示すごとく、ターミナルカバー1は、電気絶縁性を備えた絶縁樹脂によって形成されており、バッテリーポスト31とターミナル部2とを覆うカバー本体部10と、カバー本体部10の側面に貫通形成された作業口121と、作業口121を覆う蓋体13と、ターミナル部2と固定される固定部16とを有している。
【0029】
カバー本体部10は、
図1、
図3及び
図8に示すごとく、略長方形状のカバー上面部11と、カバー上面部11から下方に向かって垂下するよう形成されたカバー側面部12とを備えている。
【0030】
図1および
図7に示すごとく、カバー上面部11をなす略長方形状における一方の長辺から垂下したカバー側面部12には、貫通形成された作業口121を有している。作業口121は、ターミナルカバー1をバッテリー3に組付けた際に、接続部24と対応する位置で、かつバッテリー配置スペース41の開口部側に配されるよう形成されている。作業口121において固定部16と反対側に配された内周端部122は、ターミナルカバー1をバッテリー3に組付けた際に、バスバー231の延設方向先端部と対応した位置に形成されている。
また、本例においては、作業口121を1つとしたが、任意の位置に複数の作業口を形成することもできる。
【0031】
図9及び
図10に示すごとく、作業口121を覆う蓋体13とカバー本体部10とは、作業口121における上方に配された内周端部122と、蓋体13の上端との間に設けられた第1薄肉部14からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、蓋体13は、第1薄肉部14を中心に回転可能に構成されている。これにより、
図9に示す蓋体13が作業口121を覆う閉状態と、
図10に示す蓋体13を回転させ作業口121を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されている。尚、蓋体13とカバー本体部10とを繋ぐ第1薄肉部14の形成位置は、上記の形成位置に限るものではなく、作業口121のいずれか一つの内周端部122と、この一つの内周端部と対向する蓋体13の端部との間に形成することができる。
【0032】
図8〜
図10に示すごとく、カバー本体部10は、カバー本体部10の位置を規制するためにターミナル部2に係合する一対の係合部17を備えている。一対の係合部17は、カバー本体部10のカバー上面部11から下方に向かって垂下する係合本体部171と、係合本体部171から突出した係合爪部172とを備えている。一対の係合部17は、カバー上面部11をなす略長方形状の長手方向と直交する方向にバスバー231の幅W1と対応した間隔を介して配されており、バスバー231の幅方向における両端部とそれぞれ係合可能に構成されている。
【0033】
図11に示すごとく、作業口121側に配された係合部17は、作業口121の内側に配されており、固定部16と反対側に配された内周端部122と係合部17との間の距離が、バッテリーテスターの検出部5の幅と対応するように配してある。これにより、内周端部122と係合部17とが検出部5の姿勢規制手段18をなし、検出部5を作業口121へ挿入する範囲を規制すると共に、検出部5を接続部24へと接続した際の検出部5の姿勢を規制することができる。
【0034】
尚、本例においては、作業口121の内周端部122と係合部17とによって姿勢規制手段18を構成したがこれに限るものではなく、種々の構造を用いることができる。姿勢規制手段18としては、例えば、作業口の内周端部のみによって構成することもできるし、係合部17のような規制部を作業口の内側に一対設けて構成することもできる。また、本例に示すごとく、作業口の内周端部と規制部とを組み合わせて構成することも可能である。
【0035】
図1、
図3及び
図4に示すごとく、固定部16は、ヒュージブルリンク23が備えるヒューズを覆うように固定されており、上方から見てヒュージブルリンク23の外形と対応した略矩形状の固定上面部161と、固定上面部161の外周から垂下するように配された固定側壁部162とを備えている。固定側壁部162において、カバー本体部10と固定部16との並び方向と直交する方向に配された2つの固定側壁部162には固定係合爪(図示略)が形成されており、ヒュージブルリンク23に形成された被係合部(図示略)と係合可能に構成されている。これにより、固定部16をヒュージブルリンク23へと固定している。
【0036】
図1及び
図12に示すごとく、固定部16とカバー本体部10とは、互いに対向する固定側壁部162とカバー側面部12との間に設けられた第2薄肉部15からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、カバー本体部10は、第2薄肉部15を中心として回転可能に構成されている。第2薄肉部15は、カバー上面部11と平行な平面上に形成されており、
図1に示すバッテリーポスト31及びターミナル部2を覆うカバー位置と、
図12に示すカバー本体部10を上方に回転させバッテリーポスト31及びターミナル部2を露出させる開放位置との間で移動可能に構成されている。尚、固定部とカバー本体部とを繋ぐ第2薄肉部は、固定部及びカバー本体部の形状に応じて、種々の位置に形成することができる。
【0037】
次に本例の作用効果について説明する。
ターミナルカバー1は、カバー本体部10の側面に貫通形成された作業口121と、作業口121を覆う蓋体13とを有しており、蓋体13が作業口121を覆う閉状態と、蓋体13が作業口121を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されている。つまり、作業口121は、カバー本体部10の側面に形成されているため、作業口121の蓋体13を開閉する際に、ターミナルカバー1の上方のスペースによる影響を受けにくい。したがって、例えば、上方のスペースが狭い場合においても作業口121を開閉することができ、作業口121からターミナル部2へのアクセスを容易化することができる。
【0038】
ターミナルカバー1において、蓋体13とカバー本体部10とは、両者の間に設けられた第1薄肉部14からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、蓋体13が第1薄肉部14を中心に回転可能に構成してある。そのため、蓋体13とカバー本体部10とを一部品として扱うことができ、その取り扱いを容易とすることができる。
【0039】
また、ターミナル部2は、バッテリー3の点検を行うバッテリーテスターの検出部5を接続可能に構成された接続部24を備えており、作業口121は、接続部24と対応した位置に形成してある。これにより、作業口121の内側に接続部24が配されているため、接続部24の位置を把握しやすい。したがって、検出部5と接続部24との接続作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、作業口121には、バッテリーテスターの検出部5の姿勢を規制する姿勢規制手段18を備えている。例えば、接続部24に接続された検出部5の姿勢によっては、検出部5と周辺部品とが干渉する場合が考えられる。そのため、姿勢規制手段18を備えることにより、検出部5の姿勢を規制し、検出部5と周辺部品との干渉を防止することができる。
【0041】
また、姿勢規制手段18は、作業口121の少なくとも一部を内周端部122により構成してある。そのため、ターミナルカバー1の構造を複雑とすることなく、姿勢規制手段18を容易に設けることができる。
【0042】
また、ターミナルカバー1は、ターミナル部2と固定される固定部16を備え、カバー本体部10は、固定部16に対して回転可能に構成されており、バッテリーポスト31及びターミナル部2を覆うカバー位置と、これらを露出させる開放位置との間で移動可能に構成してある。そのため、カバー本体部10をバッテリー3の上方に向かって開放することができる。したがって、バッテリー3の上方にスペースが確保されている場合には、カバー本体部10を上方に向かって開放し、ターミナル部2にアクセスすることができる。これにより、1つの部品で種々の配置状態に対応することができ、配置自由度を向上することができる。
【0043】
また、カバー本体部10と固定部16とは、両者の間に設けられた第2薄肉部15からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、カバー本体部10は、第2薄肉部15を中心として回転可能に構成してある。この場合にはカバー本体部10と固定部16とを一部品として取り扱うことができ、その取り扱いを容易とすることができる。
【0044】
また、カバー本体部10は、カバー本体部10の位置を規制するためにターミナル部2に係合する係合部17を備えている。そのため、ターミナルカバー1に外力が付与された場合においても、ターミナル部2からターミナルカバー1が外れることを防止することができる。