特許第5924672号(P5924672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5924672複数台ロボット搬送エレベータシステム、エレベータ制御装置、エレベータ活用型ロボット並びに複数台のロボットの搬送を行うエレベータの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924672
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】複数台ロボット搬送エレベータシステム、エレベータ制御装置、エレベータ活用型ロボット並びに複数台のロボットの搬送を行うエレベータの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 17/20 20060101AFI20160516BHJP
   B66B 1/18 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   B66B17/20 B
   B66B1/18 L
   B66B1/18 E
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-86802(P2012-86802)
(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2013-216408(P2013-216408A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(72)【発明者】
【氏名】河合 清司
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−137650(JP,A)
【文献】 特開昭63−240607(JP,A)
【文献】 特開2011−057322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00−1/52
B66B 17/20
G05D 1/00−1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のエレベータ活用型ロボットと、複数基の乗りかごを制御するエレベータ制御装置とを備え、
前記エレベータ制御装置は、前記エレベータ活用型ロボットからの乗車階要求を検出する複数台ロボット乗車階要求検出手段と、複数台分のエレベータ活用型ロボットの搬送に必要な乗りかごの割当を決定する割当決定手段と、割り当てられた乗りかごのかご制御装置に配車指示を行う配車指示手段と、対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットに対し、割り当てられた乗りかごの情報を指示する割当号機指示手段とを含み、
前記複数台のエレベータ活用型ロボットはそれぞれ、前記エレベータ制御装置に自己の乗車階要求を発信する乗車階要求発信手段と、前記エレベータ制御装置から自己の乗車に割り当てられた乗りかごの情報を受信する割当号機受信手段とを含み、
前記エレベータ制御装置は、前記エレベータ活用型ロボットからの降車階要求を検出する複数台ロボット降車階要求検出手段と、対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットに乗車順序を指示する乗車順序指示手段とを含み、
前記割当決定手段は、同乗対象となる前記複数台のエレベータ活用型ロボットの占有情報と、前記乗りかごのスペース情報と、前記複数台ロボット降車階要求検出手段から得られた対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットの複数分の降車階の情報とから、対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットの乗車すべき順序を決定し、
前記乗車順序指示手段は、前記割当決定手段で決定された乗車順序を対応する前記エレベータ活用型ロボットに指示し、
前記複数台のエレベータ活用型ロボットはそれぞれ、前記エレベータ制御装置に自己の降車階要求を発信する降車階要求発信手段と、割り当てられた乗りかごへの乗車順序を受信する乗車順序受信手段を含む、
複数台ロボット搬送エレベータシステム。
【請求項2】
複数台のエレベータ活用型ロボット及び複数基の乗りかごにおけるかご制御装置との間で情報の送受信を行うエレベータ制御装置であって、
前記エレベータ活用型ロボットからの乗車階要求を検出する複数台ロボット乗車階要求検出手段と、
複数台分のエレベータ活用型ロボットの搬送に必要な乗りかごの割当及び乗車順序を決定する割当決定手段と、
割り当てられた乗りかごのかご制御装置に配車指示を行う配車指示手段と、
対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットに対し、割り当てられた乗りかごの情報を指示する割当号機指示手段と、
前記エレベータ活用型ロボットからの降車階要求を検出する複数台ロボット降車階要求検出手段と、
対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットに乗車順序を指示する乗車順序指示手段とを含む、
エレベータ制御装置。
【請求項3】
複数基の乗りかごにおけるかご制御装置を制御するエレベータ制御装置との間で情報の送受信を行うエレベータ活用型ロボットであって、
前記エレベータ制御装置に自己の乗車階要求を発信する乗車階要求発信手段と、
前記エレベータ制御装置に自己の降車階要求を発信する降車階要求発信手段と、
前記エレベータ制御装置から自己の乗車に割り当てられた乗りかごの情報を受信する割当号機受信手段と、
前記割り当てられた乗りかごへの乗車順序を受信する乗車順序受信手段とを含む、
エレベータ活用型ロボット。
【請求項4】
複数台のエレベータ活用型ロボットと、複数基の乗りかごを制御するエレベータ制御装置とを用意し、
前記複数台のエレベータ活用型ロボットはそれぞれ、前記エレベータ制御装置に自己の乗車階要求を発信し、
前記エレベータ制御装置は、前記エレベータ活用型ロボットからの乗車階要求を検出し、
該エレベータ制御装置は、複数台分のエレベータ活用型ロボットの搬送に必要な乗りかごの割当を決定し、
該エレベータ制御装置は、割り当てられた乗りかごのかご制御装置に配車指示を行うと共に、対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットに割り当てられた乗りかごの情報を指示し、
前記複数台のエレベータ活用型ロボットはそれぞれ、前記エレベータ制御装置から自己の乗車に割り当てられた乗りかごの情報を受信する、ことを含み、
前記複数台のエレベータ活用型ロボットはそれぞれ、前記エレベータ制御装置に自己の降車階要求を発信し、
前記エレベータ制御装置は、前記エレベータ活用型ロボットからの降車階要求を検出し、
該エレベータ制御装置は、同乗対象となる前記複数台のエレベータ活用型ロボットの占有情報と、前記乗りかごのスペース情報と、前記複数台のエレベータ活用型ロボットの複数分の降車階の情報とから、対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットの乗車すべき順序を決定し、対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットに乗車順序を指示し、
前記複数台のエレベータ活用型ロボットはそれぞれ、割り当てられた乗りかごへの乗車順序を受信する、ことを含む、
複数台のロボットの搬送を行うエレベータの制御方法。
【請求項5】
前記複数台のエレベータ活用型ロボットは、前記エレベータ制御装置から受信した自己の乗車に割り当てられた乗りかごの情報と、割り当てられた乗りかごへの乗車順序とに基づいて、割り当てられた乗りかごが乗車階に到達するまえの時間を利用して、割り当てられた乗りかごに向かって乗車順序に並ぶように移動を開始する、
請求項4の複数台のロボットの搬送を行うエレベータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台ロボット搬送エレベータシステム、エレベータ制御装置、エレベータ活用型ロボット並びに複数台のロボットの搬送を行うエレベータの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベータに関し、これまでも人の搬送だけでなく、ロボットの搬送を想定したものは存在している。例えば、特許文献1には、清掃ロボットを運搬することを想定したエレベータが開示されている。このエレベータでは、乗車呼びから乗車完了までの時間に遅延がある場合や、行先階指定から降車完了までの時間に遅延がある場合それぞれに対し、警報を出力するように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−137650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は、清掃用途に限らず、様々な分野・用途に関してロボットが活用されるようになっており、それに伴い、近い将来、建築物の複数階にわたって複数台のロボットが自動運転で上下階に移動する場面が生じることが予想される。しかしながら、1台のロボットの搬送だけを想定したエレベータの存在は確認できるものの、複数台のロボットを効率よく搬送することを目的としたエレベータは見当たらないのが現状である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、複数台のロボットを効率よく搬送することができる複数台ロボット搬送エレベータシステム、エレベータ制御装置、エレベータ活用型ロボット並びに複数台のロボットの搬送を行うエレベータの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため、本発明の複数台ロボット搬送エレベータシステムは、複数台のエレベータ活用型ロボットと、複数基の乗りかごを制御するエレベータ制御装置とを備え、前記エレベータ制御装置は、前記エレベータ活用型ロボットからの乗車階要求を検出する複数台ロボット乗車階要求検出手段と、複数台分のエレベータ活用型ロボットの搬送に必要な乗りかごの割当を決定する割当決定手段と、割り当てられた乗りかごのかご制御装置に配車指示を行う配車指示手段と、対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットに対し、割り当てられた乗りかごの情報を指示する割当号機指示手段とを含み、前記複数台のエレベータ活用型ロボットはそれぞれ、前記エレベータ制御装置に自己の乗車階要求を発信する乗車階要求発信手段と、前記エレベータ制御装置から自己の乗車に割り当てられた乗りかごの情報を受信する割当号機受信手段とを含む。
本発明は、同目的を達成するためのものとして、複数台のエレベータ活用型ロボット及び複数基の乗りかごにおけるかご制御装置との間で情報の送受信を行うエレベータ制御装置であって、前記エレベータ活用型ロボットからの乗車階要求を検出する複数台ロボット乗車階要求検出手段と、複数台分のエレベータ活用型ロボットの搬送に必要な乗りかごの割当及び乗車順序を決定する割当決定手段と、割り当てられた乗りかごのかご制御装置に配車指示を行う配車指示手段と、対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットに対し、割り当てられた乗りかごの情報を指示する割当号機指示手段と、前記エレベータ活用型ロボットからの降車階要求を検出する複数台ロボット降車階要求検出手段と、対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットに乗車順序を指示する乗車順序指示手段とを含む、エレベータ制御装置を提供する。
さらに、本発明は、同目的を達成するためのものとして、複数基の乗りかごにおけるかご制御装置を制御するエレベータ制御装置との間で情報の送受信を行うエレベータ活用型ロボットであって、前記エレベータ制御装置に自己の乗車階要求を発信する乗車階要求発信手段と、前記エレベータ制御装置に自己の降車階要求を発信する降車階要求発信手段と、前記エレベータ制御装置から自己の乗車に割り当てられた乗りかごの情報を受信する割当号機受信手段と、前記割り当てられた乗りかごへの乗車順序を受信する乗車順序受信手段とを含む、エレベータ活用型ロボットを提供する。
さらに、同目的を達成する本発明に係る複数台のロボットの搬送を行うエレベータの制御方法は、複数台のエレベータ活用型ロボットと、複数基の乗りかごを制御するエレベータ制御装置とを用意し、前記複数台のエレベータ活用型ロボットはそれぞれ、前記エレベータ制御装置に自己の乗車階要求を発信し、前記エレベータ制御装置は、前記エレベータ活用型ロボットからの乗車階要求を検出し、該エレベータ制御装置は、複数台分のエレベータ活用型ロボットの搬送に必要な乗りかごの割当を決定し、該エレベータ制御装置は、割り当てられた乗りかごのかご制御装置に配車指示を行うと共に、対応する前記複数台のエレベータ活用型ロボットに割り当てられた乗りかごの情報を指示し、前記複数台のエレベータ活用型ロボットはそれぞれ、前記エレベータ制御装置から自己の乗車に割り当てられた乗りかごの情報を受信する、ことを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数台のロボットを効率よく搬送することができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る複数台ロボット搬送エレベータシステムに関する、ロボット乗車階での様子を示す模式図である。
図2】本実施の形態に係る複数台ロボット搬送エレベータシステムの構成を示す図である。
図3】複数台のロボットの搬送を行うエレベータの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る複数台ロボット搬送エレベータシステム等の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
【0010】
複数台ロボット搬送エレベータシステム1は、少なくとも複数台のエレベータ活用型ロボット3と、複数基の乗りかご5を制御するエレベータ制御装置7とを備える。
【0011】
エレベータ活用型ロボット3は、例えば掃除ロボット、介護ロボット、警備ロボット、自立搬送機など、異なる分野及び/又は異なる用途のロボットが含まれていてもよい。そのため、図1に模式的に示したように、複数台のエレベータ活用型ロボット3は、一つの乗場9に集まった際に、幅・奥行き等の平面視、占有面積や、高さ、形状等が互いに異なる場合が多いだろう。さらに、エレベータ活用型ロボット3の行先階や行動パターンも、用途目的によって全く異なっていることが想定される。
【0012】
対象となる建造物では、併設された複数基の乗りかご5が昇降しており、それに対応して乗場9のそれぞれでは、複数の乗場ドア11が設置されている。乗りかご5のそれぞれには、その乗りかご5の運行を制御するかご制御装置13が設けられている。なお、図示はあくまでも概念的な例示であり、かご制御装置13は、乗りかご又は昇降路に対して適当な位置に設けられていればよく、図示の状態に限定している意図ではない。
【0013】
エレベータ制御装置7は、複数のエレベータ活用型ロボット3のそれぞれと、複数のかご制御装置13のそれぞれと、無線通信及び/又は有線通信による適当な態様で情報・信号の送受信が行えるように接続されている。
【0014】
次に、図2に基づいてエレベータ制御装置及びエレベータ活用型ロボットの構成要素について説明する。なお、図2は、便宜上、エレベータ活用型ロボットは2台分だけで図示している。
【0015】
まず、エレベータ制御装置7は、複数台のエレベータ活用型ロボット3及び複数基の乗りかご5におけるかご制御装置13との間で情報の送受信を行うものであって、複数台ロボット乗車階・降車階要求検出手段21と、割当決定手段23と、配車指示手段25と、割当号機指示手段27と、乗車順序指示手段29とを少なくとも含む。
【0016】
エレベータ活用型ロボット3はそれぞれ、複数基の乗りかご5におけるかご制御装置13を制御するエレベータ制御装置7との間で情報の送受信を行うものであって、乗車階・降車階要求発信手段31と、割当号機受信手段33と、乗車順序受信手段35とを少なくとも含む。なお、エレベータ活用型ロボット3は、それら相互間でも情報の送受信を行うことができる。
【0017】
さらに詳細に説明すると、エレベータ制御装置7における複数台ロボット乗車階・降車階要求検出手段21は、エレベータ活用型ロボット3のそれぞれからの、そのエレベータ活用型ロボット3が所持している乗車階・降車階に関する要求を検出する部分である。なお、複数台ロボット乗車階・降車階要求検出手段21は、図示では一つの要素として記述しているが、乗車階と降車階とで個別の要素として構成させておくこともできる。
【0018】
割当決定手段23は、複数台分のエレベータ活用型ロボット3の搬送に必要な乗りかご5の割当(配車台数・割当号機)及び乗車順序を決定するものである。すなわち、割当決定手段23は、複数台分のエレベータ活用型ロボット3を搬送するために配車台数として何基の乗りかご5をエレベータ活用型ロボット3の待つ乗場9に向かわせたらよいか、具体的にどの号機(複数基であればさらに、どの号機)を乗場9に向かわせたらよいか、さらに、どの号機に、どのエレベータ活用型ロボット3をどの順番で乗車させたらよいかを決定する。
【0019】
割当決定手段23による必要な乗りかご5の割当の決定に際しては、あくまでも例示であるが次のような処理を挙げることができる。例えば、その建造物を利用するエレベータ活用型ロボット3毎の占有データ(すくなくとも占有面積や高さ等)が予め保存されており、複数台ロボット乗車階・降車階要求検出手段21において何れのエレベータ活用型ロボット3からの呼び要求であるかを識別して、その識別に基づいて複数台分の占有面積や高さ等を認定する。そして、ロボット側の情報と、同様に予め保存されている乗りかご5のスペースデータ(搭載可能な床面積や高さ等)との比較を行い、何基分の乗りかご5が搬送に必要であるかを認定する。
【0020】
あるいは、別の例としては、乗場9に少なくとも一つ以上の撮影手段を設けておき、撮影手段で得られた乗場9及びそこで待つエレベータ活用型ロボット3の映像を画像処理することにより、占有面積や高さを割り出し、乗りかご5の床面積や高さ等との比較を行い、何基分の乗りかご5が搬送に必要であるかを認定する態様でもよいだろう。
【0021】
さらに、上記の例のように、呼びのあるエレベータ活用型ロボット3の台数を搬送するのに必要な最低限の乗りかご5の台数をスペース上の観点から算出しておくと共に、この算出結果に、さらに、エレベータ活用型ロボット3のそれぞれの降車階の情報と、複数の乗りかご5の現在位置の情報といった効率上の観点をも加味して、最終的な配車台数、割当号機及び割当号機毎に乗車させるエレベータ活用型ロボットの対象を決定する。さらに、配車号機毎のエレベータ活用型ロボットの乗車順序も決定しておく。
【0022】
乗車順序の決定に際しては、一例であるが、同乗対象となる複数台のエレベータ活用型ロボット3の占有データ(占有面積や高さ等の情報)と、乗りかご5のスペースデータ(搭載可能な床面積や高さ等)と、複数台ロボット乗車階・降車階要求検出手段21から得られた対応する複数台のエレベータ活用型ロボット3のそれぞれの降車階としての複数台分の降車階の情報とから、待っているエレベータ活用型ロボット3のうち、どの順序で乗りかご5に乗車させるべきかを決定する。エレベータ活用型ロボット3の場合、複数の人間の乗降の場合とは異なり、乗りかご5内で降車経路をあけてあげたり、昇降中に乗りかご5内の相互のポジションを入れ替えたりといった行動は簡単ではない。また、乗りかご5の手前側(かごドア側)に乗ったエレベータ活用型ロボット3が、自己よりも奥側に乗り且つ先に降車するエレベータ活用型ロボット3の降車のために、該当の降車階でいったん先に降車し、降車経路を開放し、該当のエレベータ活用型ロボット3が降車した後、再び、乗りかご5に乗り込むといった行動も簡単ではないし、効率が悪い。そこで、上述したようにロボット側の占有データと、乗りかご側のスペースデータと、それぞれの降車階の情報とから、乗車の際に既に降車のときに適した順番で乗るように指示を与えておくためのものである。
【0023】
エレベータ制御装置7における配車指示手段25は、割当決定手段23により割り当てられた乗りかご5のかご制御装置13に対して配車指示を行うものである。また、割当号機指示手段27は、対応する複数台のエレベータ活用型ロボット3に対して、割り当てられた乗りかご5の情報(何号機か)を指示するものである。乗車順序指示手段29は、対応する複数台のエレベータ活用型ロボット3に対して、乗車順序を指示するものである。
【0024】
図2に戻り、エレベータ活用型ロボット3における乗車階・降車階要求発信手段31は、エレベータ制御装置7に対して、自己の乗車階要求及び降車階要求を発信するものである。この乗車階・降車階要求発信手段31もまた、図示では一つの要素として記述しているが、乗車階と降車階とで個別の要素として構成させておくこともできる。
【0025】
割当号機受信手段33は、エレベータ制御装置7の割当号機指示手段27から、自己の乗車に割り当てられた乗りかご5の情報を受信するものである。また、乗車順序受信手段35は、エレベータ制御装置7の乗車順序指示手段29から、割り当てられた乗りかごへの乗車順序を受信するものである。
【0026】
次に、上述したエレベータ制御装置やエレベータ活用型ロボットを含む複数台ロボット搬送エレベータシステムによる、複数台のロボットの搬送を行うエレベータの制御方法について説明する。図3は、複数台のロボットの搬送を行うエレベータの制御方法を示すフローチャートである。
【0027】
まず、図3の(b)のステップS21として、複数台のエレベータ活用型ロボット3はそれぞれが、エレベータ制御装置7に自己の乗車階要求を発信し、これらは、エレベータ制御装置7において、エレベータ活用型ロボット3からの乗車階要求として検出される。なお、本実施の形態では、この乗車階要求と一緒に、降車階要求も発信・検出されているものとする。
【0028】
エレベータ制御装置7では、図3の(a)のステップS11として、同一階で同一昇降方向への乗車要求(乗車階要求及び降車階要求)を複数台のエレベータ活用型ロボット3から受けた場合、ステップS12として、エレベータ活用型ロボット3の台数から、その複数台分のエレベータ活用型ロボットの搬送に必要な乗りかごの割当(配車台数、割当号機)を決定する。
【0029】
さらに、ステップS13として、エレベータ制御装置7は、同乗対象となる複数台のエレベータ活用型ロボット3の占有情報と、乗りかご5のスペース情報と、同乗対象となる複数台のエレベータ活用型ロボット3の複数分の降車階の情報とから、対応する複数台のエレベータ活用型ロボット3の乗車すべき順序も決定する。
【0030】
さらに、ステップS14として、エレベータ制御装置7は、割り当てられた乗りかごのかご制御装置13に対しては、配車指示を行うと共に、対応する複数台のエレベータ活用型ロボット3に対しては、割当号機及び乗車順序を指示する。なお、ステップS13及びステップS14は、相互の順序やタイミングは図3の(a)のとおりである必要はなく、適宜、好適な態様で実施することができるだろう。
【0031】
これに対応し、対応するエレベータ活用型ロボット3はそれぞれ、図3の(b)のステップS22として、エレベータ制御装置7から自己の乗車に割り当てられた乗りかごの情報としての割当号機と、その割当号機に対する乗車順序とを、受信する。
【0032】
エレベータ活用型ロボット3は、ステップS23として、割り当てられた乗りかごが乗車階に到着したら、乗車順序に従って、割り当てられた乗りかごに乗車する。以上により、本実施の形態によれば、複数台のロボットを効率よく搬送することができる。
【0033】
なお、複数台のエレベータ活用型ロボット3は、エレベータ制御装置7から受信した自己の乗車に割り当てられた乗りかごの情報と、割り当てられた乗りかごへの乗車順序とに基づいて、割り当てられた乗りかごが乗車階に到達するまえの時間を利用して、割り当てられた乗りかごに向かって乗車順序に並ぶように移動を開始するように設定されているとより好適である。
【0034】
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
【0035】
上述した実施の形態では、降車階の情報の送受信と、乗車順序の決定・送受信とを含む態様として説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、乗車階の情報だけを送受信し、配車台数と割当号機との情報の送受信し、降車階及び/又は乗車順序に関連する構成は省略して実施することも可能であろう。
【符号の説明】
【0036】
1 複数台ロボット搬送エレベータシステム、3 エレベータ活用型ロボット、5 乗りかご、7 エレベータ制御装置、13 かご制御装置、21 複数台ロボット乗車階・降車階要求検出手段、23 割当決定手段、25 配車指示手段、27 割当号機指示手段、29 乗車順序指示手段、31 乗車階・降車階要求発信手段、33 割当号機受信手段、35 乗車順序受信手段。
図1
図2
図3