特許第5924734号(P5924734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許5924734-泡吐出器 図000002
  • 特許5924734-泡吐出器 図000003
  • 特許5924734-泡吐出器 図000004
  • 特許5924734-泡吐出器 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924734
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】泡吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20160516BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20160516BHJP
   B05B 11/06 20060101ALI20160516BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   B65D47/34 D
   B65D83/00 K
   B05B11/06 J
   B05B11/00 101G
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-103582(P2012-103582)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-227063(P2013-227063A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2014年10月29日
(31)【優先権主張番号】特願2012-81487(P2012-81487)
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 剛
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−192550(JP,A)
【文献】 特開平09−124063(JP,A)
【文献】 実開平06−057843(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B65D 83/00
B05B 11/00
B05B 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(100)の口頸部(101)外周に嵌合させる装着キャップ(A)に上端部を固定させた状態で容器体(100)内に垂下され、かつ大径の空気用シリンダ(20)及び小径の液用シリンダ(21)を上下に同心円状に連設させてなるシリンダ部材(B)と、
液用シリンダ(21)内を摺動する液用ピストン(C1)を、吐出弁(37)を備えたステム(C2)外周下部より突設させるとともに、空気用シリンダ(20)内を摺動する空気用ピストン(C3)をステム(C2)外周上部に連携させ、ステム(C2)内と連通する吐出口(54)を備えた吐出ヘッド(C4)嵌着され、かつ上方付勢状態で上下動可能に装着された作動部材(C)とを備え、
吐出弁(37)は、ステム(C2)内上部に突設した吐出弁用の弁座(35)に、別体の吐出弁体(36)を載置させて構成され、作動部材(C)の上下動により液用シリンダ(21)内の液と空気用シリンダ(20)内の空気を合流させて起泡部材(C7)を介して起泡させ、吐出口(54)より吐出する如く構成された泡吐出器であって、
ステム(C2)内に吐出弁体(36)の上下動を規制する隔壁部材(C5)嵌着されるとともに、
内部に起泡部材(C7)を嵌合させた装着筒部材(C6)吐出ヘッド(C4)の縦筒(50)内に嵌着されており
隔壁部材(C5)と装着筒部材(C6)とで、空気用シリンダ(20)からの空気通路(p)と吐出弁(37)からの液流路が合流する気液混合室(R)画成させてなり、
上記隔壁部材(C5)は、その下部をステム(C2)内に嵌着させた筒壁に形成させるとともに、その上部に上記筒壁の筒孔上方を覆う蓋体部(e)を有しており、かつ隔壁部材(C5)の上部が、上記蓋板部(e)の周囲に間隙を存して、上記装着筒部材(C6)内に位置しており、
装着筒部材(C6)は、隔壁部材(C5)と起泡部材(C7)との間に位置させて、中央部に連通窓(w)を開口させたフランジ状の底板(b)を有しており、
これら底板(b)と蓋板部(e)との間に形成された気液混合室(R)を、上記蓋板部(e)の周囲の間隙を介して上記空気通路(p)及び上記液通路と連通させるように構成してなることを特徴とする、泡吐出器。
【請求項2】
隔壁部材(C5)は、ステム(C2)内周に嵌着させた嵌合筒(60)と、嵌合筒(60)内中央部の吐出弁体(36)上方に、周囲に液の流通が可能に支持されかつ上記蓋板(e)で上端を閉塞させた隔壁筒部(61)を備え、
上記装着筒部材(C6)は、ステム(C2)上端部外周に下端部を嵌着した縦筒(50)内周に嵌着させた装着筒部(65)を有し、かつ、この装着筒部(65)の下端より上述のフランジ状の底板()を内方へ延設させてなり、
ステム(C2)上方の縦筒(50)内面に一端を開口した空気通路(p)と連通され、かつ隔壁筒部(61)外周の液流路と連通された上記気液混合室(R)を、フランジ状の底板()と隔壁筒部(61)との間に画成させてなることを特徴とする請求項1に記載の泡吐出器。
【請求項3】
上記装着筒部材(C6)は、フランジ状の底板()下面よりステム(C2)内周に垂下筒(68)を垂設させており、かつ、底板()及び垂下筒(68)とステム(C2)との間に、ステム(C2)上の縦筒(50)内面に開口させた空気通路(p)から隔壁筒部(61)外周の液流路に連通する隙間が形成されている、請求項2に記載の泡吐出器。
【請求項4】
上記作動部材(C)が、
ステム(C2)外周上端部に下部を嵌着した上記縦筒(50)の上部に基端を開口させてノズル(53)設され、かつ、縦筒(50)下端内周に環状凹部(55)を凹設させた吐出ヘッド(C4)と、
下端部とステム(C2)外周に突設した空気吐出弁用の弁座(39)とで空気吐出弁(49)構成されており、上端部を環状凹部(55)周面に摺動可能に嵌合させてステム(C2)外周に上下動可能に嵌合させた筒状弁部(45)を備え、筒状弁部(45)の外面より突設させた隔壁(46)を介して空気用シリンダ(20)に摺動する摺動部(47)を備えた空気用ピストン(C3)と、
装着筒部(65)内に嵌着した筒体(71)の端面にメッシュ(70)を張設させた起泡部材(C7)とを備え、
空気用シリンダ(20)からステム(C2)と筒状弁部(45)との間、ステム(C2)と縦筒(50)との間を通り、ステム(C2)上端に至る空気通路(p)けられてなる、請求項2又は請求項3に記載の泡吐出器。
【請求項5】
上記隔壁筒部(61)の下端に、周方向複数の凹部(64)を形成させてなる請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の泡吐出器。
【請求項6】
上記隔壁部材(C5)はステム(C2)内上端部に嵌着され、かつ吐出弁(37)上方に蓋板部(e)を支持しており、中央より上方に向かってテーパ状に広がるように形成されかつ蓋板部()周囲に開口する液流路を備え、
装着筒部材(C6)は、ステム(C2)外周上端部に下端部を嵌着させており、縦筒(50)内周に上端部を嵌着した装着筒部(95)より、中央に連通窓(開口されかつ蓋板部(e)上方に延設させた底板()を備え、
ステム(C2)上方の装着筒部(95)内面に一端を開口した空気通路(p)と連通され、かつ蓋板部(e)外周に一端を開口する液流路と連通された上記気液混合室(R)を、底板()と蓋板部(e)との間に画成させている請求項1記載の泡吐出器。
【請求項7】
上記蓋板部(e)外周の液流路の一端開口部位に、空気通路(p)の一端を開口して合流させるように形成された、請求項6に記載の泡吐出器。
【請求項8】
上記隔壁部材(C5)は、ステム(C2)内周に嵌着させた、上面が上方へ向かって広がるテーパ面(f1)をなす嵌合筒(91)と、嵌合筒(91)内周縁に立設した支柱(92)により外周縁を支持され、下面周縁部を上方へ向かって広がるテーパ面(f2)に形成させた蓋板部(e)とを備え、
両テーパ面間に上記液流路画成されてなる、請求項6又は請求項7に記載の泡吐出器。
【請求項9】
上記作動部材(C)が、
装着筒部(95)外周に嵌合させた縦筒(50)の上部に基端を開口させてノズル(53)延設された吐出ヘッド(C4)と、
ステム(C2)外周上端部に下部を嵌着した装着筒部(95)の下端内周に環状凹部(98)を凹設させた装着筒部材(C6)と、
下端部とステム(C2)外周に突設した空気吐出弁用の弁座(39)とで空気吐出弁(49)構成され、上端部を環状凹部(98)周面に摺動可能に嵌合させてステム(C2)外周に上下動可能に嵌合させた筒状弁部(45)を備え、筒状弁部(45)の外面より突設した隔壁(46)を介して空気用シリンダ(20)に摺動する摺動部(47)を備えた空気用ピストン(C3)と、
装着筒部(95)内に嵌着した筒体(71)の端面にメッシュ(70)を張設させた起泡部材(C7)とを備え、
空気用シリンダ(20)からステム(C2)と筒状弁部(45)との間、ステム(C2)と装着筒部(95)との間を通り、ステム(C2)上端に至る空気通路(p)が形成されてなる、請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の泡吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泡吐出器に関し、詳しくは、吐出ヘッドが離脱した場合でもステム内の吐出弁を構成する弁体の離脱紛失の虞のない泡吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
泡吐出器として、大径の空気用シリンダと小径の液用シリンダを上下に同心円状に連設したシリンダ部材と、液用シリンダ内を摺動する液用ピストンをステム外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ内を摺動する空気用ピストンをステム外周上部に連携させ、ステム上端に吐出ヘッドを嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材とを備え、作動部材の上下動により液用シリンダ内の液と空気用シリンダ内の空気を合流させて起泡部材を介して起泡させ、吐出ヘッドの吐出口より吐出する如く構成したものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
特許文献1に記載されている泡吐出器では、ステム内上部に玉状の弁体を備えた吐出弁を設け、また、吐出ヘッドの縦筒をステム上端部外周に嵌着し、起泡部材はステム直上の縦筒内よりステム内上端部にわたり嵌着した筒部材内に嵌着固定している。起泡部材はメッシュを一端面に張設した一対の筒体を筒部材内に嵌着することで構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−202122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のこの種の泡吐出器では、吐出ヘッドが簡単に離脱しないように、嵌合強度を大きくしてステムに対して吐出ヘッドの強固な嵌合を行なっているが、大きな衝撃等により吐出ヘッドが外れてしまう虞もあった。その場合従来のこの種の泡吐出器では、吐出ヘッドと筒部材、起泡部材がいっぺんに外れてしまい、それに伴ってステム内上部に設けた吐出弁の弁体が飛び出してしまう虞があった。飛び出した弁体は一般に小径であるため紛失の虞が大きくある。また、いたずらにより吐出ヘッドを外すという虞もあり、その場合にも吐出ヘッドの無理な引き抜きの衝撃で弁体が離脱紛失する虞があった。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、衝撃や悪戯により吐出ヘッドの離脱があった場合にもステム内上部の吐出弁の弁体が離脱紛失する虞がなく、しかも吐出弁体を予めステムにセットしておくこと(モジュール化)が可能で、組み付け効率も良好な泡吐出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、
容器体100の口頸部101外周に嵌合させる装着キャップAに上端部を固定させた状態で容器体100内に垂下され、かつ大径の空気用シリンダ20及び小径の液用シリンダ21を上下に同心円状に連設させてなるシリンダ部材Bと、
液用シリンダ21内を摺動する液用ピストンC1を、吐出弁37を備えたステムC2外周下部より突設させるとともに、空気用シリンダ20内を摺動する空気用ピストンC3をステムC2外周上部に連携させ、ステムC2内と連通する吐出口54を備えた吐出ヘッドC4嵌着され、かつ上方付勢状態で上下動可能に装着された作動部材Cとを備え、
吐出弁37は、ステムC2内上部に突設した吐出弁用の弁座35に、別体の吐出弁体36を載置させて構成され、作動部材Cの上下動により液用シリンダ21内の液と空気用シリンダ20内の空気を合流させて起泡部材C7を介して起泡させ、吐出口54より吐出する如く構成された泡吐出器であって、
ステムC2内に吐出弁体36の上下動を規制する隔壁部材C5嵌着されるとともに、
内部に起泡部材C7を嵌合させた装着筒部材C6吐出ヘッドC4の縦筒50内に嵌着されており
隔壁部材C5と装着筒部材C6とで、空気用シリンダ20からの空気通路pと吐出弁37からの液流路が合流する気液混合室R画成させてなり、
上記隔壁部材C5は、その下部をステムC2内に嵌着させた筒壁に形成させるとともに、その上部に上記筒壁の筒孔上方を覆う蓋体部eを有しており、かつ隔壁部材C5の上部が、上記蓋板部eの周囲に間隙を存して、上記装着筒部材C6内に位置しており、
装着筒部材C6は、隔壁部材C5と起泡部材C7との間に位置させて、中央部に連通窓wを開口させたフランジ状の底板bを有しており、
これら底板bと蓋板部eとの間に形成された気液混合室Rを、上記蓋板部eの周囲の間隙を介して上記空気通路p及び上記液通路と連通させるように構成してなる。
【0008】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、上記第1の手段に於いて、
隔壁部材C5は、ステムC2内周に嵌着させた嵌合筒60と、嵌合筒60内中央部の吐出弁体36上方に、周囲に液の流通が可能に支持されかつ上記蓋板eで上端を閉塞させた隔壁筒部61を備え、
上記装着筒部材C6は、ステムC2上端部外周に下端部を嵌着した縦筒50内周に嵌着させた装着筒部65を有し、かつ、この装着筒部65の下端より上述のフランジ状の底板を内方へ延設させてなり、
ステムC2上方の縦筒50内面に一端を開口した空気通路pと連通され、かつ隔壁筒部61外周の液流路と連通された上記気液混合室Rを、フランジ状の底板と隔壁筒部61との間に画成させてなる。
【0009】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、上記第2の手段に於いて、
上記装着筒部材C6は、フランジ状の底板下面よりステムC2内周に垂下筒68を垂設させており、かつ、底板()及び垂下筒(68)とステム(C2)との間に、ステム(C2)上の縦筒(50)内面に開口させた空気通路(p)から隔壁筒部(61)外周の液流路に連通する隙間が形成されている。
【0010】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段又は第3の手段に於いて、
上記作動部材Cが、
ステムC2外周上端部に下部を嵌着した上記縦筒50の上部に基端を開口させてノズル53設され、かつ、縦筒50下端内周に環状凹部55を凹設させた吐出ヘッドC4と、
下端部とステムC2外周に突設した空気吐出弁用の弁座39とで空気吐出弁49構成されており、上端部を環状凹部55周面に摺動可能に嵌合させてステムC2外周に上下動可能に嵌合させた筒状弁部45を備え、筒状弁部45の外面より突設させた隔壁46を介して空気用シリンダ20に摺動する摺動部47を備えた空気用ピストンC3と、
装着筒部65内に嵌着した筒体71の端面にメッシュ70を張設させた起泡部材C7とを備え、
空気用シリンダ20からステムC2と筒状弁部45との間、ステムC2と縦筒50との間を通り、ステムC2上端に至る空気通路pけられている
【0011】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、
上記隔壁筒部61の下端に、周方向複数の凹部64を形成させてなる。
【0012】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、
上記隔壁部材C5はステムC2内上端部に嵌着され、かつ吐出弁37上方に蓋板部eを支持しており、中央より上方に向かってテーパ状に広がるように形成されかつ蓋板部周囲に開口する液流路を備え、
装着筒部材C6は、ステムC2外周上端部に下端部を嵌着させており、縦筒50内周に上端部を嵌着した装着筒部95より、中央に連通窓wが開口されかつ蓋板部上方に延設させた底板を備え、
ステムC2上方の装着筒部95内面に一端を開口した空気通路pと連通され、かつ蓋板部外周に一端を開口する液流路と連通された上記気液混合室Rを、底板と蓋板部との間に画成させてなる。
【0013】
第7の手段として、前記第6の手段に於いて、
上記蓋板部外周の液流路の一端開口部位に、空気通路pの一端を開口して合流させるように形成された。
【0014】
第8の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第6の手段又は第7の手段に於いて、
上記隔壁部材C5は、ステムC2内周に嵌着させた、上面が上方へ向かって広がるテーパ面f1をなす嵌合筒91と、嵌合筒91内周縁に立設した支柱92により外周縁を支持され、下面周縁部を上方へ向かって広がるテーパ面f2に形成させた蓋板部とを備え、
両テーパ面間に上記液流路画成されてなる。
【0015】
第9の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第6の手段乃至第8の手段に於いて、
上記作動部材Cが、
装着筒部95外周に嵌合させた縦筒50の上部に基端を開口させてノズル53延設された吐出ヘッドC4と、
ステムC2外周上端部に下部を嵌着した装着筒部95の下端内周に環状凹部98を凹設させた装着筒部材C6と、
下端部とステムC2外周に突設した空気吐出弁用の弁座39とで空気吐出弁49構成され、上端部を環状凹部98周面に摺動可能に嵌合させてステムC2外周に上下動可能に嵌合させた筒状弁部45を備え、筒状弁部45の外面より突設した隔壁46を介して空気用シリンダ20に摺動する摺動部47を備えた空気用ピストンC3と、
装着筒部95内に嵌着した筒体71の端面にメッシュ70を張設させた起泡部材C7とを備え、
空気用シリンダ20からステムC2と筒状弁部45との間、ステムC2と装着筒部95との間を通り、ステムC2上端に至る空気通路pが形成されてなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ステムC2内に吐出弁体36の上下動を規制する隔壁部材C5を嵌着するとともに、内部に起泡部材C7を嵌合する装着筒部材C6を吐出ヘッドC4の縦筒50内に嵌着しているので、万一衝撃等により吐出ヘッドC4が外れることがあっても、或いは悪戯等により吐出ヘッドC4が取り外されることがあっても、隔壁部材C5はステムC2上端部に止まり、装着筒部材C6及び起泡部材C7を嵌着した吐出ヘッドC4が取り外されることとなり、吐出弁体36が露出することはなく、吐出ヘッドC4の離脱に伴って吐出弁体36が飛び出してしまうことがなく、吐出弁体36の紛失の虞を防止できる。また、隔壁部材C5の存在でステムC2に吐出弁体36を予めセットしておくことができるため、起泡部材C7及び装着筒部材C6をセットした吐出ヘッドC4の後からの装着が可能であり、例えば、目の粗さの相違するメッシュ70を備えた起泡部材C7を吐出ヘッドC4の装着時に適宜選択しての組み付けが可能となる等の利点があり、汎用性に富んだ、容易な組み付けが可能となる。
【0017】
また、隔壁部材C5は、ステムC2内周に嵌着させた嵌合筒60と、嵌合筒60内中央部の吐出弁体36上方に、周囲に液の流通が可能に支持された上端閉塞の隔壁筒部61を備え、装着筒部材C6は、ステムC2上端部外周に下端部を嵌着した縦筒50内周に装着筒部65を嵌着し、装着筒部65の下端より、中央に連通窓を開口したフランジ状の底板を延設し、ステムC2上方の縦筒50内面に一端を開口した空気通路pと連通し、隔壁筒部61外周の液流路と連通する気液混合室Rをフランジ状の底板と隔壁筒部61との間に画成した場合には、相互の組み付け操作を容易に行なえるという特徴を備え、各部材をコンパクトに効率良く組み付けることができる利点がある。また、嵌合筒60と隔壁筒部61との間に流路を確保でき、液用シリンダ21内の加圧液は、吐出弁37を開いて吐出弁体36の周囲から隔壁筒部61外周を通り気液混合室Rに導入されるため、円滑な液の流動が可能となる。
【0018】
また、装着筒部材C6は、フランジ状の底板下面よりステムC2内周に垂下筒68を垂設し、底板及び垂下筒68とステムC2との間に、ステムC2上の縦筒50内面に開口した空気通路pから隔壁筒部61外周の液流路に連通する隙間をあけて装着した場合には、空気通路pからの空気を隔壁部材C5外周の液流路に噴出してから気液混合室R内に導入するため、気液の混合のより均一化を図れる。
【0019】
作動部材Cが、ステムC2外周上端部に下部を嵌着した縦筒50の上部に基端を開口してノズル53を延設し、縦筒50下端内周に環状凹部55を凹設した吐出ヘッドC4と、下端部とステムC2外周に突設した空気吐出弁用の弁座39とで空気吐出弁49を構成し、上端部を環状凹部55周面に摺動可能に嵌合させてステムC2外周に上下動可能に嵌合させた筒状弁部45を備え、筒状弁部45の外面より突設した隔壁46を介して空気用シリンダ20に摺動する摺動部47を備えた空気用ピストンC3と、装着筒部65内に嵌着した筒体71の端面にメッシュ70を張設した起泡部材C7とを備え、空気用シリンダ20からステムC2と筒状弁部45との間、ステムC2と縦筒50との間を通り、ステムC2上端に至る空気通路pを設けた場合には、各部材をコンパクトに効率良く組み付けることができる利点がある。
【0020】
隔壁筒部61の下端に、周方向複数の凹部64を形成した場合には、加圧液により吐出弁37が開いた際に、吐出弁体36が上昇して隔壁筒部61に当接し、上端が閉塞した隔壁筒部61の下端を閉塞してその下端に付着し、円滑な弁機能を阻害する等の不都合を防止できる。
【0021】
隔壁部材C5はステムC2内上端部に嵌着され、吐出弁37上方に蓋板部を支持し、中央より上方に向かってテーパ状に広がり、蓋板部周囲に開口する液流路を備え、装着筒部材C6は、ステムC2外周上端部に下端部を嵌着し、縦筒50内周に上端部を嵌着した装着筒部95より、中央に連通窓を開口して蓋板部上方に延設した底板を備え、ステムC2上方の装着筒部95内面に一端を開口した空気通路pと連通し、蓋板部外周に一端を開口する液流路と連通する気液混合室Rを、底板と蓋板部との間に画成した場合には、中央より上方に向かってテーパー状に広がる液流路を備えているため、また、この液流路は吐出弁体36の外周に設けられているため、液の流れがよりスムーズとなる特徴を兼ね備えている。
【0022】
蓋板部外周の液流路の一端開口部位に、空気通路pの一端を開口して合流させた場合には、液と空気の混合が均一化され良質な泡を吐出することができる利点を兼ね備える。
【0023】
隔壁部材C5は、ステムC2内周に嵌着させた、上面が上方へ向かって広がるテーパ面f1をなす嵌合筒91と、嵌合筒91内周縁に立設した支柱92により外周縁を支持され、下面周縁部を上方へ向かって広がるテーパ面f2とした蓋板部とを備え、両テーパ面間に上記液流路を画成した場合には、構造がシンプルで、しかもステムC2への組み付けも容易に行なえる利点を兼ね備える。
【0024】
作動部材Cが、装着筒部95外周に嵌合させた縦筒50の上部に基端を開口してノズル53を延設した吐出ヘッドC4と、ステムC2外周上端部に下部を嵌着した装着筒部95の下端内周に環状凹部98を凹設した装着筒部材C6と、下端部とステムC2外周に突設した空気吐出弁用の弁座39とで空気吐出弁49を構成し、上端部を環状凹部98周面に摺動可能に嵌合させてステムC2外周に上下動可能に嵌合させた筒状弁部45を備え、筒状弁部45の外面より突設した隔壁46を介して空気用シリンダ20に摺動する摺動部47を備えた空気用ピストンC3と、装着筒部95内に嵌着した筒体71の端面にメッシュ70を張設した起泡部材C7とを備え、空気用シリンダ20からステムC2と筒状弁部45との間、ステムC2と装着筒部95との間を通り、ステムC2上端に至る空気通路pを設けた場合には、各部材をコンパクトに効率良く組み付けることができる利点を兼ね備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】泡吐出器の縦断面図である。(第1実施例)
図2】泡吐出器の要部拡大縦断面図である。(第1実施例)
図3】泡吐出器の縦断面図である。(第2実施例)
図4図3に於ける二点鎖線で囲まれた部分の要部拡大縦断面図である。(第2実施例)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0027】
図1及び図2は本発明の泡吐出器の第1実施例を示す。泡吐出器1は、装着キャップAと、シリンダ部材Bと、作動部材Cと、ポペット弁体Dと、オーバーキャップEとを備えている。
【0028】
装着キャップAは、泡吐出器1を容器体100に固定するためのもので、容器体100の口頸部101外周に嵌合させる周壁10の上端縁よりフランジ状の頂壁11を延設し、頂壁11中央部にガイド筒12を延設している。ガイド筒12は外筒12a及び内筒12bの二重筒状で、頂壁11上方へ起立した内外筒の上端を頂板12cで閉塞しており、各下端を頂壁11下方へ突設している。
【0029】
シリンダ部材Bは、上端部を装着キャップA裏面外周部に装着固定させた大径の空気用シリンダ20の下部に、小径の液用シリンダ21を同心円状に延設している。液用シリンダ21は、空気用シリンダ20の底壁部内周縁に周壁部の上端縁を連結して下方へ垂設し、周壁部の下端縁より中央を開口したテーパ状の底壁部を延設し、底壁部の上面を吸込み弁用の弁座22として構成している。また、底壁部の中央開口縁よりパイプ嵌合筒23を一体に垂設し、パイプ嵌合筒23に吸上げ用のパイプ24の上端を嵌着し、その下端を容器体100内下端部に垂下させている。更に、液用シリンダ21内面の底壁部外縁部から周壁部下端部に至る部分に、周方向複数の係止リブ25を突設している。各係止リブ25の上下中間部には上向き段部を設けている。
【0030】
作動部材Cは、シリンダ部材Bに対して上方付勢状態で上下動可能に組み付けしたもので、液用ピストンC1と、ステムC2と、空気用ピストンC3と、吐出ヘッドC4と、隔壁部材C5と、装着筒部材C6と、起泡部材C7とを備えている。
【0031】
液用ピストンC1は、ステムC2内下部に嵌着した嵌合筒部30の下端外周より外方へ上下スカート状の摺動部31を突設し、摺動部31を液用シリンダ21内周に液密摺動可能に嵌合させている。また、嵌合筒部30の上端部はステムC2内の上下方向中間部に於いて突条形態の逆止弁用の弁座32を形成している。そして、液用ピストンC1の嵌合筒部30下面と各係止リブ25の上向き段部との間にコイルスプリングsを介在させて作動部材Cを常時上方へ付勢させている。
【0032】
ステムC2は、上下端を開口した筒状をなし、液用シリンダ21に摺動する液用ピストンC1を下部外周に突設するとともに、空気用シリンダ20内を摺動する空気用ピストンC3を外周上部に連携させて、液用シリンダ21内及び空気用シリンダ20内を上下動可能に装着されている。ステムC2内上部には吐出弁用の弁座35を形成し、該弁座35上に載置された別体の玉状の吐出弁体36とで吐出弁37を形成している。本例に於ける吐出弁用の弁座35はステムC2内面より突設したフランジ部35aの内周縁より起立した、上面が内方へ下るテーパ面をなす筒状に形成されている。また、吐出弁用の弁座35の下面から逆止弁用の弁座32の直上までの間に周方向複数の縦突条38を突設している。更に、外面上下方向中間部にはフランジ状に突設した空気吐出弁用の弁座39を突設しており、その上方の筒壁外周には周方向複数の縦突条40を突設している。尚、本発明に於ける吐出弁37は、ステムC2内上部に突設した吐出弁用の弁座35に、別体の吐出弁体36を載置して構成されたものが対象となり、吐出弁体36は一般的な玉状をなすものであっても、例えば紡錘形状等の他の形状であっても良く、上記した構成を備えていれば良い。
【0033】
空気用ピストンC3は、内周縁の筒状弁部45をステムC2外周に小幅の上下動が可能に嵌合させ、筒状弁部45外周より延設した階段状の隔壁46を介して、空気用シリンダ20内周に液密摺動可能に嵌合した上下スカート状の摺動部47延設している。筒状弁部45はステムC2外周の縦突条40外面に上下動可能に嵌合させている。また、空気用シリンダ20の階段状の隔壁46には外気を導入するための外気導入弁48を設けている。外気導入弁48は、下降した作動部材Cが上昇する際に空気用シリンダ20内が負圧となることで開弁し、外気を導入する。
【0034】
また、後述する如く、ステムC2の外周上端部には、内周下端部に環状凹部55を凹設した吐出ヘッドC4の縦筒50を嵌合しており、筒状弁部45はその環状凹部55周面に摺動可能に嵌合させている。また、筒状弁部45は環状凹部55の頂面と、空気吐出弁用の弁座39との間を上下動可能に装着しており、筒状弁部45の下端部と空気吐出弁用の弁座39とで空気吐出弁49を構成している。そして、ステムC2と筒状弁部45との間に、空気吐出弁49から環状凹部55内に連通し、空気用シリンダ20内からステムC2内へ連通する空気通路pを構成する通気路を備えている。この空気吐出弁49は、図1に示す作動部材Cが最上方へ押し上げられている場合には閉塞しており、作動部材Cを押し下げた際には開弁し、更に押し下げ状態から上方付勢力により上昇する際には閉塞する如く構成している。
【0035】
吐出ヘッドC4はステムC2の外周上端部に内周下端部を嵌合させた縦筒50を頂板51裏面より垂設し、頂板51の周縁部から外周壁52を垂設し、外周壁52の下端部をガイド筒12内に垂下している。また、縦筒50の上端に基端を開口して、外周壁52を貫通して前方へ突設したノズル53を延設し、その先端に吐出口54を開口している。更に、縦筒50の下端部内面には上記した環状凹部55を凹設しており、環状凹部55直上の縦筒50内面には、下端を環状凹部55の上端に開口し、上端をステムC2直上に開口した縦凹溝56を縦設している。そして、この縦凹溝56内、環状凹部55内、ステムC2と筒状弁部45との間とで、空気用シリンダ20内からステムC2内に連通する空気通路pを構成している。また、縦筒50内の上端部には補強用リブ57を突設している。
【0036】
隔壁部材C5は、ステムC2内に嵌着して吐出弁体36の上下動を規制するもので、また、装着筒部材C6とで、空気用シリンダ20からの空気通路pと吐出弁37からの液流路が合流する気液混合室Rを画成する。
【0037】
隔壁部材C5は、ステムC2内周に嵌着させた嵌合筒60と、嵌合筒60内中央部の吐出弁体36上方に、周囲に液の流通が可能に支持されかつ上端を蓋板部eで閉塞させた隔壁筒部61を備えている。図示例では、嵌合筒60は、装着した際に、ステムC2の上端より下方位置に上端が位置する高さで、下端外周には環状突条62を突周設しており、下端内面を吐出弁用の弁座35の外面に嵌合するとともに、環状突条62をステムC2内面に周方向複数突設した係止突起41に乗り越え係合させて抜け出しの防止を図っている。また、隔壁筒部61は嵌合筒60の内面に周方向複数突設した支持リブ63により下部外周部を支持されており、下端を吐出弁体36と隙間をあけた位置に、上端をステムC2の上端より若干下方位置に支持されている。また、隔壁筒部61の下端部には周方向複数の凹部64を凹設しており、液の流通をより良好ならしめている。
【0038】
装着筒部材C6は、内部に起泡部材C7を嵌合して、吐出ヘッドC4の縦筒50内に嵌着している。図示例では、縦筒50内周に嵌着した装着筒部65の下端より、中央に連通窓66を開口して延設したフランジ状の底板を備え、また、フランジ状の底板下面よりステムC2内周に垂下筒68を垂設している。また、底板の周縁部下面から垂下筒68の外面を縦断する隙間用リブ69を周方向複数突設しており、隙間用リブ69を対応するステムC2の上面及び内面に当接して、底板及び垂下筒68とステムC2との間に、ステムC2上方の縦筒50内面に開口した空気通路pから隔壁筒部61外周の液流路に連通する通気路を設けて装着している。
【0039】
そして、空気通路pと連通し、隔壁筒部61外周の液流路と連通する気液混合室Rをフランジ状の底板と隔壁筒部61との間に画成している。
【0040】
起泡部材C7は、メッシュを張設した筒体71を一対用意して、メッシュ70が上端及び下端になる如く装着筒部材C6の装着筒部65内に嵌着している。尚、図示例では筒体を一対設けているが、メッシュを張設した筒体を一つ嵌着することも、三個以上嵌着することも可能であり、適宜選択することが可能である。
【0041】
ポペット弁体Dは、下端部外面に、それぞれ液用シリンダ21の係止リブ25間に位置させる、周方向複数の係止突部80を突設しており、液用シリンダ21内からステムC2内下部に至る長さを有しており、吸込み弁用の弁座22と下面が当接する位置から、各係止突部80がコイルスプリングs下面に当接する位置までの上下動が可能に装着している。各係止突部80上方は、下部を大径部に上部を小径部に形成しており、小径部の上端にはテーパ筒状に拡開する逆止弁体81を形成し、この逆止弁体81と逆止弁用の弁座32とで逆止弁82を形成している。また、ポペット弁体Dの下端部と吸込み弁用の弁座22とで吸込み弁83を構成している。
【0042】
オーバーキャップEは、ガイド筒12外周に下端部を着脱可能に嵌合させた周壁の上端より頂壁を延設した下端開口の有頂筒状をなし、吐出ヘッドC4を被覆して装着している。
【0043】
上記泡吐出器1は、図1の状態からオーバーキャップEを外して吐出ヘッドC4を押し下げると、空気用ピストンC3がステムC2に対して相対的に上昇して空気吐出弁49が開き、下降する空気用ピストンC3により空気用シリンダ20内の空気が加圧されて空気通路pを介して気液混合室R内に導入される。一方、液用シリンダ21が下降してポペット弁体Dを吸込み弁用の弁座22に当接させるまで下降させるとともに、ポペット弁体DがステムC2に対して相対的に上昇して逆止弁82が開き、液用シリンダ21内の加圧液を吐出弁37を介して気液混合室Rに導入させ、ここで気液を混合する。気液混合室Rで混合された気液は起泡部材C7を通過して発泡し、吐出ヘッドC4のノズル53の吐出口54から外部へ吐出される。尚、本例では上記構成の隔壁部材C5の存在で、液用シリンダ21内の加圧液は、吐出弁37を開いて吐出弁体36の周囲から隔壁筒部61外周を通り気液混合室Rに導入される。
【0044】
吐出ヘッドC4の押圧を解除すると、コイルスプリングsの付勢力により作動部材Cが上昇し、その際空気用ピストンC3がステムC2に対して相対的に下降して空気吐出弁49が閉じ、空気用シリンダ20内の負圧化によって外気導入弁48が開いて外気が空気用シリンダ20内に導入される。一方、ステムC2の上昇によりポペット弁体Dは、逆止弁82と各縦突条38との摩擦力で上昇し、吸込み弁83が開いて負圧化した液用シリンダ21内に容器体100内の液が導入され、その際吐出弁37は閉じる。ポペット弁体Dはその係止突部80がコイルスプリングsの下面に当接するまで上昇するが、その後はステムC2に対して、逆止弁体81が逆止弁用の弁座32に当接するまで、相対的に下降する。
【0045】
図3及び図4は本発明の泡吐出器の第2実施例を示す。泡吐出器1は、装着キャップAと、シリンダ部材Bと、作動部材Cと、ポペット弁体Dと、ストッパーFとを備えている。
【0046】
装着キャップAは、泡吐出器1を容器体100に固定するためのもので、容器体100の口頸部101外周に嵌合させる周壁10の上端縁よりフランジ状の頂壁11を延設し、頂壁11中央部にガイド筒12を立設している。
【0047】
シリンダ部材Bは、上端部を装着キャップA裏面外周部に装着固定させた大径の空気用シリンダ20の下部に、小径の液用シリンダ21を同心円状に延設している。液用シリンダ21は、空気用シリンダ20の底壁部内周縁に周壁部の上端縁を連結して下方へ垂設し、周壁部の下端縁より中央を開口したテーパ状の底壁部を延設し、底壁部の上面を吸込み弁用の弁座22として構成している。また、底壁部の中央開口縁よりパイプ嵌合筒23を一体に垂設し、パイプ嵌合筒23に吸上げ用のパイプ24の上端を嵌着し、その下端を容器体100内下端部に垂下させている。更に、液用シリンダ21内面の底壁部外縁部から周壁部下端部に至る部分に、周方向複数の係止リブ25を突設している。各係止リブ25の上下中間部には上向き段部を設けている。
【0048】
作動部材Cは、シリンダ部材Bに対して上方付勢状態で上下動可能に組み付けしたもので、液用ピストンC1と、ステムC2と、空気用ピストンC3と、吐出ヘッドC4と、隔壁部材C5と、装着筒部材C6と、起泡部材C7とを備えている。
【0049】
液用ピストンC1は、ステムC2内下部に嵌着した嵌合筒部30の下端外周より外方へスカート状の摺動部31を突設し、摺動部31を液用シリンダ21内周に液密摺動可能に嵌合させている。また、嵌合筒部30の上端部はステムC2内の上下方向中間部に於いて突条形態の逆止弁用の弁座32を形成している。そして、液用ピストンC1の嵌合筒部30下面と各係止リブ25の上向き段部との間にコイルスプリングsを介在させて作動部材Cを常時上方へ付勢させている。
【0050】
ステムC2は、上下端を開口した筒状をなし、液用シリンダ21に摺動する液用ピストンC1を下部外周に突設するとともに、空気用シリンダ20内を摺動する空気用ピストンC3を外周上部に連携させて、液用シリンダ21内及び空気用シリンダ20内を上下動可能に装着されている。ステムC2内上部には吐出弁用の弁座35を形成し、該弁座35上に載置された別体の玉状の吐出弁体36とで吐出弁37を形成している。
【0051】
本例に於ける吐出弁用の弁座35は、ステムC2内面より突設したフランジ部35aと、フランジ部35aの内周縁に連設した、内周面が内方へ下るテーパ面をなす断面三角形状の環状部35bと、環状部35b下面に垂設した筒状部35cとから形成されており、テーパ面上に吐出弁体36を載置している。また、吐出弁用の弁座35の下面から逆止弁用の弁座32の直上までの間に周方向複数の縦突条38を突設している。更に、外面上下方向中間部にはフランジ状に突設した空気吐出弁用の弁座39を突設している。
【0052】
空気用ピストンC3は、内周縁の筒状弁部45をステムC2外周に小幅の上下動が可能に嵌合させ、筒状弁部45外周より延設した階段状の隔壁46を介して、空気用シリンダ20内周に液密摺動可能に嵌合した上下スカート状の摺動部47延設している。また、空気用シリンダ20の階段状の隔壁46には外気を導入するための外気導入弁48を設けている。外気導入弁48は、下降した作動部材Cが上昇する際に空気用シリンダ20内が負圧となることで開弁し、外気を導入する。
【0053】
また、後述する如く、ステムC2の外周上端部には、内周下端部に環状凹部98を凹設した装着筒部材C6の装着筒部95を嵌合しており、筒状弁部45はその環状凹部98周面に摺動可能に嵌合させている。また、筒状弁部45は環状凹部98の頂面と、空気吐出弁用の弁座39との間を上下動可能に装着しており、筒状弁部45の下端部と空気吐出弁用の弁座39とで空気吐出弁49を構成している。そして、ステムC2と筒状弁部45との間に、空気吐出弁49から環状凹部98内に連通し、空気用シリンダ20内からステムC2内へ連通する空気通路pを構成する通気路を備えている。この空気吐出弁49は、図3に示す作動部材Cが最上方へ押し上げられている場合には閉塞しており、作動部材Cを押し下げた際には開弁し、更に押し下げ状態から上方付勢力により上昇する際には閉塞する如く構成している。
【0054】
吐出ヘッドC4は、下端部をステムC2の外周上端部に嵌合させた装着筒部材C6の装着筒部95の上端部外周に、頂板51裏面より垂設した縦筒50を嵌合して装着している。頂板51の周縁部から短い外方垂下壁58を垂設し、外方垂下壁58と縦筒50との間に別体の内方垂下壁59を垂設している。また、縦筒50の上端に基端を開口して、内方垂下壁59及び外方垂下壁58を貫通して前方へ突設したノズル53を延設し、その先端に吐出口54を開口している。
【0055】
隔壁部材C5は、ステムC2内に嵌着して吐出弁体36の上下動を規制するもので、また、装着筒部材C6とで、空気用シリンダ20からの空気通路pと吐出弁37からの液流路が合流する気液混合室Rを画成する。
【0056】
隔壁部材C5は、ステムC2内上端部に嵌着され、吐出弁37上方に蓋板部を支持し、中央より上方に向かってテーパ状に広がり、蓋板部周囲に開口する液流路を備えている。図示例に於いて隔壁部材C5は、ステムC2内周に嵌着させた、上面が上方へ向かって広がるテーパ面f1をなす嵌合筒91と、嵌合筒91内周縁に立設した支柱92により外周縁を支持され、下面周縁部が上方へ向かって広がるテーパ面f2とした蓋板部とを備え、両テーパ面間に上記液流路を画成している。蓋板部は、上面中央及び下面中央にそれぞれ円形の上部凹部93及び下部凹部94を凹設している。また、蓋板部は下面を吐出弁体36と隙間をあけた位置に、上端をステムC2の上端より若干上方位置に支持されている。
【0057】
装着筒部材C6は、内部に起泡部材C7を嵌合して、吐出ヘッドC4の縦筒50内に嵌着している。図示例では、吐出ヘッドC4の縦筒50内周に装着筒部95の外周上端部を嵌着させており、装着筒部95の下端部をステムC2の外周上端部に嵌着させている。装着筒部95は下部が肉厚小外径で、上部が肉薄大外径をなし、また、装着筒部95の上下中央部の肉厚小外径部分の内周より、蓋板部上方に、中央部が隆起したフランジ状の底板を延設しており、底板の中央に連通窓を開口している。また、装着筒部95の下端部内周には環状凹部98を設け、環状凹部98直上の装着筒部95内面には、下端を環状凹部98の上端に開口し、上端をステムC2直上に開口した縦凹溝99を縦設している。そして、この縦凹溝99内、環状凹部98内、ステムC2と筒状弁部45との間とで、空気用シリンダ20内からステムC2内に連通する空気通路pを構成している。本例に於ける空気通路pの上端開口は装着筒部95の内面に周方向複数間欠に設けられており、それぞれ放射状に形成されている。尚、空気通路pの開口は少なくとも一つあれば良い。
【0058】
そして、空気通路p及び液流路と連通する気液混合室Rを、フランジ状の底板と蓋板部eとの間に画成している。
【0059】
起泡部材C7は、メッシュを張設した筒体71を一対用意して、メッシュ70が上端及び下端になる如く、装着筒部材C6の肉薄大外径をなす装着筒部95の上部内に嵌着している。
【0060】
ポペット弁体Dは、実質的に図1の例と同様である。
【0061】
ストッパーFは、吐出ヘッドC4の内方垂下壁59と、装着キャップAの頂壁11間に介在させ、ガイド筒12外周に離脱可能に嵌合させて吐出ヘッドC4の押し下げを防止する。
【0062】
上記泡吐出器1は、図3の状態からストッパーFを外して吐出ヘッドC4を押し下げると、基本的に図1の例と同様に作用する。但し、本例では、上記した上方に向かってテーパ状に広がる液流路を備えた隔壁部材C4の存在で、吐出弁からの液の流れがより円滑となり、また、蓋板部90外周の液流路の一端開口部位に、空気通路pの一端を開口して合流させて気液をスムーズに合流させている。
【0063】
本発明では、ステムC2内に吐出弁体36の上下動を規制する隔壁部材C5を嵌着するとともに、吐出ヘッドC4の縦筒50内に、内部に起泡部材C7を嵌合する装着筒部材C6を嵌着しているため、吐出ヘッドC4が外れる際には隔壁部材C5はステムC2内に止まり、装着筒部材C6と吐出ヘッドC4とが一緒に外れる。従って、吐出弁体36が外れる虞はない。
【符号の説明】
【0064】
1:泡吐出器
A:装着キャップ
10…周壁、11…頂壁、12…ガイド筒、12a…外筒、12b…内筒、12c…頂板B:シリンダ部材
20…空気用シリンダ、21…液用シリンダ、22…吸込み弁用の弁座、
23…パイプ嵌合筒、24…吸い上げ用のパイプ、25…係止リブ、
C:作動部材
C1:液用ピストン
30…嵌合筒部、31…摺動部、32…逆止弁用の弁座
C2:ステム
35…吐出弁用の弁座、35a…フランジ部、35b…環状部、35c…筒状部、
36…吐出弁体、37…吐出弁、38…縦突条、39…空気吐出弁用の弁座、
40…縦突条、41…係止突起
C3:空気用ピストン
45…筒状弁部、46…階段状の隔壁、47…摺動部、48…外気導入弁、
49…空気吐出弁
C4:吐出ヘッド
50…縦筒、51…頂板、52…外周壁、53…ノズル、54…吐出口、
55…環状凹部、56…縦凹溝、57…補強用リブ、58…外方垂下壁、
59…内方垂下壁、
C5:隔壁部材
60…嵌合筒、61…隔壁筒部、62…環状突条、63…支持リブ、64…凹部
91…嵌合筒、92…支柱、93…上部凹部、94…下部凹部、
f1…テーパ面、f2…テーパ面
C6:装着筒部材
65…装着筒部、68…垂下筒、69…隙間用リブ、
95…装着筒部、98…環状凹部、99…縦凹溝
C7:起泡部材
70…メッシュ、71…筒体
D:ポペット弁体
80…係止突部、81…逆止弁体、82…逆止弁、83…吸込み弁
E:オーバーキャップ
F:ストッパー
s:コイルスプリング
p:空気通路
R:気液混合室
…底板 …蓋板部 …連通窓
100:容器体
101…口頸部
図1
図2
図3
図4