特許第5924785号(P5924785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5924785
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】バラスト止め付きケーブルトラフ
(51)【国際特許分類】
   H02G 9/04 20060101AFI20160516BHJP
   E01B 1/00 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   H02G9/04
   E01B1/00
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-92765(P2014-92765)
(22)【出願日】2014年4月28日
(65)【公開番号】特開2015-211586(P2015-211586A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2015年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592243313
【氏名又は名称】フジプレコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】河田 文造
(72)【発明者】
【氏名】市川 巧
(72)【発明者】
【氏名】野池 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】森岡 治希
(72)【発明者】
【氏名】松林 克法
【審査官】 石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−282345(JP,A)
【文献】 特開昭49−067469(JP,A)
【文献】 特開2012−162972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 9/04
H02G 1/06
E01B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側壁と底壁とにより略U字状をなすケーブルトラフ本体と、前記いずれか一方の側壁より、上方に立ち上がる略平板状をなすバラスト止め壁と、前記バラスト止め壁の壁頂部に係止し、前記壁の両側面及び上端面に添接する略コ字状をなす壁頂部係止片と、該壁頂部系止片の裏面側に取り付けられ、垂直方向上下端に各々開口部を有し、内部に前記開口部と連通する中空状貫挿部を有する中空パイプ状の杭貫挿部材と、前記杭貫挿部材の中空部内を貫挿し、地中に打設される打設部を有するケーブルトラフ固定用杭と、
を有することを特徴とするバラスト止め付きケーブルトラフ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道沿線に埋設設置されているケーブルトラフのバラスト崩れ、すなわち傾斜を有して斜面状に敷設されているバラストによりケーブルトラフが埋もれてしまい、特に鉄道関連工事に伴うケーブルトラフの取替え及びケーブル障害探索時に作業困難となるため、ケーブルトラフが埋もれないようにしたバラスト止付きケーブルトラフに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーブルトラフの敷設施工は、一般に鉄道の線路などの軌道近傍位置に敷設されるが、鉄道のレールはバラストで築かれたいわゆる高台上に設けられ、ケーブルトラフは該高台の裾野下端部位置に沿って敷設される。
【0003】
ここで、鉄道線路などの長年の使用によっては、砂利や小石群によって形成されたバラストが、徐々に崩れることがあり、これによって、ケーブルトラフ上に前記バラストが堆積し、ケーブルトラフが埋もれてしまう課題が多々あった。
【0004】
前述したように、ケーブルトラフが埋もれてしまうと、鉄道関連工事に伴うケーブルトラフ取替えが必要とされるとき、あるいはケーブル障害探索時にケーブルトラフ内の障害探索作業がきわめて困難になってしまう。
【0005】
そこで、従来、前記課題を解決するために、特開2012−162972号公報に記載されたような各種のバラスト止め構造体が各種提案されている。
【0006】
しかしながら、いずれのバラスト止め構造体もケーブルトラフとは別体のもので(図5参照)、当該バラスト止め構造体を設置した後に、さらにケーブルトラフを敷設する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−162972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かくして、本発明は前記従来からの課題を解決するために創案されたものであり、鉄道線路などの長年の使用によって、砂利や小石群によって形成されたバラストが、徐々に崩れ、これによって、ケーブルトラフ上に前記バラストが堆積し、ケーブルトラフが埋もれることがなく、もって、鉄道関連工事に伴うケーブルトラフ取替えが必要とされるときにあっても、あるいはケーブル障害探索時にあっても、迅速に作業を行え、しかも、バラスト止め構造体をケーブルトラフと一体的に構成するため、作業も簡単で、コストも安価になしえるバラスト止め付きケーブルトラフを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるバラスト止め付きケーブルトラフは、
両側壁と底壁とにより略U字状をなすケーブルトラフ本体と、前記いずれか一方の側壁より、上方に立ち上がる略平板状をなすバラスト止め壁と、前記バラスト止め壁の壁頂部に係止し、前記壁の両側面及び上端面に添接する略コ字状をなす壁頂部係止片と、該壁頂部系止片の裏面側に取り付けられ、垂直方向上下端に各々開口部を有し、内部に前記開口部と連通する中空状貫挿部を有する中空パイプ状の杭貫挿部材と、前記杭貫挿部材の中空部内を貫挿し、地中に打設される打設部を有するケーブルトラフ固定用杭と、
を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるバラスト止め付きケーブルトラフであれば、鉄道線路などの長年の使用によって、砂利や小石群によって形成されたバラストが、徐々に崩れ、これによって、ケーブルトラフ上に前記バラストが堆積し、ケーブルトラフが埋もれることがなく、もって、鉄道関連工事に伴うケーブルトラフ取替えが必要とされるときにあっても、あるいはケーブル障害探索時にあっても、迅速に作業を行え、しかも、いわゆるバラスト止め構造体をケーブルトラフと一体的に構成できるため、敷設作業など簡単に行え、もって敷設コストなども安価になしうるとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の構成を説明する構成説明図(1)である。
図2】本発明の構成を説明する構成説明図(2)である。
図3】本発明の構成を説明する構成説明図(3)である。
図4】本発明の構成を説明する構成説明図(4)である。
図5】従来例の構成を説明する構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図に示す実施例に基づいて説明する。
図1乃至図4にバラスト止め付きケーブルトラフの構成を示す。本実施例において、ケーブルトラフ本体1は、底壁2と該底壁2の幅方向両端部から立ち上がる両側壁3、3を有して、略コ字状に形成されている。
【0013】
そして、前記いずれか一方側の側壁3の上端面からは、側壁3の立ち上がり方向と同様の方向、すなわち上方垂直方向に向かい延出するバラスト止め壁4が設けられている。
【0014】
ここで、バラスト止め壁4は、ケーブルトラフ本体1を形成する際の型枠を変更、改良して、ケーブルトラフ本体1と一体的に形成することが出来る。
また、図から理解されるように、このバラスト止め壁4の厚みは、前記側壁3の厚みよりも薄くして構成してある。
【0015】
なお、バラスト止め壁4の高さについては、何ら制限はないが、本実施例では、側壁3の高さと略同等としてある。
また、バラスト止め壁4の長手方向の長さであるが、ケーブルトラフ本体1の長手方向の長さと同様の長さとしてある。
【0016】
しかして、バラスト止め付きケーブルトラフの製造方法の概略につき、若干説明すると、このバラスト止め付きケーブルトラフに使用するモルタルの水セメント比は、40%以下にしておくものとする。そして、材料の計量は全て質量による。但し、水及び液体のコンクリート用化学混和剤は容積で計量しても良い。また、バラスト止め付きケーブルトラフの成型は、金属製若しくは樹脂等の型枠内にコンクリートを投入し、振動機を用いるか又はこれと同等以上の効果が得られる方法で締固めながら行う。そして、満足な成果が得られるような養生を行った後、脱型して製品を得る。
【0017】
さらに、バラスト止め付きケーブルトラフに使用する高強度モルタルは、圧縮強度=60N/mm2以上にしてあり、その曲げ強度は、バラスト止め壁4に規格荷重1kN、ケーブルトラフ本体1の底壁2に規格荷重6.0kNの曲げ強度荷重を加えたとき、0.05mmを超えるひびわれが発生してはならないものとしてある。
【0018】
次に、バラスト止め付きケーブルトラフの敷設につき説明する。このバラスト止め付きケーブルトラフを所定の箇所、例えば鉄道の線路脇に線路長手方向に沿って敷設していく。すなわち、所定の線路脇に線路長手方向に沿って、バラスト止め付きケーブルトラフを敷設するための凹溝条を掘削し、この凹溝条内にバラスト止め付きケーブルトラフを敷設していく。
【0019】
凹溝条内にバラスト止め付きケーブルトラフ10を敷設した後、図3図4から理解されるように、隣り合うバラスト止め付きケーブルトラフ10、10の接続箇所に跨げて、バラスト止め壁4の表面6、裏面7の上部面及びバラスト止め壁4の上端面8に添接して設置される略コ字状をなすバラスト止め壁係止片9を取り付ける。
【0020】
ここで、バラスト止め壁係止片9には、バラスト止め壁4の裏面7側に添接する構成片11に略中空パイプ状をなす杭貫挿部材12が取り付けられている。この杭貫挿部材12は、垂直方向上下端に各々開口部を有し、内部には前記開口部と連通する中空状貫挿部13を有する。
【0021】
前記したように、隣り合うバラスト止め付きケーブルトラフ10、10の接続箇所に跨げて、バラスト止め壁係止片9を取り付けた後、杭貫挿部13内にケーブルトラフ固定用杭14を挿入し、その先端部を打設して、該地ラフ固定用杭14の打設部15を地中に打設し、固定していくのである。
【0022】
ここで、ケーブルトラフ固定用杭14を打設した状態を図1図2図3に示す。これらの図に示すように敷設を行えば、確実にバラスト止めが行えるバラスト止めつきケーブルトラフを迅速に敷設することが出来るものとなる。
【符号の説明】
【0023】
1 ケーブルトラフ本体
2 底壁
3 側壁
4 バラスト止め壁
6 バラスト止め壁の表面
7 バラスト止め壁の裏面
8 バラスト止め壁の上端面
9 バラスト止め壁係止片
10 バラスト止め付きケーブルトラフ
11 構成片
12 杭貫挿部材
13 杭貫挿部
14 ケーブルトラフ固定用杭
15 打設部
図1
図2
図3
図4
図5