特許第5924791号(P5924791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5924791
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】自転車用リムクリーナ
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/033 20060101AFI20160516BHJP
   B08B 1/00 20060101ALI20160516BHJP
   F16D 65/00 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   B24B27/033
   B08B1/00
   F16D65/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-61982(P2015-61982)
(22)【出願日】2015年3月25日
【審査請求日】2015年3月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715002559
【氏名又は名称】金山 弥旦
(72)【発明者】
【氏名】金山 弥旦
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−063759(JP,U)
【文献】 特開昭52−114191(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02262229(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 27/033
B08B 1/00
F16D 65/00
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略中央部に砥石を配置し、この砥石の両側に左右少なくとも1つ以上の放水孔を有し、これらの放水孔に接続される送水管を内蔵する洗浄機構と、
この洗浄機構上部に取り付けられた汚れ吸着素材留め具と、
この汚れ吸着素材留め具によって一端が固定され、前記放水孔を覆うように配置された交換可能な汚れ吸着素材と、
前記洗浄機構の後部において前記洗浄機構に内蔵された送水管に接続された送水管と、
この送水管の後部に取り付けられた脱着可能な可撓性の貯水部分と、
この送水管の外周を覆うように取り付けられた取手と、
からなる自転車用リムクリーナ。
【請求項2】
略中央部に砥石を配置し、この砥石の両側に左右少なくとも1つ以上の放水孔を有し、これらの放水孔に接続される送水管を内蔵する洗浄機構と、
この洗浄機構上部に取り付けられた汚れ吸着素材留め具と、
この汚れ吸着素材留め具によって一端が固定され、前記放水孔を覆うように配置された交換可能な汚れ吸着素材と、
前記洗浄機構の後部において前記洗浄機構に内蔵された送水管に接続されたシリンジと、
このシリンジに挿入する押子と、
このシリンジの外周を覆うように取り付けられた取手と、
からなる自転車用リムクリーナ。
【請求項3】
前記洗浄機構に内蔵された送水管に接続された送水管の内部に、逆流防止弁を備えたことを特徴とする請求項1記載の自転車用リムクリーナ。
【請求項4】
前記取手に凹凸が設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の自転車用リムクリーナ。

【請求項5】
前記汚れ吸着素材留め具が、弾力性を有する金属又は樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自転車用リムクリーナ。
【請求項6】
前記洗浄機構の略中央部に配置された砥石が、弾性体を介して前記洗浄機構に装着されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自転車用リムクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のリムのブレーキ面に付着したブレーキダストを容易に除去し、ブレーキ面を研磨することができるクリーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リムブレーキ式のブレーキはゴム製のブレーキパッドをリムに押し付けて制動する構造であり、安価であることもあって、多くの自転車で使われている。しかし、リムブレーキ式のブレーキは、ブレーキを使用しているうちにブレーキパッドの削れた粉がリムに付着し、制動力が低下するという問題が生じる。
【0003】
こうしたリムブレーキ式のブレーキを採用する自転車のリムの洗浄に関し、液体を塗布しながらリムのブレーキ面の清掃や仕上げを行う清掃具を用いることも考えられる(特許文献1)。
【0004】
また、ブレーキの制動力回復には、ブレーキダストの洗浄に加え、ブレーキ面に生じた凹凸を研磨し平滑にするリムの研磨が必要であり、リムを研磨する専用の製品もいくつか存在している。このような製品を用いてリムを研磨することにより、新たにリムの金属粉が生じる。よって、リムの洗浄・研磨の行程では、研磨により生じたリムの金属粉や砥石の削りかすをも洗浄により除去する必要が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-116155
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の背景技術で述べたように、リムブレーキ式ブレーキを採用した自転車のリムのブレーキ面の洗浄・研磨の行程では、
1). ブレーキダストの除去
2). リムの研磨
3). 研磨により生じたリムの金属粉や砥石の削りかすの除去
4). リムの洗浄仕上げ
という各ステップが必要である。
【0007】
従来、上記各行程はすべて手作業で行われるのが通常であった。そして、従来の手作業によるリムブレーキ式ブレーキを採用した自転車のリムのブレーキ面の洗浄・研磨では、ブラシなどでリムを水洗いをする、砂消しゴムで擦る、リムブレーキ専用の砥石で研磨するといった方法が採用されたが、これらの方法では、水洗いする際には周りに汚水が飛散したり、水分を拭き取らなければならないため、作業場所が限られ、時間と手間がかかるという課題があった。
【0008】
また、砂消しゴムや専用の砥石を利用すれば、手が汚れ、リムのブレーキ面に研磨後に金属片や削り滓といった汚れが残ってしまうという課題があった。
【0009】
本発明は、洗浄中に手を汚さずに確実に保持でき、リムの洗浄、ブレーキダストの除去、リムの金属粉の除去、及びリムの研磨を可能とする自転車用リムクリーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、まず、図1の符号1に示すように、洗浄液を蓄える脱着可能な可撓性の貯水部分を送水管の一端に取り付けている。この貯水部分に洗浄液を蓄えることにより、リムのブレーキ面の洗浄中にこの送水管のもう一端に取り付けた洗浄機構へ洗浄液を送水することが可能である。
また、前記送水管により前記貯水部分に蓄えられた洗浄液を、図1及び図3の符号6に示すように、前記洗浄機構の正面の略中央部の砥石の両側に設けた左右少なくとも1つ以上の放水孔から放水させることを可能とする。洗浄液を放水させることにより、リムのブレーキ面に付着した汚れを前記洗浄機構の前面を覆うように取り付けた汚れ吸着素材によって確実に除去する作用がある。
さらに、図1の符号2に示すように、前記送水管の外周を覆う取手を取り付けることで、本願発明を使用したリムのブレーキ面の洗浄中においても本願発明に係る実施品を確実に保持することを可能とする。
さらに、図3の符号4に示すように、前記洗浄機構正面の略中央部に取り付けた砥石により、リムのブレーキ面を研磨することを可能とする。
さらに、図1の符号5に示すように、前記洗浄機構上部に固定された汚れ吸着素材留め具により、リムのブレーキ面の洗浄・研磨により生じた汚れを吸着させるための汚れ吸着素材の一片を固定し、かつ前記洗浄機構の正面を覆うように取り付けることが可能である。
これらの機能を備えた本発明の前記洗浄機構により、短時間でしかも確実にリムのブレーキ面を洗浄することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自転車用リムクリーナは、上述の貯水部分の洗浄液を蓄える作用、及びこの貯水部分と一体となった洗浄液を洗浄機構へ送る送水管の作用により、別口で洗浄液を洗浄機構へ供給するための装置を使用することなく、洗浄液を洗浄機構へ確実に供給することができる。
また、送水管の外周部分に取りつけた取手により、洗浄中であっても洗浄機構を確実に手で保持でき、洗浄機構に直接手で触れずに済むため、洗浄が容易になるとともに、洗浄によって手が汚れるのを防ぐことができる。
加えて、洗浄機構上部に取り付けられた汚れ吸着素材留め具は布やちり紙といった汚れ吸着素材を固定するだけの単純な構造であるため、取扱いが非常に容易であり専用に設計された汚れ吸着素材でなくても取り付けられるので、経済的である。
さらに、洗浄機構に設けられた砥石の研磨作用、洗浄機構に取り付けた汚れ吸着素材が汚れを吸着する作用、洗浄液の洗浄作用により、リムのブレーキ面を効果的かつ短時間で洗浄および研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の好ましい一実施形態に係る自転車用リムクリーナ全体の各部を示す斜視図である。
図2】本発明の好ましい一実施形態に係る自転車用リムクリーナの洗浄機構背面部を示す斜視図である。
図3】本発明の好ましい一実施形態に係る自転車用リムクリーナの洗浄機構正面の各部を示す正面図である。
図4】本発明の好ましい一実施形態に係る自転車用リムクリーナの洗浄機構及び送水管の内部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい一実施形態に係る自転車用リムクリーナは、図1に示すように、例えばプラスチック樹脂からなる脱着可能なジャバラ式又はスポイト式で可撓性のある貯水部分1に洗浄液を貯水し、送水管3に接続されている。このとき貯水部分1には、例えば60ml程度の洗浄液を貯水する容量がある。また貯水部分1及び送水管3は、同程度の容量を持つシリンジと、このシリンジに挿入する押子とで代用することも可能である。
【0014】
そして本実施形態では、汚れ吸着素材留め具5に一片を固定した汚れ吸着素材で洗浄機構の放水孔6を覆うように配置して使用する。このとき汚れ吸着素材留め具には、マグネット、面ファスナー、ゴム、ひもが採用できるほか、例えばステンレスやプラスチック樹脂のような弾力性を有する金属又は樹脂を用いることができる。また、汚れ吸着素材には、例えば、布、化学繊維、ティッシュペーパー、ペーパータオルを用いることもできる。
【0015】
また本実施形態では、図3に示すように、洗浄機構正面の略中央部には砥石を配置している。このとき砥石は、図4に示すように、例えばバネのような弾性体7を介して洗浄機構正面に装着して用いることができる。この砥石を弾性体を介して洗浄機構正面に装着することで、砥石を一定の力でリムのブレーキ面に押し当て使用することが可能である。加えて、前記弾性体を介して前記洗浄機構に砥石を装着することで、リムのブレーキ面を研磨する際に、砥石の摩耗の度合いに応じて、リムのブレーキ面と前記汚れ吸着素材及びこの砥石との接触面を一定に保つことが可能になる。
【0016】
さらに本実施形態では、図3に示すように、洗浄機構正面の略中央部に配置された砥石の両側に左右少なくとも1つ以上の放水孔を有する。これらの放水孔は、例えばシャワーヘッドのように多数の孔であってもよい。
【0017】
本実施形態では、図2又は図4に示すように、送水管3は洗浄機構後部で洗浄機構内部に配管された送水管に接続される。このとき送水管3には、図1又は図2に示すように、その外周を覆うように凹凸を有する取手2が取り付けられた態様で用いる。この取手2には、例えばウレタンやゴムといったグリップ性のある材質を用いることができる。
【0018】
ここで送水管3には、逆流防止弁を内臓させることで、貯水部分1から送水される洗浄液や洗浄中の汚水が放水孔から逆流することを防ぐ態様で使用することもできる。またこの逆流防止弁により、放水孔からの気泡の混入を防ぎ、洗浄液を安定的に送水することが可能になる。
【0019】
すなわち本実施形態によれば、洗浄液を貯水する貯水部分から送水管を通じて洗浄機構に送水することで、あるいはシリンジと押子とで洗浄液を洗浄機構に送水することで、洗浄機構正面の放水孔から洗浄液をリムのブレーキ面に塗布しながら、リムのブレーキ面の汚れを洗浄することが可能である。また、洗浄機構正面の略中央部に配置された砥石により、洗浄されたリムのブレーキ面を洗浄中に研磨することが可能である。さらに、前記放水孔を覆うように配置された前記汚れ吸着素材により、リムのブレーキ面のブレーキダスト、及びリムのブレーキ面の洗浄・研磨により生じたリムの金属粉や砥石の削りかすを吸着させることが可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 貯水部分
2 取手
3 送水管
4 砥石
5 汚れ吸着素材留め具
6 放水孔
7 弾性体
【要約】
【課題】本発明は、洗浄中に手を汚さずに確実に保持でき、リムの洗浄、ブレーキダストの除去、リムの金属粉の除去、及びリムの研磨を可能とする自転車用リムクリーナを提供することを目的とする。
【解決手段】
上記課題を達成する自転車用リムクリーナを、略中央部に砥石を配置し、この砥石の両側に左右少なくとも1つ以上の放水孔を有し、これらの放水孔に接続される送水管を内蔵する洗浄機構と、この洗浄機構上部に取り付けられた汚れ吸着素材留め具と、この汚れ吸着素材留め具によって一端が固定され、前記放水孔を覆うように配置された交換可能な汚れ吸着素材と、前記洗浄機構の後部において前記洗浄機構に内蔵された送水管に接続された送水管と、この送水管の後部に取り付けられた脱着可能な可撓性の貯水部分と、この送水管の外周を覆うように取り付けられた取手とから構成した。

【選択図】図1
図1
図2
図3
図4