(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記新しい原料ゾーンが前記ミキサー非搭載貯蔵タンクの上部位置または中間位置にある場合に、前記第4のルーチンが前記ミキサー非搭載貯蔵タンク内の前記原料の総量のレベルに基づく前記送出ゾーンの送出原料特性値を含み、
前記新しい原料ゾーンが前記ミキサー非搭載貯蔵タンクの底部位置にある場合に、前記第4のルーチンが前記新しい原料ゾーンの前記原料特性値を含む前記送出ゾーンの前記送出原料特性値を含み、
前記ミキサー非搭載貯蔵タンクは、栓流貯蔵タンクである、
請求項8に記載のコンピュータ装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載されている方法例および装置例は、処理中の流体材料特性を提供する目的でプロセス制御システム内で使用される場合があり、オペレータは、プロセスが実行されても、または進行中でもプロセス欠陥を修正することができる。例えば、本明細書に記載されている方法および装置は、2009年8月11日に提出された米国特許出願第12/538,995号に記載のとおり、動作管理システム(OMS)とともに使用され得る。なお、同開示は参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。貯蔵タンクの送出流体材料特性に応じて、プロセスの修正を実施することができる。さらに、本明細書に記載されている方法例および装置例は、ミキサー非搭載貯蔵タンクから送出を表す流体材料特性を特定し、バッチプロセスの下流反応器と他のプロセスとを調節することによって製品品質を修正する目的で使用され得る。本明細書に記載されているプロセス制御システムは、任意のタイプのバッチ処理システム、連続処理システム、オートメーションシステム、および/または製造システムを含み得る。
【0016】
図1Aは、データヒストリアン12と、各々がディスプレイスクリーン14を有する1つもしくは複数のホストワークステーションまたはコンピュータ13(任意のタイプのパーソナルコンピュータやワークステーションなどであってよい)とに接続されたプロセスコントローラ11を含むプロセス制御システム例10を表す。コントローラ11は、入力/出力(I/O)カード26と28とを介して現場装置15〜22にも接続されており、現場装置15〜22を使用してバッチプロセスの1つもしくは複数のバッチランを実施するために動作し得る。データヒストリアン12は、任意の所望タイプのメモリと、データを記憶するための所望または公知のソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアとを有する任意の所望タイプのデータ収集ユニットであってよい。データヒストリアン12は、ワークステーション13の1つの一部であっても、それとは別であってもよい(
図1Aに図示)。例えば、エマーソン・プロセス・マネジメント社が販売しているDeltaV(登録商標)コントローラなどであり得るコントローラ11は、例えばイーサネット(登録商標)接続またはその他任意の所望の通信回路ネットワーク23を介してホストコンピュータ13とデータヒストリアン12とに、通信可能に接続されている。コントローラ11はまた、例えば
標準的な4〜20
mA
(ミリアンペア)の装置および/またはFOUNDATION(登録商標)Fieldbusプロトコル、HART(登録商標)プロトコル、WirelessHART(商標)プロトコルなどのような、任意の所望の高性能通信プロトコルと関連した任意の所望のハードウェアおよびソフトウェアを使用して現場装置15〜22にも通信可能に接続されている。
【0017】
現場装置15〜22は、センサ、バルブ、送信器、ポジショナなど、任意のタイプの装置であってよく、I/Oカード26および28は、任意の所望の通信またはコントローラプロトコルに適合する任意のタイプのI/O装置であってよい。
図1Aに図示されている実施形態では、現場装置15〜18が、アナログ回線またはアナログ・デジタル複合回線経由でI/Oカード26と通信する
標準的な4〜20
mA
(ミリアンペア)の装置またはHART装置であるのに対し、現場装置19〜22は、FOUNDATION(登録商標)Fieldbus現場装置など、Fieldbus通信プロトコルを使用してI/Oカード28にデジタルバス経由で通信する高性能装置である。当然のことながら、現場装置15〜22は、今後開発される任意の標準規格やプロトコルを含む、その他任意の所望の標準規格(単数または複数)またはプロトコルにも適合し得る。
【0018】
コントローラ11は、制御ループを含み得る、(メモリ32に記憶された)1つもしくは複数のプロセス制御ルーチンを実施または監督するプロセッサ30を含み、装置15〜22、ホストコンピュータ13およびデータヒストリアン12と通信して、任意の所望の方法でプロセスを制御する。本明細書に記載されるいかなる制御ルーチンまたはモジュールも、所望される場合には、異なるコントローラまたは他の装置によって実施
される制御ルーチンまたはモジュールの一部を有し得る点に留意すべきである。同様に、プロセス制御システム10内で実施される、本明細書に記載の制御ルーチンまたはモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア等を含め、任意の形態を取り得る。制御ルーチンは、オブジェクト指向プログラミング、はしご論理、連続機能チャート、関数ブロックダイアグラム、またはその他任意のソフトウェアプログラミング言語または設計パラダイムを使用するなど、任意の所望のソフトウェアフォーマットで実施され得る。同様に、制御ルーチンは、1つもしくは複数のEPROM、EEPROM、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはその他任意のハードウェアまたはファームウェア要素などにハードコードされ得る。こうして、コントローラ11は、制御ストラテジまたは制御ルーチンを任意の所望の方法で実施するように構成され得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、コントローラ11は、一般に関数ブロックと呼ばれるものを使用して制御ストラテジを実施する。各関数ブロックは、制御ルーチン全体のオブジェクトまたは他の部分(サブルーチンなど)であり、他の関数ブロックと(リンクと呼ばれる通信を介して)連動して、プロセス制御システム10内でプロセス制御ループを実施する。関数ブロックは、送信器、センサまたは他のプロセスパラメータ測定装置などと関連した入力機能、PID、ファジー論理、制御などを実行する制御ルーチンなどと関連した制御機能、バルブなど、ある装置の動作を制御する出力機能のうちの1つを実行して、プロセス制御システム10内でいくつかの物理的な機能を実行するのが典型的である。当然のことながら、混成および他のタイプの関数ブロックが存在する。関数ブロックは、コントローラ11内に記憶されており、コントローラ11によって実行され得るのが典型的な使用事例だが、標準的な4〜20
mA
(ミリアンペア)の装置、およびHART装置などある種の高性能現場装置と関連付けられていたり、Fieldbus装置の典型例として、現場装置の中に記憶されており、現場装置自体によって実施されたりすることもある。
【0020】
図1Aの分解ブロック40によって図示されるとおり、コントローラ11は、ルーチン42および44として図示されるいくつかの単一ループ制御ルーチンを含み得るとともに、所望であれば、複数入出力の制御ルーチンなど、制御ループ46として図示されている1つもしくは複数の高度な制御ループを実施し得る。かかる各ループは、制御モジュールと呼ばれるのが典型的である。単一ループ制御ルーチン42および44は、適切なアナログ入力(AI)およびアナログ出力(AO)機能ブロックにそれぞれ接続された単一入出力のファジー論理制御ブロックと単一入出力PID制御ブロックとを使用して単一ループ制御を実行するものとして図示されており、これらはバルブなどのプロセス制御装置と、温度および圧力送信器などの測定装置と、またはプロセス制御システム10内のその他任意の装置と関連付けられ得る。高度な制御ループ46は、1つもしくは複数のAI関数ブロックに通信可能に接続された入力と、1つもしくは複数のAO関数ブロックに通信可能に接続された出力とを含むものとして図示されているが、高度な制御ブロック48の入力および出力は、他のタイプの入力を受信し、他のタイプの制御出力を提供するために、その他任意の所望の関数ブロックまたは制御要素に接続され得る。高度な制御ブロック48は、任意のタイプのモデル予測制御(MPC)ブロック、ニューラルネットワークモデリングまたは制御ブロック、多変量ファジー論理制御ブロック、リアルタイムオプティマイザブロックなど、あるいは適宜調整された制御ブロックなどであり得る。高度な制御ブロック48を含む、
図1Aに図示される関数ブロックは、コントローラ11によって実行することができ、代替的に、ワークステーション13の1つや、場合によっては現場装置19〜22の1つなど、その他任意の処理装置に位置し、それらによって実行することもできることが理解されよう。
【0021】
さらに、
図1Aに図示するとおり、1つもしくは複数のプロセス分析ルーチン50が、プロセス制御システム10のさまざまなデバイスに記憶され、それらによって実行され得る。プロセス分析ルーチン50は、1つもしくは複数のコンピュータ可読メモリ52に記憶されており、ワークステーション13のプロセッサ54上で実行されるものとして図示されているが、代わりに他の装置で記憶および実行される可能性もある。各プロセス分析ルーチン50は、制御ルーチン42、44、46など1つもしくは複数の制御ルーチンに、および/または1つもしくは複数の測定されたプロセス変数測定値を受信するデータヒストリアン12に通信可能に連結されている。各プロセス分析ルーチン50は、統計的なプロセスモデルを構築し、そのモデルに基づいて進行中またはオンラインのバッチ処理を分析する目的で使用され得る。分析ルーチン50はまた、プロセス制御システム10によって実施されており、オンラインまたは進行中のバッチに関する情報をバッチオペレータなどのユーザに表示することもある。いくつかの実施形態では、プロセス分析ルーチン50が、本明細書に記載のとおり、ミキサー非搭載貯蔵タンクから排出される原料の材料特性を特定するためのルーチンを含み得る。
【0022】
図1Bは、プロセス監視および品質予測システム(PMS)とも呼ばれる動作管理システム(OMS)102を含むプロセス制御環境100のさらなる実施例を表すブロック図である。OMS 102は、プロセス制御システム106を含むプラント104内に位置する。プラント例104は、任意のタイプの製造施設、処理設備、オートメーション設備、および/またはその他任意のタイプのプロセス制御構造またはシステムでもあり得る。いくつかの実施例では、プラント104が異なる箇所に位置する複数の設備を含み得る。
図1Bのプラント104はプロセス制御システム106を含むものとして図示されているが、プラント104は他にもプロセス制御システムを含み得る。
【0023】
データバス110を介してコントローラ108に通信可能に連結されているプロセス制御システム106は、プロセス内の物理的な機能を実行したり、プロセス変数を測定したりするなど、プロセス機能を実施するための任意の数の現場装置(入力および/または出力装置など)を含み得る。これらの現場装置は、入力情報を受信し、出力情報を生成し、かつ/またはプロセスを制御することのできる任意のタイプのプロセス制御コンポーネントを含み得る。例えば、これらの現場装置は、プロセスを制御するための、例えばバルブ、ポンプ、ファン、ヒーター、クーラー、および/またはミキサーなどの入力装置を含み得る。加えてこれらの現場装置は、例えば、プロセス内の、または一部分のプロセス変数を測定するための温度計、圧力計、濃度計、液面計、流量計および/または蒸気センサなどの出力装置も含み得る。入力装置は、コントローラ108から命令を受信して1つもしくは複数の指定されたコマンドを実行し、プロセスに変化をもたらし得る。さらに、これらの出力装置は、プロセスデータ、環境データ、および/または入力装置データを測定し、測定されたデータをプロセス制御情報としてコントローラ108に送信する。このプロセス制御情報は、各現場装置からの測定出力結果に対応する変数の値(測定されたプロセス変数および/または測定された品質変数など)を含み得る。
【0024】
図1Bに図示された実施例では、コントローラ108がデータバス110を介してプロセス制御システム106内の現場装置と通信し得る。この装置は、プロセス制御システム106内の中間通信コンポーネントに連結され得る。これらの通信コンポーネントは、コマンド領域にある現場装置をデータバス110と通信可能に連結するためのフィールド結合ボックスを含み得る。加えて、通信コンポーネントは、現場装置および/またはフィールド結合ボックスへの通信経路を構成するための整理キャビネットを含み得る。さらに通信コンポーネントは、現場装置からデータを受信し、そのデータをコントローラ例108によって受信可能な通信メディアに変換するためのI/Oカードを含み得る。これらのI/Oカードは、コントローラ108からのデータを、対応する現場装置によって処理できるデータ形式に変換し得る。一実施例では、データバス110が、Fieldbusプロトコルまたは他のタイプの有線のおよび/または無線通信プロトコル(ProfibusプロトコルやHARTプロトコルなど)を使用して実施され得る。
【0025】
図1Bのコントローラ108は、1つもしくは複数の制御ルーチンを管理して、プロセス制御システム106内の現場装置を管理する。制御ルーチンは、プロセス監視アプリケーション、アラーム管理アプリケーション、プロセストレンド分析および/または履歴アプリケーション、バッチ処理および/またはキャンペーン管理アプリケーション、統計アプリケーション、ストリーミングビデオアプリケーション、高度な制御アプリケーションなどを含み得る。さらに、コントローラ108は、OMS 102にプロセス制御情報の転送もし得る。制御ルーチンは、プロセス制御システム106が特定の品質しきい値内で所望の製品の指定量を確実に生産する目的で実施され得る。例えば、プロセス制御システム106は、バッチの最終ステージで製品を生産するバッチシステムとして構成され得る。他の実施例では、プロセス制御システム106が、製品を絶え間なく生産する連続プロセス製造システムを含み得る。
【0026】
コントローラ108からのプロセス制御情報は、プロセス制御システム106内の現場装置を起点とする、測定されたプロセス変数および/または品質変数に対応する値を含み得る。他の実施例では、OMS 102が、プロセス制御情報内の値を解析して、対応する変数に変換し得る。測定されたプロセス変数は、プロセスの部分および/または現場装置の特徴を測定する現場装置を起点とするプロセス制御情報と関連している場合がある。測定された品質変数は、完成品の少なくとも一部分と関係しているプロセスの特徴を測定することに関連するプロセス制御情報と関連している場合がある。
【0027】
例えば、プロセスプラントは、ある濃度の化学物質を流体内に生産するタンクまたは反応器で化学反応を実行し得る。本実施例では、流体内の化学物質の濃度が品質変数であり得る。流体の温度とタンクへの流体流速がプロセス変数であり得る。OMS 102は、プロセス制御のモデル化および/または監視により、タンク内の流体の濃度がタンク内の流体の温度と反応器への流体(原料など)流量とに基づいていると特定し得る。そのため、その濃度は、品質変数であるだけでなく、流体流量および流体温度も濃度の品質に寄与または影響する。換言すれば、測定されたプロセス変数は、測定された品質変数の品質に寄与または影響する。OMS 102は統計処理を使用して、各プロセス変数が品質変数に及ぼす影響および/または寄与の大きさを決定し得る。
【0028】
加えて、OMS 102は、測定されたプロセス変数間の関係および/またはプロセス制御システム106と関連した品質変数間の関係をモデル化および/または特定し得る。測定されたプロセスおよび/または品質変数間のこれらの関係は、1つもしくは複数の計算された品質変数を生成し得る。計算された品質変数は、1つもしくは複数の測定されたプロセス変数、測定された品質変数、および/または他の計算された品質変数の多変量および/または線形代数の組み合わせであり得る。さらに、OMS 102は、測定されたプロセス変数、測定された品質変数、および/または計算された品質変数の組み合わせから全体品質変数を決定し得る。全体品質変数は、プロセス全体の品質決定および/またはプロセスの最終製品の予測品質に対応し得る。
【0029】
図1BのOMS 102は、記述モデリング、予測モデリング、および/または最適化を利用してプロセス制御システム106のステータスおよび/または品質に関するフィードバックを生成する分析プロセッサ114を含む。分析
プロセッサ114は、プラント104によって実行されるプロセスの各種特性をモデル化する1つもしくは複数のモデル化モジュール115に通信可能に連結され得る。分析プロセッサ114は、プロセス動作の欠陥を検出、特定、および/または診断し、品質変数に対する欠陥の影響および/またはプロセス制御システム106の最終製品の品質と関連した全体品質変数を予測し得る。さらに、分析プロセッサ114は、品質変数および/またはプロセス変数を統計的および/または論理的に組み合せて、プロセスの全体品質と関連した全体品質変数にすることによってプロセスの品質を監視し得る。分析プロセッサ114はその後、全体品質変数について計算された値および/または他の品質変数と関連した値をそれぞれのしきい値と比較し得る。これらのしきい値は、異なる時期におけるプロセス内の全体品質変数の所定品質制限に基づき得る。例えば、プロセスと関連した全体品質変数が一定の時間の長さにわたってしきい値を超えると、最終製品の予測最終品質が、完成品と関連した品質基準を満たさない場合がある。本明細書に記載されているとおり、モデル化モジュール115の一実施例は、ミキサー非搭載貯蔵タンクにおける材料特性をモデル化する原料特性モデル化モジュール115を含む。
【0030】
全体品質変数および/またはその他任意の品質変数がそれぞれのしきい値から逸脱する場合には、分析プロセッサ114が、全体品質変数と関連した既説明および/または未説明の変動(または分散)を示すプロセス概要チャートおよび/またはプロセス変動グラフ内で誤り表示を生成する場合があり、かつ/またはプロセスの欠陥を生成した変数を示す場合がある。分析プロセッサ例114は、測定されたプロセス変数、測定された品質変数、および/または計算された品質変数の現在および/または過去の値を表示し得るプロセス品質グラフ(組み合わせグラフ、マイクロチャート、プロセス変動グラフ、変数トレンドグラフ、グラフィックスなど)をオペレータが生成できるようにする機能を提供することにより、その分析結果を管理して1つもしくは複数のプロセスの欠陥の原因を特定する。さらに、分析プロセッサ114が、プロセスの動作中にこれらのグラフを生成し、さらなるプロセス制御情報がOMS 102によって受信されたときに各々のグラフと関連した多変量統計を継続的に更新および/または再計算する。
【0031】
分析プロセッサ114は、全体品質変数または欠陥を誘発している品質変数に対するプロセス変数および/または品質変数の寄与率を計算することにより、寄与率グラフを生成し得る。プロセス変数および/または品質変数の寄与率は、全体品質と関連した変動および/または欠陥と関連した品質変数への寄与率として、既説明および/または未説明の各変数の変動として表示され得る。
【0032】
さらに、分析プロセッサ
114は、定義済みしきい値よりも変動が大きい可能性がある選択済みプロセスおよび/または品質変数のいずれかを対象とする変数トレンドグラフを生成し得る。変数トレンドグラフは、その変数と関連した値を、プロセスの実行時間にわたり、以前のプロセスにおける同様の時間の変数の値と関連させて示し得る。寄与率グラフおよび/または変数トレンドグラフを生成することにより、分析
プロセッサ114は、そのプロセスに対して可能な修正措置を特定して、検出された欠陥を仲介することもあり得る。この変数トレンドグラフは、現在値と関連した変動(標準偏差など)を有する履歴プロットを重ね合わせることにより、オペレータによるプロセス欠陥の原因の特定を支援し得る。
【0033】
分析プロセッサ114は、プロセスの全体品質に対する修正措置(単数または複数)が実施されている場合には、その効果を決定するための品質予測グラフを生成し得る。その修正措置(単数または複数)によって全体品質が指定されたしきい値内に維持されるか、指定されたしきい値内にまで改善される場合には、分析プロセッサ114がOMS102にその修正措置(単数または複数)を実行するように明示し得る。あるいは、分析プロセッサ114がコントローラ108に命令を送信して、プロセスの修正措置(単数または複数)を実施し得る。
【0034】
さらに、分析プロセッサ例114は、全体品質変数および/またはその他任意の品質変数と関連した欠陥を特定すると、マイクロチャートを生成し得る。このマイクロチャートは、各変数の平均値および/または標準偏差と関連した、指定された時期(プロセスの欠陥と関連した時期など)におけるプロセスの値および/または品質変数の値を含み得る。加えて、このマイクロチャートは、各々のプロセスと関連した以前の値および/または品質変数を示すスパークラインを含み得る。このマイクロチャートから、分析プロセッサ例114は、オペレータがプロセスに対する1つもしくは複数の修正措置を特定および/または選択すること、および/または、いずれかの修正措置によって全体品質変数が指定された限度の範囲内に収まると予測されるようにプロセスが改善されるかどうかを決定することを可能にし得る。
【0035】
OMS102は、オンラインデータプロセッサ116を介して、プロセス変動グラフ、寄与率グラフ、変数トレンドグラフ、品質予測グラフ、および/またはマイクロチャートを含むプロセス制御データへのアクセス権と制御権を管理する。加えて、オンラインデータプロセッサ116は、プロセス制御データを参照し、プロセス制御データを変更および/または改変し、かつ/またはプロセス制御システム106内の現場装置に対する命令を生成するためのアクセス権をプロセス制御オペレータに提供する。
【0036】
図1Bのプラント104は、ローカルエリアネットワーク(LAN)124経由でオンラインデータプロセッサ116に通信可能に連結されルータ120とローカルワークステーション122とを含む。さらに、ルータ例120は、プラント104内のその他任意のワークステーション(図示せず)をLAN 124および/またはオンラインデータプロセッサ116に通信可能に連結し得る。ルータ120は、他のワークステーションに無線および/または有線接続経由で通信可能に連結され得る。ルータ120は、LAN 124および/またはオンラインデータプロセッサ116へのアクセスハブとして、任意のタイプの無線および/または有線ルータを含み得る。
【0037】
LAN 124は、任意の所望の通信メディアとプロトコルとを使用して実施され得る。例えば、LAN 124は、有線または無線のイーサネット(登録商標)通信方式に基づき得る。ただし、その他任意の適切な通信メディアとプロトコルとも使用できる可能性がある。さらに、LANは1つだけ示されているが、ワークステーション122内の複数のLANおよび適切な通信ハードウェアを使用して、ワークステーション122とそれぞれの類似ワークステーション(図示せず)との間で冗長通信経路を設けてもよい。
【0038】
LAN 124は、ファイアウォール128にも通信可能に連結されている。ファイアウォール128は、1つもしくは複数の規則に基づいて、リモートワークステーション130および/または132からプラント104への通信が許可されるかどうかを決定する。リモートワークステーション例130および132は、プラント104内にいないオペレータに、プラント104内のリソースへのアクセス権を提供し得る。リモートワークステーション130および132は、ワイドエリアネットワーク(WAN)134を介してファイアウォール128に通信可能に連結されている。
【0039】
ワークステーション例122、130および/または132は、プロセス制御システム106内の1つもしくは複数のプロセスを参照、改変、および/または修正するように構成され得る。例えば、ワークステーション122、130および/または132は、OMS 102によって生成されたプロセス制御情報をフォーマットおよび/または表示するユーザインタフェース136を含み得る。例えば、ユーザインタフェース136は、生成されたグラフおよび/もしくはチャート、またはプロセス制御グラフおよび/もしくはチャートを生成するためのデータをOMS 102から受信し得る。それぞれのワークステーション122、130および/または132でグラフおよび/またはチャートデータを受信すると、ユーザインタフェース136は、オペレータにとって比較的理解しやすいグラフおよび/またはチャート138を表示し得る。
図1Bの実施例は、ユーザインタフェース136を伴うワークステーション132を示す。しかし、ワークステーション122および/または130が、ユーザインタフェース136を含んでもよい。
【0040】
ユーザインタフェース例136は、プロセス制御システム106内、および/またはプラント104内のその他任意のプロセス制御システム内で、何らかのプロセス制御欠陥が発生したことをプロセス制御オペレータに警報し得る。さらに、ユーザインタフェース136は、プロセスの欠陥の発生源を決定し、最終製品の品質に対するプロセスの欠陥の影響を予測するための分析プロセスをプロセス制御オペレータに案内し得る。ユーザインタフェース136は、プロセスの実行中にオペレータにプロセス制御統計情報を提供し得、それによってオペレータは、いずれかのプロセスを調整して、いかなる欠陥も修正を図ることができる。プロセス実行中に欠陥を修正することにより、オペレータは、最終製品の品質を維持し得る。
【0041】
ユーザインタフェース例136は、OMS例102を介して、検出、分析、修正措置、および品質予測情報を表示し得る。例えば、ユーザインタフェース136は、プロセス概要チャート、プロセス変動グラフ、マイクロチャート、寄与率グラフ、変数トレンドグラフおよび/または品質予測グラフ(グラフ138など)を表示し得る。オペレータは、これらのグラフ138を参照して、付加的なグラフ138を選択し、多変量および/または統計プロセス情報を参照してプロセス欠陥の原因を特定し得る。加えて、ユーザインタフェース136は、プロセスの欠陥に対して可能な修正措置も表示し得る。その後ユーザインタフェース136により、オペレータは1つもしくは複数の修正措置を選択することができ得る。修正措置が選択されると、ユーザインタフェース136はその修正措置をOMS 102に送信し得る。その後OMS 102が、コントローラ108に命令を送信して、プロセス制御システム106で適切な修正を行う。
【0042】
図1Bのワークステーション例122、130および/または132は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、サーバ、コントローラ、携帯情報端末(PDA)、マイクロコンピュータなどを含む任意のコンピュータ装置を含み得る。ワークステーション122、130および/または132は、任意の適切なコンピュータシステムまたは処理システム(
図10のプロセッサシステムP10など)を使用して実装され得る。例えば、ワークステーション122、130および/または132は、シングルプロセッサパーソナルコンピュータ、シングルまたはマルチプロセッサワークステーションなどを使用して実装できる可能性がある。
【0043】
プロセス制御環境例100は、以下でさらに詳述されている方法および装置が好都合に使用され得るタイプのシステムを例示する目的で提供されている。ただし、本明細書に記載の方法および装置は、所望される場合には、
図1Bに示されるプロセス制御環境例100および/またはプロセス制御システム106よりも複雑または単純な他のシステム、および/またはプロセス制御アクティビティ、事業管理アクティビティ、通信アクティビティなどと関連して使用されるシステムで好都合に使用され得る。
【0044】
図2は、測定された変数202と計算された品質変数204とを含むバッチ一例(バッチ#1など)のデータ構造200を表す。データ構造例200は、測定または観察によってバッチの終了時に取得され得る全体品質変数(図示せず)も含み得る。バッチ処理は、ルーチンによって制御される1つもしくは複数の箇所で比較的多数の製品および/または製品の部分が並行して作成されるタイプの製品製造である。このルーチンは、1つもしくは複数のプロセスステージを含み、各ステージが1つもしくは複数の動作を含み、各動作が1つもしくは複数のフェーズを含み得る。本明細書に記載されている方法および装置はバッチプロセスについて言及しているが、任意のタイプの処理が実施され得る。
【0045】
測定された変数例202は、測定されたプロセスおよび/または品質変数を含む。例えば、変数P1は流体流量(プロセス変数など)に対応し、変数P2は流体の濃度(品質変数)に対応し得る。測定された変数202が、バッチ#1というバッチプロセスと併せて示されている。このバッチプロセスは、T軸(時間など)に沿って示される期間にわたって実行される。加えて、
図2のバッチプロセスは、8つの測定された変数を含む。ただし、他の実施例では、バッチプロセスが含み得る測定された変数がそれより多い場合も少ない場合もある。
【0046】
図2は、測定された変数202の一部がバッチプロセスの特定期間のみ該当することも表す。例えば、変数P1は、バッチの開始時からバッチの中間時点まで該当する。このように、変数P1が流体流量と関連している場合、バッチプロセスの進行中、流体はバッチの開始時からバッチの中間時点までしか流れていない可能性がある。この時点以降は、バッチが流体流
量を利用しない可能性があることから、変数P1は、この時点を過ぎたバッチプロセスに該当しなくなる。対照的に、変数P4は、バッチプロセス全体で該当する。
【0047】
計算された品質変数例204はバッチプロセス全体と関連しており、バッチプロセスの特定のフェーズまたはステージと関連している可能性もある。計算された品質変数204は、測定された変数202および/または他の品質変数204間の多変量、統計および/または代数関係の結果であり得る。例えば、品質変数Q1 204は、バッチプロセスから生じた製品の組成品質に対応し得る。組成品質Q1は、プロセス制御システム106内で直接測定可能であるとは限らないので、品質変数であり得る。その代わり、組成品質Q1は、測定された変数202の多変量の組み合わせP1、P3、P4およびP7からモデル化および/または決定され得る。このため、組成品質Q1が定義済みのしきい値を上回る場合には、測定された変数P1、P3、P4および/またはP7のいずれか1つおよび/またはいずれかの組み合わせが、偏差に対する寄与因子であり得る。
【0048】
図3は、プロセス変数302とそれぞれの品質変数304とを含む1セットのバッチ例のデータ構造300を表す。バッチ(バッチ1〜7など)は、バッチプロセスが、順に実行されるステージ(ステージ1〜4など)を含むことを示す。例えば、ステージ1が、バッチ内の化学物質または他の原料の結合および混合に対応し得るのに対し、ステージ2はバッチ内のそれらの混合化学物質の焼成に対応する。これらのステージは、動作、フェーズおよび/またはレベルにさらに下位分割され得る。加えて、計算された品質変数30
4は、各バッチにおける測定された変数302に対応する。
【0049】
図4は、
図3で既述したバッチプロセスのステージ(ステージ1など)の1つで使用され得る貯蔵タンク400の一実施例を表す。上に略述したとおり、タンク400内の原料402の原料送出特性を特定することは、欠陥検出とバッチプロセス製品の品質とを支援し得る。いくつかの実施形態では、原料送出特性の特定するための機能、命令、方法などが、OMSの原料特性モデル化モジュール115(
図1B)によって実施され得る。
【0050】
本明細書に記載されている原料特性を特定するための計算は、いくつかの潜在的なオンライン用途だけを挙げると、プロセス監視、欠陥検出、品質予測およびプロセス制御を補完する目的で、プロセスのオンライン中に実行され得る。本明細書に記載されている原料特性を特定するための計算は、オンラインプロセスモデリング、主成分分析(PCA)における欠陥検出モデルの構築、部分最小二乗法(PLS)分析などを補完または検証するために、オフラインプロセスモデリングによっても実行され得る。
【0051】
ミキサー非搭載貯蔵タンク400は、原料402がタンク400に移送される投入口404と、原料402がタンク400からプラント(反応器407または他の構成要素など)の別の構成要素に移送される排出口406との両方を含む。
図4に示すとおり、タンク400は、異なる構成の投入口404と排出口406とを含み得る。例えば、タンク400は、上部の投入口404a、中間部の投入口404b、または底部の投入口404cと、上部の排出口406a、中間部の排出口406b、または底部の排出
口406cとの任意の組み合わせを含み得る。当然のことながら、
図4に描かれた投入口404および排出口406は、一般的な領域を表すためのものであり、投入口404および排出口406はタンク400に位置し得る。投入口404および排出口406は、タンク400との間で原料402を双方向に移送できるタンク内の任意の箇所に位置し得るが、本明細書に記載されている方法は、底部の排出口406cのデフォルト位置を含み得る。
【0052】
原料402がタンク400との間で双方向に移送される場所により、タンク40
0内で各種移送される原料402に生じている混合度の流れのタイプを決定し得る。例えば、タンク400が底部の投入口404cと上部の排出口406aとを含む場合には、高い混合度が想定され得るとともに、流れのタイプが「完全混合」と称され得る。ただし、タンク400が上部の投入口404aと底部の排出口406cと含む場合には、低い混合度が想定され得るとともに、流れのタイプが「栓流」と称され得る。栓流は、原料が貯蔵タンク400の底部から1度に1ゾーンずつ、最小限の混合状態で移される排出状況を形容し得る。投入口404と排出口406がタンク400内の同一ポイントに位置する(原料の移送時におけるタンク400内の原料402の量により多少の変動あり)場合には、流れのタイプが「ショートサーキッティング」と称され得る。
【0053】
流れのタイプが完全混合でない場合には、タンク400内に新しい原料が移送されたときに、ある程度の原料402の層化すなわち層の形成が起こり得る。別々の期間にわたってタンク400に原料を移送すると、ゾーン間である程度原料が混合されたさまざまな移送原料の層、すなわち「ゾーン」が形成され得る。
図4を参照すると、これらの移送原料から、最古の移送408から最新の移送416までのゾーンが結果的に形成され得る。このように、タンク400が現在5つに分かれた移送原料402を保持している場合、タンク400は、
図4において層408、410、412、414、および416で示されている原料402の5つのゾーンを含む。原料層408〜416は、濃度の違いと、異なる移送原料間の他の相違から生じる化学的、物理的、および他の反応により、わずかに混合され得る。混合は、例えば、タンクの動き、投入口および排出口の動き、流れなどによる貯蔵タンク400内の原料の動きによっても起こり得る。
【0054】
タンク400に移送される各原料402は、複数の材料特性を含み得る。
図5は、原料特性モデル化モジュール115に通信可能に連結され得るとともに、貯蔵タンク400内で現在保持されている原料402の特性502を記憶する目的で使用され得るデータ構造500を表す。特性502は、ほんのいくつかを挙げるなら、pHバランス、反応性、毒性、濃度、密度、分子量、および粘性を含む物理的、化学的、および他の原料特性を表す値504を含み得る。移送される原料402ごとの特性は、原料ベンダーから受け取るデータに含まれ得ると共に、受け取り側による分析を通じて特定され得るか、その他任意の適切な方法によってOMS 102に受け渡される。量特性506は、移送された原料の体積、重量、または量を表す値を含む。量特性506は、タンク内の各原料ゾーンの概位置、各ゾーン間の混合領域の概位置など、他の測定値を決定する目的で、タンクの物理的特性(タンク容量、内部寸法、貯蔵容積制限など)と共に使用され得る。時間特性508は、原料がタンクに移送された時期を示す。時間特性は、原料の他の特徴を特定する目的でも使用され得る。例えば、あるタイプの原料の特性502は、時間の経過と共に周知の形で変化し得る。原料の特定ゾーンが時間を経るにつれて、経時ゾーンの特性値504が、いかなる周知の変化も反映するように変更され得る。同様に、各ゾーンで原料のさまざまな化学的および物理的特性を理由に、混合が時間の経過とともに進行し得る。このように、本明細書に記載されている混合係数は、変化して、熟成、混合、および他の要因による変化を反映し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、データ構造500が、貯蔵タンク内の原料ゾーンの、投入口404と排出口406に対する位置を反映するスタックデータ構造として実装され得る。例えば、排出口がデフォルトの底部位置406c(
図4)にあり、投入口が上部位置404aにある場合には、最古の移送原料がタンクから最初に送出され、最新の移送される原料がタンクから最後に送出される「先入れ先出し」(FIFO)スタックとして、データ構造が実装され得る。同様に、排出口がデフォルトの底部位置406cにあり、投入口も底部位置404cにある場合には、最古の移送原料がタンクから最後に送出され、最新の移送される原料がタンクから最初に送出される構成を表す「先入れ後出し」(FILO)スタックとして、データ構造が実装され得る。排出口がデフォルトの底部位置406cにあり、投入口が中間位置404bにある場合には、FIFOスタック方式とFILOスタック方式との両方の混合が使用され得る。スタック500は、配列、リンクされたリスト、または他のタイプの公知のデータ構造として実装され得る。
【0056】
動作時、スタック500は更新されて、タンク400内の原料402の物理的ステータスを反映し得る。例えば、新しい原料402がタンク400に移送されると、1セットの特性502が1つもしくは複数のプログラミング命令を使用してスタック500に「押し込まれる」。タンクからゾーンが完全になくなると、他のプログラミング命令が、なくなった特性をスタックから「弾き」得る。他の命令は、アクティブであるか、タンク400(すなわち送出ゾーン)から現在送出されているかを示すポインタ510を実装し得る。例えば、栓流構成のタンク400では、ゾーン408がなくなるまで送出ゾーンがゾーン408である場合があり、その後ゾーン410がアクティブになる。本実施例では、ゾーン1がなくなるまで「ゾーン1」の特性がアクティブであったことをポインタ510が示す。ゾーン1の特性は、なくなるとスタックから弾かれ得、旧ゾーン2の特性はスタック(すなわちゾーン1)の上部の位置を想定する。スタック500がFIFOスタックとして実装されている場合、ポインタ510は、スタック500の最上位にある特性セット(「最上位」または「ピーク」命令など)を参照し得る。動作時、1つのゾーンがタンク400からなくなると、ポインタ510は次に送出されるゾーンに切り替わり得る。タンク400内の投入口404および排出口406の位置がFIFOスタック500の実装を示している場合、ポインタ510は、量506がタンク400からなくなるまで、時間特性508によって示される最古のゾーンに対応し得、その後次の最古のゾーンなどに切り替わる。
【0057】
原料特性モデル化モジュール115は、ミキサー非搭載貯蔵タンク400から反応器407または他のプロセスプラントエンティティに移されている原料402の特性を特定するためにOMS 102で使用する複合関数ブロックとして構成され得る。
図6Aは、原料特性を特定するための複合関数ブロック600の一実施例を表す。
図6Bは、複合関数ブロック600の関数ブロック
図650の一実施例を表す。関数ブロック
図650は、プロセス制御システム100の任意の態様をグラフィカルに表し、制御システム100の関数ブロック600またはその他任意の態様を修正または制御するために、ユーザインタフェースアプリケーションに表示され得る。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェースがDeltaV(登録商標)Control Studio(登録商標)アプリケーションである。
図6Aに戻ると、複合関数ブロック600は、計算ブロック604および他の機能ブロックなど1つもしくは複数の関数ブロックを含み得る。複合関数ブロック600は、タンク特性計算ブロック604を定義し得ると共に、原料特性502、ならびに貯蔵タンク400設計の変動を含む他の特性を定義する複数のパラメータを含み得る。そのため、複合関数ブロック600は、スタックデータ構造500に通信可能に連結されている場合がある。複合関数ブロックはさらに、自動的に、またはユーザインタフェースを介してスタック500を更新するように構成され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、パラメータが、現在貯蔵タンク400(このタンクにおける原料の総量など)内にある原料のゾーンまたはレベル608の総数を表す外部パラメータと、貯蔵タンク400への原料投入口610のポイント(上部、中間部、底部など)と、貯蔵タンク400内でのゾーン混合度を示す混合係数612とを含む。混合係数612は、0から1までの値を含んでよく、0が混合なし、1が完全混合を意味する。一般に、タンク400の底部に原料排出口があり、中間部または上部の投入口位置404aに投入口がある構成の場合、栓流タンクの混合係数は0より大きい場合がある。さらに、タンク400の底部に原料排出口があり、底部の投入口位置404cに投入口がある構成の場合、栓流タンクの混合係数は0に近い場合がある。混合係数612は、タンク400全体、タンク内の各ゾーンあるいは層、または、ゾーンの組み合わせの原料の1つもしくは複数の特性の混合状況を表す目的で使用され得る。
【0059】
データパラメータは、タンク400内の特定レベルにある原料402の送入特性614を表す複数の外部入力パラメータと、排出口406(すなわち送出ゾーン)のレベルにある原料ゾーンの特性を表す外部排出特性616とも含み得る。原料の送入特性614および排出特性616は、その原料の化学的、物理的、および他の特徴(pHバランス、反応性、毒性、濃度、密度、分子量など)を示す複数の値を含み得る。送入特性614が、原料が貯蔵タンク400に送入された時点で測定または想定された値を含み得るのに対し、排出特性616は、貯蔵タンク400から排出されている原料ゾーンのタンク特性計算ブロック604によって計算される値を含み得る。複合関数ブロック600は、
図5を参照して上述したスタック500から送入特性614にアクセスし得る。
図6Aは7つの入力および排出特性616を示しているが、特性の数がそれより少ない場合も多い場合もある。他のブロックは、貯蔵タンク400に加えられた原料の量(貯蔵タンク内の特定ゾーンで加えられた原料の量の重量、体積、または他の測定値など)を示す追加ブロック618と、特定の原料ゾーンが貯蔵タンク400に加えられた日時を表す値を含む日付/時間ブロック620とを含み得る。
【0060】
関数ブロックは、タンク内の総原料を対象に追跡されている特性ごとの平均値を示す出力パラメータ622と、タンク400から現在排出されている原料のゾーンとポインタ510の現在位置とを示すスタックポインタ出力624とを含み得る。タンク特性計算ブロック604は、送入特性614と上記の他のデータとに基づいて排出特性616を特定するための、プロセッサによって実行される1つもしくは複数の命令または等式を含み得る。いくつかの実施形態では、新たに移送される原料402が貯蔵タンクに送入されると、スタック500が更新され、新しい原料特性がスタック500に「押し込まれる」。例えば、スタックを更新することは、新しいセットの特性をスタック500に追加することと、レベルブロック608を増やして原料の量506と新しいゾーン
との追加を網羅することと、外部入力パラメータ618でその追加を設定して新しい移送分に含まれる原料の量506を反映することと、外部入力パラメータ620で日/時を設定して新規追加の時期508を反映することとを含み得る。タンク特性の平均は計算ブロック604によって求められる場合があり、新しい平均値は、出力パラメータ622に適用されて、新しい原料の追加を網羅する。次にタンク特性計算ブロック604が、新しい平均値に基づいてタンク400から移された原料の排出特性616と、その原料が移された元の原料レベルに対応する原料特性と、混合度612とを特定し得る。計算された排出特性はその後、複合関数ブロック600に保存され得る。
【0061】
以下の等式によって説明されるとおり、タンク特性計算ブロック604は、排出特性616を特定するためのいくつかの命令を含み得る。一般に、排出口406
cにおける各原料送出特性の値は、タンク400に移送されたときの特定の特性(すなわち送出特性)の値に等しいものと想定される。この送出特性は、移送される原料によって形成されるさまざまな原料ゾーン間で生じ得る混合を網羅するために計算ブロック604によって調整され得る。混合係数m、送出特性P、およびタンク
内の特性の平均値
Aが既知である場合、排出特性Qの値は次のように表され得る。
(数1)
Q=(1−m)P+mP (等式1)
式中、mは、1つもしくは複数の特性がタンク全体にわたって混合される程度を表すブロック612で定義される混合係数であり、Pは、混合されていない特性がタンク400に移送されたとき
の値であり、Aは、原料がタンクに移送されたときに記録されたタンク400内の特性の平均値である。例えば、栓流を生成するように構成されたタンク400は、4.2というpH値を含む第1(底部)のゾーン、4.6というpH値を含む第2(中間部)のゾーン、および4.1というpH値を含む第3(上部)のゾーンという3つの流体ゾーンを含む。栓流タンクは、第1のゾーンから原料を移すように構成されており、そのタンクの混合係数は0.2である。平均タンクpHが4.3なので、排出特性のpH値は、(1−
0.2)(4.2)+(0.2)(4.3)すなわち4.22である。
【0062】
等式1を想定した場合、Qの値が実験室測定値(すなわちQlab)によって決定されるのであれば、混合係数mを決定することができ、送出特性の値Pとタンク内の特性の平均値Aも既知である。混合係数612(m)の最適値は等式1から直接得られ得るが、混合係数612も、以下の等式で表される最良適合回帰線の傾きによって定義される最小二乗解として決定され得る。
【数2】
【0063】
回帰線の傾きによって混合係数612(m)を決定することは、以下の散布図の最良適合回帰線の傾きとしての「最小二乗」解と説明され得る。
(数3)
(A−P)に対して比較される(Q−P)
回帰線の傾きによって混合係数を決定することは、以下の一般的な回帰線式に示すとおり、一定のバイアスに依存していないため、有益であり得る。
【数4】
【数5】
【0064】
【数6】
【数7】
式中、P
ikはゾーンkの特性P
iの値であり、w
kはゾーンkにおける材料の量(重量)であり、Wは以下の等式が成立する場合における原料投下されたゾーンnを有するタンク内の材料の総重量である。
【数8】
【0065】
タンク排出特性P
ioutletは、以下のようにも定義され得る。
【数9】
【数10】
【数11】
【0066】
図7Aは、散布図グラフ750(
図7B)で使用されるデータ700の一例を表す。グラフ750で使用されるデータ700は、研究室由来の原料特性値Qlab 702と、送出特性Pの値704と、タンク
内の特性の平均値
A706と、(Q−P)の値708と、(A−P)の値710とを含み得る。
図7Bは、(A−P)710対(Q−P)708の値のプロットと最良適合回帰線752とを含む散布図グラフ750を表す。
原料特性モデル化モジュール115全般、および特に複合関数ブロック600のタンク特性計算ブロック604は、等式4を使用して最良適合回帰線752、すなわち混合係数mの傾き712(
図7A)を計算するための1つもしくは複数の命令を含み得る。
【0067】
タンク特性計算ブロック604の一実装形態は、以下の命令を含む。
【数12】
【数13】
【0068】
m=0(すなわち原料ゾーンの混合なし)であって、タンク400に旧ゾーンが存在しない状態での栓流を想定した場合に、
原料特性モデル化モジュール115と最適な混合係数612の計算とを検証して排出特性616を決定するには、排出特性616が送入特性614を反映する必要がある。ただし、m=1(すなわち原料ゾーンが完全に混合)の場合、一般的には、排出特性616はタンク400内の平均特性値に従うはずである。
図8は、上記の等式のうち1つもしくは複数を統合した
原料特性モデル化モジュール115を反映しており、タンク400内の混合係数が0(すなわちゾーンの混合なし)であり、かつ単一のゾーンレベルを想定しているグラフ例800を表す。記載のとおり、排出および投入特性「P5」802については、
原料特性モデル化モジュール115が本明細書に記載されている等式で正しく構成されていると、排出特性の値806が、期間804にわたり、傾向線808で示す投入特性の既知の値に従う。あるいは、タンク400内に複数のゾーンが存在し、混合係数が1(すなわち完全混合)に設定されている場合には、傾向線808がタンク内の特性の平均値(すなわち平均特性出力パラメータ622)を反映する。さらに、タンク400内にゾーンが1つしか存在せず、混合係数が1である場合には、
原料特性モデル化モジュール115の検証用グラフが、
図8に示す線と同様の傾向線808を含む(すなわち、排出特性の値806が投入特性の既知の値に従う)。
【0069】
あるいは、モデル検証が、混合係数mのいくつかの値に対する排出特性Qを計算することを含む場合があり、全ミスマッチ誤差が、混合係数612の各値の排出特性502を表し得るQの値に対する研究室結果を使用して導き出され得る。この方法を使用して、最小の全誤差をもたらす混合係数が、
原料特性モデル化モジュール115内で使用するために選択され得る。最適未満の混合係数を定義するために、いくつかの混合係数値(0.0、0.25、0.5、0.75、および1.0など)が使用され得る。
【0070】
等式1に関して、送出特性の値Pは、送出ゾーン(すなわちタンク400から現在送出されている原料のゾーン)に対する複数のゾーンの近似性を網羅するために、混合係数mによっても調整され得る。例えば、上部投入口404aを通じてタンクに移送される原料は、タンクの上部のゾーンに対する影響度がタンクの底部のゾーンよりも大きく、その逆もある。原料の動きと構成との分散、対流、および他の要因が混合係数に影響し、1つのゾーンが別のゾーンに及ぼす混合の影響は、ゾーン間の距離に反比例する。2つ以上のゾーンを対象に補正値が計算され得る。マルチゾーン補正の場合には、原料投下されたゾーンからの距離に応じた混合の減少関数が適用される。この関数は、線形関数、指数関数あるいは他の関数を使用して適用できる。新たに原料投下されたゾーンの修正済み特性は、等式9によって表され得る。
【数14】
【0071】
同様の方法で、隣接するゾーンの修正は、等式10が示すとおりに計算され得る。
【数15】
【0072】
マルチゾーン補正は、ゾーン1−2、2−3、3−4など、連続するゾーンペアに適用される2つのゾーン補正に類似し得る。補正されたゾーンの数は、原料投下時のタンク内の材料ゾーンの数より少ない場合であっても、任意に設定してよい。
【0073】
送出ゾーンに対するマルチゾーンの影響は、ゾーンペアの箇所に応じて、等式11によって表される線形状に減少し得る。
【数16】
【0074】
式中、lは他のゾーンの影響のために以前に修正されたゾーンの数であり、iは、ゾーンのインデックスiであり、補正値が適用される場合にはi+1で、i≦l、i≦nであり、nは、貯蔵タンク内の原料を有する実際のゾーンの数であり、m
lは、混合係数の一部分として定義された修正混合係数である(m
l=(0.1〜0.5)mと想定される)。多数のゾーンが修正に含まれる場合には、指数補正の方が、等式12によって表される2つの隣接ゾーンの混合を良好に表し得る。
【数17】
【0075】
混合係数m
1を修正するゾーンは、送出特性を計算するために適用された混合係数mよりも小さい場合がある(例えば2〜5倍)。このように仮定する1つの理由は、m
1の実験的特定の難しさと、過剰修正の可能性であり得る。修正された特性lを有するゾーンの数も任意であってよい(デフォルトで2〜4つのゾーンなど)。m
1およびlに対して固定値を選択することにより、それらの係数を決定するという追加ステップを省略することができ得る。代わりにこの方法は、修正されていないゾーンを有する元のモデルに対して行われるような、最終的な混合係数だけを定義するための特定手続きを適用し得る。等式9および10のような特性計算は、隣接ゾーンが同じ重量であると想定し得る。ゾーンの重量が異なると、さらなる計算間違いが生じ得る。
【0076】
図9は、上記の原料特性モデル化モジュール
115とタンク特性計算ブロック604とを実施するために実行され得る方法例のフローチャートである。このフローチャートは一般に、ミキサー非搭載貯蔵タンク内の供給原材料の特性を特定するための方法900について説明し得る。方法900は、栓流タイプの投入/排出構成を含むものとして記載されているが、本明細書に記載されている他のタイプのタンク構成をサポートする目的でも使用され得る。方法900は、コンピュータ可読メモリに記憶され、コンピュータ装置のプロセッサを使用して実行されるコンピュータ実行可能な命令という形態で1つもしくは複数の
ルーチンを含み得る。ルーチンは、原料特性モデル化モジュール115(
図1B)の一部として含まれ得る。
【0077】
ブロック902で、
原料特性モデル化モジュール115が、新しい原料が貯蔵タンク400(
図4)に移送されたかどうかを特定し得る。いくつかの実施形態では、
原料特性モデル化モジュール115が、時間特性508が日時ブロック620(
図6Aおよび
図6B)と関連した値とは異なる値を含むかどうかを特定するためにスタック500(
図5)に問い合わせるための命令を含み得る。例えば、新たに移送される原料が貯蔵タンク400に到達したときに、新しい原料の特性502は、時間値508を含むスタック500に押し込まれ得る。新しい原料の時間値508は、現在の日時外部入力パラメータ620の値と比較され得る。スタック500内の新しいタイムスタンプ値は、新しい特性502を有する新たに移送される原料4
02を示し得る。
【0078】
移送される原料402が新しいタイムスタンプを含む場合、ブロック904は、スタック500と
ブロック600とを使用していくつかの計算を実行し得る。いくつかの実施形態では、ブロック904がスタック500を更新し、現在貯蔵タンク400にある総原料402の各特性502の平均値を計算し得る。ブロック904によって実行される計算は、スタック500内のタンクレベル608と値504とに基づき得る。この移送が新しいタイムスタンプを含まない場合には、ブロック904がスキップされ得る。
【0079】
ブロック906で、原料特性モデル化モジュール115が、タンク
400内にある新しい原料の位置を特定し得る。いくつかの実施形態では、新しい原料が、タンク
400内のさまざまな位置に移送され得る。例えば、新しい原料は、タンク
400の上部404a、中間部404b、または底部404cより移送され得る。栓流構成の貯蔵タンク
400では、上部404aまたは中間部404bより原料が移送された場合には、タンク
400内で原料402が層化し、旧原料ゾーンの上に新しい原料ゾーンが形成されたことを示し得る。ブロック908で、新しい原料が上部または中間部よりタンク
400に移送された場合、タンク
400から移されている原料の特性の値は、タンク内の原料のレベル608に基づいている可能性がある。例えば、
図4を参照すると、タンク
400は、ゾーン408に既存の原料を有し、位置406cに排出口を有する栓流用の構成である。新たに移送される原料は、投入口404aまたは404bよりタンク
400に入り、新しい原料ゾーン410を形成し得る。本実施例では、移送時、現在タンク内に旧原料ゾーンが1つ存在するため(408)、タンク
400から排出される原料は、タンク内すなわち原料ゾーン408内にある旧原料ゾーン(またはレベル)に基づき、旧ゾーン408と新しいゾーン410との間で多少混合している。そのため、ブロック908は、排出特性616を、旧原料ゾーン(すなわち原料ゾーン408)と関連した特性に設定し得る。ただし、新しい原料がタンクの底部に移送される場合には、ゾーン間で混合がまったく行われないか、ごくわずかしか行われず、新しい原料はタンクから直接排出される。そのため、新しい原料が栓流構成のタンクの底部に移送される場合には、ブロック910が排出特性616を、新たに移送された原料402の特性に設定し得る。
【0080】
ブロック912で、原料特性モデル化モジュールは、混合係数612と、現在タンク
400内にある原料の原料特性の出力パラメータ622とに基づいて排出特性616を計算し得る。いくつかの実施形態では、ブロック912が、本明細書に記載されている等式のうち1つもしくは複数を使用して、混合係数612と、現在そのタンク内にある原料の平均特性値とに基づいて新しい排出特性616を計算し得る。
【0081】
ブロック914で、
原料特性モデル化モジュール115は、
ブロック912を使用して計算された排出特性616を記憶し得る。いくつかの実施形態では、排出特性616が、
ブロック600に記憶され得る。
【0082】
原料が貯蔵タンク400から離れ、排出特性616が計算された後、排出された原料は、反応器407など別のプロセスプラントエンティティに入り得る。別の
ゾーン410は、排出特性616を使用して、反応器407内に存在する原料の各種特性を計算し得る。例えば、新しい原料が入ってきて古い原料が減っていくと、排出特性616が時間の経過とともに変化し得る。このように、
ゾーン410は、所定時期に反応器407内にある原料の構成を特定するために、反応器407に入っていく原料の特性を追跡および記録し得る。
【0083】
図9の方法例900は、プロセッサ、コントローラおよび/またはその他任意の適切な演算装置によって実施され得る。例えば、方法例900は、フラッシュメモリ、CD、DVD、フロッピー(登録商標)ディスク、ROM、RAM、プログラマブルROM(PROM)、電子的にプログラム可能なROM(EPROM)、電子的に消去可能なPROM(EEPROM)、光記憶ディスク、光記憶装置、磁気記憶装置ディスク、磁気記憶装置、および/または方法またはデータ構造の形態でプログラムコードおよび/または命令を担持または格納する目的で使用でき、プロセッサ、汎用または特殊用途のコンピュータ、またはプロセッサを有する他のマシン(
図10に関連して後述するプロセッサプラットフォーム例P10など)によってアクセスできるその他任意のメディアなど、任意の有形コンピュータ可読メディアに格納されている符号化された命令で具現化され得る。上記の組み合わせも、コンピュ−タ可読メディアの範囲内に含まれる。
【0084】
方法は、例えば、プロセッサ、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、または特殊用途演算機に1つまたは複数の特定の方法を実行させる命令および/またはデータを含む。あるいは、方法900の一部分もしくは全部が、ASIC(単数または複数)、PLD(単数または複数)、FPLD(単数または複数)、個別論理、ハードウェア、ファームウェアなどの任意の組み合わせ(単数または複数)を用いて実装され得る。
【0085】
また、方法例900の一部または全部が代わりに手動操作によって実装されたり、ファームウェア、ソフトウェア、個別論理、および/またはハードウェアなどの任意の組み合わせなど、前述の技術の任意の組み合わせとして実装されたりする場合もある。さらに、
図9の動作例を実施するその他多くの方法が使用され得る。例えば、関数の実行順序が変更される場合があり、かつ/または記載されている関数の1つまたは複数が変更、除去、下位分割、または組み合わされる場合がある。加えて、方法例900の一部もしくは全部が、個別の処理スレッド、プロセッサ、デバイス、個別論理、回路などによって順次および/または並行して実行されてもよい。
【0086】
方法例900は、プロセス制御システムの特徴に基づいて、測定された原料特性、計算された原料特性、および/または原料全体の特性どうしの関係をモデル化する。複数の方法例900が、プロセス制御システムの一部分をモデル化するため、かつ/または他のプロセス制御システムをモデル化するために並行または連続して実行され得る。
【0087】
図10は、本明細書に記載されている方法例および装置例を実装する目的で使用され得るプロセッサシステム例P10のブロック図である。例えば、プロセッサシステム例P10と類似または同一のプロセッサシステムが、
図1および/または
図4のOMS例 102
、分析プロセッサ例114、および/またはオンラインデータプロセッサ例116を実装する目的で使用され得る。プロセッサシステム例P10は、複数の周辺器材、インタフェース、チップ、メモリなどを含むものとして後述されているが、それらの要素の1つもしくは複数が、OMS例 102
、分析プロセッサ例114、および/またはオンラインデータプロセッサ例116のうちの1つもしくは複数を実装する目的で、他のプロセッサシステム例から省略され得る。
【0088】
図10に示すとおり、プロセッサシステムP10は、相互接続バスP14に連結されているプロセッサP12を含む。プロセッサP12は、レジスタセットまたはレジスタスペースP16を含む。これは、
図10で完全にオンチップであるものとして描かれているが、代替的に完全または部分的にオフチップであり、専用電気接続および/または相互接続バスP14を介して直接プロセッサP12に連結されている可能性もある。プロセッサP12は、任意の適切なプロセッサ、演算機器、またはマイクロプロセッサであってよい。
図10に示されていないが、システムP10は、マルチプロセッサシステムであってよいため、プロセッサP12と同一または類似し、相互接続バスP14に通信可能に連結されている1つもしくは複数の追加プロセッサを含み得る。
【0089】
図10のプロセッサP12はチップセットP18に連結されており、メモリコントローラP20と周辺入出力(I/O)コントローラP22とを含む。周知のとおり、チップセットは、I/Oおよびメモリ管理機能に加え、チップセットP18に連結された1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能または使用される複数の汎用用途および/または特殊用途のレジスタやタイマーなども提供するのが一般的である。メモリコントローラP20は、プロセッサP12(複数のプロセッサが存在する場合には複数のプロセッサ)がシステムメモリP24および大容量記憶
装置P25にアクセスできるようにする関数を実行する。
【0090】
システムメモリP24は、例えばスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)など、いかなる所望のタイプの揮発性および/または不揮発メモリも含み得る。大容量記憶
装置P25は、いかなる所望のタイプの大量記憶装置も含み得る。例えば、プロセッサシステム例P10がOMS 102(
図2)を実装する目的で使用される場合、大容量記憶
装置P25は、ハードディスクドライブ、光学ドライブ、テープ記憶装置などを含み得る。あるいは、プロセッサシステム例P10が
プロセスモデルデータベースおよび/またはバッチデータデータベースを実装する目的で使用される場合、大容量記憶
装置P25は、ソリッドステートメモリ(例えば、フラッシュメモリ、RAMメモリなど)、磁気メモリ(ハードディスクなど)、あるいは
プロセスモデルデータベースおよび/またはバッチデータデータベースにおける大容量記憶に適しているその他任意のメモリを含み得る。
【0091】
周辺I/OコントローラP22は、プロセッサP12が周辺I/OバスP32を介して周辺入出力(I/O)装置P26およびP28、およびネットワークインタフェースP30と通信できるようにする機能を実行する。入出力装置P26およびP28は、例えば、キーボード、表示装置(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、ブラウン管(CRT)ディスプレイなど)、ナビゲーション装置(例えば、マウス、トラックボール、容量タッチパッド、ジョイスティックなど)など、いかなる所望のタイプの入出力装置でもあってもよい。ネットワークインタフェースP30は、例えば、プロセッサシステムP10が他のプロセッサシステムと通信できるようにするイーサネット(登録商標)装置、非同期転送モード(ATM)装置、802.11装置、DSLモデム、ケーブルモデム、セルラー方式モデムなどであり得る。
【0092】
メモリコントローラP20およびI/OコントローラP22は、チップセットP18内の別々の機能ブロックとして
図10に描かれているが、これらのブロックによって実行される機能は、単一の半導体回路の範囲内で統合されている場合、または2台以上の別々の集積回路を使用して実装されている場合がある。
【0093】
上記方法例および/または装置例の少なくともいくつかは、コンピュータプロセッサによって実行される1つまたは複数のソフトウェアおよび/またはファームウェアプログラムによって実施される。ただし、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理整合、およびその他のハードウェア装置を含むがこれらに限定されない専用ハードウェア実施も同様に、本明細書に記載の方法例および/または装置例のいくつかまたはすべてを全体的または部分的に実施するように構築され得る。さらに、分散処理またはコンポーネント/オブジェクト分散処理、並列処理、または仮想マシン処理を含むがこれらに限定されない代替ソフトウェアの実施も、本明細書に記載の方法例および/またはシステム例を実施するように構成され得る。
【0094】
また、本明細書に記載されているソフトウェアおよび/またはファームウェアの実施例は、磁気メディア(磁気ディスクまたはテープなど)、光ディスクなどの光磁気または光メディア、1つもしくは複数の読み取り専用(不揮発性)メモリ、ランダムアクセスメモリ、または他の書き換え可能な(揮発性)メモリを格納するメモリカードまたは他のパッケージなどのソリッドステートメディアなどの有形記憶メディアに記憶されるという点に注意すべきである。したがって、本明細書に記載のソフトウェア例および/またはファームウェア例は、上記の記憶メディアなどの有形記憶メディアまたは後継の記憶メディアなどの有形記憶メディアに記憶され得る。上記の範囲で、本明細書は特定の標準仕様およびプロトコルに関してコンポーネント例および機能例について記載しているが、本特許の範囲はかかる標準仕様およびプロトコルに限定されないものと理解される。例えば、インターネットおよび他のパケット交換ネットワーク伝送(Transmission Control Protocol (TCP)/Internet Protocol(IP)、User Datagram Protocol (UDP)/IP、HyperText Markup Language (HTML)、HyperText Transfer Protocol (HTTP)など)の各標準仕様は、当技術の現況の実施例を表す。かかる標準仕様は、同じ一般機能を有しつつ、より高速または効率的な均等仕様によって周期的に取って代わられる。そのため、同じ機能を有する代替標準仕様およびプロトコルは、本特許によって想定され、添付の請求範囲内に含まれるものと意図される均等物である。
【0095】
以下、構成要素内でも特に、ハードウェア上で実行されるソフトウェアおよび/またはファームウェアを含む方法例および装置例について説明しているが、これらの例は単なる例に過ぎず、制限的なものとみなされるべきでないことに留意されたい。例えば、ハードウェア、ソフトウェア、およびファームウェアコンポーネントのいずれかまたは全部が、ハードウェアでのみ、ソフトウェアでのみ、あるいはハードウェアとソフトウェアとの任意の組み合わせで具現化され得ると考えられる。そのため、以下に方法例および装置例を記載するものの、当業者であれば、提供された実施例がかかる方法と装置を実装する唯一の方法でないことは容易に理解できるであろう。
【0096】
加えて、本特許は、ハードウェアで実行されるソフトウェアまたはファームウェアを含んでいる方法例および装置例を開示しているが、かかるシステムは単なる例に過ぎず、制限的なものとみなされるべきでないことに留意する必要がある。例えば、これらのハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントのいずれかまたは全部が、ハードウェアでのみ、ソフトウェアでのみ、ファームウェアでのみ、あるいはハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアの任意の組み合わせで具現化され得ると考えられる。したがって、方法例、システム例、機械アクセス可能なメディア例について本明細書で先に説明したものの、実施例は、かかるシステム、方法、および機械アクセス可能なメディアを実装するための唯一の方法ではない。そのため、特定の方法例、システム例、および機械アクセス可能なメディア例が本明細書に記載されているものの、本特許の網羅する範囲はそれらに制限されない。むしろ、本特許は、文字どおりまたは均等論の下で、添付の請求の範囲に正当に含まれるすべての方法、システム、および機械アクセス可能なメディアを網羅する。