(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1〜
図31を参照して、本願発明の一実施の形態について説明する。
【0011】
まず、
図1〜
図23を参照して、本実施の形態による回転式ホーム上家1の構成について説明する。
図1〜
図3に示すように、上記回転式ホーム上家1はプラットホーム3上に設置されている。
なお、
図3において、上記プラットホーム3正面(
図3中左側)に停車した鉄道車両を符号4を用いて示す。
上記回転式ホーム上家1は、直線上に配置された複数の柱5(柱5′)と、これら柱5(5′)間に設けられたトラス7と、複数の上記柱5(柱5′)の上側に設置された屋根9と、上記屋根9と複数の上記柱5(柱5′)との間に設けられた複数の方杖11、13とから構成されている。
以下、各部材について詳細に説明する。
【0012】
まず、柱5(柱5′)の構成について説明する。
上記柱5は、
図4に示すように、柱本体15と、この柱本体15の上端面を覆うように固着されたプレート17と、このプレート17上に固着されたブラケット19と、上記柱本体15の下端面に固着されたベースプレート21とから構成されている。
上記柱本体15は、例えば、アルミ又はアルミ合金製である。また、上記柱本体15は、
図5に示すような断面形状を成しており、4つのリブ25が形成された中空構造となっている。また、上記柱本体15内部の四隅にはボルト用孔27が形成されている。このボルト用孔27の両端側(
図5中紙面垂直方向両端側)には図示しない雌ネジ部が形成されている。
また、上記柱本体15の上端面には、既に説明したプレート17が、上記ボルト用孔27内にボルト29を螺合することにより固定されている。
【0013】
また、
図6に示すように、上記プレート17には、ブラケット19が、ボルト31、31によって固着されている。上記ブラケット19は、略円板形状の基部33と、この基部33に垂直に形成された2つのジョイント板35、35とから構成されており、上記ジョイント板35には貫通孔37が穿孔されている。
なお、柱5′は、柱5と略同様の構成であるが、
図7に示すように、上端部(
図7中上側端)に2つのブラケット19が固着されているものである。上記柱5′は、後述する屋根ユニット51が隣り合う箇所に設置されるものである。また、上記ブラケット19、上記プレート17、上記ボルト29、31は、例えば、ステンレス製である。
【0014】
また、ベースプレート21は、上記柱本体15の下端側からボルト用孔27に螺合される図示しない4つのボルトによって、上記柱本体15に固定されている。
図3に示すように、上記柱本体15の下端側(
図3中下側)と上記ベースプレート21は基礎39に埋設され、さらにこの基礎39がプラットホーム3に埋設されることによって、柱5がプラットホーム3上に立設されている。また、上記ベースプレート21は、複数のアンカーボルト41を介して、上記基礎39内に固定されている(詳細は追って作用の箇所で説明する。)。
なお、上記ベースプレート21及び上記アンカーボルト41は、例えば、鋼製である。
【0015】
また、上記柱本体15の側面には、L字型金具43を介して、フック45が取り付けられている。このフック45は後述する屋根ユニット51の回動作業に用いられるもので、回転式ホーム上家1の完成後には上記L字型金具43とともに取り外される。上記フック45と上記L字型金具43が取り外された後は、上記L字型金具43の固定に用いるボルトの螺合されていた孔に図示しないセットスクリューが螺合される。上記フック45の取付位置については後述する。なお、上記フック45は、例えば、ステンレス製である。
また、上記柱本体15の側面のうち、プラットホーム3上に設置された柱5(柱5′)同士が向かい合う側の面のそれぞれには、4つずつのトラス取付用孔47が穿孔されている。また、上記柱本体15の側面のうち、上記トラス取付用孔47が設けられた側面に直交する面のそれぞれには、4つずつのブラケット取付用孔48が穿孔されている。
なお、回転式ホーム上家1両端の柱5においては、
図16に示すように、使用されない上記トラス取付用孔47にセットスクリュー50が螺合される。
柱5及び柱5′のプラットホーム3上での配置は、
図1に示すようになっている。上記柱5′の位置において、後述する屋根ユニット51同士が隣り合うようになっている。
以上が、柱5及び柱5′の構成についての説明である。
【0016】
図7に示すように、上記柱5(柱5′)間には、トラス7が設けられている。
このトラス7は、その両端を、隣接した2本の上記柱5(柱5′)の柱本体15の側面のうちプラットホーム3上に設置された柱5同士が向かい合う側の面に当接した状態で、4つのトラス取付用孔47に螺合される4つのボルト49によって固定されている。
また、上記トラス7も、その構造材は、例えば、アルミ又はアルミ合金製となっている。また、上記ボルト49は、例えば、ステンレス製である。
【0017】
次に、屋根9の構成について説明する。
図1に示すように、上記屋根9は、複数の屋根ユニット51が連続して配置されることによって構成されている。
上記屋根ユニット51は、
図3に示すように、柱5(柱5′)に接続された屋根用梁構造体53と、この屋根用梁構造体53の上(
図3中上側)に固定された屋根パネル55とから構成されている。
【0018】
まず、屋根用梁構造体53の構成について説明する。
上記屋根用梁構造体53は、
図8に示すように、横方向(
図8中左右方向)に配置された大梁57a、57b、57cと、上記大梁57aと上記大梁57bとを接続する小梁59a、59b、59c、59dと、上記大梁57bと上記大梁57cとを接続する小梁59a′、59b′、59c′、59d′とから構成されている。上記大梁57a、57b、57cや上記小梁59a、59b、59c、59d、59a′、59b′、59c′、59d′は、例えば、アルミ又はアルミ合金製である。
また、上記小梁59a、59b間、上記小梁59b、59c間、上記小梁59c、59d間は、それぞれ梁材61によって接続されている。上記小梁59a′、59b′、59b′、59c′、59d′についても同様に梁材61によって接続されている。
【0019】
また、上記大梁57aの両端側の上記屋根用梁構造体53裏面側(
図3中下側、
図8中紙面方向側)にはブレース用プレート63、63′が、それぞれ上記大梁57aに螺合された4つのボルト64によって固着されている。
また、上記大梁57bについてはブレース用プレート65、65′が、上記大梁57cについてはブレース用プレート67、67′が、上記大梁57aの場合と同様に固着されている。
また、上記小梁59cの上記梁材61、61との接続部分であって、上記屋根用梁構造体53の裏面側(
図3中下側、
図8中紙面方向側)にはブレース用プレート69が4つのボルト70によって固着されている。
また、上記小梁59c′の上記梁材61、61との接続部分であって、上記屋根用梁構造体53の裏面側(
図3中下側、
図8中紙面方向側)にも、上記小梁59cの中央付近の場合と同様に、ブレース用プレート69′が固着されている。
【0020】
上記ブレース用プレート69と、上記ブレース用プレート63、63′、65、65′のそれぞれとの間は、ブレース71、71、71、71によって接続されている。
また、上記ブレース用プレート69′と、上記ブレース用プレート65、65′、67、67′のそれぞれとの間も、ブレース71、71、71、71によって接続されている。
なお、上記ブレース用プレート69等に対する上記ブレース71の固定は、ボルト72と図示しないナットによって行われている。また、上記ブレース用プレート63、63′、65、65′、67、67′、69、69′、ブレース71、は、例えば、ステンレス製である。
【0021】
上記大梁57bは、
図10に示すように、その横断面形状がH型をなすH型材であり、その上面(
図10中上側の面)と下面(
図10中下側の面)には、長さ方向(
図10中紙面垂直方向)に延長・形成されたボルト係合溝73、73が形成されている。
なお、大梁57bと同様の断面形状を持つ部材が、小梁59a、59b、59c、59d、59a′、59b′、59c′、59d′や梁材61として用いられている。
【0022】
また、上記大梁57bには、
図10に示すように、その上側(
図9(b)及び
図10中上側)に、3つのブラケット75a、75b、75cが固着されている。個々の上記ブラケット75aは、上記大梁57bに螺合された4つのボルト76によって上記大梁57bに固着されていて、
図11に示すように、基部77と、この基部77に垂直に形成された1つのジョイント板79とから構成されている。上記ジョイント板79には貫通孔81が形成されている。また、基部77には上記複数のボルトが貫通する取付用貫通孔83、83、83、83が形成されている。
なお、上記ブラケット75b、75cも、上記ブラケット75aと同様の構成となっている。また、上記ブラケット75a、75b、75cは、例えば、ステンレス製である。
【0023】
また、上記大梁57bには、
図9及び
図10に示すように、8つのT字型金具85が固着されている。上記T字型金具85は、例えば、アルミ又はアルミ合金製である。また、上記T字型金具85は、上記大梁57bの長さ方向(
図9中左右方向)両端と上記大梁57bの長さ(
図9中左右方向長さ)を3等分する位置において、幅方向(
図9(a)中上下方向)両側のそれぞれに固着されている。上記大梁57bの幅方向(
図9(a)中上下方向)両側に配置された1組の上記T字型金具85、85は、4組のボルト87とナット89によって上記大梁57bに固着されている。
上記T字型金具85の3つの辺の夫々には、貫通孔91が2つずつ形成されている。上記ボルト87は上記貫通孔91を貫通して上記ナット89に螺合されている。また、上記貫通孔91のうち、上記大梁57bの幅方向(
図9(a)中上下方向)両側に突出した上記T字型金具85の辺も形成されたものは、後述する小梁59a等と上記大梁57bとの接続に際して用いられるものである。
【0024】
なお、大梁57aと大梁57cも、上記大梁57bと略同様の構成となっており、ブラケットやブレース用プレートが固着されているが、前述したように、固着されたブレース用プレートの種類が異なっている。また、上記大梁57aや上記大梁57cにおいては、上記T字型金具85は、幅方向の一方側(上記大梁57aについては
図8中左側、上記大梁57cについては
図8中右側)のみに設けられている。
【0025】
小梁59bは、前述したように、
図12及び
図13に示すような、前述した大梁57b等と同様の構成を成している。そして、その上面(
図12及び
図13(b)中上側の面)のボルト係合溝73には、14個の先入れボルト93が係合されている。これらの先入れボルト93は、
図13に示すように、上記小梁59bの長さ方向(
図13中左右方向)の所定位置に配置されている。
上記先入れボルト93は、
図14に示すような形状を成しており、上記ボルト係合溝73の断面形状に対応した形状となっている頭部95と、雌ねじ部97とから構成されている。上記先入れボルト93は、上記雌ねじ部97を上記小梁59bの上面側(
図13(b)中上側)に突出させた状態で、上記小梁59bのボルト係合溝73に係合・配置されている。上記先入れボルト93によって、屋根用梁構造体53に対して、後述する屋根パネル55が取り付けられるようになっている。なお、上記先入れボルト93は、例えば、ステンレス製である。
【0026】
また、
図13(a)に示すように、上記小梁59bの長さ方向(
図13中左右方向)中央の、幅方向(
図13(a)中上下方向)両側には、T字型金具85、85が固着されている。上記T字型金具85、85は、4組のボルト99及びナット101によって、上記小梁59bに固着されている。
また、上記小梁59bの長さ方向(
図13中左右方向)両端側には、それぞれ2つずつ貫通孔103が形成されている。
なお、小梁59cは上記小梁59bと同様の構成を成している。また、小梁59aと小梁59dは上記小梁59bと略同様の構成であるが、T字型金具85が屋根用梁構造体53の内側方向の面に一つだけ固着されている。(上記小梁59aについては
図8中下側に、上記小梁59dについては
図8中上側に、上記T字型金具85が固着されている。)また、小梁59a′は小梁59aと同様の構成を成しており、小梁59b′は小梁59bと同様の構成を成しており、小梁59c′は小梁59cと同様の構成を成しており、小梁59d′は小梁59dと同様の構成を成している。
【0027】
また、大梁57bと小梁59a、59a′との接続部は、
図15に示すような構成となっている。すなわち、上記大梁57bの
図15中左側に突出したT字型金具85の辺に対して上記小梁59aが接続され、
図15中右側に突出したT字型金具85の辺に対して上記小梁59a′が接続されている。また、上記小梁59aや上記小梁59a′と、上記T字型金具85とは、上記小梁59aや上記小梁59a′の貫通孔103と上記T字型金具85の貫通孔91とを貫通するボルト105と、このボルト105に螺合されるナット107によって固定されている。
なお、他の大梁と小梁の接続部や、小梁と梁材61との接続部についても同様の構成となっている。
【0028】
また、屋根9の両端に配置される屋根ユニット51の屋根用梁構造体53については、
図1や
図16に示すように、上記屋根9の端に位置する大梁57a又は大梁57cに端材108が取り付けられている。すなわち、
図8を用いて説明すると、
図1中右端側に取り付けられた屋根ユニット51の屋根用梁構造体53においては、大梁57aの
図8中左側に4つの端材108が取り付けられており、
図1中左端側に取り付けられた屋根ユニット51の屋根用梁構造体53においては、大梁57cの
図8中右側に4つの端材108が取り付けられていることになる。
上記端材108も、例えば、アルミ又はアルミ合金製であり、上記大梁57b等と同様の断面形状をなす部材で、その長さが非常に短いものである。また、上記端材108と上記大梁57a等との接続も、
図16に示すように、上記大梁57bと上記小梁59a等との接続と同様、上記T字形金具85によって行われる。
以上が、屋根用梁構造体53の構成についての説明である。
【0029】
次に、屋根用梁構造体53と柱5(柱5′)との接続について説明する。
上記大梁57bに固着されたブラケット75bは、
図16に示すように、柱5のブラケット19に接続され、ジョイント109を形成する。このジョイント109は、
図17に示すように、上記ブラケット19のジョイント板35、35の間に、上記ブラケット75bのジョイント板79が挿入され、上記ジョイント板35、35の貫通孔37、37や上記ジョイント板79の貫通孔81を貫通するピン111が設置されることによって、上記ブラケット19に対して上記ブラケット75bが回動可能に接続されるように構成されている。
【0030】
また、上記ピン111には長さ方向(
図17中左右方向)に延長・形成された貫通孔113があり、この貫通孔113にボルト115の軸部117を貫通させている。上記軸部117の後端側(
図17中右側)にはナット119が螺合されている。上記ボルト115の頭部121と上記ピン111との間、及び、上記ナット119と上記ピン111との間には、ワッシャ121、121が介挿されている。
上記ピン111の長さ(
図17中左右方向長さであり、
図17中l
1で示す)は、上記ブラケット19の一方のジョイント板35の外側の面(反他方のジョイント板35側の面)から他方のジョイント板35の外側の面(反一方のジョイント板35側の面)までの距離(
図17中l
2で示す)よりも若干大きく設定されている。そのため、
図17に示すような上記ボルト115及び上記ナット119を緩くした仮止めの状態から、上記ボルト115及び上記ナット119を上記ワッシャ121、121が上記ピン111を押圧するように締めた状態にして固定しても、上記ブラケット19に対して上記ブラケット75bが回動可能となっている。なお、上記ピン111は、例えば、ステンレス製である。
【0031】
なお、大梁57aや大梁57cに固着されたブラケット75bと、柱5(柱5′)のブラケット19との接続部も、前述した上記大梁57bと上記柱5のブラケット19との接続部と同様の構成となっており、ジョイント109を形成している。また、柱5′には、前述したように2つのブラケット19、19が固着されているが、前述したように、上記柱5′は、屋根ユニット51が隣り合う箇所に設置されるものである。そのため、上記柱5′の一方のブラケット19には一の屋根用梁構造体53の大梁57aに固着されたブラケット75bが接続され、上記柱5′の他方のブラケット19には他の屋根用梁構造体53の大梁57cに固着されたブラケット75bが接続されることになる。
【0032】
また、
図3等に示すように、屋根用梁構造体53は、柱5(柱5′)と上記屋根用梁構造体53とを接続する方杖11、13によって支持されている。
上記方杖11は、
図18に示すように、パイプ状を成している軸部123と、その両端に固着されたブラケット125、125とから構成されている。上記軸部123は、例えば、アルミ又はアルミ合金製である。また、上記ブラケット125は、前述したブラケット19と同様のものである。上記ブラケット125、125の何れか一方にはブラケット127が接続されている。このブラケット127は、前述したブラケット75a等と同様のものであり、上記ブラケット125と上記ブラケット127との接続部分ジョイント128となっており、その構成は前述した
図17に示すようなものとなっている。
また、上記方杖13は、上記方杖11と略同様の構成となっており、上記軸部123の長さが長いものとなっている。
【0033】
上記方杖11、13の、柱5(柱5′)及び上記屋根用梁構造体53に対する取付構造について、上記方杖13を例に挙げて説明する。
上記方杖13は、
図16に示すように、上記柱5及び上記屋根用梁構造体53に取り付けられている。すなわち、上記方杖13のブラケット125は上記大梁57bのブラケット75aと接続され、上記方杖13のブラケット127は上記柱5の側面に固着されている。上記ブラケット127は、上記柱5のブラケット取付用孔48、48、48、48に螺合されるナット126によって、上記柱5に固着されている。上記ブラケット125と上記ブラケット75aとの接続部分もジョイント130となっており、その構成も、前述した
図17に示すようなものとなっている。
【0034】
なお、
図3に示すように、上記方杖13の取り付けられた側の反対側に方杖11が取り付けられている。上記柱5と上記屋根用梁構造体53との接続についても、上記方杖13を介した上記柱5と上記屋根用梁構造体53との接続と同様の構成となっている。
【0035】
また、上記方杖11、13を介した、柱5′と上記屋根用梁構造体53との接続についても略同様の構成となっているが、前述したように上記柱5′は後述する屋根ユニット51が隣り合う箇所に配置されているため、二組の上記方杖11、13が取り付けられている。そして、隣り合う2つの上記屋根ユニット51のうちの一方の屋根ユニット51が一方の方杖11、13によって支持されるとともに、他方の屋根ユニット51が他方の方杖11、13によって支持されることになる。
以上が、屋根用梁構造体53と柱5(柱5′)との接続についての説明である。
【0036】
次に、屋根パネル55の構成について説明する。
上記屋根パネル55は、例えば、
図19に示すように、複数の屋根型材ユニット129と1つの屋根型材ユニット131によって構成されている。また、上記屋根パネル55の
図19中右側端部には、アングル材132a、132aが装着されている。このアングル材132a、132aは、例えば、アルミ又はアルミ合金製であり、複数のリベット132bによって固定されている。回転式ホーム上家1が完成した状態においては、上記屋根パネル55の上記アングル材132aが設けられた側を上方に向けて、屋根9が傾斜されることになる。
上記屋根型材ユニット129は、
図20に示すように、4つの屋根板133を、略Z字型の断面形状を成す4つのZ字型部材135によって接続した構成となっている。
【0037】
屋根板133は、例えば、アルミ又はアルミ合金製である。また、上記屋根板133は、
図21に示すような断面形状を成しており、押出成型によって形成される。
図21中左側の部分は上面側(
図21中上側)に開口した凹部137となっており、その外側(
図21中左側)の縁部には、パッキン用溝139が長さ方向(
図21中紙面垂直方向)に延長・形成されている。上記凹部137の
図21中右側の部分は、略筒状に形成され、ナット用貫通孔141が長さ方向(
図21中紙面垂直方向)に延長・形成されている。また、上記ナット用貫通孔141の下側(
図21中下側)には、上記屋根板133の下面側(
図21中下側)に開口したナット用溝143が長さ方向(
図21中紙面垂直方向)に延長・形成されている。また、
図21中、上記ナット用貫通孔141と上記ナット用溝143の右側には、下面側(
図21中下側)に開口した凹部145が形成されている。
【0038】
上記屋根板133が
図22に示すように組み合わさり、Z字型部材135によって接続されることで、屋根型材ユニット129が構成されている。
4つの上記屋根板133、133、133、133は、
図22に示すように、一の屋根板133の凹部145の一部と隣接する他の屋根板133の凹部137の一部とを係合させることで組み合わされている。また、上記パッキン用溝139にはシール部材としてのパッキン146が挿入され、上記一の屋根板133と上記他の屋根板133との係合部分を密着させている。
上記Z字型部材135と上記屋根板133との接続は、上記屋根板133のナット用溝143内に挿入された先入れナット147と、上記Z字型部材135を貫通するボルト149とを螺合させることによって行われる。上記Z字型部材135は、例えば、アルミ又はアルミ合金製であり、前述のように、
図20に示すような、略Z字型の断面形状を成している。また、上記Z字型部材135の、
図20中上側の辺には、図示しない3つの貫通孔が穿孔されており、この貫通孔に上記ボルト149が貫通されていることになる。また、上記Z字型部材135の
図20中上側の辺の両端側(
図20中左右方向両端側)には、貫通孔150、150が穿孔されている。
【0039】
なお、屋根型材ユニット131は上記屋根型材ユニット129と略同様の構成となっているが、2つの屋根板133が用いられている点で異なっている。また、上記屋根ユニット51の両端部に用いる上記屋根型材ユニット131には、
図23に示すように、例えば、ステンレス製のアイボルト151が上記屋根板133のナット用貫通孔141内に挿入された板ナット153に螺合されることで取り付けられている。ちなみに、上記板ナット153は、ボルト154、154によって上記屋根板133に固定されているものであり、例えば、アルミ又はアルミ合金製である。
【0040】
また、以上述べた上記屋根パネル55の構成は、一例であり、上記屋根型材ユニット129、131以外にも、上記屋根板133の枚数が異なる屋根型材ユニットも用いる場合が考えられる。また、上記屋根パネル55に用いる屋根型材ユニットの個数や種類は、上記屋根パネル55の全長を調整するために異っている場合が考えられる。
なお、上記屋根パネル55の全長は、それが用いられている屋根ユニット51が回転式ホーム上家1のどの部分に用いられるかによって異なっている。また、本実施の形態の説明において、全ての屋根ユニット51に同一の符号を付しているが、その取付位置によって用いられる屋根パネル55を構成する屋根型材ユニットの個数や種類が異なっている場合がある。
以上が、屋根パネル55の構成についての説明である。
【0041】
図3に示すように、上記屋根パネル55のZ字型部材135が屋根用梁構造体53の上面側(
図3中上側)に接続されて、上記屋根パネル55が上記屋根用梁構造体53に取り付けられることで、屋根ユニット51が構成される。その際、上記屋根用梁構造体53の小梁59a〜59dのボルト係合溝73に係合された先入れボルト93の雌ねじ部97が上記Z字型部材135の貫通孔150を貫通しナット155に螺合されることで、上記屋根パネル55と上記屋根用梁構造体53とが固定される。
以上が屋根ユニット51の構成についての説明である。
【0042】
複数の屋根ユニット51によって屋根9が形成されるが、上記屋根ユニット51が隣接する部分には若干の隙間が存在している。この隙間を塞ぐため、上記屋根9には、
図1に示すように、カバー157が設置されている。このカバー157は、例えば、アルミ又はアルミ合金製である。また、上記カバー157が設けられた部分は、
図23に示すような構成となっている。すなわち、隣接する2つの屋根ユニット51の境界部分に、略コの字型を90°回転させた断面形状を成す上記カバー157を被せて、上記隣接する2つの屋根ユニット51の境界部の隙間を塞いでいる。また、上記カバー157は、上記隣接する二つの屋根ユニット51のうちの一方(
図23中左側の屋根ユニット51)に対して、ビス159及び粘着テープ161によって固定されている。
【0043】
なお、上記複数の屋根ユニット51によって上記屋根9が構成されると、上記カバー157の先端側(
図1中上側の端側)が上記アングル材132aと屋根板133との間に挿入された状態となっている。
以上が屋根9の構成についての説明である。
【0044】
また、
図3に示すように、屋根9は、所定の角度だけ傾斜させた状態で取り付けられている。上記屋根9の傾斜の下り側(
図3中右側)の端部には、雨樋163が設けられている。上記雨樋163は、回転式ホーム上家1の長さ方向(
図3中紙面垂直方向)に所定の角度だけ、若干傾斜した状態で設けられていて、例えば、2つの排水パイプ165が接続されているものである。この2つの排水パイプ165は、
図1及び
図3に示すように、プラットホーム3の背面(
図1中下側の面)に設けられた排水溝166に接続されている。
以上が、本実施の形態による回転式ホーム上家1の構成についての説明である。
【0045】
次に、本実施の形態による回転式ホーム上家1の構成の作用について説明する。
柱5(柱5′)と屋根9とが回動可能なジョイント109によって接続されている。そのため、上記回転式ホーム上家1は、まず、上記屋根9を略垂直に立てた状態で設置する屋根設置工程と、その後、上記屋根9を回動させて所定の傾斜角度にて固定する屋根回動・固定工程を行うことによって構築されるものである。
また、上記屋根9は複数の屋根ユニット51から構成されているため、この屋根ユニット51ごとに上記屋根回動・固定工程を行うものである。また、上記屋根ユニット51は複数の屋根型材ユニット129等から構成されているため、上記屋根ユニット51の構築は予め組み立てられた上記屋根型材ユニット129等を現場に搬入して行われるものである。
【0046】
また、上記屋根9に用いられる屋根板133は押出成型によって形成されるものであり、上面側(
図3中上側)に開口された凹部137が形成されている。そして、上記屋根9は所定の傾斜角度で傾斜されており、傾斜の下り側(
図3中右側)の端部には、雨樋163が設けられている。そのため、雨が降った際は、雨水が雨樋163側に流出していくことになる。
また、上記屋根9を構成する複数の屋根ユニット51同士の境界部分にはカバー161が設けられており、上記屋根9の下方(
図3中下側)に雨水が漏れ出さないようにしている。
また、上記屋根ユニット51に用いられる複数の屋根板133の係合部にはパッキン146が設けられており、上記屋根板133同士が係合する部分から雨水が漏れ出さないようにしている。
以上が、本実施の形態による回転式ホーム上家1の構成の作用についての説明である。
【0047】
次に、本実施の形態による回転式ホーム上家1による効果について説明する。
柱5(柱5′)と屋根9とが回動可能なジョイント109によって接続されているため、上記回転式ホーム上家1は、まず、上記屋根9を略垂直に立てた状態で構築した後、上記屋根9を回動させて所定の傾斜角度にて固定することによって構築されるものである。そのため、鉄道を通常通り運行させたまま、少ない作業スペースにて上記屋根9を構築することができる。また、線路閉鎖やき電停止は上記屋根9を回動させる段階以降に行えばよく、上記回転式ホーム上家1の構築による鉄道の運行等への影響を大幅に減少させることができる。
また、上記屋根9は複数の屋根ユニット51から構成されているため、この屋根ユニット51ごとに上記屋根回動・固定工程を行うことにより、所定の傾斜角度で傾斜された上記屋根9の構築が容易なものとなる。また、上記屋根ユニット51は複数の屋根型材ユニット129等から構成されているため、上記屋根ユニット51の構築を予め組み立てられた上記屋根型材ユニット129等を現場に搬入して行うことができ、上記屋根ユニット59を容易に構築することができる。
また、上記屋根9に用いられる屋根板133や、屋根用梁構造体53の大梁57a、小梁59a等は、例えば、アルミ又はアルミ合金製であり、上記屋根9を軽くすることができるとともに、上記屋根9の回動作業を容易にすることができる。
【0048】
また、上記屋根板133は押出成型によって形成されるものであり、上面側(
図3中上側)に開口された凹部137が形成されている。そして、上記屋根9は所定の傾斜角度で傾斜されており、傾斜の下り側(
図3中右側)の端部には、雨樋163が設けられている。そのため、雨が降った際は、雨水を効率よく雨樋163側に流出させることができる。
また、上記屋根9を構成する複数の屋根ユニット51同士の境界部分にはカバー161が設けられているため、上記屋根9の下方(
図3中下側)への雨漏りを防止することができる。
また、上記屋根ユニット51に用いられる複数の屋根板133の係合部分にはパッキン146が設けられているため、上記屋根板133同士の係合部分からの雨漏りを防止することができる。
また、柱5の柱本体15は、例えば、アルミ又はアルミ合金製であり、内部にリブ25、25、25、25が設けられた中空形状となっているため、軽量であり、且つ、上記屋根9をジョイント109、方杖11、13を介して確実に指示することができる。
以上が、本実施の形態による回転式ホーム上家1の構成の効果についての説明である。
【0049】
次に、主に
図24〜
図31を参照して、本実施の形態による回転式ホーム上家1の構築方法について説明する。
なお、
図24〜
図31に示す上記回転式ホーム上家1と前述の
図1に示す回転式ホーム上家1とは屋根ユニット51の個数が異なっているが、それ以外の構成は同様のものとなっている。
まず、
図24に示すように、プラットホーム3上に囲い167を設置する。この囲い167の設置作業においては、資材の搬入や上記囲い167の構築作業のため、線路閉鎖を行う必要がある。また、上記囲い167の設置作業は夜間に行われる。なお、上記線路閉鎖は、上記囲い167の構築作業が完了すると、解除される。
【0050】
次に、
図25に示すように、プラットホーム3に基礎39を埋設するための穴(ピット)169を形成する。この作業は上記囲い167内で行うため、線路閉鎖やき電停止を行う必要はない。また、上記穴(ピット)169形成作業は昼間に行われる。
【0051】
次に、
図26に示すように、上記穴(ピット)169の位置に柱5(柱5′)を立設していくことになる。これが柱立設工程である。説明の都合上、
図3に戻るが、まず、穴169内に、下部基礎39aを構築する。この下部基礎39aの構築は、型枠を組み、次いで、その型枠内に鉄筋を組み、同時に、既に説明したアンカーボルト41を埋設し、その状態でコンクリートを打設する。これによって、下部基礎39aが構築される。
【0052】
次いで、上記下部基礎39aに柱5(柱5′)の下端部に設けられたベースプレート21を上記アンカーボルト41に仮固定して上記柱5(柱5′)を立てる。このとき、上記柱5(柱5′)の位置合わせを行う。そして、
図26に示すように、隣り合う上記柱5(柱5′)間にトラス7を取り付け、再度、上記柱5(柱5′)の位置合わせを行い、上記柱5(柱5′)間のピッチを確定して、上記ベースプレート21を上記アンカーボルト41に本固定する。その後、型枠を組んで、その中に鉄筋を組み、その状態でコンクリートを打設する。これによって、上部基礎39bが構築される。後は、基礎39の周りに掘削土40を入れて埋め戻し、その表面にアスファルト42を流し込んで完了する。
これによって、柱5(柱5′)の立設工程(柱立設工程)が完了する。
なお、上記柱5(柱5′)は
図26に示すように設置されており、柱5′は後述する屋根ユニット51同士が隣接する箇所に設置されるものである。また、上記柱5(柱5′)は予め組み立てられた状態で現場に運び込まれるものである。
これらの作業も上記囲い167内で行うため、線路閉鎖やき電停止を行う必要はなく、昼間に行われるものである。
【0053】
次に、上記柱5(柱5′)に屋根ユニット51を立てた状態で設置する屋根設置工程について説明する。
まず、
図27に示すように、柱5(柱5′)に屋根用梁構造体53を回動可能に、且つ、立てた状態で取り付ける。
この屋根用梁構造体53は、次のようにして、上記柱5(柱5′)に取り付けられながら、構成される。まず、大梁57a等には予め、ブラケット75a等、ブレース用プレート63等、T字型金具85を固着させておく。また、小梁59a等にも、予め、ブレース用プレート69、T字型金具85等を固着させ、ボルト係合溝73内に先入れボルト93を係合させておく。
【0054】
次に、
図27中左端の柱5に大梁57aを立てた状態で取り付け、
図27中左から2番目の柱5に大梁57bを立てた状態で取り付ける。中央の柱5′の
図27中左側(
図7中左側)のブラケット19には大梁57cを立てた状態で取り付け、
図27中右側(
図7中右側)のブラケット19には大梁57aを立てた状態で取り付ける。そして、
図27中右から2番目の柱5には大梁57bを立てた状態で取り付け、
図27中右端の柱5には大梁57cを立てた状態で取り付ける。その後、上記大梁57a等を
図8に示すように、小梁59a等によって接続し、梁材61やブレース用プレート63等、ブレース71等を取り付けて、上記屋根用梁構造体53を構築する。
これらの作業も上記囲い167内で行うため、線路閉鎖やき電停止を行う必要はなく、昼間に行われるものである。
【0055】
なお、
図27においては、上記屋根用梁構造体53が模式的に示されており、ブレース用プレート等が図示されていない。また、上記大梁57a等もその形状を簡略化して示している。以下で参照される
図28、
図30においても同様である。
【0056】
次に、
図28に示すように、立てた状態の上記屋根用梁構造体53に屋根パネル55を取り付ける。
まず、予め、屋根型材ユニット129、131を組み立てておく。そして、この屋根型材ユニット129、131を現場に搬入して、
図19に示すように上記屋根用梁構造体53に取り付け、更にアングル材132a、132aを取り付けることで屋根パネル55を形成する。これによって、1つの屋根用梁構造体53と、この屋根用梁構造体53上に形成された屋根パネル55とによる屋根ユニット51が構成される。
図28には2つの屋根ユニット51が示されている。
ここまでの工程が、屋根設置工程である。
これらの作業も上記囲い167内で行うため、線路閉鎖やき電停止を行う必要はなく、昼間に行われるものである。
【0057】
次に、上記屋根ユニット51を回動させて所定の傾斜角度にて固定する屋根回動・固定工程について説明する。この屋根回動・固定工程は、夜間に行われるものである。
まず、上記囲い167を撤去するとともに、き電停止と線路閉鎖を行う。そして、上記屋根ユニット51を回動させて、所定の角度に傾斜させた状態で固定する。
そして、上記屋根ユニット51を回動させて所定の傾斜角度とする屋根回動工程を行う。この屋根回動工程は、
図29に示すように、ハンドウインチ171を用いて、作業員173によって行う。
まず、
図29に示すように、大梁57cのブラケット75cにワイヤ175を接続する。次に、柱5(柱5′)の反屋根ユニット51側(
図29中右側)の面の下端側(
図29中下側)にL字型金具43を介して取り付けられたフック45に上記ハンドウインチ171を接続する。そして、上記ハンドウインチ171と上記ワイヤ175とを接続する。また、大梁57aや大梁57bについても、同様に、ブラケット75cにワイヤ175を接続し、上記ワイヤ175とハンドウインチ171によって、対応する柱5(柱5′)との接続を行う。
そして、個々の作業員173が対応する上記ハンドウインチ171を用いて、上記ワイヤ175を引っ張り、
図29中時計回り方向に屋根ユニット51を回動させる。上記屋根ユニット51が所定の傾斜角度となったら、上記ハンドウインチ171の操作をやめ、上記屋根ユニット51の回動を停止させる。この状態では、上記屋根ユニット51のブラケット75a側(
図29中左側)が自重によって下がるのを上記ワイヤ175によって支え、上記屋根ユニット51が上記所定の角度にて傾斜した状態を維持している。
【0058】
次に、
図3に示すように、方杖13を設置する方杖設置工程を行う。個々のブラケット75aに上記方杖13のブラケット125を接続し、その後、上記方杖13のブラケット127を対応する柱5(柱5′)に固着させる。この状態では、上記方杖13によって上記屋根ユニット51が所定の角度で傾斜した状態が維持されているため、個々の上記ワイヤ175を上記ブラケット75cから取外す。
次に、方杖11を設置する別方杖設置工程を行う。上記ワイヤ175を取り外した後、個々の上記ブラケット75cに方杖11のブラケット125を接続し、その後、上記方杖11のブラケット127を対応する上記柱5(柱5′)に固着させる。このようにすることで、上記方杖11、13によって上記屋根ユニット51は完全に固定される。なお、一つの上記屋根ユニット51に対して、3組の上記方杖11、13が使用されていることになる。
一つの屋根ユニット51について回動・固定作業が完了した状態を
図30に示す。又、2つの屋根ユニット51について回動・固定作業が完了した状態は
図31に示すようになる。
ここまでの工程が、屋根回動・固定工程である。
【0059】
次に、
図1、
図23に示すように、上記屋根ユニット51間の境界部分にカバー157を取り付ける。このとき、上記カバー157の先端側(
図1中上側の端側)がアングル材132aと屋根板133との間に挿入される。これによって、上記屋根ユニット51、51による屋根9が構成される。
また、上記屋根ユニット51の回動作業の際に用いたフック45、及び、このフック45が取り付けられているL字型金具43を柱5(柱5′)から除去し、上記L字型金具43を固定していたボルトの螺合されていた孔に図示しないセットスクリューを螺合する。
また、屋根9への雨樋163の取付作業等を行う。そして、き電停止と線路閉鎖が解除される。
このようにして、回転式ホーム上家1が構築される。
【0060】
次に、本実施の形態による回転式ホーム上家1の構築方法の特徴部分について、一部繰り返しになるが更に詳しく説明する。
上記回転式ホーム上家1の構築方法によると、
図27、
図28に示すように、屋根9を構成する屋根ユニット51を立てた状態で構築するため、上記屋根ユニット51の構築作業は囲い167内の狭いスペースで行うものであり、この作業中には線路閉鎖やき電停止は行わないものである。
また、上記屋根ユニット51の屋根用梁構造体53の構築作業は、まず柱5(柱5′)に大梁57a、57b、57cを接続し、その後、小梁59a等を接続していくことによって行われるため、搬入し易い各構成要素を上記囲い167内に搬入して行うものである。
また、上記屋根ユニット51の屋根パネル55の構築作業は、予め屋根型材ユニット120、131を組み立てておき、これを上記屋根用梁構造体53に取り付けていくことで行われるため、搬入し易い上記屋根型材ユニット120、131上記囲い167内に搬入して行うものである。
【0061】
また、上記屋根ユニット51を所定の傾斜角度とする屋根回動・固定工程は、立てた状態で構築した上記屋根ユニット51を回動させることによって行うため、ある程度広いスペースが必要であり、このときはき電停止と線路閉鎖を行うものである。
また、上記屋根ユニット51の回動作業は、ハンドウインチ171によって、人力で行うものである。
以上が、本実施の形態による回転式ホーム上家1の構築方法についての説明である。本実施の形態によれば、き電停止と線路閉鎖を最小限に抑えることができる。
【0062】
次に、本実施の形態による回転式ホーム上家1の構築方法の効果について説明する。
まず、上記回転式ホーム上家1の構築方法によると、屋根9を構成する屋根ユニット51を立てた状態で構築するため、囲い167内の狭いスペースでも上記屋根ユニット51の構築作業を行うことができ、この作業中に線路閉鎖やき電停止を行う必要がなく、鉄道の運行に与える影響を小さなものとすることができる。
また、上記屋根ユニット51の屋根用梁構造体53の構築作業は、まず柱5(柱5′)に大梁57a、57b、57cを接続し、その後、小梁59a等を接続していくことによって行われるため、大きな屋根用梁構造体53を構築してから搬入する必要がなく運搬作業が容易となり、且つ、上記囲い167内の限られたスペースでも容易に作業を行うことができ、この作業中の線路閉鎖やき電停止が不要となる。
また、上記屋根ユニット51の屋根パネル55の構築作業は、予め屋根型材ユニット120、131を組み立てておき、これを上記囲い167内に搬入して上記屋根用梁構造体53に取り付けていくことで行われるため、運搬作業が容易であり、且つ、上記囲い167内の限られたスペースでも容易に作業を行うことができ、この作業中の線路閉鎖やき電停止が不要となる。
【0063】
また、上記屋根ユニット51を所定の傾斜角度とする作業は、立てた状態で構築した上記屋根ユニット51を回動させることによって行うため、ある程度広いスペースが必要である。よって、この作業と、その後の上記屋根ユニット51の固定作業等においてのみ、き電停止と線路閉鎖が必要であり、鉄道の運行に与える影響を小さなものとすることができる。
また、屋根回動・固定工程は、上記屋根ユニット51ごとに行われるものであるため、所定の角度で傾斜された上記屋根9の構築を容易に行うことができる。
また、上記屋根9に用いられる屋根板133や、屋根用梁構造体53の大梁57a、小梁59a、梁材61等の構造材は、例えば、アルミ又はアルミ合金製であり、上記屋根9を軽くすることができる。そのため、上記屋根パネル51の回動作業を容易なものすることができ、ハンドウインチ171によって人力で行うことができる。また、柱5の柱本体15も、例えば、アルミ又はアルミ合金製であるため、柱5の運搬・設置作業が容易なものとなる。
以上が、本実施の形態による回転式ホーム上家1の構築方法の効果についての説明である。
【0064】
なお、本願発明は前記一実施の形態に限定されない。
柱5(柱5′)、屋根ユニット51等の数は、回転式ホーム上家1の全長に応じて様々な場合が考えられる。
また、屋根9の構築は、上記屋根9を構成する個々の屋根ユニット51を順次回動・固定し、全ての屋根ユニット51について回動・固定を行った後、カバー157を取り付けることによって行ったが、立てた状態において先にカバー157を取り付けて上記屋根9を構築した後、上記屋根9の回動・固定を行うことも考えられる。
また、屋根回動・固定工程においてはハンドウインチ171を用いたが、他の手段によって屋根ユニット51(屋根9)の回動作業を行うことも考えられる。
また、各部材の固定手段についても、前記一実施の形態で挙げたものに限定されない。
また、前記一実施の形態の場合には、屋根を傾斜させて固定する場合を例に挙げて説明したが、水平としてもよい。
また、各構成要素の材質は、前記一実施の形態で挙げたものに限定されない。