特許第5925013号(P5925013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925013
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】警備装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20160516BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20160516BHJP
   G08B 21/22 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   G08B25/10 A
   G08B21/22
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-80658(P2012-80658)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-210848(P2013-210848A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】沙魚川 久史
【審査官】 松平 英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−102884(JP,A)
【文献】 特開2007−48265(JP,A)
【文献】 特開2006−106813(JP,A)
【文献】 特開2006−202123(JP,A)
【文献】 特開2003−317174(JP,A)
【文献】 特開平10−164246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F19/00
G06Q10/00−10/10
30/00−30/08
50/00−50/20
50/26−99/00
G08B19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の生活区域に設けられたセンサから検知信号が入力されると通報を行う警備セットモードとセンサが検知しても通報を行わない警備解除モードとが設定可能な警備装置であって、
前記センサと当該センサが配置された部屋とを対応付けたセンサ配置情報を記憶する配置情報記憶部と、
前記センサから検知信号が入力されると時刻とともに検知情報として記憶する検知情報記録部と、
前記警備解除モードに設定されているときの前記検知情報及び前記センサ配置情報から前記部屋ごとに利用者が滞在した活動時間帯を抽出する活動時間抽出部と、
前記部屋ごとに、過去所定期間において前記活動時間帯の同じらしさを統計的に算出し、該同じらしさが所定値以上となる前記活動時間帯を有効活動傾向とする傾向判定部と、
前記有効活動傾向と予め設定された基準値とを比較して前記利用者の生活特性を判定する生活特性判定部と、
を備えたことを特徴とする警備装置。
【請求項2】
更に、前記センサのうち生活区域の外周部分に設置された特定センサから検知信号が入力されると通報を行う在宅警備セットモードが設定可能であって、
前記活動時間抽出部は、前記警備解除モードに設定されているとき及び前記在宅警備セットモードに設定されているときの前記検知情報に基づき前記活動時間帯を抽出する請求項1に記載の警備装置。
【請求項3】
更に、前記警備解除モードに設定されているときに前記利用者に対する情報表示を行う表示部を備え、
前記表示部は、前記生活特性判定部が推測した生活特性に応じて異なる情報を出力する請求項1又は2に記載の警備装置。
【請求項4】
前記傾向判定部は、前記過去所定期間の同じ曜日について前記部屋ごとの活動時間帯を比較して、同じ曜日間における前記部屋ごとの活動時間帯の同じらしさを統計的に算出する請求項1から3の何れかに記載した警備装置。
【請求項5】
利用者の生活区域に設けられたセンサが識別無線機を所持しない人体を検知すると通報を行う警備装置であって、
前記センサと当該センサが設置された部屋とを対応付けたセンサ配置情報を記憶する配置情報記憶部と、
前記センサから前記識別無線機を所持する人体について検知信号が入力されると時刻とともに検知情報として記憶する検知情報記録部と、
前記検知情報及び前記センサ配置情報から前記部屋ごとに利用者が滞在した活動時間帯を抽出する活動時間抽出部と、
前記部屋ごとに、過去所定期間において前記活動時間帯の同じらしさを統計的に算出し、該同じらしさが所定値以上となる前記活動時間帯を有効活動傾向とする傾向判定部と、
前記有効活動傾向と予め設定された複数の生活特性の基準値とを比較して前記利用者の生活特性を判定する生活特性判定部と、
を備えたことを特徴とする警備装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活区域で不審者を検知した場合に通報するような警備装置に関し、特に、正当な利用者の検知データを蓄積して活動傾向を判別することで、利用者の行動特性が判定できる警備装置を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅や事業所など生活区域の各所に人体を検知するセンサを配置して、外部からの不正な侵入者を検知する警備装置が広く知られている。このような警備装置では、通常、無人時や就寝時など利用者が活動しない時間帯に侵入者を監視すべくセンサの検知情報を用いているが、現在ではそれだけでなく、センサ設備を有効活用して有人時の利用者を検知するような提案もなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、既設のカメラやセンサを用いて、在宅者が現在広告を視聴可能であるか判別するセキュリティ装置が開示されている(0026段落)。この特許文献1のセキュリティ装置は、センサを利用して在宅者の挙動を把握することにより在宅者が広告視聴可能か判別して広告を再生するようにしている。また配信される広告の種類は、予め利用者が好きなジャンルを選択できることが開示されている(0029段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−174029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のセキュリティ装置では、利用者が現在広告を視聴可能な状態か否かを推測することはできても、その提供情報は利用者毎に選定されたものではないため、利用者にとって真に必要な情報であるか否かは判別することができない。利用者にとって必要な情報は、例えば季節の変化や生活習慣の変化などにより利用者の生活上の行動が変わるごとに変化し得る。このように、個々の利用者ごとに必要な情報は異なり、しかも随時変化する可能性があるが、特許文献1のセキュリティ装置では利用者の生活上の行動変化を把握することができないために、現時点における利用者に必要な情報を判別できないという問題があった。
【0006】
また、利用者が所望するジャンルを予め選択して登録しておけば、セキュリティ装置にて利用者の趣向を把握することが可能となるものの、この場合には、利用者が自身の行動特性の変化などにより所望する情報が変わるときに、その都度設定変更しなければならない。このため、利用者にとって煩雑で手間がかかるという問題が生じ得る。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、生活区域で不審者を検知した場合に通報するような警備装置において、正当な利用者を検知した場合にはその検知データを蓄積して活動傾向を判別することで、利用者の行動特性が判定できるような警備装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明による警備装置は、利用者の生活区域に設けられたセンサから検知信号が入力されると通報を行う警備セットモードとセンサが検知しても通報を行わない警備解除モードとが設定可能な警備装置であって、前記センサと当該センサが配置された部屋とを対応付けたセンサ配置情報を記憶する配置情報記憶部と、前記センサから検知信号が入力されると時刻とともに検知情報として記憶する検知情報記録部と、前記警備解除モードに設定されているときの前記検知情報及び前記センサ配置情報から前記部屋ごとに利用者が滞在した活動時間帯を抽出する活動時間抽出部と、前記部屋ごとに、過去所定期間において前記活動時間帯の同じらしさを統計的に算出し、該同じらしさが所定値以上となる前記活動時間帯を有効活動傾向とする傾向判定部と、 前記有効活動傾向と予め設定された基準値とを比較して前記利用者の生活特性を判定する生活特性判定部と、を備えたことを特徴とした。
【0009】
また、本発明による警備装置において、更に、前記センサのうち生活区域の外周部分に設置された特定センサから検知信号が入力されると通報を行う在宅警備セットモードが設定可能であって、前記活動時間抽出部は、前記警備解除モードに設定されているとき及び前記在宅警備セットモードに設定されているときの前記検知情報に基づき前記活動時間帯を抽出するようにしてもよい。
【0010】
さらに、本発明による警備装置において、更に、前記警備解除モードに設定されているときに前記利用者に対する情報表示を行う表示部を備え、前記表示部は、前記生活特性判定部が推測した生活特性に応じて異なる情報を出力するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明による警備装置において、前記傾向判定部は、前記過去所定期間の同じ曜日について前記部屋ごとの活動時間帯を比較して、同じ曜日間における前記部屋ごとの活動時間帯の同じらしさを統計的に算出するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明による警備装置の異なる態様は、利用者の生活区域に設けられたセンサが識別無線機を所持しない人体を検知すると通報を行う警備装置であって、前記センサと当該センサが設置された部屋とを対応付けたセンサ配置情報を記憶する配置情報記憶部と、前記センサから前記識別無線機を所持する人体について検知信号が入力されると時刻とともに検知情報として記憶する検知情報記録部と、前記検知情報及び前記センサ配置情報から前記部屋ごとに利用者が滞在した活動時間帯を抽出する活動時間抽出部と、前記部屋ごとに、過去所定期間において前記活動時間帯の同じらしさを統計的に算出し、該同じらしさが所定値以上となる前記活動時間帯を有効活動傾向とする傾向判定部と、前記有効活動傾向と予め設定された複数の生活特性の基準値とを比較して前記利用者の生活特性を判定する生活特性判定部と、を備えたことを特徴とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、少なくとも警備解除モードに設定されているときに、部屋ごとに利用者が滞在した活動時間帯を抽出し、過去所定期間で同じらしさが所定以上となる活動傾向を判定するので、利用者が在宅している間の一定の活動傾向を見出してこれに基づく生活特性を推測することが可能となる。
これにより、利用者の近時の活動傾向から生活特性を推測することができ、個々の利用者に応じて、現在必要度が高いと考えられる情報を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の警備システムの全体構成を示す概略図である。
図2】本発明の警備コントローラの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の配置情報テーブルの内容を模式的に示す図である。
図4】本発明の検知情報テーブルの内容を模式的に示す図である。
図5】本発明の活動時間抽出部が活動時間を抽出する例を示す図である。
図6】本発明の傾向判定部が有効活動傾向を判定する例を示す図である。
図7】本発明の基準生活特性テーブルの内容を模式的に示す図。
図8】本発明の配信管理装置の構成を示すブロック図である。
図9】本発明の警備コントローラ利用者の生活特性を判定する処理を示すシーケンス図
図10】本発明の利用者に適した情報を配信情報として送信する処理を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
本実施形態では、監視対象となる利用者の生活区域として住戸を監視する場合を例示するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、店舗や事業所などを種々の生活区域を監視対象として監視するよう用いられてよい。
【0016】
図1は、本発明に係る警備装置による警備システムを示す構成図である。図1に示すように、本実施形態の警備システム1は、監視対象2となる住戸に設置された警備コントローラ3と、遠隔の監視センタ4及び配信管理装置5が、通信回線網6を介して接続されて構成されている。以下、本実施形態では、本発明にかかる警備装置の機能を警備コントローラ3にて実現する例について説明するが、これに限定されず、警備コントローラ3と配信管理装置5にて警備装置の機能を実現してよく、また、警備コントローラ3と配信管理装置5と監視センタ4にて警備装置の機能を実現してもよい。
【0017】
本実施形態において、通信回線網6はインターネットであり各装置はVPN(Virtual
Private Network)による通信を行う。警備コントローラ3の通信部31とセンタ装置41及び配信管理装置5にはVPN機能が実装され、各装置間にはVPNトンネルが構築される。
【0018】
警備コントローラ3には、監視対象2となる住戸の屋内各部屋と窓などの開口部及び屋外に設置されて人体を検出する防犯センサ7が接続されている。防犯センサ7は人体を検知すると検知信号を警備コントローラ3に送信する。防犯センサ7としては、熱線により監視範囲内の人体を検出するもの、戸の開閉検知により人体の存在を検出するもの、画像データの時間差分により撮像範囲内の人体を検出するものなど、種々提案されている公知の方法を用いることが可能である。警備コントローラ3は、防犯センサ7から受信した信号に基づき、監視中の防犯センサ7が人体を検知した場合に異常発生と判定して、遠隔の監視センタ4への通報処理を行う。
【0019】
監視センタ4は、警備会社などが運営するセンタ装置41を備えた施設であり、管制員が監視対象2を常時監視している。センタ装置41は、1又は複数のコンピュータで構成されている。監視センタ4では、センタ装置41により各種機器が制御され、警備コントローラ3から受信した異常信号に基づいて対処すべき監視対象2の情報が表示部42に表示され、利用者に対する確認処理や、監視対象2への警備員の対処指示などの必要な措置をとる。
【0020】
また、警備コントローラ3は、防犯センサ7から受信した検知信号を蓄積記憶し、過去所定期間(例えば1ヶ月)における監視中でない防犯センサ7の検知信号と検知した部屋の種類とから一定の傾向を抽出し、利用者の生活上の特徴を判定する。防犯センサ7は、侵入者を検出するために住戸内外に設置されるものであるが、利用者が監視区域に存在する場合には利用者の人体を検知して検知信号を出力する。また継続的な検知信号の出力からその場所での利用者の活動時間を推測することができる。そこで、本実施形態では、このように利用者が監視区域に存在する場合における検知信号を所定期間観察することで利用者特有の活動傾向を抽出しようとしている。
【0021】
警備コントローラ3は、検知信号の蓄積から利用者が活動している部屋と時間帯について日々の共通的な活動傾向を抽出し、これを予め部屋の種類と時間帯に対応して定義づけた基準値(基準生活特性テーブル)と比較して、利用者の生活上の特徴(生活特性)を判定する。例えば、利用者の活動傾向が、朝の時間帯に部屋の種別として浴室での活動傾向が有るという予め定義した基準値に合致していれば利用者の生活特性として朝風呂タイプが判定され、また、朝の時間帯に部屋の種別としてキッチンでの活動傾向が無いという基準値に合致していれば利用者の生活特性として朝食不足タイプが判定される。
警備コントローラ3は、利用者の生活特性を判定するとこれを遠隔の配信管理装置5に送信する。また警備コントローラ3にはWebブラウザ機能が実装され、配信管理装置5から配信されるWebコンテンツの表示を行う。
【0022】
配信管理装置5は、警備会社など警備システムのサービス運営を行う事業者が運営するデータセンタに備えられ、1又は複数のコンピュータで構成されている。配信管理装置5には、サービス運営を行う事業者と提携した複数のコンテンツ提供者が予め登録されており、これら各コンテンツ提供者の業種の種目カテゴリ及びコンテンツにアクセス可能な接続情報であるURLやIPアドレスが保存されている。配信管理装置5は、通信回線網60を介してこれら登録されたコンテンツ提供者のサーバ8と接続される。通信回線網60はインターネットである。本実施形態では警備コントローラ3とセンタ装置41及び配信管理装置5間のVPNによる通信と区別するため通信回線網6と通信回線網60を別の通信網として説明するが、これに限定されず両者は同じ通信網であってよい。
【0023】
そして、配信管理装置5は、警備コントローラ3から受信した利用者の生活特性に応じて、最適な種目カテゴリのコンテンツ提供者を選定し、当該コンテンツ提供者のサーバの接続情報を含む配信情報を生成して警備コントローラ3に送信する。配信管理装置5は、警備コントローラ3において配信情報から何れかの接続情報が指定されると該当するコンテンツ提供者のサーバからWebコンテンツを取得して警備コントローラ3に送信する。
【0024】
<警備コントローラ>
次に、図2を用いて警備コントローラ3の構成について説明する。図2は、警備コントローラ3の構成を示すブロック図である。警備コントローラ3は、監視センタ4及び配信管理装置5と通信可能に通信回線網6と接続されて、監視対象2の住戸内に設置されている。
【0025】
警備コントローラ3は、通信回線網6と接続される通信部31と、防犯センサ7と接続されるセンサI/F32と、日時や曜日を計時出力する電子カレンダーとして構成される時計部33と、利用者により操作される操作部34と、画像データを表示する表示部35と、HDDやメモリなどで構成される記憶部36と、MPUやマイコンなどで構成され各部の制御を行う制御部37とを有して概略構成される。
【0026】
通信部31はVPN機能を搭載している。通信部31は、センタ装置41及び配信管理装置5との間の通信においてVPNトンネルを構築し、このVPNトンネルを介して暗号化通信を行う。通信部31による監視センタ4及び配信管理装置5との通信には、警備コントローラ3の識別情報として、予め警備コントローラ3が設置された監視対象2に固有に設定された物件IDが付加される。
通信部31は、センタ装置41と接続されて監視センタ4との間で警備情報の通信を行う。警備情報とは、現在の警備モードや監視対象2の異常有無など監視対象において異常監視を行うために収集生成される情報である。また、通信部31は、配信管理装置5と接続されて配信管理装置5との間で警備コントローラ3が収集した情報及び配信管理装置5が生成/取得した情報の通信を行う。
【0027】
センサI/F32は、防犯センサ7が有線または無線で接続されるI/F(インタフェース)であって、防犯センサ7からの検知信号を受信する検知信号入力手段として機能する。検知信号には何れの防犯センサ7であるかを識別するセンサIDが含まれる。センサI/F32は、防犯センサ7から検知信号を受信すると、その検知状態をセンサID及び時計部33の出力する時刻情報等とともに記憶部36の検知情報テーブルに記憶する。なお、本実施形態において特に示していないが、監視対象2には、防犯センサ7のほかに火災検出用のセンサや非常ボタンなど複数のセンサが設置されておりセンサI/F32に接続されている。
【0028】
時計部33は、現在日時及び曜日を計時して時刻情報として出力する手段である。なお、時計部33は、本実施形態では説明のため制御部37と独立に記載しているが、これに限定されるものでなく、制御部37のクロック信号により計時する手段であってもよい。
【0029】
操作部34は、警備コントローラ3の警備モードの設定、及び配信情報の参照などに際し利用者により操作される。本実施形態において操作部34は、表示部35と一体構成された液晶タッチパネルディスプレイ及びICカードリーダにより構成される。ICカードリーダにより利用者のICカードが読み込まれると予め記憶した照合情報と照合され、認証OKであれば液晶タッチパネルディスプレイの操作が許容される。液晶タッチパネルディスプレイには、各種の入力を行う操作シンボルが表示され、利用者がシンボルを選択することで制御部37に信号入力が行われる。なお、液晶タッチパネルディスプレイは操作部34の一実施形態であり、これに限定されず、物理的な操作ボタンやマイクなど警備コントローラ3の操作に際し利用者が適宜情報入力できる操作インタフェースであればよい。
【0030】
表示部35は、液晶ディスプレイにて構成される表示デバイスである。本実施形態では、操作部34としての入力インタフェースと一体構成された液晶タッチパネルディスプレイにより構成されている。表示部35には、配信管理装置5から受信した配信情報やWebコンテンツ、警備コントローラ3の操作画面などが表示される。
【0031】
記憶部36は、ROMやRAM、又はHDDにて構成され自己の設置された監視対象2を特定するための物件IDと各種プログラムなどを記憶しており、更に警備コントローラ3を動作させるための各種情報を記憶する。具体的に、記憶部36は、防犯センサ7とセンサが設置されている部屋とを対応付けて記憶した配置情報テーブルと、防犯センサ7から受信した検知信号をセンサID及び時刻情報と対応させて蓄積する検知情報テーブルと、配信管理センタ5から受信した生活特性を判定する基準値である基準生活特性テーブルを記憶している。
【0032】
配置情報テーブルは、本発明の配置情報記憶部として機能する。図3は、配置情報テーブルの内容を模式的に示している。配置情報テーブルの情報は、警備コントローラの設置時や保守交換時に作業員により入力される。配置情報テーブルには、防犯センサ7のセンサID、検知原理に基づくセンサ種別、このセンサが設置されている部屋の識別情報、及び部屋の種類が対応付けられて記憶される。部屋の種類は、その部屋における利用者の行動を推定する情報であり、本実施形態においては図3に示すようにトイレ、浴室、ダイニング、リビング、寝室、一般居室など部屋の機能名を用いている。
【0033】
また、検知情報テーブルは、本発明の検知情報記憶部として機能する。図4は、検知情報テーブルの内容を模式的に示している。検知情報テーブルの情報は、防犯センサ7から検知信号を受信する都度情報が追加されて更新される。検知情報テーブルには、検知情報として検知信号を入力した防犯センサ7のセンサID、検知の状態、時刻情報及び現在の警備モードが対応付けられて記憶される。検知の状態は、戸の開と閉、人体の検知、内部機器の異常と復旧、などセンサが検知した変化の状態を示す情報であり、時刻情報は日時及び曜日を示している。
【0034】
また、記憶部36は、警備コントローラ3を利用可能な利用者のICカード情報を記憶した照合情報と、現在設定されている警備モードを示すモード情報と、監視対象2に発生した異常有無を示す現状態情報など警備コントローラ3に必要な各種情報を記憶する。
【0035】
制御部37は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、上述した各部を制御する。そのために、制御部37は、このマイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される機能モジュールとして、モード設定部371と、異常判定部372と、活動時間抽出部373と、傾向判定部374と、生活特性判定部375と、表示制御部376とを備えている。
【0036】
モード設定部371は、操作部34からの操作入力に基づいて、住戸が有人のときに用いられ防犯センサ7による侵入者監視を行わない警備解除モードと、住戸が無人のときに用いられ防犯センサ7による侵入者監視を行う警備セットモードとしての外出警備モードと、住戸が有人のときに用いられ窓や扉など住戸の外周部分の防犯センサ7(特定センサ)でのみ侵入者監視を行う在宅警備セットモードとしての在宅警備モードとの何れかに警備コントローラ3の警備モードを設定する。利用者は、住戸から外出するときに外出警備モードを設定し、日中など頻繁に出入りがあるときに警備解除モードを設定し、夜間など在宅中に住戸の外周部分を警備する場合に在宅警備モードを設定する。モード設定部371は、設定された警備モードを示す情報を記憶部36に記憶するとともに、通信部31から監視センタ4にモード信号として送信する。
【0037】
異常判定部372は、防犯センサ7から検知信号を受信した場合に監視対象2の異常判定処理を行う。異常判定部372は、センサI/F32を介して、防犯センサ7からの検知信号を受信すると、記憶部36に記憶された現在の警備モードを参照して異常事態の発生有無を判定する。即ち、警備解除モードに設定されているときは防犯センサ7から検知信号を受信しても異常と判定せず、外出警備モードに設定されているときに防犯センサ7から検知信号を受信すると監視対象2が異常と判定する。また、在宅警備モードに設定されているときは、予め設定された監視対象2の外周部分の防犯センサ7(特定センサ)から検知信号を受信した場合に限り異常と判定する。異常判定部372は、監視対象2の異常を判定すると、記憶部36の現状態情報に異常の内容を記憶し、通信部31から監視センタ4に異常信号を送信する。また、異常判定部372は、利用者による警備解除モードの設定操作などにより監視対象2の異常が正常化したことを判定すると記憶部36の現状態情報を正常とし、通信部31から監視センタ4に復旧信号を送信する。
【0038】
活動時間抽出部373は、検知情報テーブルから過去所定期間(例えば1ヶ月)において利用者が在宅している警備解除モード及び在宅警備モードに設定されている間の検知情報を抽出する。そして活動時間抽出部373は、検知情報が得られた時刻から一定時間(例えば5分)該当センサが設置された部屋で利用者が活動していたと判定し、同じ部屋で連続的に検知情報が得られた時間範囲を同室内で継続的に活動していた時間範囲とみなして、その時刻を各部屋での活動時間帯として抽出する。
【0039】
図5は、警備解除モード及び在宅警備モードに設定されている間の部屋ごとの検知情報から活動時間を抽出する例を示している。図5の上部は検知情報として記憶している情報を示し、図5の下部は抽出した各部屋での活動時間帯を示している。例えば、図5において、浴室では9時に検知情報が得られてから一定時間(例えば5分)置かずに継続的に人体が検知されており(図5上部の浴室部分参照)、その間は当該浴室内で継続して活動があったと判定して9時から9時20分までが活動時間帯として抽出されている(図5下部の浴室部分参照)。また、リビング内では同様に複数の防犯センサ(センサS0004とセンサS0005)により9時半以降同室内で一定時間置かずに継続的に人体が検知されており(図5上部のリビング(S0004)及び(S0005)部分参照)、少なくとも複数の防犯センサの何れかで人体が検知されていた9時30分から9時55分までが活動時間帯として抽出されている(図5下部のリビング部分参照)。このように、活動時間抽出部373は、一定時間(例えば5分)以内に同室内で継続的に検知情報が得られた区間を活動時間帯として抽出し、その時刻範囲(図5において連続して活動ありと判定されている区間)を出力する。
【0040】
なお、検知情報が得られた時刻から該当部屋内で利用者が活動していたことを判定するための一定時間(上述の例では5分)は、部屋の種類や防犯センサの種類に応じて設定されてよい。例えば、寝室の防犯センサ7であれば就寝中の人体が検知し難くなるため、一度の検知により他の防犯センサより相対的に長い時間(例えば1時間)該当室内で利用者が活動していたと推測してもよい。
【0041】
傾向判定部374は、各部屋での活動時間帯を過去所定期間(例えば1ヶ月)の同じ曜日ごとに比較して、当該曜日に略共通する活動時間帯を有効活動傾向として見出す。略共通する活動時間帯を抽出するために本実施形態では、曜日ごとに同じ部屋の活動時間帯を比較して各活動時間帯の同じらしさを統計的に算出する。本実施形態において同じらしさとは、過去所定期間(例えば1ヶ月)の中で類似している日々の部屋ごとの活動時間帯を抽出するための度合いである。本実施形態では同じらしさを判定する指標として標準偏差を用いる例について説明する。なお、これに限らず、同じらしさを判定する指標として分散値を用いてもよいし時間帯ごとの度数分布を用いて分布の同等性について検定した結果を用いてもよく、部屋ごとの各活動時間帯のばらつきや同等性を評価するための種々の統計的な手法を用いることができる。
【0042】
傾向判定部374は、活動時間抽出部373が出力した過去所定期間(例えば1ヶ月)における部屋ごとの活動時間帯を曜日ごとに抽出して、同じ曜日となる各日間で少なくとも時間帯が一部重なっている(共通する時刻を含んでいる)活動時間帯があれば、これを同じ時間帯の活動として抽出し、各活動時間帯の同じらしさを算出する。活動時間帯の同じらしさは、同じ時間帯の活動として抽出した各日の活動時間帯の初めの時刻及び終わりの時刻それぞれの標準偏差の平均値として算出する。即ち、初めの時刻と終わりの時刻それぞれについて標準偏差を求め、この2つの標準偏差の平均値が閾値(例えば15分)より小さい場合には、各日ともほぼ同じ時間帯に同室で活動していると推定することができ、この場合に各活動時間帯を同じらしい(同じらしさが所定値以上)と判定する。各活動時間帯を同じらしいと判定した場合には、各活動時間帯の統計情報を用いてこれらの代表的な活動時間帯を有効活動傾向として出力する。本実施形態では、比較した各活動時間帯の初めの時刻及び終わりの時刻それぞれの平均時刻を算出して活動時間帯の平均を求め、この平均活動時間帯を有効活動傾向として出力する。なお、同じらしさを判定するための閾値(標準偏差の閾値)は、必要とする有効活動傾向の精度に応じて適宜最適な値を用いることができる。
【0043】
以上に説明した傾向判定部374の処理について図6を用いて説明する。図6は、3月のある曜日4日間における9時付近の浴室での活動時間帯を示している。ここで、図6の例では、4日とも活動時間帯は異なるものの9時12分〜9時20分を共通して含んでいる。従って、傾向判定部374は、この9時付近の浴室での活動時間帯を同じ時間帯の活動有りとして抽出し、同じらしさの算出を行う。図6の例では、各日の活動時間帯の初めの時刻における標準偏差は4.2分、終わりの時刻における標準偏差は5分である。傾向判定部374は、標準偏差の平均値(活動時間帯の同じらしさ)である4.6分を閾値処理(例えば15分)して、標準偏差の平均値が閾値以下(同じらしさが所定値以上)であるので各活動時間帯を同じらしいと判定する。そして、傾向判定部374は、各活動時間帯の初めの時刻の平均時刻9時6分〜終わりの時刻の平均時刻9時25分を平均活動時間帯として算出し、この平均活動時間帯を有効活動傾向として出力する。以上の処理を各曜日ごとに行うことで、各曜日ごとに各部屋での有効活動傾向が出力される。有効活動傾向は傾向判定部374から出力されるごとに記憶部36に追加されて蓄積されてよい。
【0044】
生活特性判定部375は、傾向判定部374が出力した有効活動傾向を記憶部36に記憶した基準生活特性テーブルと比較して、利用者の生活上の特徴である生活特性を判定する。基準生活特性テーブルは、部屋の種類と時間帯とを対応させ各時間帯における有効活動傾向の有無(活動の有無)を判定条件としてこれに応じて生活特性を定義づけた情報であり、生活特性を判定する基準値として用いられる。
【0045】
図7は、基準生活特性テーブルの内容を模式的に示している。図7の例では、浴室で5時から10時の間に有効活動傾向がある場合を生活特性定義として朝風呂タイプと定義づけており、キッチンで平日(月曜日から金曜日)の5時から10時の間に有効活動傾向がない場合を生活特性定義として朝食不足タイプと定義づけており、リビングで19時から24時の間に3時間以上有効活動傾向がある場合を生活特性定義として娯楽タイプと定義づけている。
【0046】
生活特性判定部375は、傾向判定部374が出力する各曜日ごとの各部屋の有効活動傾向の有無を基準生活特性テーブルと比較して、条件に合致すれば該当する生活特性定義を利用者の生活特性として判定する。例えば、図6の例で算出した、浴室における9時6分〜9時25分という有効活動傾向は、図7の基準生活特性テーブルにおける朝風呂タイプの条件に合致するため、生活特性判定部375は利用者の生活特性として朝風呂タイプを判定する。生活特性判定部375は、このように、基準生活特性テーブルの各条件について有効活動傾向の有無が合致するか否かを判定することで利用者の生活特性を判定する。そして、生活特性判定部375は、判定した生活特性を通信部31を介して遠隔の配信管理装置5に送信する。
【0047】
なお、生活特性判定部375は、傾向判定部374が出力する曜日ごとの各部屋の有効活動傾向から利用者の生活特性を判定するだけでなく、この曜日ごとの各部屋の有効活動傾向の時間的な推移から利用者の生活特性を判定してよい。有効活動傾向は、過去のものも含み記憶部36に蓄積されている。そこでこの場合、予め基準生活特性テーブルに各部屋の有効活動傾向の推移の内容を判定条件としてこれに対応した生活特性を生活特性定義として定義づけておくようにする。そして、傾向判定部374が出力した最新の有効活動傾向及びこれに対応する同じ部屋の過去の有効活動傾向との差分が、基準生活特性テーブルの判定条件を満たせば対応した生活特性定義を利用者の生活特性として判定する。例えば、最新の有効活動傾向と過去の有効活動傾向とから寝室における有効活動傾向が短くなっていると判定できる場合に生活特性として睡眠時間減少傾向タイプを判定するなど、ある程度長期間の有効活動傾向を用いて利用者の傾向を判定することが可能となる。
【0048】
表示制御部376は、Webブラウザ機能が実装された機能モジュールであって、警備解除モード又は在宅警備モードに設定されているときに起動して配信管理装置5から受信したHTML文書などの情報を表示部35にWebコンテンツとして表示出力し、配信情報の要求など利用者の操作入力を配信管理装置5に送信する。配信管理装置5から受信する情報は制御部37のメモリ領域に一時的に記憶され表示用に展開されてよく、記憶部36に記憶されていてもよい。表示制御部376は、操作部34にて配信情報の要求入力を受け付けると配信管理装置5に配信情報の要求信号を送信する。そして、表示制御部376は、通信部31を介して配信情報を受信するとこれを表示部35に表示出力する。このとき操作部34にて配信情報における何れかの接続情報が指定されると、通信部31を介して配信管理装置5に該当するWebコンテンツを要求する接続要求信号を送信する。また、表示制御部376は、配信管理装置5からWebコンテンツを受信するとこれを表示部35に表示出力する。更に、表示制御部376は、利用者が特定のコンテンツ提供者を指定して閲覧登録の操作入力を行うと当該コンテンツ提供者の閲覧登録信号を配信管理装置5に送信する。
【0049】
<配信管理装置>
次に、図8を用いて配信管理装置5の構成について説明する。図8は、配信管理装置5の構成を示すブロック図である。
配信管理装置5は、HDDやメモリなどで構成される記憶部51と、通信回線網6と接続されて警備コントローラ3と通信する利用者通信部52と、通信回線網60と接続されてコンテンツ提供者サーバ8と通信するコンテンツ通信部53と、MPUやマイコンなどで構成され各部の制御を行う制御部54とを有して概略構成される。
【0050】
記憶部51は、ROMやRAM、又はHDDにて構成され各種プログラムなどを記憶しており、更に配信管理装置5を動作させるための各種情報を記憶する。具体的に、記憶部51は、管理情報テーブルと利用者生活特性情報と閲覧登録情報を記憶している。
【0051】
管理情報テーブルには、事前に登録された各コンテンツ提供者について、業種の種目カテゴリ及び接続情報が保存されている。業種の種目カテゴリは、コンテンツ提供者が利用者に提供する製品またはサービスの性質により区分されて登録される。接続情報は、コンテンツ提供者のコンテンツにアクセスするための情報であり、コンテンツ提供者をグラフィカルに示すバナー情報及びリンク先のアドレスとなるURLやIPアドレスが含まれる。
【0052】
利用者生活特性情報には、警備コントローラ3の識別情報である物件IDごとに警備コントローラ3から受信した生活特性が記憶されている。利用者生活特性情報は、過去所定期間(例えば1ヶ月)内に警備コントローラ3から受信した生活特性が保持されており、新たな生活特性を受信したときに過去所定期間より古い情報が上書き記憶されてよい。また、これに限らず、最新の生活特性のみが保持されるようにしてもよいし、過去所定回数分の生活特性を保持するようにしてもよい。
【0053】
閲覧登録情報は、警備コントローラ3の物件IDごとに利用者が閲覧登録したコンテンツ提供者を指定提供者として記憶している。閲覧登録情報は、警備コントローラ3にて利用者が閲覧登録するごとにコンテンツ提供者を指定提供者に順次追加して記憶する。また、閲覧登録情報には、指定提供者となるコンテンツ提供者に対応して、利用者により指定された表示優先度も記憶される。
【0054】
利用者通信部52は通信回線網6に接続され、警備コントローラ3及びセンタ装置41と通信する。利用者通信部52はVPN機能を搭載しており、警備コントローラ3及びセンタ装置41との間の通信においてVPNトンネルを構築し、このVPNトンネルを介して暗号化通信を行う。
コンテンツ通信部53は通信回線網60に接続され、コンテンツ提供者サーバ8と通信する。
【0055】
制御部54は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、上述した各部を制御する。そのために、制御部54は、このマイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される機能モジュールとして、配信部541と、推奨判定部542と、配信情報生成部543とを備えている。
【0056】
配信部541は、警備コントローラ3から配信情報の要求信号を受信すると、または所定時間毎(例えば1時間毎)定期的に、配信情報生成部543にて生成された配信情報を利用者通信部52を介して警備コントローラ3に送信する。また、配信部541は、警備コントローラ3からWebコンテンツを要求する接続要求信号を受信すると、接続情報を参照して、コンテンツ通信部53を介して該当するコンテンツ提供者のサーバ8にWebコンテンツを要求する。そして、これに応答してコンテンツ提供者サーバ8から受信するWebコンテンツを要求元の警備コントローラ3に送信する。
【0057】
推奨判定部542は、記憶部51の管理情報テーブルに記憶された各コンテンツ提供者の業種の種目カテゴリと、利用者生活特性情報に記憶された警備コントローラ3の利用者の生活特性とを比較して、利用者の生活特性に最適となるコンテンツ提供者(推奨コンテンツ提供者)を判定する。推奨判定部542は予め基準生活特性テーブルに定義付けられている各生活特性と業種の種目カテゴリとを対応付けた推奨組合せテーブルを記憶している。例えば、推奨組合せテーブルでは、生活特性としての朝食不足タイプと、業種の種目カテゴリとして健康食品販売業とが対応付けられる。推奨判定部542は、推奨組合せテーブルに基づき、利用者の生活特性に合致するコンテンツ提供者を抽出して推奨コンテンツ提供者として判定する。判定された推奨コンテンツ提供者は警備コントローラ3ごとに対応して記憶部51に記憶される。
【0058】
配信情報生成部543は、警備コントローラ3ごとに記憶部51の閲覧登録情報に記憶されたコンテンツ提供者(指定提供者)を抽出し、このコンテンツ提供者(指定提供者)の接続情報のみを用いて配信情報を生成する。生成された配信情報は警備コントローラ3の物件IDに対応させて記憶部51に保持されていてよい。配信情報は利用者が閲覧登録した1又は複数のコンテンツ提供者の接続情報を含み、具体的には、記憶部51の管理情報テーブルに記憶されているバナー情報とリンク先のアドレスとを含んだWebコンテンツ(HTML文書)として生成される。また、複数のコンテンツ提供者の接続情報を含む場合には、閲覧登録情報に記憶された表示優先度が高い順に表示されるように配列させて生成される。
【0059】
また、配信情報生成部543は、推奨判定部542が判定した推奨コンテンツ提供者の接続情報を他のコンテンツ提供者に優先するように配信情報を生成する。即ち、配信情報生成部543は、推奨コンテンツ提供者が利用者に閲覧登録されている指定提供者の中に含まれていれば、当該推奨コンテンツ提供者の表示優先度を他のコンテンツ提供者よりも高くして配信情報を生成する。この結果、閲覧登録情報に記憶された表示優先度に拘らず、配信情報において推奨コンテンツ提供者が早期に表示されることとなる。なお、これに限らず、当該推奨コンテンツ提供者の接続情報の表示サイズを他のコンテンツ提供者と異ならせるようにしてもよい。この場合、推奨コンテンツ提供者のバナー情報を他のコンテンツ提供者のバナー情報より大きく(大きなバナー画像として)して配信情報が生成される。
【0060】
一方、推奨コンテンツ提供者が利用者に閲覧登録されている指定提供者の中に含まれていない場合には、例外的に推奨コンテンツ提供者の接続情報を含めて配信情報を生成する。この場合、配信情報生成部543は、当該推奨コンテンツ提供者を閲覧登録することを促す推奨情報を埋め込んで配信情報を生成する。推奨情報は当該推奨コンテンツ提供者の接続情報と閲覧登録を促すメッセージ情報とを含む。この結果、閲覧登録情報に記憶されていないにも拘らず、推奨コンテンツ提供者の情報が優先的に表示され、利用者に推奨コンテンツ提供者の情報を提供することが可能となる。また、この場合にも、推奨コンテンツ提供者の接続情報の表示サイズを他のコンテンツ提供者と異ならせるようにしてよい。
【0061】
<動作の説明>
以上のように構成された警備システムの処理の流れを図を参照しながら説明する。まず、図9のシーケンス図を用いて警備コントローラ3の利用者の生活特性を判定する処理について説明する。
【0062】
警備コントローラ3は、利用者により外出警備モード又は在宅警備モードが設定されて、侵入者監視を行う防犯センサ7の検知信号により監視対象2の異常が検出されると、記憶部36の現状態情報に異常の内容を記憶して監視センタ4に異常信号を送信する。また、警備コントローラ3は、防犯センサ7から検知信号を受信すると、センサの検知状態をセンサID及び時刻情報等とともに記憶部36の検知情報テーブルに記憶する。ここで、警備コントローラ3において、活動時間抽出部373と傾向判定部374及び生活特性判定部375は、所定の実行サイクル(例えば1週間ごと)で起動して利用者の生活特性を判定する処理を行う生活判定手段として機能する。
【0063】
図9に示すように、警備コントローラ3の活動時間抽出部373は、検知情報テーブルから過去所定期間(例えば1ヶ月)における警備解除モード及び在宅警備モード時の検知情報を読み出し処理する(ステップST1)。そして、活動時間抽出部373は、配置情報テーブルを読み出して、同じ部屋内で連続する検知情報が得られた時間範囲を同室内に利用者が滞在した期間とみなし、その時間範囲を各部屋での活動時間帯として抽出する(ステップST2)。
【0064】
傾向判定部374は、各部屋での活動時間帯を過去所定期間(例えば1ヶ月)の同じ曜日ごとに比較して、各活動時間帯の同じらしさを統計的に算出し、同じらしいと判定できる活動時間帯を有効活動傾向として出力する(ステップST3)。活動時間帯の同じらしさは、各日で少なくとも共通する時刻を含む活動時間帯を抽出してこの各活動時間帯の初めの時刻及び終わりの時刻それぞれの標準偏差の平均値として算出する。そして、傾向判定部374は、この同じらしさが所定値以上(標準偏差の平均値が閾値(例えば15分)以下)の場合には、比較した各活動時間帯の平均活動時間帯を有効活動傾向として出力する(ステップST4)。
【0065】
生活特性判定部375は、有効活動傾向を記憶部36に記憶した基準生活特性テーブルと比較して、条件に合致する生活特性定義を利用者の生活特性として判定する(ステップST5)。そして、判定した生活特性は遠隔の配信管理装置5に送信される(ステップST6)。
【0066】
配信管理装置5では、警備コントローラ3から生活特性を受信すると、受信した生活特性を警備コントローラ3の物件IDに対応させて記憶部51の利用者生活特性情報に記憶する(ステップST7)。配信管理装置5の推奨判定部542は、予め記憶した推奨組合せテーブルを参照して、利用者の生活特性に対応する業種の種目カテゴリを判別し、この種目カテゴリのコンテンツ提供者を、利用者の生活特性に最適となるコンテンツ提供者(推奨コンテンツ提供者)として判定する(ステップST8)。判定された推奨コンテンツ提供者は配信管理装置5の記憶部51に記憶される。
【0067】
このように、本実施形態では利用者が在宅中となる警備解除モード及び在宅警備モード時の検知情報を所定期間内で比較して日々共通する一定の活動傾向を抽出する。そして、この活動傾向(部屋の種別と時間帯)に応じて利用者の生活上の特徴を推測する。これにより、利用者の近時の活動傾向から現在の生活特性を推測することができ、個々の利用者に応じて、現在必要度が高いと考えられる情報を提供することが可能となる。
【0068】
次に、図10のシーケンス図を用いて警備コントローラ3の利用者に適した情報を配信情報として送信する処理について説明する。
警備コントローラ3の利用者は、予め、情報提供を希望する特定のコンテンツ提供者を指定して閲覧登録の操作入力を行い(ステップST11)、表示制御部376はこれを受け付けて当該コンテンツ提供者の閲覧登録信号を配信管理装置5に送信する(ステップST12)。配信管理装置5では、警備コントローラ3から閲覧登録信号を受信すると、警備コントローラ3の物件IDに対応させて利用者が閲覧登録したコンテンツ提供者を指定提供者として記憶する(ステップST13)。
【0069】
警備コントローラ3において、利用者により操作部34が操作され表示制御部376が配信情報の要求入力を受け付けると(ステップST14)、配信管理装置5に配信情報の要求信号が送信される(ステップST15)。
【0070】
配信管理装置5の配信情報生成部543は、記憶部51の閲覧登録情報より警備コントローラ3の利用者から閲覧登録されているコンテンツ提供者(指定提供者)を抽出し、この指定提供者の接続情報を用いて配信情報を生成する(ステップST16)。このとき、配信情報生成部543は、当該警備コントローラ3の利用者について推奨判定部542が記憶した推奨コンテンツ提供者の接続情報を、他のコンテンツ提供者に優先するように配信情報を生成する(ステップST17)。例えば、推奨コンテンツ提供者が指定提供者の中に含まれていれば、当該推奨コンテンツ提供者の表示優先度を他のコンテンツ提供者よりも高くして先に表示されるよう配信情報を生成し、含まれていない場合には、当該推奨コンテンツ提供者を閲覧登録することを促す推奨情報を埋め込んで配信情報を生成する。配信情報生成部543は、以上のように警備コントローラ3ごとに配信情報を生成するが、この生成タイミングはステップST15の後に限定されるものではなく、事前(例えば生活特性を受信したとき)に生成されて記憶部51に警備コントローラ3の物件IDに対応させて記憶されていてよい。
【0071】
配信管理装置5の配信部541は、警備コントローラ3から配信情報の要求信号を受信すると、当該警備コントローラ3の物件IDに対応して生成された配信情報を警備コントローラ3に送信する(ステップST18)。警備コントローラ3では、配信情報を受信するとこれを表示部35に表示出力する(ステップST19)。このとき操作部34から配信情報における何れかのコンテンツ提供者の接続情報が指定されると(ステップST20)、配信管理装置5に該当するWebコンテンツを要求する接続要求信号が送信される(ステップST21)。配信管理装置5の配信部541は、警備コントローラ3から接続要求信号を受信すると、該当するコンテンツ提供者のサーバ8からWebコンテンツを取得する(ステップST22)。そして、このWebコンテンツを要求元の警備コントローラ3に送信する(ステップST23)。警備コントローラ3は、配信管理装置5からWebコンテンツを受信するとこれを表示部35に表示出力する(ステップST24)。
【0072】
このように、本実施形態では利用者の生活上の特徴に応じて、複数の情報種別の中から利用者に適した情報を選定し、利用者が所望している他の情報に対して優先度を高く設定する。これにより、利用者の近時の活動傾向に応じて最適な情報を選定することができ、利用者の手を煩わせることなく、個々の利用者に応じて現在必要度が高いと考えられる情報を提供することが可能となる。
【0073】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0074】
すなわち、本実施形態では、利用者の生活特性に応じて利用者に推奨すべきコンテンツ提供者の接続情報やコンテンツ提供者のWebコンテンツを配信管理装置から配信する例について説明したが、これに限定されず、判定された生活特性に応じて最適と判断できる種々の情報が警備コントローラから利用者に提供されてよい。例えば、警備コントローラ又は配信管理装置にて利用者の生活特性に対応するアドバイス情報を記憶しておき、利用者の有効活動傾向から判定された生活特性に対応する防犯防災上のアドバイスや健康上のアドバイスなどを警備コントローラの表示部に出力するようにしてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、利用者が在宅しているときの活動を把握するために、活動時間抽出部にて過去所定期間における警備解除モード及び在宅警備モードに設定されている間の検知情報を検知情報テーブルから抽出する例について説明したが、これに限定されない。つまり、警備解除モードは、上述したように日中など頻繁に出入りがあるときに設定される警備モードであり、監視対象によってはその生活区域の利用者だけでなく一時的に往来する客人などの外来者が頻繁に出入りするような状況も考えられる。その場合、警備解除モード時の検知情報には利用者以外の一時的な外来者に由来するノイズが多分に含まれることとなる。一方で、在宅警備モードは、利用者の在宅中に住戸の外周部分を警備する警備モードであって、部分的に警備が有効となっていることからも外来者が頻繁に出入りすることは少ないと考えられる。
したがって、活動時間抽出部では、過去所定期間における在宅警備モードに設定されている間の検知情報を検知情報テーブルから抽出するようにしてもよい。これにより、上述の実施形態で説明した警備解除モード及び在宅警備モードに設定されている間の検知情報に比べてサンプル数は少なくなるものの、生活区域の利用者に関する検知情報を精度良く抽出することができる。
【0076】
また、本実施形態では、警備コントローラにて利用者の生活特性を判定する例について説明したが、警備コントローラから取得した情報を用いて配信管理装置にて生活特性を判定するようにしてもよく、これに限定されない。警備コントローラから取得した情報を用いて配信管理装置にて生活特性を判定するようにした場合、警備コントローラと配信管理装置が本発明の警備装置として機能する。
【0077】
例えば、配信管理装置が、利用者の生活特性を判定する処理を行う生活判定手段として活動時間抽出部と傾向判定部及び生活特性判定部を備えるよう構成してもよい。この場合、配信管理装置の生活判定手段は所定の実行サイクル(例えば1週間ごと)で起動して本実施形態と同様に利用者の生活特性を判定する。即ち、警備コントローラは配信管理装置の活動時間抽出部から要求信号を受けて検知情報テーブルから過去所定期間(例えば1ヶ月)における警備解除モード及び在宅警備モード時の検知情報を読み出して、配置情報テーブルの情報とともに配信管理装置に送信する。そして、図9のステップST1からST5にかかる処理を配信管理装置の生活判定手段(活動時間抽出部と傾向判定部及び生活特性判定部)にて実行する。
これによっても、上述した実施形態と同様に、利用者が在宅中の検知情報を所定期間内で比較して日々共通する一定の活動傾向を抽出することができ、この活動傾向(部屋の種別と時間帯)に応じて利用者の生活上の特徴を推測することが可能となる。
【0078】
さらにこの場合、警備コントローラが記憶している配置情報テーブルを配信管理装置にて記憶管理するようにしてもよい。即ち、警備コントローラの設置時や保守交換時に作業員により配置情報テーブルの情報が入力されると、警備コントローラは配置情報テーブルを配信管理装置に送信し、配信管理装置にて警備コントローラの物件IDに対応付けて記憶するよう構成する。
【0079】
また、本実施形態では、警備解除モード及び在宅警備モードに設定されているときの検知情報を利用者の活動とみなして活動時間帯を抽出する例について説明したが、利用者の活動を検知するための種々の方法を用いてよく、これに限定されない。以下、この変形例としてRFIDタグにより利用者の活動を検知する例について説明する。
【0080】
例えば、利用者が識別無線機としてRFIDタグを所持し、防犯センサ又は各所に設置されたRFIDタグリーダによりこの利用者のRFIDタグを検知したこと(RFIDタグの識別情報)が検知信号として入力されるようにして、RFIDタグを所持する人体が室内に居ない状態で防犯センサから検知信号が入力されたときに侵入者として異常判定するよう警備コントローラを構成してよい。このようなRFIDタグを用いた警備システムは、例えば特開2011−113531号公報等に開示がある。
【0081】
この場合、直接的に利用者の存在が検出可能であるため、RFIDタグを所持する利用者を検知した検知情報を用いて活動時間帯を抽出する。このために、検知信号の入力により、検知情報テーブルには、図4に示した情報に加えてRFIDタグの有無及びRFIDタグの識別情報が記憶される。また、配置情報テーブルにはRFIDタグリーダの配置情報も記憶される。そして、活動時間抽出部は、RFIDタグの検知情報及びRFIDタグを所持する人体が室内に居る場合の防犯センサの検知情報を、RFIDタグを所持する利用者の検知情報として読み出し、この利用者の検知情報と検知した部屋(配置情報テーブル)の情報から上述した実施形態と同様に活動時間帯を抽出する。
【0082】
また、このようにRFIDタグを用いて複数の利用者個々人が識別できる場合には、利用者の識別情報ごとに、部屋ごとの検知情報を読み出して活動時間帯を抽出するようにすることが好適となる。これにより利用者単位で部屋ごとの活動時間帯を判定できるため、この場合、傾向判定部は同一の利用者間(同一の利用者識別情報)について所定期間(例えば1ヶ月)の活動時間を比較するよう構成する。そして、生活特性判定部では利用者の識別情報に対応して生活特性を判定し、配信情報管理装置の利用者生活特性情報には警備コントローラの物件IDと利用者の識別情報に対応して生活特性が記憶される。
【0083】
これによっても、上述した実施形態と同様に、利用者が在宅中の検知情報を所定期間内で比較して日々共通する一定の活動傾向を抽出することができ、また特に、利用者個々人の活動傾向を区別して判定することが可能となり、この活動傾向(部屋の種別と時間帯と利用者)に応じて利用者個々人の生活上の特徴を推測することが可能となる。
【符号の説明】
【0084】
1 情報管理システム
2 監視対象
3 警備コントローラ
31 通信部
32 センサI/F
33 時計部
34 操作部
35 表示部
36 記憶部
37 制御部
371モード設定部
372異常判定部
373活動時間抽出部
374傾向判定部
375生活特性判定部
376表示制御部
4 監視センタ
41 センタ装置
42 表示部
5 配信管理装置
51 記憶部
52 利用者通信部
53 コンテンツ通信部
54 制御部
541配信部
542推奨判定部
543配信情報生成部
6 通信回線網
60 通信回線網
7 防犯センサ


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10