(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加熱後に前記接着剤を架橋させる工程を更に含み、架橋させる工程が、熱架橋させること、放射線架橋させること、及び電子ビーム架橋させることのうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
すべての数値は本明細書において、「約」という語によって修飾されると仮定される。数値の範囲を端点によって列挙したものは、その範囲に包含されるすべての数値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。本明細書で列挙されたすべての部は、別段の指定がない限り重量によるものである。
【0013】
本発明は、実質的に欠陥がなくかつ応力がない積層をもたらすように、基板の表面上の段差又はバンプなどの3次元(3D)特徴部に共形し得る、光学的に透明な熱活性化接着剤(HOCA)を含む。加えて、このHOCAは、加工によって誘発される変形又は応力に基板が敏感である場合、積層体の変形及び応力を効果的に低減し得る。このことは、平坦であり、かつトポグラフィー的に3Dである表面に当てはまり得る。実質的に欠陥がなく、応力がなく、かつ寸法的な狂いがない積層体の組立は、HOCAが架橋される前に熱及び/又は圧力を加えることによって達成される。積層体は、少なくとも第1の基板と、第2の基板と、その第1及び第2の基板の間に配置されたHOCAとを含むものとして定義される。
【0014】
HOCAの有益な製品特質には、光学的歪み(すなわちムラ(Mura))又は脆弱な構成要素の破損をもらす可能性のある大規模な寸法の狂いを生じることなくディスプレイ構成要素同士の空隙に流入し、かつ充填し、それでいて製造後の様々な信頼性試験の間に優れた機械的及び光学的性質を維持する能力が含まれる。HOCAのもう1つの有利な製品特質は、光学的に透明な接着剤を浸透させる3D特徴部の導入に、組立プロセス自体に、あるいはディスプレイ構成要素同士のOCA補助接合に起因するボンドライン内の残留応力を、回避するかあるいは相当に軽減する能力である。3D特徴部はさもなければ、1枚若しくは複数枚の基板の寸法の狂い又は不均一な空隙充填を生じ、結果として光学的歪み又は破損をもたらし得る。HOCAは、例えば湾曲レンズなどの3D基板と、例えばLCDモジュールなどの第2の基板との間の不均一な空隙を充填することが可能である。最後に、組立プロセスの間におけるHOCAの流動性により、HOCAを架橋するのに先立って基板を位置合わせし、基板が接合された後の組立体の耐久性を更に高めることも可能である。このことは、3Dテレビなどの3Dイメージディスプレイに使用される、歪みに敏感な3Dレンズを慎重に位置合わせすることを必要とするディスプレイなど、位置合わせが重要となる組立体において、非常に有利となり得る。
【0015】
本開示は、高いインク段差(通常の5マイクロメートル〜13マイクロメートルの高さよりも高く、約50マイクロメートル以上に達する)が使用されるか、あるいは、基板寸法の狂い及びディスプレイ構成要素同士の間の空隙の均一性が5マイクロメートル未満、特に2マイクロメートル未満に維持される必要がある用途に向けて、光学的に透明な熱活性化接着剤を提供する。本明細書で開示するHOCAは、技術的には、液状の光学的に透明な接着剤と、完全に硬化及び架橋された光学的に透明な感圧性接着剤フィルム又はシートとの間に位置付けられるものとして記載され得る。このHOCAは、光学的に透明な感圧性接着剤フィルム又はシートの形態を有するが、高温(例えば約60℃〜80℃)にさらされるとむしろ液体のように挙動する。換言すれば、室温において、HOCAはシート又はフィルムとしてのその形状を維持するが、高温にさらされると、敏感な基板の寸法狂いを生じることなく空隙をより均一に充填するように流動することができる。タッチガラスを3Dカバーガラスに、LCDを3Dカバーガラスに、LCDを寸法の狂いを起こしやすい基板に、あるいはカバーガラスを寸法の狂いを起こしやすい基板に(すなわち平坦なものを平坦なものに)接合するのにHOCAを好適にしているのは、これらの独特な特徴である。
【0016】
光学的に透明な熱活性化接着剤は、最新カバーグラスの3D構造を含む、ディスプレイ構成要素同士の間の空隙に流入及び充填する能力を有する。HOCAはまた、通常の光学的に透明な感圧性接着剤フィルムの方法にわずかな修正を施したものを用いて積層できる。室温において、HOCAは、完全に硬化した光学的に透明な感圧性接着剤フィルムの形状及び寸法安定性を有し、ドライフィルムとして打抜き及び積層できる。ごく僅かの加熱及び/又は加圧で、HOCAは、基板上に寸法変形をもたらし得る過剰な力を生じさせることなく基板を完全に湿潤させるように流動し、接着剤内のどんな残留応力も、その部品が仕上げられるのに先立って緩和され得る。結果として、基板のいかなる寸法の狂いも、また光学的に透明な接着剤を充填された空隙のいかなる不均一性も、x−y平面内の数センチメートル以下の距離内で、z方向にて5マイクロメートル未満に維持することができる。換言すれば、歪み又は空隙充填の不均一性がうねりであると見なされた場合でも、そのうねりの振幅は、約数センチメートル以下の波長で5マイクロメートル未満となる。HOCAは、より長い波長にわたって、うねりの振幅を5マイクロメートル未満に維持できるが、実際的にはこのことはあまり重要でないと判明している。そのように望まれる場合、HOCAは、基板を湿潤させる機会を得ると、更なる共有結合性の架橋工程が接着剤を「固化させる」ために用いられ得る。そのような架橋工程の例には、限定するものではないが、放射線架橋(UV、電子ビーム、ガンマ線照射など)、熱硬化及び湿分硬化が挙げられる。それに代わって、接着剤は、アイオノマー性の架橋、又はグラフト共重合体若しくはブロック共重合体に見られるものなどのガラス転移(T
g)がより高いセグメントの相分離に起因する物理的な架橋などの熱可逆性の架橋機構を用いる、冷却によって自己架橋するものであってもよい。また、接着剤の凝集性を向上させるために結晶作用が用いられてもよいが、より大きな結晶質の領域によって生じる光散乱に起因する接着剤のヘイズの増加を回避するように注意しなければならない。接着剤接合において拡散特性が許容される場合、この注意は不要となり得る。
【0017】
本開示において、接着剤、基板、又は層などの材料が、以下で実施例の項にて説明される方式で25マイクロメートル厚のサンプルに対して測定して、少なくとも約90%の光透過率と、約5%以下のヘイズ値を示す場合、その材料は光学的に透明である。いくつかの実施形態、例えば、少なくとも1つの3D特徴部又は寸法の狂いを起こしやすい基板が熱活性化接着剤で湿潤される必要がある組立体のために拡散性の接着剤が必要となる場合などでは、接着剤は更に高いヘイズ(すなわち約5%よりも高い)を有してもよい。
【0018】
ある例示的な用途において、本開示で説明する物品及びその物品を作製する方法は、限定するものではないが、TV LCDパネル、携帯電話、携帯ゲーム機、ナビゲーションシステム、タブレット型PC、及びラップトップコンピュータなどの電子装置に組み込まれ得る。
【0019】
単層のHOCAが使用されてもよいが、HOCAと別の層との組合わせが用いられてもよい。例えば、HOCAは、架橋済みの光学的に透明なフィルム接着剤などの別の光学的に透明な接着剤(OCA)に対してコーティング又は積層されて、複合的なHOCA/OCA構造体をなしてもよい。複合的な構造体において、HOCAは、3D空間に流入しかつ充填するか、あるいは歪みを回避することができ、一方で、OCAは、積層の間のはみ出しを除外するのに役立つように、更なる空隙充填高さをもたらす。
【0020】
別の実施形態において、複合的な両面塗布テープ構造体をなすように(フィルム裏材の片側はHOCAであり、もう一方の側は標準的なOCAである)、光学的に透明な裏材とOCAとの組合わせが使用される。裏材は、例えば光学的に透明なポリエステルであってもよいが、本出願人らの同時係属中の特許出願第61/184213号及びPCT/US2009/030084(PCT国際公開第WO 2009/089137号に対応)に記載されているような伸縮性キャリアフィルムであってもよい。
【0021】
また、別の実施形態において、HOCA/光学的に透明なフィルム/HOCAの両面塗布構造体が使用されてもよい。他の多層構造体には、HOCA/OCA/HOCA又はOCA/HOCA/OCAの多層構造体が挙げられる。
【0022】
ディスプレイの全体的な厚さを最小化するためには、175マイクロメートル未満の厚さを有する単層のHOCAが好ましい。一般に、HOCAの厚さは、HOCAが適合する必要のある3D特徴部の最大高さに等しいかあるいはそれよりも厚いものである。理想的には、HOCAの厚さは、3D特徴部又はその3D特徴部によって生じる空洞の最大高さよりもわずかに厚いものである。しかしながら、数マイクロメートルの厚さの差は十分となり得る。あふれ出し及びはみ出しを最小限にするためには、使用されているHOCAの体積は通常、充填される空洞の容積を20%未満だけ超過するものであり、特に空洞の容積を10%未満だけ超過するものである。例えば、本質的に平坦であり(すなわち、金属トレース又は柔軟コネクタなど、際だった3D特徴部が基板上に存在しない)、狂いを起こしやすい基板に対する積層など、いくつかの例において、2%未満で超過、特に1%未満で超過、より具体的には0.5%未満で超過する体積が必要とされる。所望により、更に多量のHOCAが使用され得るが、これは、積層の間の工程能力に対して釣り合いを取ることを必要とする。
【0023】
多層構造体において、HOCA層の厚さは、単一のHOCA層と同じ指針に従うものであり、すなわち、このHOCAの厚さは、適合する必要のある3D特徴部又は空洞の高さに等しいか、あるいはわずかに厚く、HOCAは3D基板への積層の間に完全には架橋されない。加えて、HOCA層の厚さは、寸法の狂い又は空隙の不均一性を防止するのに十分なものである必要がある。通常、約10マイクロメートルの最小厚さが、多層構造体内のHOCA層に要求される。グラフト及びブロック共重合体のような重合体の熱可逆性の架橋により、HOCAは、室温に戻ると架橋される。積層されると、種々のタイプのHOCAは、業界で要求される耐久性試験にディスプレイ構造体が合格するように、必要な架橋密度まで共有結合的に架橋できる。
【0024】
接着剤の選択及び加工
多数の種々のHOCAが本発明において使用できる。いくつかの実施形態において、それらは感圧性接着剤の特性を有する。また、真の熱活性化接着剤(すなわち、非常に低い室温粘着性を有するかあるいは室温粘着性を有さないもの)も、それらが光学的に透明であり、かつディスプレイ用途に耐え得るように十分に高い融点又はガラス転移温度を有するという条件で、使用できる。大多数のディスプレイ組立体は熱に弱いため、典型的な熱活性化温度(すなわち、ディスプレイを互いに上首尾に接合するように十分な流動性、適合性、及び粘着性が達成される温度)は120℃未満、具体的には100℃未満、より具体的には80℃未満である。通常、ディスプレイ製作プロセスは、40℃超で、時には60℃超で実施される。
【0025】
紫外線(UV)架橋前のHOCAの1Hzの周波数で測定した剪断貯蔵弾性率(G’)は、30℃における5.0×10
4Pa以上と、80℃における5.0×10
4Pa以下との間にある。30℃、1Hzでの剪断貯蔵弾性率が約5.0×10
4Pa以上である場合、HOCAは、加工、取扱い、形状保存などに必要な凝集力を維持することができる。加えて、30℃、1Hzにおける剪断貯蔵弾性率が約3×10
5Pa以下である場合、HOCAの適用に必要な初期の接着性(粘着性)が、感圧性接着剤に付与され得る。80℃、1Hzにおける剪断貯蔵弾性率が約5.0×10
4Pa以下である場合、HOCAは所定の時間(例えば、数秒間〜数分間)内に3D特徴部に共形し、その近傍での空隙の形成を最小限にするかあるいは空隙の形成がないように流動することができる。加えて、過剰な積層力又はオートクレーブ圧力が回避できるが、これらは共に、敏感な基板の寸法の狂いを引き起こし得るものである。
【0026】
UV架橋後のHOCAの剪断貯蔵弾性率は、130℃、1Hzにて約1.0×10
3Pa以上である。130℃、1Hzにおける貯蔵弾性率が約1.0×10
3Pa以上である場合、紫外線架橋後のHOCAは、流動しないように保たれることができ、長期の信頼性を伴った接着性が実現され得る。
【0027】
本発明のHOCAは、共有結合性の架橋の前の段階で、上述した粘弾性特性を有しており、そのため、HOCAは、通常の使用温度でHOCAと被着体とを互いに積層した後に熱及び/又は圧力を加えることによって、表面保護層などの被着体の表面上の3D特徴部に共形するように作製できる。同様に、HOCAは、狂いを起こしやすい表面にt貼合できる。その後、共有結合性の架橋が実施されると、HOCAの凝集力が上昇し、その結果、HOCAの粘弾性特性の変化により、ディスプレイ組立体の高信頼性の接着性及び耐久性が実現され得る。
【0028】
好適なHOCAの例には、限定するものではないが、ポリ(メタクリレート)アクリレート及び誘導接着剤、シリコーンのような熱可塑性重合体(例えばシリコーンポリウレア)、ポリエステル、ポリウレタン、並びにそれらの組合わせが挙げられる。「(メタ)アクリレート」という用語には、アクリレートとメタクリレートとが含まれる。(メタ)アクリレートは、配合が容易であると共に費用においても適度となる傾向があり、そのレオロジーは本開示の要件を満たすように調整できるため、特に好適である。一実施形態において、HOCAは、紫外線架橋性の部位を有する(メタ)アクリル酸エステルを含んだ単量体の(メタ)アクリル共重合体である。(メタ)アクリルという用語は、アクリルとメタクリルとが含まれる。
【0029】
(メタ)アクリレート接着剤は、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びブロック共重合体から選択できる。また、アイオノマー的に架橋された接着剤、金属イオンを使用するもの、又は重合体を使用するものが使用されてもよい。重合体のイオン架橋の例が、米国特許第6,720,387号及び同第6,800,680号(スターク(Stark)ら)に見出され得る。好適なブロック共重合体の例には、米国特許第7255920号(エベラエルツ(Everaerts)ら)及び同第7,494,708号(エベラエルツ(Everaerts)ら)、並びに米国特許出願公開US2008/0011419A1号において開示されているものが挙げられる。
【0030】
HOCAに含有された(メタ)アクリル共重合体は、それ自体で紫外線架橋を実施することができる。したがって、多官能性の単量体又はオリゴマーなどの、低分子量を有する架橋性構成成分は、一般にHOCAに添加される必要はない。
【0031】
紫外線架橋性の部位を有する(メタ)アクリル酸エステルに関して言えば、上記のように、紫外線照射によって活性化が可能であり、同じ又は異なる(メタ)アクリル共重合体鎖中の別の部分との共有結合の形成が可能である部位を有する(メタ)アクリル酸エステルが使用できる。紫外線架橋性の部位として働く様々な構造が存在する。例えば、紫外線照射による励起が可能であり、(メタ)アクリル共重合体分子中の別の部分から、あるいは別の(メタ)アクリル共重合体分子から水素ラジカルを引き抜くことが可能である構造が、紫外線架橋性の部位として用いることができる。そのような構造の例には、限定するものではないが、ベンゾフェノン構造、ベンジル構造、o−ベンゾイル安息香酸エステル、チオキサントン構造、3−ケトクマリン構造、アントラキノン構造、及びカンファキノン構造が挙げられる。これらの構造の各々は、紫外線照射によって励起され得るものであり、その励起状態において、(メタ)アクリル共重合体分子から水素ラジカルを引き抜くことができる。このようにして、(メタ)アクリル共重合体上にラジカルが生成されて、生成したラジカルが互いに結合することによる架橋構造の形成、酸素分子との反応による過酸化物ラジカルの生成、生成した過酸化物ラジカルを介する架橋構造の形成、及び生成したラジカルによる別の水素ラジカルの引き抜きなど、系内に様々な反応が引き起こされ、(メタ)アクリル共重合体が最終的に架橋されることになる。
【0032】
上記の構造の中でも、ベンゾフェノン構造が、透明性及び反応性などの様々な特性により有利である。そのようなベンゾフェノン構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの例には、限定するものではないが、4−アクリロイルオキシベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシエトキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシ−4’−ブロモベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシエトキシ−4’−ブロモベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシエトキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシ−4’−ブロモベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシエトキシ−4’−ブロモベンゾフェノン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0033】
紫外線架橋性の部位を有する(メタ)アクリル酸エステルの量は、単量体の総質量に基づく。一実施形態において、0.1質量%以上、0.2質量%以上又は0.3質量%以上で、かつ2質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下が用いられる。単量体の総質量に基づいて、紫外線架橋性の部位を有する(メタ)アクリル酸エステルの量を0.1質量%以上に定めることにより、紫外線架橋後のHOCAの接着強さが向上され得ると共に、高信頼性の接着性及び耐久性が達成され得る。この量を2質量%以下に定めることにより、紫外線架橋後のHOCAの弾性率は、適切な範囲内に保たれ得る(すなわち、架橋した接着剤における過剰な弾性を回避するように、剪断損失弾性率と貯蔵弾性率との釣り合いが取られ得る)。
【0034】
一般に、適切な粘弾性をHOCAに付与し、良好な湿潤性を被着体に対して確保する目的で、(メタ)アクリル共重合体を構成する単量体は、2〜26の炭素数を有するアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む。そのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例には、限定するものではないが、2〜26の炭素数を有するアルキル基を持つ非第3級アルキルアルコールの(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物が挙げられる。具体的な例には、限定するものではないが、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、テトラデシルアクリレート、テトラデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、イソステアリルアクリレート、イソステアリルメタクリレート、エイコサニルアクリレート、エイコサニルメタクリレート、ヘキサコサニルアクリレート、ヘキサコサニルメタクリレート、2−メチルブチルアクリレート、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、及びそれらの混合物が挙げられる。とりわけ、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、又はそれらの混合物が好適に使用される。
【0035】
2〜26の炭素数を有するアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量は、単量体の総質量に基づいている。一実施形態において、60質量%以上、70質量%以上、又は70質量%以上で、かつ95質量%以下、92質量%以下、又は90質量%以下が用いられる。2〜26の炭素数を有するアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量を、単量体の総質量に基づいて95質量%以下に定めることにより、HOCAの接着強さが十分に確保され得るが、その一方で、その量を60質量%以上に定めることにより、感圧性接着剤シートの弾性率は、適切な範囲内に保たれることができ、HOCAは、良好な湿潤性を被着体に対して有することができる。
【0036】
親水性単量体が、(メタ)アクリル共重合体を構成する単量体に含まれてもよい。親水性単量体を使用することにより、HOCAの接着強さを向上させることができ、かつ/又は、親水性をHOCAに付与させることができる。親水性を付与されたHOCAが、例えば画像表示装置において使用される場合、感圧性接着剤シートが、画像表示装置の内側の水蒸気を吸収し得るため、そのような水蒸気の結露に起因する白化を抑制できる。このことは、表面保護層がガラス板若しくは無機蒸着フィルムなどの低透湿性材料である場合、及び/又は、感圧性接着剤シートを使用する画像表示装置などが高温多湿の環境で使用される場合、特に有利となる。
【0037】
好適な親水性単量体の例には、限定するものではないが、カルボン酸及びスルホン酸などの酸性基を有するエチレン性不飽和単量体、ビニルアミド、N−ビニルラクタム、(メタ)アクリルアミド、並びにそれらの混合物が挙げられる。具体的な例には、限定するものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0038】
(メタ)アクリル共重合体の弾性率を調節し、被着体に対する湿潤性を確保する観点から、4以下の炭素数を有するアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、又は複数のこれらの基の組合わせを連結することによって形成された基を含む(メタ)アクリレート、アルコール残基中にカルボニル基を有する(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物もまた親水性単量体として使用され得る。それらの具体的な例には、限定するものではないが、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、及び次式で表される(メタ)アクリレートが挙げられる。
CH
2=C(R)COO−(AO)
p−(BO)
q−R’ (1)
(上式において、各Aは独立に、(CH
2)
rCO、CH
2CH
2、CH
2CH(CH
3)及びCH
2CH
2CH
2CH
2からなる群から選択された基であり、各Bは独立に、(CH
2)
rCO、CO(CH
2)
r、CH
2CH
2、CH
2CH(CH
3)及びCH
2CH
2CH
2CH
2からなる群から選択された基であり、Rは水素又はCH
3であり、R’は水素又は置換若しくは未置換のアルキル基若しくはアリル基であり、p、q及びrの各々は1以上の整数である)。
【0039】
式(1)において、Aは、業界での入手が容易であること、そして得られる感圧性接着剤シートの透湿性を制御することを考慮すると、具体的にはCH
2CH
2又はCH
2CH(CH
3)である。Bは、Aと同様に、業界での入手が容易であること、そして得られる感圧性接着剤シートの透湿性を制御することを考慮すると、具体的にはCH
2CH
2又はCH
2CH(CH
3)である。R’がアルキル基である場合、そのアルキル基は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれであってもよい。一実施形態において、1〜12又は1〜8の炭素数を有し(特に、メチル基、エチル基、ブチル基又はオクチル基)、2〜12の炭素数を有するアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの優れた相溶性を示すアルキル基がR’として使用される。p、q及びrの数は上限においては特に限定されないが、pが10以下であり、qが10以下であり、rが5以下であるとき、2〜12の炭素数を有するアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの相溶性が更に向上され得る。
【0040】
また、アミノ基などの塩基性基を有する親水性単量体が使用されてもよい。塩基性基を有する親水性単量体を含んだ単量体から得られた(メタ)アクリル共重合体と、酸性基を有する親水性単量体を含んだ単量体から得られた(メタ)アクリル共重合体とを混ぜ合わせることにより、コーティング溶液の粘性を増加させ、それによってコーティングの厚さを増加させ、接着強さを制御することなどができる。更に、塩基性基を有する親水性単量体を含んだ単量体から得られた(メタ)アクリル共重合体に紫外線架橋性の部位が含まれていないときでも、上記の混ぜ合わせの効果が得られ、そのような(メタ)アクリル共重合体は、別の(メタ)アクリル共重合体の紫外線架橋性の部位によって架橋され得る。具体的な例には、限定するものではないが、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ビニルピリジン及びビニルイミダゾールが挙げられる。
【0041】
親水性単量体に関して言えば、1種類が使用されてもよく、あるいは複数の種類が組み合わせて使用されてもよい。「親水性単量体」という用語は、水に対して高い親和性を有する単量体であり、具体的には、20℃の水100g当たり5g以上の量で溶解する単量体である。親水性単量体を使用する場合、親水性単量体の量は、単量体の総質量に基づいており、一般に約5質量%〜約40質量%、特に約10質量%〜約30質量%である。後者の場合、上述の白化がより効果的に抑制され得るが、それと同時に、高度な柔軟性と高度な接着強さが得られる。
【0042】
他の単量体が、感圧性接着剤シートの特徴を損なわない範囲内で(メタ)アクリル共重合体中に使用される単量体として含まれ得る。例としては、限定するものではないが、上述のものとは異なる(メタ)アクリル単量体、並びに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びスチレンなどのビニル単量体が挙げられる。
【0043】
(メタ)アクリル共重合体は、重合開始剤の存在下で上述の単量体を重合することによって形成され得る。重合方法は特に限定されるものではなく、単量体は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合及び塊状重合などの通常のラジカル重合によって重合できる。一般に、紫外線架橋性の部位を反応させないようにするために、熱重合開始剤を使用したラジカル重合が用いられる。熱重合開始剤の例には、限定するものではないが、過酸化ベンゾイル、tーブチルパーベンゾエート、クミルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)ペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、過酸化ジプロピオニル及び過酸化ジアセチルなどの有機過酸化物;並びに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)及び2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]などのアゾ系化合物が挙げられる。得られる(メタ)アクリル共重合体の平均分子量は一般に、30,000以上、50,000以上、又は100,000以上でかつ1,000,000以下、500,000以下、又は300,000以下である。ガラス転移温度が高い場合、その接着剤は室温では粘着性でなくなるが、上記の温度範囲内で基板に接合するように活性化され得るという条件で、依然として熱活性化可能な接着剤として使用され得る。
【0044】
HOCAは、上述した(メタ)アクリル共重合体の他に、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)オスフィンオキシド(TPO)を光開始剤として更に含んでもよい。TPOをHOCAに添加することにより、紫外線架橋に必要な紫外線照射線量が減少できる。その結果、例えば、タクトタイム(基板を互いに接合して取扱いを可能にする時間)の短縮化及びエネルギー節約が可能となり、被着体を積層するプロセスがより効率的となり得る。TPOの添加は、特に、被着体が紫外線吸収体を含有しており、その被着体を通過して紫外線が感圧性接着剤シートに照射されるときに有利となる。
【0045】
HOCAは、上述した(メタ)アクリル共重合体の他にも、充填剤及び酸化防止剤などの更なる構成成分を含んでよい。しかしながら、(メタ)アクリル共重合体自体が、HOCAとしての使用に必要な特性を有しており、したがって、更なる構成成分が添加されないとき、このことは、(メタ)アクリル共重合体以外の構成成分のブリードアウト(bleed-out)による汚染、又はHOCAの特性の変化が引き起こされないという点で有利となる。
【0046】
感圧性接着剤シートの貯蔵弾性率は、感圧性接着剤シートに含まれる(メタ)アクリル共重合体を構成する単量体の種類、分子量及び配合比、並びに(メタ)アクリル共重合体の重合度を適切に変化させることによって調節できる。例えば、酸性基を有するエチレン性不飽和単量体が使用される場合に貯蔵弾性率は上昇し、2〜26の炭素数を有するアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、4以下の炭素数を有するアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、若しくは複数のこれらの基の組合わせを連結することによって形成される基を含んだ(メタ)アクリレート、又はアルコール残基中のカルボニル基を有する(メタ)アクリレートの量が増加される場合に、貯蔵弾性率は低下する。(メタ)アクリル共重合体の重合度が増加されるとき、貯蔵弾性率は高温にて上昇する傾向がある(すなわち、ゴム状平坦域弾性率(rubbery plateau modulus)が、高温側に向けて拡張される)。
【0047】
また、例えば、ブロック共重合体とランダム共重合体、又はアイオノマー的に架橋された重合体とグラフト共重合体、のようなこれらの共重合体の配合物が使用されてもよい。同様に、重合体は、重合体中にアイオノマー的架橋とグラフト物又はブロック物の高温Tgに起因する物理的架橋とのように架橋方法を組み合わせてもよい。所望により、これらの重合体は、光学的に透明な組成物を生じる光学的に透明な粘着剤及び可塑剤を用いて配合してもよい。物理的に架橋されるグラフト及びブロック共重合体の場合、架橋剤の追加は必要でないこともある。しかしながら、物理的に架橋されないランダム共重合体に対してのように、追加の架橋剤が接着剤配合に組み込みできる。これらの例には、限定するものではないが、紫外光で活性化される水素引き抜き型架橋剤(例えばベンゾフェノン及びその誘導体)、湿分硬化し得るシラン、及び多官能アクリレートと光開始剤との組合わせが挙げられる。
【0048】
HOCAの厚さは、使用に応じて選択され得るものであり、例えば5μm〜約1mmであってよい。HOCAの厚さを決定するための基準の1つが、被着体表面上に存在する3D特徴部の高さである。上述したように、HOCAの厚さは、3D特徴部の高さと実質的に同じ高さにまで低減することができる。被着体が実質的に平面的である一実施形態において、被着体表面上の3D特徴部の高さが、被着体に適用されたHOCAが広がる平坦な表面に垂直な方向(HOCAの厚さ方向)に沿って決定される場合、HOCAの厚さは、3D特徴部の最大高さの0.8倍以上、1倍以上、又は1.2倍以上でかつ、5倍以下、3倍以下、2倍以下となるようにされ得る。HOCAにそのような厚さを与えることにより、被着体を含んだ積層体の厚さは、薄く保たれ、例えば画像表示装置の寸法及び厚さを低減したり、タッチパネルの感度を向上させたりすることができる。
【0049】
接着剤は溶媒中に溶解してもよいが、溶解することは一般に、最終的な接着剤厚さが75マイクロメートル以下、より典型的には50マイクロメートル以下に限定される。より厚いコーティング厚さでは、乾燥工程は、望ましくない気泡を接着剤層内に導入することが多い。したがって、75マイクロメートル超のいかなる3D特徴部も、これらの薄い接着剤層では被覆され得ない。より厚い板厚を得るための1つの方法は、これらの溶液流延接着剤層を少なくとも2枚、互いに積層することであるが、より好ましい方法は、本発明の接着剤のホットメルトプロセスである。ホットメルトコーティングは、ペール又はドラムのアンローダ、グリッドメルターなどの融解装置に連結されたダイを使用して行われ得る。それに代わって、押出機が使用されて熱活性化接着剤がダイに送り込まれてもよい。用いられ得る更にもう1つのプロセスが、カレンダー加工技術である。所望により、HOCAはまた、積層工程に先立って所望の厚さに圧縮され得る。これらの例の各々において、熱活性化接着剤は、少なくとも1枚の剥離ライナー上に、またほとんどの場合、2枚の剥離ライナーの間にコーティングされる。
【0050】
接着剤の熱活性化は多くの場合、ディスプレイ構成要素に対する損傷を回避するために、中温を必要とする。同様に、熱活性化接着剤の用途の大部分は、材料の少なくとも一部をディスプレイの表示領域に露出させるものであり、このことは光学的透明性を不可欠とさせる。加えて、接着剤の過剰な剛性又は組立プロセスの温度での流れ抵抗が、過剰に応力を蓄積させ、構成要素の機械的損傷若しくは寸法の狂い又はディスプレイ内の光学的歪みをもたらすこともある。したがって、プロセス温度における接着剤のゴム状平坦域の剪断貯蔵弾性率(G’)は10
5パスカル未満、特に10
4パスカル未満であることが望ましい。加えて、溶融弾性の低い接着剤が好ましく、分子量のより低い重合体が好都合である。典型的な重合体は、700,000以下、特に500,000以下の重量平均分子量を有することになる。このため、米国特許第5637646号(エリス(Ellis))、同第6806320号(エベラエルツ(Everaerts)ら)及び同第7255920号(エベラエルツ(Everaerts))に記載されているものなど、より分子量の低いアクリルホットメルト接着剤が望ましい。
【0051】
HOCAは、溶液流延及び押出加工などの通常の方法を用いることによって、(メタ)アクリル共重合体のみから、あるいは、(メタ)アクリル共重合体と任意選択の構成成分(TPO及び他の追加構成成分)との混合物から形成できる。感圧性接着剤シートは、一方又は両方の表面に、シリコーン処理済みのポリエステルフィルム又はポリエチレンフィルムのような離型膜を有してもよい。
【0052】
HOCAを使用してディスプレイ組立体を作製する方法は、積層体を形成するために、光学的に透明な熱活性化接着剤で第1の基板と第2の基板とを貼合させる工程と、積層体を接着剤の活性化温度まで加熱して、接着剤を流動させる工程とを含む。熱活性化温度において、接着剤は感圧性である。接着剤は、熱可逆性架橋接着剤、又は照射、熱若しくは湿分硬化を用いて後架橋されることが可能な接着剤である。第1の基板と第2の基板のうちの少なくとも一方は、その主表面のうちの一つの少なくとも一部分を被覆する3次元の表面トポグラフィーを有するか、あるいは狂いを起こしやすい。
【0053】
一実施形態において、積層体は、少なくとも1つの表面上に3D特徴部を有する第1の基板と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に配設された上述のHOCAとを有する。その第1の基板の少なくとも1つの表面が、HOCAと接触する。この積層体において、HOCAは、3D特徴部を有する第1の基板表面と接触し、その3D特徴部に共形し、したがって、3D特徴部の近傍はHOCAで充填され、3D特徴部の近くには空隙が形成されなくなる。
【0054】
そのような積層体は、表面側を含んだ3D特徴部上の第1の基板に隣接するように紫外線架橋性感圧性接着剤シートを配設する工程と、HOCAに隣接するように第2の基板を配設する工程と、3D特徴部に共形するようにHOCAを加熱及び/又は加圧する工程と、HOCA上に紫外線を照射する工程とを含む方法によって生産され得る。これらの工程は、様々な順序で実施され得る。
【0055】
狂いを起こしやすい基板を有する積層体が同様に生産され得る。ある積層体が、狂いを起こしやすい基板に隣接するように紫外線架橋性感圧性接着剤シートを配設する工程と、HOCAに隣接するように第2の基板を配設する工程と、HOCAを加熱及び/又は加圧する工程と、HOCA上に紫外線を照射する工程とを含む方法によって生産され得る。これらの工程は、様々な順序で実施され得る。
【0056】
一実施形態において、まず、HOCAは、3D特徴部を含む表面側で第1の基板に隣接するように配設され、第2の基板はHOCAに隣接するように配設される。換言すれば、HOCAは、3D特徴部を有する表面がHOCAに面するように、第1の基板と第2の基板との間に挟み込まれる。次に、HOCAは加熱及び/又は加圧され、それによってHOCAが3D特徴部に共形することが可能となる。その後に、紫外線が第1の基板側及び/又はHOCA上の第2の基板側から基板を通過して照射され、HOCAを架橋させる。このようにして、第1の基板と第2の基板は、第1の基板の3D特徴部の近傍に空隙を形成することなく接着され得る。この実施形態において、HOCAは、HOCAに隣接するように第1の基板と第2の基板を配設した後に加熱及び/又は加圧され、そのため、接着される第2の基板表面上に3D特徴部が存在するとき、例えば、画像表示モジュールに貼合された偏光板にHOCAが適用されるとき、HOCAは、第2の基板の3D特徴部に共形することができ、空隙の形成はそのような3D特徴部の近傍においても防止され得る。また、この方法は、狂いを起こしやすい表面を有する基板にも適用可能である。
【0057】
上記の実施形態において、第1の基板と第2の基板の少なくとも一方が少なくとも部分的に透明であり、その結果HOCAの架橋に必要な紫外線が基板を通過して照射され得る。第1の基板の3D特徴部が紫外線を透過させない場合、第1の基板側から照射された紫外線は、3D特徴部の真下を照射しないが、照射部分で生成されたラジカルの移動などにより、HOCAの架橋は非照射部分でもある程度まで進行する。そのような場合、第2の基板が、タッチパネルなどの透明な基板であるとき、紫外光を第2の基板側から照射することができ、それにより、紫外線はまた、3D特徴部に対応する部分においてHOCA上に照射することができ、HOCAはより均一に架橋されることができる。
【0058】
別の実施形態において、3D特徴部を含んだ表面側で第1の基板に隣接するようにHOCAを配設した後、HOCAは加熱及び/又は加圧され、それによってHOCAは3D特徴部に共形することが可能となる。その後に、紫外線がHOCAの開放表面上に照射されて、HOCAが架橋される。更に、第2の基板は、HOCAに隣接するように配設され、第2の基板はHOCAに貼合される。また、この方法は、狂いを起こしやすい表面を有する基板にも適用可能である。剥離フィルムが透明である場合、紫外線はまた、剥離フィルムを通過してHOCA上に照射され得る。この実施形態では、紫外線をHOCAの表面全体に照射することができ、そのため、HOCAはより均一に架橋されることができる。第1の基板が少なくとも部分的に透明であり、そのため、HOCAの架橋に必要な紫外線をその第1の基板を通過して照射することができるとき、紫外線はまた、第1の基板側から照射することができる。このようにして、第1の基板と第2の基板は、第1の基板の3D特徴部の近傍に空隙を形成することなく接着できる。
【0059】
加熱工程は、対流式オーブン、ホットプレート、加熱式ラミネータ、オートクレーブなどを使用して実施され得る。HOCAの流動を促進し、HOCAを3D特徴部により効率的に共形させるために、加熱式ラミネータ、オートクレーブなどを使用することによって加熱と同時に圧力を加えることが好ましい。オートクレーブを使用した加圧がHOCAの脱泡には特に有利である。HOCAの加熱温度は、HOCAが3D特徴部に十分に共形するように軟化されるかあるいは流動する温度であってよく、その加熱温度は一般に、30℃以上、40℃以上、又は60℃以上であり、かつ150℃以下、120℃以下、又は100℃以下である。HOCAを加圧する場合、加えられる圧力は一般に、0.05MPa以上、特に0.1MPa以上であり、かつ2MPa以下、特に1MP以下となり得る。
【0060】
紫外線照射工程は、一般的な紫外線照射装置、例えば、コンベヤーベルト型の紫外線照射装置を使用して実施されることができ、その紫外線照射装置では、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプなどが光源として使用される。紫外線照射線量は一般に約1,000mJ/cm
2〜約6,000mJ/cm
2である。
【0061】
説明の目的で、第1の基板が表面上に3D特徴部を有する表面保護層であり、第2の基板が平坦な画像表示モジュール又はタッチパネルである実施形態について、
図1及び2を参照して以下で述べられる。
【0062】
表面保護層は、画像表示モジュール又はタッチパネルの最外側表面に配設される。表面保護層は、画像表示モジュール又はタッチパネルの保護材料として従来より使用されている層である限り、特に限定されない。表面保護層は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム又はガラス板であってよい。フィルム又はガラス板の厚さは一般に、約0.1mm〜約5mmであるが、これに限定されるものではない。
【0063】
画像表示モジュールの観察者側又はタッチパネルのユーザー側の表面保護層は、耐摩擦性、耐引掻き性、防汚特性、反射防止特性及び帯電防止特性などの機能又は特性を付与するための層を備えることができる。耐摩擦性及び耐引掻き性を付与するための層は、ハードコートの形成が可能な硬化性樹脂組成物をコーティング及び硬化することによって形成できる。例えば、主成分としてのアルキルトリアルコキシシランとコロイドシリカとを含有するシラン混合物の部分縮合反応生成物から構成されるコーティング材料がコーティングされ、次いで、硬化フィルムを形成するように加熱によって硬化されてもよく、あるいは、主成分としての多官能アクリレートを含有するコーティング材料がコーティングされ、そのコーティングが紫外線照射されて硬化フィルムを形成してもよい。防汚特性を確保するために、有機珪素化合物又はフッ素系化合物を含有する樹脂層が形成できる。更に、帯電防止特性を得るために、界面活性剤又は導電性微細粒子を含有する樹脂層が形成できる。そのような機能又は特性を付与するための層は、好ましくは、表面保護層の透明性を阻害しない層であり、好ましくは、その機能を失うことなく可能な限り薄いものである。ある機能又は特性を付与するための層の厚さは、一般に約0.05μm〜約10μmであるが、これに限定されるものではない。
【0064】
本明細書で説明する実施形態において、印刷層又は蒸着層などの追加的な層が、表面保護層の、HOCAに隣接する表面の部分領域に付与され、3D特徴部が表面保護層の表面上に形成される。印刷層又は蒸着層は、枠形状をなして、例えば画像表示モジュールの外周部に形成され、遮光層として機能してその部分を見えなくする。そのような遮光層として使用される印刷層又は蒸着層の厚さは、一般に、高度な遮光効果を有する黒色に対しては約10μm〜約20μm、白色などの光透過性の色に対しては約40μm〜約50μmである。
【0065】
画像表示モジュールの例には、限定するものではないが、反射型又はバックライト型液晶ディスプレイユニット、AMOLED、プラズマディスプレイユニット、エレクトロルミネセンス(EL)ディスプレイ、及び電子ペーパーが挙げられる。画像表示モジュールの表示面上に、偏光板(時に不均一な表面を有する)などの付加的な層(1枚の層か又は複数の層のいずれでもよい)が設けられ得る。また、後述するタッチパネルは、画像表示モジュールの表示面上に存在してもよい。
【0066】
タッチパネルは、透明な薄膜形状の装置であり、ユーザーがタッチパネル上のある位置を指又はペンで触れるかあるいは押すと、その位置が検出及び特定され得るものである。一般的な位置検出システムの例には、タッチパネルに加えられた圧力で動作する抵抗フィルムシステム、及び指先とタッチパネルとの間の静電容量の変化を検出する静電容量システムが挙げられる。タッチパネルは、CRTディスプレイ又は液晶ディスプレイなどの画像表示装置に装着され、ATM、PC(パーソナルコンピュータ)、並びに、携帯電話及びPDAなどの携帯端末に使用されるものである。
【0067】
図1は、HOCAを有する画像表示装置の一実施形態の横断面図である。画像表示装置10は、HOCA 12と表面保護層14がこの順序で画像表示モジュール16の表示面上に積み重ねられる構造を有している。表面保護層14は、連続層18と、連続層18の下表面(感圧性接着剤シートの側)の部分領域内に設けられた遮光層20とから構成されており、3D特徴部がこの表面上に形成されている。ちなみに、遮光層20は、硬化性樹脂組成物を含んだコーティング溶液中に着色剤を混合し、結果として得られる溶液を、スクリーン印刷などの適切な方法で連続層18の所定の領域にコーティングし、そのコーティングを紫外線照射などの適切な硬化法で硬化させることによって形成される。HOCA 12は、表面保護層14の3D特徴部を含有する表面に貼合されている。HOCA 12は、紫外線照射前に熱及び/又は圧力を加えることにより、遮光層20によって生じた3D特徴部に共形し、したがって、3D特徴部の近くに空隙が生成されない。加えて、HOCA 12の内部残留応力が緩和され、そのため、画像表示装置の表示不均一性が抑えることができる。画像表示装置10は、例えば、表面保護層14とHOCA 12とから構成された積層体22を画像表示モジュール16の表示面に貼合させることによって得られる。
【0068】
図2は、HOCAを有するタッチパネルユニットの実施形態の横断面図である。タッチパネルユニット30は、HOCA 12と表面保護層14がこの順序でタッチパネル32上に積み重ねられた(staked)構造を有している。HOCA 12と表面保護層14をこの順序で積み重ねることによって得られる積層体22の構造は、
図1に示すものと同じである。HOCA 12は、紫外線照射前に熱及び/又は圧力を加えることにより、遮光層20によって生じた3D特徴部に共形する。したがって、3D特徴部の近くに空隙が生成されない。タッチパネルユニット30は、例えば、表面保護層14とHOCA 12とから構成された積層体22をタッチパネル32に貼合させることによって得られる。また、頂部側(図示せず)に表示面を有する画像表示モジュールが、直接あるいは別のHOCAを通過してタッチパネル32の底部側に貼合されてもよい。
【0069】
本開示の更に別の実施形態において、上述の画像表示モジュールを具備する電子装置が設けられる。電子装置の例には、限定するものではないが、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機、電子ブック端末、カーナビゲーションシステム、携帯音楽プレーヤー、時計、テレビ(TV)、ビデオカメラ、ビデオプレーヤー、デジタルカメラ、全地球測位システム(GPS)装置、及びパーソナルコンピュータ(PC)が挙げられる。
【実施例】
【0070】
本発明について以下の実施例でより具体的に説明するが、本発明の範囲内での多数の修正および変形が当業者には明らかとなるため、以下の実施例は例示のみを目的としたものである。別段の指定がない限り、以下の実施例で報告されるすべての部、百分率、及び比率は、重量を基準としたものである。
【0071】
3D基板の実施例
ヘイズ及び透過率の試験
フィルムと接着剤層との間に気泡が閉じ込められないように注意する方式で、OCAの25マイクロメートル厚のサンプルを25マイクロメートル厚のメリネックス(Melinex)(登録商標)ポリエステルフィルム454(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のデュポン社(DuPont Company)から入手)に積層した。イソプロパノールで3回拭いた、75mm×50mmの平坦なマイクロスライド(ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウコーニング社(Dow Corning Corp.)から入手したガラススライド)を、接着剤とガラススライドの間に気泡が閉じ込められないことを確保するようにしてハンドローラーを使用しながら接着剤サンプルに積層した。モデル9970ビック・ガードナーTCSプラス分光光度計(Model 9970 BYK Gardner TCS Plus Spectrophotometer)(ミッドランド州コロンビア(Columbia)のビック・ガードナー社(BYK Gardner)から入手)を使用して、透過率(%)及びヘイズ(%)を測定した。バックグランド測定は、メリネックス(Melinex)(登録商標)ポリエステルフィルム454とガラススライドのサンドイッチを用いてなされた。次いで、接着剤サンプルの透過率%及びヘイズ(%)を、分光光度計において、直接、フィルム/接着剤/ガラスの積層体に対して得た。
【0072】
熱活性化接着剤
記載する本発明を実証するために、低分子量である、接着剤1と指定された90/10(重量/重量)のイソオクチルアクリレート/アクリル酸共重合体と、接着剤2と指定された95/5(重量/重量)のイソオクチルアクリレート/アクリル酸共重合体の両方を使用した。いずれの重合体も、米国特許第5,637,646号(エリス(Ellis))に記載されている塊状重合プロセスを用いて作製されたものである。接着剤1の固有粘度は0.51dl/g(濃度0.2dl/g、温度25℃のエチルアセテート中で測定して)であり、接着剤2の固有粘度は約0.45dl/gであった。
【0073】
また、接着剤3と指定された第3の接着剤、つまり紫外線架橋接着剤を使用した。接着剤3は、次のように3種類の単量体の共重合によって調製されたものであり、つまり、87.5重量部の2−エチルヘキシルアクリレート、12.5重量部のアクリル酸、及び0.35重量部の4−アクリロイルオキシベンゾフェノンを、エチルアセテート/メチルエチルケトンの50/50重量%の溶媒溶液と共に混合し、単量体の総量が溶媒溶液に対して40重量%となるようにしたものである。温度計、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(日本国大阪府の和光純薬工業社(Wako Pure Chemical Industries, Ltd.)から商標表記V−65として入手可能)を、単量体の含有量を基準として0.2重量%の開始剤を単量体溶液に加えた。この溶液を窒素で10分間パージした。50℃で24時間にわたって重合を実施して、粘性の高分子溶液を生じさせた。結果として得られた共重合体の分子量(Mw)をGPCで測定すると、210,000g/molとなった。GPCは、テトラヒドロフランを溶媒として使用し、単分散ポリスチレン標準物質を用いるものであった。
【0074】
転写接着剤の調製
剥離ライナー間の接着剤フィルム、すなわち転写接着剤を、以下の方式で接着剤1及び接着剤2から調製した。約25gの接着剤1を、シリコーン処理した2枚のポリエステル剥離ライナーの間に配置した。これらのポリエステル剥離ライナーは、共にバージニア州フィールデール(Fieldale)のCPフィルム社(CPFilms, Inc.)から入手可能な、2ミル(0.051mm)のCLEARSIL T10「イージー」剥離ライナー及び5ミル(0.13mm)のCLEARSIL T50「タイト」剥離ライナーを、長さ6インチ(15.24cm)×幅12インチ(30.48cm)に切断したものであった。それぞれ長さが約300cm、幅が190cm、厚さが3.5mmの2枚のガラス板の間に接着剤と剥離ライナーを配置して、層状の構造体を形成した。この層状の構造体を、カーバー社(Carver)製プレス機(インディアナ州ウォバッシュ(Wabash)のカーバー社(Carver, Inc.)から入手可能なモデル番号2699)の定盤の間に配置した。定盤を約華氏180度(82℃)まで加熱し、非常に弱い圧力を層状の構造体に印加した。約5分後、プレス機を開放し、層状の構造体をプレス機から取り出し、冷却した。貼合された剥離ライナーと一緒に接着剤を層状の構造体から除去して、転写接着剤1を形成した。接着剤2を25g使用して、転写接着剤2を、同じ手順を用いて形成した。上記のプレス手順により、60μm〜100μmの範囲の厚さを持つ平滑な表面仕上げを有する転写接着剤が生成された。
【0075】
転写接着剤3を接着剤3から調製した。ナイフコーターを使用して、50μm厚のPET剥離ライナー(日本国東京都の東レフィルム加工社(Toray Advanced Film Co., Ltd.)から商標表記Cerapeel MIB(商標)として入手可能)の重剥離側に接着剤3をコーティングした。コーターの空隙を100μmに設定した。コーティングの後、接着剤フィルムを100℃で8分間にわたって乾燥させて、溶媒を除去した。乾燥した接着剤厚さは約25μmであった。別の剥離ライナー、つまり38μm厚のライナー(日本国東京都の帝人デュポンフィルム社(Teijin DuPont Films, Japan Ltd.)から商標表記PUREX A−31として入手可能)を接着剤3の露出表面に積層して、転写接着剤3を生成した。
【0076】
(実施例1)
1対の転写接着剤を使用して、約40μm厚の印刷されたインクの境界、すなわちインク段差を有する1mm厚のカバーレンズに、0.5mm厚のガラスパネルを積層した。インクの境界は、カバーレンズの外周全体を包囲するものであった。一方の転写接着剤は転写接着剤1であり、もう一方は、ミネソタ州セントポール(St. Paul)のスリーエム社(3M Company)社から「3M高透明性接着剤8186(3M Optically Clear Adhesive 8186)」の商標表記で入手可能な、光学的に透明な感圧性転写接着剤であった。約150マイクロメートル厚の3M高透明性接着剤8186のシートを、ガラスパネルの長さ及び幅寸法に切断した。「イージー」剥離ライナーを取り外し、ゴムローラーを使用して接着剤を手動でガラスパネルに貼合した。カミソリ刃を使用して、一片の転写接着剤1をインク境界の内部寸法の大きさに正確に切断し、インク境界によって形成された空洞を転写接着剤1が完全に充填するようにした。「イージー」剥離ライナーを取り外した後、接着剤1をインク境界内に慎重に位置合わせし、カバーレンズに手動で貼合した。次いで、「タイト」剥離ライナーを接着剤とガラスパネルの両方から取り除き、2種類の接着剤を互いに接触させることによってカバーレンズを互いに積層した。減圧ボンディング機、つまり日本国橿原市のタカトリ社(Takatori Corporation)から入手可能なモデル番号TPL−0209MHを室温での積層に使用した。積層条件は、圧力0.5MPa、積層時間約5秒間、及び減圧30Paであった。次いで、ガラスパネル/カバーレンズの積層体を、約60℃の温度、約7atm(709kPa)の圧力にて30分間、オートクレーブ内に配置した。オートクレーブから取り出した後、ガラスパネル/カバーレンズの積層体は、特にインク境界の隅部に、わずか数個の気泡を有していた。転写接着剤1なしでは、同じ積層プロセスで(唯一)使用した8186転写接着剤は、インク段差の外周全体にわたって、顕著に多くの気泡を生成した。
【0077】
上記の手順を用いて転写接着剤2が転写接着剤1の代わりに使用されたとき、転写接着剤1で得られた結果と類似した結果が得られた。
【0078】
接着剤1が、インク境界を有する基板に積層され、次いで約80℃で約5分間にわたって加熱されて、接着剤を空隙領域に湿潤させ、次いで8186接着剤に積層するようにする場合、残存する気泡は除去されると考えられる。
【0079】
実施例1の積層方法の概略的な横断面図が、2つの代替方法(
図3B及び3C)と共に、
図3Aに示されている。
図3Aから分かるように、第1の基板46が、インク段差48を有する第2の基板44に被せて配置される。第1の基板46を第2の基板44に接触させるのに先立って、OCA 42が第1の基板46に貼合され、HOCA 40が第2の基板44の上に配設されて、インク段差48で画定される空隙領域が充填される。
【0080】
図3Bの実施形態において、OCA 42は第1の基板46に貼合され、HOCA 40は、第2の基板44への積層に先立ってOCA 42に貼合される。
【0081】
図3Cの実施形態において、HOCA 40とOCA 42は、第1の基板46への積層に先立って第2の基板44に貼合される。
【0082】
図3A及び3Bに示す実施形態において、HOCA 40の体積は、インク段差48で画定される空隙領域の体積よりも大きいものである。
図3A及び3Bに示す最終的な構造は、インク段差48の上で流動するHOCA 40を示している。
図3Cに示す実施形態において、HOCA 40の体積は、インク段差48で画定される空隙領域の体積とほぼ等しいものである。したがって、
図3Cの最終的な構造において、OCA 42は直接インク段差48に接触する。所望により、HOCA 40は、インク段差48よりもわずかに高くてもよく、その結果、最終的な構造が、インク段差48の上で流動するHOCA 40を有する。
【0083】
(実施例2)
接着剤1を濃度45重量%でエチルアセテート溶液に溶解させた。6インチ(15.24cm)幅のナイフコーターを使用して、この溶液を6インチ×24インチ(15.24cm×60.96cm)、5ミル(0.13mm)のCLEARSIL T50「タイト」剥離ライナー上にコーティングし、62μm厚の接着剤層を形成した。70℃で15分間にわたって乾燥させることにより、溶媒を除去した。次いで、ゴム製ハンドローラーを使用して、第2の剥離ライナー、つまり2ミル(0.051mm)のCLEARSIL T10「イージー」剥離ライナーを接着剤の露出表面の上に手動で貼合した。ライナーと接着剤との間に、確実に気泡が閉じ込められないように注意した。転写接着剤1を3M高透明性接着剤8186のシートと共に、それら両方から「イージー」剥離ライナーを取り外した後に互いに手動で積層した。この多層接着剤をガラスパネルの長さ及び幅寸法に切断した。「タイト」剥離ライナーを3M高透明性接着剤8186から取り外し、ゴムローラーを使用してガラスパネルに手動で貼合した。次いで、タイト剥離ライナーを多層接着剤の接着剤1から取り外し、実施例1に関連して述べたものと同じボンディング機とプロセス条件を用いて、レンズを被覆するように接着剤を積層した。これらの基板は、実施例1で述べたものと同一のものであった。次いで、ガラスパネル/カバーレンズの積層体を、実施例1で述べたようにオートクレーブ内に配置し、実施例1のオートクレーブ条件に従って処理した。オートクレーブから取り出した後、ガラスパネル/カバーレンズの積層体は気泡のないものとなり、インク段差が完全に湿潤したことを示した。
【0084】
実施例2の積層方法の概略的な横断面図が
図4Aに、また代替方法が
図4Bに示されている。
図4Aから分かるように、OCA 42は第1の基板46に貼合され、HOCA 40は、第2の基板44との接触に先立ってOCA 42に貼合される。
【0085】
図4Bに示す実施形態において、OCA 42は第1の基板46に貼合され、HOCA 40は、第1の基板46との接触に先立って第2の基板44のインク段差48内で貼合される。時間及び/又は時間/温度が増すと、HOCA 40は空隙領域を充填するように流動する。
【0086】
この方式で2枚のガラスパネル/カバーレンズの積層体を調製した。後に、これらの積層体を耐久性に関して試験した。1枚の積層体を、オーブンを貫流する85℃設定点の空気中に、約72時間にわたって配置した。第2の積層体を、60℃、相対湿度90%にて、オーブン内に72時間にわたって配置した。耐久性試験の後、いずれの積層体も依然として気泡を持たず、インク段差の近くにエアギャップは形成されなかった。
【0087】
(実施例3)
実施例3において、実施例2で述べた手順に続いて接着剤1を溶媒コーティングすることにより、75μm厚の単層のHOCAを作製した。ナイフコーター上の隙間を増加させて、所望の接着剤厚さが得られるようにした。75μm厚の転写接着剤1を使用して、第1の基板46と第2の基板44とを接合した。積層手順は次の通りであった。まず「イージー」剥離ライナーを取り外し、接着剤を第1の基板46に手動で貼合した。次いで、実施例1による減圧積層及びオートクレーブ処理に続いて、「タイト」剥離ライナーを取り外し、露出した接着剤を第2の基板44に貼合した。
【0088】
実施例3の積層方法の概略的な横断面図が
図5Aに、また代替方法が
図5Bに示されている。これらの図から分かるように、
図5Aに示す実施形態において、HOCA 40を、第2の基板44への積層に先立って第1の基板46に貼合した。
図5Bに示す実施形態において、HOCA 40を第2の基板44の空隙領域内に配設し、第1の基板46への積層に先立って貼合した。
【0089】
(実施例4)
実施例4の積層手順は実施例3のものと同一であった。しかしながら、ガラスパネル上のインク段差の代わりに、50μm厚のポリエステルテープをガラスパネルの外周に貼合させることによって、50μmの段差高さを得た。単層の62μm厚の転写接着剤(接着剤1から実施例2で述べたように溶媒コーティングによって調製した)を使用して基板を積層した。減圧積層及びオートクレーブ処理の後、気泡は観察されなかった。
【0090】
(実施例5)
実施例5は、単層の75μm厚の転写接着剤(接着剤1から実施例3で述べたように溶媒コーティングによって調製した)を使用して基板を積層したことを除き、実施例4と同一であった。減圧積層及びオートクレーブ処理の後、気泡は観察されなかった。
【0091】
(実施例6)
実施例6は、オートクレーブ手順を5分間にわたる80℃での短時間のアニーリング工程で置き換えたことを除き、実施例4と同一であった。アニーリングの後、気泡は観察されなかった。
【0092】
(実施例7)
実施例7は、オートクレーブ手順を5分間にわたる80℃での短時間のアニーリング工程で置き換えたことを除き、実施例5と同一であった。アニーリングの後、気泡は観察されなかった。
【0093】
(実施例8)
以下のように、転写接着剤3と150μm厚の接着剤転写テープ8196(ミネソタ州セントポール(St. Paul)のスリーエム社(3M Company)から3M接着剤転写テープ8196(3M Adhesive Transfer Tape 8196)として入手可能)を使用して、インク段差を有するアクリルシートをガラス基板に積層した。ライナーを転写接着剤3から取り外し、その転写接着剤3を、同様に1枚のライナーを取り外された1片の接着剤転写テープ8196に積層して、両側に剥離ライナーを有する多層接着剤を形成した。45mm×65mm×0.8mmのアクリルシート(日本国東京都の三菱レイヨン社(Mitsubishi Rayon Co., Ltd.)から商標表記アクリライト(ACRYLITE)MR−200として入手可能)に、その外周に沿って印刷ドブを持たせて印刷し、アクリルシートの表面に長方形形状の空洞を形成した。シートの各長さに沿って、印刷ドブは約5mm幅であった。シートの一方の幅に沿った印刷ドブは約2mm幅であったが、反対側の縁部に沿った印刷ドブは約6mm幅であった。印刷ドブの厚さは約20μmであった。50mm×80mm×0.7mmのガラスパネル(ニューヨーク州コーニング(Corning)のコーニング社(Corning Inc.)から商標表記EAGLE 2000 GLASSとして入手可能)をガラス基板として使用した。多層接着剤テープをガラスパネルの大きさに切断した。多層接着剤テープの剥離ライナーを取り外し、接着転写テープ8196を露出させ、ゴムローラーを使用して多層接着剤テープをガラスパネルに手動で貼合した。多層接着剤テープの残りの剥離ライナーを取り外して接着剤3を露出させ、減圧ラミネータTPL 0209 MH(日本国橿原市のタカトリ社(Takatori Corp.)から入手可能)を使用して、インク段差を有するアクリルシートをこの接着剤3に積層した。ラミネータのプロセス条件は、圧力0.01MPa、積層時間約5秒間、及び減圧30Paであった。積層の後、積層構造体をオートクレーブ内に配置し、0.5MPaで30分間にわたって処理した。オートクレーブ処理の後、積層体の目視検査により、積層体に欠陥はなく、気泡も観察されないことが示された。
【0094】
アクリルシートを通過した照射によって、この積層体を紫外線照射に暴露した。Hバルブ(120W/cm)を備えた紫外線硬化システム、モデルF300(日本国東京都のフュージョンUVシステムズ社(Fusion UV Systems Inc.)から入手可能)をこの手順に使用した。この積層体を、UVパワーパックII(UV POWER PUCK(登録商標)II)(バージニア州スターリング(Sterling)のEIT社(EIT, Inc.)から入手可能)で測定して紫外線B(280nm〜320nm)の810mJ/cm
2及び紫外線C(250nm〜260nm)の141mJ/cm
2に暴露した。紫外線に暴露した後、積層体を室温で終夜、放置した。次いで、その積層体を、65℃、相対湿度90%の一定温湿度のチャンバー内に7日間にわたって配置した。チャンバーから取り出し、積層体の目視検査により、積層体に欠陥はなく気泡も観察されないことが示された。上述したように、第2の積層体サンプルを調製した。第2の積層体を、温度/湿度チャンバーの代わりに、85℃のオーブン内に7日間にわたって配置した。オーブンから取り出し、積層体の目視検査により、積層体に欠陥はなく気泡も観察されないことが示された。
【0095】
比較例CE−1
比較例CE−1は、実施例8で述べたものと類似した積層構造であった。基板材料と、ガラス板と、インクギャップを有するアクリルシートとを用いた。多層接着剤を175μm厚の単層接着剤8197(スリーエム社から3M接着剤転写テープ8197(3M Adhesive Transfer Tape 8197)の商標表記で入手可能)に置き換えた。実施例8と同じ積層設備とそれに対応するプロセスパラメータ並びにオートクレーブ設備及びそれに対応するプロセスパラメータを用いた。オートクレーブから取り出した後、ガラス/8197/アクリルシートの積層体を目視検査したところ、空隙/気泡を含めたいくつかの欠陥を、特にインクギャップの隅部に有していた。次いで、その積層体を、65℃、相対湿度90%の一定温湿度のチャンバー内に7日間にわたって配置した。7日後、視覚検査により、欠陥はオートクレーブ工程の後により大きくなり、より多くの気泡がインクギャップの近くに観察されることが明らかとなった。
【0096】
上述したように、第2の積層体サンプルを調製した。オートクレーブから取り出した後、ガラス/8197/アクリルシートの積層体を目視検査したところ、空隙/気泡を含めたいくつかの欠陥を、特にインクギャップの隅部に有していた。次いで、第2の積層体を、温度/湿度チャンバーの代わりに、85℃のオーブン内に7日間にわたって配置した。7日後、視覚検査により、オートクレーブ後に存在した同じ欠陥が依然として熱老化の後にも存在することが示された。
【0097】
歪み制御の実施例
【表1】
【0098】
PSAシート100の調製
紫外線架橋性PSAシート100を調製するために、紫外線架橋性の部位を有するアクリル酸エステルを含んだ単量体のアクリル共重合体をまず合成した。紫外線架橋性の部位を有するアクリル酸エステルとして、4−アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン(AEBP)を使用した。37.5/50.0/12.5/0.95(質量部)に相等する2EHA/ISTA/AA/AEBPの混合物を調製し、45質量%の単量体濃度をなすようにエチルアセテート/メチルエチルケトン(EtOAc/MEK=20質量%/80質量%)の混合溶媒で希釈した。単量体成分を基準として0.2質量%の比でV−65を開始剤として加え、系を10分間にわたって窒素パージした。続いて、50℃の恒温槽内で反応を進行させた。その結果、透明な粘性溶液が得られた。得られたアクリル共重合体の重量平均分子量は(ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレンを基準として)210,000であった。
【0099】
この重合溶液を、ナイフコーターの隙間を220μmに調節することによって50μm厚の剥離フィルム(東レフィルム加工社によって生産されているCerapeel MIB(商標)の重剥離表面)にコーティングし、100℃のオーブンで8分間にわたって乾燥させた。乾燥後のPSAの厚さは50μmであった。続いて、このPSA表面に38μm厚の剥離フィルム(帝人デュポンフィルム社(Teijin DuPont Films, Japan Ltd.)によって生産されているピューレックス(Purex)(登録商標)A−31)を積層して、紫外線架橋性PSAシートを得た。
【0100】
PSAシート200の調製
上で調製したPSAシート100に3M 8195テープ(既架橋PSA)を積層することによって複合PSAシート200を調製した。複合PSAの全体的厚さは175μm(7ミル)であった。
【0101】
比較用PSAシートAの調製
上で調製したPSAシート100に紫外線を照射することによって、比較用PSAシートAを調製した。フュージョンHバルブ(3000mJ/cm2)を紫外線源に使用した。PSAシート100は紫外線照射によって架橋されたものであるため、比較用PSAシートAは架橋PSAシートである。
【0102】
比較用PSAシートBの調製
PSAシート100の3枚のシートと、PSAシート100と同じ方法で調製した25μmのPSAシートの1枚のシートとを積層することによって、175μmの比較用PSAシートBを調製した。フュージョンHバルブ(3000mJ/cm2)を使用して、PSAシート100でできたこの175マイクロメートル厚の積層体に紫外線を照射して、比較用PSAシートBを形成した。
【0103】
(実施例9)
まず53mm×100mm×2.0mmのガラス板50の表面を洗浄することによって、積層体を調製した。次いで偏光子(PL)シート52をガラス板50の上に貼合し、PSAシート100を偏光子に貼合した。次いで顕微鏡カバーガラス54(24mm×32mm×0.15mm)をPSAシート100の上に置いて積層体を形成した。次いでこの積層体(カバーガラス/PSA/PLの積層ガラス板)をオートクレーブチャンバーの中に配置し、0.5MPa/60℃で30分間にわたって処理した。最後に、フュージョンHバルブ(3000mJ/cm
2)を使用して積層体に紫外線照射した。
【0104】
比較例A
比較例Aの積層体は、比較用PSAシートAをPSAシート100の代わりに使用したことを除き、実施例9と類似した方式で調製されたものであり、また、比較用PSAシートAはすでに架橋されていたため、紫外線照射工程は省略された。
【0105】
(実施例10)
PSAシート200をPSAシート100の代わりに使用したことを除き、実施例9の積層体と類似した方式で実施例10の積層体を調製した。この積層体において、紫外線架橋性PSAの側は偏光子に向いていたが、既架橋PSAの側はカバーグラスに向いていた。
【0106】
比較例B
比較用PSAシートBをPSAシート100の代わりに使用し、また、比較用PSAシートBはすでに架橋されていたため紫外線照射工程を省略したことを除き、実施例9の積層体と類似した方式で比較例Bの積層体を調製した。
【0107】
図6は、実施例9及び10並びに比較例A及びBの積層体の横断面を示している。
【0108】
図7は、ガラス板62とカバーガラス64との間に配置された架橋性HOCA 60を有する積層体の概略的横断面図を示しており、この積層体は、架橋感圧性接着剤(PSA)66を有する積層体を形成するように処理されている。
【0109】
したがって、架橋性HOCA(実施例9及び10)を用いて調製された積層体は、ガラス板とカバーガラスとの間に配置された架橋済みのPSAを有することになり、一方で、既架橋PSA(比較例A及びB)を用いて調製された積層体は、ガラス板とカバーガラスとの間に配置された既架橋PSAを有することになる。
【0110】
実施例9及び比較例Aの変形解析
実施例9と比較例Aの接着剤の性能を比較するために、オートクレーブ処理の前及び後に光学3Dプロファイラ、Talysurf CCI 6000(テイラーホブソンプレシジョン)を使用して積層体の変形を測定した。
【0111】
積層体をサンプルステージに載せ、カバーガラスの頂部表面の変形を測定した。17.5mm×7mmの領域内の3Dプロファイルを解析した。その結果を
図8A〜8D及び
図9A〜9Dに示す。
図8A及び9Aは、それぞれ、HOCAを用いて調製した実施例9の積層体のオートクレーブ処理前の横断面及びトポロジープロファイルである。
図8B及び9Bは、それぞれ、実施例9の積層体のオートクレーブ処理後の横断面及びトポロジープロファイルである。
図8C及び9Cはそれぞれ、既架橋PSAを用いて調製した比較例Aの積層体のオートクレーブ処理前の3Dプロファイルである。
図8D及び9Dはそれぞれ、比較例Aの積層体のオートクレーブ処理後の3Dプロファイルである。
図8A及び8C並びに
図9A及び9Cに示すように、実施例9及び比較例Aのいずれの頂部表面もそれぞれ、オートクレーブ処理前はわずかなうねりを有している。しかしながら、オートクレーブ処理後は、実施例9の接着剤(紫外線架橋性PSA)の頂部表面は、それぞれ
図8B及び8D並びに
図9B及び9Dに示すように、比較例Aの接着剤(既架橋PSA)よりも相当に平滑な表面を形成した。具体的には、実施例9の接着剤の表面粗さは、Sa=179.7nm及びRa=1.243nmからSa=53.4nm及びRa=0.447nmに改善されたが、一方で、比較例Aの接着剤の表面粗さはほとんど同じであった(処理前:Sa=178.6及びRa=1.216nm、処理後:Sa=220.0nm、Ra=0.866nm)。これらの結果が示すこととして、紫外線架橋性PSAは効果的に働いて積層体の応力及び変形を緩和したが、既架橋PSAはかなりの応力を積層体内に残した。
【0112】
実施例10及び比較例Bの変形解析
17.5mm×7mmの領域内における実施例10及び比較例Bの積層体の3Dプロファイルを、オートクレーブ処理の前後で解析した。その結果を
図10A〜10D及び
図11A〜11Dに示す。
図10A及び11Aはそれぞれ、HOCAを用いて調製した実施例10の積層体のオートクレーブ処理前の横断面及びトポロジープロファイルである。
図10B及び11Bはそれぞれ、実施例10の積層体のオートクレーブ処理後の横断面及びトポロジープロファイルである。
図10C及び11Cはそれぞれ、既架橋PSAを用いて調製した比較例Bの積層体のオートクレーブ処理前の3Dプロファイルである。
図10D及び11Dはそれぞれ、比較例Bの積層体のオートクレーブ処理後の3Dプロファイルである。
図10A及び10C並びに
図11A及び11Cに示すように、実施例10及び比較用PSAシートBのいずれの頂部表面もそれぞれ、オートクレーブ処理前はわずかなうねりを有していた。しかしながら、それぞれ
図10B及び10D並びに
図11B及び11Dに示すように、オートクレーブ処理後、PSAシートの厚さは同じであったが、実施例10の接着剤(複合PSA)の頂部表面は、比較例Bの接着剤(既架橋PSA)よりも大いに平滑な表面を形成した。実施例10の接着剤の表面粗さは、Sa=244.0nm及びRa=1.885nmからSa=78.6nm及びRa=0.689mmに改善されたが、一方で、比較例Bの接着剤はほとんど同じであった(処理前:Sa=237.8及びRa=1.862nm、処理後:Sa=139.0nm、Ra=1.075nm)。このことが示すこととして、ここでも、紫外線架橋性PSAは効果的に働いて積層体の応力及び変形を緩和したが、既架橋PSAはかなりの応力を積層体内に残した。
【0113】
実施例9及び10並びに比較例A及びBの接着剤の表面粗さが、以下の表2にまとめられている。
【0114】
【表2】
【0115】
本発明について、好ましい実施形態を参照して説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形状及び細部において変更がなされ得ることが、当業者には理解されよう。