特許第5925211号(P5925211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5925211原油設備腐食低減のためのシステム・パラメータ決定のための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925211
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】原油設備腐食低減のためのシステム・パラメータ決定のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20160516BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20160516BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   G01N21/27 B
   G01N21/64 Z
   G01N21/78 C
【請求項の数】1
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-542118(P2013-542118)
(86)(22)【出願日】2011年11月30日
(65)【公表番号】特表2013-545988(P2013-545988A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】US2011062529
(87)【国際公開番号】WO2012075076
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年9月11日
(31)【優先権主張番号】12/957,854
(32)【優先日】2010年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507248837
【氏名又は名称】ナルコ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バンクス ロドニー エイチ
(72)【発明者】
【氏名】シオタ スティーヴン アール
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルツ サッシャ
【審査官】 比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−105545(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0177143(US,A1)
【文献】 特表2010−518397(JP,A)
【文献】 特表平06−500390(JP,A)
【文献】 特表平09−506166(JP,A)
【文献】 特開2009−198488(JP,A)
【文献】 特表平08−505218(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0178595(US,A1)
【文献】 特開2008−249657(JP,A)
【文献】 特表2003−521686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/83
G01J 3/00− 4/04
G01J 7/00− 9/04
A61B 5/06− 5/22
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大部分が液体のサンプルの少なくとも1つの特性を測定する方法であって、
ホウ素ドープダイヤモンド電極セル、チャンバー、前記チャンバーに少なくとも1つの化学試薬を供給するための試薬源、を備える装置に前記サンプルを供給する工程と、
前記ホウ素ドープダイヤモンド電極セルに前記サンプルを通過させることで、前記サンプル中のスルホキシ化合物を酸化する工程と、
前記酸化工程後、前記チャンバー内で、少なくとも1つの化学試薬を前記サンプルに加える工程であって、この化学試薬は、サンプルに加えたときに、直接検出されるべき特性に関係する、測定可能な光学的効果を生じる能力があり、
前記チャンバー内で、前記化学試薬と前記サンプルとを混合し、混合物を形成する工程と、
光学的センサを通過するように前記混合物を移動させる工程と、
その光学的効果を測定すること;及び
測定された光学的効果を決定されるべき特性に付随する所定の値と比較することにより特性の値を推定することを含み、測定された光学的効果及び測定されるべき特性の間の関係は、液体サンプル容積に無関係であり、及びサンプルに加えられた前記化学試薬容積に無関係である方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に原油設備中の腐食を低減する方法に関する。より具体的には、本発明は原油設備中の腐食を低減するために、原油設備のプロセス流中のシステム・パラメータを最適化する方法に関する。本発明は、原油設備中の腐食及び/又は腐食副生成物の堆積を低減するために、システム・パラメータを測定し、及びそのような測定に対応するための露点水及び蓄圧タンクブート水のサンプリングに特定の関連性を有する。
【背景技術】
【0002】
原油精製所では、処理のために、一般的に原油は貯蔵タンクから原油設備にポンプで移送される。原油設備は、脱塩器内で水洗により油を洗浄し、及び次いで常圧蒸留塔で、油を分画に分離する。これらの分画は、原油設備(例えば、コーカー(coker)、接触分解装置、水素処理装置など)の下流にある、さまざまな処理ユニットにポンプ移送される。腐食及び腐食副生成物堆積(本明細書では後者は時に付着物と称される)は、原油設備中の多くの領域で生じるが、最も重度の腐食及び付着物は、典型的には常圧蒸留塔システムのオーバーヘッド凝縮システムにおいて生じる。
【0003】
原油精製設備の処理は、近年ますます困難になりつつあり、及びいくつかの理由のために、さらにより困難かつ複雑になると予測されている。例えば、原油価格の顕著な上昇は、精製業者が積極的に「好機」又は値引きされた価格で入手できる「挑戦しがいのある」原油を追い求めることを引き起こしている。より低い価格は、酸の含有量が高いか、又は固体成分が高いなど、軽く無塩のベンチマーク原油よりも望ましくない原油の特性と連結されている。
【0004】
精製業者は、最小の原油の手元在庫と増加した原油の多様さにより、過去よりも原油スレートをより頻繁に切り替えている。原油スレートの切り替えは、典型的には原油設備の定常状態を数時間にわたり動揺させる。一般的に、約80%の腐食及び付着物は、全時間の約20%継続するこれらの切り替え又は混乱の間に生じる。もし付着物及び腐食問題が十分重大であれば、精製業者は、原油又は原油のブレンドの処理を中断し、問題を引き起こす。しかしながら、これらの挑戦しがいのある原油は、精製業者が値引きされた値段で入手できるので、かれらにより多くの利益をもたらす。そのような問題のある原油の打ち切りは、したがってあまり人気のある選択ではない。
【0005】
腐食を低減する努力において、原油設備は、一週間に2〜3回、又はある場合には毎日の補修を受けるであろう。毎日の補修は、動的な原油設備システムのスナップ写真のような眺めをせいぜい提供するだけである。原油の種類及び/又は原油貯蔵タンクは、一週間に数回、時には毎日切り替えられる。それぞれのタンクの内容物は他のものとは異なるので、それぞれの切り替えは、原油設備への供給特性の変化を引き起こし、何度も定常状態を動揺させ、及びシステム内の混乱を引き起こす。予熱、脱塩及び蒸留操作は、新しい原油で切り替わり、製品及び/又は流出水源を規格外にさせる。原油設備を定常状態の操業に復帰させるために、通常、数時間(ある場合では数日)にわたる多くの調節が行われる。
【0006】
そのような混乱を制御し、原油設備の操業を最適化するための、最も通常な現在の工業での実践は、十分な人力及び工数を供給することである。例えば、それぞれの原油設備は、その規模及び複雑性に応じて、3〜10人の作業員を持つことができる。この作業員は、規格内で設備を操業するために、その一日を、湿式化学実験室での試験のためのさまざまなサンプルの収集並びに温度及び流量に対する調節を行うことで費やす。そのような実務は、典型的には、特殊化学製品腐食制御プログラムに対しては最小限の注意をはらいながら、設備が分画の特性の切点(cut point)及び評価項目に関して適正に操業し続けるために調整される。混乱が深刻な場合、動的なシステムを可能な限り最適な条件に保つためにプロセス薬品の変化を行うことができ、及び/又は濃度、流量、又は温度における変化が原油設備の各所に勧告される。
【0007】
蓄圧タンク水ブートの頭上にある常圧蒸留塔へのオンラインのpHセンサーの設置を含む人間の関与の周期的な、又はある場合には長期の欠如を補償するための試みは、しかしながら、pHセンサーへの高速度での付着物に起因して、短時間の間でも、これらのメーターのごく少ない割合のものだけが正常に作動する。pHメータなどのオンラインの器具類は、日常的な整備及び較正を必要とする。さらに、オンラインのpHは、単にpHを追跡し、及びpHが管理限界の外側にあるときにオペレーターに警報を送るだけである。しばしば、不良に較正された、及び/又は付着物のついたpHメータは、頻繁な警報を引き起こす。この頻度は、警報システムの有効性を最小化する傾向がある。
【0008】
オンラインのpH計器測定及び他の監視努力での工業的成功の欠如に起因して、精製業者は、プロセス薬品のプログラムのための、非標準的な、及び効果的なオンラインの器具類を追求していない。したがって、より洗練され、及び効果的な、パラメータの監視及び原油設備での腐食を低減するための、オンラインの、及び/又は自動的な方法への継続的需要が存在する。
【0009】
この章に記述される技術は、具体的にそのように指定されない限り、本明細書において参照される、特許、刊行物、又は他の情報が、本発明に関する「先行技術」であることを受け入れることを構成することを意図していない。加えて、このセクションは、検索が行われたか、又は米国特許施行規則(37CFR)第1.56条(a)に定義される関連情報が存在しないと解釈されるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0177143号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、大部分が液体のサンプルの少なくとも1つの特性を測定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
少なくとも1つの本発明の実施形態は、大部分が液体のサンプルの少なくとも1つの特性を測定する方法であり、この方法は、以下の工程を含む。1)少なくとも1つの化学試薬サンプルに加えることであって、この化学試薬は、サンプルに加えられたときに、検出されるべき特性に直接関係する測定可能な光学的効果を生み出す能力があり、2)光学的効果を測定すること、及び3)測定された光学的効果の、測定されるべき特性に付随する所定の値に対する比較によって、特性の値を推定すること。測定された光学的効果及び測定されるべき特性の間の関係は、液体サンプルの容積に無関係であり、及びサンプルに加えられた試薬の容積に無関係である。
【0013】
前記測定された特性は、以下のものよりなるリストから選択できる。それは、pH、鉄濃度、塩化物濃度、及びそれらの任意の組み合わせである。前記測定された光学的効果は、比色分析的効果、濁度効果、又は蛍光効果であってよい。前記試薬は、サンプルと完全に混合される。前記光学的効果は、その特性の全ての値に対する等吸収点と考えられる特定の波長での吸光度のレベルを決定すること、少なくとも1つの他の吸光度レベルを他の1つの波長に対して検出すること、2つの吸光度レベルを所定のデータと比較すること、及び2つの吸光度レベルを、特定の特性の値の既知の吸光度レベルと関連付けることにより測定される。前記試薬は、以下のものよりなるリストから選択できる。それは、ブロムクレゾール・パープル、フルオレセイン、PTSA、TPPTSA、カルセイン・ブルー、フェロジン、硝酸銀、チオグリコール酸、アンモニア、pH緩衝剤、鉄(III)イオン還元剤、蛍光染料、及びそれらの任意の組み合わせである。
【0014】
前記光学的効果は、染料の1つの第一の波長での蛍光が前記特性の値に影響され、及び染料の他の1つの第二の波長での蛍光が特性の値により影響を受けない、少なくとも2つの蛍光染料である試薬から測定されることができる。この方法は、サンプル中の第一及び第二の波長の蛍光強度の比率を測定する工程、その比率を、その特性の値が既知である、対照中の第一及び第二の波長の蛍光の比率と比較すること、及びこの比例的な変化を特性の値と関連付けることをさらに含むことができる。吸光度が特性の値に影響されず、及び蛍光が特性の値により影響される場合には、前記光学的効果は、蛍光の吸光度に対する比率を既知の特性の値を有する対照と比較し、及び2つの比率の中の比例的変化を前記特性と関連付けることにより、試薬の吸光度及び蛍光により測定することができる。前記試薬は、前記特性を引き起こす化合物と複合体を形成することができ、その複合体の所定の波長での吸光度は、直接的にその化合物の存在量と関係し、及び加えられた試薬の量には関係しない。
【0015】
このサンプルは装置内に配置できる。この装置は、試薬を、それがサンプルと混合され及びサンプルが光学的特性を測定する光学的センサーを通過して移動する、チャンバー内に供給するために、構築され及び配置されている少なくとも1つの試薬源を含む。この装置は、前記光学的センサーと一列に並ぶか、または直角に配置され得る光源をさらに含む。この光源は、試薬が加えられる前にサンプルが通過するBDDセルと一列に並ぶか、または直角に配置され得る。このBDDセルは、スルホキシ化合物を参加するために構築され及び配置されている。前記光源は、サンプルがそこを流れ、それにより光学的センサーを移動する測定された光が、サンプルを水平に通過する垂直に角度付けされたセンサー流路に対して一列化又は直角に配置され得る。少なくとも2つの光学的センサーがあることができ、及び前記センサーは、垂直の流路に対して水平な面に沿って配置される。前記装置は、センサーの下流側に管をさらに含むことができ、管の少なくとも一部分はセンサーよりも高い位置にあり、及び水平に角度付けされており、この管はセンサーを去って気泡が移動することを促進するために、構築され及び配置されている。この管は逆U字型であってよい。前記装置は、センサーの上流側に気体源をさらに含むことができ、この気体源は、サンプルから望ましくない物質を吹き飛ばすために構築され及び配置されている。前記装置は、サンプルが採取される化学プロセス流の少なくともいくつかを支配する制御システムと連結されることができ、測定されたデータが、制御システムが前記特性に応えて対策を実行することをもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の詳細な説明は以下に図面との具体的な参照により記載される。
【0017】
図1】等吸収点がどのように液体サンプルのパラメータの決定には、利用されるかを示すために用いられるグラフである。
図2a】異なるpHでの等吸収点がいかに液体サンプルのパラメータを決定するために利用できるかを図示するために使われるグラフを含む。これらのグラフでは左のY軸は等吸収点及びpHチャンネルに対する吸光度である。右のY軸はpH/等吸収点の比率である。
図2b】異なるpHでの等吸収点がいかに液体サンプルのパラメータを決定するために利用できるかを図示するために使われるグラフを含む。これらのグラフでは左のY軸は等吸収点及びpHチャンネルに対する吸光度である。右のY軸はpH/等吸収点の比率である。
図2c】異なるpHでの等吸収点がいかに液体サンプルのパラメータを決定するために利用できるかを図示するために使われるグラフを含む。これらのグラフでは左のY軸は等吸収点及びpHチャンネルに対する吸光度である。右のY軸はpH/等吸収点の比率である。
図3】本発明の測定の正確性を図示するために使われるグラフである。
図4】TPPTSA及びルシゲニンがどのように蛍光比率を用いて塩化物濃度を決定できるかを図示するために使われるグラフである。Y軸は蛍光強度である。
図5a】ルシゲニン蛍光が、どのようにサンプル及び試薬容積に対する吸光度補正を用いて塩化物測定に使えるかを図示するために使われるグラフである。このグラフではチャンネル・カウントは透過率曲線の透過光強度である。それは蛍光曲線に対する蛍光強度である。ルシゲニン染料の吸光度はlog10(対照/透過光)により計算される。
図5b】ルシゲニン蛍光が、どのようにサンプル及び試薬容積に対する吸光度補正を用いて塩化物測定に使えるかを図示するために使われるグラフである。このグラフではチャンネル・カウントは透過率曲線の透過光強度である。それは蛍光曲線に対する蛍光強度である。ルシゲニン染料の吸光度はlog10(対照/透過光)により計算される。
図6】液体サンプルのパラメータの測定に用いられる装置の側面説明図である。
図7】液体サンプルのパラメータの測定に用いられる装置の俯瞰図である。
図8】液体サンプルのパラメータの測定に用いられる装置中のさまざまな部品のフローチャート図である。
図9】Fe測定における濁度補正に用いられるグラフである。
図10a】吸光度測定を用いた濁度による塩化物に対する応答曲線を図示するグラフである。このグラフでは、チャンネル・カウントは、透過率曲線の透過光強度である。対照曲線が示されない場合は、懸濁したAgClの吸光度が、log10(対照/透過光)により計算される。この吸光度が、図11の中のX軸として与えられている。
図10b】吸光度測定を用いた濁度による塩化物に対する応答曲線を図示するグラフである。このグラフでは、チャンネル・カウントは、透過率曲線の透過光強度である。対照曲線が示されない場合は、懸濁したAgClの吸光度が、log10(対照/透過光)により計算される。この吸光度が、図11の中のX軸として与えられている。
図10c】吸光度測定を用いた濁度による塩化物に対する応答曲線を図示するグラフである。このグラフでは、チャンネル・カウントは、透過率曲線の透過光強度である。対照曲線が示されない場合は、懸濁したAgClの吸光度が、log10(対照/透過光)により計算される。この吸光度が、図11の中のX軸として与えられている。
図11】サンプルと硝酸銀の反応により形成された濁度の吸光度による塩化物に対する非線形較正曲線を図示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本出願の目的のための、これらの用語の定義は以下の通りである。
【0019】
「BDD電極」は、少なくとも部分的にp−型のダイアモンド材料で被覆された電極であって、このp−型のダイアモンド材料では、純粋なダイアモンドでは炭素原子があるべき、共有結合サイトのいくつかが、共有結合したホウ素原子になっている電極を意味する。BDD電極は、BDD電極が陽極である電気化学的電池に用いられる。
【0020】
「ブランク・サンプル」は、試薬を含まない液体サンプルを意味する。
【0021】
「ブート水」は、油の蒸留分画の水相から採集された液体サンプルであって、その分画が濃縮されて、水相及び有機相に分離され、及び通常は(しかし必ずしもそうではないが)熱交換器の蓄圧タンクの下流側から採取されたものを意味する。
【0022】
「比色計」は、特定波長でのサンプルを通過する透過光の強度を測定する装置を意味する。
【0023】
「制御装置」は、以下の構成要素を有する、手作業をするオペレーター又はプロセッサを意味する:記憶装置、デジタル保存媒体、ブラウン管、液晶ディスプレー、プラズマ・ディスプレー、タッチ・スクリーン、又は他のモニター、電子装置及び/又は1つ以上の応用特有の集積回路、プログラム、コンピュータにより遂行される指令またはアルゴリズム、1つ以上の配線で固定された装置、及び/又は1つ以上の機械的装置と連結して操作できる部品、及びフィードバック、フィードフォワード、又は予言ループ(predictive loop)と統合して操作できるもの、及びローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワーク、無線ネットワーク、インターネット接続、マイクロ波中継装置、赤外線リンクなどの通信のためのネットワークサーバーなどのように、その機能が中心の位置にあるもの、シグナルコンディショナー又はシステムモニタなどの他の構成要素も、信号伝送、及び信号処理アルゴリズムを促進するために包含されることができる。
【0024】
「露点水」は、蒸気の水への初期液化の時点、又は蒸気が冷却するのに伴って、液体水の相が水蒸気及び液体炭化水素から分離し、液体水を生み出す温度において採取された液体サンプルを意味する。このサンプルは、冷却水を含み冷却水がその中を循環するコイルにより冷却される収集器で、形成されることができる。露点水は、下流から採取される水に比べ、最高量のHCl及び他の酸を含む。
【0025】
「フェロジン」は、3−(2−ピリジル)−5,6−ビス(4−フェニルスルホン酸)−1,2,4−トリアジン一ナトリウム塩、及びチオグリコール酸アンモニウムの混合物を意味する。
【0026】
「蛍光光度計」は、サンプルが蛍光を発するときに生成される光であって、サンプルに照射される光とは異なる波長を有する光の強度を測定する装置を意味する。この蛍光はサンプル中に照射される光に関して、角度を(90°であってよい)をもって測定できる。
【0027】
「インターフェース」は、分析器と少なくとも1つの他の品目との間の、電気、プラズマ、光、放射、流体、データ、情報、物体、試薬、廃棄物、サンプル化されるべき物質、エネルギー、熱、液体及び/又は、気体がそれを通じて通過を介する固体、電磁的、光学的、仮想的、又は他の相互連結を意味する。
【0028】
「PTSA」は、ピレン四硫酸を意味する。
【0029】
「吹き飛ばすこと(sparge)」は、気泡と特定の物質との間の接触により、液体からその特定の物質を除去するために、液体中を上昇する複数の気泡を生成する目的のために液体に気体を導入することを意味する。
【0030】
「甘くする(sweeten)」は、限定はされないが、硫化水素、及び他の硫黄に基づく化合物を含む、水性分画中の非反応性の特に望まれない組成物を除去するか又は融解により抽出することを意味する。
【0031】
「TPPTSA」は、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン−テトラスルホン酸四ナトリウム塩水和を意味する。
【0032】
「濁度計測器(Turbidity Meter)」又は「濁度計(turbidimeter)」は、光のビーム源が、液体内の粒子と相互作用する結果、光のビーム源から散乱される液体内の光の強度を測定する装置を意味する。この散乱光の波長はサンプル中に照射される光のものと同じである。
【0033】
上記の定義又は本出願の他の場所で言明されている記載が、通常使用される(明示的な又は黙示的な)意味、辞書中の意味、又は参照により本出願中に組み込まれるソースの中に言明されているもの、とりわけ本出願、及び請求項の用語と万一矛盾している場合には、通常の定義、辞書の定義、又は参照により組み込まれた定義には従わず、本出願中の定義又は記載に従うと解釈されるものと理解されるべきである。上記を考慮すると、もし用語が辞書によってのみ理解され得ると解釈される場合、もしその用語がKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第5版,(2005),(Wiley,John & Sons,Inc.発行)により定義されている場合は、その定義が、その用語が請求項においてどのように定義されるかを支配する。
【0034】
本発明の実施形態は、分析方法及び特性の分析のための装置並びに水サンプルの内容物を含む。この水サンプルは、原油設備のオーバーヘッド凝縮器からのものであることができる。この分析は、化学腐食制御システムの制御のために使うことができる。
【0035】
少なくとも1つの本発明の実施形態は、原油精製所における生成物供給(product feed)の制御のための、システム・パラメータの測定法を指向する。少なくとも1つの実施形態は、測定されたパラメータの使用による、原油精製所での腐食を低減する方法を指向する。少なくとも1つの実施形態は、前記パラメータを検出する能力のある少なくとも1つのセンサーと連動して稼動する熱交換器を指向する。前記パラメータは、以下のものよりなるリストから選ばれる1つの項目であり、それは金属濃度、塩化物濃度、pH、及びそれらの任意の組み合わせである。本発明により考慮される検出のための金属としては、限定はされないが、鉄、銅、モリブデン、ニッケル及び亜鉛である。少なくとも1つの実施形態では、1つ以上のパラメータが、少なくとも1つのセンサーを持つ分析器により測定される。
【0036】
さまざまな凝縮された水分画の特性及び組成物の測定は複雑であり得る。この分析される分画は、典型的には幅広く多様であり(及び少なくとも部分的には)及び水性組成物は、水、軽炭化水素、硫化水素、及びより重い有機物、アミン、アンモニア、有機酸(酢酸などの)及びシリカと塊を形成する硫化鉄及び酸化鉄の懸濁固体を含む。この分画は、典型的にはpH、塩化物濃度、及び鉄濃度において変化し、及びこれらの値の知識は適正な施設の操業において重要である。もしpHが低すぎると、下流の装置の腐食が起き得る。過剰の塩化物は、過度の腐食性塩酸が存在することを示す指標である。過剰の鉄は、鋼の腐食、及び硫化物と反応してシステムの内部表面に堆積するFeS粒子を形成していることを示す。特別な使用であるのは、戦略的に中和アミン(pH制御のため)、薄膜阻害剤(鉄の制御のため)、苛性溶液(HClの制御のため)を注入するなどの、腐食制御プログラムを適切に成立することを可能にするために、パラメータ値を早期に凝縮領域で測定することである。
【0037】
しかしながら、これらの測定の遂行は、分画組成物がほとんどのセンサーに対して有害であるために極めて挑戦しがいがある。従来技術のセンサーでは、小さな直径のプラスチックのチュービング、蠕動ポンプ、バルブ及び他の機械的部品は急速に付着を受け、及び/又は閉塞される。粒子、油類、及び他の有機物がベースラインのドリフト及び光学的構成要素の較正誤差を引き起こす。比色分析装置は、とりわけ背景色、濁度干渉、及び光学的表面の付着物により不正確となる。電気化学的装置及び特に選択電極は、しばしば数百ppmを超える量で存在する硫化物により妨害される。
【0038】
理想的には前記パラメータは、分画が熱交換器に入る前又はそのときに、及び/又は蒸気の露点か、又はその前の時点で測定される。露点において収集されたパラメータ値は、下流の腐食が究極的にはどの程度又はどのような形で起きるかについて、もっとも正確な予測を提供し、及び腐食制御プログラムの正確な使用を可能とし、及び熱交換器の寿命を最大化するであろう。
【0039】
不幸なことに、実際には露点サンプルは通常は入手可能ではない。結果として、一般的な方法は、その測定を化学物質用量の制御及び腐食制御プログラムの必要性に用いるために、分画中の水が完全に液化している場合には、その代わりにブート水について測定することである。露点サンプルは、米国特許第4,355,072号及び5,425,267号及び米国特許出願第12/263904号の開示にしたがって得ることができる。
【0040】
比色分析によりpH、塩化物及び鉄などのパラメータを測定する従来技術の方法は試薬に基づくものである。それらは、既知の量の試薬を、設定された容積のサンプルに加えることを含む。これには多くの不利点がある。第一に、もし正しい量の試薬を加えることに誤差があると、吸光度測定は試薬の量に依存するために、読み出しは不正確になる。第二に、サンプルの特定の容積が、動的システムから除かれなければならないために、煩雑である。正確な結果のためには、起動と停止のプロセスが用いられる。このプロセスは、サンプルを取得すること、及びその既知の容積を容器に計り取ることよりなる。ついで、既知の量の試薬が添加され及び混合される。はるかに良いシステムは、試薬量を制御する必要なく、小容積の試薬を流れているサンプルに加えることによりパラメータを測定することを含むであろう。そのようなシステムでは、添加される試薬は流動するサンプルに分散され、その濃度は連続的に減少する。したがって、従来技術の方法は、測定された吸光度が、今や未知のサンプル中の試薬量に依存するので、誤差を与える。サンプルの量をサンプル中の試薬の容積又はサンプル中の試薬濃度に関係する値を参照することにより克服し得る。
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、試薬の量を精製施設のプロセス流の液体サンプルに直接加え、及び試薬の量に直接関係する光学的特性を直接に測定することにより、パラメータは直接測定され、この場合には、測定されたパラメータは、液体サンプル中の試薬の濃度を知ることとは無関係である。少なくとも1つの実施形態では、測定されたパラメータは、以下のものよりなるリストから選ばれる1項目であり、それはpH、鉄(又は他の金属)濃度、及び塩化物濃度である。
【0042】
少なくとも1つの実施形態では、pHは、比色分析の染料の等吸収点を利用することにより直接測定される。図1は、サンプル中の同じ濃度の比色分析の染料のさまざまなpHにおける吸光度対波長のグラフを図示している。それぞれの異なるpHサンプルがpH波長において独特の吸光度を有する一方で、それら全ては、比色分析の染料が、pHとは無関係に一定の吸光度レベル、等吸収点を示す単一の波長を共有する。そのpH波長での吸光度を等吸収点でのそれに割り当てることにより、得られるpH値は、試薬又はサンプルの相対的な量とは無関係になる。従来技術では、pH測定のために、サンプル容積、及び最大吸光度波長を知ることに依存するアルゴリズムが用いられている。
【0043】
しかしながら本実施形態では、pH測定のために単に最大吸光度を用いるよりも、そのかわりに、pHは、最大吸光度を等吸収点に対して割り当てることにより測定される。私用される特定の比色分析の染料の等吸収点は、その濃度にのみ依存する所定の染料の特性である。さらにその染料については、さまざまなpH値での最大吸光度が知られている。結果として、サンプルに対する比色分析の読み出しが取られるとすぐに、その等吸収点及び最大吸光度が既知であり、及びその読み出しが、所定の等吸収点を確認すると、ついで、特定のpHのグラフに対応するものとして、その読み出しが特定されることができ、及びサンプルに対するpHを、試薬濃度に関する知識の必要性なしで知ることができる。最初のブランクのサンプル測定は測定された最大吸光度に干渉する、高度に濁ったか、又は着色したサンプルなどのような従来技術の方法では、測定することがより困難であったサンプルについてさえ正確な読み出しを取ることを可能にする。同様に、ブランクのサンプル測定は、光学的管に蓄積された付着物を修正する。最大吸光度の等吸収点吸光度への割り当ては、光源強度変動の効果及び検出器の反応性変動を相殺する。少なくとも1つの実施形態では、色、濁度、及び管付着物などの付加的である効果が、ブランクの差し引きにより修正される。少なくとも1つの実施形態では、光強度及び検出器感度などのように比例的な効果は、割り当てにより修正される。
【0044】
少なくとも1つの実施形態では、光学的読み出しが多数の測定に対する多数のポンプの押し出しストローク(push stroke)に対して行われる一方、反応されたサンプルは比色計を通じて流れる。データ配列は等吸収点の透過率データ及びpHバンドで満たされる。両方のLEDに対する参照光ダイオードも読み取られ、及び光源発光強度変動の変動の修正に用いられる。較正標準上の3回の測定に対する代表的データが図2にプロットされており、左軸は2つのチャンネルの吸光度である。等吸収曲線は、どのようにpH染料濃度がピークまで増加するか、及び次いでベースラインまで下降するかを図示する。測定(run)は機能において同一であるので、前記等吸収曲線は、同一に見える一方、前記pH曲線はより高いpHで増加する。右軸は、ブランクにより補正されたpH及び等吸収吸光度の計算された比率である。この比率曲線(pH/等吸収吸光度)は、等吸収補正が有効であれば、理想的にはフラットな直線であるべきである。ピーク領域の周辺では水平であることが見られる。これらのプロットは、割り当てのわれわれの技術の値、及び結果がそのように正確な値であるかを明白に示す。読み出しは、望ましい誤差の許容範囲内にあり、比率が一定であれば、例えばピークだけではなくどこからでも採取できる。相対的に、同じ範囲の読み出しを用いる従来技術の方法は、波長だけでの吸光度は幅広く変動するために、顕著な誤差をもたらしていると思われる。
【0045】
第一の4ベースライン点、又はブランク・サンプル点は、平均され及び保存される。これらは試薬注入点及び光学的管を通る光学的管流の間のサンプル液体として存在する。サンプル液体は光学的管を通って流れ続けるために、試薬と混合されたサンプルは読み出しが取られる光学的管を通過して流れる。全ての読み出しが採取された後、等吸収応答の中のピークのために配列が検索される。pH曲線内の対応するピークも抽出される。ピーク透過率から吸光度、及びlog10(ピーク参照/ピーク透過率)としての参照値が計算され、及びブランク吸光度を差し引くことにより、管付着物及びサンプル濁度について補正される。
【0046】
補正されたpHの補正された等吸収吸光度に対する比率が、較正式に代入される。pH較正式は線形関数にしたがう。
【数1】
Abs11は、pH11標準のための比率であり、及び式の中ではpH波長での最大吸光度を表す定数である。他の2つのpH標準比率を使って、pK及びpHSlopeが定数として計算される。未知のサンプルが測定されるとき、そのサンプルに対する比率、Abs、が、式に代入され及びpHが見出される。図4は、pH計算に使用される典型的な較正ライン及び式を示す。pH7.5以上では染料の感度が低下するために、この領域にはいくらかの不正確性が存在する。少なくとも1つの実施形態では、補正因子がpH7.5以上の不正確性を補正するために用いられる。
【0047】
少なくとも1つの実施形態では、私用される比色分析の染料は、ブロムクレゾール・パープルである。ブロムクレゾール・パープルは、488nmに等吸収点を有し、及びpHによる最大吸光度は590nmにある。結果として、もしサンプルが、定常的に精製施設のプロセス流から採取される場合、ブロムクレゾール・パープルをそれらに加えると、そのpHは、サンプル容積又は試薬濃度が既知かどうかに無関係に、590nmの吸光度と488nmでの吸光度の割り当てにより正確に決定できる。結果として、それは、第一の測定なしで、又は試薬容積さえ知らないでも、試薬容積を対照値と比較することなしでも正確な測定を取得するために使うことができる。このことは、この分析器が、流動するサンプル内の試薬の分散が常に正確な結果を与える、真のオンラインの適用になることを可能にする。これは、流動するサンプル流の中では知ることができない試薬/サンプル容積比率が、既知である場合にのみ、正確な値を与える従来技術に対する顕著な改善である。したがって、本発明は従来技術で用いられている非効率的な起動−停止方法を避けることを可能にする。
【0048】
少なくとも1つの実施形態では、パラメータは、2つの蛍光染料の蛍光の比率を用いて直接測定される。従来技術では、染料及びサンプルの両方とも既知である場合に、サンプル中の染料の蛍光を測定することにより、蛍光染料は、塩化物含有量及びサンプルのpHの測定に用いられている。少なくとも1つの実施形態では、2つ以上の蛍光染料がサンプルに加えられるが、それぞれは、特定の波長で明瞭な蛍光を示す。1つの染料の特定波長での蛍光強度は、所望のパラメータに直接的に依存し、及び他の染料の蛍光強度は、所望のパラメータには完全に無関係である。第二の染料の蛍光強度は、サンプル混合物中のその濃度にのみ依存する。未知のサンプルの蛍光比率に対するパラメータが既知の場合、対照サンプル中での、2つの波長での2つの染料の蛍光比率の比較により、未知のサンプルのパラメータを決定できる。
【0049】
少なくとも1つの実施形態では、蛍光消光により塩化物濃度を決定するために使用される染料は、ルシゲニン(9,9’−ビス−N−メチルアクリジニウムニトレート)及びPTSAである。510nmで、ルシゲニンの蛍光は、塩化物濃度に依存する一方、PTSAはこの波長では蛍光を与えない。405nmでは、PTSAの蛍光は塩化物濃度に無関係である一方で、ルシゲニン蛍光を発しない。対照と測定されたサンプル中での510nmでの蛍光及び405nmでの蛍光の比率の比較により測定されたサンプルのパラメータが決定できる。
【0050】
他の適切な参照染料は、670nmで蛍光を発し、及びその蛍光が塩化物濃度に無関係であるTPPTSAである。ルシゲニンの510nmでの蛍光と670nmでのTPPTSAの蛍光の割り当てにより、染料濃度中の変動及びサンプル容積が補正される。図4は、TPPTSA及びルシゲニンの、塩化物とともに及び塩化物なしでの、それぞれのスペクトルを図示している。
【0051】
少なくとも1つの実施形態では、前記所望のパラメータの内容(content)は、ただ1つの染料を用いる蛍光消光の測定により、直接的に決定される。少なくとも1つの実施形態では、この単独の蛍光染料は、特定波長で希釈によりその蛍光が減弱され、及びその蛍光が、塩素イオンを含むものなどの、特定の組成物の存在により減弱される染料である。図5に図示されるように、少なくとも1つの実施形態では、この単独の染料は、その433nmでの吸光度が、その濃度にだけ依存する一方、510nmでの蛍光が塩化物イオン及びその濃度に依存する、ルシゲニンである。その蛍光をその吸光度に割り当てることにより、希釈又はサンプル中の染料濃度の効果が相殺される。対照値及び測定されたサンプルの間の比率における変化が、サンプル中の塩化物の量の決定に使用できる。
【0052】
少なくとも1つの実施形態では、比色分析の吸光度の読み出しはパラメータ及び添加された試薬の間に形成される複合体について取られる。それ自身では所定の波長で比色分析の結果を示さないが、パラメータが存在すると特定の有色複合体を形成する試薬が加えられ、その複合体の存在が明白な吸光度読み出しをもたらす。少なくとも1つの実施形態では、フェロジンがサンプルに加えられる。560nmでは、フェロジン感知できる吸光度を示さない。しかしながら、もし鉄が存在すると、フェロジンは、鉄と複合体を形成し、及び存在する鉄の厳密な量を決定するために用いられる560nmでの吸光度を示す。もし吸光度が、過剰のフェロジンが存在する場合に読み取られると、鉄に対するその値は、フェロジン又はサンプルが厳密にどの程度の量が存在するかを知ることなしに、正確である。少なくとも1つの実施形態では、フェロジン試薬緩衝剤は、センサーのバックグラウンドの読み出しを変化させ、及び560nmで誤った読み出しを与えるので、Fe−フェロジン複合体が吸光しない690nmで第二の読み出しが取られ、及びこの波長でのバックグラウンドの読み出しが、560nmでのものから差し引かれる。濁度又は色に起因するバックグラウンドのレベルが読み出しから除去される。
【0053】
少なくとも1つの実施形態では、硝酸銀がサンプルに加えられる。硝酸銀は、680nmでは感知できる吸光をしないが、硝酸銀は塩化物と反応して塩化銀を形成する。懸濁された塩化銀は、サンプルを通過する光ビームの進路からの680nmでの吸光度の測定により検出できる。それは、680nmでの濁度の濁度計による測定でも検出することができる。この測定は、次いで硝酸銀濃度のレベルには依存しない。
【0054】
ついで図6を参照するが、ここには、比色分析、濁度計、又は蛍光読み出しを用いて、パラメータを決定するために有用な装置(100)が示されている。この装置は、その中に、源からの液体サンプルが導入されるマニホールド(101)を含む。この液体は、次いで、その中に1つ以上の試薬源(104)が注入されるチャンバー(103)内を通過できる。このチャンバーは、機械的、流束に基づく、超音波の、又はその他の任意の当技術分野での混合技術であることができる混合装置(105)を含む。1実施形態では、サンプル及び試薬の拡散が生じる死容積を最小化するために、試薬ポンプがチャンバー(103)に毛細管により接続される。このことは、大部分が、試薬ポンプ中に逆拡散されるサンプルを含む、試薬注入により引き起こされる不正確性を回避する。他の実施形態では、前記装置は、エラストマーのカモノハシ(duck−bill)、又は他の当技術分野で周知の逆流防止装置によりこの問題を回避するために構築され及び配置されている。
【0055】
試薬の添加後に、この液体サンプルは、それに沿って少なくとも1つの比色計、濁度計、又は蛍光分析センサー(106)が配置されている、センサー管路(110)を通過する。この比色計(106)は、少なくとも1つの光学的センサー(107)を含み、及び少なくとも1つの光源(108)も含むことができる。このセンサー(107)は一列であることができ、及び/又は0度より大きく180度未満で角度付けされることができる。少なくとも1つの実施形態では、このセンサー(107)は光源(108)に対して90度に配置される。比色計及び蛍光光度計読み出しの基準とする(reference)ために、光源の直接上に配置される、光源の光出力を読み取るだけの目的の1つの光学的センサー(107)があってもよい。経年劣化又は温度変化に起因する、なんらかの変動は、センサー(107)読み出しへの割り当てにより補正できる。
【0056】
少なくとも1つの実施形態では、この光源は放射し、及びスルーセル(through−cell)検出器からはサンプルは同一平面内に見える。少なくとも1つの実施形態では、この平面は、サンプルが通過するセンサー管路に直角である。少なくとも1つの実施形態では、全ての検出器により同時に正確に同じサンプル容積が、測定されることができるように、すべてのセンサーが、前記管に直角であり、及び管に沿って同じ変位(displacement)に配置されるので、全ての検出器がセンサー管を通じて流れるサンプルの同じ「写真」を撮る。
【0057】
センサー(107)の下流及び上には角度付けされた管(109)がある。この角度付けされた管(109)は、より垂直に角度付けされたセンサー管路(110)よりも、水平な角度で延伸する経路に沿って延伸する管長の一部分を含む。このセンサー管路(110)の位置づけ及び形状、及び角度付けされた管路(109)は、比色計又は蛍光光度計センサー(106)から、気泡が上昇して去っていくことを促進する。少なくとも1つの実施形態では、センサー管路(110)は実質的に垂直である。少なくとも1つの実施形態では、角度付けされた管(109)の少なくとも一部分は実質的に水平である。少なくとも1つの実施形態では、図6に示されるように、角度付けされた管(109)の少なくとも一部分は、逆U字型である。少なくとも1つの実施形態では、ポンプが、サンプル流量が瞬間的に停止する、吸い込みストロークにあるときに読み出しが行われるように、センサー読み出しは、サンプルポンプと同期して行われる。このことは、いかなる気泡でも光学的経路の外を漂うことを可能にするので、真の光学的吸光度又は蛍光読み出しが取得できる。
【0058】
図7に図示されるように、少なくとも1つの実施形態では、前記装置(100)は2つ以上のセンサー(106a、106b)を含む。少なくとも1つの実施形態では、2つ以上のセンサーは、センサー管路(110)に対して平面状である。平面状センサーは、2つ以上のパラメータの同時測定を可能とする。少なくとも1つの実施形態では、前記装置(100)は、サーミスタ、RTD、熱電対などの温度センサーを含むことができるので、吸光度又は蛍光読み出しの温度補償が行われる。
【0059】
少なくとも1つの実施形態では、角度付けされた管(109)を通過した後、サンプルは、廃棄されるか、又はそれがそこから来た工業的流体に戻されるかのいずれかである。さまざまなセンサーが、サンプルの容積に無関係なパラメータ測定を行うため、前記装置は、継続的にサンプル液体を受け取るために構築され及び配置されており、及びそれは、サンプル容積の制御のために液体の注入を絶えず停止することなく連続的測定を提供できる。
【0060】
少なくとも1つの実施形態では、前記装置は、そのセンサーによる分析に先立ち、サンプル内に気体を拡散する機構を含む。気体の拡散は、それが除かれないと、センサーの分析を損なうか、阻むか、又はさもなければ、困難にする物質のサンプルからの除去を促進する。少なくとも1つの実施形態では、この気体の拡散は、有害な効果の除去の目的で、揮発性の物質を除去するか、又はその物質を期待と反応させるために、サンプルに空気、窒素、又は他の任意の気体を通気することで達成される。
【0061】
少なくとも1つの実施形態では、揮発性の望まれない物質の除去速度の増加、又は望まれない物質と反応させるために、硝酸などの酸、又はそれと過酸化水素などの酸化剤との組み合わせが、サンプルに加えられる。
【0062】
少なくとも1つの実施形態では、前記サンプルは、サンプルが分析される前に粗い粒子を除くためにフィルターを通過する。このフィルターは、10〜200μmの細孔径を有することができる。流量又は圧力センサーも、サンプルの分析器を通過する前進を追跡できる。少なくとも1つの実施形態では、分析器及び試薬化学物質と相溶性にするために、前記サンプルは、冷却器又は加熱器を通過する。少なくとも1つの実施形態では、前記分析器は分析器内の付着物を除去するために、洗浄試薬を含む。洗浄剤は、1つ以上の、エタノールアミン若しくはメトキシプロピルアミンなどの有機アミン、又は次亜塩素酸塩、若しくは過酸化水素などの酸化剤を含むことができる。洗浄剤は、3−ウエイバルブ、ポンプ、又は他の任意の適切な機構により分析器内に導入できる。
【0063】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つのパラメータが、米国特許第5,326,482号、5,324,665号、及び5,302,253号に開示される方法及び装置により測定される。少なくとも1つの実施形態では、前記分析器は、セラミック・ピストン本体、ソレノイド・ポンプ(蠕動ポンプの代用で)、非可動部乱流混合器(non−moving part turbulent flow mixer)(コイル化された管又は静的ミキサーの代用として)よりなるリストから選ばれる1項目を含む。少なくとも1つの実施形態では、漏れ検出器が存在する。この漏れ検出器は、マニホールド(又は前記装置の他の部分)中の圧力センサーか、又はマニホールドの下に配置された伝導度センサーであってよい。
【0064】
少なくとも1つの実施形態では、前記装置は、少なくとも1つの、米国特許第5,734,098号に開示されているような監視センサーを含む。少なくとも1つの実施形態では、前記装置は、温度、圧力、流速、及びサンプル重量を測定するための機器をさらに含む。少なくとも1つの実施形態では、センサー管路(110)の幅は、試薬とサンプルの混合を維持するために最適である。少なくとも1つの実施形態では、前記混合装置は、センサー読み出しが行われる位置と同じ位置で試薬をサンプルと混合するために構築され及び配置されている。
【0065】
前記装置は、寸法付けされることができ、及びそのさまざまな構成要素は、それが、全体の流体処理システムのモジュール式構成要素であることができるように、配置され及び構築される。このことは、他の部分又は全体システムの修正を必要とすることなく、処理システムのただ1つの成分の変更(取り付け、除去、整備、及び/又はアップグレード)を可能にする。少なくとも1つの実施形態では、少なくともいくつかのインターフェースはエラストマーのシールを含む。少なくとも1つの実施形態では、前記装置は、壁又はマウント上のあらかじめ準備された寸法に適合するように寸法付けされた固体板と係合している。少なくとも1つの実施形態では、前記分析器自体を含む、分析器マニホールド及び/又は筐体はそのように寸法付けされている。このことは、分析器が、当技術分野で理解されているような、「ターンキー」(turnkey)又は「ペグボード」(peg−board)装置として使用されることを可能にする。少なくとも1つの実施形態では、前記マニホールドは、米国標準規格(American National Standards)、ANSI/ISA−76.00.02−2002,ISA(2002)に記載される標準にしたがう表面取り付け流体分配部品(surface mount fluid distribution components)のための標準にしたがって構築される。少なくとも1つの実施形態では、1つ以上の装置の構成要素(又は装置全体)が、米国特許第7,178,556号に記載される1つ以上のモジュール式構成要素コネクタ基板組み立てシステムから構築され及び配置されている。
【0066】
少なくとも1つの実施形態では、サンプルがセンサーで分析される前に、サンプルの1つ以上の成分は、脱硫(sweetened)される。さまざまな硫黄に基づく化合物がさまざまな分析(及びとりわけ比色分析)を妨げる。少なくとも1つの実施形態では、HSをサンプルから除くために気体が液体内に拡散される。少なくとも1つの実施形態では、この拡散される気体は以下のものよりなるリストから選ばれる1つのものであり、それは空気、水素、窒素、ヘリウム及びそれらの任意の組み合わせである。
【0067】
少なくとも1つの実施形態では、塩化物分析に先立って、サンプル中の硫黄を含む物質を除去するために、サンプルがあらかじめ調整される。硫黄は分画中にしばしば硫化物又はチオ硫酸塩の形態で存在する。従来技術の方法は、硫黄酸化物を、水素イオンと反応させることによって亜硫酸水素塩、又は硫酸水素塩を生成させてスイートニングすることを教示しているが、チオ硫酸塩に関する教示は、過酸化水素との反応及び煮沸を必要とし、オンラインの分析器の文脈では、そのような煮沸反応は実用的ではない。硫黄及びとりわけチオ硫酸塩は、塩化物検出に用いられる銀を汚染し、イオン選択的電極を破壊するために、とりわけ有害である。加えて、硫化銀は不溶であり、及びさまざまな構成要素を塞ぐか詰まらせる。また、いくつかの硫化物は不揮発性であるので、気体の拡散のみではそれらを除去できない。前記BDDセルが、これらの不揮発性種の除去に用いられる。
【0068】
少なくとも1つの実施形態では、前記装置は、リアルタイムの分別分析を行うことができる。工業的プロセス流中では、蒸気の組成物が、システム内で生じるさまざまな変化により経時的に変化することは、極めて普通のことである。このことは、さまざまな配置を、異なる時間に通過する液体サンプルが異なる特性を有することを意味する。前記装置が、連続的分析を行えるために、それぞれの分画の特性は、それらが形成したときに連続的に決定できる。
【0069】
図8を参照するが、少なくとも1つの発明の実施形態に存在するいくつかの構成要素の模式的な表示が示されている。前記装置は、サンプルがそこを通過する遮断(shutoff)バルブを含む。温度計は温度を測定し、及び粗いフィルターが、大きな粒子物体を除去する。安全弁及び圧力センサーは、比色分析のセンサーの上流又は下流に存在する。流量及び濁度も適切な装置により測定される。第二の微細フィルターが、比色分析の前にさらにサンプルを浄化する。少なくとも1つのセンサーが、pH、鉄、及び塩化物のそれぞれを測定するために用いられる。それぞれのセンサーが、試薬源、試薬ポンプ、及び混合チャンバーに対応する。BDDセルは、比色分析のセンサーの上流、下流又はその両方に存在できる。較正溶液を注入するためのポートが提供される。少なくとも1つの実施形態では、前記サンプルは、粗い及び微細なフィルターに加えてか、又はそれらの代わりに、タンジェンシャル(tangential)フィルターを通してろ過できる。少なくとも1つの実施形態では、前記装置は、2つの主な、区別できる化学物質を分離するために(例えば1つの区間に気体が拡散されて、他にはされない場合など)2つの区間に分割されている。
【0070】
少なくとも1つの実施形態では、前記装置はBDDセルを含む。気体拡散除去及び化学脱硫に抵抗性である、いくつかのサンプル成分は、その代わりにBDDセルで対処することができる。例えばスルホキシ化合物は、比色分析を妨害し、及び気体拡散による除去又は化学的な脱硫が困難である。BDDセルは、しかしながらスルホキシ化合物を酸化し、例えばチオ硫酸塩を硫酸塩に参加して、及びそれによりスルホキシ化合物がそうでないと引き起こす問題を無効化する。少なくとも1つの実施形態では、BDDは、工業的プロセス流からそれが取り除かれたときに、サンプル温度に無関係に、サンプル内に均一の温度も与える。少なくとも1つの実施形態では、サンプル温度は、1つ以上の分析が行われるために最適の温度に維持される。
【0071】
BDD電極セルは、それらが、水を分解することなく大きな電圧を与え、低いキャパシタンスのバックグラウンドを有し、ブート水サンプルの苛烈な性質に対して、高度に抵抗性であり、化学的に不活性であり、及びサンプル構成要素を吸収する蛍光がないために、本発明においては、とりわけ有用である。BDD電極セルは、気体生成に対して高い過電圧を有し、それにより非常に高く、及び非常に効果的な硫黄を含む化合物の酸化、及びヒドロキシル遊離基の生成に使用できる電圧を可能にする。
【0072】
少なくとも1つの実施形態では、前記BDD電極セルは陰極であり、及び陽極は不活性導電体である。この陽極は以下のものよりなるリストから選ばれるか、及び/又はそれと同様のものであり、それは炭素、ガラス状炭素、プラチナ、ステンレス鋼、ハステロイ及びそれらの任意の組み合わせである。少なくとも1つの実施形態では、前記BDD電極セルは、5〜100mlの内容積を持つ内腔の内部にある。少なくとも1つの実施形態では、前記装置は、陽極メッシュに取り囲まれたBDD電極を有するモジュールを含む。少なくとも1つの実施形態では、その伝導性を増加させ及び酸化を増強するために、硝酸がサンプルに加えられる。少なくとも1つの実施形態では、前記BDD電極モジュールは廃棄物除去及び気体の通気のための頂部孔を含む。
【0073】
少なくとも1つの実施形態では、前記BDD電極セルはヒドロキシ遊離基、オゾン、二酸化炭素、及び次亜塩素酸塩を含むさまざまな生成物を生成するために用いられる。少なくとも1つの実施形態では、前記BDD生成物は前記装置の部分の少なくとも1つの中の生物学的汚染物質を破壊するために用いられる。
【0074】
少なくとも1つの実施形態では、前記装置は、米国特許出願第12/263904号に記載されているような制御システムに情報を提供する。少なくとも1つの実施形態では、測定されたパラメータの読み出しは制御システムと適合して、及び以下のものをもたらす:より多く添加する、より少ない添加、又は完全に添加を中止する:酸、塩基、苛性物、腐食阻害剤、中和剤、薄膜阻害剤、水、及びそれらの任意の組み合わせ。少なくとも1つの実施形態では、サンプルブート水から導出される。
【0075】
少なくとも1つの実施形態では、前記装置は、ブート水サンプル以外の異なる液体サンプルの特性を測定するために用いられる。
【0076】
少なくとも1つの実施形態では、サンプル中の鉄のレベルが以下のように測定される。不溶の鉄が可溶化され及び複合体を形成するように吸光度が読み取られる前に前記試薬及び液体サンプルを一定時間反応する。少なくとも1つの実施形態では、時間間隔は少なくとも2分である。基準として、最初の4つのブランク・サンプル点が読み取られ、及び管付着物の最終的吸光度の補正のためのベースラインの読み出しとして保存される。試薬の注入後に、比色計の光学的経路の中にサンプルのピークを入れるために、反応したサンプルは一定量の時間、7秒間、ポンプ移送される。2分後に、多数の読み出しが取られ(20)などの及びその結果が平均される。
【0077】
それぞれの波長に対して、純粋なサンプルのブランク読み出しが、2分後に測定されたものから差し引かれる。次いで、補正された690nmでの吸光度が、560nmのものから差し引かれる。結果として得られる値が、単純な較正式である、[Fe]=kxAbs、式中Absは最終補正吸光度、に代入される。690nmをブランクとするステップの利点は、サンプルに対する濁度が加えられた結果を示す図9を参照することにより理解されるであろう。この補正は、補正のない場合に対して改善である。他の利点は、懸濁物質の可溶化などの緩衝剤により引き起こされる吸光度における変化に対する補正である。
【0078】
少なくとも1つの実施形態では、塩化物は以下のように測定される:酸溶液中のルシゲニン蛍光が、Cl及びHSなどのアニオンにより消光される。それは、KSV=390M−1を有する塩化物に対する最も敏感な指示薬である。塩化物に対する線形応答がF/F−1により得られる、式中Fは、塩化物がない場合の蛍光強度であり、及びFは測定された塩化物を含むサンプルの蛍光強度である。2点較正の間で、応答の勾配が決定される。分析手順に対して、サンプルが酸性化され、及び次いで妨害するHSを気体の液体内拡散により除去する。次いで、ルシゲニンが加えられ、及び混合されたサンプルが蛍光光度計を通じて流れる。最初の4つのブランク・サンプル点がベースラインの吸光度及び蛍光として読み出される。混合サンプルが蛍光光度計を流れるときに、全てのチャンネルに対するデータ配列が採取される。図5は、0ppm及び150ppm塩化物に対する応答のプロットを示す。1つの蛍光曲線が、150ppmプロットの2の因子により消光されているのが見られる。ルシゲニンに対する透過率の曲線は、蛍光曲線がピークになるところでピークを示し、及び塩化物が計算されるのはこのポイントである。比率が試薬濃度を補正するために他のポイントも使用できる。補正されたピーク吸光度は、ベースライン吸光度をピークから差し引くことにより計算される。同様に、補正された蛍光はベースライン蛍光をピークから差し引くことにより見出される。サンプル中の塩化物濃度を得るために、2つの補正された値の比率が較正式において用いられる。
【0079】
少なくとも1つの実施形態では、塩化物は以下のように測定される:硝酸銀などの試薬がサンプルに加えられ、及びベースライン吸光度の値が得られる。このサンプルは、濁度が形成されるために、約6〜8秒流れているときに読み取られる。図10は、サンプルが装置を流れるときの濁度及び透過率の応答を示す。塩化物濃度に応じて、極めて異なる曲線が見られる。ダブレット(2重線)の形成は、ピークの倍数が濃度によって変動する10ppmより高濃度で起きる。この効果は、ピークが溶出する時間が未知のために静的なサンプル方法の使用を可能にしない(一実施形態は、ピーク位置が塩化物濃度により変動するために、特定された時間の後ではなく、流れるサンプルのピークで濁度が測定される)。最良の結果は、第二の透過率ピークが用いられるときに得られた。ベースライン補正が、塩化物濃度が導出されたピーク吸光度に適用された。図11に見られるように、応答は非線形であり、及び次数2の多項式がデータに適合した。標準式を用いて、Absに対する補正及びAbs項が3点較正の間で計算された。随意に、低い塩化物濃度では、応答がほぼ線形であるのでAbs項のみが使用できる。
【0080】
本発明は、多くの異なる形態において実施可能であるが、その詳細は、本発明の具体的な好適な実施形態において、図面に示されかつ記載されている。本開示は本発明の原理の例示であり、本発明を説明された特定の実施形態に限定することを意図するものではない。本明細書において言及された、任意の及び全ての特許、特許出願、科学的文献、及び他の参考文献は、参照によりその全体が本願に組み込まれる。更に、本発明は、本願に記載され及び組み込まれた、さまざまな実施形態のいくつか、又は全ての、可能な任意の組み合わせを包含する。
【0081】
上記に開示されたものは、説明的であることを意図しており、網羅的なものを意図していない。この記載は当業者に多くの変形及び代替物を示唆するであろう。全てのこれらの代替物及び変形も、「comprising」が「including、but not limited to〜:含むが、〜に制限されない」を意味する、請求範囲に含まれることが意図される。当業者は、特定の実施形態に対して他の等価物を認識し得るであろうが、それらもまた請求範囲に包含されることが意図される。
【0082】
本明細書において開示される全ての範囲及びパラメータは、任意及び全ての部分的範囲、その中に部分的に集計されるもの、及び終点までの全ての数字を包含するものと理解される。例えば、「1〜10」の範囲とは、最小値である1から、最大値である10までの間の(1及び10を含む)、任意及び全ての部分的範囲、即ち、最小値である1又はより大きな値から始まり(例えば1〜6.1など)、最大値である10又はそれ未満の値で終了する(例えば、2.3〜9.4、3〜8、4〜7など)、そして最終的には、その範囲内に含まれる、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10の各数を含むものと考慮されるべきである。
【0083】
このことは、本発明の好適な、及び変更された実施形態の記述を完成する。当業者は、本明細書に記載された具体的な実施形態の等価物を認識するであろうが、そのような等価物も本明細書に添付された特許請求の範囲に包含されることが意図される。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図11