(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記左,右のサイドフレーム(25,29)に設けられる前記前,後の脚取付部材(33,36)は、前記左,右のサイドフレーム(25,29)の内面板(26A,30A)から前記センタフレーム(12)に向けて張出して前記前,後のフランジ(21,22)がそれぞれ載置される取付板(34,37)と、該取付板(34,37)を補強するために該取付板(34,37)の下面と前記左,右のサイドフレーム(25,29)の内面板(26A,30A)とに対して固着された補強板(35,38)とにより構成してなる請求項1に記載の建設機械のトラックフレーム。
前記前,後の脚取付部材(33,36)は、前記取付板(34,37)を水平方向に延びる平板により構成すると共に、前記補強板(35,38)を前記取付板(34,37)の下面に直交するように上,下方向に配置された平板により構成し、
前記取付板(34,37)と補強板(35,38)は、T字状をなして接続する構成としてなる請求項2に記載の建設機械のトラックフレーム。
前記センタフレーム(12)の左,右の前脚(12B,12C)の各前フランジ(21)に設けられた前記前ボルト挿通孔(23)は、前記下前脚部(15B,15C)の前,後位置にそれぞれ配置されると共に、前記センタフレーム(12)の左,右の後脚(12D,12E)の各後フランジ(22)に設けられた前記後ボルト挿通孔(24)は、前記下後脚部(15D,15E)の前,後位置にそれぞれ配置され、
前記左,右のサイドフレーム(25,29)の前脚取付部材(33)に設けられた前記雌ボルト孔(39)は、前記前ボルト挿通孔(23)に対向して該前脚取付部材(33)の前,後位置にそれぞれ配置されると共に、前記左,右のサイドフレーム(25,29)の後脚取付部材(36)に設けられた前記雌ボルト孔(39)は、前記後ボルト挿通孔(24)に対向して該後脚取付部材(36)の前,後位置にそれぞれ配置される構成としてなる請求項1に記載の建設機械のトラックフレーム。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、履帯を備えた自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。油圧ショベルは、作業現場等の不整地を走行し、作業装置を用いて土砂の掘削作業等を行うものである。
【0003】
この場合、油圧ショベルの下部走行体は、通常、センタフレームの左,右両側に前,後方向に延びるサイドフレームを有したトラックフレームと、前記サイドフレームの前,後方向の一端側に設けられた遊動輪と、サイドフレームの前,後方向の他端側に設けられた駆動輪とにより大略構成されている。これら遊動輪と駆動輪との間には、履帯が巻回されるものである。
【0004】
トラックフレームのセンタフレームは、左,右方向の両側に延びる前脚と後脚を有し、左,右のサイドフレームは、センタフレームの左,右両側に位置してそれぞれ前,後方向に延びて形成され前記前脚と後脚の先端にそれぞれ取付けられている。
【0005】
ここで、油圧ショベルのうち、大型の油圧ショベルには、その外形寸法が法規で定められた道路を通行可能な幅寸法、高さ寸法を越えてしまうものがある。このため、油圧ショベルを作業現場に輸送する場合には、通常、下部走行体と上部旋回体と作業装置とに分割して個別に輸送し、これらを作業現場で組立てるようにしている。さらに、鉱山での露天掘り等に用いられる超大型の油圧ショベルでは、下部走行体だけでも道路を通行可能な寸法を越えてしまうから、この下部走行体を、センタフレームと、サイドフレームに遊動輪、駆動輪、履帯を組付けた左,右のサイドフレーム組立体とに3分割している。このように3分割されたセンタフレームと左,右のサイドフレーム組立体とは、それぞれ別の輸送車両に積載して作業現場に運んだ後、作業現場において組立てられる。
【0006】
従って、下部走行体を構成するトラックフレームは、センタフレームの前脚と後脚に対して左,右のサイドフレームを取付け、取外し可能に取付ける構成としている。この場合、センタフレームの前脚と後脚は、その先端側の端面が中空な四角形状に形成され、前脚と後脚の先端側には、四角形状の端面よりも外側に張出した張出し部を有する取付フランジがそれぞれ設けられている。一方、左,右のサイドフレームは、センタフレーム側に位置し取付フランジが当接する内面板と、該内面板と間隔をもって対面して配置された外面板と、前記内面板の上端と前記外面板の上端とを接続する上面板とにより構成されている。
【0007】
サイドフレームの内面板には、前記前脚と後脚の取付フランジの張出し部に対応する位置に雌ねじが複数個設けられ、取付フランジの張出し部には、前記各雌ねじに対応する位置にそれぞれボルト挿通孔が設けられている。前記前脚と後脚の先端側には、複数のボルト挿通孔が形成されたブラケットが設けられ、サイドフレームの上面板には、ブラケットの各ボルト挿通孔に対応する位置に複数の雌ねじが設けられている。センタフレームの前脚と後脚に対して各サイドフレームを取付ける場合には、ボルトを前脚と後脚の取付フランジの各ボルト挿通孔に左,右方向の内側から挿通し、その先端側をサイドフレームの内面板の雌ねじに螺着する。さらに、ボルトを前脚と後脚のブラケットの各ボルト挿通孔に上側から挿通し、その先端側をサイドフレームの上面板の雌ねじに螺着する(特許文献1)。
【発明の概要】
【0009】
ところで、油圧ショベルが走行する作業現場には、岩石等が転がっているから、走行時に岩石を跨いで避けたときに、トラックフレームに岩石が衝突することがある。この場合、センタフレームの前脚と後脚にサイドフレームを締結しているボルトの頭部は、サイドフレームの内側に突出しているから、跨いだ岩石がボルトに衝突することにより、このボルトが損傷(折損、曲がり等)する虞がある。このようにボルトが曲がった状態ではサイドフレームの取外し作業に手間を要してしまう。
【0010】
一方、サイドフレームの上面板は、平面構造であることから土砂が堆積し易い構造となっており、土砂が堆積すると、この土砂が履帯を案内する上ローラに干渉することにより、上ローラの動作不良や早期摩耗が生じる虞がある。さらに、堆積した土砂が圧縮、凍結により凝固した場合には、この土砂をサイドフレームの上面板から掻き落す際に多大な労力を要するという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、センタフレームの前脚,後脚とサイドフレームとを締結するボルトの損傷を防止することができる建設機械のトラックフレームを提供することにある。
【0012】
本発明による建設機械のトラックフレームは、中央部に支持筒体が設けられ左,右方向の両側に前脚と後脚とを有するセンタフレームと、該センタフレームの左,右両側に位置してそれぞれ前,後方向に延びて形成され前記前脚と後脚の先端にそれぞれ取付けられた左,右のサイドフレームとからなり、前記センタフレームは、上面側に前記支持筒体が設けられると共に左,右方向の両側に上前脚部と上後脚部とが設けられた上板と、該上板と上,下方向で対面して配置され左,右方向の両側に下前脚部と下後脚部とが設けられた下板と、前記上板と前記下板との間の前側位置を閉塞する前板と、前記上板と前記下板との間の後側位置を閉塞する後板と、前記上板と前記下板との間の左,右の側方位置をそれぞれ閉塞する左,右の側板とにより構成し、前記左,右のサイドフレームは、前記センタフレーム側に位置する内面板と、該内面板と離間した状態で対面して配置された外面板と、前記内面板の上端と前記外面板の上端とを接続する上面板とにより構成してなる。
【0013】
上述した課題を解決するために、
請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記センタフレームを構成する前記下前脚部には、該下前脚部から前,後方向に張出す前フランジを設けると共に、前記下後脚部には、該下後脚部から前,後方向に張出す後フランジを設け、前記前フランジには、上,下方向に貫通する前ボルト挿通孔を設けると共に、前記後フランジには、上,下方向に貫通する後ボルト挿通孔を設け、前記左,右のサイドフレームを構成する内面板には、前記センタフレームに向けて張出し前記前フランジに取付けられる前脚取付部材と前記後フランジに取付けられる後脚取付部材とをそれぞれ設け、前記前脚取付部材と後脚取付部材には、前記ボルト挿通孔と対応する位置に雌ボルト孔をそれぞれ設け、前記センタフレームの前記前,後のフランジを前記左,右のサイドフレームの前記前,後の脚取付部材上にそれぞれ載置した状態で前記ボルト挿通孔と前記雌ボルト孔とにボルトを挿通することにより、前記左,右のサイドフレームを前記センタフレームに取付ける構成とし
、前記左,右のサイドフレームは、前,後方向の一端側に設けられた遊動輪と他端側に設けられた駆動輪とを有し、前記左,右のサイドフレームの上面板には、前記遊動輪と駆動輪との間に位置して複数の上ローラ装置を間隔をもって設け、前記各上ローラ装置の間には、前記左,右のサイドフレームを構成する前記内面板から外面板に向けて斜め下向きに傾斜する傾斜カバーを設ける構成としたことにある。
【0014】
この構成によれば、センタフレームの前脚と後脚にそれぞれ設けられたフランジとサイドフレームの内面板に設けられた前,後の脚取付部材とを、上,下方向に挿通したボルトで取付けているので、ボルトの頭部は、各フランジの上面に位置させることができる。従って、建設機械の走行時に岩石がボルトの頭部に接触するのを抑え、ボルトの損傷、曲がり等を防止することができる。これにより、例えば、センタフレームの前脚と後脚からサイドフレームを取外すときにボルトを容易に抜き取ることができ、サイドフレームの取外し作業を効率よく行うことができる。
また、傾斜カバーに沿って土砂を排出することができる。これにより、左,右のサイドフレームの上面板に土砂が堆積するのを抑制し、この土砂が上ローラ装置に干渉するのを抑えることができる。この結果、上ローラ装置を長期に亘って円滑に作動させることができる。しかも、サイドフレームの上面板に土砂が堆積することを抑制できるので、多大な時間や労力を費やして土砂を洗浄する必要がなく、洗浄作業の作業性を高めることができる。
【0015】
さらに、左,右のサイドフレームの内面板のみに前,後の脚取付部材を設けているので、これらの脚取付部材を可能な限り上方に取付けることができる。これにより、センタフレームの前脚と後脚を前,後の脚取付部材にそれぞれ取付けた状態で、地面からセンタフレームの下面までの高さ寸法を高く設定することができる。このため、建設機械の走行時に岩石がセンタフレームの下面に接触するのを防止することができ、建設機械の走行安定性を高めることができる。
【0016】
請求項2の発明によると、前記左,右のサイドフレームに設けられる前記前,後の脚取付部材は、前記左,右のサイドフレームの内面板から前記センタフレームに向けて張出して前記前,後のフランジがそれぞれ載置される取付板と、該取付板を補強するために該取付板の下面と前記左,右のサイドフレームの内面板とに対して固着された補強板とにより構成したことにある。
【0017】
この構成によれば、各脚取付部材の強度を高めることができる。従って、センタフレームと左,右のサイドフレームとを強固に取付けることができ、建設機械の信頼性を高めることができる。
【0018】
請求項3の発明によると、前記前,後の脚取付部材は、前記取付板を水平方向に延びる平板により構成すると共に、前記補強板を前記取付板の下面に直交するように上,下方向に配置された平板により構成し、前記取付板と補強板は、T字状をなして接続する構成としたことにある。
【0019】
この構成によれば、水平方向に延びる取付板にフランジを安定して載置することができる。これと共に、取付板と補強板との接続強度を確保することができ、各脚取付部材の支持強度を向上することができる。
【0020】
請求項4の発明によると、前記センタフレームの左,右の前脚の各前フランジに設けられた前記前ボルト挿通孔は、前記下前脚部の前,後位置にそれぞれ配置されると共に、前記センタフレームの左,右の後脚の各後フランジに設けられた前記後ボルト挿通孔は、前記下後脚部の前,後位置にそれぞれ配置され、前記左,右のサイドフレームの前脚取付部材に設けられた前記雌ボルト孔は、前記前ボルト挿通孔に対向して該前脚取付部材の前,後位置にそれぞれ配置されると共に、前記左,右のサイドフレームの後脚取付部材に設けられた前記雌ボルト孔は、前記後ボルト挿通孔に対向して該後脚取付部材の前,後位置にそれぞれ配置される構成としたことにある。
【0021】
この構成によれば、センタフレームの左,右の前脚の各前フランジを左,右のサイドフレームの前脚取付部材にボルトを用いて安定して取付けることができ、センタフレームの左,右の後脚の各後フランジを左,右のサイドフレームの後脚取付部材にボルトを用いて安定して取付けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態による建設機械のトラックフレームを、超大型の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。なお、下部走行体の前側と後側は、上部旋回体の旋回位置によって変わるが、実施の形態では、遊動輪が設けられる側をトラックフレームの前側とし、駆動輪が設けられる側をトラックフレームの後側として説明するものとする。
【0026】
図1ないし
図8は、本発明
の前提となる参考例に係る建設機械のトラックフレー
ムを示している。
【0027】
図1において、1は建設機械の代表例である油圧ショベルを示し、該油圧ショベル1は、超大型の油圧ショベルとして構成されている。油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置5とにより大略構成されている。
【0028】
クローラ式の下部走行体2は、岩石等が転がり、凹凸も多い不整地等を走行するためのものである。
図2および
図3に示すように、下部走行体2は、後述のトラックフレーム11と、後述する左,右のサイドフレーム25,29の前端側に設けられた遊動輪6と、後端側に設けられた駆動輪7と、左,右のサイドフレーム25,29に設けられた複数の上ローラ装置8および下ローラ装置9と、これら遊動輪6と駆動輪7とに巻回して設けられ、上ローラ装置8および下ローラ装置9に案内される履帯10とにより大略構成されている。
【0029】
次に、本発明
の参考例の特徴部分となる油圧ショベル1のトラックフレーム11の構成について、
図2ないし
図8を参照しつつ述べる。
【0030】
11は下部走行体2の支持構造体を形成するトラックフレームを示している。このトラックフレーム11は、後述するセンタフレーム12と、左サイドフレーム25と、右サイドフレーム29とにより構成されている。
【0031】
12はトラックフレーム11の中央部を形成するセンタフレームを示している。該センタフレーム12は、中央に位置するセンタフレーム本体12Aと、該センタフレーム本体12Aの前側で左,右方向の外側に延びる左前脚12B,右前脚12Cと、センタフレーム本体12Aの後側で左,右方向の外側に延びる左後脚12D,右後脚12Eとからなる全体として略H型状として構成されている。
図4に示すように、センタフレーム12は、後述する上板13と、下板15と、前板17と、後板18と左側板19と、右側板20とを溶接することにより製缶構造体として形成されている。
【0032】
上板13は、センタフレーム12の上方を閉塞するもので、該上板13は、鋼板等により全体として略H型の平板状に形成されている。上板13の上面側には、円筒状の支持筒体14が設けられている。具体的には、上板13は、中央部分を形成する略長方形状の上中央板部13Aと、該上中央板部13Aの前部側から左,右方向の両側にそれぞれ張出す略長方形状の左上前脚部13Bおよび右上前脚部13Cと、上中央板部13Aの後部側から左,右方向の両側にそれぞれ張出す略長方形状の左上後脚部13Dおよび右上後脚部13Eとにより構成されている。従って、上板13は、全体として略H型状の板体として形成されている。上中央板部13Aの上面側には、厚肉な円筒体からなる支持筒体14が設けられている。ここで、支持筒体14上には、旋回装置3が設けられているので、該支持筒体14は、上部旋回体4を旋回可能に支持するものである。
【0033】
下板15は、上板13と上,下方向で対面して配置されるもので、該下板15は、上板13と同様な略H型の平板状に形成されている。下板15の上面側には、円筒状中板16が設けられている。具体的には、下板15は、中央部分を形成する略長方形状の下中央板部15Aと、該下中央板部15Aの前部側から左,右方向の両側にそれぞれ張出す略長方形状の左下前脚部15Bおよび右下前脚部15Cと、下中央板部15Aの後部側から左,右方向の両側にそれぞれ張出す略長方形状の左下後脚部15Dおよび右下後脚部15Eとにより構成されている。従って、下板15は、全体として上板13とほぼ同様なH型状の板体として形成されている。
【0034】
一方、下中央板部15Aの中央部には大径孔15Fが形成されている。下中央板部15Aの上面側には、大径孔15Fを取囲む円筒状の円筒状中板16が設けられている。この円筒状中板16は、上板13に取付けられた支持筒体14を下側から支持するものである。左,右の下前脚部15B,15Cの前側と後側には、後述する左,右の前フランジ21A,21Bがそれぞれ一体に設けられている。左,右の下後脚部15D,15Eの前側と後側には、左,右の後フランジ22A,22Bがそれぞれ一体に設けられている。
【0035】
前板17は、上板13と下板15との間の前側位置を閉塞した状態で接続するものである。
図4に示すように、該前板17は、左,右方向に延びる矩形状の2枚の板体からなり、該前板17は、左前板17Aと右前板17Bとで構成されている。左前板17Aと右前板17Bとは、互いの対向部位を円筒状中板16の外周面16Aに溶接し、上端部を上板13に溶接し、下端部を下板15に溶接する。これにより、前板17は、上板13と下板15との間に狭着されるものである。
【0036】
後板18は、上板13と下板15との間の後側位置を閉塞した状態で接続するものである。
図4に示すように、該後板18は、左,右方向に延びる矩形状の2枚の板体からなり、該後板18は、左後板18Aと右後板18Bとで構成されている。左後板18Aと右後板18Bとは、前板17と円筒状中板16を挟んで対面し、互いの対向部位を円筒状中板16の外周面16Aに溶接し、上端部を上板13に溶接し、下端部を下板15に溶接する。これにより、後板18は、上板13と下板15との間に狭着されるものである。
【0037】
左側板19は、上板13と下板15との間の左側方位置を閉塞した状態で接続するもので、該左側板19は、矩形状をなす4枚の板体からなっている。即ち、左側板19は、上板13の左上前脚部13Bと下板15の左下前脚部15Bに溶接された左前側板19Aと、左前板17Aと前,後方向で対面し、左上前脚部13Bと左下前脚部15Bと円筒状中板16とに溶接された左前中側板19Bと、上板13の左上後脚部13Dと下板15の左下後脚部15Dに溶接された左後側板19Cと、左後板18Aと前,後方向で対面し、左上後脚部13Dと左下後脚部15Dと円筒状中板16とに溶接された左後中側板19Dとにより構成されている。
【0038】
右側板20は、上板13と下板15との間の右側方位置を閉塞した状態で接続するもので、該右側板20は、矩形状をなす4枚の板体からなっている。即ち、右側板20は、上板13の右上前脚部13Cと下板15の右下前脚部15Cに溶接された右前側板20Aと、右前板17Bと前,後方向で対面し、右上前脚部13Cと右下前脚部15Cと円筒状中板16とに溶接された右前中側板20Bと、上板13の右上後脚部13Eと下板15の右下後脚部15Eに溶接された右後側板20Cと、右後板18Bと前,後方向で対面し、右上後脚部13Eと右下後脚部15Eと円筒状中板16とに溶接された右後中側板20Dとにより構成されている。
【0039】
つまり、センタフレーム12は、円筒状中板16を中心として前板17と後板18と左側板19と右側板20とによって四辺が閉塞されている。
図3ないし
図5に示すように、センタフレーム12を組立てた状態では、後述する前フランジ21の左前フランジ21Aは、前板17の左前板17Aよりも前側と、左側板19の左前中側板19Bよりも後側とにそれぞれ張出すように形成されている。同様に、前フランジ21の右前フランジ21Bは、前板17の右前板17Bよりも前側と、右側板20の右前中側板20Bよりも後側とにそれぞれ張出すように形成されている。後フランジ22の左後フランジ22Aは、後板18の左後板18Aよりも後側と、左側板19の左後中側板19Dよりも前側とにそれぞれ張出すように形成されている。同様に、後フランジ22の右後フランジ22Bは、後板18の右後板18Bよりも後側と、右側板20の右後中側板20Dよりも前側とにそれぞれ張出すように形成されている。
【0040】
21A,21Bは下板15の左,右の下前脚部15B,15Cからそれぞれ前,後方向に張出す左前フランジ,右前フランジを示している(以下、左前フランジ21Aおよび右前フランジ21Bは、合せて前フランジ21という)。前フランジ21は、左下前脚部15Bの前側および後側からそれぞれ張出す2ヶ所の左前フランジ21Aと、右下前脚部15Cの前側および後側からそれぞれ張出す2ヶ所の右前フランジ21Bとにより、合計4ヶ所に配置されている。左前フランジ21Aは、後述する左サイドフレーム25の左前脚取付部材33Aに取付けられ、右前フランジ21Bは、右サイドフレーム29の右前脚取付部材33Bに取付けられるものである。
【0041】
22A,22Bは下板15の左,右の下後脚部15D,15Eからそれぞれ前,後方向に張出す左後フランジ,右後フランジを示している(以下、左後フランジ22Aおよび右後フランジ22Bは、合せて後フランジ22という)。後フランジ22は、左下後脚部15Dの前側および後側からそれぞれ張出す2ヶ所の左後フランジ22Aと、右下後脚部15Eの前側および後側からそれぞれ張出す2ヶ所の右後フランジ22Bとにより、合計4ヶ所に配置されている。左後フランジ22Aは、後述する左サイドフレーム25の左後脚取付部材36Aに取付けられ、右後フランジ22Bは、右サイドフレーム29の右後脚取付部材36Bに取付けられるものである。
【0042】
23A,23Bは下板15の左,右の前フランジ21A,21Bにそれぞれ設けられた左,右の前ボルト挿通孔を示している(以下、左前ボルト挿通孔23Aおよび右前ボルト挿通孔23Bは、合せて前ボルト挿通孔23という)。ここで、前ボルト挿通孔23は、前フランジ21に、上,下方向(板厚方向)に貫通して設けられている。即ち、左前ボルト挿通孔23Aは、左下前脚部15Bから前側に張出す前側の左前フランジ21Aに4ヶ所設けられ、左下前脚部15Bから後側に張出す後側の左前フランジ21Aにも4ヶ所設けられている。一方、右前ボルト挿通孔23Bは、右下前脚部15Cから前側に張出す前側の右前フランジ21Bに4ヶ所設けられ、右下前脚部15Cから後側に張出す後側の右前フランジ21Bにも4ヶ所設けられている。
【0043】
24A,24Bは下板15の左,右の後フランジ22A,22Bにそれぞれ設けられた左,右の後ボルト挿通孔を示している(以下、左後ボルト挿通孔24Aおよび右後ボルト挿通孔24Bは、合せて後ボルト挿通孔24という)。ここで、後ボルト挿通孔24は、後フランジ22に、上,下方向(板厚方向)に貫通して設けられている。即ち、左後ボルト挿通孔24Aは、左下後脚部15Dから前側に張出す前側の左後フランジ22Aに4ヶ所設けられ、左下後脚部15Dから後側に張出す後側の左後フランジ22Aにも4ヶ所設けられている。一方、右後ボルト挿通孔24Bは、右下後脚部15Eから前側に張出す前側の右後フランジ22Bに4ヶ所設けられ、右下後脚部15Eから後側に張出す後側の右後フランジ22Bにも4ヶ所設けられている。
【0044】
25はセンタフレーム12の左側に配設された左サイドフレームを示している。該左サイドフレーム25は、前,後方向に延びて形成され、左前脚12Bと左後脚12Dの先端に取付けられている。この左サイドフレーム25は、後述のサイドフレーム本体26、遊動輪ブラケット27、駆動輪ブラケット28により大略構成されている。
【0045】
サイドフレーム本体26は、左サイドフレーム25のベースとなるものである。該サイドフレーム本体26は、センタフレーム12側に位置する内面板26Aと、該内面板26Aと離間した状態で対面して配置された外面板26Bと、内面板26Aの上端と外面板26Bの上端とを接続する平坦な上面板26Cとから構成されている。これにより、サイドフレーム本体26は、横断面が逆U字状をなし、各面板26A,26Bの下側には、それぞれ底板26Dが設けられている。
【0046】
上面板26Cには、遊動輪6と駆動輪7との間に位置して履帯10を案内する複数(3個)の上ローラ装置8が、前,後方向に間隔をもって設けられている。該上ローラ装置8は、平坦面となった上面板26C上に配置された左,右一対のローラ取付部8Aと、該一対のローラ取付部8A間に回転可能に取付けられたローラ8Bとにより構成されている。
【0047】
遊動輪ブラケット27は、サイドフレーム本体26の前側に設けられている。
図3に示すように、該遊動輪ブラケット27には、遊動輪6がヨーク(図示せず)等を介して前,後方向に移動可能に取付けられている。一方、駆動輪ブラケット28は、サイドフレーム本体26の後側に設けられている。該駆動輪ブラケット28には、履帯10を駆動する駆動輪7が取付けられている。
【0048】
29はセンタフレーム12の右側に配設された右サイドフレームを示している。該右サイドフレーム29は、前,後方向に延びて形成され、右前脚12Cと右後脚12Eの先端に取付けられている。この右サイドフレーム29は、前述した左サイドフレーム25と左,右方向で対称形状となっており、左サイドフレーム25と同様にサイドフレーム本体30、遊動輪ブラケット31、駆動輪ブラケット32により大略構成されている。
【0049】
サイドフレーム本体30は、右サイドフレーム29のベースとなるものである。該サイドフレーム本体30は、センタフレーム12側に位置する内面板30Aと、該内面板30Aと離間した状態で対面して配置された外面板30Bと、内面板30Aの上端と外面板30Bの上端とを接続する平坦な上面板30Cとから構成されている。これにより、サイドフレーム本体30は、横断面が逆U字状をなし、各面板30A,30Bの下側には、それぞれ底板(図示せず)が設けられている。
【0050】
上面板30Cには、遊動輪6と駆動輪7との間で履帯10を案内する複数(3個)の上ローラ装置8が前,後方向に間隔をもって設けられている。該上ローラ装置8は、平坦面となった上面板30C上に配置された左,右一対のローラ取付部8Aと、該一対のローラ取付部8A間に回転可能に取付けられたローラ8Bとにより構成されている。
【0051】
遊動輪ブラケット31は、サイドフレーム本体30の前側に設けられている。
図3に示すように、該遊動輪ブラケット31には、遊動輪6が、ヨーク(図示せず)等を介して前,後方向に移動可能に取付けられている。一方、駆動輪ブラケット32は、サイドフレーム本体30の後側に設けられている。該駆動輪ブラケット32には、履帯10を駆動する駆動輪7が取付けられている。
【0052】
次に、左,右のサイドフレーム25,29にそれぞれ設けられた前,後の脚取付部材33,36について説明する。
【0053】
33A,33Bは左サイドフレーム25の内面板26Aと右サイドフレーム29の内面板30Aとにそれぞれ設けられた左,右の前脚取付部材を示している(以下、左前脚取付部材33Aおよび右前脚取付部材33Bは、合せて前脚取付部材33という)。ここで、左サイドフレーム25に設けられた左前脚取付部材33Aと右サイドフレーム29に設けられた右前脚取付部材33Bとは同一の構成を有しているので、以下、左サイドフレーム25に設けられた左前脚取付部材33Aについて説明する。
【0054】
左前脚取付部材33Aは、左サイドフレーム25を構成するサイドフレーム本体26の内面板26Aの前側(遊動輪ブラケット27側)に配置され、センタフレーム12に向けて水平方向に張出している。左前脚取付部材33Aは、取付板34と補強板35とをT字状をなして接続(溶接接合)することにより構成されている。
【0055】
即ち、取付板34は、鋼板等を用いて前,後方向に水平に延びる矩形状の平板からなり、基端側がサイドフレーム本体26の内面板26Aに溶接されると共に先端側がセンタフレーム12の左前脚12Bに向けて張出している。補強板35は、鋼板等を用いて略三角形状の板体として形成され、取付板34を補強するために取付板34の下面
(図示せず)に直交するように、取付板34の下面
(図示せず)と左サイドフレーム25の内面板26Aとに対して上,下方向に固着されている。取付板34の上面側には、センタフレーム12を構成する下板15の左下前脚部15Bに設けられた左前フランジ21Aが載置される構成となっている。
【0056】
一方、右サイドフレーム29を構成するサイドフレーム本体30の内面板30Aに設けられた右前脚取付部材33Bも、上述したものと等しく構成され、取付板34の上面側には、センタフレーム12を構成する下板15の右下前脚部15Cに設けられた右前フランジ21Bが載置される構成となっている。
【0057】
36A,36Bは左サイドフレーム25の内面板26Aと右サイドフレーム29の内面板30Aとにそれぞれ設けられた左,右の後脚取付部材を示している(以下、左後脚取付部材36Aおよび右後脚取付部材36Bは、合せて後脚取付部材36という)。ここで、左サイドフレーム25に設けられた左後脚取付部材36Aと右サイドフレーム29に設けられた右後脚取付部材36Bとは同一の構成を有しているので、以下、左サイドフレーム25に設けられた左後脚取付部材36Aについて説明する。
【0058】
左後脚取付部材36Aは、左サイドフレーム25を構成するサイドフレーム本体26の内面板26Aの後側(駆動輪ブラケット28側)に配置され、センタフレーム12に向けて水平方向に張出している。左後脚取付部材36Aは、取付板37と補強板38とをT字状をなして接続(溶接接合)することにより構成されている。
【0059】
即ち、取付板37は、鋼板等を用いて前,後方向に水平に延びる矩形状の平板からなり、基端側がサイドフレーム本体26の内面板26Aに溶接されると共に先端側がセンタフレーム12の左後脚12Dに向けて張出している。補強板38は、鋼板等を用いて略三角形状の板体として形成され、取付板37を補強するために取付板37の下面37Aに直交するように、取付板37の下面37Aと左サイドフレーム25の内面板26Aとに対して上,下方向に固着されている。取付板37の上面側には、センタフレーム12を構成する下板15の左下後脚部15Dに設けられた左後フランジ22Aが載置される構成となっている。
【0060】
一方、右サイドフレーム29を構成するサイドフレーム本体30の内面板30Aに設けられた右後脚取付部材36Bも、上述したものと等しく構成され、取付板37の上面側には、センタフレーム12を構成する下板15の右下後脚部15Eに設けられた右後フランジ22Bが載置される構成となっている。
【0061】
39は前脚取付部材33と後脚取付部材36とにそれぞれ設けられた雌ボルト孔を示している。該雌ボルト孔39は、前フランジ21に設けられた前ボルト挿通孔23に対応する位置と後フランジ22に設けられた後ボルト挿通孔24に対応する位置とにそれぞれ設けられている。
【0062】
本発明の参考例においては、左サイドフレーム25の左前脚取付部材33Aには、該左前脚取付部材33Aの前,後位置に4個ずつ、合計8ヶ所に雌ボルト孔39が設けられている。同様に、右サイドフレーム29の右前脚取付部材33Bには、該右前脚取付部材33Bの前,後位置に4個ずつ、合計8ヶ所に雌ボルト孔39が設けられている。
【0063】
左サイドフレーム25の左後脚取付部材36Aには、該左後脚取付部材36Aの前,後位置に4個ずつ、合計8ヶ所に雌ボルト孔39が設けられている。同様に、右サイドフレーム29の右後脚取付部材36Bには、該右後脚取付部材36Bの前,後位置に4個ずつ、合計8ヶ所に雌ボルト孔39が設けられている。これにより、雌ボルト孔39は、全部で32ヶ所に設けられている。
【0064】
40は軸部の外周に雄ねじが設けられたボルトを示し、該ボルト40は、前フランジ21(21A,21B)と前脚取付部材33(33A,33B)との間、および、後フランジ22(22A,22B)と後脚取付部材36(36A,36B)との間にそれぞれ設けられ、両者を接続(固定)するものである。ボルト40は、前フランジ21または後フランジ22の上方から下方に向けスリーブ40Bを介して前ボルト挿通孔23または後ボルト挿通孔24に挿通し、前脚取付部材33または後脚取付部材36の雌ボルト孔39に螺着する。この状態で、スリーブ40Bは、ボルト40の頭部40Aと前フランジ21または後フランジ22との間で上,下方向に挟まれる。
【0065】
左サイドフレーム25と右サイドフレーム29とをセンタフレーム12に取付けるときには、センタフレーム12を構成する下板15の下前脚部15B,15Cに設けた前フランジ21A,21Bは、左サイドフレーム25の内面板26Aに設けた左前脚取付部材33A上と右サイドフレーム29の内面板30Aに設けた右前脚取付部材33B上に載置する。センタフレーム12を構成する下板15の下後脚部15D,15Eに設けた後フランジ22A,22Bは、左サイドフレーム25の内面板26Aに設けた左後脚取付部材36A上と右サイドフレーム29の内面板30Aに設けた右後脚取付部材36B上に載置する。この状態で、前フランジ21A,21Bおよび後フランジ22A,22Bに設けた前ボルト挿通孔23A,23Bおよび後ボルト挿通孔24A,24Bと、前脚取付部材33A,33Bおよび後脚取付部材36A,36Bとに設けた雌ボルト孔39とを同一軸線上に位置決めしてボルト40を挿通し螺着することにより、左サイドフレーム25と右サイドフレーム29とをセンタフレーム12に取付けることができる。
【0066】
本発明の参考例による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、超大型の油圧ショベル1の下部走行体2を分割して輸送し、この下部走行体2を作業現場で組立てる作業について述べる。
【0067】
大型の油圧ショベル1を作業現場に輸送する場合には、例えば、その下部走行体2を、センタフレーム12と、左サイドフレーム25に遊動輪6、駆動輪7、履帯10等を組付けた左サイドフレーム組立体と、右サイドフレーム29に遊動輪6、駆動輪7、履帯10等を組付けた右サイドフレーム組立体とに3つに分割する。このように分割されたセンタフレーム12と、左サイドフレーム25の組立体と、右サイドフレーム29の組立体とは、それぞれ別の輸送車両に積載して作業現場に運ばれる。
【0068】
作業現場では、センタフレーム12と、左サイドフレーム25および右サイドフレーム29の組立作業を行う。
【0069】
センタフレーム12に左サイドフレーム25を取付ける場合には、センタフレーム12を持ち上げ、左前脚12Bの左前側板19Aおよび左後脚12Dの左後側板19Cを、左サイドフレーム25の内面板26Aに当接させる。この状態で、下板15の左下前脚部15Bに設けられた左前フランジ21Aを、左サイドフレーム25の内面板26Aに設けられた左前脚取付部材33Aの取付板34上に載置する。これと共に、下板15の左下後脚部15Dに設けられた左後フランジ22Aを、左サイドフレーム25の内面板26Aに設けられた左後脚取付部材36Aの取付板37上に載置する。このとき、左前フランジ21Aの左前ボルト挿通孔23Aと左前脚取付部材33Aの雌ボルト孔39とを同一軸線上に位置合わせし、同様に左後フランジ22Aの左後ボルト挿通孔24Aと左後脚取付部材36Aの雌ボルト孔39とを同一軸線上に位置合わせする。
【0070】
次に、左前フランジ21Aの上方からスリーブ40Bを介して左前ボルト挿通孔23Aにボルト40を挿通し、このボルト40を左前脚取付部材33Aの雌ボルト孔39に螺着する。左後フランジ22Aの上方からスリーブ40Bを介して左後ボルト挿通孔24Aにボルト40を挿通し、このボルト40を左後脚取付部材36Aの雌ボルト孔39に螺着する。これにより、センタフレーム12の左前脚12Bと左後脚12Dとに左サイドフレーム25が一体的に取付けられる。
【0071】
一方、センタフレーム12に右サイドフレーム29を取付ける場合には、センタフレーム12を持ち上げ、右前脚12Cの右前側板20Aおよび右後脚12Eの右後側板20Cを、右サイドフレーム29の内面板30Aに当接させる。この状態で、下板15の右下前脚部15Cに設けられた右前フランジ21Bを、右サイドフレーム29の内面板30Aに設けられた右前脚取付部材33Bの取付板34上に載置する。これと共に、下板15の右下後脚部15Eに設けられた右後フランジ22Bを、右サイドフレーム29の内面板30Aに設けられた右後脚取付部材36Bの取付板37上に載置する。このとき、右前フランジ21Bの右前ボルト挿通孔23Bと右前脚取付部材33Bの雌ボルト孔39とを同一軸線上に位置合わせし、同様に右後フランジ22Bの右後ボルト挿通孔24Bと右後脚取付部材36Bの雌ボルト孔39とを同一軸線上に位置合わせする。
【0072】
次に、右前フランジ21Bの上方からスリーブ40Bを介して右前ボルト挿通孔23Bにボルト40を挿通し、このボルト40を右前脚取付部材33Bの雌ボルト孔39に螺着する。右後フランジ22Bの上方からスリーブ40Bを介して右後ボルト挿通孔24Bにボルト40を挿通し、このボルト40を右後脚取付部材36Bの雌ボルト孔39に螺着する。これにより、センタフレーム12の右前脚12Cと右後脚12Eとに右サイドフレーム29が一体的に取付けられる。
【0073】
センタフレーム12に左サイドフレーム25と右サイドフレーム29を取付けて下部走行体2を組立てたら、この下部走行体2の上側に上部旋回体4、作業装置5を順次組付けることにより、油圧ショベル1を組立てることができる。
【0074】
上述のようにして組立てた油圧ショベル1の走行時には、駆動輪7を回転駆動することにより、遊動輪6との間で履帯10を周回動作させる。これにより、油圧ショベル1は掘削現場まで走行し、この掘削現場において作業装置5を俯仰動させることにより、土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0075】
ここで、油圧ショベル1が走行する作業現場には、不整地なところが多く岩石等の障害物が転がっているので、走行時に岩石を跨いだときにトラックフレーム11に岩石が衝突することがある。この場合、従来技術のように、センタフレームと左,右のサイドフレームとの間を接続するボルトの頭部が、各サイドフレームの左,右方向の内側に突出していると、跨いだ岩石がボルトの頭部に衝突して該ボルトが損傷(折損、曲がり等)する虞がある。
【0076】
これに対し、
本発明の参考例によれば、センタフレーム12を構成する下板15の左下前脚部15Bに設けた左前フランジ21Aは、左サイドフレーム25の内面板26Aに設けた左前脚取付部材33A上に載置されている。これと共に、下板15の左下後脚部15Dに設けた左後フランジ22Aは、左サイドフレーム25の内面板26Aに設けた左後脚取付部材36A上に載置されている。この状態で、ボルト40は、左前フランジ21Aおよび左後フランジ22Aに設けた左前ボルト挿通孔23Aおよび左後ボルト挿通孔24Aに対し上方から下向きに挿通する。次に、左前脚取付部材33Aと左後脚取付部材36Aとに設けた雌ボルト孔39に対し、ボルト40を螺着することにより、左サイドフレーム25をセンタフレーム12に取付けることができる。
【0077】
右サイドフレーム29をセンタフレーム12に取付ける場合についても、左サイドフレーム25と同様である。即ち、センタフレーム12を構成する下板15の右下前脚部15Cに設けた右前フランジ21Bは、右サイドフレーム29の内面板30Aに設けた右前脚取付部材33B上に載置されている。これと共に、下板15の右下後脚部15Eに設けた右後フランジ22Bは、右サイドフレーム29の内面板30Aに設けた右後脚取付部材36B上に載置されている。この状態で、ボルト40は、右前フランジ21Bおよび右後フランジ22Bに設けた右前ボルト挿通孔23Bおよび右後ボルト挿通孔24Bに対し上方から下向きに挿通する。次に、右前脚取付部材33Bと右後脚取付部材36Bとに設けた雌ボルト孔39に対し、ボルト40を螺着することにより、右サイドフレーム29をセンタフレーム12に取付けることができる。
【0078】
従って、センタフレーム12に対して左サイドフレーム25および右サイドフレーム29を取付けるボルト40の頭部40Aは、左,右の前フランジ21A,21Bおよび左,右の後フランジ22A,22Bの上面に突出している。しかも、
図6に示すように、ボルト40の下端は、
後脚取付部材
36の取付板
37の下面
37Aよりも上側に収まるようにできる(下面
37Aから突出しない)。
これと同様に、ボルト40の下端は、前脚取付部材33の取付板34の下面(図示せず)よりも上側に収まるようにできる(取付板34の下面から突出しない)。その結果、油圧ショベル1の走行時に岩石がボルト40の頭部40Aに接触し難くでき、ボルト40の損傷、曲がり等を防止することができる。これにより、例えば、センタフレーム12の前脚12B,12Cと後脚12D,12Eから左,右のサイドフレーム25,29を取外すときにボルト40を容易に抜き取ることができ、左,右のサイドフレーム25,29の取外し作業を効率よく行うことができる。
【0079】
一方、前脚取付部材33,後脚取付部材36は、各サイドフレーム25,29の内面板26A,30Aにそれぞれ設けられるので、各サイドフレーム25,29の上面板26C,30Cは、平坦面として構成することができる。これにより、履帯10によって跳上げられた土砂が左,右のサイドフレーム25,29の上面板26C,30Cに堆積しても、作業者は、油圧ショベル1の清浄作業を行う際に容易にこの土砂を掻き落すことができる。
【0080】
本発明の参考例によれば、左サイドフレーム25の内面板26Aおよび右サイドフレーム29の内面板30Aのみに前脚取付部材33(33A,33B)および後脚取付部材36(36A,36B)を設けているので、この前脚取付部材33と後脚取付部材36とを可能な限り上方に取付けることができる。このため、センタフレーム12の前脚12B,12Cと後脚12D,12Eを前,後の脚取付部材33,36に取付けた状態で、地面からセンタフレーム12の下面までの高さ寸法Aを高く設定することができる(
図6参照)。これにより、油圧ショベル1の走行時に岩石等がセンタフレーム12の下面に接触するのを低減することができ、油圧ショベル1の走行安定性を高めることができる。
【0081】
次に
図9ないし
図11は、本発明
の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、左,右のサイドフレームの上面に土砂が堆積するのを防止するための傾斜カバーを設けたことにある。なお、本実施の形態では、上述した
参考例と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0082】
41は左サイドフレーム25の上面板26Cおよび右サイドフレーム29の上面板30Cにそれぞれ設けられた傾斜カバーを示している。該傾斜カバー41は、左サイドフレーム25の上面板26Cに対し前,後方向に間隔をもって2個設けられると共に、右サイドフレーム29の上面板30Cに対し前,後方向に間隔をもって2個設けられている。
【0083】
ここで、傾斜カバー41は、3枚の支持板41Aと1枚の傾斜板41Bとにより構成されている。即ち、傾斜カバー41は、鋼板等を用いて三角形状の板体として形成され左サイドフレーム25の上面板26Cおよび右サイドフレーム29の上面板30Cに立設された3枚の支持板41Aと、鋼板等を用いて前,後方向に延びる矩形状の平板として形成され、各支持板41Aの上端に固着されることにより斜め下向きに傾斜した傾斜板41Bとにより構成されている。
【0084】
本実施の形態においては、左サイドフレーム25の上面板26Cに設けられた3個の上ローラ装置8の間に、2個の傾斜カバー41が配置され、これら各傾斜カバー41の傾斜板41Bは、左サイドフレーム25の内面板26Aから外面板26Bに向けて斜め下向きに傾斜している。一方、右サイドフレーム29の上面板30Cに設けられた3個の上ローラ装置8の間に、2個の傾斜カバー41が配置され、これら各傾斜カバー41の傾斜板41Bは、右サイドフレーム29の内面板30Aから外面板30Bに向けて斜め下向きに傾斜している。
【0085】
本実施の形態による油圧ショベル1は、左,右のサイドフレーム25,29の上面板26C,30Cにそれぞれ傾斜カバー41を設けたものである。従って、油圧ショベル1の作業中に履帯10に付着した土砂が各サイドフレーム25,29の上面板26C,30Cに向けて落下した場合でも、その土砂を傾斜カバー41の傾斜板41Bを伝って地面に落下させることができる。その結果、各サイドフレーム25,29の上面板26C,30Cに土砂が堆積するのを抑制し、この土砂が上ローラ装置8に干渉するのを抑えることができる。この結果、上ローラ装置8を長期に亘って円滑に作動させることができる。しかも、各サイドフレーム25,29の上面板26C,30Cに土砂が堆積することを抑制できるので、多大な時間や労力を費やして堆積した土砂を洗浄する必要がなく、油圧ショベル1に対する洗浄作業の作業性を高めることができる。
【0086】
なお、
前記実施の形態においては、傾斜カバー41を左,右のサイドフレーム25,29とは別部材として形成し、この別部材からなる傾斜カバー41を左サイドフレーム25の上面板26Cおよび右サイドフレーム29の上面板30C上に固着するものとして説明している。しかし、本発明は、これに限るものではなく、例えば、左サイドフレーム25の上面板26Cを内面板26Aから外面板26Bに向けて下向きに傾斜する傾斜面として形成すると共に、右サイドフレーム29の上面板30Cを、内面板30Aから外面板30Bに向けて下向きに傾斜する傾斜面として形成してもよい。
【0087】
上述し
た実施の形態では、センタフレーム12の各前脚12B,12Cに設けた各前フランジ21A,21Bと左,右のサイドフレーム25,29に設けた各前脚取付部材33A,33Bの取付板34とは、それぞれ8本のボルト40を用いて締結している。一方、センタフレーム12の各後脚12D,12Eに設けた各後フランジ22A,22Bと左,右のサイドフレーム25,29に設けた各後脚取付部材36A,36Bの取付板37とは、それぞれ8本のボルト40を用いて締結する構成としている。しかし、本発明はこれに限らず、それぞれの部位を9本以上または7本以下のボルト40を用いて締結する構成としてもよい。
【0088】
上述し
た実施の形態では、下部走行体のトラックフレームとして大型の油圧ショベル1に設けられた下部走行体2のトラックフレーム11を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、中型や小型の油圧ショベルにも適用することができる。さらに下部走行体にトラックフレームを備えた作業車両、例えば油圧クレーン等にも広く適用することができる。