【文献】
”コンクリート構造物の健全度調査・点検”,[online],株式会社 建設技術センター,2013年12月17日,[検索日:平成27年9月14日],インターネット <URL:http://web.archive.org/web/20130814053323/http://ctc-kengi.co.jp/kouzou/kouzouf.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記点検データとして、前記支障箇所識別情報毎に支障箇所テーブルが前記記憶部に設けられており、支障箇所テーブルには点検箇所データ、支障種別データ、支障位置データ及び変状採寸データの各々の項目を含む支障に関する情報が記憶されている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の樋門・樋管点検支援システム。
前記点検用携帯端末が、前記樋門あるいは前記樋管内の側壁、頂版、底版の各々の全体における過去の点検箇所データの表示が指示された場合、前記記憶部から指定される前記支障箇所識別情報に対応した支障箇所テーブルを読み出し、前記側壁、前記頂版、前記底版の各々の画像に対して、前記支障位置データに対応して、それぞれの点検箇所データを前記点検用携帯端末の表示部に表示する
ことを特徴とする請求項6に記載の樋門・樋管点検支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による樋門・樋管点検支援システムの構成例を説明する概念図である。樋門・樋管点検支援システムは、撮像装置1、支障箇所計測装置2、点検用携帯端末3及び支障箇所特定機器4の各々を備えている。
図1における空間100は、河川構造物である樋管内部を示している。
この
図1において手前側の開口部が吐口101であり、奥側の開口部が呑口102である。また、
図1において、向かって左側の壁が左側壁103であり、右側の壁が右側壁104であり、天井が頂版105であり、床が底版106である。支障箇所500は、例えば右側壁103に発生した支障の変状を示している。この変状は、クラック(ひび割れ)、エフロレッセンス(白華現象)、漏水(水の滲み)などの変状の形状である。
【0020】
撮像装置1、支障箇所計測装置2及び点検用携帯端末3の各々は、点検者300が携帯する。また、複数の点検者200が撮像装置1、支障箇所計測装置2及び点検用携帯端末3の各々をそれぞれ携帯するようにしても良い。撮像装置1及び点検用携帯端末3間と、支障箇所計測装置2及び点検用携帯端末3間とは、有線あるいは無線によりデータの送受信を行うことができる。
図1において、撮像装置1、支障箇所計測装置2及び点検用携帯端末3の各々を、一人の作業者が携帯しているが、複数の作業者が分担して携帯しても良い。また、点検用携帯端末3が撮像機能を保持している場合、撮像装置1を用いずに、点検用携帯端末3で支障箇所特定機器4及び支障箇所の撮像を行っても良い。
【0021】
支障箇所特定機器4は、支障箇所500の近傍、例えば支障箇所500とともに撮像装置1により撮像可能な範囲に配置される。配置としては、一例として、支障箇所特定機器4を支障箇所の近傍に対し、接着材で貼着することにより、あるいは支障箇所特定機器4を貫通して固定対象に達するように鋲などを打ち込むことにより固定する。
また、支障箇所特定機器4は、板状の基板に対して後述する番号体系が文字列、あるいは1次元バーコード、2次元バーコードのいずれかが印刷あるいは彫刻されて構成されている。また、支障箇所特定機器4は、1次元バーコード、2次元バーコードのいずれかと、バーコードの示す文字列とが並記して印刷あるいは彫刻されて構成されていても良い。
【0022】
また、支障箇所特定機器4として、番号体系とされる識別情報(識別番号など)が記憶されたRF(Radio Frequency)タグを配設しても良い。また、上述した文字列あるいはバーコードが設けられた基板に対し、RFタグを埋め込む構成としても良い。RFタグを用いる場合、撮像装置1にはRFタグのリーダが設けられており、銘板の近傍あるいは支障箇所の近傍に配設された支障箇所特定機器4の画像データを撮像した際、RFタグに記憶されている番号体系(番号体系#1あるいは番号体系#2)文字列情報を読み込むように構成する。
支障箇所計測装置2は、例えば、支障箇所の位置や支障箇所の変状の長さを測定するレーザ距離計や、支障箇所の変状の幅を測定するレーザマイクロゲージなどである。
【0023】
図2は、本実施形態における支障箇所特定機器4に示された番号体系と、番号体系が識別する支障箇所に関するデータとが対応付けられた支障箇所テーブルの構成例を示す図である。
図2(a)は、施設を特定する識別情報である番号体系#1と、この番号体系#1が示す施設を特定するデータ群である施設基本データ群と、施設の概要を示すデータ群である施設概要データ群と、施設に対する点検に関するデータ群である点検結果データ群とが対応して記憶されている支障箇所施設特定テーブルの構成を示している。
【0024】
施設基本データ群は、例えば、施設コード、施設名、所在地、水系名、河川名、左右岸、距離表などの項目を含んでいる。施設コードは、番号体系#1に対して任意に付けられた施設を識別するためのコードである。施設名は、施設の名称である。所在地は、施設が設けられている住所である。水系名は、施設が設けられている水系の名称である。河川名は、施設が設けられている河川の名称である。左右岸は、河川の右岸にあるか左岸にあるかを示す情報である。距離標識は、河川名の河川の河口から施設が存在する位置にある標識までの距離である。所在地、水系名、河川名、左右岸、距離表などは所在地情報である。
【0025】
施設概要データ群は、例えば、函体寸法は、函体のサイズを示す数値であり、函体の幅、高さ(高)及び長さ(長)の数値が示されている。函体数は、施設に設けられた函体の数を示している。また、この函体数の欄は、施設が樋管を有している場合、施設に設けられている樋管の数を示す樋管数となる。ブロック数は、函体を構成するブロックの数を示している。施設概要データ群における函体寸法の幅、高、長の各々の単位はmである。
点検結果データ群は、期日と判定(判定結果)などの項目を含んでいる。期日は、番号体系#1の施設に対して支障の有無を判定する点検を行った日時を示している。判定は、点検の際に支障のある函体が存在した場合、施設の有する函体において劣化が最も進んでいる(変状のレベルの高い)支障箇所の判定結果が記載されている。
【0026】
図2(b)は、番号体系#1の施設における支障箇所を特定する識別情報である番号体系#2と、この番号体系#2が示す施設における支障箇所の位置を特定するデータ群である点検部位データ群と、番号体系#2が示す支障箇所の支障を説明するデータ群である支障詳細データ群とが対応して記憶されている支障箇所判定特定テーブルの構成を示している。
【0027】
点検部位データ群は、点検箇所データであり、函体番号と、ブロック番号と、壁面種別となどの項目を含んでいる。函体番号は、施設内における支障箇所を有する函体を識別する番号などの情報(後述するように数値でない場合もある)である。本実施形態においては、例えば、函体が2つある場合、施設正面から見て支障箇所が存在する函体が、右側函体あるいは左側函体のいずれかであるかを区別する情報が函体番号の欄に記載されている。ブロック番号は、函体を構成するブロックにおける支障箇所のあるブロックを特定する番号などの情報である。例えば、ブロック番号は、第1ブロックや第2ブロックなど、ブロックを識別する番号が用いられる。壁面種別は、支障箇所のあるブロックが右側壁、左側壁、頂版、底版のいずれに配置されているかを示す情報である。
【0028】
支障詳細データ群は、種別と、写真番号と、位置(吐出口、すなわち吐口からの位置、支障位置情報)と、採寸(変状の形状のサイズの変状採寸データ)と、メモとなどの項目を含んでいる。種別は、支障箇所の変状の種類を示す情報であり、例えば、クラック、エフロレッセンス(白華現象)、漏水、錆汁、水の滲みなどの種類が記載される。写真番号は、支障箇所の形状を撮像した写真(撮像された画像データ)の番号である。写真の画像データは、この写真番号に対応して、後述する点検用携帯端末内の記憶部に記憶されている。位置は、吐出口から支障箇所までの距離と、支障箇所の存在する高さとを示す数値が記載される。採寸は、支障箇所の変状の幅、支障箇所の変状の最下部から最上部までの高さを示す「高」と、支障箇所の変状の長さを示す「長」などの項目を有している。メモは、支障箇所に対する採寸した以外の情報を任意に書き込む欄である。支障詳細データ群における位置の距離、高さの各々の単位はmである。また、支障詳細データ群における採寸の幅、高(高さ)、長(長さ)の各々の単位はmmである。
【0029】
図3は、本実施形態における樋門・樋管点検支援システムの詳細な構成例を示すブロック図である。点検用携帯端末3は、制御部31、画像処理部32、マーカ認証部33、計測データ入力部34、データ入出力部35、体系情報判定部36、試験データ記憶部37、処理データ記憶部38及び表示部39の各々を備えている。
計測データ入力部34は、撮像装置1の撮像した画像データ、あるいは支障箇所計測装置2の計測した計測データを入力し、一旦、処理データ記憶部38に書き込んで記憶させる。
【0030】
画像処理部32は、撮像装置1から入力された画像データを、処理データ記憶部38から読み出す。画像処理部32は、読み出した画像データから支障箇所特定機器4における番号体系(番号体系#1あるいは番号体系#2)の画像領域を抽出し、抽出した画像領域の領域画像データをマーカ認証部33に対して出力する。例えば、画像処理部32は、画像データから支障箇所特定機器4の画像の輪郭抽出を行い、この輪郭抽出された輪郭内部の領域を領域画像データとして、マーカ認証部33に対して出力する。
【0031】
マーカ認証部33は、領域画像データにおける文字認識を行い、領域画像データから番号体系(番号体系#1あるいは番号体系#2)を示す文字列を抽出し、体系情報判定部36へ出力する。
体系情報判定部36は、供給された体系情報が番号体系#1あるいは番号体系#2のいずれかであるかを認識する。番号体系#1と番号体系#2との各々は、異なる文字列の体系、例えば桁数が異なる、一方にはハイフンやアルファベットなどの数字以外の文字が用いられている。
【0032】
したがって、体系情報判定部36は、予め設定されている文字列の体系により、番号体系#1と番号体系#2との各々の区別を行っている。
体系情報判定部36は、番号体系が番号体系#1である場合、番号体系#1に対応する河川構造物の点検に対する点検情報を、点検データ管理装置5から読み出す要求をデータ入出力部35に対して行う。
【0033】
データ入出力部35は、体系情報判定部36から河川構造物における番号体系#1の点検情報を要求が行われると、この番号体系#1を付加した点検情報の要求信号を、ネットワーク700を介して送信する。
また、データ入出力部35は、上記要求信号に対する応答信号が、点検データ管理装置5から返送される。この要求信号には、番号体系#1に対応する点検情報、すなわち番号体系#1に対応する支障箇所施設特定テーブル及び支障箇所判定特定テーブルが含まれている。ここで、データ入出力部35は、点検情報における支障箇所施設特定テーブル及び支障箇所判定特定テーブルを試験データ記憶部37に対して書き込んで記憶させる。
このため、試験データ記憶部37には、これから作業者が点検する河川構造物の支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとが書き込まれて記憶されている。
【0034】
制御部31は、河川物構造物の点検において、新たに検出された変状の見つかった支障箇所のデータの追加、あるいは既往点検における変状が変化した支障箇所のデータの変更の処理を、作業者の処理に基づいて行う。
すなわち、制御部31は、画像処理部32が表示部39に表示する入力画面に対し、作業者が図示しない入力部により入力するデータを、支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとに追加及び変更の処理を行う。
【0035】
また、処理データ記憶部38には、支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブル(写真番号の示す写真の画像データを含んでいる)とのテンプレートが予め書き込まれて記憶されている。新たな河川構造物である樋門や樋管における新たな函体の点検の際には、作業者が入力したテンプレートの読み出しの指令により、制御部31はテンプレートの入力画面を画像処理部32を制御することにより、表示部39に対して表示する。
【0036】
また、制御部31は、作業者が支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとのおのおのに対する新規、追加及び変更の書き込みの処理を終了させると、新規、追加及び変更の書き込み処理が行われた支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとを、試験データ記憶部37に書き込んで(新規または上書き)記憶させる。
また、制御部31は、支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとを、点検データ管理装置5に送信することを示す指令を作業者から入力されると、データ入出力部35を介して、点検データ管理装置5に支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとのデータを、検査対象である河川構造物の番号体系#1を付加して送信する。
【0037】
すなわち、制御部31は、番号体系#1が付加された、点検データ管理装置5に支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとのデータを送信する制御命令を、データ入出力部35に出力する。データ入出力部35は、送信する制御命令が供給されると、添付された番号体系#1に対応する支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとを試験データ記憶部37から読み出す。そして、データ入出力部35は、読み出した支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとに、番号体系#1を付加し、点検データ管理装置5に対し、ネットワーク700を介して送信する。
【0038】
点検データ管理装置5は、河川構造物の管理を行う管理センターに設けられており、河川構造物の点検結果のデータを管理する装置である。点検データ管理装置5は、データ入出力部51、検索部52、書き込み部53、既往点検データ用データベース54の各々を備えている。
既往点検データ用データベース54には、番号体系#1に対応して、支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとが記憶されている。すなわち、既往点検データ用データベース54には、番号体系#1と番号体系#2とが関連づけられ(ひも付けされ)、番号体系#1の示す支障箇所施設特定テーブルと番号体系#2の示す支障箇所判定特定テーブルとが組み合わされて記憶されている。
【0039】
データ入出力部51は、番号体系#1を付加した点検情報の要求信号が、ネットワーク700を介して供給されると、検索部52に対してこの要求信号を出力する。
検索部52は、要求信号に添付された番号体系#1に対応する支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとを、既往点検データ用データベース54から読み出し、データ入出力部51に出力する。
また、データ入出力部51は、検索部52から供給される支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとを、点検用携帯端末3に対して送信する。
【0040】
データ入出力部51は、新規、修正または更新された支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとを点検用携帯端末3から受信する。
また、データ入出力部51は、受信した支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとを、付加された番号体系#1とともに書き込む部53に対して出力する。
書き込み部53は、データ入出力部51から、新規、修正または更新された支障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとが供給されると、付加された番号体系#1に対応させて、既往点検データ用データベース54に対して書き込んで記憶させる。
【0041】
本実施形態において、点検用携帯端末3と点検データ管理装置5とがネットワーク700で接続される構成となっている。
しかしながら、ネットワーク700を介さずに、管理センターにおいて、点検用携帯端末3と点検データ管理装置5とが有線あるいは無線により接続され、データの送受信が行えるように構成しても良い。
【0042】
次に、
図3及び
図4の図面を参照して、樋門・樋管点検支援システムの動作を説明する。
図4は、樋門・樋管点検支援システムによる支障箇所の有無を確認する際の処理例を示すフローチャートである。以下の説明においては、ネットワーク700を介さずに、点検用携帯端末3と点検データ管理装置5との間のデータの送受信を行う構成で説明する。すなわち、予め管理センターで、作業者の処理により、点検用携帯端末3及び点検用携帯端末3が、当日点検を行う複数の番号体系#1の河川構造物のリスト(樋門・樋管リスト)を、既往点検データ用データベース54から読み出し、予め試験データ記憶部37に書き込んで記憶させている。また、河川構造物の銘板の近傍に配設される支障箇所特定機器4を支障箇所特定機器4_1(第1支障箇所特定機器)とし、支障箇所の近傍に配設される支障箇所特定機器4を支障箇所特定機器4_2(第2支障箇所特定機器)として説明する。本実施形態においては、支障箇所特定機器4(支障箇所特定機器4_1、4_2)は、表面に1次元バーコードが印刷された銘板として説明を行う。
【0043】
ステップS1:
作業者は、点検を行う点検対象の樋門(後述する樋門300)に到着すると、点検用携帯端末3の電源を投入する。制御部31は、点検用携帯端末3の表示部(後述する表示部39)に対し、点検用携帯端末3にインストールされている点検用アプリケーションの起動画面を表示する。
【0044】
ステップS2:
作業者は、点検対象の樋門に到着した後、樋門の門柱(後述する門柱301)の銘板(後述する銘板200)の近傍に支障箇所特定機器4_1が配設されているか否かの判定を行う。このとき、作業者は、銘板の近傍に支障箇所特定機器4_1が配設されている場合、点検作業を開始するため、処理をステップS3へ進める。一方、作業者は、銘板の近傍に支障箇所特定機器4_1が配設されていない場合、支障箇所施設特定テーブルに対して、この樋門を新たに登録するため、処理をステップS4へ進める。
【0045】
図5は、支障箇所特定機器4_1が樋門300の門柱301の銘板200の近傍に配設されていることを示す概念図である。
図5において、支障箇所特定機器4_1は、樋門300の門柱301に設けられている銘板200の近傍に配設されている。銘板200には、この河川構造物である樋門300の名称が記載されている。この銘板200近傍に配設された支障箇所特定機器4_1の画像を撮像装置1により撮像する。この支障箇所特定機器4_1は、番号体系#1の特定情報が示されている。
【0046】
ステップS3:
作業者は、撮像装置1により、銘板の近傍に配設された支障箇所特定機器4_1を撮像する。そして、作業者は、撮像装置1から点検用携帯端末3に対して、支障箇所特定機器4_1が撮像した撮像データを転送する。この撮像データの転送は、無線あるいは有線により、撮像装置1から点検用携帯端末3に対して行われる。また、撮像データの転送は、撮像データが添付された電子メールにより、撮像装置1から点検用携帯端末3に対して行われても良い。
【0047】
点検用携帯端末3において、計測データ入力部34は、供給された撮像データを処理データ記憶部38に対して書き込んで記憶させる。
そして、画像処理部32は、処理データ記憶部38から撮像データを読み出し、読み出した撮像データから支障箇所特定機器4_1の画像の輪郭抽出を行う。画像処理部32は、輪郭抽出した輪郭内部の領域画像データをマーカ認証部33に対して出力する。
【0048】
マーカ認証部33は、領域画像データにおける文字列(番号体系#1)を画像認識により抽出する。そして、マーカ認証部33は、抽出した文字列を体系情報判定部36に対して出力する。
体系情報判定部36は、抽出した文字列の体系や形態(フォーマット)から番号体系#1であることを認識する。体系情報判定部36は、番号体系#1であることを示す情報を付加し、制御部31に対して文字列を出力する。
そして、制御部31は、樋門・樋管リストを表示部39の表示画面(後述する3A)に対して表示する。このとき、制御部31は、抽出した文字列と対応する樋門あるいは樋管の文字列を、他の樋門及び樋管の文字列と表示色を変えて表示する。
【0049】
図6は、点検用携帯端末3の樋門・樋管リストが表示されている表示画面3Aを示す図である。
図6において、表示画面3Aには樋門・樋管リストが表示されており、撮像データから抽出した支障箇所特定機器4_1の文字列の示す樋門の表示色を、他の樋門及び樋管の表示色と異なせて表示する。
図6において、例えば、支障箇所特定機器4_1の文字列に対応した「B樋門」の表示色を黄色とし、他の樋門及び樋管の表示色を黒として表示されている。
【0050】
図4に戻り、作業者は、表示色の異なって表示された文字列を選択すると、体系情報判定部36は、選択された文字列を番号体系#1として、要求信号に付加してデータ入出力部35を介して点検データ管理装置5に対して送信する。
点検データ管理装置5において、データ入出力部51は、番号体系#1が付加された点検情報の供給を要求する要求信号が入力されると、検索部52に対して入力された要求信号を出力する。
検索部52は、要求信号に付加された番号体系#1を抽出し、この番号体系#1に対して対応した障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとを、既往点検データ用データベース54から読み出す。
【0051】
そして、検索部52は、読み出した障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとの試験情報を応答信号に付加し、データ入出力部51を介して、点検用携帯端末3に対して送信する。
点検用携帯端末3において、データ入出力部35は、障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとを、番号体系#1に対応させ、試験データ記憶部37に対して書き込んで記憶させる。
制御部31は、障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとを試験データ記憶部37から読み出し、表示部39の表示画面3Aに対して表示する。このとき、制御部31は、障箇所施設特定テーブルにおける点検結果データ群における期日を、現在の日時に変更する。
【0052】
図7は、点検用携帯端末3における障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとの画像が表示されている表示画面3Aを示す図である。
図7において、表示画面3Aには読み込まれた障箇所施設特定テーブル(様式2−3−1)と支障箇所判定特定テーブル(様式2−3−2−、2−3−3)とが表示されている。この表示により、作業者は、障箇所施設特定テーブルと支障箇所判定特定テーブルとの点検情報が、点検データ管理装置5から供給されたことを確認する。
【0053】
図4に戻り、作業者は、樋門における点検対象の種類、例えば函体、翼壁、門柱のいずれを選択する選択画面を表示させるため、点検用携帯端末3に設けられた図示しない、点検対象選択ボタンを表示させるボタンを押す。
このボタンが押されることにより、制御部31は、函体、翼壁及び門柱のいずれかを選択するボタンの画像を表示部39の表示画面3Aに表示する。
【0054】
図8は、点検用携帯端末3における函体、翼壁及び門柱のいずれかを選択するボタンの画像が表示されている表示画面3Aを示す図である。
図8において、点検用携帯端末3の表示画面3Aには、函体内部の展開図を表示させるための選択ボタン401、翼壁の壁面の展開図を表示させるための選択ボタン402、門柱の外面の展開図を表示させるための選択ボタン403が表示されている。
【0055】
図4に戻り、作業者が函体の展開図を表示させるための選択ボタン401を選択することにより、画像処理部32は、函体の設計データから函体の展開図を生成し、表示部39の表示画面3Aに対して表示する。また、画像処理部32は、試験データ記憶部37に記憶されている支障箇所判定特定テーブルにおいて、支障詳細データから支障箇所の位置及び採寸の情報を抽出する。そして、画像処理部42は、抽出した位置及び採寸の情報を元に、函体の展開図に対して支障箇所の情報を画像により表示する。これにより、作業者は函体のいずれに支障箇所があるかの確認が行える。
また、上述した函体の設計データは、図示しないが支障箇所判定特定テーブルに添付されている情報である。樋門や樋管が新たに登録される毎に、この樋門や樋管における函体、翼壁及び門柱の設計データを、支障箇所判定特定テーブルに添付する。
【0056】
図9は、点検用携帯端末3における函体の展開図の画像が表示されている表示画面3Aを示す図である。
図9において、右側壁、頂版、右側壁、底版の各々による函体の展開図が示されている。下部の目盛は、函体の吐口から呑口に向かっての距離(m)を示すものである。ここで、右側壁及び左側壁における左右は、吐口から呑口方向を見た際の左及び右により決定される。また、支障箇所は、展開図に表示される際、クラック、エフロレッセンス(エフロ)、錆汁、漏水などの変状の種類によって表示色を異なって表示されている。表示される支障箇所の変状のデータとしては、変状の種類を示す文字列、吐口からの距離Dis(m)、変状の幅W(mm)、変状の長さL(mm)などである。また、グラウトホールは、壁のコンクリートの空洞化などを点検するために意図的に開けた孔であり、点検の際、実際の支障箇所と明確に区別するため、開けた位置が展開図に表示されている。この
図9の展開図を見ることにより、作業者は、いずれの位置に過去の点検で発見された支障箇所の位置を認識することができる。
【0057】
ステップS4:
作業者は、河川構造物の銘板の近傍に支障箇所特定機器4_1が配設されていない場合、支障箇所施設特定テーブルに対して、この樋門を新たに登録する。
例えば、作業者は、河川構造物の銘板近傍に支障箇所特定機器4_1を配設するとともに、点検用携帯端末3の表示画面3Aに表示された河川構造物登録開始ボタンを選択する。これにより、制御部31は、処理データ記憶部38から、予め書き込まれて記憶されている支障箇所施設特定テーブルのテンプレートを読み出す。そして、制御部31は、読み出した支障箇所施設特定テーブルのテンプレートの画像を、表示部39の表示画面3Aに表示する。
【0058】
作業者は、表示画面3Aに表示されているテンプレートの画像における番号体系#1の欄及び施設名の欄の各々に、銘板の近傍に配設した支障箇所特定機器4_1の有する番号体系#1の文字列、及び銘板に記載されている施設名の文字列のそれぞれを、点検用携帯端末3における図示しない入力手段を用いて書き込む。そして、作業者は、点検用携帯端末3の表示画面3Aに表示された河川構造物登録完了ボタンを選択する。
これにより、制御部31は、配設した支障箇所特定機器4_1の有する番号体系#1及び銘板に記載されている施設名が書き込まれたテンプレートを、番号体系#1に対応する支障箇所施設特定テーブル支障箇所の画像として、試験データ記憶部37に対して書き込んで記憶させる。
また、制御部31は、新たに登録する河川構造物の体型番号#1に対応した支障箇所施設特定テーブルのデータを、体型番号#1の登録を行うことを示す登録情報とともに、データ入出力部35を介して点検データ管理装置5に対して送信する。
【0059】
データ入出力部51は、点検用携帯端末3から新たに登録する支障箇所施設特定テーブルのデータを受信する。
そして、データ入出力部51は、登録情報を確認することにより、支障箇所施設特定テーブルを書き込み部53に対して出力する。
書き込み部53は、入力された支障箇所施設特定テーブルから施設名の文字列を抽出する。そして、書き込み部53は、図示しない河川構造物データベースより、この抽出した施設名の文字列により、この施設名の河川構造物のデータを検索する。書き込み部53は、河川構造物データベースから、施設基本データ群の施設コード、所在地、水系名、河川名、左右岸、距離標と、施設概要データ群の函体寸法、函体数、ブロック数とを抽出する。このとき、書き込み部53は、河川構造物データベースから函体の展開図も含めて抽出する。
【0060】
次に、書き込み部53は、抽出した施設基本データ群及び施設概要データ群の各々のデータを、支障箇所施設特定テーブルの各欄に対して書き込む。書き込み部53は、データを補完した支障箇所施設特定テーブルを既往点検データ用データベース54に対して書き込んで記憶させるとともに、データ入出力部51を介して点検用携帯端末3に対して、函体の展開図を含む支障箇所施設特定テーブルを登録完了を示す情報とともに送信する。
データ入出力部35は、点検データ管理装置5から支障箇所施設特定テーブルのデータが供給されると、支障箇所施設特定テーブルのデータを、試験データ記憶部37の対応する番号体系#1の支障箇所施設特定テーブルに対して上書きする。
そして、新たに河川構造物の登録作業が完了した後、作業者が函体の展開図を表示させるための選択ボタン401を選択することにより、画像処理部32は、函体の設計データから函体の展開図を生成し、表示部39の表示画面3Aに対して表示する。
【0061】
ステップS5:
作業者は展開図により、函体内を例えば吐口側から呑口側に向かって歩行しつつ、函体内における点検を行う支障箇所の確認を行う。このとき、前回の点検で発見された支障箇所でなくとも、新たな支障箇所の発見のため、単数あるいは複数の作業員により、函体内の右側壁、頂版、右側壁、底版の各々を目視しつつ歩行する。
そして、作業者は、支障箇所を発見した場合、処理をステップS6へ進める。
【0062】
ステップS6:
作業者は、例えば点検において右側壁600に支障箇所を発見すると、この支障箇所(後述する支障箇所601)の近傍に支障箇所特定機器4_2が配設されているか否かの判定を行う。このとき、作業者は、支障箇所の近傍に支障箇所特定機器4_2が配設されている場合、点検作業による支障箇所の劣化計測値の更新を開始するため、処理をステップS7へ進める。
【0063】
このとき、作業者は、点検用携帯端末3の表示画面3Aに表示されている展開図において、発見した支障箇所と同様の支障箇所が表示されている場合も、処理をステップS7へ進める。
一方、作業者は、支障箇所の近傍に支障箇所特定機器4_2が配設されておらず、展開図にも支障箇所として表示されていない場合、支障箇所判定特定テーブルに対して、この函体における新たな支障箇所として新たに登録するため、処理をステップS8へ進める。
【0064】
また、発見した支障箇所において、支障箇所特定機器4_2が配設されていない場合、発見者は支障箇所の位置を支障箇所計測機器2により計測し、その位置及び種別により、試験データ記憶部37に記憶されている支障箇所判定特定テーブルを検索し、該当する支障箇所が抽出されると、支障箇所に配設した支障箇所特定機器4_2が喪失されたとして、ステップS7へ進めるようにしても良い。この場合、作業者は、喪失した支障箇所特定機器4_2に代わり、新たな支障箇所特定機器4_2を配設する。そして、作業者は、支障箇所判定特定テーブルにおける番号体系#2の数値を、新たに配設した支障箇所特定機器4_2の番号体系#2の数値に修正する。
【0065】
すなわち、作業者は、点検用携帯端末3の表示画面3Aに表示されている修正対象の番号体系#2の数値を選択する。これにより、制御部31は、選択された番号体系#2の数値の欄を修正用に表示する。作業者は、この修正用の欄に新たな支障箇所特定機器4_2の体系番号#2の数値を入力し、表示画面3Aに表示されている確定のボタンを選択する。制御部31は、確定のボタンが選択されることにより、処理データ記憶部38に記憶されている支障箇所判定特定テーブルにおいて対応する番号体系#2の数値を変更する。
【0066】
図10は、支障箇所特定機器4(4_2)が例えば右側壁600における支障箇所601の近傍に配設されていることを示す概念図である。
図10において、支障箇所特定機器4(4_2)は、函体内における右側壁600の支障箇所601の近傍に配設されている。この支障箇所601は、支障箇所特定機器4(4_2)とともに撮像装置1により撮像される。この支障箇所特定機器4(4_2)は、番号体系#2の特定情報が示されている。
【0067】
ステップS7:
作業者は、撮像装置1により、右側壁600の支障箇所601と支障箇所特定機器4_2との各々が一括して撮像できる位置で、支障箇所601及び支障箇所特定機器4_2の双方が含まれる画像データを撮像する。そして、撮像装置1から点検用携帯端末3に対して、支障箇所601とともに支障箇所特定機器4_2が撮像された撮像データを転送する。この撮像データの転送は、無線あるいは有線により、撮像装置1から点検用携帯端末3に対して行われる。また、撮像データの転送は、撮像データが添付された電子メールにより、撮像装置1から点検用携帯端末3に対して行われても良い。
点検用携帯端末3において、計測データ入力部34は、供給された撮像データを処理データ記憶部38に対して書き込んで記憶させる。
そして、画像処理部32は、処理データ記憶部38から撮像データを読み出し、読み出した撮像データから支障箇所特定機器4_2の画像の輪郭抽出を行う。画像処理部32は、輪郭抽出した輪郭内部の領域画像データをマーカ認証部33に対して出力する。
【0068】
マーカ認証部33は、領域画像データにおける文字列(番号体系#2)を画像認識により抽出する。そして、マーカ認証部33は、抽出した文字列を体系情報判定部36に対して出力する。
体系情報判定部36は、抽出した文字列の体系や形態(フォーマット)から番号体系#2であることを認識する。体系情報判定部36は、番号体系#2であることを示す情報を付加し、制御部31に対して文字列を出力する。ここで、作業者が直接に番号体系#2の文字列を入力手段から入力した場合、データ入出力部35は、この番号体系#2の文字列を制御部31に対して出力する。
そして、制御部31は、試験データ記憶部37から、番号体系#1に対応する支障箇所判定特定テーブルの中から文字列に対応する番号体系#2の支障箇所判定特定テーブルを読み出す。ここで、制御部31は、支障箇所判定特定テーブル及び支障箇所判定特定テーブルの各々の複製を、処理データ記憶部38に書き込んで記憶させる。後述する計測データの変更は処理データ記憶部38に対して行われる。
【0069】
図11は、点検用携帯端末3の番号体系#2の支障箇所判定特定テーブルのリストが表示されている表示画面3Aを示す図である。
図11において、表示画面3Aには番号体系#2の支障箇所判定特定テーブルのリストが表示されており、撮像データから抽出した支障箇所特定機器4_2の文字列の示す支障箇所の表示色を、他の支障箇所の表示色と異なせて表示する。
図11において、例えば、支障箇所特定機器4_2の文字列に対応した「C劣化」の表示色が黄色で、他の支障箇所の表示色が黒として表示されている。
【0070】
図12は、既往点検データにおける画像データとして、撮像装置1が撮像した支障箇所601とともに支障箇所特定機器4_2とが撮像された前回の撮像像データが表示されている表示画面3Aを示す図である。
図12において、表示画面3Aには右側壁画像600_Pと、支障箇所画像601_Pと、支障箇所特定機器画像4_P(4_2_P)とを含み画像データが表示されている。この表示されている画像データは、前回の点検時に作成した番号体系#2の支障箇所判定特定テーブルに付加されている画像データである。
【0071】
図4に戻り、作業者は、函体の支障箇所における表示対象の種類、例えば数値、写真及び数値・写真のいずれを選択する選択画面を表示させるため、点検用携帯端末3に設けられた図示しない、表示対象選択ボタンを表示させるボタンを押す。
このボタンが押されることにより、制御部31は、数値、写真及び数値・写真のいずれかを選択するボタンの画像を表示部39の表示画面3Aに表示する。
【0072】
図13は、点検用携帯端末3における表示対象の種類である数値、写真及び数値・写真のいずれかを選択するボタンの画像が表示されている表示画面3Aを示す図である。
図13において、点検用携帯端末3の表示画面3Aには、表示対象の種類として支障箇所の変状の数値を表示させるための選択ボタン411、表示対象の種類として支障箇所の変状の写真を表示させるための選択ボタン412、示対象の種類として支障箇所の変状の数値及び写真を表示させるための選択ボタン413の各々が表示されている。この
図13においては、数値を選択する選択ボタン411が選択されたことを示している。
【0073】
図4に戻り、
図13に示されるように、作業者は、支障箇所601の変状の数値を表示させるための選択ボタン411を選択する。これにより、制御部31は、試験データ記憶部37の支障箇所判定特定テーブルから、番号体系#2の数字、函体内における支障箇所の位置(壁面種別)、支障箇所の変状の種別、支障箇所の変状の劣化の程度(函体の寸法)、変状の単位、数量の各々を、試験データ記憶部37の番号体系#2に対応する読み出し、画像処理部32を介して表示部39の表示画面3Aに対して表示する(後述する
図4の画像が表示される)。
【0074】
図14は、既往点検データとして、支障箇所の変状の表示種類である変状の数値を示す画像が表示されている点検用携帯端末3の表示画面3Aを示す図である。
図14において、点検用携帯端末3の表示画面3Aには、支障箇所の数値が記載されたテーブル415が示されており、支障箇所の変状の種別を示す「エフロレッセンス」の文字列が表示されている。また、番号体系#2として「No」の欄に「9」が表示されている。函体内における支障箇所の位置として「函体内」の欄に「左側壁」の文字列が記載されている。支障箇所の変状の採寸のデータとして「劣化の程度」の欄に変状の長さとして「L=4500mm」の文字列が記載されている。また、変状の「単位」の欄に「箇所」、変状の「数量」欄に「1」が記載されている。
【0075】
また、作業者は、支障箇所の近傍に支障箇所特定機器4_2が配設されていなかった場合、支障箇所判定特定テーブルにおけるメモに対して、支障箇所特定機器4_2が無くなっていることを示す文章を書き込む処理を行う。すなわち、作業者は、点検用携帯端末3におけるメモの記述を行う図示しないボタンを選択する。これにより、制御部31は、メモを書き込む欄を表示画面3A表示させ、作業者にメモを書く処理を促す。作業者がメモの文章を表示画面3Aの欄に記入し、図示しない確定ボタンを選択する。これにより、制御部31は、対応する番号体系#2の番号のメモの欄に、作業者が表示画面3Aの欄に書き込んだ文章を書き込んで記憶させる。
【0076】
図15は、点検用携帯端末3における表示対象の種類である数値、写真及び数値・写真のいずれかを選択するボタンの画像が表示されている表示画面3Aを示す図である。
図15において、点検用携帯端末3の表示画面3Aには、表示対象の種類として支障箇所の変状の数値を表示させるための選択ボタン411、表示対象の種類として支障箇所の変状の数値・写真を選択する選択ボタン413が選択されたことを示している。
【0077】
図4に戻り、作業者は、例えば支障箇所601の変状の写真を表示させるための選択ボタン412を選択する。選択ボタン412が選択された場合、制御部31は、試験データ記憶部37の支障箇所判定特定テーブルから、番号体系#2の写真番号を抽出する。そして、制御部31は、試験データ記憶部37における支障箇所判定特定テーブルのデータに含まれる写真の画像データから、抽出された写真番号に対応する写真の画像データを読み出す。制御部31は、読み出した写真の画像データを、表示部39の表示画面3Aに対し、
図12に示すように表示する。
【0078】
作業者は、例えば支障箇所601の変状の数値・写真を表示させるための選択ボタン413を選択する。選択ボタン413が選択された場合、制御部31は、試験データ記憶部37の支障箇所判定特定テーブルから、番号体系#2に対応して、番号体系#2の数字、函体内における支障箇所の位置(壁面種別)、支障箇所の変状の種別、支障箇所の変状の劣化の程度(函体の寸法)、変状の単位、数量の各々を読み出す。また、制御部31は、試験データ記憶部37の支障箇所判定特定テーブルから、番号体系#2の写真番号を抽出する。そして、制御部31は、試験データ記憶部37における支障箇所判定特定テーブルのデータに含まれる写真の画像データから、抽出された写真番号に対応する写真の画像データを読み出す。制御部31は、番号体系#2の数字、函体内における支障箇所の位置(壁面種別)、支障箇所の変状の種別、支障箇所の変状の劣化の程度(函体の寸法)、変状の単位、数量の各々と、読み出した写真の画像データとを、並列に表示部39の表示画面3Aに対して表示する。
【0079】
図16は、既往点検データとして、支障箇所の変状の表示種類である変状の数値及び支障箇所の写真が並列に撮像された画像が表示されている点検用携帯端末3の表示画面3Aを示す図である。点検用携帯端末3の表示画面3Aには、支障箇所の変状の表示種類である変状の数値のテーブル416(
図14のテーブル15と同様)として、支障箇所の変状の種別を示す「エフロレッセンス」の文字列が表示されている。また、番号体系#2として「No」の欄に「9」が表示されている。函体内における支障箇所の位置として「函体内」の欄に「左側壁」の文字列が記載されている。支障箇所の変状の採寸のデータとして「劣化の程度」の欄に変状の長さとして「L=4500mm」の文字列が記載されている。また、変状の「単位」の欄に「箇所」、変状の「数量」欄に「1」が記載されている。この数値と並列に、撮像装置1が撮像した支障箇所601とともに支障箇所特定機器4_2とが撮像された前回の撮像データの画像420(
図12)が表示されている。画像420表示画面3Aには右側壁画像600_Pと、支障箇所画像601_Pと、支障箇所特定機器画像4_2_Pとを含み画像データが表示されている。この表示されている画像データは、前回の点検時に作成した番号体系#2の支障箇所判定特定テーブルに付加されている画像データである
【0080】
図4に戻り、作業者は、支障箇所判定特定テーブル内の数値を更新する際、点検用携帯端末3の表示画面3Aに表示されたテーブル415における更新する欄を選択する。これにより、制御部31は、テーブル415における選択された欄の項目が更新する対象として選択されたことを明確とするため、選択された欄を強調表示する。制御部31は、選択された欄を拡大表示するとともに、既往点検データにおける計測データの数値の下部に入力用のスペースを設ける。
【0081】
図17は、既往点検データとして、支障箇所の変状の表示種類である変状の数値を示す画像が表示されている点検用携帯端末3の表示画面3Aを示す図である。この
図17においては、「劣化の程度」がテーブル415における更新する対象として選択された欄であることを明確とするために強調表示されている。作業者に対して更新する対象を強調表示するため、例えば、更新する対象として選択された欄が他の表示色と異なる色の点線の枠417で囲まれる。
【0082】
図4に戻り、作業者は、支障箇所601の変状を支障箇所計測装置2により採寸し、点検用携帯端末3の図示しない入力手段により、採寸した数値を入力する。これにより、制御部31は、入力される計測データの数値を示す文字列421を、上述した更新する対象の欄において、既往点検データにおける計測データの数値を示す文字列419の下に、この文字列と異なる色で画像処理部32を介して表示画面3Aに表示する。
【0083】
図18は、計測データを更新する対象の欄において、既往点検データにおける計測データの下に、計測データの更新する数値が表示されている点検用携帯端末3の表示画面3Aを示す図である。
図18において、表示画面3Aには、変更対象として選択された欄418が拡大表示され、既往点検データにおける前回の計測値「L=4500mm」の下に、作業者が入力した今回の計測値「4700mm」が、前回の計測値「L=4500mm」と異なる色で表示される。ここで、制御部31により、例えば、計測データ入力部34から計測データが供給された際、更新する計測値が作業者に見え易いように、変更対象の欄を拡大表示しても良い。
【0084】
図4に戻り、一方、作業者が手入力で計測データの数値の入力を行わない場合、すなわち、作業者は、支障箇所計測装置2により採寸、たとえば変状の長さを測定し、点検用携帯端末3に対して計測した計測数値を送信する。
そして、計測データ入力部34は、支障箇所計測装置2から計測数値を供給されると、この供給された計測データを、制御部31に対して出力する。制御部31は、供給された計測データを、支障箇所判定特定テーブルにおける番号体系#1の数値に対応する項目のデータに上書きする。
【0085】
図19は、支障箇所特定機器
4が近傍に配設された支障箇所
611の変状の計測を支障箇所計測装置2により行うことを示す概念図である。
図19において、支障箇所特定機器
4は、函体内における右側壁
610の支障箇所
611の近傍に配設されている。また、
図19には、作業者が、この支障箇所601における変状であるクラックの幅を、支障箇所計測装置2、例えばレーザマイクロゲージにより測定し、点検用携帯端末3に対して送信する例が示されている。
【0086】
図4に戻り、制御部31は、現在の計測対象の支障箇所がすでに支障箇所特定機器4_2の番号体系#2により特定されている。このため、制御部31は、支障箇所判定特定テーブルにおける、この番号体系#2のクラック幅の数値を、支障箇所計測装置2から供給される数値に変更する。そして、制御部31は、変更された番号体系#2と、函体内の位置、クラック幅、単位及び数量を、作業者の確認のため、表示画面3Aに対して表示する。
【0087】
図20は、計測データを更新する対象の欄において、計測データが更新された数値が表示されている点検用携帯端末3の表示画面3Aを示す図である。
図20において、表示画面3Aには、変更対象として選択された番号体系#2の欄425が表示され、番号体系#2の数値である「No」に「2」が表示され、函体内の支障箇所の位置を示す「函体内」に「左側壁」が表示され、変状のクラックの幅を示す「クラック幅」に「0.5mm」が表示され、「単位」に「m」が表示され、「数量」に「0.7」が表示されている。また、表示画面3Aにおいては、欄425の下部に、確認を行うボタン414が設けられている。また、作業者に対して更新する対象を強調表示するため、例えば、更新する対象として選択された欄が他の表示色と異なる色の点線の枠426で囲まれる。
【0088】
図4に戻り、支障箇所の変状の計測データを更新が終了した場合、作業者は、計測データにより採寸のデータの更新が正常になされたことを確認した後、確認のボタン(後述する
図20の確認が表示されたボタン414)を選択する。これにより、制御部31は、表示されている更新された計測データを、支障箇所判定特定テーブルにおける対応する項目に対して上書きする。また、
図18を説明した手入力の場合にも、図示はしていないが、
図20と同様に確認のボタン414が表示されており、このボタン414を選択することにより、更新された計測データを、支障箇所判定特定テーブルにおける対応する項目に対して上書きする。
【0089】
ステップS8:
作業者は、支障箇所の近傍に支障箇所特定機器4_2が配設されておらず、展開図にも支障箇所として表示されていない場合、支障箇所判定特定テーブルに対して、この函体における新たな支障箇所の登録を行う。このとき、作業者は、支障箇所の近傍に対し、携帯している支障箇所特定機器4_2を配設する。そして、作業者は、撮像装置1により支障箇所及び支障箇所特定機器4_2とを、双方が同一の画像データに入るように撮像する。この後、作業者は、この支障箇所特定機器4_2の示す番号体系#2の数値により、新たに発見した支障箇所の新規登録を行う。
すなわち、作業者は、点検用携帯端末3における図示しない新規登録用のボタンである新規登録ボタン(点検用携帯端末3に設けられているかあるいは表示画面3Aに表示されている)を選択する。これにより、制御部31は、処理データ記憶部38から支障箇所判定特定テーブルのテンプレート(
図2(b)の数値の入っていないテーブル)を読み出す。
【0090】
ステップS9:
次に、作業者は、点検用携帯端末3の表示画面3Aに表示された支障箇所判定特定テーブルの各欄に対し、必要な情報を点検用携帯端末3の入力手段により入力する。例えば、作業者は、番号体系#2の点検部位データ群の各欄に対し、すなわち支障箇所の近傍に配設した支障箇所特定機器4_2の有する番号体系#2の数値、函体番号に現在点検中の函体種別、ブロック番号に点検中のブロック種別、壁面種別に左右壁面の種別のデータを入力する。また、作業者は、支障詳細データ群の各欄に対し、すなわち支障箇所の変状の種別、撮像した際に付与される写真番号、位置、採寸のデータを入力する。この位置は作業者が吐口からの位置などをレーザー距離計などの支障箇所計測装置2により計測し、位置の欄に入力する。また、作業者は、点検において確認した支障箇所の変状の種別に関しても、点検用携帯端末3の入力手段により、種別の欄に入力する。また、作業者は、支障箇所とともに、この支障箇所の近傍に配設された支障箇所特定機器4_2を、同一の撮像データに含まれるように撮像し、点検用携帯端末2に対して送信する。
【0091】
また、採寸に関しては、支障箇所計測装置2により、変状のサイズを計測し、採寸した計測データを作業者の手入力あるいは支障箇所計測装置2からの送信により、採寸の幅、高さ(高)及び長さ(長)の欄に入力する。これらのデータ入力は、ステップS7における支障箇所判定特定テーブルの各欄へのデータ入力と同様の機構により行われる。そして、作業者は、新たに作成した支障箇所判定特定テーブルの生成が終了したことを示す完了ボタン(点検用携帯端末3に設けられているかあるいは表示画面3Aに表示されている)を選択する。これにより、制御部31は、新たな支障箇所の登録によりに生成された支障箇所判定特定テーブルを、点検データ管理装置5に対して、新たな登録を行うことを示す情報を付して送信する。ここで、制御部31は、現在の日時が点検結果データ群に記載された障箇所施設特定テーブルとともに、上記支障箇所判定特定テーブルを点検データ管理装置5に対して送信する。
【0092】
ステップS10:
作業者は、番号体系#1の示す河川構造物の全ての函体等における支障箇所の点検が終了したか否かの確認を行う。
そして、作業者は、全ての支障箇所の確認が終了していない場合、処理をステップS5へ進める。一方、作業者は、全ての支障箇所の確認が終了した場合、現在の番号体系#1の示す下線構造物における支障箇所のデータを更新させるため、処理をステップS11へ進める。
【0093】
ステップS11:
作業者は、既往点検データと今回測定した測定データとの比較を行う際、比較を行うための選択ボタン(不図示)を選択する。
この選択ボタンが選択されることにより、制御部31は、比較の種類を選択するボタンを、表示部39の表示画面3Aに対して表示する。
【0094】
図21は、点検用携帯端末3において比較する対象の種類である数値、写真及び数値・写真のいずれかを選択するボタンの画像が表示されている表示画面3Aを示す図である。
図21において、点検用携帯端末3の表示画面3Aには、比較の対象として支障箇所変状の数値を表示させるための選択ボタン431、比較の対象として支障箇所の変状の写真を表示させるための選択ボタン432、比較対象の種類として支障箇所の変状の結果を保存させるための選択ボタン433の各々が表示されている。この
図21においては、数値を選択する選択ボタン431が選択されたことを示している。
【0095】
図4に戻り、作業者が
図21に示す選択ボタン431を選択した場合、制御部31は、作業者が新旧の数値を比較し易いように、既往計測データにおける数値と更新後の計測データとを、表示部39の表示画面3Aに対して並べて表示する。このとき、制御部31は、番号体系#2における既往点検の計測データを、試験データ記憶部37に記憶されている支障箇所判定特定テーブルから読み出し、更新後の計測データを処理データ記憶部38から読み出す。制御部31は、番号体系#2毎の計測データを順次読み出し、一定期間ごとに番号体系#2の計測データの表示を変更していく。
【0096】
図22は、既往点検データの計測データと、更新後の計測データとが並べて表示されている点検用携帯端末3の表示画面3Aを示す図である。この
図22において、点検用携帯端末3の表示画面3Aには、既往点検データにおける計測データが欄436に表示され、今回計測された計測データ(変更後の計測データ)が欄435に表示されている。このとき、今回計測された計測データの数値は、既往点検データにおける計測データの数値と異なった色で表示しても良い。例えば、既往点検データにおける計測データの数値が黒で表示され、今回の計測データの数値が赤で表示されている。
【0097】
図23は、点検用携帯端末3において比較する対象の種類である数値、写真及び数値・写真のいずれかを選択するボタンの画像が表示されている表示画面3Aを示す図である。
図23において、
図21と同様に、点検用携帯端末3の表示画面3Aには、比較の対象として支障箇所変状の数値を表示させるための選択ボタン431、比較の対象として支障箇所の変状の結果を保存させるための選択ボタン432、比較対象の種類として支障箇所の変状の数値及び写真を表示させるための選択ボタン433の各々が表示されている。この
図23においては、写真比較を選択する選択ボタン432が選択されたことを示している。
【0098】
図4に戻り、作業者が
図23に示す選択ボタン432を選択した場合、制御部31は、作業者が新旧の画像データを比較し易いように、既往計測データにおける画像データと更新後の計測データにおける画像データとを、表示部39の表示画面3Aに対して並べて表示する。このとき、制御部31は、番号体系#2における既往点検の計測データに対応する画像データを、試験データ記憶部37に記憶されている支障箇所判定特定テーブルから読み出し、更新後の計測データに対応する画像データを処理データ記憶部38から読み出す。制御部31は、番号体系#2毎の計測データに対応する画像データを順次読み出し、一定期間ごとに番号体系#2の計測データに対応する画像データの表示を変更していく。本実施形態においては、支障箇所を撮像した画像データは支障箇所判定特定テーブルにおける写真番号と対応付けられており、この番号体系#2に対応した画像データを、番号体系#2の写真番号により読み出すことができる。
【0099】
図24は、既往点検データの計測データに対応する画像データと、更新後の計測値に対応する画像データとが並べて表示されている点検用携帯端末3の表示画面3Aを示す図である。この
図24において、点検用携帯端末3の表示画面3Aには、既往点検データにおける計測データに対応する画像データ442として表示され、今回計測された計測データ(変更後の計測データ)が画像データ441として表示されている。このとき、今回計測された計測データに対応する画像データ441にも、既往点検データにおける計測データに対応する画像データ442にも、支障箇所特定機器4_2の画像4_2Pが表示されている。
【0100】
図4に戻り、作業者は、全ての支障箇所の更新が終了したことを確認すると、
図21あるいは
図23に示す結果保存の選択ボタン433を選択する。ここで、制御部31は、全ての番号体系#2の計測データの比較、あるいは計測データに対応する画像データの比較が終了すると、
図21及び
図23に示す点検用携帯端末3において比較する対象の種類である数値、写真及び数値・写真のいずれかを選択する選択ボタン431、432と、結果保存の選択ボタン433とを表示画面3Aに表示する。
【0101】
そして、作業者が表示画面3Aにおける選択ボタン433を選択すると、制御部31は、新たに作成した支障箇所判定特定テーブルと障箇所施設特定テーブルとを点検データ管理装置5に対して送信する。すなわち、制御部31は、処理データ記憶部38に記憶されている支障箇所判定特定テーブルと障箇所施設特定テーブルとを読み出す。そして、制御部31は、読み出した支障箇所判定特定テーブルと障箇所施設特定テーブルとに、番号体系#1の数値、新たに撮像した画像データ及び変更データであることを示す情報を付して、点検データ管理装置5に対して送信する。そして、制御部31は、試験データ記憶部37及び処理データ記憶部38における支障箇所判定特定テーブルと障箇所施設特定テーブルとを削除する。このとき、制御部31は、試験データ記憶部37及び処理データ記憶部38における画像データも削除する。
【0102】
データ入出力部51は、点検用携帯端末3から、支障箇所判定特定テーブルと障箇所施設特定テーブルとのデータが供給され、供給されたデータが変更データであることを付加された情報により確認する。これにより、データ入出力部51は、供給された支障箇所判定特定テーブルと障箇所施設特定テーブルとを書き込み部53に対して出力する。
そして、書き込み部53は、既往点検データ用データベース54に対し、供給された支障箇所判定特定テーブルと障箇所施設特定テーブルとを、障箇所施設特定テーブルに記載された期日に対応して書き込んで記憶させる。これにより、
図4に示すフローチャートに示す樋門・樋管点検支援システムの動作は終了する。
既往点検データ用データベース54においては、番号体系#1及び番号体系#2とは、期日をキーワードとして、履歴データとして格納されている。点検用携帯端末3から支障箇所判定特定テーブルと支障箇所施設特定テーブルとが要求された場合、既往点検データの中から最新の者が検索部52により検索される。
【0103】
図25は、処理データ記憶部38に記憶されている支障箇所判定特定テーブルと支障箇所施設特定テーブルとの画像が点検用携帯端末3の表示画面3Aに表示されている図である。
図25において、支障箇所施設特定テーブルが画像471として、支障箇所判定特定テーブルが画像472として、点検用携帯端末3の表示画面3Aに表示されている。また、番号体系#2における「16」が選択され、この番号体系#2「16」の欄の表示色が選択されていない他の番号体系#2の欄の表示色と異なって表示されている。また、選択されている番号体系#2「16」の支障箇所の画像データが画像473及び474として表示されている。ここで、画像473が既往点検データの計測データ(前回の計測データ)に対応する画像データの画像であり、画像474が今回計測した計測データに対応する画像データの画像である。画像474には計測データが変更された支障箇所の位置及び採寸のデータが表示されている。
【0104】
図3に戻り、点検用携帯端末3の表示画面が大きければ、すでに説明した既往点検データの計測データと今回計測した計測データの比較に関しては、
図25の比較画面を表示画面3Aに表示させるようにしても良い。
図25の表示画面3Aにおいて、作業者は支障箇所判定特定テーブルにおける番号体系#2のいずれかの番号を選択する。制御部31は、選択された番号体系#2の番号に対応する写真番号の画像データを処理データ記憶部38から読み出す。また、位置及び採寸のデータを作業者に見易くするため、支障箇所判定特定テーブルから読み出して、画像474において画像データの下部に表示する。
【0105】
また、すでに入力されたデータなどの修正に関しては、作業者が点検用携帯端末3に設けられた修正ボタンを選択する。これにより、制御部31は、
図25と同様の画像を表示画面3Aに表示する。そして、修正したい欄を作業者が選択すると、制御部31は、選択された欄を拡大表示し、修正のためのデータの入力を促す。
そして、作業者が新たなデータを拡大された欄に上書きし、図示しない確定ボタンを選択することにより、制御部31は、処理データ記憶部38に記憶されている支障箇所施設特定テーブル及び支障箇所判定特定テーブルにおける選択された欄のデータを上書きして、入力データの修正処理を行う。
【0106】
また、作業者は、番号体系#2毎に、支障箇所判定特定テーブルのメモの欄に対して支障箇所における変状の状態のランクを、すでに説明したメモの欄への書き込み処理に基づいて書き込む。そして、作業者は、最も変状の状態の大きいランク(劣化状態が大きいランク)を
図25の表示画面3A等により抽出し、支障箇所施設特定テーブルにおける点検結果データ群の判定の欄に最も変状の状態の大きいランクをき込む。すなわち、作業者は、点検用携帯端末3における判定の記述を行う図示しないボタンを選択する。これにより、制御部31は、判定を書き込む欄を表示画面3A表示させ、作業者に判定を書く処理を促す。作業者が判定のランクを表示画面3Aの欄に記入し、図示しない確定ボタンを選択する。これにより、制御部31は、対応する番号体系#1の番号の判定の欄に、作業者が表示画面3Aの欄に書き込んだランクを書き込んで記憶させる。また、点検データ管理装置5は、既往点検データ用データベース54内における支障箇所施設特定テーブルの判定の欄を周期的に検索し、所定のランクより高いレベルのランクがあれば、修理要などのアラームを出力するように構成しても良い。
【0107】
また、支障箇所の近傍に配設する支障箇所特定機器4_2が、支障箇所の変状の種別に対応した色、形状あるいは模様のいずれかあるいは組み合わせた状態で形成しても良い。この構成の場合、画像処理部32が、画像データにおける支障箇所特定機器4_2の輪郭抽出を行い、支障箇所特定機器4_2の色及び形状を抽出し、支障箇所の変状の種別を判定するようにしても良い。処理データ記憶部38には、支障箇所特定機器4_2の色あるいは形状の各々と、支障箇所の変状の種別との対応を示す変状種別テーブルが記憶されている。画像処理部32は、抽出した色及び形状により、変状種別テーブルを検索して、支障箇所の変状の種別を判定する。また、新たに登録される場合、作業者は発見した支障箇所の近傍に対し、支障箇所の変状の種別に対応した色及び形状の支障箇所特定機器4_2を配設する。
【0108】
上述したように、本実施形態によれば、支障箇所計測装置2により採寸した計測データを、点検用携帯端末3において電子データとして取得して内部に記憶するため、従来の様に野帳に手書きで書き込んで後に整理する場合に比較し、筆記や転記の間違いがなくなり、精度の高い計測データの比較を行うことができる。
また、本実施形態によれば、既往点検データの計測データ(過去の計測データ)を、点検用携帯端末3に記憶させて、現地で携帯して点検を行うため、新たな計測データの取得を行った後に、過去の計測データと比較することが容易にできるため、支障箇所の変状の変化を現地で把握することができるため、変状の変化の程度の確認の正確性と効率性とが従来に比較して向上する。
【0109】
また、本実施形態によれば、点検用携帯端末3に書き込まれる計測データをその場で確認することができるので、 測定データの記入間違いを低減させ、支障箇所の計測データ収集の正確性及び効率性が従来の野帳筆記に比較して向上する。
また、本実施形態によれば、番号体系#1及び番号体系#2の各々を用いて、既往点検データ用データベース54を構築することにより、撮像した画像データを含めて、支障箇所施設特定テーブル及び支障箇所判定特定テーブルにおける各種データを一意の関連づけることが可能となり、支障箇所の劣化判定に必要なデータ検索、集計における正確性と効率性が、野帳により計測データの収集を行う従来に比較して向上する。
【0110】
また、本実施形態によれば、点検における計測データの取り込み開始が、撮像装置1による支障箇所特定機器4_1及び4_2の撮像処理だけで行える。したがって、本実施形態によれば、特段の設定手順を点検用携帯端末にプログラムなどで搭載する必要がなく作業手順を簡易化できるとともに、支障箇所の取り違いを避けることができるため、点検作業の正確性と効率性が従来に比較して著しく向上する。
本実施形態によれば、点検を行う現場において、点検における計測データの確認編集ができるので、後日に計測データの再点検を行う余計な作業を排除することができ、計測データの管理の効率性を、従来に比較して向上させることができる。
本実施形態によれば、点検を行う現場において、既往点検データの支障箇所判定特定テーブルの複製に対して、計測データを変状に変化がなければそのままの数値で、また更新した計測データを新たな計測データとして更新保存できるため、計測データの履歴管理における正確性と効率性とを、従来に比較して向上させることができる。
【0111】
なお、本発明における点検用携帯端末3及び点検データ管理装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより新たな支障箇所施設特定テーブル及び支障箇所判定特定テーブルの生成及び支障箇所施設特定テーブル及び支障箇所判定特定テーブルの管理の制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0112】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。