(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925243
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】ブロードバンドのマイクロストリップアンテナ及びアンテナアレイ
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20160516BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q21/06
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-96028(P2014-96028)
(22)【出願日】2014年5月7日
(65)【公開番号】特開2015-37318(P2015-37318A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2014年5月7日
(31)【優先権主張番号】201310356878.4
(32)【優先日】2013年8月15日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503414751
【氏名又は名称】同方威視技術股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】502192546
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】趙 自然
(72)【発明者】
【氏名】陳 志強
(72)【発明者】
【氏名】李 元景
(72)【発明者】
【氏名】呉 萬龍
(72)【発明者】
【氏名】劉 以農
(72)【発明者】
【氏名】楊 潔青
(72)【発明者】
【氏名】劉 文國
(72)【発明者】
【氏名】桑 斌
(72)【発明者】
【氏名】鄭 磊
【審査官】
岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−088883(JP,A)
【文献】
特開平10−190351(JP,A)
【文献】
特開平06−125218(JP,A)
【文献】
特開2001−308620(JP,A)
【文献】
特開2000−183637(JP,A)
【文献】
特開2001−177314(JP,A)
【文献】
特開2003−051709(JP,A)
【文献】
特開平10−163738(JP,A)
【文献】
特開2008−252155(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0174314(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−13/28
H01Q 21/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の媒体材料基板と、
前記媒体材料基板の上面の上に形成された放射パッチと、
前記媒体材料基板の上面の上に形成され、前記媒体材料基板の一端から、前記放射パッチから所定の距離離れた位置までに延びる結合パッチと、
前記媒体材料基板の下面に設置され、前記媒体材料基板の下面のエッジ付近から下方へ延びてグランドに接続され、前記媒体材料基板の下面とグランドとの間に所定の厚みの空気層が形成された金属支持部品と、を備える、ブロードバンドパッチアンテナ。
【請求項2】
前記金属支持部品は、
銅からなる、請求項1に記載のブロードバンドパッチアンテナ。
【請求項3】
前記空気層の厚みは、
0.5mm〜3.0mmである請求項1に記載のブロードバンドパッチアンテナ。
【請求項4】
前記所定の距離は、
0.4mm〜0.5mmである請求項1に記載のブロードバンドパッチアンテナ。
【請求項5】
前記結合パッチは、長さが1.5mm〜2.5mmであり、その幅が0.5mm〜1.2mmである請求項1に記載のブロードバンドパッチアンテナ。
【請求項6】
前記放射パッチは、長さが4.0mm〜5.0mmであり、その幅が2.0mm〜3.0mmである請求項1に記載のブロードバンドパッチアンテナ。
【請求項7】
前記ブロードバンドパッチアンテナは、
K〜Ka帯域で稼動する請求項1に記載のブロードバンドパッチアンテナ。
【請求項8】
前記結合パッチに接続されるマイクロストリップ給線を更に備える請求項1に記載のブロードバンドパッチアンテナ。
【請求項9】
前記金属支持部品は、
具体的に銅板であり、前記媒体材料基板の両辺に設置されている請求項1に記載のブロードバンドパッチアンテナ。
【請求項10】
前記銅板の幅は、0.4mm〜0.6mmである請求項9に記載のブロードバンドパッチアンテナ。
【請求項11】
一次元に配列される請求項1に記載のブロードバンドパッチアンテナを複数備えるアンテナアレイ。
【請求項12】
矩形の媒体材料基板と、
前記媒体材料基板の長さ方向に沿って間隔を置いて配列され、前記媒体材料基板の上面の上に形成される複数の放射パッチと、
複数の前記放射パッチと相応的に設置され、それぞれが前記媒体材料基板の上面の上に形成されると共に、前記媒体材料基板の一端から、相応的な放射パッチから所定の距離離れた位置までに延びる複数の結合パッチと、
前記媒体材料基板の下面に設置され、前記媒体材料基板の下面のエッジ付近から下方へ延びてグランドに接続され、前記媒体材料基板の下面とグランドとの間に所定の厚みの空気層が形成された金属支持部品と、を備えるアンテナアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はマイクロストリップアンテナに関するものである。具体的には、ブロードバンドのアンテナの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミリ波ホログラフィックイメージング技術分野において、被検体の三次元画像を取得するために、一定の帯域幅の周波数で走査することによって完全的なデータ情報を取得する必要がある。走査システムにおいて、送受信アンテナは、最先端に位置しており、信号を被検体に送信し、被検体から反射された信号を受信するためのものである。システムに集積される送受信アンテナに対して、(1)集積への便利を図るため、体積が小さいこと;(2)主ビームの方向が被検体に正面に向かうよう、方向性を強くさせること;(3)システムの周波数の帯域幅に対する要求を満たすよう、広帯域であること等の幾つかの要求を満たす必要がある。
【0003】
システム化集積において、送受信アンテナを走査することに対して一連の要求があり、小型化、方向性、システムとの整合に対する便宜性などの方面から総合的に考慮して、マイクロストリップアンテナは非常によい選択である。しかしながら、通常のマイクロストリップアンテナは、一般に帯域幅が狭い。「電圧定在波比<2」を基準として計算すれば、相対的な帯域幅は一般的に10%より小さい。周波数中心が30GHzであるアンテナを例として、「電圧定在波比<2」の稼動帯域幅は、3GHzである。このような帯域幅では、使用の需要を遥かに満たしていない。
【0004】
通常、マイクロストリップアンテナの帯域幅を増加する方法は、(1)等価回路のQ値を低下させる方法や、(2)アンテナの損失を大きくするように、媒体の厚みを増大し、媒体の誘電率ε
rを低下させ、媒体の損失角正接tgδを増大するなどの方法や、(3)寄生パッチを追加し、あるいは、電磁結合などを採用する方法や、(4)整合ネットワークがアンテナのサイズを増大するが、インピーダンス整合ネットワークを設計する方法や、(5)アレイ技術を利用する方法などの幾つかの方法が有る。
【0005】
異なる上記の方法で帯域を拡大するのは、一般的に、体積を大きく、あるいは、効率を低下させてしまう。そして、異なる方法で帯域を拡大するのは、アンテナの方向図を相応的に変化させることにもなる。
【0006】
ミリ波のブロードバンドアンテナは、長年の発展歴史を経て、対応する技術も完備に発展して来た。しかしながら、本明細書に提示した方向性という要求について、帯域を拡大すると共に強い方向性を備える技術はよく見られない。帯域を拡大する一般的な方法において、媒体板に溝を作り、あるいは、寄生パッチを加える技術がよく採用されていた。これらの技術は、アンテナの帯域幅に対する要求のみを解決することができるが、その方向性がよくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術にある問題を考慮し、サイズが小さく、且つ方向性が強いブロードバンドのマイクロストリップアンテナ及びアンテナアレイを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面において、ブロードバンドパッチアンテナを提供した。本発明のブロードバンドパッチアンテナは、矩形の媒体材料基板と、前記媒体材料基板の上面の上に形成された放射パッチと、前記媒体材料基板の上面の上に形成され、前記媒体材料基板の一端から、前記放射パッチから所定の距離離れた位置までに延びる結合パッチと、前記媒体材料基板の下面に設置され、前記媒体材料基板の下面のエッジ付近から下方へ延びてグランドに接続され、前記媒体材料基板の下面とグランドとの間に所定の厚みの空気層が形成された金属支持部品と、を備えている。
【0009】
前記金属支持部品が銅からなることが好ましい。
【0010】
前記空気層の厚みが0.5mm〜3.0mmであることが好ましい。
【0011】
前記所定の距離が0.4mm〜0.5mmであることが好ましい。
【0012】
前記結合パッチの長さが1.5mm〜2.5mmであり、幅が0.5mm〜1.2mmであることが好ましい。
【0013】
前記放射パッチの長さが4.0mm〜5.0mmであり、幅が2.0mm〜3.0mmであることが好ましい。
【0014】
また、前記ブロードバンドパッチアンテナがK〜Ka帯域で稼動することが好ましい。
【0015】
また、前記ブロードバンドパッチアンテナが前記結合パッチに接続されるマイクロストリップ給線を更に備えることが好ましい。
【0016】
また、前記金属支持部品が具体的に銅板であり、前記媒体材料基板の両辺に設置されることが好ましい。
【0017】
また、前記銅板の幅が0.4mm〜0.6mmであることが好ましい。
【0018】
本発明の別の局面において、アンテナアレイを提供し、一次元に配列される前記のようなブロードバンドパッチアンテナを複数備える。
【0019】
本発明の別の局面において、アレイアンテナを提供した。本発明のアレイアンテナは、矩形の媒体材料基板と、前記媒体材料基板の長さ方向に沿って間隔を置いて配列され、前記媒体材料基板の上面の上に形成される複数の放射パッチと、複数の前記放射パッチと相応的に設置され、それぞれが前記媒体材料基板の上面の上に形成され、前記媒体材料基板の一端から、相応的な放射パッチから所定の距離離れた位置までに延びる複数の結合パッチと、前記媒体材料基板の下面に設置され、前記媒体材料基板の下面のエッジ付近から下方へ延びてグランドに接続され、前記媒体材料基板の下面とグランドとの間に所定の厚みの空気層が形成された金属支持部品と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
上記技術案によって、サイズが小さい場合、ブロードバンドのマイクロストリップアンテナの方向性を向上することができた。
【0021】
以下の図面は本発明の実施形態を示す。これらの図面及び実施形態は非制限的、非網羅的な方式で本発明の実施例を提供した。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本願の一実施例に係るマイクロストリップアンテナの平面図を示す。
【
図2】本願の一実施例に係るマイクロストリップアンテナの右側面図を示す。
【
図3】本願の一実施例に係るマイクロストリップアンテナの正面図を示す。
【
図4】本願の一実施例に係るマイクロストリップアンテナの底面図を示す。
【
図5】本願の一実施例に係るマイクロストリップアンテナの
図1に示す方向に沿う断面図を示す。
【
図6】本願の実施例に係るマイクロストリップアンテナの定在波比の概略図を示す。
【
図7】本願の実施例に係るマイクロストリップアンテナの28GHzにおける方向図を示し、実線及び破線はそれぞれPhi=0°及びPhi=90°である。
【
図8】本願の他の実施例に係るアレイアンテナの概略図を示す。
【
図9】本願の他の実施例に係る導波ホーンアレイの平面図を示す。
【
図10】
図9に示すような導波ホーンアレイの断面図を示す。
【
図11】送受信アンテナの定在波比の概略図を示す。
【
図13】ホーン口アレイが増加されていないときのアレイアンテナの分離度を示す。
【
図14】ホーン口アレイが増加されたときのアレイアンテナの分離度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。なお、ここで説明した実施例は、例として説明するためのものであり、本発明は、これに限らないと理解すべきである。以下の説明において、本発明に対する透徹した理解をさせるため、大量の特定の細部を描写した。しかし、必ずこれらの特定の細部を採用して本発明を実現することではないことが当業者にとって明らかになっている。その他の実例においては、本発明との混同を避けるために、周知の回路、材料または方法に対する具体的な説明を省略した。
【0024】
本明細書の全体において、言及した「一実施例」、「実施例」、「一例示」または「例示」は、該実施例または例示に結合して描写した特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも一実施例に含まれていることを意味する。従って、明細書全体の各箇所に現れた短文「一実施例において」、「実施例において」、「一例示」または「例示」は、必ず同一の実施例または例示を指したものではない。また、何らかの適宜な組み合わせ及び/又はサブ組み合わせによって、特定の特徴、構造または特性を一つまたは複数の実施例または例示に組み合わせることができる。また、当業者は、ここの「及び/又は」という術語が一つ又は複数の関連するアイテムの任意及び全ての組み合わせを含むことを理解すべきである。
【0025】
帯域が広く、方向性が強く、且つサイズが小さいアンテナを取得するために、本願のいくつかの実施例には、ブロードバンドパッチアンテナを提供する。該アンテナは、矩形の媒体材料基板と、前記媒体材料基板の上面の上に形成された放射パッチと、前記媒体材料基板の上面の上に形成され、前記媒体材料基板の一端から、前記放射パッチに所定の距離を離れる位置までに延びる結合パッチと、前記媒体材料基板の下面に設置され、前記媒体材料基板の下面のエッジ付近から下方へ延びてグランドに接続され、前記媒体材料基板の下面とグランドとの間に所定の厚みの空気層が形成された金属支持部品と、を備えている。上記実施例のアンテナは、高周波数で稼動し(例えば、中心周波数はK〜Ka帯域であり、ミリ波アンテナである)、相対帯域幅は20%以上であり、主ビームをアンテナ上方の空間内に集中し、大部分のエネルギーを有効的な検出に使用させる。また、該アンテナのサイズは小さく、例えば、アンテナのサイズは稼動の波長に相当する。
【0026】
図1、
図2、
図3及び
図4は、本願の一実施例に係るマイクロストリップアンテナの平面図、右側面図、正面図及び底面図をそれぞれ示している。該アンテナは、
図1に示すように、矩形の媒体材料基板110と、放射パッチ120と、結合パッチ130とを含む。
図3に示すように、該アンテナは、空気層160を増加し、媒体及び電磁結合の方式で帯域幅を拡大し、50オームのマイクロストリップ線エッジ給電を採用する。
【0027】
図に示すように、放射パッチ120は媒体材料基板110の上面に形成されている。結合パッチ130は、媒体材料基板110の上面に形成され、媒体材料基板110の一端から、放射パッチ120から所定の距離離れた位置までに延びる。金属支持部品140は、媒体材料基板110の下面に設置され、媒体材料基板110の下面エッジ付近から下方へ延びてグランド150に接続され、媒体材料基板110の下面とグランドとの間に所定の厚みhaの空気層160が形成されている。
【0028】
いくつかの実施例において、媒体材料基板110はRogers5880の媒体材料を採用し、厚みの範囲は0.2mm〜0.4mmであり、0.254mmであることが好ましい。誘電率εは2よりも大きく、2.2であることが好ましい。損失角正接は0.0009である。媒体材料基板の長さは6.5mm〜8.5mmであり、7.8mmであることが好ましい。幅は5mm〜7mmであり、6.1mmであることが好ましい。
【0029】
いくつかの実施例において、空気層160の厚みhaは0.5mm〜3.0mmであり、1.0mmであることが好ましい。結合パッチ130の長さlplは1.5mm〜2.5mmであり、1.9mmであることが好ましい。幅wplは0.5mm〜1.2mmであり、0.8mmであることが好ましい。放射パッチ120の長さlpは4.0mm〜5.0mmであり、2.7mmであることが好ましい。幅wpは2.0mm〜3.0mmであり、4.5mmであることが好ましい。放射パッチ120と結合パッチ130との間の距離dは0.4mm〜0.5mmであり、0.45mmであることが好ましい。また、支持部品は、媒体材料基板110の裏面に設置されており、具体的には銅板であり、その幅が0.4mm〜0.6mmであり、0.5mmであることが好ましい。この部品は、媒体材料基板110に支持作用を奏すると共に、実装のときに良好な接地性を保証するものである。
【0030】
図5は、本願の一実施例に係るマイクロストリップアンテナの
図1に示す方向に沿う断面図を示す。
図5に示すように、金属支持部品140は、媒体材料基板の下面のエッジに設置され、下方へ延びている(
図5の断面図には、右に延びる)。
【0031】
図6は本願の実施例に係るマイクロストリップアンテナの定在波比の概略図を示す。
図2に示すように、アンテナの「VSWR<2」のインピーダンス帯域幅は10GHz(23GHz〜33GHz)であり、中心周波数は28GHzであり、相対帯域幅は35.7%であり、超ブロードバンドアンテナの要求に達する。
図7は本願の実施例に係るマイクロストリップアンテナの28GHzにおける方向図を示し、実線及び破線はそれぞれPhi=0°及びPhi=90°であることを示す。
図7から分かるように、アンテナの主ビームは、放射面の正上方に位置し、応用な要求を満たしている。
【0032】
上記は具体的なサイズを結合してアンテナを製作したが、当業者がパラメータを適宜に変更することによって中心周波数及び相対帯域幅を変更することができる。
【0033】
以上、単一のマイクロストリップアンテナの構造が記載された。当業者は、それをアンテナアレイに形成することができる。
図8は、本願の他の実施例に係るアレイアンテナの概略図を示す。該アンテナアレイは、
図8に示すように、送信アンテナ又は受信アンテナでも良い。いくつかの実施例において、アンテナアレイに、一次元に配列される
図1に示す複数のブロードバンドパッチアンテナが含まれている。他の実施例において、複数の上記パッチアンテナに対して、単一の金属支持部品を設けてもよい。
【0034】
いくつかの実施例において、提供されたアレイアンテナは、矩形の媒体材料基板を含み、複数の放射パッチ及び複数の結合パッチを媒体材料基板の上面に相応的に設置する。例えば、複数の放射パッチは、媒体材料基板の長さ方向に沿って間隔を置いて配列され、媒体材料基板の上面の上に形成される。複数の結合パッチと複数の放射パッチとは相応的に設置され、それぞれの結合パッチは媒体材料基板の上面の上に形成され、媒体材料基板の一端から、相応的な放射パッチから所定の距離離れた位置までに延びる。該アレイアンテナは、媒体材料基板の下面に設置され、媒体材料基板の下面のエッジ付近から下方へ延びてグランドに接続され、媒体材料基板の下面とグランドとの間に所定の厚みの空気層が形成された金属支持部品を備えている。このような方式に従って、複数のブロードバンドパッチアンテナを有するアンテナアレイを形成することができる。
【0035】
送信アンテナと受信アンテナとの間の分離度は、通信システムにおける1つの重要な指標である。分離度が比較的に低い場合、送信信号が受信信号に妨害する信号の強度が比較的に高く、通信の品質は相応的に低下する。通常、アンテナの分離度とは、1つのアンテナの送信信号が別のアンテナを介して受信される信号と該送信アンテナの信号との比である。
【0036】
分離度を向上するために、送受信アンテナの間の電磁結合通路で障害を設置して電磁結合を阻止することができ、あるいは、ダブル稼動状態の送受信アンテナを採用することができる。その送信及び受信はそれぞれ直交線分極又は直交円分極を採用する。また、送受信アンテナの間で別の結合通路を追加して、それに原結合信号と相殺させることもできる。
【0037】
いくつかの実施例において、上記ミリ波マイクロストリップアンテナアレイに、それと整合する導波ホーン放射器を設け、元の送受信アンテナのブロードバンド及び方向性を保証することを基礎とし、送受信アンテナの分離度を向上することができる。
【0038】
いくつかの実施例において、アンテナアレイにおける単一のアンテナは、上記空気媒体層を増加する方式や電磁結合の方式によって帯域幅を拡大し、50オームのマイクロストリップ線エッジ給電を採用する。システム全体は一次元のアンテナアレイを採用する。アンテナの中心間隔は8.0mm〜15.0mmであり、10.4mmであることが好ましい。送受信アンテナの間の相対位置は、
図8に示すように、送受信アンテナの垂直間隔は20mm〜40mmであり、30mmであることが好ましい。水平相対位置は4.0mm〜6.0mmであり、5.2mmであることが好ましい。アンテナアレイの稼動状態は単受信および単送信とする。
【0039】
アンテナアレイのマイクロストリップアンテナは、
図1に示す実施例に従って設計されることができる。前記アンテナアレイと整合するホーン放射器は、矩形導波及びホーンを含む。例えば、いくつかの実施例において、放射器のホーン口は一段の矩形導波及びホーン自身からなる。矩形導波のサイズは対応するマイクロストリップアンテナのパッチサイズと一致する。
【0040】
図9及び10に示すように、いくつかの実施例において、導波ホーンアレイが提供された。矩形金属板211上に、矩形金属板211の長さ方向に沿って加工された断面が矩形である複数の孔があり、各孔の下段に矩形導波214が形成され、各孔の上段にホーン口213が形成される。矩形金属板の上面の孔の両側に、複数の孔の配列方向に沿って延びる、所定の深さを有する溝212が形成されている。例えば、ホーンの高さは10mm〜14mmであり、13mmであることが好ましい。ホーン口の幅は導波の幅と一致する。ホーン口の長さは9〜12mmであり、11mmであることが好ましい。ホーンアレイの両側に、2mm幅の金属壁が2つ追加される。ただし、両側の金属溝は対称している。対称する金属溝は、導波ホーン口が追加されたアンテナの方向図を常に対称している。
【0041】
また、溝212に複数のネジ孔(図示せず)が形成され、導波ホーンアレイとアンテナアレイとを結合する。いくつかの実施例において、導波ホーンアレイにおいては、溝212の幅は3.0mm〜5.0mmであり、4mmであることが好ましく、深さは8.0mm〜12.0mmであり、10mmであることが好ましい。
【0042】
図11及び
図12はそれぞれ送受信アンテナの定在波比及びアンテナの方向図であり、
図13及び
図14はそれぞれホーン口アレイを追加する前および後のアンテナの分離度の対比である。
図11、
図12から分かるように、導波ホーンが追加されたアンテナは、広帯域、主ビームの方向が集中し、サイズが小さいという長所を保持しており、「VSWR<2」の帯域幅は22.8GHz〜30.5GHzであり、相対帯域幅は28.9%に達する。
図13と
図14との対比から分かるように、導波ホーン口アレイは、分離度を5〜10dB増加させる。総合的には言えば、この新型なホーン口アレイは、分離度を向上する目的をよく達した。
【0043】
これにより、上記実施例に係るマイクロストリップアンテナは、体積が小さく、集積に便利であるという長所を有する。そして、マイクロストリップアンテナと導波ホーン放射器とを結合する上記実施例は、アンテナに帯域幅、方向性などの方面に良好な性能を保持させると共に、システムの送受信アンテナの分離度を向上した。
【0044】
以上、本発明の典型的な実施例に基づいて本発明を説明したが、当業者は、使用された用語が、説明するための例であって、本発明を限定する用語ではないと理解すべきである。また、本発明は、精神及び実質を逸脱しない限りに、種々の形態で具体的に実施できるので、上記の実施例は、前述の詳細に限らず、特許請求の範囲によって限定されるものとして、広く解釈できると理解すべきである。特許請求の範囲または等価の範囲内での全ての変化や改良は、特許請求の範囲内に含まれていることを理解すべきである。