特許第5925263号(P5925263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925263
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/00 20060101AFI20160516BHJP
   F16L 21/08 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   F16L21/00 D
   F16L21/08 B
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-181822(P2014-181822)
(22)【出願日】2014年9月8日
(62)【分割の表示】特願2010-236935(P2010-236935)の分割
【原出願日】2010年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-7480(P2015-7480A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2014年9月8日
(31)【優先権主張番号】特願2009-243942(P2009-243942)
(32)【優先日】2009年10月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸 正蔵
(72)【発明者】
【氏名】横溝 貴司
(72)【発明者】
【氏名】井谷 昌功
(72)【発明者】
【氏名】金子 正吾
(72)【発明者】
【氏名】香川 崇哲
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸平
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−159080(JP,A)
【文献】 特開2004−316710(JP,A)
【文献】 特開2003−202092(JP,A)
【文献】 実開平7−38871(JP,U)
【文献】 特開2004−162854(JP,A)
【文献】 実開平2−16896(JP,U)
【文献】 特開平11−315978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/00
F16L 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受口の内部に挿口を挿入して接合させる管継手であって、
挿口によって受口の内部奥側に押し込まれ挿口の先端と受口の内部奥側との間に装着されるライナが備えられ、
受口の奥側内面は、ライナが挿口によって受口の内部奥側に押し込まれたときにライナの軸心が受口および挿口の軸心に位置するようにライナを管径方向に案内する案内面であり、受口の奥部に向かって前記受口の内径が縮径される断面円弧形状の第1の面と、断面円弧形状の第2の面とを有し、
第1の面の円弧の半径が第2の面の円弧の半径よりも大きいことを特徴とする管継手。
【請求項2】
受口の奥側内面は第1の面と第2の面との間に形成されたテーパ面を有し、
第1の面と第2の面とテーパ面とは受口の奥側に向かって縮径される面であり、
第1の面と第2の面とがテーパ面を介して連続していることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
第2の面は第1の面に屈曲せずに連続していることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項4】
第1の面が受口の内面の奥側にあり、
挿口を受口に挿入する前に、ライナは中心軸が受口の軸心と平行になるように内面上に設置可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項5】
ライナの外径を挿口の外径より大きくせず、或いは、ライナを挿口より肉厚にしていないことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項6】
ライナの外径および肉厚を挿口の先端面の外径および肉厚と等しくしたことを特徴とする請求項5に記載の管継手。
【請求項7】
受口の内面には、ライナの管径方向に沿った所定位置を支持する案内部材が設けられることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項8】
ライナには、ライナが挿口によって押し込まれるときに挿口の外周に被さってライナを挿口に対して調心状態で位置決めさせる案内片が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関し、より詳細には、ライナを受口および挿口の軸心上に装着可能な管継手の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水道管路のうち、曲がり部またはT字管路などの異形管部などでは、水圧による力が均一に作用しないために、水道管路が正規の位置からずれることがある。水道管路を正規の位置に保持するためには、継手を拘束して管路の一体化を図る必要がある。図12は、従来技術におけるライナ82が装着された状態を示す断面図である。耐震継手を用いた通常の水道管路において、ライナ82は装着されない。地震発生時に管継手81の伸縮を許容して耐震を図るために、受口83と挿口88とは、挿口突部92がロックリング93に当接する位置と、挿口88の端部89が受口83の奥部87に当接する位置との間で伸縮可能である。
【0003】
ここでは、管継手81の伸縮および屈曲を拘束するとともに、所定の曲げ剛性を確保するために、受口83の奥部87と挿口88の端部89との間に形成される空間90に、円筒状のライナ82が装着される。受口83の奥部内面86には、ライナ芯出し用ゴム材85が接着され、ライナ82は、外面84がライナ芯出し用ゴム材85に案内されて空間90に収容される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
管継手81の伸縮および屈曲を拘束し、所定の曲げ剛性を確保するために、ライナ82は、受口83および挿口88の軸心91上に装着されなければならない。ところが、ライナ82は、受口83の内径の寸法公差を考慮して形成されるので、受口83の内径寸法によっては、ライナ82が受口83および挿口88の軸心91から外れた状態で装着される場合がある。ライナ82が、受口83および挿口88の軸心91から外れた状態で装着された場合であっても受口83および挿口88の軸心91上に装着された場合と同様のライナ掛かり代Aを確保するために、ライナ82は、挿口88の外径より大きく、また挿口88よりも肉厚に形成される。これによって、管継手81の伸縮および屈曲を拘束し、所定の曲げ剛性が確保されるが、軽量化の要請に反し、コストアップにも繋がっている。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決するもので、ライナを受口および挿口の軸心上に装着することによって、軽量化およびコストダウンが図られた管継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために本発明は、受口の内部に挿口を挿入して接合させる管継手であって、挿口によって受口の内部奥側に押し込まれ挿口の先端と受口の内部奥側との間に装着されるライナが備えられ、受口の奥側内面は、ライナが挿口によって受口の内部奥側に押し込まれたときにライナの軸心が受口および挿口の軸心に位置するようにライナを管径方向に案内する案内面であり、受口の奥部に向かって前記受口の内径が縮径される断面円弧形状の第1の面と、断面円弧形状の第2の面とを有し、第1の面の円弧の半径が第2の面の円弧の半径よりも大きいものである。
また本発明において、受口の奥側内面は第1の面と第2の面との間に形成されたテーパ面を有し、第1の面と第2の面とテーパ面とは受口の奥側に向かって縮径される面であり、第1の面と第2の面とがテーパ面を介して連続しているものである。
また本発明において、第2の面は第1の面に屈曲せずに連続しているものである。
また本発明において、第1の面が受口の内面の奥側にあり、挿口を受口に挿入する前に、ライナは中心軸が受口の軸心と平行になるように内面上に設置可能であるものである。
また本発明において、ライナの外径を挿口の外径より大きくせず、或いは、ライナを挿口より肉厚にしていないものである。
また本発明において、ライナの外径および肉厚を挿口の先端面の外径および肉厚と等しくしたものである。
また本発明において、受口の内面には、ライナの管径方向に沿った所定位置を支持する案内部材が設けられる。
また本発明において、ライナには、ライナが挿口によって押し込まれるときに挿口の外周に被さってライナを挿口に対して調心状態で位置決めさせる案内片が設けられているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、受口の奥側内面は、ライナが挿口によって受口の内部奥側に押し込まれたときにライナの軸心が受口および挿口の軸心に位置するようにライナを管径方向に案内するので、ライナの自動調心を行うことができる。また、ライナの外径および肉厚を挿口の外径および肉厚とすることができるので、軽量化およびコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の参考例における円筒状のライナの装着手順を示す概略図である。
図2】本発明の第2の参考例におけるライナが装着された状態を示す断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態における案内面の断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態における案内面の断面図である。
図5】本発明の第3の実施形態におけるライナの装着手順を示す概略図である。
図6】ライナ芯出し補助具の外観図である。
図7】本発明の第4の実施形態におけるライナ芯出し補助具の外観図である。
図8】本発明の第5の実施形態におけるライナ芯出し補助具の外観図である。
図9】本発明の第6の実施形態におけるライナ芯出し補助具の外観図である。
図10】本発明の第6の実施形態におけるライナの装着手順を示す概略図である。
図11】本発明の第7の実施形態におけるライナの装着手順を示す概略図である。
図12】従来技術におけるライナが装着された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第1の参考例について図1に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の参考例における円筒状のライナ2の装着手順を示す概略図である。図1(a)は、ライナ2が受口3の内面4上に設置された状態を示す断面図である。図1(b)は、ライナ2がテーパ面5を迫り上がる状態を示す断面図である。図1(c)は、ライナ2が装着された状態を示す断面図である。
【0010】
水平方向に配置された受口3の内周にはロックリング16とロックリング芯出し部材20とが収容される凹部9が形成され、凹部9の奥側には、軸心10と平行な内面4が形成される。内面4の奥側には奥部に向かって縮径される案内面であるテーパ面5が形成される。内面4とテーパ面5との接続部には断面円弧形状の面6 (以下、円弧6という。)が形成され、内面4とテーパ面5とは滑らかに接続される。縮径されたテーパ面5の端部は、ライナ2の端面13が当接する当接面7に接続される。
【0011】
図1(a)に示すように、ライナ2は、中心軸が受口3の軸心10と平行になるように内面4上に設置される。ライナ2の外径および肉厚は、挿口8の外径および肉厚と等しくされる。挿口8が軸心10に沿って受口3の奥側に向かって挿入されると、挿口8の端面11はライナ2の端面12に非同心の状態で当接する。挿口8に押圧されるライナ2は、受口3の奥側に向かって内面4上を移動する。内面4は円弧6を介してテーパ面5に接続されているので、ライナ2は内面4とテーパ面5とが接続する角部で倒れることなく滑らかにテーパ面5に移動することができる。
【0012】
図1(b)に示すように、テーパ面5に移動したライナ2は、奥側端面13の下部14がテーパ面5に当接し、テーパ面5を迫り上がる。図1(c)に示すように、下部14がテーパ面5と当接面7との接続部15に到達すると、ライナ2は、挿口8に押されながら端面13が当接面7に当接した状態で、受口3および挿口8の軸心10上に装着される。接続部15は、ライナ2の下部14が接続部15に到達したときにライナ2が自動調心されて受口3および挿口8の軸心10上に装着される位置に形成される。
【0013】
ライナ2は、下部14がテーパ面5、接続部15などに案内された状態で受口3および挿口8の軸心10上に装着されるので、ライナ2の外径を挿口8の外径より大きくし、あるいはライナ2を挿口8より肉厚にすることなく、ライナ2の外径および肉厚を挿口8の外径および肉厚と等しくした状態で、管継手1の伸縮および屈曲を拘束し、所定の曲げ剛性を確保することができる。
【0014】
図2は、本発明の第2の参考例におけるライナ2が装着された状態を示す断面図である。第1の参考例と重複する部分については、説明を省略し、同一の参照符を用いる。案内面は、受口18の奥部に向かって受口18の内径が縮径されるように形成された断面円弧形状の面19 (以下、円弧19という。)である。縮径された円弧19の端部は、ライナ2の端面13が当接する当接面7に接続される。
【0015】
挿口8に押圧されるライナ2は、受口18の奥側に向かって内面4上を移動する。内面4は、内面4に接する円弧19に接続されているので、ライナ2は、内面4から円弧19に滑らかに移動することができる。円弧19に移動したライナ2は、奥側端面13の下部14が円弧19を迫り上がる。図2に示すように下部14が円弧19と当接面7との接続部15に到達すると、ライナ2は、挿口8に押されながら、ライナ2の端面13が当接面7に当接した状態で、受口18および挿口8の軸心10上に装着される。
【0016】
ライナ2は、下部14が円弧19、接続部15などに案内された状態で受口18および挿口8の軸心10上に装着されるので、ライナ2の外径を挿口8の外径より大きくし、あるいはライナ2を挿口8より肉厚にすることなく、ライナ2の外径および肉厚を挿口8の外径および肉厚と等しくした状態で、管継手17の伸縮および屈曲を拘束し、所定の曲げ剛性を確保することができる。
【0017】
図3は、本発明の第1の実施形態における案内面の断面図である。第1または第2の参考例と重複する部分については説明を省略し、同一の参照符を用いる。受口18の奥側内面としての案内面30は、テーパ面35と断面円弧形状の第1および第2の面36,37(以下、断面円弧形状の第1の面36を第1の円弧36といい、断面円弧形状の第2の面37を第2の円弧37という。)とを備える。テーパ面35および第1および第2の円弧36,37は、いずれも受口33の奥部に向かって縮径される面である。内面4は第1の円弧36を介してテーパ面35に接続され、テーパ面35は第2の円弧37を介して当接面7に接続される。
【0018】
第1の円弧36は,内面4およびテーパ面35に接した状態で滑らかに接続され、第2の円弧37は,テーパ面35および当接面7に接した状態で滑らかに接続され、第1の円弧36の半径R1は、第2の円弧37の半径R2よりも大きくされる。案内面30は、テーパ面35と第1および第2の円弧36,37とによって形成され、内面4と当接面7とに滑らかに接続されるので、内面4上に設置されたライナ2は、挿口8に押圧されて滑らかに移動することができ、受口18および挿口8の軸心10上に容易に装着される。
【0019】
図4は、本発明の第2の実施形態における案内面の断面図である。第1,第2の参考例および第1の実施形態と重複する部分については説明を省略し、同一の参照符を用いる。案内面40は、断面円弧形状の第1の面44と断面円弧形状の第2の面45(以下、断面円弧形状の第1の面44を第1の円弧44といい、断面円弧形状の第2の面45を第2の円弧45という。)とを備える。第1および第2の円弧44,45は、いずれも受口43の奥部に向かって縮径される面である。内面4は第1の円弧44に接続され、第1の円弧44は第2の円弧45を介して当接面7に接続される。第1の円弧44は,内面4に接した状態で滑らかに接続され、第2の円弧45は,第1の円弧44および当接面7に接した状態で滑らかに接続される。第2の円弧45の半径R4は第1の円弧44の半径R3よりも小径とされる。ライナ2は内面4から第1の円弧44に滑らかに移動し、第1の円弧44によって管径方向に案内される。ライナ2は、第1の円弧44に連続する小径の第2の円弧45に滑らかに移動することができ、第2の円弧45によって滑らかに受口43および挿口8の軸心10上に装着される。このように、ライナ2は2つの第1および第2の円弧44,45によって、滑らかに受口43および挿口8の軸心10上に装着される。
【0020】
図5は、本発明の第3の実施形態におけるライナ2の装着手順を示す概略図である。図5(a)は、ライナ2がライナ芯出し補助具21に設置された状態を示す断面図である。図5(b)は、ライナ2が装着された状態を示す断面図である。図6は、ライナ芯出し補助具21の外観図である。本発明の第3の実施形態について、図5(a),図5(b)および図6に基づいて説明する。第1,第2の参考例および第1,第2の実施形態と重複する部分については説明を省略し、同一の参照符を用いる。
【0021】
受口3の内面4には案内部材であるライナ芯出し補助具21が設けられる。ライナ芯出し補助具21は、ナイロン6などの樹脂を用いて略円筒形に成形され、外面22が受口3の内面4に当接した状態で設けられる。ライナ芯出し補助具21を内面4に固定するために外面22を内面4に接着してもよい。受口3の内部に設置されるライナ2の外面25は、ライナ芯出し補助具21の内面23に設置される。
【0022】
ライナ芯出し補助具21の内面23に設置されたライナ2は、挿口8によって端面12が押圧される。ライナ2は受口3の奥側に移動し、奥側端面13の下部14がテーパ面5に当接する。ライナ2は、下部14がテーパ面5に当接した状態でテーパ面5を迫り上がり、図5(b)に示すように、端面13の下部14が接続部15に到達する。下部14が接続部15に到達すると、ライナ2の端面13は当接面7に当接し、ライナ2が自動調心されて受口3および挿口8の軸心10上に装着される。
【0023】
ライナ2はライナ芯出し補助具21の内面23に設置されるので、ライナ2の管径方向における移動距離が短くなり、容易に受口3および挿口8の軸心10上に装着される。移動するライナ2が倒れかかった場合には、ライナ2の動きがライナ芯出し補助具21の内面23によって制限され、ライナ2の倒れかかりが防止される。
【0024】
なお、本実施例においては、ライナ芯出し補助具21を受口3の内面4に接着した後に、ライナ2をライナ芯出し補助具21の内面23に挿入したが、これに限定されるものではない。ライナ2を受口3に挿入した後に、ライナ芯出し補助具21を受口3の内面4に接着して固定することもできる。
【0025】
図6に示すように、ライナ芯出し補助具21の内面23には、ライナ2を支持する幅狭な支持面27が適当間隔を置いて軸心10方向に複数箇所設けられ、隣り合う支持面27間を連結する連結部には幅広な凹部24が各々形成されている。このように支持面27間を連結する連結部を肉薄に形成することによってライナ芯出し補助具21の軽量化が図られる。
【0026】
図7は、本発明の第4の実施形態におけるライナ芯出し補助具41の外観図である。本発明の第4の実施形態について、図7に基づいて説明する。第1,第2の参考例および第1〜第3の実施形態と重複する部分については説明を省略し、同一の参照符を用いる。ライナ芯出し補助具41は、略円筒形のライナ芯出し補助具21の凹部24を1箇所取り除いて1つ割とされる。1つ割とされたライナ芯出し補助具41は、受口3の内面4に容易に挿入される。ライナ芯出し補助具41は、受口3の内面4に張り付き勝手となるように自然状態での外径を設定すれば、ライナ芯出し補助具41を受口3の内面4に接着することを要しない。
【0027】
図8は、本発明の第5の実施形態におけるライナ芯出し補助具51の外観図である。本発明の第5の実施形態について、図8に基づいて説明する。第1,第2の参考例および第1〜第4の実施形態と重複する部分については説明を省略し、同一の参照符を用いる。ライナ芯出し補助具51は、1つ割とされたライナ芯出し補助具41において、外面52に軸心10方向に沿った凹部53を複数箇所形成したものである。凹部53は支持面27の外面52側に形成される。これによって支持面27が形成されている部分の軽量化が図られる。なお、ライナ芯出し補助具51の一端部には補強のためのリブ54が周方向に設けられる。
【0028】
図9は、本発明の第6の実施形態におけるライナ芯出し補助具61の外観図である。図10は、本発明の第6の実施形態におけるライナ2の装着手順を示す概略図である。図10(a)は、ライナ2がライナ芯出し補助具61に設置された状態を示す断面図である。図10(b)は、ライナ2が装着された状態を示す断面図である。本発明の第6の実施形態について、図9図10(a)および図10(b)に基づいて説明する。第1,第2の参考例および第1〜第5の実施形態と重複する部分については説明を省略し、同一の参照符を用いる。
【0029】
ライナ芯出し補助具61は、1つ割とされたライナ芯出し補助具51において、支持面27を連結する連結部62を周方向に沿って幅狭に形成したものである。7箇所に形成される支持面67a,67a,67b,67b,67c,67c,67dのうち、1つ割とされた側端部から2つ目の支持面67b,67bと4つ目の支持面67dとの3箇所は軸心10方向に長尺に形成され、側端部に位置する支持面67a,67aと側端部から3つ目の支持面67c,67cとの4箇所は、連結部62とともに幅狭に形成される。なお、一端部には補強のためのリブ64が周方向に設けられる。
【0030】
長尺に形成された支持面67b,67b,67dは、奥側端部に面取り68がされているので、テーパ面5に接触することなく隣接した状態で設置可能である。ライナ2は、支持面67b,67b,67dによって軸心10方向の広い範囲が支持された安定した状態で、端面13の下部14がテーパ面5に当接するまで押圧される。ライナ芯出し補助具61は、長尺に形成された支持面67b,67b,67dによってライナ2を安定した状態で支持するとともに、支持面67a,67a,67c,67cと連結部62とを周方向に沿って幅狭とすることでいっそうの軽量化が図られる。
【0031】
なお、下部14がテーパ面5に当接したライナ2はテーパ面5を迫り上がり、図10(b)に示すように、端面13の下部14が接続部15に到達する。下部14が接続部15に到達すると、ライナ2の端面13は当接面7に当接し、ライナ2が自動調心されて受口3および挿口8の軸心10上に装着される。
【0032】
図5図10において、略円筒形のライナ芯出し補助具21および1つ割のライナ芯出し補助具41,51,61について説明したが、ライナ芯出し補助具はこれに限定されるものではない。ライナ芯出し補助具はライナ2の外面下部26を支持するものであればよく、たとえば半円弧形状のもの、あるいは半円未満の円弧形状のものでもよい。
【0033】
図11は、本発明の第7の実施形態におけるライナ72の装着手順を示す概略図である。図11(a)は、ライナ72が内面4に設置された状態を示す断面図である。図11(b)は、ライナ72が装着された状態を示す断面図である。本発明の第7の実施形態について、図11(a)および図11(b)に基づいて説明する。
【0034】
挿口8が押圧するライナ72の端面78の周縁部73には案内片74が設けられる。案内片74は、たとえば樹脂成形された筒状の薄肉体で構成され、円筒部80と円筒部80の端部から伸延し拡径する傾斜面75とを有している。案内片74は、円筒部80が端面78の周縁部73から一定の長さ立ち上がった状態でライナ72の外面71に接着され固定される。挿口8が受口3の内部に挿入されると、ライナ72は挿口8に押圧されて受口3の奥側に移動し、奥側の端面76の下部77がテーパ面5を迫り上がる。
【0035】
このとき端面76に対して他端部側の端面78は、案内片74に誘われて挿口8の端面79に当接するように移動する。ライナ72は、端面76が当接面7に調心状態で位置決めされ、さらに案内片74によって、端面78が挿口8の端面79に調心状態で位置決めされる。これによってライナ72は、より正確に受口3および挿口8の軸心10上に装着される。
【0036】
このように、受口3の内部に挿口8を挿入して接合させる管継手1であって、挿口8によって受口3の内部奥側に押し込まれ挿口8の先端と受口3の内部奥側との間に装着されるライナ2を備え、受口3の内部奥側にはライナ2が挿口8によって受口3の内部奥側に押し込まれたときにライナ2の軸心が受口3および挿口8の軸心10に位置するようにライナ2を管径方向に案内する案内面が形成されているので、ライナ2の自動調心を行うことができ、ライナ2の外径および肉厚を挿口8の外径および肉厚とすることができ、管継手1の軽量化およびコストダウンを図ることができる。
【0037】
さらに、案内面は、受口3の奥部に向かって縮径されるテーパ面5であるので、ライナ2の自動調心を行うことができる。
さらに、案内面は、受口18の奥部に向かって受口18の内径が縮径されるように形成された円弧19であるので、ライナ2の自動調心を行うことができる。
【0038】
さらに、案内面は、受口3の奥部に向かって縮径されるテーパ面5と、受口3の奥部に向かって受口3の内径が縮径されるように形成された円弧6とを備えるので、ライナ2は内面4とテーパ面5とが接続する角部で倒れることなく滑らかにテーパ面5に移動することができる。
【0039】
さらに、案内面は、受口43の奥部に向かって受口43の内径が縮径される円弧44と円弧44に屈曲せずに連続する円弧45とであるので、ライナ2は2つの円弧44,45によって、滑らかに受口43および挿口8の軸心10上に装着される。
【0040】
さらに、受口3の内面4には、ライナ2の管径方向に沿った所定位置を支持する案内部材であるライナ芯出し補助具21が設けられるので、ライナ2の管径方向における移動距離が短くなり、ライナ2を容易に受口3および挿口8の軸心10上に装着することができる。
【0041】
さらに、ライナ芯出し補助具21は略円筒形であるので、移動するライナ2が倒れかかった場合には、ライナ2の動きがライナ芯出し補助具21の内面23によって制限され、ライナ2の倒れかかりが防止される。
【0042】
さらに、ライナ芯出し補助具41は1つ割りであるので、受口3の内面4に容易に挿入される。
さらに、ライナ芯出し補助具41,51の内面23および/または外面52には、凹部24,53が形成されているので、ライナ芯出し補助具41,51の軽量化が図られる。
【0043】
さらにライナ芯出し補助具61は、周方向に隣り合うように複数形成されライナ2の所定位置を支持する支持部67b,67b,67dと、支持部67b,67b,67dよりも軸心方向に幅狭に形成され支持部67b,67b,67d同士を連結する連結部62とを備えるので、ライナ2を安定した状態で支持するとともに連結部62を周方向に沿って幅狭とすることでいっそうの軽量化が図られる。
【0044】
さらに、ライナ72には、ライナ72が挿口8に押し込まれるときに挿口8の外周に被さってライナ72を挿口8に対して調心状態で位置決めされる案内片74が設けられているので、ライナ72は、端面76が当接面7に調心状態で位置決めされ、さらに案内片74によって、端面78が挿口8の端面79に調心状態で位置決めされ、より正確に受口3および挿口8の軸心10上に装着される。
【符号の説明】
【0045】
1,17 管継手
2,72 ライナ
3,18,33,43 受口
8 挿口
10 軸心
21,41,51,61 ライナ芯出し補助具(案内部材)
30,40 案内面(受口の奥側内面)
35 テーパ面
36,44 第1の円弧(第1の面)
37,45 第2の円弧(第2の面)
74 案内片
R1,R3 第1の円弧の半径
R2,R4 第2の円弧の半径
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