【課題を解決するための手段】
【0010】
これは、請求項1によるドージングシステムにより、そして請求項14による方法により達成される。
【0011】
よって、導入部分に引用されたタイプのドージングシステムは、少なくとも1つの作動エレメントを有するアクチュエータシステムおよび排出開口を有するノズルを備え、閉鎖方向への移動の間、その目的のために、作動エレメントが停止部位において閉鎖エレメントから離れて、第1の部分的な移動において作動エレメントが移動し、その後、閉鎖エレメントと停止部位において接触して、閉鎖エレメントに衝撃を加える。
【0012】
このため、アクチュエータシステムは、好ましくは、このために特別に設けられたアクチュエータ領域に配置され、可能であれば、アクチュエータ領域はノズル領域から空間的に分離している。アクチュエータシステムは、少なくとも1つの(好ましくは自動的な)アクチュエータを備えるシステムとして定義される。作動エレメントが停止部位において直接的に閉鎖エレメント上に作用する場合は、作動エレメント自体がアクチュエータとなり得、または、作動エレメントが、アクチュエータと直接または間接的に連結された機械力伝達エレメントを備え、それによりアクチュエータの力および/または動きを閉鎖エレメントに伝達する。したがって、たとえば、作動エレメントはキャッチおよび/またはレバーを有していてもよい。言い換えると、作動エレメントは、停止部位での一時的な接触により直接、閉鎖エレメントを操作する。
【0013】
停止部位として示されるのは、作動エレメントおよび閉鎖エレメントの間の特別に設けられた接触領域であり、これは特定の力および/または動きの伝達のため、すなわち、作動エレメントおよび閉鎖エレメントの間の衝撃の伝達のためのものである。線接触または面接触だけでなく、点接触のものも停止部位として機能することが可能である。
【0014】
閉鎖エレメントとして定義されるのは、一体物または複合物の機械的エレメントであり、それは好ましくは、たとえばシリコーンを用いたプランジャなど、たとえば円筒状などの細長い形状である。しかしながら、(閉鎖)位置において、閉鎖通路および/または排出開口を閉鎖する円形または楕円形の閉鎖エレメントであってもよい。これに関連する閉鎖通路は、中空体、好ましくは円筒状の中空体であり、その内面が中空スペースを画定、すなわち取り囲み、閉鎖エレメントが中空スペースを閉鎖するように、少なくとも部分的に、その中に閉鎖エレメントが配置される。
【0015】
閉鎖エレメントは、たとえば、アクチュエータシステムにより作動され、開放方向および/または閉鎖方向に移動可能である。閉鎖エレメントの往復移動はこのように生み出され、それはこれら2つの移動方向において移動可能に配置および支持される。
【0016】
本発明によると、そのようなシステムは、作動エレメントの移動が、少なくとも2つの部分的な移動に分けることができるように構成されている。すなわち、第1の部分的な移動において、作動エレメントは、好ましくは接触せずに、閉鎖エレメントから独立して移動する。この第1の部分的な移動の間、作動エレメントは、この目的のために、停止部位において、(まだ)閉鎖エレメントから離れている。作動エレメントは、その後(この第1の部分的な移動の終わりに)、停止部位において閉鎖エレメントと接触し、それにより衝撃を伝える。作動エレメントおよび閉鎖エレメントはその後、ともに閉鎖方向への第2の部分的な移動を完了する。この第2の部分的な移動の間、これらは停止部位において必ずしも接触している必要はない。したがって、閉鎖エレメントが作動エレメントよりも閉鎖方向においてより速く移動することをもたらす、閉鎖エレメントへの衝撃の伝達があればよい。しかし、第2の部分的な移動の間、両エレメントが、所定の期間にわたって、好ましくは、閉鎖エレメントがドージングシステムのノズルを完全に閉鎖する閉鎖エレメントの終端位置までにわたって、互いに接触してともに移動することも可能である。この終端位置には、具体的には、排出開口が閉鎖エレメントにより閉鎖されるように、ノズルの排出開口に閉鎖エレメントが位置するときに達する。
【0017】
このような作動エレメントおよび閉鎖エレメントの一時的な連結および非連結、すなわち接続および分離は、アクチュエータシステム、より具体的には作動エレメントが、閉鎖エレメントからの非連結時に前進速度を増大できることを意味し、これはすなわち、停止部位において閉鎖エレメントと接触する前に、既に加速されていることを意味する。この前進速度は、その後、具体的には閉鎖エレメントにその後伝達される衝撃を増大させるのに用いられる。これにより最終的には、作動エレメントおよび閉鎖エレメントが停止部位において接触しながら同一の経路を移動する場合の速度よりも、閉鎖エレメントが衝撃が加わった後に移動する、閉鎖方向における閉鎖エレメントの最終的な速度の方が速くなる。これにより、閉鎖エレメントがより速く、効果的な閉鎖効果を発揮するという効果を有し、それにより、所望の正確で、かつ、迅速な滴下の中断を達成することができる。この方法により、より小さな液滴サイズもまた可能となる。
【0018】
一方、先行技術においては、閉鎖方向における、アクチュエータシステムの作動エレメントと閉鎖エレメントとの継続した連結が想定されているが、本発明では、この常時接続システムからは明らかに外れて、作動エレメントおよび閉鎖エレメントを一時的のみの接続とし、機械的に非連結なものに代えている。したがって、この2つのエレメントは、時に独立した経路を移動することが可能であり、これは、終端位置の方向、すなわち閉鎖位置における閉鎖エレメントの経路はより短くなるが、適切な時にそれらが衝突したとき、閉鎖方向における閉鎖エレメントの速度が高まることを意味する。
【0019】
導入部において示されたこの種の方法は、少なくとも1つの作動エレメントを有するアクチュエータシステムと、排出開口を有するノズルとを備えたドージングシステムを用いて実施されるという点で、さらに改良が可能である。この作動エレメントは、作動エレメントが停止部位において閉鎖エレメントから離れているように、第1の部分的な移動において閉鎖方向にまず移動し、その後、閉鎖エレメントと停止部位において接触して、閉鎖エレメントに衝撃を加える。
【0020】
本発明のさらなる有利な実施形態およびさらなる改良は、従属請求項および以下の記載に示されている。従属請求項によれば、この方法はドージングシステムにさらに改良がなされ、以下の記載に従って改良され、その逆も同様である。
【0021】
本発明の範囲内で、動作時に作動エレメントおよび閉鎖エレメントが異なる最大経路を移動するように、アクチュエータシステムおよび閉鎖エレメントを設計、配置および制限することが好ましい。作動エレメントおよび閉鎖エレメントはゆえに、異なる、制限された移動経路を有している。ここで、特に、閉鎖エレメントの最大経路が作動エレメントの最大経路よりも短いことが好ましい。一般的に、作動エレメントの移動経路と閉鎖エレメントの移動経路との差がより大きければ、閉鎖方向への閉鎖動作の間に、作動エレメントが閉鎖エレメントと接触するときに、伝達される衝撃がより大きくなるといえる。この衝突の間の衝撃がより大きくなれば、その目的となる終端位置の方向への閉鎖エレメントの移動がより速くなる。
【0022】
停止部位で閉鎖エレメントに到達するまでの経路において、作動エレメントは運動エネルギーを増大し、それが衝突時に閉鎖エレメントに作用する。これは衝撃を生み出し、最終的に、作動エレメントが全経路を閉鎖エレメントとともに移動した場合の、作動エレメントの加速と比べて、はるかに大きな閉鎖エレメントの加速を生み出す。
【0023】
試験において、作動エレメントの移動経路、すなわち最大経路は、閉鎖エレメントの移動経路の少なくとも1.1倍、特に、少なくとも2倍であることが好ましいことが示された。
【0024】
動作時に、閉鎖エレメントの閉鎖速度は0.5m/sより大きいことが好ましい。
【0025】
1つの試験構成において、閉鎖エレメントは(バネを含めて)1gの質量を有し、作動エレメントは3.5gの質量を有し(典型的な値は、3.5〜10gの範囲)、作動エレメントに作用する駆動力(一定であると仮定して)は、250Nであった。作動エレメントの総経路は0.3mmであり、閉鎖エレメントの総経路は、1つ目のシナリオで0.09mm、2つ目のシナリオで0.15mm、すなわち総経路の半分であった。
【0026】
これは以下の値をもたらす。
1つ目のシナリオにおいて、作動エレメントは5.5m/sの速度となり、2つ目のシナリオにおいては4.6m/sの速度となった。1つ目のシナリオにおいて、閉鎖エレメントは7.7m/sの速度まで加速され(排出開口に到達したときに)、2つ目のシナリオにおいては、6.4m/sまで加速された。これらの値は、衝撃伝達の間の効果損失も考慮に入れたものであり、そうでなければそれらは20%速くなる。これら2つが閉鎖エレメントの経路と同じ経路を移動した場合、1つ目のシナリオでは、ジョイントした速度が3.1m/s、2つ目のシナリオでは、4m/sとなったであろう。閉鎖エレメントの減少した移動経路(したがって、短い距離にわたって速度増大性能が低い)は、作動エレメントによる衝撃伝達により補償されるので、急で非常に速い衝撃が生み出される。要約すると、閉鎖エレメントの移動経路の2倍の作動エレメントの移動経路により、閉鎖エレメントの速度の非常に良好な増加が達成できるといえる。
【0027】
作動エレメントおよび閉鎖エレメントの異なる移動経路は、たとえば、閉鎖エレメントが、停止装置により、閉鎖方向の軸に沿ったその最大経路に制限されることで実現可能である。そのような停止装置は、たとえば、ドージングシステムのハウジング内に堅固に取り付けられた停止表面または、一般的には堅固に取り付けられた停止部位であってよい。しかし、好ましくは、これはその位置が変更可能な停止装置、たとえば、閉鎖エレメントの方向でハウジングへねじ込まれ、閉鎖エレメントから離れてねじが緩められる停止スクリューであってもよい。
【0028】
そのような調節可能な停止装置のさらなる改良は、たとえば、自動の、好ましくはモータ駆動の、調節可能な停止装置からなる。モータ駆動の停止装置は、たとえばサーボモータにより調節可能である。他の自動の停止装置は、機械的な、好ましくはドージングシステムの外側から作動される、たとえば油圧式または空圧式に作動される調節可能な停止装置を含む。
【0029】
自動調節可能な停止装置の場合、適切な測定装置を用いて、停止装置の位置またはドージングシステム内の力、具体的には停止装置への閉鎖エレメントの力についての関係が判定可能である。位置データか、または生じた力を示す測定データかの、生成されたデータは、停止装置の位置を調節する基準として用いることができる。有利には、これは閉ループ制御内で生じ、停止装置に閉鎖エレメントの非常に強すぎる力が加わる場合、停止装置を閉鎖エレメントからさらに離して位置付けるように調節することができる。
【0030】
第1の変形例によると、アクチュエータシステムは、油圧式および/または空圧式に作動されるアクチュエータを備える。このようなアクチュエータは、たとえば、シリンダ−ピストンシステムとして設計することができ、それは1つまたは2つの流入口を介して高圧または低圧の設定が可能である。しかし、たとえば、ギアなどにより作動される、他の機械的アクチュエータに基づいた他の機械的アクチュエータシステムもまた可能である。
【0031】
第1の変形例に追加的にまたは代替的に選択が可能な第2の変形例は、電気的または電子的に作動されるアクチュエータシステムからなる。ここで、アクチュエータシステムが圧電アクチュエータを有していることが特に好ましい。電気的、詳細には電子的アクチュエータ、より詳細には圧電アクチュエータが、効果の点で非常に速く、効果的であり、マイクロドージングシステムにおいて、そして本明細書で要求される非常に細かいドージングの分解の場合に特に効果的に使用される。
【0032】
述べてきたように、作動エレメントは閉鎖エレメントに一時的に直接的に作用する単なるアクチュエータであり得る。アクチュエータに加えて、たとえばキャッチなどの別の力伝達エレメントを設けてもよい。特に好ましくは、作動エレメントは一時的にアクチュエータを閉鎖エレメントに接続するレバーを有している。アクチュエータから閉鎖エレメントへの力伝達に加えて、この種のレバーは、たとえば、レバーを介した適切な伝送を通じて、閉鎖エレメントの領域における、すなわち閉鎖エレメントの作用軸に沿った、より長い移動経路をもたらすために、アクチュエータがより短い移動経路で充分となるような伝達効果を生み出すことができるという追加の利点を有している。
【0033】
一般的に、アクチュエータシステムのアクチュエータの最大作動経路が閉鎖エレメントの最大経路とは異なることが好ましく、特に、閉鎖エレメントの最大経路よりも長いことが好ましい。これは、たとえアクチュエータが閉鎖エレメントに直接的に作用しないとしても、その移動経路は閉鎖エレメントの移動経路よりも長いことを意味する。この方法で、作動エレメントのより長い移動経路が達成できる。
【0034】
アクチュエータシステムのアクチュエータの最大移動経路および/または作動エレメントの最大経路が停止装置により制限される場合、有利であることも証明されている。ここで、停止装置という用語は、非常に広い意味で解釈される。停止装置は(すでに説明したように)、作動システムのアクチュエータおよび/または作動エレメントが所定の位置で接触する機械的エレメントであり得る。しかし、停止装置は、アクチュエータの制御の適切なプログラミングまたはプレセットを通じて、すなわちたとえばソフトウェアにより認識され得る。ここで、経路制限の形での電子的経路制御を使用することで充分である。全体として、アクチュエータシステムのアクチュエータおよび/または作動エレメントの経路を制限することを通じて、アクチュエータおよび閉鎖エレメントの経路が所定の方法で調節され、そして作動エレメントおよび閉鎖エレメントの間に生じる力が事前に評価および規定され得ることが確実になる。
【0035】
作動エレメント、最終的には閉鎖エレメントを少なくとも閉鎖方向に移動させるアクチュエータシステムに加えて、閉鎖エレメントおよび/またはアクチュエータシステムが開放方向および/または閉鎖方向にバネ式で押圧されることが考えられる。作動エレメントおよび閉鎖エレメントのそれぞれへのそのようなバネに基づいた力の付加は、たとえば、開放方向に作用するときに、閉鎖エレメントおよび/または作動エレメントが、開放位置へと押圧し戻されることを可能にし、この移動のために別途自動的なアクチュエータは必要がない。この方法で、ドージングシステムはよりシンプルで効果的に設計される。
【0036】
アクチュエータシステムおよび/または閉鎖エレメントの経路に制限効果を加えるような位置に、常時停止装置を維持するために、その位置が調節可能であり、特に、バネにより予圧がかけられることが好ましいと考えられる。停止装置は、よって、堅固に取り付けされずに、位置の変更そして固定が可能である。バネ付勢された固定は、これを行うために、シンプルな方法であることが証明されている。
【0037】
添付図面を参照して、本発明を以下により詳細に再度説明する。様々な図面において、同じ構成要素には、同一の参照符号を付している。