(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エチレン系重合体(a)と重量平均分子量が1,000以上、6,000未満、および軟化点が110℃を超えるエチレン系重合体ワックス(b)とのエチレン系重合体組成物であり、当該組成物の半結晶化時間が87秒以上であるエチレン系重合体組成物の繊維からなるメルトブローン不織布(A)の少なくとも片面に、エチレン系重合体(y)、またはエチレン系重合体(y)とポリエステル系重合体(x)から形成された繊維からなるスパンボンド不織布が積層されてなることを不織布積層体。
エチレン系重合体組成物が、エチレン系重合体(a)と、エチレン系重合体ワックス(b)とを、(a)/(b)の重量比で80/20〜20/80の割合で含んでなる請求項1記載の不織布積層体。
スパンボンド不織布を形成する繊維が、ポリエステル(x)からなる芯部とエチレン系重合体(y)からなる鞘部とから形成される芯鞘型複合繊維、または、ポリエステル(x)とエチレン系重合体(y)とから形成されるサイドバイサイド型複合繊維の何れかである請求項1記載の不織布積層体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<エチレン系重合体(a)>
本発明の不織布積層体を構成するメルトブローン不織布(A)を形成するエチレン系重合体組成物の成分の一つであるエチレン系重合体(a)は、エチレンの単独重合体、あるいはエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体であって、通常、密度が0.870〜0.980g/cm
3、好ましくは0.900〜0.980g/cm
3、より好ましくは0.920〜0.975g/cm
3、特に好ましくは0.940〜0.970g/cm
3範囲にあるエチレンを主体とする重合体である。
【0012】
本発明に係るエチレン系重合体(a)は、通常、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどの名称で製造・販売されている結晶性の樹脂である。
【0013】
エチレンと共重合される他のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数3〜20のα−オレフィン等が挙げられる。これらエチレン系重合体は単独でも、二種以上の混合物であってもよい。
【0014】
密度が上記範囲より低いエチレン系重合体を用いた場合は、得られるメルトブローン不織布の耐久性、耐熱性や強度、経時での安定性に劣る虞がある。一方、密度が上記範囲を超えるエチレン系重合体を用いた場合は、得られるメルトブローン不織布は、ヒートシール性や柔軟性に劣る傾向にある。
【0015】
本発明において、エチレン系重合体(a)の密度は、190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)測定時に得られるストランドを、120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷した後、密度勾配管で測定して得られる数値である。
【0016】
本発明に係るエチレン系重合体(a)は、後記エチレン系重合体ワックス(b)と混合してメルトブローン不織布を製造し得る限り特に限定はされないが、MFR(ASTM D 1238に準拠して荷重2.16kg、190℃で測定)が、通常、10〜250g/10分、好ましくは20〜200g/10分、さらに好ましくは50〜150g/10分の範囲にあることが得られる繊維径の細さや紡糸性の点から望ましい。
【0017】
本発明に係るエチレン系重合体(a)は種々公知の製造方法、例えば、高圧法、チーグラー触媒あるいはメタロセン触媒を用いて得られる中低圧法によって得られる重合体を用い得るが、中でも、メタロセン系触媒による重合で得られるエチレン系重合体を用いた場合は、得られる重合体の半結晶化時間が長くなり、積層体の耐水圧を高くすることができるので好ましい。
【0018】
<エチレン系重合体ワックス(b)>
本発明の不織布積層体を構成するメルトブローン不織布(A)を形成するエチレン系重合体組成物の成分の一つであるエチレン系重合体ワックス(b)は、重量平均分子量(Mw)が6,000未満、好ましくは1,000以上、6,000未満の範囲にある。
【0019】
本発明に係るエチレン系重合体ワックス(b)は前記エチレン系重合体(a)に比べて分子量が低い、すなわち、ワックス状の重合体である。
【0020】
Mwが上記範囲を超えるエチレン系重合体ワックスを用いた場合は、得られるメルトブローン不織布の繊維が十分に細くできない為に、耐水性の改良が十分でない虞がある。
【0021】
本発明に係るエチレン系重合体ワックス(b)は、JIS K2207に従って測定した軟化点が110℃を超えるものであり、好ましくは115℃以上である。軟化点が110℃以下の場合、得られるメルトブローン不織布をスパンボンド不織布と積層する際のエンボス熱圧着時に繊維が融解しやすく、結果として耐水性に劣ることになるので好ましくない。軟化点の上限は特に制限されないが、通常、145℃以下である。
【0022】
本発明に係るエチレン系重合体ワックス(b)は、前記の重量平均分子量および軟化点の範囲を満足するのであれば、エチレンの単独重合体、またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体のいずれであってもよい。エチレン単独重合体を用いた場合、前記エチレン系重合体(a)との混練性に優れ、且つ、紡糸性に優れる。また、エチレン系重合体ワックスは単独でも、その二種以上の混合物であってもよい。
【0023】
本発明に係るエチレン系重合体ワックス(b)の重量平均分子量は、GPC測定から求めた値であり、以下の条件で測定した値である。なお、重量平均分子量は、市販の単分散標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、下記の換算法に基づいて求めた。
【0024】
装置:ゲル浸透クロマトグラフAllianceGPC2000型(Waters社製)
溶剤:o−ジクロロベンゼン
カラム:TSKgelカラム(東ソー社製)×4
流速:1.0ml/分
試料:0.15mg/mLo−ジクロロベンゼン溶液
温度:140℃
分子量換算:PE換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、以下に示すMark−Houwink粘度式の係数を用いた。
【0025】
ポリスチレン(PS)の係数:KPS=1.38×10
-4,aPS=0.70
ポリエチレン(PE)の係数:KPE=5.06×10
-4,aPE=0.70
本発明に係るエチレン系重合体ワックス(b)のJIS K6760に従って測定した密度は特に限定されるものではないが、通常、0.890〜0.980g/cm
3、好ましくは0.910〜0.980g/cm
3、より好ましくは0.920〜0.980g/cm
3、特に好ましくは0.940〜0.980g/cm
3の範囲にある。このような密度範囲にあるエチレン系重合体ワックス(b)を用いると、前記エチレン系重合体(a)との混練性に優れ、且つ、紡糸性、経時での安定性に優れる上、得られたメルトブローン不織布をスパンボンド不織布と積層する際のエンボス熱圧着時に繊維が融解し難いので好ましい。
【0026】
本発明に係るエチレン系重合体ワックス(b)は、通常用いられる低分子量重合体の重合による製造方法、あるいは高分子量のエチレン系重合体を加熱減成によって分子量を低減させる方法等のいずれの方法によって製造されたものでもよく、特に制限されない。
【0027】
<エチレン系重合体組成物>
本発明に係るメルトブローン不織布(A)を形成するエチレン系重合体組成物は、前記エチレン系重合体(a)と前記エチレン系重合体ワックス(b)を含む組成物である。本発明に係るエチレン系重合体組成物は、エチレン系重合体ワックス(b)を含むことにより、得られるメルトブローン不織布の平均繊維径を細くすることができるが、エチレン系重合体ワックス(b)の量が少ない場合は、平均繊維径を細くできない虞があり、一方、エチレン系重合体ワックス(b)の量が多すぎると紡糸化が困難となる虞があり、また、得られる繊維の強度が低くなる虞あるので、エチレン系重合体(a)とエチレン系重合体ワックス(b)との割合は、(a)/(b)の重量比で20/80〜80/20の割合が好ましく、特に30/70〜70/30の割合が好ましい。
【0028】
本発明に係るエチレン系重合体組成物は半結晶化時間が、通常、87秒以上、好ましくは、92秒以上、より好ましくは97秒以上、さらに好ましくは102秒以上、特に好ましくは107秒以上、最も好ましくは150秒以上である。本発明に係るエチレン系重合体組成物の半結晶化時間の上限は特に限定はされない。
【0029】
本発明における半結晶化時間は、以下の方法により測定した。示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用い、試料を約5mgセットして、200℃の状態で5分間放置することにより試料を完全に溶融させた。その後、320℃/分の降温速度で115℃まで急冷して等温結晶化を行った。冷却開始から結晶化熱が全発熱量の1/2に到達するまでの時間を半結晶化時間とした。
【0030】
半結晶化時間が上記範囲を満たすエチレン系重合体組成物は、エチレン系重合体組成物におけるエチレン系重合体(a)及びエチレン系重合体ワックス(b)の重量比、エチレン系重合体ワックス(b)の分子量にもよるが、エチレン系重合体組成物を形成するエチレン系重合体(a)及びエチレン系重合体ワックス(b)の少なくとも何れかがメタロセン触媒を用いて得られる重合体を用いることにより得られる。
【0031】
本発明に係るエチレン系重合体組成物の製造には、従来公知の触媒、例えば特開昭57−63310号公報、特開昭58−83006号公報、特開平3−706号公報、特許3476793号公報、特開平4−218508号公報、特開2003−105022号公報等に記載されているマグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号パンフレット、国際公開第01/27124号パンフレット、特開平3-193796号公報あるいは特開平02-41303号公報中に記載のメタロセン触媒などを好適に用い得る。
【0032】
本発明に係るエチレン系重合体組成物は、好ましくは、遷移金属化合物を含んでなる。遷移金属化合物を含む組成物は、エチレン系重合体組成物を形成するエチレン系重合体(a)及びエチレン系重合体ワックス(b)の少なくとも何れかがメタロセン触媒を用いて得られる重合体を用いることにより得られる。遷移金属化合物としては、メタロセン触媒に含まれるジルコニウム、チタン、ハフニウム化合物等が挙げられる。
【0033】
エチレン系重合体組成物中の遷移金属化合物に含まれる遷移金属の全含有量は、通常、2ppm以下、好ましくは1ppm以下、さらに好ましくは0.5ppm以下、最も好ましくは0.3ppm以下である。遷移金属の全含有量は、試料をフッ素樹脂製容器に採取し、超高純度硝酸を添加後マイクロウェーブ分解し、ICP質量分析法(ICP−MS法)により算出される。
【0034】
本発明に係るエチレン系重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じ、他の重合体や、着色材、安定剤、核剤などの配合剤等が配合されていてもよい。ここで、任意に配合される成分としては、例えば、従来公知の耐熱安定剤、耐候安定剤などの各種安定剤、帯電防止剤、親水剤、撥水剤、核剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油等が挙げられる。
【0035】
安定剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール(BHT)等の老化防止剤;テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2'-オキザミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、Irganox 1010(ヒンダードフェノール系酸化防止剤:商品名)等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。また、これらを組み合わせて用いることもできる。
【0036】
また、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、
ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン等の充填剤を含有していてもよい。
【0037】
本発明に係るエチレン系重合体組成物は、エチレン系重合体(a)、エチレン系重合体ワックス(b)と、他の必要に応じて用いられるこれらの任意成分とを、種々公知の方法を用いて混合することができる。
【0038】
<メルトブローン不織布(A)>
本発明の不織布積層体を構成するメルトブローン不織布(A)は、前記エチレン系重合体組成物から得られるメルトブローン不織布であり、メルトブローン不織布を形成する繊維の平均繊維径は、通常、10μm以下であり、低目付でよりバリア性に優れるメルトブローン不織布を得るには0.5〜8μm、より好ましくは1〜5μm、さらに好ましくは1〜4μm、特に好ましくは2〜3.5μmの範囲にあることが望ましい。
【0039】
平均繊維径が上記範囲にあると、得られるメルトブローン不織布の均一性が良好で、バリア性に優れる不織布となる。
【0040】
本発明に係るメルトブローン不織布(A)は、通常、目付が0.5g/m
2以上、好ましくは10〜50g/m
2、より好ましくは15〜45g/m
2、さらに好ましくは20〜40g/m
2の範囲にある。目付が低すぎると得られる不織布積層体の耐水圧が低くなり、バリア性に劣る虞がある。目付の上限は特に限定はされないが、目付が高過ぎると得られる不織布積層体の柔軟性が劣る傾向にある。一方、高いバリア性が然程必要とされず、主に柔軟性やヒートシール性、軽量性が求められる、例えば、衛生材料などの用途に用いる場合は、目付の範囲を0.5〜5g/m
2、より好ましくは0.5〜3g/m
2の範囲にすればよい。
【0041】
<メルトブローン不織布の製造方法>
本発明に係るメルトブローン不織布(A)は、前記エチレン系重合体組成物を用いて、公知のメルトブローン不織布の製造方法を用いて製造し得る。具体的には、例えば、エチレン系重合体組成物を押出機等で溶融混練し、その溶融物を紡糸ノズルを有する紡糸口金から吐出するとともに、紡糸口金の周囲から噴射される高速・高温の空気流で吹き飛ばして、捕集ベルト上に自己接着性のマイクロファイバーとして所定の厚さに堆積させウェブを製造するメルトブローン法によって行うことができる。このとき、必要に応じて、引き続いて交絡処理することができる。
【0042】
堆積したウェブを交絡処理する方法としては、例えば、エンボスロールを用いて熱エンボス処理する方法、超音波により融着する方法、ウォータージェットを用いて繊維を交絡させる方法、ホットエアースルーにより融着する方法、ニードルパンチを用いる方法などの各種の方法を、適宜、使用することができる。本発明の不織布積層体を得る場合には、積層時の簡便性から熱エンボス処理する方法が好ましい。
【0043】
<エチレン系重合体(y)>
本発明の不織布積層体を構成するスパンボンド不織布を形成する繊維の成分の一つであるエチレン系重合体(y)は、前記エチレン系重合体(a)と同様の樹脂であり、エチレンの単独重合体、あるいはエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体であって、通常、密度が0.870〜0.990g/cm
3、好ましくは0.900〜0.980g/cm
3、より好ましくは0.910〜0.980g/cm
3の範囲にあるエチレンを主体とする重合体である。
【0044】
本発明に係るエチレン系重合体(y)は、通常、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどの名称で製造・販売されている結晶性の樹脂である。
【0045】
エチレンと共重合される他のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数3〜20のα−オレフィン等が挙げられる。これらエチレン系重合体は単独でも、二種以上の混合物であってもよい。
【0046】
本発明に係るエチレン系重合体(y)は、スパンボンド不織布を製造し得る限り特に限定はされないが、MFR(ASTM D1238に準拠して荷重2.16kg、190℃で測定)が、通常、0.5〜150g/10分、好ましくは10〜150g/10分の範囲にあることが紡糸性の点から望ましい。
【0047】
本発明に係るエチレン系重合体(y)は、前記エチレン系重合体(a)と同様に、種々公知の製造方法、例えば、高圧法、チーグラー触媒あるいはメタロセン触媒を用いて得られる中低圧法によって得られる重合体を用い得る。
【0048】
本発明に係るエチレン系重合体(y)には、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミドからなるスリップ剤を0.1〜0.5重量%の割合で配合してもよい。エチレン系重合体(y)にスリップ剤を配合すると、得られるスパンボンド不織布の耐毛羽立ち性や柔軟性がより改良される。
【0049】
<ポリエステル(x)>
本発明の不織布積層体を構成するスパンボンド不織布を形成する繊維の成分の一つであるポリエステル(x)は、スパンボンド不織布の原料として用いられている公知のポリエステルであり、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、そしてそれらのコポリマー、ターポリマーなどを例示できる。
【0050】
本発明に係るポリエステル(x)は、前記エチレン系重合体(y)と複合してスパンボンド不織布を製造し得る限り、分子量は特に限定はされないが、通常、市販又は工業的に利用されているもののうち、特に繊維用として市販され利用されているものであればよく、具体的には固有粘度が0.50〜1.20の範囲のものが好ましい。
【0051】
本発明に係るポリエステル(x)および/またはエチレン系重合体(y)には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の重合体、着色材、耐熱安定剤、耐候安定剤などの各種安定剤、帯電防止剤、親水剤、撥水剤、核剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油等などを配合してもよい。
【0052】
<スパンボンド不織布>
本発明の不織布積層体を構成するスパンボンド不織布は、エチレン系重合体(y)、または、エチレン系重合体(y)とポリエステル系重合体(x)から形成された繊維からなる不織布である。
【0053】
本発明に係るスパンボンド不織布として、エチレン系重合体(y)から形成される繊維を用いる場合は、当該エチレン系重合体(y)単独から形成される繊維(単一繊維)であっても、少なくともエチレン系重合体(y)が繊維表面の一部を形成してなる複合繊維であってもよい。
【0054】
本発明に係るスパンボンド不織布として、エチレン系重合体(y)単独の繊維(単一繊維)を用いた場合は、柔軟性に富む不織布積層体が得られる。
【0055】
本発明に係るスパンボンド不織布は、スパンボンド不織布を形成する繊維が、少なくともエチレン系重合体(y)が繊維表面の一部を形成してなる前記ポリエステル(x)と前記エチレン系重合体(y)とから形成される複合繊維であることが得られる不織布積層体の柔軟性や強度の観点から好ましい。
【0056】
本発明に係るスパンボンド不織布の目付は通常、5〜50g/m
2、好ましくは10〜25g/m
2の範囲にある。
【0057】
本発明に係るスパンボンド不織布を形成する繊維の平均繊維径は、通常、5〜30μm(約0.2〜7デニール)、好ましくは10〜20μmの範囲にある。
【0058】
<複合繊維>
本発明に係るスパンボンド不織布を形成する複合繊維は、複合繊維の表面の一部にエチレン系重合体(y)が露出している限り、複合繊維の形状は特に限定はされない。複合繊維の表面の一部にエチレン系重合体(y)が露出していることにより、前記メルトブローン不織布(A)との接着性が優れる。
【0059】
これら複合繊維の中でも、複合繊維の断面が、ポリエステル(x)とエチレン系重合体(y)との重量比〔(x)/(y)〕で、5/95〜95/5の範囲、特に20/80〜80/20の範囲にあることがより好ましい。ポリエステル系重合体(x)とエチレン系重合体(y)との割合がこの範囲にあると、得られるスパンボンド不織布が、強度と柔軟性のバランスが優れているので好ましい。
【0060】
本発明に係る複合繊維としては、ポリエステル系重合体(x)からなる芯部とエチレン系重合体(y)からなる鞘部とから形成される同芯あるいは偏芯の芯鞘型複合繊維、あるいは、ポリエステル系重合体(x)とエチレン系重合体(y)とから形成されるサイドバイサイド型複合繊維が好ましい。
【0061】
<スパンボンド不織布の製造方法>
本発明に係るスパンボンド不織布は、公知のスパンボンド不織布の製造方法により製造し得る。具体的には、例えば、前記エチレン系共重合体(y)を単独で溶融紡糸してスパンボンド不織布を製造する方法がある。また、前記ポリエステル(x)と前記エチレン系共重合体(y)とを複合化して複合繊維を用いる場合は、前記ポリエステル(x)と前記エチレン系共重合体(y)とを所望の範囲で、それぞれ、別の押出機等で溶融し、各溶融物を所望の複合構造を形成して吐出するように構成された紡糸ノズルを有する紡糸口金から吐出させて紡糸する溶融紡糸法によって、長繊維フィラメントを紡糸し、次に、紡出されたフィラメントを冷却流体により冷却し、延伸空気によってフィラメントに張力を加えて所望の繊度とする。その後、紡糸されたフィラメントを捕集ベルト上に捕集し所定の厚さに堆積させたのち、交絡処理を行ってスパンボンド不織布を得る。交絡処理をする方法としては、メルトブローン不織布と同様な方法が挙げられるが、それらのなかでも、熱エンボス処理が好ましい。熱エンボス処理する場合のエンボス面積率は適宜決められるが、通常5〜35%が好ましい。
【0062】
<不織布積層体>
本発明の不織布積層体は、前記メルトブローン不織布(A)の少なくとも片面に、前記繊維からなるスパンボンド不織布が積層されてなる。
【0063】
本発明の不織布積層体は、前記メルトブローン不織布(A)と前記繊維からなるスパンボンド不織布とが積層されることにより、柔軟性、バリア性(高い耐水度を有する性質)、強度、耐久性、均一性および布状外観と風合いに優れる不織布積層体が得られる。
【0064】
本発明の不織布積層体は、少なくとも一方の表面層がスパンボンド不織布からなる層であれば特に限定されないが、好ましくはスパンボンド不織布層/メルトブローン不織布(A)層、スパンボンド不織布層/メルトブローン不織布(A)層/スパンボンド不織布層の層構成のものである。
【0065】
本発明の不織布積層体の目付は、不織布積層体の用途、要求される品質、経済性等に応じて適宜選択することができるが、通常、6〜150g/m
2、より好ましくは11〜120g/m
2、さらに好ましくは15〜100g/m
2、最も好ましくは15〜70g/m
2の範囲にある。
【0066】
本発明の不織布積層体は、前記メルトブローン不織布(A)の少なくとも片面に、前記繊維からなるスパンボンド不織布が積層されてなり、何れの不織布もエチレン系重合体を含むので、メルトブローン不織布(A)とスパンボンド不織布とを熱エンボス処理などにより接合した際に、容易に接合でき、得られる不織布積層体は、層間接着強度に優れる。
【0067】
本発明の不織布積層体は、滅菌時や殺菌時に照射される電子線やガンマ線への安定性にも優れる。
【0068】
本発明の不織布積層体は、均一性が良好であり、通気性、バリア性および柔軟性に優れる。加えて、片面または両面の表面層がスパンボンド不織布層で形成されているので強度、耐久性、耐摩耗性、耐毛羽立ち性にも優れる。
【0069】
本発明の不織布積層体は、柔軟性の指標としてのカンチレバー値が通常、100mm以下、好ましくは90mm以下、さらに好ましくは80mm以下であり、耐水圧は、通常、350mmAq以上、好ましくは500mmAq以上、より好ましくは600mmAq以上、最も好ましくは650mmAq以上である。
【0070】
本発明の不織布積層体は、必要に応じて撥水加工を施すことができる。撥水加工は、フッ素系撥水剤などの撥水剤を塗布することやあらかじめ撥水剤を添加剤として樹脂原料に混ぜ合わせて不織布を成形することにより行うことができる。撥水剤の付着率(添加率)は0.5〜5.0重量%が適当である。撥アルコール性の付与方法としては、たとえば、不織布(b)にフッ素系加工剤を0.01〜3重量%の付着率で付着させることなどが挙げられる。この場合の加工剤の付着方法、乾燥方法は特に限定されず、加工剤の付着方法としては、スプレーで吹きつける方法、加工剤浴に浸漬し、マングルで絞る方法、コーティングによる方法などがあり、乾燥方法としては、熱風乾燥器を用いる方法、テンターを用いる方法、発熱体に接触させる方法などがある。
【0071】
これにより、たとえば不織布積層体を医療用のガウンなどに用いる場合に、水もアルコールも浸透せず、アルコール消毒した場合でもバリア性の高いものとなる。
【0072】
また、本発明の不織布積層体は、制電性を付与してもよい。制電性の付与方法としては、適当な制電性付与剤、たとえば、脂肪酸エステル、第4級アンモニウム塩などを塗布する方法または添加剤として樹脂原料に混ぜ合わせて不織布を成形することなどが挙げられる。制電性の程度としては、20℃、40%RHの雰囲気でJIS L1094C法に示す方法で1000V以下(摩擦布は綿布とする。)であることが好まし
い。
【0073】
これにより、たとえば不織布積層体を医療用のガウンなどに用いる場合に、着心地を良くすることが可能である。
【0074】
本発明の不織布積層体は、本発明の目的を妨げない範囲で、木綿、キュプラ、レーヨン、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維などの短繊維、長繊維不織布をさらに積層してもよい。
【0075】
本発明の不織布積層体は、衛生材料、生活資材、工業資材、医療用資材全般に応用することができる。特に柔軟性、通気性及びバリア性に優れるので、紙おむつ、生理用ナプキン、湿布材等の基布、ベッドカバーなどの素材に好適に用いられる。加えて、ポリエチレン系、ポリエステル系から構成されるため、滅菌時や殺菌時に照射される電子線やガンマ線にも安定であり、病院などで用いられるガウン、キャップ、マスク、ドレープなどの素材として特に好適に使用できる。さらにヒートシール性などの後加工性が良好であるため、脱酸素剤、カイロ、温シップ、マスク、CD(コンパクトディスク)袋、食品包装材、衣服カバーなどに生活資材全般に応用可能である。同様の理由で、自動車内装材や各種バッキング材としても好適に使用できる。また、細繊維で構成されることから、液体フィルター、エアフィルター資材としても広く適用可能である。
【0076】
<不織布積層体の製造方法>
本発明の不織布積層体の製造方法は、メルトブローン不織布(A)とスパンボンド不織布とを一体化して積層体を形成できる方法であれば特に限定されない。
【0077】
具体的には、例えば、
(イ)予め得られたスパンボンド不織布上に、メルトブローン法によって得られるエチレン系重合体組成物から得られる繊維を直接堆積させてメルトブローン不織布(A)を形成した後、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを熱エンボスなどによって融着させて2層の積層体を製造する方法、
(ロ)メルトブローン法によって得られるエチレン系重合体組成物から得られる繊維を予め得られたスパンボンド不織布の上に直積堆積させてメルトブローン不織布(A)を形成し、さらにスパンボンド法により形成される繊維を前記メルトブローン不織布(A)の上に直接堆積させてスパンボンド不織布を形成した後、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布(A)とスパンボンド不織布とを融着させて三層の積層体を製造する方法、
(ハ)予め得られたスパンボンド不織布と別途製造したメルトブローン不織布(A)とを重ね合わせ、加熱加圧により両不織布を融着させて積層体を製造する方法、
(ニ)予め得られたスパンボンド不織布と別途製造したメルトブローン不織布(A)とを、ホットメルト接着剤、溶剤系接着剤等の接着剤によって接着して積層体を製造する方法等を採用することができるが、これら方法に限定されるものではない。
【0078】
本発明の不織布積層体は、メルトブローン不織布(A)とスパンボンド不織布との接触面の全面を熱融着する方法、接触面の一部を熱融着する方法とがあるが、熱エンボス加工法により各不織布層の接触面の一部を融着することが好ましく、この場合の融着面積(エンボス面積率:これはエンボスロールの刻印面積に相当する)は、接触面積の5〜35%が好ましく、さらには10〜30%が好ましい。融着面積が前記の範囲にあると接着強度と柔軟性とのバランスが優れる不織布積層体となる。また、得られる不織布積層体の耐水性を高く維持するためには、熱エンボス加工により積層する方法が最も好ましい。融着面積が5%未満では得られる不織布積層体の耐毛羽立ち性が劣る虞があり、35%を超える場合は得られる不織布積層体の柔軟性が劣る虞がある。熱エンボス加工を行う場合は、エンボス温度は、エンボス加工時のライン速度や圧着圧力によるが、一般的に85〜120℃の範囲にある。エンボス温度が85℃未満では、得られる不織布積層体の耐毛羽立ち性が劣る虞があり、120℃を超えると得られる不織布積層体の柔軟性が劣る虞があり、また、不織布積層体が熱でダメージを受けて、結果として耐水性に劣る虞がある。
【0079】
熱融着により不織布同士を融着する以外の方法としては、接着剤によってスパンボンド不織布とメルトブローン不織布(A)とを接着する方法がある。この方法において用いられるホットメルト接着剤としては、たとえば酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系等の樹脂系接着剤、スチレン−ブタジエン系、スチレン−イソプレン系等のゴム系接着剤などが挙げられる。また、溶剤系接着剤としては、たとえばスチレン−ブタジエン系、スチレン−イソプレン系、ウレタン系等のゴム系接着剤、酢酸ビニル、塩化ビニル等の樹脂系の有機溶剤または水性エマルジョン接着剤などが挙げられる。これらの接着剤の中でも、スチレン−イソプレン系、スチレン−ブタジエン系等のゴム系のホットメルト接着剤が、スパンボンド不織布の特性である風合いを損わない点で好ましい。
【実施例】
【0080】
以下、本発明の実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。また、以下の実施例および比較例におけるメルトブローン不織布、スパンボンド不織布、あるいは不織布積層体の各物性の測定は、下記の方法で行った。
【0081】
(1)平均繊維径
得られた不織布から、試料片を採取して、走査型電子顕微鏡を用いて、倍率1000倍で観察し、構成繊維の30本の繊維径(μm)を測定し、平均値を求めた。
【0082】
(2)目付
JIS L 1096‐1990の6.4.2項の「標準状態における単位面積当たりの質量」に従って測定した。得られた不織布から、100cm
2の円形試験片を採取した。採取場所は、機械方向(MD)に対しては任意の場所とし、機械方向に直交する方向(CD)に対しては不織布サンプルの両端20cmを除き、直線上に均一間隔で20箇所とした。採取した各試験片につき、上皿電子天秤(島津製作所製、EB‐330型)を用いて、それぞれ質量(g)を測定し、各試験片の質量(g)の平均値を求めた。求めた平均値から1m
2当たりの質量(g)に換算し、小数点第2位を四捨五入して各不織布サンプルの目付(g/m
2)とした。
【0083】
(3)引張強度の評価
不織布積層体から、幅25mm×長さ250mmの試験片を採取し、チャック間距離50mm、引張速度100mm/分の条件で、機械方向(MD)及び機械方向に直交する方向(CD)の二方向の引張試験を行い、最大引張荷重を引張強度(N/25mm)とした。5回測定し5回の平均値を求めた。
【0084】
(4)耐水性(バリア性)
JIS L 1096に規定されているA法(低水圧法)に準拠して、不織布積層体の耐水圧を測定し、耐水性(バリア性)の指標とした。
【0085】
(5)カンチレバー値の測定(剛軟度)
JIS L 1096(6.19.1 A法 項)に準拠して、JIS Z 8703(試験場所の標準状態)に規定する温度20±2℃、湿度65±2%の恒温室内で、不織布積層体から、幅20mm×長さ150mmの試験片を機械方向(MD)で5枚採取し、45°の斜面をもつ表面の滑らかな水平台の上に試験片の短辺をスケール基線に合わせて置く。次に、手動により試験片を斜面の方向に緩やかに滑らせて試験片の一端の中央点が斜面と接したとき他端の位置の移動長さをスケールによって読む。剛軟度(剛軟性)は試験片の移動した長さ(mm)で示され、それぞれ5枚の裏表について測定し、平均値で表した。このような、いわゆる45°カンチレバー法による測定では、剛軟度が低いほど不織布に柔軟性があると判断される。衣料用用途の場合、剛軟度の値が100mm以下の場合に、柔軟性が良好と判断される。但し、必要な柔軟性は使用目的等によっても異なるため、必ずしもこの数値に制限されるものではない。
【0086】
(6)耐毛羽立ち性の評価
不織布積層体から300mm(縦方向:MD)×25mm(横方向:CD)の試験片を40枚採取し、JIS L 0849−2004の5の5.1のbに記載の装置「摩擦試験器II形(学振形)」を用いて評価した。具体的には、該装置として大栄科学精器社製RT−100型を用い、摩擦子の荷重を200gとし、包装用粘着テープ(布)No.314(リンレイテープ社製)を用い、該粘着テープの
非粘着面と、試験片の測定面が摩擦できる様に設置した。この際、測定中に試験片がずれることを防止するために、紙やすり「400番」のやすり面を上にして装置の台上に取り付け、さらに試験片を評価面が上になる様にやすり面の上に置き、測定装置の台上に取り付けた。試験片を取り付けた後、試験片の測定面と粘着テープの非粘着面を50回往復摩擦させた。試験片の摩擦面を観察し、耐毛羽立ち性について、以下の基準で点数をつけて評価した。
【0087】
1点:毛羽立ちがない。
【0088】
2点:一箇所に小さな毛玉ができ始める程度に毛羽立っている。
【0089】
3点:はっきりとした毛玉ができ始め、また小さな毛玉が複数見られる。
【0090】
4点:毛玉が大きくはっきり見られ、複数箇所で繊維が浮き上がりはじめる。
【0091】
5点:試験片が薄くなるほど甚だしく繊維が剥ぎ取られている。
【0092】
6点:試験片が破損するほど繊維が剥ぎ取られる。
【0093】
(実施例1)
<メルトブローン不織布の製造>
メタロセン触媒によるエチレン・1−ヘキセン共重合体〔(株)プライムポリマー社製、製品名:エボリューH SP50800P、密度:0.951g/cm
3、MFR:135g/10分〕50重量部と、メタロセン触媒によるエチレン系重合体ワックス〔三井化学(株)製、製品名エクセレックス10500、密度:0.960g/cm
3、重量平均分子量:1,300、軟化点119℃〕50重量部の混合物を用いて、0.4mmφ、360孔のノズルを有する紡糸口金から、単孔当たり0.7g/分で溶融樹脂を吐出させメルトブローン法による溶融紡糸を行ってマイクロファイバーを成形し、捕集面上に堆積させ、目付30g/m
2のメルトブローン不織布(MB)を製造した。
【0094】
<スパンボンド不織布の製造>
鞘部を構成するエチレン系共重合体として、エチレン・1−ブテン共重合体〔(株)プライムポリマー社製、製品名:ネオゼックスNZ50301、密度0.950g/cm
3、MFR(ASTM D 1238に準拠し温度190℃、荷重2.16kgで測定)30g/10分〕を用い、芯部を構成するポリエステル系重合体としてポリエチレンテレフタレート〔三井化学(株)製、製品名J125〕を用いて、単孔当たり吐出量0.5g/分/孔、樹脂温度270℃の紡糸条件で押出後、冷却、延伸してフィラメントの繊度2dとし、捕集後熱エンボスにより芯比率が50重量%(芯部:鞘部の重量比が50:50)である同芯の芯鞘複合繊維(PE系・PET複合)からなる、目付15g/m
2のスパンボンド不織布(SB)を得た。
【0095】
<不織布積層体の製造>
上記で得られたメルトブローン不織布の両面に、前記スパンボンド不織布を積層し、熱エンボス(刻印面積率18%)により90℃、線圧60kg/cmで熱融着を行って、三層構造からなる不織布積層体を得た。得られた不織布積層体の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0096】
(実施例2)
実施例1で用いたメルトブローン不織布のエチレン系重合体ワックスに替えて、メタロセン触媒によるエチレン系重合体ワックス〔三井化学(株)製、製品名エクセレックス20700、密度:0.970g/cm
3、重量平均分子量:3,200、軟化点:124℃〕を用いて、実施例1と同様の製造方法を用いて、三層構造からなる不織布積層体を得た。得られた不織布積層体の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0097】
(実施例3)
実施例1で用いたメルトブローン不織布のエチレン系重合体ワックスに替えて、チーグラー触媒によるエチレン系重合体ワックス〔三井化学(株)製、製品名ハイワックス100P、密度:0.950g/cm
3、重量平均分子量:1,100、軟化点:116℃〕を用いて、実施例1と同様の製造方法を用いて、三層構造からなる不織布積層体を得た。得られた不織布積層体の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0098】
(比較例1)
実施例1で用いたメルトブローン不織布のエチレン系重合体ワックスに替えて、メタロセン触媒によるエチレン系重合体ワックス〔三井化学(株)製、製品名エクセレックス30200B、密度:0.915g/cm
3、重量平均分子量:5,100、軟化点:102℃〕を用いて、実施例1と同様の製造方法を用いて、三層構造からなる不織布積層体を得た。得られた不織布積層体の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0099】
(比較例2)
実施例1で用いたメルトブローン不織布のエチレン系重合体ワックスに替えて、チーグラー触媒によるエチレン系重合体ワックス〔三井化学(株)製、製品名ハイワックス110P、密度:0.920g/cm
3、重量平均分子量:1,200、軟化点:109℃〕を用いて、実施例1と同様の製造方法を用いて、三層構造からなる不織布積層体を得た。得られた不織布積層体の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0100】
(比較例3)
実施例1で用いたメルトブローン不織布のエチレン系重合体ワックスに替えて、チーグラー触媒によるエチレン系重合体ワックス〔三井化学(株)製、製品名ハイワックス220P、密度:0.920g/cm
3、重量平均分子量:3,000、軟化点:110℃〕を用いて、実施例1と同様の製造方法を用いて、三層構造からなる不織布積層体を得た。得られた不織布積層体の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0101】
(比較例4)
実施例1で用いたメルトブローン不織布のエチレン系重合体ワックスに替えて、チーグラー触媒によるエチレン系重合体ワックス〔三井化学(株)製、製品名ハイワックス800P、密度:0.970g/cm
3、重量平均分子量:12,700、軟化点:127℃〕を用いて、実施例1と同様の製造方法を用いて、三層構造からなる不織布積層体を得た。得られた不織布積層体の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0102】
(比較例5)
実施例1で用いたメルトブローン不織布のエチレン系重合体ワックスに替えて、チーグラー触媒によるエチレン系重合体ワックス〔三井化学(株)製、製品名ハイワックス400P、密度:0.980g/cm
3、重量平均分子量:6,800、軟化点:126℃〕を用いて、実施例1と同様の製造方法を用いて、三層構造からなる不織布積層体を得た。得られた不織布積層体の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0103】
(比較例6)
実施例1で用いたメルトブローン不織布のエチレン系重合体ワックスに替えて、メタロセン触媒によるエチレン系重合体ワックス〔三井化学(株)社製、製品名エクセレックス40800、密度:0.980g/cm3、重量平均分子量:6,900、軟化点:128℃〕を用いて、実施例1と同様の製造方法を用いて、三層構造からなる不織布積層体を得た。得られた不織布積層体の物性を前記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0104】
【表1】