(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
負のパワーを備える物体側レンズと正のパワーを備える像側レンズからなる接合レンズで、正のパワーを備え、前記物体側レンズと前記像側レンズとを接着している樹脂接着剤層を備え、
前記物体側レンズの物体側レンズ面および像側レンズ面は非球面形状であり、
前記像側レンズの物体側レンズ面および像側レンズ面は非球面形状であり、
前記物体側レンズの像側レンズ面および前記像側レンズの物体側レンズ面は、それぞれが互いに異なる非球面形状をしており、
前記物体側レンズのアッベ数が24以下、前記像側レンズのアッベ数が40以上であり、
光軸上における前記樹脂接着剤層の厚さ寸法をD、前記光軸と直交する方向の前記物体側レンズの像側レンズ面の有効径での高さHにおける前記物体側レンズの像側レンズ面のサグ量をSg1H、前記高さHにおける前記像側レンズの物体側レンズ面のサグ量をSg2Hとしたときに、以下の条件式(1)および条件式(2)を満たすことを特徴とする接合レンズ。
20μm ≦ D (1)
Sg1H < Sg2H (2)
請求項1において、前記物体側レンズは、物体側レンズ面が正の曲率を備え、像側レンズ面が正の曲率を備え、前記像側レンズは、物体側レンズ面が正の曲率を備え、像側レンズ面が負の曲率を備えることを特徴とする接合レンズ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面を参照して、本発明の接合レンズを第4レンズとして適用した撮像レンズについて説明する。
【0025】
(実施例1)
図1は実施例1の撮像レンズの構成図(光線図)である。
図1に示すように、本例の撮像レンズ10は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを備える第1レンズ11、負のパワーを備える第2レンズ12、正のパワーを備える第3レンズ13、および、正のパワーを備える第4レンズ14からなる。第3レンズ13と第4レンズ14の間には絞り15が配置されており、第4レンズ14の像側には板ガラス16が配置されている。結像面I1は板ガラス16から離れた位置にある。第4レンズ14は、負のパワーを備える物体側レンズ17と正のパワーを備える像側レンズ18からなる接合レンズである。物体側レンズ17と像側レンズ18とは樹脂接着剤により接着されており、物体側レンズ17と像側レンズ18の間には樹脂接着剤層B1が形成されている。
【0026】
第1レンズ11は、物体側レンズ面11aが物体側に向かって突出するメニスカスレンズである。第1レンズ11の物体側レンズ面11aおよび像側レンズ面11bは、それぞれが正の曲率を備えている。
【0027】
第2レンズ12は、物体側レンズ面12aが負の曲率を備え、像側レンズ面12bが正の曲率を備えている。従って、物体側レンズ面12aは光軸L1に向かって像側に窪む凹形状の曲面部分を備えており、像側レンズ面12bは光軸L1に向かって物体側に窪む凹形状の曲面部分を備えている。物体側レンズ面12aおよび像側レンズ面12bは非球面形状とされている。
【0028】
第3レンズ13は、物体側レンズ面13aが正の曲率を備え、像側レンズ面13bが負の曲率を備えている。従って、物体側レンズ面13aは光軸L1に向かって物体側に突出する凸形状の曲面部分を備えており、像側レンズ面13bは光軸L1に向かって像側に突出する凸形状の曲面部分を備えている。第3レンズ13の物体側レンズ面13aおよび像側レンズ面13bは非球面形状とされている。
【0029】
第4レンズ14の物体側レンズ17は、物体側レンズ面17aが正の曲率を備え、像側レンズ面17bが正の曲率を備えている。従って、物体側レンズ面17aは光軸L1に向かって物体側に突出する凸形状の曲面部分を備えており、像側レンズ面17bは光軸L1に向かって物体側に窪む凹形状の曲面部分を備えている。物体側レンズ17の物体側レンズ面17aおよび像側レンズ面17bは非球面形状とされている。
【0030】
第4レンズ14の像側レンズ18は、物体側レンズ面18aが正の曲率を備え、像側レンズ面18bが負の曲率を備えている。従って、物体側レンズ面18aは光軸L1に向かって物体側に突出する凸形状の曲面部分を備えており、像側レンズ面18bは光軸L1に向かって像側に突出する凸形状の曲面部分を備えている。像側レンズ18の物体側レンズ面18aおよび像側レンズ面18bは非球面形状とされている。
【0031】
ここで、物体側レンズ17と像側レンズ18の接合面となっている物体側レンズ17の像側レンズ面17bと像側レンズ18の物体側レンズ面18aは、互いに異なる非球面形状をしている。また、光軸L1上における樹脂接着剤層B1の厚さ寸法をD、光軸L1と直交する方向の物体側レンズ17の像側レンズ面17bの有効径での高さHにおける物体側レンズ17の像側レンズ面17bのサグ量をSg1H、高さHにおける像側レンズ18の物体側レンズ面18aのサグ量をSg2Hとしたときに、本例の撮像レンズ10は、以下の条件式(1)および条件式(2)を満たす。なお、サグ量とはレンズ面と光軸L1の交点を含んで光軸L1と直交する平面を基準面としたときに、光軸L1と直交する方向の
物体側レンズ17の像側レンズ面17bの有効径での高さHにおける基準面からレンズ面までの光軸L1方向の距離である。
図2はサグ量の説明図であり、S1は物体側レンズ17の像側レンズ面17bに対する基準面を示し、S2は像側レンズ18の物体側レンズ面18aに対する基準面を示す。
20μm ≦ D (1)
Sg1H ≦ Sg2H (2)
【0032】
条件式(1)および条件式(2)は、互いに異なる非球面形状とされている物体側レンズ17の像側レンズ面17bと像側レンズ18の物体側レンズ面18aの間の樹脂接着剤層B1の厚さ寸法、すなわち、接合レンズを構成する2枚のレンズの接合面となっている物体側レンズ17の像側レンズ面17bと像側レンズ18の物体側レンズ面18aの間隔を規定するものである。
【0033】
本例の接合レンズである第4レンズ14は条件式(1)および条件式(2)を満たすので、物体側レンズ17の像側レンズ面17bと像側レンズ18の物体側レンズ面18aの間隔を広くすることができる。従って、物体側レンズ17と像側レンズ18を接着する接着作業中に、物体側レンズ17の像側レンズ面17bと像側レンズ18の物体側レンズ面18aを互いに接触させてしまい、各レンズ面に損傷を発生させることを防止或いは抑制できる。また、物体側レンズ17の像側レンズ面17bと像側レンズ18の物体側レンズ面18aの間隔が広いので、これらのレンズ面の間に樹脂接着剤が回り込み易く、2枚のレンズの間に気泡が残留することを防止できる。
【0034】
また、本例の接合レンズである第4レンズ14は、以下の条件式(3)を満たす。
D ≦ 100μm (3)
【0035】
条件式(3)は、タンジェンシャル面における像面湾曲のプラス側へのシフトの増大を抑制するためのものである。条件式(3)の上限値を超えると像面湾曲のプラス側へのシフトが大きくなり、補正が困難となる。本例では、D=20μmなので、設計によってタンジェンシャル面における像面湾曲のプラス側へのシフトを補正することが可能である。
【0036】
さらに、物体側レンズ17の像側レンズ面17bの曲率半径をRs、レンズ系全体の焦点距離をfとしたときに、本例の撮像レンズ10は、以下の条件式(4)を満たす。
0.9 ≦ Rs/f ≦ 1.3 (4)
【0037】
条件式(4)の下限値を下回ると、物体側レンズ17の像側レンズ面17bの曲率が大きくなるので、像側レンズ18との接合が容易ではなくなり、接合レンズを接合する作業性が低下する。一方、条件式(4)の上限値を上回ると、色収差の補正が困難となる。本例では、Rs/f=1.077なので、接合レンズの接合が容易であり、色収差が良好に補正される。
【0038】
また、レンズ系全体の焦点距離をf、物体側レンズ17の焦点距離をf41、像側レンズ18の焦点距離をf42としたときに、本例の撮像レンズ10は、以下の条件式(5)を満たす。
−3.0 ≦(f41/f42)/f ≦ −1.5 (5)
【0039】
条件式(5)の下限値を下回ると、軸上の色収差と倍率色収差のバランスをとることが困難となり、画像の周辺部分の解像度の低下を招く。また、条件式(5)の上限値を上回ると色収差の補正が困難となる。本例では(f41/f42)/f=−1.54なので、解像度の低下を抑制することができるとともに、色収差を良好に補正できる。
【0040】
ここで、本例の撮像レンズ10は、第3レンズ13の物体側レンズ面13aの曲率半径をR31、第3レンズ13の像側レンズ面13bの曲率半径をR32としたときに、R31=3.573であり、R32=−5.766であり、以下の条件式(6)を満たしている。
R31 ≦ |R32| (6)
【0041】
また、本例の撮像レンズ10は、第1レンズ11、第2レンズ12、および、像側レンズ18のアッベ数を40以上とし、第3レンズ13および物体側レンズ17のアッベ数を31以下とし、これにより、色収差を補正している。
【0042】
本例の撮像レンズ10のFナンバーをFno.、半画角をω、およびレンズ系の全長をLとしたときに、これらの値は次の通りである。
Fno.=2.0
ω=99.4°
L=16.089mm
【0043】
また、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズ11の焦点距離をf1、第2レンズ12の焦点距離をf2、第3レンズ13の焦点距離をf3、第4レンズ14の焦点距離をf4、物体側レンズ17の焦点距離をf41、像側レンズ18の焦点距離をf42、としたときに、これらの値は次のとおりである。
f=1.155mm
f1=−8.193mm
f2=−2.685mm
f3=4.126mm
f4=3.275mm
f41=−3.351mm
f42=1.885mm
【0044】
次に、表1Aは撮像レンズ10の各レンズ面のレンズデータを示す。表1Aでは物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。星印が付けられたレンズ面は非球面である。7面は絞り15であり、12面および13面は板ガラス16の物体側ガラス面および像側ガラス面である。曲率半径および間隔の単位はミリメートルである。なお、10面のNd(屈折率)およびのνd(アッベ数)の値は、樹脂接着剤層B1の値を示している。
【0046】
次に、表1Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表1Bにおいても物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。
【0048】
なお、レンズ面に採用する非球面形状は、Yをサグ量、cを曲率半径の逆数、Kを円錐係数、hを光線高さ、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次の非球面係数をそれぞれA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16としたときに、次式により表わされる。
【0050】
(作用効果)
図3(a)〜(d)は撮像レンズ10の縦収差図、横収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図3(a)の縦収差図では横軸は光線が光軸L1と交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。
図3(b)の横収差図では横軸は入射瞳座標を示し、縦軸は収差量を示す。
図3(a)、(b)では、波長の異なる複数の光線についてのシミュレーション結果を示してある。
図3(c)の像面湾曲図では横軸は光軸L1方向の距離を示し、縦軸は
像の高さを示す。
図3(c)において、Sはサジタル面における像面湾曲収差を示し、Tはタンジェンシャル面における像面湾曲収差を示す。
図3(d)の歪曲収差図では横軸は像の歪み量を示し、縦軸は像の高さを示す。
【0051】
図3(a)に示すように、本例の撮像レンズ10によれば、軸上の色収差が良好に補正されている。また、
図3(b)に示すように、色の滲みが抑制されている。また、
図3(a)、
図3(b)に示すように、軸上の色収差と倍率色収差の双方が周辺部分においてもバランス良く補正されている。さらに、
図3(c)に示すように、本例の撮像レンズ10によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、撮像レンズ10が高解像度となる。
【0052】
ここで、本例では、物体側レンズ17の像側レンズ面17bおよび像側レンズ18の物体側レンズ面18aの光軸L1上における間隔を予め20μm以上として接合レンズである第4レンズ14を設計している。従って、設計時において、樹脂接着剤層B1が厚くなることにより発生するタンジェンシャル面における像面湾曲のプラス側へのシフトを考慮できる。従って、本例の撮像レンズ10によれば、
図3(c)に示されるように、タンジェンシャル面における像面湾曲のプラス側へのシフトが抑制されている。
【0053】
次に、
図4は撮像レンズ10の球面収差図であり、実線は波長588nmの光線(可視光線)に対する球面収差を示す。点線は波長850nmの光線(近赤外線)に対する球面収差を示す。球面収差図の横軸は光線が光軸と交わる位置であり、縦軸は瞳径での高さである。
図4に示すように、撮像レンズ10では、波長850nmの光線に対する球面収差が補正されており、可視光線下の撮影時と近赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。すなわち、本例の撮像レンズ10では、可視光線を用いた撮影時と近赤外線を用いた撮影時とでピントずれが発生することが抑制される。なお、第4レンズ14を接合
レンズではない1枚のレンズから構成した場合には、波長588nmの光線(可視光線)に対する球面収差と、波長850nmの光線(近赤外線)に対する球面収差の双方をバランス良く補正して、可視光線を用いた撮影時と近赤外線を用いた撮影時とでピントずれが発生しないようにすることは困難である。
【0054】
(実施例2)
図5は実施例2の撮像レンズの構成図(光線図)である。
図5に示すように、本例の撮像レンズ20は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを備える第1レンズ21、負のパワーを備える第2レンズ22、正のパワーを備える第3レンズ23、および、正のパワーを備える第4レンズ24からなる。第3レンズ23と第4レンズ24の間には絞り25が配置されており、第4レンズ24の像側には板ガラス26が配置されている。結像面I2は板ガラス26から離れた位置にある。第4レンズ24は、負のパワーを備える物体側レンズ27と正のパワーを備える像側レンズ28からなる接合レンズである。物体側レンズ27と像側レンズ28とは樹脂接着剤により接着されており、物体側レンズ27と像側レンズ28の間には樹脂接着剤層B2が形成されている。本例の撮像レンズ20を構成する各レンズの形状は、実施例1の撮像レンズ10の対応する各レンズの形状と同様なので、その説明を省略する。
【0055】
本例の撮像レンズ20のFナンバーをFno.、半画角をω、およびレンズ系の全長をLとしたときに、これらの値は次の通りである。
Fno.=2.0
ω=97.6°
L=15.598mm
【0056】
また、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズ21の焦点距離をf1、第2レンズ22の焦点距離をf2、第3レンズ23の焦点距離をf3、第4レンズ24の焦点距離をf4、物体側レンズ27の焦点距離をf41、像側レンズ28の焦点距離をf42、としたときに、これらの値は次のとおりである。
f=1.141mm
f1=−8.378mm
f2=−2.600mm
f3=4.060mm
f4=3.199mm
f41=−3.520mm
f42=1.829mm
【0057】
また、本例の撮像レンズ20は、光軸L2上における樹脂接着剤層B2の厚さ寸法をD、光軸L2と直交する方向の物体側レンズ27の像側レンズ面27bの有効径での高さHにおける物体側レンズ27の像側レンズ面27bのサグ量をSg1H、高さHにおける像側レンズ28の物体側レンズ面28aのサグ量をSg2H、物体側レンズ27の像側レンズ面27bの曲率半径をRs、第3レンズ23の物体側レンズ面23aの曲率半径をR31、第3レンズ23の像側レンズ面23bの曲率半径をR32としたときに、実施例1の説明において示した条件式(1)〜(6)を満たしており、条件式(1)、(3)〜(6)のそれぞれの値は、以下のとおりである。
20μm ≦ D=20μm (1)
Sg1H ≦ Sg2H (2)
D=20μm ≦ 100μm (3)
0.9 ≦ Rs/f=1.112 ≦ 1.3 (4)
−3.0 ≦(f41/f42)/f=−1.69 ≦ −1.5 (5)
R31=3.428 ≦ |R32|=|−5.958| (6)
【0058】
さらに、本例の撮像レンズ20は、第1レンズ21、第2レンズ22、および、像側レンズ28のアッベ数を40以上とし、第3レンズ23および物体側レンズ27のアッベ数を31以下とし、これにより、色収差を補正している。
【0059】
次に、表2Aは撮像レンズ20の各レンズ面のレンズデータを示す。表2Aでは物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。星印が付けられたレンズ面は非球面である。7面は絞り25であり、12面および13面は板ガラス26の物体側ガラス面および像側ガラス面である。曲率半径および間隔の単位はミリメートルである。なお、第10面のNd(屈折率)およびのνd(アッベ数)の値は、樹脂接着剤層B2の値を示している。
【0061】
次に、表2Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表2Bにおいても物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。
【0063】
(作用効果)
図6(a)〜(d)は撮像レンズ20の縦収差図、横収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図6(a)に示すように、本例の撮像レンズ20によれば、軸上の色収差が良好に補正されている。また、
図6(b)に示すように、色の滲みが抑制されている。また、
図6(a)、
図6(b)に示すように、軸上の色収差と倍率色収差の双方が周辺部分においてもバランス良く補正されている。さらに、
図6(c)に示すように、本例の撮像レンズ20によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、撮像レンズ20が高解像度となる。
【0064】
また、本例では、物体側レンズ27の像側レンズ面27bおよび像側レンズ28の物体側レンズ面28aの光軸L2上における間隔を予め20μm以上として接合レンズである第4レンズ24を設計している。従って、設計時において、樹脂接着剤層B2が厚くなることにより発生するタンジェンシャル面における像面湾曲のプラス側へのシフトを考慮できる。従って、本例の撮像レンズ20によれば、
図6(c)に示されるように、タンジェンシャル面における像面湾曲のプラス側へのシフトが抑制されている。
【0065】
次に、
図7は撮像レンズ20の球面収差図であり、実線は波長588nmの光線(可視光線)に対する球面収差を示す。点線は波長850nmの光線(近赤外線)に対する球面収差を示す。横軸は光線が光軸と交わる位置であり、縦軸は光線が光学系に入射する高さである。
図7に示すように、撮像レンズ20では、波長850nmの光線に対する球面収差が補正されており、可視光線下の撮影時と近赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。すなわち、本例の撮像レンズ20では、すなわち、本例の撮像レンズ20では、可視光線を用いた撮影時と近赤外線を用いた撮影時とでピントずれが発生することが抑制される。
【0066】
(実施例3)
図8は実施例3の撮像レンズの構成図(光線図)である。
図8に示すように、本例の撮像レンズ30は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを備える第1レンズ31、負のパワーを備える第2レンズ32、正のパワーを備える第3レンズ33、および、正のパワーを備える第4レンズ34からなる。第3レンズ33と第4レンズ34の間には絞り35が配置されており、第4レンズ34の像側には板ガラス36が配置されている。結像面I3は板ガラス36から離れた位置にある。第4レンズ34は、負のパワーを備える物体側レンズ37と正のパワーを備える像側レンズ38からなる接合レンズである。物体側レンズ37と像側レンズ38とは樹脂接着剤により接着されており、物体側レンズ37と像側レンズ38の間には樹脂接着剤層B3が形成されている。本例の撮像レンズ30を構成する各レンズの形状は、実施例1の撮像レンズ10の対応する各レンズの形状と同様なので、その説明を省略する。
【0067】
本例の撮像レンズ30のFナンバーをFno.、半画角をω、およびレンズ系の全長をLとしたときに、これらの値は次の通りである。
Fno.=2.0
ω=96.0°
L=12.637mm
【0068】
また、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズ31の焦点距離をf1、第2レンズ32の焦点距離をf2、第3レンズ33の焦点距離をf3、第4レンズ34の焦点距離をf4、物体側レンズ37の焦点距離をf41、像側レンズ48の焦点距離をf42、としたときに、これらの値は次のとおりである。
f=0.847mm f1=−5.553mm
f2=−1.712mm f3=2.742mm
f4=2.317mm f41=−2.670mm
f42=1.493mm
【0069】
また、本例の撮像レンズ30は、光軸L3上における樹脂接着剤層B3の厚さ寸法をD、光軸L3と直交する方向の物体側レンズ37の像側レンズ面37bの有効径での高さHにおける物体側レンズ37の像側レンズ面37bのサグ量をSg1H、高さHにおける像側レンズ38の物体側レンズ面38aのサグ量をSg2H、物体側レンズ37の像側レンズ面37bの曲率半径をRs、第3レンズ33の物体側レンズ面33aの曲率半径をR31、第3レンズ33の像側レンズ面33bの曲率半径をR32としたときに、実施例1の説明において示した条件式(1)〜(6)を満たしており、条件式(1)、(3)〜(6)のそれぞれの値は、以下のとおりである。
20μm ≦ D=20μm (1)
Sg1H ≦ Sg2H (2)
D=20μm ≦ 100μm (3)
0.9 ≦ Rs/f=1.103 ≦ 1.3 (4)
−3.0 ≦(f41/f42)/f=−2.11 ≦ −1.5 (5)
R31=1.824 ≦ |R32|=|−8.292| (6)
【0070】
さらに、本例の撮像レンズ30は、第1レンズ31、第2レンズ32、および、像側レンズ38のアッベ数を40以上とし、第3レンズ33および物体側レンズ37のアッベ数を31以下とし、これにより、色収差を補正している。
【0071】
次に、表3Aは撮像レンズ30の各レンズ面のレンズデータを示す。表3Aでは物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。星印が付けられたレンズ面は非球面である。7面は絞り35であり、12面および13面は板ガラス36の物体側ガラス面および像側ガラス面である。曲率半径および間隔の単位はミリメートルである。なお、第10面のNd(屈折率)およびのνd(アッベ数)の値は、樹脂接着剤層B3の値を示している。
【0073】
次に、表3Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表3Bにおいても物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。
【0075】
(作用効果)
図9(a)〜(d)は撮像レンズ30の縦収差図、横収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図9(a)に示すように、本例の撮像レンズ30によれば、軸上の色収差が良好に補正されている。また、
図9(b)に示すように、色の滲みが抑制されている。また、
図9(a)、
図9(b)に示すように、軸上の色収差と倍率色収差の双方が周辺部分においてもバランス良く補正されている。さらに、
図9(c)に示すように、本例の撮像レンズ30によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、撮像レンズ30が高解像度となる。
【0076】
また、本例では、物体側レンズ37の像側レンズ面37bおよび像側レンズ38の物体側レンズ面38aの光軸L3上における間隔を予め20μm以上として接合レンズである第4レンズ34を設計している。従って、設計時において、樹脂接着剤層B3が厚くなることにより発生するタンジェンシャル面における像面湾曲のプラス側へのシフトを考慮できる。従って、本例の撮像レンズ30によれば、
図9(c)に示されるように、タンジェンシャル面における像面湾曲のプラス側へのシフトが抑制されている。
【0077】
次に、
図10は撮像レンズ30の球面収差図であり、実線は波長588nmの光線(可視光線)に対する球面収差を示す。点線は波長850nmの光線(近赤外線)に対する球面収差を示す。横軸は光線が光軸と交わる位置であり、縦軸は光線が光学系に入射する高さである。
図10に示すように、撮像レンズ30では、波長850nmの光線に対する球面収差が補正されており、可視光線下の撮影時と近赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。すなわち、本例の撮像レンズ30では、可視光線を用いた撮影時と近赤外線を用いた撮影時とでピントずれが発生することが抑制される。
【0078】
また、本例の撮像レンズ40は、光軸L4上における樹脂接着剤層B4の厚さ寸法をD、光軸L4と直交する方向の物体側レンズ47の像側レンズ面47bの有効径での高さHにおける物体側レンズ47の像側レンズ面47bのサグ量をSg1H、高さHにおける像側レンズ48の物体側レンズ面48aのサグ量をSg2H、物体側レンズ47の像側レンズ面47bの曲率半径をRs、第3レンズ43の物体側レンズ面43aの曲率半径をR31、第3レンズ43の像側レンズ面43bの曲率半径をR32としたときに、実施例1の説明において示した条件式(1)〜(6)を満たしており、条件式(1)、(3)〜(6)のそれぞれの値は、以下のとおりである。
20μm ≦ D=20μm (1)
Sg1H ≦ Sg2H (2)
D=20μm ≦ 100μm (3)
0.9 ≦ Rs/f=1.189 ≦ 1.3 (4)
−3.0 ≦(f41/f42)/f=−2.12 ≦ −1.5 (5)
R31=2.115 ≦ |R32|=|−5.863| (6)
【0079】
さらに、本例の撮像レンズ40は、第1レンズ41、第2レンズ42、および、像側レンズ48のアッベ数を40以上とし、第3レンズ43および物体側レンズ47のアッベ数を31以下とし、これにより、色収差を補正している。
【0080】
次に、表4Aは撮像レンズ40の各レンズ面のレンズデータを示す。表4Aでは物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。星印が付けられたレンズ面は非球面である。7面は絞り45であり、12面および13面は板ガラス46の物体側ガラス面および像側ガラス面である。曲率半径および間隔の単位はミリメートルである。なお、第10面のNd(屈折率)およびのνd(アッベ数)の値は、樹脂接着剤層B4の値を示している。
【0082】
次に、表4Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表4Bにおいても物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。
【0084】
(作用効果)
図12(a)〜(d)は撮像レンズ40の縦収差図、横収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図12(a)に示すように、本例の撮像レンズ40によれば、軸上の色収差が良好に補正されている。また、
図12(b)に示すように、色の滲みが抑制されている。また、
図12(a)、
図12(b)に示すように、軸上の色収差と倍率色収差の双方が周辺部分においてもバランス良く補正されている。さらに、
図12(c)に示すように、本例の撮像レンズ40によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、撮像レンズ40が高解像度となる。
【0085】
また、本例では、物体側レンズ47の像側レンズ面47bおよび像側レンズ48の物体側レンズ面48aの光軸L4上における間隔を予め20μm以上として接合レンズである第4レンズ44を設計している。従って、設計時において、樹脂接着剤層B4が厚くなることにより発生するタンジェンシャル面における像面湾曲のプラス側へのシフトを考慮できる。従って、本例の撮像レンズ40によれば、
図12(c)に示されるように、タンジェンシャル面における像面湾曲のプラス側へのシフトが抑制されている。
【0086】
次に、
図13は撮像レンズ40の球面収差図であり、実線は波長588nmの光線(可視光線)に対する球面収差を示す。点線は波長850nmの光線(近赤外線)に対する球面収差を示す。横軸は光線が光軸と交わる位置であり、縦軸は光線が光学系に入射する高さである。
図13に示すように、撮像レンズ40では、波長850nmの光線に対する球面収差が補正されており、可視光線下の撮影時と近赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。すなわち、本例の撮像レンズ40では、可視光線を用いた撮影時と近赤外線を用いた撮影時とでピントずれが発生することが抑制される。
【0087】
(実施例5)
図14は実施例5の撮像レンズの構成図(光線図)である。
図14に示すように、本例の撮像レンズ50は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを備える第1レンズ51、負のパワーを備える第2レンズ52、正のパワーを備える第3レンズ53、および、正のパワーを備える第4レンズ54からなる。第3レンズ53と第4レンズ54の間には絞り55が配置されており、第4レンズ54の像側には板ガラス56が配置されている。
結像面I5は板ガラス56から離れた位置にある。第4レンズ54は、負のパワーを備える物体側レンズ57と正のパワーを備える像側レンズ58からなる接合レンズである。物体側レンズ57と像側レンズ58とは樹脂接着剤により接着されており、物体側レンズ57と像側レンズ58の間には樹脂接着剤層B5が形成されている。本例の撮像レンズ50を構成する各レンズの形状は、実施例1の撮像レンズ10の対応する各レンズの形状と同様なので、その説明を省略する。
【0088】
本例の撮像レンズ50のFナンバーをFno.、半画角をω、およびレンズ系の全長をLとしたときに、これらの値は次の通りである。
Fno.=2.0
ω=100.0°
L=19.664mm
【0089】
また、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズ51の焦点距離をf1、第2レンズ52の焦点距離をf2、第3レンズ53の焦点距離をf3、第4レンズ54の焦点距離をf4、物体側レンズ57の焦点距離をf41、像側レンズ58の焦点距離をf42、とした
ときに、これらの値は次のとおりである。
f=1.248mm f1=−8.890mm
f2=−2.602mm f3=4.265mm
f4=3.481mm f41=−4.227mm
f42=1.479mm
【0090】
また、本例の撮像レンズ50は、光軸L5上における樹脂接着剤層B5の厚さ寸法をD、光軸L5と直交する方向の物体側レンズ57の像側レンズ面57bの有効径での高さHにおける物体側レンズ57の像側レンズ面57bのサグ量をSg1H、高さHにおける像側レンズ58の物体側レンズ面58aのサグ量をSg2H、物体側レンズ57の像側レンズ面57bの曲率半径をRs、第3レンズ53の物体側レンズ面53aの曲率半径をR31、第3レンズ53の像側レンズ面53bの曲率半径をR32としたときに、実施例1の説明において示した条件式(1)〜(6)を満たしており、条件式(1)、(3)〜(6)のそれぞれの値は、以下のとおりである。
20μm ≦ D=20μm (1)
Sg1H ≦ Sg2H (2)
D=20μm ≦ 100μm (3)
0.9 ≦ Rs/f=1.120 ≦ 1.3 (4)
−3.0 ≦(f41/f42)/f=−1.50 ≦ −1.5 (5)
R31=2.828 ≦ |R32|=|−13.176| (6)
【0091】
さらに、本例の撮像レンズ50は、第1レンズ51、第2レンズ52、および、像側レンズ58のアッベ数を40以上とし、第3レンズ53および物体側レンズ57のアッベ数を31以下とし、これにより、色収差を補正している。
【0092】
次に、表5Aは撮像レンズ50の各レンズ面のレンズデータを示す。表5Aでは物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。星印が付けられたレンズ面は非球面である。7面は絞り55であり、12面および13面は板ガラス56の物体側ガラス面および像側ガラス面である。曲率半径および間隔の単位はミリメートルである。なお、第10面の
Nd(屈折率)およびのνd(アッベ数)の値は、樹脂接着剤層B5の値を示している。
【0094】
次に、表5Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表5Bにおいても物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。
【0096】
(作用効果)
図15(a)〜(d)は撮像レンズ50の縦収差図、横収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図15(a)に示すように、本例の撮像レンズ50によれば、軸上の色収差が良好に補正されている。また、
図15(b)に示すように、色の滲みが抑制されている。
また、
図15(a)、
図15(b)に示すように、軸上の色収差と倍率色収差の双方が周辺部分においてもバランス良く補正されている。さらに、
図15(c)に示すように、本例の撮像レンズ50によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、撮像レンズ50が高解像度となる。
【0097】
また、本例では、物体側レンズ57の像側レンズ面57bおよび像側レンズ58の物体側レンズ面58aの光軸L5上における間隔を予め20μm以上として接合レンズである第4レンズ54を設計している。従って、設計時において、樹脂接着剤層B5が厚くなることにより発生するタンジェンシャル面における像面湾曲のプラス側へのシフトを考慮できる。従って、本例の撮像レンズ50によれば、
図15(c)に示されるように、タンジェンシャル面における像面湾曲のプラス側へのシフトが抑制されている。
【0098】
次に、
図16は撮像レンズ50の球面収差図であり、実線は波長588nmの光線(可視光線)に対する球面収差を示す。点線は波長850nmの光線(近赤外線)に対する球面収差を示す。横軸は光線が光軸と交わる位置であり、縦軸は光線が光学系に入射する高さである。
図16に示すように、撮像レンズ50では、波長850nmの光線に対する球面収差が補正されており、可視光線下の撮影時と近赤外線下の撮像時とでピント合わせを行う必要がない。すなわち、本例の撮像レンズ50では、可視光線を用いた撮影時と近赤外線を用いた撮影時とでピントずれが発生することが抑制される。
【0099】
(その他の実施の形態)
上記の撮像レンズ10〜50では第3レンズの像側レンズ面(13b、23b、33b、43b、53b)が負の曲率を備えており、光軸に向かって像側に突出する凸形状の曲面部分を備えているが、この像側レンズ面(13b、23b、33b、43b、53b)が正の曲率を備え、光軸に向かって物体側に窪む凹形状の曲面部分を備えるようにしてもよい。この場合にも、条件式(6)を満たすことによって、撮像レンズ10〜50を広角レンズとすることが容易となる。
【0100】
(撮像装置)
図17は本発明の接合レンズを用いた撮像レンズを搭載する撮像装置の説明図である。
図17に示すように、撮像装置60は撮像レンズ10の結像面I1(焦点位置)にセンサ面61aを配置した撮像素子61を備えるものである。撮像素子61は、CCDセンサ或いはCMOSセンサである。
【0101】
本例によれば、撮像レンズの解像度が高いので、撮像素子61として画素数の多い撮像素子を採用することにより、撮像装置60を高解像度のものとすることができる。ここで、撮像装置60には、撮像レンズ20〜50を撮像レンズ10と同様に搭載することができ、この場合にも同様の効果を得ることができる。
【0102】
また、
図17に二点鎖線で示すように、撮像装置60において、撮像レンズ10と撮像素子61との間に850nmの波長を含む帯域の近赤外線および可視光線を透過して撮像レンズ10に導く光学フィルタ62を配置することにより、近赤外線および可視光線を利用する撮像装置とすることができる。すなわち、撮像レンズ10では、可視光線を用いた撮影時と近赤外線を用いた撮影時とでピントずれが発生することが防止或いは抑制されている。従って、撮像装置60に光学フィルタ62を搭載するだけで、850nmの波長を含む近赤外線、例えば、800nm〜1100nmの帯域の光線を利用した撮像と、可視光線、すなわち、波長が400nm〜700nmの光線を利用した撮影の双方を行う撮像装置を構成することが可能である。また、撮像レンズ20〜50においても、可視光線を用いた撮影時と近赤外線を用いた撮影時とでピントずれが発生することが防止或いは抑制
されている。従って、撮像レンズ10を用いる場合と同様に、撮像装置60に光学フィルタ62を搭載するだけで、850nmの波長を含む近赤外線利用した撮像と可視光線を利用した撮影の双方を行う撮像装置を構成することが可能である。なお、光学フィルタ62は、撮像レンズ10〜50の物体側に配置してもよい。
【0103】
(参考例1)
以下に、
図18〜
図23を参照して参考例1〜3の撮像レンズを説明する。参考例1〜3の撮像レンズは実施例1〜5と同様の構成を備えているが、接合レンズを構成している2枚のレンズを接着している樹脂接着剤層の光軸上の厚さ寸法、すなわち、接合レンズを構成している2枚のレンズの光軸上の間隔が、20μm未満となっている。
【0104】
図18は、参考例1の撮像レンズの構成図(光線図)である。
図18に示すように、本例の撮像レンズ70は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを備える第1レンズ71、負のパワーを備える第2レンズ72、正のパワーを備える第3レンズ73、および、正のパワーを備える第4レンズ74からなる。第3レンズ73と第4レンズ74の間には絞り75が配置されており、第4レンズ74の像側には板ガラス76が配置されている。結像面I7は板ガラス76から離れた位置にある。第4レンズ74は、負のパワーを備える物体側レンズ77と正のパワーを備える像側レンズ78からなる接合レンズである。
接合レンズの接合面となっている物体側レンズ77の像側レンズ面77bおよび像側レンズ78の物体側レンズ面78aは同一形状である。また、物体側レンズ77と像側レンズ78とは樹脂接着剤により接着されているが、物体側レンズ77と像側レンズ78の間のギャップは実施的にゼロである。
【0105】
本例の撮像レンズ70のFナンバーをFno.、半画角をω、およびレンズ系の全長をLとしたときに、これらの値は次の通りである。
Fno.=2.0
ω=88.6°
L=12.499mm
【0106】
また、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズ71の焦点距離をf1、第2レンズ72の焦点距離をf2、第3レンズ73の焦点距離をf3、第4レンズ74の焦点距離をf4、物体側レンズ77の焦点距離をf41、像側レンズ78の焦点距離をf42、としたときに、これらの値は次のとおりである。
f=1.444mm
f1=−6.918mm
f2=−2.422mm
f3=3.349mm
f4=3.215mm
f41=−3.243mm
f42=1.752mm
【0107】
また、本例の撮像レンズ70は、光軸L7と直交する方向の物体側レンズ77の像側レンズ面77bの有効径での高さHにおける物体側レンズ77の像側レンズ面77bのサグ量をSg1H、高さHにおける像側レンズ78の物体側レンズ面78aのサグ量をSg2H、物体側レンズ77の像側レンズ面77bの曲率半径をRs、第3レンズ73の物体側レンズ面73aの曲率半径をR31、第3レンズ73の像側レンズ面73bの曲率半径をR32としたときに、実施例1の説明において示した条件式(2)、条件式(5)および条件式(6)を満たす。条件式(5)および条件式(6)の値は、以下のとおりである。
Sg1H ≦ Sg2H (2)
−3.0 ≦(f41/f42)/f=−1.28 ≦ −1.5 (5)
R31=2.400 ≦ |R32|=|−8.121| (6)
【0108】
さらに、本例の撮像レンズ70は、第1レンズ71、第2レンズ72、および、像側レンズ78のアッベ数を40以上とし、第3レンズ73および物体側レンズ77のアッベ数を31以下とし、これにより、色収差を補正している。
【0109】
なお、撮像レンズ70において、Rs/f=0.848であり、条件式(4)の下限値を下回っている。
【0110】
次に、表6Aは撮像レンズ70の各レンズ面のレンズデータを示す。表6Aでは物体側
から数えた順番で各レンズ面を特定している。星印が付けられたレンズ面は非球面である
。7面は絞り75であり、11面および12面は板ガラス76の物体側ガラス面および像
側ガラス面である。曲率半径および間隔の単位はミリメートルである。
【0112】
次に、表6Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表6Bにおいても物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。
【0114】
図19(a)〜(d)は撮像レンズ70の縦収差図、横収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図19(a)に示すように、本例の撮像レンズ70によれば、軸上の色収差が良好に補正されている。また、
図19(b)に示すように、色の滲みが抑制されている。
また、
図19(a)、
図19(b)に示すように、軸上の色収差と倍率色収差の双方が周辺部分においてもバランス良く補正されている。さらに、
図19(c)に示すように、本例の撮像レンズ70によれば、像面湾曲が良好に補正されている。
【0115】
(参考例2)
図20は、参考例2の撮像レンズの構成図(光線図)である。
図20に示すように、本例の撮像レンズ80は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを備える第1レンズ81、負のパワーを備える第2レンズ82、正のパワーを備える第3レンズ83、および、正のパワーを備える第4レンズ84からなる。第3レンズ83と第4レンズ84の間には絞り85が配置されており、第4レンズ84の像側には板ガラス86が配置されている。結像面I8は板ガラス86から離れた位置にある。第4レンズ84は、負のパワーを備える物体側レンズ87と正のパワーを備える像側レンズ88からなる接合レンズである。
接合レンズの接合面となっている物体側レンズ87の像側レンズ面87bおよび像側レンズ88の物体側レンズ面88aは同一形状である。また、物体側レンズ87と像側レンズ88とは樹脂接着剤により接着されているが、物体側レンズ87と像側レンズ88の間のギャップは実施的にゼロである。
【0116】
本例の撮像レンズ80のFナンバーをFno.、半画角をω、およびレンズ系の全長を
Lとしたときに、これらの値は次の通りである。
Fno.=2.0
ω=100.8°
L=13.301mm
【0117】
また、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズ81の焦点距離をf1、第2レンズ82の焦点距離をf2、第3レンズ83の焦点距離をf3、第4レンズ84の焦点距離をf4、物体側レンズ87の焦点距離をf41、像側レンズ88の焦点距離をf42、としたときに、これらの値は次のとおりである。
f=1.187mm
f1=−6.813mm
f2=−2.080mm
f3=3.061mm
f4=3.238mm
f41=−2.699mm
f42=1.743mm
【0118】
また、本例の撮像レンズ80は、光軸L8と直交する方向の物体側レンズ87の像側レンズ面87bの有効径での高さHにおける物体側レンズ87の像側レンズ面87bのサグ量をSg1H、高さHにおける像側レンズ88の物体側レンズ面88aのサグ量をSg2H、物体側レンズ87の像側レンズ面87bの曲率半径をRs、第3レンズ83の物体側レンズ面83aの曲率半径をR31、第3レンズ83の像側レンズ面83bの曲率半径をR32としたときに、実施例1の説明において示した条件式(2)、条件式(4)および条件式(6)を満たす。条件式(4)および条件式(6)の値は、以下のとおりである。
Sg1H ≦ Sg2H (2)
0.9 ≦ Rs/f=1.016 ≦ 1.3 (4)
R31=2.437 ≦ |R32|=|−5.274| (6)
【0119】
さらに、本例の撮像レンズ80は、第1レンズ81、第2レンズ82、および、像側レンズ88のアッベ数を40以上とし、第3レンズ83および物体側レンズ87のアッベ数を31以下とし、これにより、色収差を補正している。
【0120】
なお、撮像レンズ80は、(f41/f42)/f=−1.30であり、条件式(5)の上限値を上回っている。
【0121】
次に、表7Aは撮像レンズ80の各レンズ面のレンズデータを示す。表7Aでは物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。星印が付けられたレンズ面は非球面である。7面は絞り85であり、11面および12面は板ガラス86の物体側ガラス面および像側ガラス面である。曲率半径および間隔の単位はミリメートルである。
【0123】
次に、表7Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表7Bにおいても物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。
【0125】
図21(a)〜(d)は撮像レンズ80の縦収差図、横収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図21(a)に示すように、本例の撮像レンズ80によれば、軸上の色収差が良好に補正されている。また、
図21(b)に示すように、色の滲みが抑制されている。
また、
図21(a)、
図21(b)に示すように、軸上の色収差と倍率色収差の双方が周辺部分においてもバランス良く補正されている。さらに、
図21(c)に示すように、本例の撮像レンズ80によれば、像面湾曲が良好に補正されている。
【0126】
(参考例3)
図22は、参考例3の撮像レンズの構成図(光線図)である。
図22に示すように、本例の撮像レンズ90は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを備える第1レンズ91、負のパワーを備える第2レンズ92、正のパワーを備える第3レンズ93、および、正のパワーを備える第4レンズ94からなる。第3レンズ93と第4レンズ94の間には絞り95が配置されており、第4レンズ94の像側には板ガラス96が配置されている。結像面I9は板ガラス96から離れた位置にある。第4レンズ94は、負のパワーを備える物体側レンズ97と正のパワーを備える像側レンズ98からなる接合レンズである。
接合レンズの接合面となっている物体側レンズ97の像側レンズ面97bおよび像側レンズ98の物体側レンズ面98aは同一形状である。また、物体側レンズ97と像側レンズ98とは樹脂接着剤により接着されているが、物体側レンズ97と像側レンズ98の間のギャップは実施的にゼロである。
【0127】
本例の撮像レンズ90のFナンバーをFno.、半画角をω、およびレンズ系の全長をLとしたときに、これらの値は次の通りである。
Fno.=2.0
ω=97.6°
L=15.633mm
【0128】
また、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズ91の焦点距離をf1、第2レンズ92の焦点距離をf2、第3レンズ93の焦点距離をf3、第4レンズ94の焦点距離をf4、物体側レンズ97の焦点距離をf41、像側レンズ98の焦点距離をf42、としたときに、これらの値は次のとおりである。
f=1.149mm
f1=−8.499mm
f2=−2.585mm
f3=3.991mm
f4=3.208mm
f41=−3.508mm
f42=1.833mm
【0129】
また、本例の撮像レンズ90は、光軸L9と直交する方向の物体側レンズ97の像側レンズ面97bの有効径での高さHにおける物体側レンズ97の像側レンズ面97bのサグ量をSg1H、高さHにおける像側レンズ98の物体側レンズ面98aのサグ量をSg2H、物体側レンズ97の像側レンズ面97bの曲率半径をRs、第3レンズ93の物体側レンズ面93aの曲率半径をR31、第3レンズ93の像側レンズ面93bの曲率半径をR32としたときに、実施例1の説明において示した条件式(2)、条件式(4)〜(6)を満たす。条件式(4)〜(6)の値は、以下のとおりである。
Sg1H ≦ Sg2H (2)
0.9 ≦ Rs/f=1.110 ≦ 1.3 (4)
−3.0 ≦(f41/f42)/f=−1.67 ≦ −1.5 (5)
R31=3.342 ≦ |R32|=|−5.935| (6)
【0130】
さらに、本例の撮像レンズ90は、第1レンズ91、第2レンズ92、および、像側レンズ98のアッベ数を40以上とし、第3レンズ93および物体側レンズ97のアッベ数を31以下とし、これにより、色収差を補正している。
【0131】
次に、表8Aは撮像レンズ90の各レンズ面のレンズデータを示す。表8Aでは物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。星印が付けられたレンズ面は非球面である。7面は絞り95であり、11面および12面は板ガラス96の物体側ガラス面および像側ガラス面である。曲率半径および間隔の単位はミリメートルである。
【0133】
次に、表8Bは非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表8Bにおいても物体側から数えた順番で各レンズ面を特定している。
【0135】
図23(a)〜(d)は撮像レンズ90の縦収差図、横収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。
図23(a)に示すように、本例の撮像レンズ90によれば、軸上の色収差が良好に補正されている。また、
図23(b)に示すように、色の滲みが抑制されている。
また、
図23(a)、
図23(b)に示すように、軸上の色収差と倍率色収差の双方が周辺部分においてもバランス良く補正されている。さらに、
図23(c)に示すように、本例の撮像レンズ90によれば、像面湾曲が良好に補正されている。