【実施例】
【0026】
以下、実施例及び試験例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0027】
[実施例1]高圧酵素分解技法を使用した緑茶抽出物の製造
600MPaの圧力及び50℃の温度で緑茶葉(100g)にプロテアーゼ(0.1g)を入れて混合し、酵素分解された緑茶抽出物原液を得た。次に、この原液を濾過紙で濾過して不純物を除去し、水:ブチレングリコール(2:1、v/v)の溶媒に1%濃度に希釈させて、緑茶抽出物を製造した。
【0028】
[実施例2]高圧酵素分解技法を使用した竹抽出物の製造
600MPaの圧力及び50℃の温度で竹(100g)にプロテアーゼ(0.1g)を入れて混合し、酵素分解された竹抽出物原液を得た。次に、この原液を濾過紙で濾過して不純物を除去し、水:ブチレングリコール(2:1、v/v)の溶媒に1%濃度に希釈させて竹抽出物を製造した。
【0029】
[比較例1]高圧抽出技法を使用した緑茶抽出物の製造
600MPaの圧力で緑茶葉(100g)を高圧抽出させた後、濾過紙で濾過した溶液を水:ブチレングリコール(2:1、v/v)の溶媒に1%濃度に希釈させて緑茶抽出物を製造した。
【0030】
[比較例2]酵素分解技法を使用した緑茶抽出物の製造
50℃の温度で緑茶葉(100g)にプロテアーゼ(0.1g)を入れて混合して酵素分解させた後、濾過紙で濾過した溶液を水:ブチレングリコール(2:1、v/v)の溶媒に1%濃度に希釈させて緑茶抽出物を製造した。
【0031】
[比較例3]エタノール抽出法を使用した緑茶抽出物の製造
緑茶葉(10g)を50vol%エタノール(100mL)に入れて常温で一日間放置して抽出する工程を2回繰り返して抽出液を得、この抽出液を濾過して真空濃縮器で濃縮した後、濃縮物に水とエタノールを加えて常温で2時間撹拌した後、静置し、層分離させた。層分離した後、水層を除去し、エタノールをさらに添加した。このような工程を2回繰り返して充分に洗浄して濾過した後、真空オーブンで乾燥して緑茶抽出物を製造した。
【0032】
[比較例4]エタノール抽出法を使用した竹抽出物の製造
竹(10g)を50vol%エタノール(100mL)に入れて常温で一日間放置して抽出する工程を2回繰り返して抽出液を得、この抽出液を濾過して真空濃縮器で濃縮した後、濃縮物に水とエタノールを加えて常温で2時間撹拌した後、静置し、層分離させた。層分離した後、水層を除去し、エタノールをさらに添加した。このような工程を2回繰り返して充分に洗浄して濾過した後、真空オーブンで乾燥して竹抽出物を製造した。
【0033】
[試験例1]本発明の高圧酵素分解技法と既存の抽出法を利用した緑茶抽出物のアミノ酸含量比較
下記OPA法を利用して上記実施例1及び比較例1〜3の緑茶抽出物のアミノ酸種類別含量を分析した。その結果は下記表1に示した。
【0034】
アミノ酸分析法(OPA法)
1)HPLC条件
−カラム:zorbaxカラム(アミノ酸分析専用)
−移動相:
A=1.36g酢酸ナトリウムトリ水和物+100μLトリエチルアミン→500mL定容→pH7.2(酢酸で調節)→THF1.5mL
B=1.36g酢酸ナトリウムトリ水和物/100mLH
2O→pH7.2+メタノール200mL+ACN200mL
−流速:0.5mL/min
−注入:オンライン誘導化(online derivatization*)のための注入プログラム
−検出器:338nm
−勾配(gradient):オンラインプログラム*
2)試薬準備
−アミノ酸標準液:アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、バリンなど試薬各々10mg/100mL H
2O
−OPA試薬:HP社で製造して供給する試薬、保存期限6ヶ月、アンプル形態
−ホウ酸緩衝液(borate buffer):100mL単位供給、アミノ酸発色のために必要
【0035】
【表1】
【0036】
上記表1から分かるように、エタノール抽出法を利用して得た緑茶抽出物(比較例3)のアミノ酸全体含量を100%にして比較するとき、高圧抽出技法と酵素分解技法で製造された緑茶抽出物(比較例1〜2)は、各々184%、141%とアミノ酸全体含量が増加したが、本発明の高圧酵素分解技法を利用して得た緑茶抽出物(実施例1)のアミノ酸全体含量は、277%と有意に増加した。
【0037】
したがって、本発明の高圧酵素分解技法を利用して抽出した植物抽出物は、既存の他の抽出方法を使用することより多量の効能成分を含有することができた。
【0038】
[試験例2]DPPH(Diphenylpicryl Hyrazyl)ラジカル除去効果
高圧酵素分解技法を使用した植物抽出物の抗酸化効果を測定するために、本発明の高圧酵素分解技法を使用した緑茶抽出物(実施例1)、溶媒抽出法を利用して抽出した緑茶抽出物(比較例3)及び知られた抗酸化効能成分であるバイカリン(Baicalin)を利用してDPPHラジカルの除去効果を比較した。
【0039】
上記DPPHラジカルの除去効果実験は、代表的な抗酸化能測定方法として通用されている方法として、有機ラジカルである1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl(Diphenylpicryl Hyrazyl;DPPH)の還元によって発生する吸光度の変化を通じて抗酸化能を評価する方法である。DPPHの酸化が抑制され、吸光度が対照群に比べて減少する程度を測定し、対照群の吸光度に比べて50%以下の吸光度を示す濃度(IC
50)を有効抗酸化濃度として評価した。IC
50が低いほどラジカル除去効果が高くて、抗酸化能に優れていることを意味する。
【0040】
実験過程を具体的に説明すれば、100μM(inエタノール)DPPH溶液190μLと実施例1、比較例3及びバイカリンを各々10μLずつ入れて反応液を製造し、37℃で30分間反応させた後、540nmで吸光度を測定した。その結果を下記表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】
上記表2から分かるように、本発明の高圧酵素分解技法を使用した緑茶抽出物(実施例1)は、エタノール抽出法を使用した緑茶抽出物バイカリン(比較例3)に比べて約2倍程度抗酸化能に優れていて、代表的な抗酸化剤であるバイカリンと類似の水準の抗酸化能を示していることを確認することができた。
【0043】
[試験例3]グルタチオン合成促進効果実験
高圧酵素分解技法を使用した植物抽出物の抗酸化効果を測定するために、本発明の高圧酵素分解技法を使用した緑茶抽出物(実施例1)、溶媒抽出法を利用して抽出した緑茶抽出物(比較例3)及び知られた抗酸化効能成分である桃金娘(天人花)(Rose Myrtle)を利用してグルタチオン合成促進効果を比較した。ここで、グルタチオンは、身体にある代表的な抗酸化剤であって、活性酸素を抑制する効能を有している。したがって、グルタチオンの合成促進は、活性酸素を抑制することによって、皮膚老化を阻止し、皮膚を元気にすることができる。
【0044】
実験過程を具体的に説明すれば、繊維芽細胞を24ウェルプレートにウェル当たり3x10
4個ずつ分株した後、37℃で12時間培養した。このように準備した細胞に高圧酵素分解技法の緑茶抽出物とエタノール抽出法を使用した緑茶抽出物を24時間処理した。この時、陽性対照群は、桃金娘を使用した。細胞培養液に0.9%トリトンX−100を加え、37℃で30分間反応させた。溶解物(Lysate)を回収し、2,000rpmで20分間遠心分離した後、上層液を新しいチューブに移した。上記溶解物の1/10体積の1M 2−ビニルピリドンを加えた後、常温で1時間反応させた。この反応は、還元型グルタチオンを除去する段階で還元型グルタチオンを除去しない場合には行わずに、次の段階に移った。溶解物と同一の体積の10%メタリン酸を加えた後、5分間常温に放置した。12,000rpmで2分間遠心分離した後、上層液を回収した。上層液の1/5体積の4Mトリエタノールアミンを加えて酸化型/還元型グルタチオン定量用サンプルを準備した。96ウェルマイクロタイタープレート(microtiter plate)に2−ビニルピリドンを処理したか、または処理しないサンプル50μLを入れ、G酵素混合物(1.28mU/μLグルタチオン還元酵素)50μLを入れた後、100μLのG緩衝溶液混合物(2mM NADPH、20mM DTNB、0.4M MES、2mM EDTA、0.1Mリン酸ナトリウム、pH6.0)を入れ、常温で10分間反応させた後、405nmで吸光度を測定した。その結果を各々の試料が付加されない場合の吸光度と比較してグルタチオン合成促進率を計算し、下記表3に示した。
【0045】
【表3】
【0046】
上記表3から分かるように、グルタチオン合成を促進するものと知られた桃金娘(Rose Myrtle)抽出物が109%のグルタチオン合成促進率を示したのに対して、高圧酵素分解技法の緑茶抽出物(実施例1)は、同一の濃度で148%のグルタチオン合成促進効能を示した。また、本発明の高圧酵素分解技法で抽出した緑茶抽出物は、エタノール抽出法を使用した緑茶抽出物(比較例3)と比較してさらに強いグルタチオン合成促進効果を示すことを確認することができた。
【0047】
[試験例4]メラニン生成抑制実験
高圧酵素分解技法を使用した植物抽出物の皮膚美白効果を測定するために、本発明の高圧酵素分解技法を使用した緑茶及び竹抽出物(実施例1〜2)、溶媒抽出法を利用して抽出した緑茶及び竹抽出物(比較例3〜4)、代表的な美白機能性成分であるコウジ酸を利用してメラニン生成抑制能を比較した。
【0048】
実験過程を具体的に見れば、ヒトメラノマ細胞であるHM3KO細胞(Y. Funasaka, Department of dermatology, Kobe university school of medicine, 5-1 Kusunoki-cho 7-chrome, Chuo-ku, Kobe 650, Japan)を牛胎児血清が10%入っているMEM(Minimum Essential Medium)に入れ、37℃、5%CO
2条件の下で培養した。このように培養した細胞を細胞数が各フラスコ当たり3x10
5になるように75フラスコに敷設し、ひと晩細胞が器壁に付くことを待った後、細胞がよく付いたことを確認した後、培地を各々の試験物質が10ppmずつ入っている新しい培地に交替した。対照群は、DMSOが入っている培地を使用した。このような式で2〜3日に一度ずつ試料が入っている新しい培地に交替しながら細胞がフラスコに一杯になるまで培養した。培養液を除去し、PBSで洗浄した後、1N水酸化ナトリウムで溶解し、500nmで吸光度を測定した後、下記数式1によってメラニン生成抑制率を計算し、その結果を下記表4に示した。
【0049】
【数1】
【0050】
【表4】
【0051】
上記表4から分かるように、本発明の高圧酵素分解技法を利用して抽出した緑茶抽出物(実施例1)は、コウジ酸に比べて約80%程度、竹抽出物(実施例2)は、コウジ酸に比べて約60%程度のメラニン合成阻害能を有することが確認された。一方、エタノール抽出法を利用して抽出した比較例3〜4では、メラニン合成阻害能がないことを確認した。
【0052】
[試験例5]チロシナーゼ 活性抑制効果
高圧酵素分解技法を使用した植物抽出物の皮膚美白効果を測定するために、本発明の高圧酵素分解技法を使用した緑茶抽出物(実施例1)、溶媒抽出法を利用して抽出した緑茶抽出物(比較例3)及び代表的な美白機能性成分であるビタミンCを利用してチロシナーゼ活性抑制効果を比較した。ビタミンCは、チロシナーゼ活性を抑制し、皮膚美白に効果的な成分である。
【0053】
上記チロシナーゼ活性阻害効果をバンニなどの方法(A. Vanni, Annali Di Chimica, 80, p35, 1990)を利用して測定した。具体的に、0.1Mポタシウムホスフェート緩衝液(pH6.8)1.0mL、0.3mg/mLチロシン水溶液1.0mL、1,250ユニット/mLチロシナーゼ(SIGMAT−7755)0.1mLを混合した後、これに試料溶液を200mg/mL濃度に各々0.2mLずつ添加し、37℃で10分間酵素反応を行った。反応溶液の吸光度を480nmで測定し、下記数式2によりチロシナーゼ活性抑制率(%)を求め、その結果を下記表5に示した。
【0054】
【数2】
A:試料を添加しない反応溶液の480nmで吸光度
B:試料を添加した反応溶液の480nmで吸光度
【0055】
【表5】
【0056】
上記表5から分かるように、エタノール抽出法を利用して抽出した緑茶抽出物(比較例3)がチロシナーゼの活性抑制効果がないが、本発明の高圧酵素分解技法で抽出した緑茶抽出物(実施例1)は、ビタミンCと類似するか、またはさらに高いチロシナーゼ活性抑制効果を示すことを確認した。
【0057】
[試験例6]トランスグルタミナーゼ−1合成促進効果
高圧酵素分解技法を使用した植物抽出物の皮膚保湿効果を測定するために、本発明の高圧酵素分解技法を使用した竹抽出物(実施例2)、溶媒抽出法を利用して抽出した竹抽出物(比較例4)及び代表的なトランスグルタミナーゼ−1の合成促進成分である塩化カルシウムを利用してトランスグルタミナーゼ−1合成促進効果を比較した。
【0058】
上記トランスグルタミナーゼ−1の合成は、角質層の形成及び維持に必須要素なので、トランスグルタミナーゼ−1の合成促進効果は、皮膚障壁強化及び保湿効果増大として見られる。
【0059】
実験過程を具体的によく見れば、人間の皮膚細胞株を96孔平板培養器に各孔当たり5x10
4個を入れ、24時間付着させた。付着させた皮膚細胞株に試験物質を処理した後、2日が経過した後、培地を除去し、−20℃冷蔵庫に保管した。凍結解凍(Freeze-thawing)を2回繰り返して物質処理した細胞を破壊させた後、−20℃に保管したアセトン:エタノール(1:1、v/v)で処理し、4℃で30分間放置して細胞を固定させた。その後、室温に放置し、有機溶媒が蒸発されるようにし、ブロッキング(1%牛血清アルブミン)し、トランスグルタミナーゼ抗体(primary antibody)とHRPアンチ−マウス抗体(secondary antibody)でインキュベートし、発色は、OPD(o-phennyldiamine)を添加して行った。発現量は、490nmで吸光度を測定し、補正は、630nmでバックグラウンドを測定して行った。無処理対照群の吸光度値と比較してトランスグルタミナーゼ−1合成促進率を計算し、その結果を下記表6に示した。
【0060】
【表6】
【0061】
上記表6から分かるように、本発明の高圧酵素分解技法を利用して抽出した竹抽出物(実施例2)は、溶媒抽出法で抽出した竹抽出物(比較例4)と異なって、トランスグルタミナーゼ−1の合成促進効果があることを確認した。また、代表的なトランスグルタミナーゼ−1の合成促進成分である塩化カルシウム1.5mMと比較したとき、実施例2を50mg/mLで使用する場合、約95%の効果があることを確認することができた。