特許第5925488号(P5925488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925488
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/16 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
   B65D30/16 B
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-286726(P2011-286726)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-133167(P2013-133167A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003794
【氏名又は名称】押尾産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正昭
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−239211(JP,A)
【文献】 特開2001−151248(JP,A)
【文献】 特開2003−261150(JP,A)
【文献】 特開2003−191964(JP,A)
【文献】 実開昭52−030305(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シートにより上部に開口を有する袋状に形成された袋本体を備える包装袋であって、
前記袋本体は、その両側縁部分が互いに接近するように屈曲された屈曲形状をなし
前記袋本体の両側縁部分を補強する補強部材と、前記袋本体を屈曲形状にて固定するための固定構成とを備え、
前記固定構成は、一方の側縁部分を補強する前記補強部材に設けられる板状の第1係合部と、他方の側縁部分を補強する前記補強部材に設けられ、前記第1係合部と係合する板状の第2係合部とを備え、
前記第1係合部及び前記第2係合部の基端部分には、前記第1係合部及び前記第2係合部を屈曲可能とする薄肉部分が設けられていることを特徴とする包装袋
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートから形成される包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックボトルやガラス瓶等のボトル容器に代えて、樹脂シートを袋状に形成した包装袋が容器として使用されている。樹脂シートから形成される包装袋は、プラスチックボトルやガラス瓶等のボトル容器に比べて省資源化が可能であり、また使用後に小さく折り畳むことができるため、ごみの減容化にも寄与する。
【0003】
上記包装袋としては、例えば特許文献1に開示される包装袋が知られている。特許文献1の包装袋は、底面シートと一対の側面シートとからなり、二つ折りにした底面シートを一対の側面シートの間に挟み込ませた状態として、底面シート及び側面シートの各側縁を熱溶着することにより袋状に形成されている。また、特許文献1の包装袋には、中折れの防止や自立性の向上を目的として、両側縁部分に柱状の補強部材が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−191964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記包装袋は樹脂シートから形成されていることから、剛性が低く変形させやすいという性質を有する。こうした性質を有する上記包装袋には、廃棄時に空の包装袋を小さく折り畳むことができる等の利点がある一方で、内容物を取り出すために包装袋を把持した際に、包装袋が潰れやすくなって把持状態の安定性が低下するという問題もある。
【0006】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、把持した際の安定性を向上させた包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の包装袋は、樹脂シートにより上部に開口を有する袋状に形成された袋本体を備える包装袋であって、前記袋本体は、その両側縁部分が互いに接近するように屈曲された屈曲形状をなし、前記袋本体の両側縁部分を補強する補強部材と、前記袋本体を屈曲形状にて固定するための固定構成とを備え、前記固定構成は、一方の側縁部分を補強する前記補強部材に設けられる板状の第1係合部と、他方の側縁部分を補強する前記補強部材に設けられ、前記第1係合部と係合する板状の第2係合部とを備え、前記第1係合部及び前記第2係合部の基端部分には、前記第1係合部及び前記第2係合部を屈曲可能とする薄肉部分が設けられていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、袋本体が屈曲形状とされる、即ち上面視において丸められたような形状とされることにより、厚さ方向に重なる樹脂シートの枚数が多くなって、袋本体の厚さ方向の剛性が高められる。これにより、包装袋を把持した際に袋本体が容易に潰れてしまうことが抑制され、一定の反力を感じつつ安定して把持することができるようになる。また、袋本体が屈曲形状とされていない包装袋と比較して、袋本体が屈曲形状とされて丸められた包装袋は、掌の中に収まりやすくなって持ちやすくなる。包装袋の持ちやすさが良好となることによっても、包装袋を把持した際の安定性が向上する。
【0009】
また、上記構成によれば、袋本体の屈曲形状を安定して維持することができる。
【0010】
また、上記構成によれば、補強部材によって袋本体の中折れが防止されるとともに包装袋の自立性が向上する。さらに、固定構成と補強部材とを一体に設けることにより、補強部材と同時に固定構成を容易に形成することができるとともに、包装袋を形成するための部品点数を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装袋によれば、把持した際の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)〜(c)はそれぞれ第1実施形態の包装袋(屈曲形状)の斜視図、上面図、及び下面図。
図2】第1実施形態の包装袋の分解斜視図。
図3】第1実施形態の包装袋(非屈曲形状)の斜視図。
図4】第2実施形態の包装袋(非屈曲形状)の部分斜視図。
図5】第2実施形態の包装袋(屈曲形状)の部分斜視図。
図6】第3実施形態の包装袋の斜視図。
図7】(a)は固定部材の斜視図、(b)は別例の固定部材の斜視図。
図8】(a)〜(c)は別例の第1係合部及び第2係合部を示す図。
図9】(a)〜(c)は別例の第1係合部及び第2係合部を示す図。
図10】(a),(b)は別例の第1係合部及び第2係合部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態の包装袋1を図1〜3に基づいて説明する。
第1実施形態の包装袋1は、樹脂シートにより袋状に形成される袋本体10と、袋本体10の上部開口に取り付けられる口具20と、袋本体10の両側縁部分に取り付けられる一対の補強部材30a,30bとを備えている。
【0014】
図2に示すように、袋本体10は、折り目が上方を向くように二つ折りにされた横長の略長方形状の底面シート11と、その底面シート11を挟み込むように対向配置された一対の縦長の長方形状の側面シート12とから構成されている。そして、口具20の下部に設けられる接着部21及び二つ折りにされた底面シート11全体を挟んで一対の側面シート12を重ね合わせた状態として、側面シート12の上下及び左右の各縁部がそれぞれ接着されて、上方に口具20(開口)を有する袋状に形成されている。
【0015】
具体的には、図3に示すように、袋本体10の上縁においては、口具20の接着部21の外面と側面シート12の内面とが接着されるとともに、側面シート12の内面同士が一定幅で接着されている。袋本体10の左右の両側縁においては、側面シート12の内面同士が一定幅で接着されている。袋本体10の下縁においては、側面シート12の内面と底面シート11の外面とが、上下方向において円弧状に凹んだ曲線と側面シート12の左縁、右縁及び下縁とによって囲まれた領域にて接着されている。
【0016】
また、図2及び3に示すように、袋本体10の両側縁部分には、一対の補強部材30a,30bが取り付けられている。両補強部材30a,30bは、袋本体10の上縁の端部から側縁部分に沿って延びる柱状に形成されるとともに、袋本体10の上縁及び側縁の接着部分を外側から覆う横断面コ字状(溝状)に形成されている。そして、両補強部材30a,30bは、袋本体10の上縁及び側縁の接着部分に対して一体に形成されている。
【0017】
図2及び3に示すように、一方側の補強部材30aの背面の上部には、略円柱突起形状をなす第1係合部32が外方に向けて突出形成されている。第1係合部32の先端には、先端側から基端側に向かって拡径された拡径部32aが設けられ、第1係合部32は全体として側面視矢印形状に形成されている(図1(a)参照)。一方、他方側の補強部材30bの背面の上部には、略半円板形状をなす第2係合部33が外方に向けて突出形成されている。第2係合部33の基端部分は薄肉に形成されて、ヒンジとして機能するように構成されている。また、第2係合部33の中央部には、第1係合部32の拡径部32aの最大径部と略同径の貫通孔33aが設けられている。
【0018】
次に、本実施形態の作用について説明する。
上記のとおり構成された本実施形態の包装袋1は、図1に示すように、両側縁部分を接近させるように袋本体10を屈曲させた屈曲形状、即ち上面視において略C字状に丸められたような形状とするとともに、その屈曲形状を維持(固定)することができる。具体的には、袋本体10の両側縁部分を、袋本体10を構成する一方の側面シート12側に屈曲させて、両側縁部分に取り付けられている補強部材30a,30bを互いに接近させる。そして、他方側の補強部材30bに設けられた第2係合部33の貫通孔33aに対して、一方側の補強部材30aに設けられた第1係合部32を挿通させて、第1係合部32と第2係合部33とを係合させる。
【0019】
これにより、補強部材30a,30b同士が接近した状態で係合されて、包装袋1は図1に示すような袋本体10が屈曲形状とされた状態で固定される。なお、本実施形態においては、第1係合部32及び第2係合部33が、補強部材30a,30b同士を係合させて袋本体10を屈曲形状にて固定する固定構成(第1固定構成)となる。
【0020】
屈曲形状とされた袋本体10の両側縁部分は、その上縁部分においては口具20の接着部21の縁に沿って屈曲され、下方側に向かって徐々に接近していく。そして、第1係合部32と第2係合部33との係合部位において最接近し、そこから下方側に向かって徐々に離間するような形状となっている。つまり、袋本体10が屈曲形状である包装袋1は、図1(b)に示すように上部側の屈曲度合が大きく、且つ図1(c)に示すように下部側の屈曲度合が小さい略円錐形状となっている。
【0021】
屈曲形状の包装袋1は、袋本体10部分が上面視において丸められたような形状とされることにより、厚さ方向に重なる側面シート12の枚数が多くなって、袋本体10の厚さ方向の剛性が高められる。これにより、包装袋1を把持した際に袋本体10が容易に潰れてしまうことが抑制される。なお、本実施形態の包装袋1は、上記第1固定構成である第1係合部32と第2係合部33との係合状態を解除することによって、図1に示す屈曲形状から、図3に示す非屈曲形状に戻すことも可能である。
【0022】
次に、本実施形態における効果について、以下に記載する。
(1)包装袋1は、樹脂シートにより上部に開口を有する袋状に形成された袋本体10を備えている。袋本体10は、その両側縁部分が互いに接近するように屈曲された屈曲形状をなしている。
【0023】
上記構成によれば、厚さ方向に重なる側面シート12の枚数が多くなって、袋本体10の厚さ方向の剛性が高められる。これにより、包装袋1を把持した際に袋本体10が容易に潰れてしまうことが抑制され、一定の反力を感じつつ安定して把持することができるようになる。また、袋本体10が非屈曲形状である包装袋1と比較して、袋本体10が屈曲形状とされて丸められた包装袋1は、掌の中に収まりやすくなって持ちやすくなる。包装袋1の持ちやすさが良好となることによっても、包装袋1を把持した際の安定性が向上する。さらには、丸められた形状となることによって、包装袋1の自立性も向上する。また、袋本体10が屈曲形状とされた包装袋1は、側面視においてビンのような外観形状となり、意匠性にも優れている。
【0024】
(2)袋本体10を屈曲形状にて固定するための固定構成として、第1係合部32及び第2係合部33を設けている。上記構成によれば、袋本体10の屈曲形状を安定して維持することができる。
【0025】
(3)袋本体10の両側縁部分を補強する補強部材30a,30bを備えている。上記構成によれば、補強部材30a,30bによって袋本体10の中折れが防止されるとともに包装袋1の自立性が向上する。
【0026】
(4)補強部材30a,30bに対して第1係合部32及び第2係合部33(第1固定構成)を設けるとともに、第1係合部32及び第2係合部33は補強部材30a,30b同士を係合させるように構成されている。上記構成によれば、既存の部材である補強部材30a,30bに対して、第1固定構成を一体に設けることにより、補強部材30a,30bと同時に第1固定構成を容易に形成することができる。また、包装袋1を形成するための部品点数を少なくすることができる。
【0027】
(5)図1(b)に示すように、袋本体10が屈曲形状である包装袋1は、第1係合部32及び第2係合部33の近傍において、補強部材30a,30bの側面同士が対向している。上記構成によれば、補強部材30a,30bの背面同士が対向する構成と比較して、袋本体10の屈曲度合をより大きくすることができる。
【0028】
(6)第1係合部32及び第2係合部33による固定状態を解除して、包装袋1を非屈曲形状とすることが可能となっている。上記構成によれば、例えば、保管時は保管スペースを考慮して非屈曲形状とし、使用時は把持しやすい屈曲形状とする、というように状況に応じた形状の使い分けを行うことが可能となり、包装袋1の使い勝手が向上する。
【0029】
(7)屈曲形状に固定された袋本体10は、上部側の屈曲度合が大きく、下部側の屈曲度合が小さい略円錐形状となっている。上記構成によれば、包装袋1の自立性が更に向上する。
【0030】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態の包装袋2を図4及び5に基づいて説明する。なお、本例は第1実施形態の固定構成(第1固定構成)の構成を変更した実施形態であって、他の基本的な構成は第1実施形態と同じである。よって、同一部分に関しては同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0031】
図4に示すように、本実施形態の包装袋2に備えられる口具20の外周面には、フランジ22が設けられるとともに、フランジ22の縁部には第3係合部23が設けられている。第3係合部23は、フランジ22から側方(側面シート12側)に延びる基部23aと、その基部23aの先端から下方に延びる先端部23bとを備える断面L字状に形成されている。そして、第3係合部23の先端部23bの外面側中央部には、略円柱突起形状をなす二本の係合突起24が左右に並ぶように突出形成されている。各係合突起24の先端には、先端側から基端側に向かって拡径された拡径部24aが設けられ、各係合突起24は全体として側面視矢印形状に形成されている。
【0032】
また、包装袋2の袋本体10の両側縁部分に取り付けられている補強部材30a,30bの各背面の上部には、略半円板状をなす第4係合部34がそれぞれ外方に向けて突出形成されている。そして、第4係合部34の中央部には、第3係合部23に設けられる係合突起24の拡径部24aの最大径部と略同径の貫通孔34aが設けられている。
【0033】
次に、本実施形態の作用について説明する。
上記のとおり構成された本実施形態の包装袋2は、図5に示すように、両側縁部分を接近させるように袋本体10を屈曲させた屈曲形状とするとともに、その屈曲形状を維持(固定)することができる。具体的には、袋本体10の両側縁部分を、第3係合部23が設けられている側の側面シート12側に屈曲させて、両側縁部分に取り付けられている補強部材30a,30bを互いに接近させる。そして、口具20に設けられた第3係合部23の各係合突起24を、両補強部材30a,30bに設けられた第4係合部34の貫通孔34aに挿通させて、第3係合部23と第4係合部34とを係合させる。
【0034】
これにより、補強部材30a,30b同士が接近した状態で、補強部材30a,30bと口具20とが係合されて、包装袋1は図5に示すような袋本体10が屈曲形状とされた状態で固定される。なお、本実施形態においては、第3係合部23及び第4係合部34が、補強部材30a,30bと口具20とを係合させて袋本体10を屈曲形状にて固定する固定構成(第2固定構成)となる。また、本実施形態においても、上記第2固定構成である第3係合部23と第4係合部34との係合状態を解除することによって、図5に示す屈曲形状から、図4に示す非屈曲形状に戻すことが可能である。
【0035】
第2実施形態の包装袋2の構成によれば、第1実施形態における(1)〜(3)、(6)、(7)の効果に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(8)口具20及び補強部材30a,30bに対して、それぞれ第3係合部23及び第4係合部34(第2固定構成)を設けるとともに、第3係合部23及び第4係合部34は口具20に対して補強部材30a,30bを係合させるように構成されている。上記構成によれば、既存の部材である口具20及び補強部材30a,30bに対して、第2固定構成を一体に設けることにより、口具20及び補強部材30a,30bと同時に第2固定構成を容易に形成することができる。また、包装袋2を形成するための部品点数を少なくすることができる。
【0036】
(9)図5に示すように、袋本体10が屈曲形状である包装袋2は、第4係合部34の近傍において、補強部材30a,30bの背面同士が対向している。上記構成によれば、補強部材30a,30bの側面同士が対向する構成と比較して、包装袋2を屈曲形状としたときに各補強部材30a,30bに作用する捻じれ方向の負荷が低減される。そのため、各補強部材30a,30bを形成する材料として、より柔軟性の低い材料を選択することも可能となり、材料選択の自由度が高まる。
【0037】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態の包装袋3を図6及び7に基づいて説明する。なお、本例は第1実施形態の固定構成(第1固定構成)の構成を変更した実施形態であって、他の基本的な構成は第1実施形態と同じである。よって、同一部分に関しては同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0038】
本実施形態の包装袋3は、袋本体10とは別に構成される固定部材40を備えている。図6及び図7(a)に示すように、固定部材40は帯状シートの両端部を接着して形成される環状の部材であって、屈曲形状とされた袋本体10の外周に上方又は下方側から装着される部材である。図6に示すように、固定部材40が装着された袋本体10は、固定部材40により屈曲形状で拘束された状態となる。そして、袋本体10は、屈曲形状から非屈曲形状に戻ろうとする動きが規制されて屈曲形状にて固定される。本実施形態においては、固定部材40が、袋本体10を拘束することにより屈曲形状にて固定する固定構成(第3固定構成)となる。本実施形態においても、固定部材40を取り外すことによって、図6に示す屈曲形状から、図3に示すような非屈曲形状に戻すことが可能である。
【0039】
第3実施形態の包装袋3の構成によれば、第1実施形態における(1)〜(3)、(6)、(7)の効果に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(10)袋本体10とは別に構成される固定部材40を備え、この固定部材40により袋本体10を拘束することによって、袋本体10を屈曲形状にて固定するように構成している。上記構成によれば、特殊な形状の補強部材30a,30bや口具20を用いることなく、従来の包装袋をそのまま使用することができるため、容易に製造することができる。
【0040】
なお、上記各実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記各実施形態を変更することも可能である。
【0041】
・ 第1固定構成は、補強部材30a,30b同士を係合させて袋本体10の屈曲形状を固定可能な構成であればよく、第1実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、第1固定構成としての第1係合部32及び第2係合部33を、図8〜10に示す係合関係を形成するような構成としてもよい。
【0042】
図8に示す例では、第1係合部32及び第2係合部33は共に略半円板形状に形成されている(図8(a)及び(b)参照)。そして、第1係合部32には、一方側の側面から突出するとともに先端部分が内側に屈曲された形状をなす引掛部32bが設けられている。また、第2係合部33には引掛部32bの先端部分を挿通可能な貫通孔33bが設けられている。
【0043】
上記構成とした場合、図8(c)に示すように、袋本体10の両側縁部分を、第1係合部32の引掛部32bが突出形成されていない側の側面シート12側に屈曲させて、両側縁部分に取り付けられている補強部材30a,30bを互いに接近させる。そして、第2係合部33の貫通孔33bに対して、第1係合部32に設けられた引掛部32bの先端部分を挿通させ、貫通孔33bに引掛部32bの先端部分を引っ掛けることによって、第1係合部32と第2係合部33とが係合された状態となる。
【0044】
図9に示す例では、第1係合部32及び第2係合部33は共に、略半円板形状に形成されるとともに、各基端部分が薄肉に形成されて、ヒンジとして機能するように構成されている(図9(a)及び(b)参照)。そして、第1係合部32の中央部には貫通孔32cが設けられるとともに、第2係合部33の中央部には一方側の側面から突出する係合突起33cが設けられている。なお、貫通孔32cの径は係合突起33cの外径と略同径に設定されている。
【0045】
上記構成とした場合、図9(c)に示すように、袋本体10の両側縁部分を、第2係合部33の係合突起33cが突出形成されていない側の側面シート12側に屈曲させて、両側縁部分に取り付けられている補強部材30a,30bを互いに接近させる。そして、第1係合部32及び第2係合部33の各基端部分を湾曲させつつ、第1係合部32の貫通孔32cに対して、第2係合部33の係合突起33cを嵌合させることによって、第1係合部32と第2係合部33とが係合された状態となる。
【0046】
図10に示す例は、図9に示す例における第1係合部32の貫通孔32c及び第2係合部33の係合突起33cの形状を変更した例である。図10(a)に示すように、本例の第1係合部32の貫通孔32cは矩形状に形成されている。そして、第1係合部32の一方側の側面の先端部分には貫通孔32cに連続する溝部32dが設けられている。図10(b)に示すように、本例の第2係合部33は、先端部分が、上記貫通孔32cと略同形状の矩形状に形成されている。そして、その矩形状の先端部分全体が厚肉に形成されて係合突起33cを構成している。なお、第2係合部33におけるヒンジ様の薄肉部分を除く基端部分33dの厚さは、第1係合部32の溝部32dの深さと略同じに設定されるとともに、係合突起33cである先端部分の厚さは、貫通孔32cが形成される第1係合部32の厚さと略同じに設定されている。
【0047】
上記構成とした場合には、図9に示す例(図9(c)参照)と同様に、第1係合部32の貫通孔32cに対して、第2係合部33の係合突起33cを嵌合させることによって、第1係合部32と第2係合部33とが係合された状態となる。このとき、第2係合部33の係合突起33cは、第1係合部32の貫通孔32cから突出することなく貫通孔32c内に収容される。そのため、包装袋1を把持した際に、係合突起33c部分が手に当たることが防止されて好適に把持することができる。また、第1係合部32と第2係合部33との係合時においては、第2係合部33の基端部分33dが第1係合部32の溝部32d内に収容された状態となるため、係合部分全体の厚みをより薄くすることができる。さらには、第1係合部32及び第2係合部33の厚みを補強部材30a,30bの厚みよりも薄く設定すると、非屈曲形状の包装袋1を多数、積み上げて保管するような場合に、第1係合部32同士又は第2係合部33同士が干渉することがなく、好適に積み上げることができる。
【0048】
・ 第1実施形態では、補強部材30a,30bの上部に第1固定構成を配置していたが、補強部材30a,30bの中央部や下部に第1固定構成を配置してもよい。また、補強部材30a,30bに対して、複数組の第1固定構成を上下に並べて配置してもよい。
【0049】
・ 第2固定構成は、口具20に対して補強部材30a,30bを係合させて袋本体10の屈曲形状を固定可能な構成であればよく、第2実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、第3係合部23側に貫通孔を設けるとともに第4係合部34側に係合突起を設ける構成としてもよい。また、図8〜10に示すような係合構成を採用してもよい。
【0050】
・ 第3固定構成は、袋本体10を拘束することによって袋本体10の屈曲形状を固定可能な構成であればよく、第3実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、包装袋1の表面に貼り付けられる製品内容等を表示するラベルを固定部材40として利用してもよい。また、第3固定構成としての固定部材40の構成は、図7(a)に示すような環状のシート部材に限定されるものではなく、例えば、図7(b)に示すような紐状の部材であってもよい。
【0051】
・ 固定構成は、袋本体10の屈曲形状を固定可能な構成であればよく、第1〜3固定構成に限定されるものではない。例えば、袋本体10の両側縁の接着部分にそれぞれ孔を設けるとともに、その孔同士を環状部材や紐によって結び付けて、袋本体10の両側縁部分を係合させることにより袋本体10を屈曲形状にて固定する構成としてもよい。
【0052】
・ 固定構成を構成する部位にノッチを付ける等して、固定構成によって固定される袋本体10の屈曲度合を段階的に調節可能な構成としてもよい。
・ 各実施形態では、袋本体10を屈曲形状から非屈曲形状に変形可能に構成していたが、非屈曲形状に変形させることが不可能な構成であってもよい。例えば、補強部材30a,30b同士、或いは口具20と補強部材30a,30bとを、或いは袋本体10の両側縁の接着部分同士を接着剤や溶着等により一体に固定して、袋本体10が屈曲形状のみをとることのできる構成としてもよい。
【0053】
・ 例えば、第1固定構成と第2固定構成を同時に設ける、というように複数種の固定構成を組み合わせて設けてもよい。
・ 袋本体10が屈曲形状である包装袋1の全体形状は、略円錐形状に限定されるものではない。例えば、上下において全て屈曲度合が等しい円柱形状であってもよいし、上部側ほど屈曲度合の小さい略逆円錐形状であってもよい。
【0054】
・ 袋本体10の屈曲形状、即ち両側縁部分が互いに接近するように屈曲された屈曲形状とは、上面視において略C字状に丸めたような形状だけではなく、更に各側縁部分が内側又は外側に屈曲されたような形状(例えば、Ω字状やS字状)も含む概念である。
【0055】
・ 固定構成を設けない構成としてもよい。例えば、横幅の異なる側面シート12を用いて、袋本体10そのものを始めから屈曲形状となるように形成してもよい。
・ 袋本体10は、樹脂シートにより上部に開口を有する袋状に形成されるものであればよく、袋本体10を構成する各樹脂シートの具体的構成は特に限定されるものではない。例えば、底面シート11を省略して一対の側面シート12のみから袋本体10を形成してもよい。なお、上部に開口を有するとは、袋本体10の上縁部分に開口が形成されている構成に限定されるものではなく、側面シート12の上部に対して開口となる部分が形成されている構成も含む概念である。
【0056】
・ 第3実施形態のように、口具20や補強部材30a,30bを固定構成として利用しない構成とした場合には、口具20や補強部材30a,30bを適宜、省略することもできる。
【0057】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ) 前記袋本体の両側縁部分を補強する補強部材を備え、前記固定構成は、前記補強部材に設けられるとともに、前記補強部材同士を係合させることにより前記袋本体を屈曲形状にて固定する前記包装袋。
【0058】
(ロ) 前記袋本体の開口に取り付けられる口具と、前記袋本体の両側縁部分を補強する補強部材とを備え、前記固定構成は、前記口具及び前記補強部材に設けられるとともに、前記口具に対して前記補強部材を係合させることにより前記袋本体を屈曲形状にて固定する前記包装袋。
【0059】
(ハ) 前記固定構成として、前記袋本体を屈曲形状にて拘束する固定部材を備える前記包装袋。
(ニ) 前記固定構成による固定状態を解除して前記袋本体を非屈曲形状とすることが可能である前記包装袋。
【符号の説明】
【0060】
1,2,3…包装袋、10…袋本体、11…底面シート、12…側面シート、20…口具、21…接着部、23…第3係合部、30a,30b…補強部材、32…第1係合部、33…第2係合部、34…第4係合部、40…固定部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10