特許第5925548号(P5925548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5925548-ねじ節鉄筋の製造方法 図000002
  • 特許5925548-ねじ節鉄筋の製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925548
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】ねじ節鉄筋の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/03 20060101AFI20160516BHJP
   B21B 1/16 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   E04C5/03
   B21B1/16 K
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-66518(P2012-66518)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-40550(P2013-40550A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2013年4月8日
(31)【優先権主張番号】特願2011-157380(P2011-157380)
(32)【優先日】2011年7月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591209246
【氏名又は名称】濱中ナット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】濱中 重信
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−124860(JP,A)
【文献】 特開平01−148433(JP,A)
【文献】 特開2009−095883(JP,A)
【文献】 特開2007−113079(JP,A)
【文献】 特開昭54−081118(JP,A)
【文献】 特開2009−091636(JP,A)
【文献】 特開2000−170723(JP,A)
【文献】 特開昭57−181366(JP,A)
【文献】 特開2002−364121(JP,A)
【文献】 特開2005−131512(JP,A)
【文献】 特開2003−239458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C5/02
E04C5/03
E04C5/18
B24B19/02
B05C1/08
B21B1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の鉄筋に適したねじ節鉄筋を製造するにあたり、
3ローラ又は2ローラの各転造ローラは表面に断面台形状の転造型部を備える一方、送り込み側及び送り出し側の型部は頂部が切除されて素材を受け入れやすく、又転造後のねじ節鉄筋を送り出しやすく構成された転造機を用い、
ステンレス鋼製の中実丸棒を素材とし、該素材を冷間又は温間にてローラ転造することにより、丸棒の表面に断面台形状の節(11)を螺旋状に連続して形成したねじ節鉄筋(10)を製造するようにしたことを特徴とするねじ節鉄筋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はねじ節鉄筋及びその製造方法に関し、特にコンクリート構造物の耐塩害性を向上でき、しかも高い形状精度を得ることができるようにしたねじ節鉄筋、及びそのねじ節鉄筋を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物の鉄筋にはJIS規格(JIS G 3112)に規定される丸棒や異形棒鋼が用いられている。JIS規格では異形棒鋼は表面に突起を持つ棒鋼と定義され、軸線方向の突起をリブ、軸線方向以外の突起を節と規定されている。
【0003】
例えば、棒鋼表面の軸線方向に延びるリブに対して2つ以上の異なる方向の節を有する形状の異形棒鋼が広く知られているが、棒鋼表面にねじ状の節(ねじ節)を形成するとともに、相互に平行な二面を形成したねじ節鉄筋も知られている(特許文献1)。
【0004】
従来、コンクリート構造物の鉄筋には熱間加工された普通鋼が用いられていたが、海砂を用いた場合やクラックから海水を含む雨水が侵入した場合に、コンクリート構造物中に塩分が侵入して鉄筋に銹が発生し、鉄筋が膨らんでコンクリートにひびが入って崩落の原因となり、又銹が進行して鉄筋が減肉すると、強度が維持できなくなってコンクリート構造物の耐久性が損なわれる。
【0005】
これに対し、ステンレス鋼を使用してコンクリート構造物の耐塩害性を向上させるようにしたステンレス鋼製の鉄筋が提案され(特許文献2)、又JIS規格(JIS G 4322)には鉄筋コンクリート用ステンレス鋼異形棒鋼が規格化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−104616号公報
【特許文献2】特開2007−113079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のねじ節鉄筋では平行な二面とねじ節の形状に起因して圧延で製造されるため、形状精度が悪く、異形棒鋼同士をねじ付きカプラーで接合しようとしてもガタつきが発生しやすく、カプラーを長尺にする必要があった。
【0008】
さらに、所望の規格寸法の製品を圧延するためには、特殊なキャリバーを形成した圧延ロールを多段に設ける必要があるので、サイズ変更に時間がかかり、少量・多品種生産が極めて困難で、コスト高の要因になっていた。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑み、コンクリート構造物の耐塩害性を向上でき、しかも高い形状精度を得ることができ、少量・多品種生産を可能にできるようにしたねじ節鉄筋及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明に係るねじ節鉄筋は、コンクリート構造物に適したねじ節鉄筋において、ステンレス棒鋼の表面には断面台形状の節が螺旋状に連続して形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るねじ節鉄筋の製造方法は、コンクリート構造物の鉄筋に適したねじ節鉄筋を製造するにあたり、ステンレス棒鋼を素材とし、該ステンレス棒鋼を冷間又は温間でローラ転造することにより、丸棒の表面に断面台形状の節を螺旋状に連続して形成したねじ節鉄筋を製造するようにしたことを特徴とする。
【0012】
本発明では丸棒の全周にねじ節が連続して形成されているので、従来のねじ節鉄筋に比較してコンクリート構造物からの抜け抵抗が大きい。
【0013】
また、丸棒の全周にねじ節が連続して形成されているので、雌ねじの引っ掛かり率が大きく、2本の鉄筋をねじ付きカプラーによって接合する場合に接合強度が大きく、カプラーの全長を短くしても所定の接合強度が得られ、特にステンレス鋼のような高級材ではその効果が大きい。
【0014】
また、ねじ節鉄筋を転造で製造するため、ねじ節の形状精度が高く、鉄筋の接合信頼性が高い。さらに、冷間又は温間での転造であるので、素材熱処理や加工条件をコントロールすることにより、必要な強度区分の製品を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る製造方法によって製造されたねじ節鉄筋の1例を示す概略斜視図である。
図2】上記ねじ節鉄筋を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1及び図2は本発明に係る方法で製造されたねじ節鉄筋を示す。図1及び図2において、ねじ節鉄筋10はステンレス鋼製の丸棒の表面に断面台形の節11を一定のピッチで螺旋状に連続して形成されている。
【0017】
本例のねじ節鉄筋10を製造する場合、選択した鋼種と熱処理を選択したステンレス鋼の丸棒を素材とし、素材を転造機に送り込み、冷間又は温間での転造にて丸棒の表面に断面台形の節を螺旋状に連続して形成する。
【0018】
ここで、転造機は例えば3つの転造ローラによって構成され、各転造ローラは表面に転造型部を備え、又送り込み側及び送り出し側の型部は頂部を切除して素材を受け入れやすく、又転造後のねじ節鉄筋を送り出しやすくしている。なお、小径のねじ節鉄筋の場合には2ローラによる冷間転造であってもよい。
【符号の説明】
【0019】
10 ねじ節鉄筋
11 節
図1
図2