(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第一実施形態]
以下、本発明の第一の実施の形態を
図1から
図11に基づき詳しく説明する。本実施形態では、ミシンの送り機構として針送りミシンを例に説明する。針送りミシンは、例えば、厚物のように、通常の送り機構では滑りなどが生じて正確に設定ピッチ通りの送りが困難な被縫製物に対して、送り歯と同期して針棒の針振りを行い、縫い針を被縫製物に突き通した状態で設定ピッチ通りの送りを行うことが可能なミシンである。
ここで、以下の説明において、送り方向(矢印F)に沿う方向をX軸方向(前後方向)、X軸方向と直交するミシンアーム8の長手方向をY軸方向(左右方向)、X軸方向とY軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向(上下方向)と定義する。
【0018】
[実施形態の全体構成]
図1は針送りミシン1の機構線図である。
図1に示すように、針送りミシン1(以下、単にミシン1とする)は、ミシンフレーム2と、ミシンフレーム2内に回転可能に支持された主軸としての上軸9と、この上軸9に回転力を付与する回転駆動源たるミシンモーター60と、ミシンモーター60の駆動により針棒13を上下に駆動するとともに縫製方向Fに沿って揺動させる針送り機構14と、偏心カム61を原節として従動することで針送り機構14に往復揺動動作を付与する伝達部材としての水平送りロッド49と、針板下方に設けられた送り歯44により縫製方向Fに沿って被縫製物を送る布送り機構30と、一針あたりの上記針送り機構14、上送り機構及び布送り機構30による送り量を調節する送り量調節機構51と,下軸37により回転駆動が行われる図示を省略した釜機構80と、上糸及び下糸を切断する糸切り装置70(
図6参照)と、上記各構成の動作制御を行う制御装置90とを備えている。
【0019】
[ミシンアーム側の構成]
まず、ミシンフレーム2におけるミシンアーム8側の構成について説明する。
図1に示すように、ミシンアーム8の内部には、当該ミシンアーム8に回動自在に支持された上軸9と、この上軸9に対して平行に配置されて回動自在に支持された針棒揺動軸10とが設けられている。これら上軸9及び針棒揺動軸10は縫製方向Fに対して直行するY軸方向に沿って延在している。上軸9には、回転駆動源としてのミシンモーター60が接続されており、このミシンモーター60の回転に伴い上軸9が回転する。
【0020】
[針送り機構]
針棒揺動台11は
図1に示すように、針棒揺動軸10に支持されており、Y軸回りに揺動可能となっている。この針棒揺動台11は、縫い針13を下端部で保持する針棒13を上下動可能に支持している。
また、針棒揺動軸10の他端には、縫い針13の上下動周期と同期する送り歯44と同じ周期で揺動を行う針棒揺動桿59が連結されている。そして、針棒揺動軸10は、針棒揺動桿59を介して布送り機構30と連結されていることにより、送り歯44の送り動作と同期して針棒13を揺動させている。
【0021】
また、針棒揺動軸10の回動に伴い針棒揺動台11が揺動されると、針棒13の下端部が縫製方向Fに揺動される。つまり、上軸9、針棒揺動桿59、針棒揺動軸10及び針棒揺動台11により、縫製方向Fに沿って針棒13を揺動させる針送り機構が構成されている。
また、針棒13は、上軸9に取り付けられた偏心カム15にリンク部材16を介して連結されており、上軸9の回転に連動して上下動を行う。すなわち、上軸9、偏心カム15及びリンク部材16により、縫い針13に上下動を付与する針棒上下動機構が構成されている。そして、上記針送り機構及び針棒上下動機構は、それぞれ上軸9の回転に伴い駆動されることで互いに連動するようになっており、これら針送り機構及び針棒上下動機構により、縫い針13が被縫製物を下方に貫通した状態で縫製方向Fに送る針送り機構14が構成されている。
【0022】
[ミシンベッド側の構成]
次に、ミシンフレーム2におけるミシンベッド50側の構成について説明する。
図1及び
図2に示すように、ミシンベッド50の内部には、プーリ34,35及びベルト36を介して上軸9と連結され該上軸9に連動して全回転する下軸37と、下軸37に平行に配置され回動自在に支持された上下送り軸38及び水平送り軸39とが設けられている。
【0023】
[布送り機構]
下軸37には、偏心カムを介して略水平方向(X軸方向)に延在する上下送りロッド46の一端が連結されており、該上下送りロッド46の他端は、上下送り軸38の上部に突設された上下送り軸腕45に回動自在に連結されている。上下送り軸38は、水平方向に向けて突設された延出部40を有し、該延出部40には送り歯44を支持する送り台42の一端がリンク部材41を介して回動自在に連結されている。そして、下軸37の全回転に伴い上下送りロッド46がX軸方向に揺動されると、上下送り軸38が往復回動を行い、該上下送り軸38の回動に応じて延出部40及びリンク部材41を介して送り台42に上下方向の揺動が付与される。
【0024】
また、下軸37には当該下軸37に固定された円形の偏心カム61を介して水平送りロッド49の下端が回動自在に連結されている。かかる水平送りロッド49の上端は、当該水平送りロッド49の上方でX軸方向に沿って設けられた略へ字状のベルクランク48の中央部に回動自在に連結されている。ベルクランク48の一端は、水平送り軸39の上部に突設された水平送り軸腕47に回動自在に連結されており、ベルクランク48の他端は支軸55を介して角駒54が回動可能に装備され、当該角駒54を介して後述する送り量変換体52の溝部53内に摺動自在に連結されている。そして、下軸37の回転に応じて水平送りロッド49が上下に揺動されると、送り量変換体52(後述する)に形成された溝部53の傾きに応じてベルクランク48がX軸方向に揺動され、水平送り軸39に往復回動力が付与される。これにより、水平送り軸39から上方に延出された送り台腕43を介して、送り台42の上部に支持された送り歯44に水平方向の揺動が付与される。
【0025】
また、水平送り軸39は、送り歯44側とは逆側の端部には、上方に延出された伝達腕33を備え、リンク部材32を介して針棒揺動軸10に固定連結された針棒揺動桿59の下端部に連結されており、当該水平送り軸39の回動駆動力が針棒揺動桿59を介して針棒揺動軸10に伝達されるようになっている。つまり、下軸37の回転に伴い、偏心カム61、水平送りロッド49、ベルクランク48、水平送り軸39、伝達腕33、リンク部材32、針棒揺動桿59、針棒揺動軸10及び針棒揺動台11を介して針棒13に水平方向の揺動力が伝達されるようになっている。なお、水平送り軸39は、後述する送り量調節機構51によってその往復回動角度及び位相が調節される。そして、水平送り軸39の往復回動角度及び位相が送り量調節機構51によって調節されると、針棒13の揺動角度量及び位相も同時に調節され、当該水平送り軸39の回動量に応じた水平移動量すなわち送りピッチで被縫製物を正方向又は逆方向に送るようになっている。
【0026】
また、上記送り歯44は、針送りミシンであるため
図2に示すようにその中央部に上下に貫通する針穴44aが形成されており、布送りの際には縫い針13が針穴44aに挿入された状態で送り方向への移動が行われる。
【0027】
[送り量調節機構]
図1及び
図2に示すように、ミシンベッド50の内部には、ミシンフレーム2に回動可能に支持され、その回動中心線方向に直交する方向に沿う溝部53を有する送り量変換体52が設けられている。送り量変換体52の溝部53には、角駒54を介してベルクランク48の一端が該溝部53の長手方向に沿って摺動自在に連結されている(
図3参照)。
図5は、送り量変換体52と送り調節モーター4との関係を表す分解斜視図である。この
図5に示すように、送り量変換体52は、アーム部材56、リンク部材57及び揺動軸58を介して送り調節モーター4に連結されている。
ここで、送り量変換体52が回動すると溝部53も回動するため、角駒54を介してベルクランク48の一端の水平方向における移動量が変化することとなる。具体的には、溝部53が水平に近ければベルクランク48の水平方向における移動量は大きくなり、逆に垂直に近ければ水平方向における移動量は小さくなる(
図4参照)。つまり、送り調節モーター4の駆動により送り量変換体52を回動することで、送り歯44による送り量(送りピッチ)が調節できるようになっている。また、送り量が0となる位置からさらに送り量変換体52を回動すると、位相が反転して伝わり、送り方向を逆方向に変換することも可能である。この場合も、さらに回動を行えば、逆方向の送り量も調節することが可能である。
また、本実施形態では、布送り機構及び針送り機構が互いに連動し、これら各機構が協働して針送りを行うため、送り量調節機構51によって布送り機構30の送り量が調節された際には、針棒揺動桿59を介して針振り量も同時に調節されることとなる。
【0028】
[釜機構]
釜機構80は、送り歯44の下方に配置された水平釜81と、下軸37に固定装備された主動傘歯車82と、主動傘歯車82に噛合すると共に釜軸を介して水平釜にトルクを伝達する従動傘歯車83とを備えている。主動傘歯車82から従動傘歯車83へは二倍速に増速されて回転が付与され、これにより、水平釜81は縫い針13の上下動頻度に対して二倍の回転を行うようになっている。
【0029】
[糸切り装置]
図6は糸切り装置70の斜視図である。糸切り装置70は、図示しない針板と水平釜81との間の領域で、回動によりその先端部が布送り方向Fに沿って往復動作を行って上糸及び下糸を捕捉する動メス71と、往復動作を行う動メス71の復路側の所定位置で待機して動メス71との協働により上糸及び下糸の切断を行う固定メス72と、下軸37に固定装備され外周面にカム溝が形成されたカム73と、カム溝に嵌合可能なカムコロ74と、カムコロ74を保持し、カム溝により回動動作を付与される伝達軸75と、カムコロ74をカム溝内に導き込む糸切りソレノイド76とを備えている。
カムコロ74は、糸切りソレノイド76が作動すると、所定の上軸角度でカム溝の入り口から溝内に侵入し、カム溝の形状に従って伝達軸75を介して動メス71に往復回動動作を付与し、糸切り完了後はカム溝の出口から排出される構造となっている。
【0030】
図6において、直線Nは針棒12が垂直となる回動中心に位置する場合の針棒及び縫い針13の延長線を示している。
上記の糸切り装置70では、動メス71が固定メス72との協働により糸切りを行う切断位置が、上記延長線N及び当該延長線Nを中心として設定可能な最大針振り幅で針振りを行う場合の縫い針の到達する全範囲よりも正の布送り方向Fにおける下流側となるように設定されている。
【0031】
[ミシンの制御系]
上記ミシン1の制御系を
図7のブロック図に示す。この
図7に示すように、ミシン1は、各構成の動作制御を行う制御装置90を備えており、当該制御装置90は、ミシン1の角の動作制御を行うプログラムその他の初期データが記憶されたROM92と、ROM92内のプログラムを実行するCPU91と、CPU91の処理におけるデータ記憶領域となるRAM93と、書き換えを要する各種の設定データが記憶されるEEPROM94とを備えている。
【0032】
また、上記制御装置90にはミシンモーター60の回転速度等を制御するためのモーター駆動回路60aを介してミシンモーター60が接続されている。このミシンモーター60には、その回転角度を検出するエンコーダー62が併設されており、制御装置90は、このエンコーダー62の出力から上軸9の検出を行っている。
また、この制御装置90には、各々の動作を制御するための駆動回路4a,76aを介して調節モーター4及び糸切りソレノイド76が接続されている。
さらに、制御装置90には、縫いピッチなどの設定入力や所定情報の表示を行う入力装置と表示画面を備える操作パネル95、ミシン1の操作を指示入力するペダル96がインターフェイス97を介して接続されている。
ペダル96は前踏みの踏み込みで縫製を開始、踏み込み解除で停止、後踏みで糸切りの実行を指示入力する。
【0033】
次に、縫いピッチの設定について説明する。
操作パネル95から入力する縫いピッチは、通常の縫製のピッチ幅として、正の送り方向と逆の送り方向とについてそれぞれ設定範囲が下限値Pmin〜上限値Pmaxまでの範囲に定められており(例えば、設定範囲中の下限値Pminが2.5[mm]、設定範囲中の上限値Pmaxが9[mm])、その範囲内で0.5[mm]単位での設定が可能となっている。設定範囲中の上限値は針振りが行われる縫い針13と動メス71固定メス72などの干渉等が生じないようにするための機構構造上の限界となる最大範囲である。
また、通常の縫製とは別にコンデンス縫いと呼ばれる縫製を行うことができるミシンが存在し、このコンデンス縫いの送りピッチは操作パネル95から入力する通常の縫製の設定範囲中の下限値(2.5[mm])よりもさらに小さいコンデンス縫いピッチPcoを定めている(例えば1[mm])。つまり、このミシンでは「送り量調節機構により調節可能な最大ピッチ」は9[mm]であり、「送り量調節機構により調節可能な最小ピッチ」は1[mm]となっている。
そして、設定の際には、通常送りかコンデンス縫いかを選択し、通常縫いの場合には2.5〜9[mm]の範囲で0.5[mm]単位で定められた数値を選択し、送り方向の正逆も設定する。また、コンデンス縫いを選択した場合には自動的にピッチPco(1[mm])が確定し、送り方向の正逆の設定を行う。
なお、本願ではコンデンス縫いの機能を有するミシンを例に挙げ説明するが、例えば、コンデンス縫いの機能などを持たないミシンの場合には、操作パネルなどにより設定可能な通常の縫製のピッチ幅の設定範囲における下限値を「送り量調節機構により調節可能な最小ピッチ」としても良いし、通常の縫製のピッチ幅の設定範囲から逸脱してより小さい糸切断時の専用のピッチ幅を定めて「送り量調節機構により調節可能な最小ピッチ」としても良い。
また、操作パネル95から設定入力される送りピッチの値と当該送りピッチにするための回動角度に送り量変換体52を位置決めするための調節モーター4の動作量との対応を示すテーブルはROM92内に予め用意されており、選択されたピッチに応じて調節モーター4の動作量が確定する。
【0034】
[縫製及び糸切りの動作制御]
制御装置90によるミシン1の動作制御について、
図8のフローチャートと
図9及び
図10の動作説明図と
図11の送り歯44の位置変化を示す説明図とにより説明を行う。なお、
図11は横軸が上軸角度、縦軸が送り歯の縫製方向における位置を示し、縦軸の0位置は送り歯44の原点位置(上軸角度0°における位置。なお、針棒上死点を上軸角度の0°とする)であり、縦軸の0位置より上が原点位置より正の送り方向上流側(
図9、10においては左側)の位置、縦軸の0位置より下が原点位置より正の送り方向下流側(
図9,10においては右側)の位置を示す。この例の場合には、正方向の通常送りで設定ピッチを4[mm]とした場合を例示する。
また、
図9及び
図10において符号17はミシンベッド部50の上面の針落ち位置に設けられた針板であり、符号Cは被縫製物としての布地である。また、これらの図では動メス71の図示を省略して固定メス72(切断位置)のみを図示している。
【0035】
ペダル96の前踏みが行われると縫製動作制御が開始される。制御装置90は、まず、現在設定されている縫いピッチ(設定ピッチとする)を読み込んで、調節モーター4により設定ピッチとなるように送り量変換体52が回動される(ステップS1)。
次いで、ミシンモーター60の駆動が開始され、設定ピッチでの針送りによる縫製が行われる(ステップS3)。
【0036】
その後、制御装置90はペダル96の後踏みによる信号入力を監視して(ステップS5)、当該後踏みによる信号が検出されると、制御装置90はエンコーダー62の出力の監視状態となる(ステップS7)。
そして、エンコーダー62の出力が下停止位置(上軸角度230°[針棒上死点を0°とする])に到達すると(
図9(A)[230°]参照)、制御装置90は、調節モーター4を制御して縫いピッチを正の送り方向のコンデンス縫いピッチPcoに設定する(ステップS9、
図11[1]参照)。
【0037】
送り歯44は,通常は、上軸角度で90〜270°の範囲で針板17の上面から突出して布地Cの下面に接触して送りを行う。従って、上軸角度230°では、それまでの設定ピッチ(4[mm])で布地Cを搬送している途中の状態にあり、このタイミングで設定ピッチが変更されると、送り歯44は新たな設定ピッチであるコンデンス縫いピッチPco分の移動しか行わないことになる(
図9(B)[240°]参照)。
なお、この段階での針落ち位置が上糸と下糸が絡み合う最終の結節を形成する針落ちが行われる「最終結節点」となる(
図9(B)の符号TL)。この糸切り制御では、最終結節点後にコンデンス縫いピッチPcoでもう一針の針落ち(最終針落ち)が行われるが、当該最終針落ちの後に布地の下で糸切りが行われるので、結節が行われず縫い目が形成されない。
【0038】
なお、制御装置90は、コンデンス縫いピッチPcoに設定した後には、次の針落ちである最終針落ちによる布地Cに対する縫い針13の貫通状態である針貫通位置(上軸角度で180°)の到達待ちとなる(ステップS11)。
そして、この間、コンデンス縫いピッチPcoで布地が送られて、送り歯44が下降して布地Cから離れ(
図9(C)[0°]参照)、さらに、ミシンモーター60の駆動が進められて、再び、送り歯44が上昇して布地Cに接触する(
図9(D)[90°]参照)。
【0039】
そして、縫い針13が布地Cに突き刺さり(
図9(E)[120°]参照)、さらに、縫い針13が下死点まで到達すると(
図10(F)[180°]参照)、制御装置90は、調節モーター4により、縫いピッチを正の送り方向の最大ピッチである上限値Pmax(9[mm])に切り換える(ステップS13、
図11[2]参照)。
そして、エンコーダー62の出力が下停止位置(上軸角度230°)に到達すると(ステップS15)、糸切りソレノイド76を作動させて糸切り装置70のカムコロ74をカム73のカム溝に押し込む(ステップS17、
図11[3]参照)。これにより、糸切り装置70では糸切り動作が開始される。これ以降は、糸切断動作のためにミシンモーター60の回転速度を所定の低速状態に減速させる。
【0040】
そして、制御装置90は、正の送り方向の最大ピッチPmaxに設定した後には、送り歯44が布地から離間した状態である送り歯離間位置(上軸角度で0°)の到達待ちとなる(ステップS19)。
そして、この間、送り歯44は最大ピッチPmaxで前進移動を行い、送り歯44が搬送可能な範囲で固定メス72による切断位置に最も近接する位置まで最終結節点TLの次の針落ち位置である最終針落ち位置TCを搬送する(
図10(G)[270°]参照)。
【0041】
さらに、送り歯44が下降して布地Cから離れ、上軸角度が送り歯離間位置(0°)に到達すると(
図10(H)[0°]参照)、制御装置90は、調節モーター4により、縫いピッチを逆の送り方向の最大ピッチである上限値Pmax(9[mm])に切り換える(ステップS21、
図11[4]参照)。
これにより、固定メス72による切断位置から離れる方向に移動していた送り歯44は移動方向が逆転して再び固定メス72による切断位置側へ戻り始める。
そして、上軸角度50°において、糸切り装置70は送り歯44の針穴44aから下方に延びる上糸及び下糸を固定メス72による切断位置まで運び、切断を行う(ステップS23、
図10(J)[50°]参照)。
そして、ミシンモーター60の駆動が停止して、縫製から糸切りまでの動作が完了する。
【0042】
[実施形態の技術的効果]
以上のように、制御装置90の縫製・糸切りの動作制御により、最終結節点TLの次の針落ち(最終針落ち)がコンデンス縫いピッチPcoで行われた後、当該最終針落ち位置TCは正の布送り方向に最大ピッチである上限値Pmaxにより、固定メス72による切断位置に最大限に寄せられる。
さらに、送り歯44は、糸切り直前で逆の布送り方向に最大ピッチである上限値Pmaxで固定メス72による切断位置に戻される。
【0043】
これらの結果、上糸は、最終結節点TL→最終針落ち位置TC→送り歯44の針穴44a→固定メス72による切断位置となる経路で切断され、下糸は、最終結節点TL→送り歯44の針穴44a→固定メス72による切断位置となる経路で切断される。
(1)最終結節点TL−最終針落ち位置TCの間の距離は、最小のピッチであるコンデンス縫いピッチPcoとされることで短縮化されている。
(2)最終針落ち位置TC−送り歯44の針穴44aの間の距離は、いずれも最大ピッチである上限値Pmaxで固定メス72による切断位置側に寄せられることで相互に近接し、短縮化されている。
(3)送り歯44の針穴44a−固定メス72による切断位置の間の距離は、最大ピッチである上限値Pmaxで送り歯44が固定メス72による切断位置側に寄せられることで近接し、短縮化されている。
(4)最終結節点TL−送り歯44の針穴44aの間の距離は、最大ピッチである上限値Pmaxで送り歯44が固定メス72による切断位置側に寄せられることで短縮化されている。
【0044】
このため、針送りを行うミシンにおいて、上糸及び下糸の切断後の残端長さを最大限に短縮化することが可能となっている。
また、最終針落ち位置TCと送り歯44は、いずれも最大ピッチである上限値Pmaxで固定メス72による切断位置側に寄せられるので、縫製中の設定縫いピッチに拘わらず、最大限にこれらを固定メス72による切断位置側に寄せることができ、縫製中の設定縫いピッチに拘わらず上糸及び下糸の切断後の残端長さを最大限に短縮化することが可能である。
【0045】
[縫製及び糸切りの動作制御の他の例]
前述した動作例では、最終結節点の次の一針を正の送り方向のコンデンス縫いピッチPcoで送る場合を例示したが、最終結節点の次の一針を逆の送り方向のコンデンス縫いピッチPcoで送っても、上糸及び下糸の残端を短くすることは可能である。
図12及び
図13はその場合の動作説明図、
図14は送り歯44の位置変化を示す説明図である。以下、主に最終結節点の次の一針を正の送り方向のコンデンス縫いピッチPcoで送る場合の動作と異なる点のみを主として説明する。
【0046】
以下、制御装置90による制御に基づく動作である。
糸切断の指示がペダルから入力されると上軸角度230°において、縫いピッチが逆の送り方向のコンデンス縫いピッチPcoに設定される(
図12(A)[230°]参照)。これにより、まず送り歯44の位置が逆の布送り方向側に移動(
図14[1]参照)するため最終結節点TLも逆送り方向に移動し、さらに最終結節点TLは送り歯44により逆の布送り方向にコンデンス縫いピッチPcoで送られる(
図12(B)[240°]参照)。
そして、送り歯44が下降して布地Cから離れ(
図12(C)[0°]参照)、再び、送り歯44が上昇して布地Cに接触する(
図12(D)[90°]参照)。
そして、縫い針13が布地Cに突き刺さると(
図12(E)[120°]参照)、最終結節点TLよりも正の布送り方向下流側にコンデンス縫いピッチPcoの最終針落ちが形成される。
さらに、縫い針13が下死点まで到達すると(
図13(F)[180°]参照)、縫いピッチが正の送り方向の最大ピッチである上限値Pmax(9[mm])に設定され、固定メス72による切断位置に最も近接する位置まで最終針落ち位置TCが搬送される(
図13(G)[270°]参照)。
さらに、送り歯44が下降して布地Cから離れ、上軸角度が送り歯離間位置に到達すると(
図13(H)[0°]参照)、縫いピッチは逆の送り方向の最大ピッチPmax(9[mm])に切り換えられる。これにより、送り歯44は反転して固定メス72による切断位置側へ戻り、上軸角度50°において、上糸及び下糸が切断される(
図13(J)[50°]参照)。
【0047】
この例の場合も、(1)最終結節点TL−最終針落ち位置TCの間の距離、(2)最終針落ち位置TC−送り歯44の針穴44aの間の距離、(3)送り歯44の針穴44a−固定メス72による切断位置の間の距離、(4)最終結節点TL−送り歯44の針穴44aの間の距離は、いずれも短縮化されている。
このため、針送りを行うミシンにおいて、縫製中の設定縫いピッチに拘わらず、上糸及び下糸の切断後の残端長さを最大限に短縮化することが可能である。
【0048】
[第二実施形態]
前述したミシン1では、動メス72による糸切断位置が縫い針13の回動中心位置及び回動範囲に対して正の布送り方向における下流側に設定されている場合を例示したが、動メス72による糸切断位置を縫い針13の回動中心位置及び回動範囲に対して正の布送り方向における上流側に設定することも可能である。
図15及び
図16はその場合の動作説明図、
図17は送り歯44の位置変化を示す説明図である。これらにより説明を行う。
以下、
図9及び
図10で説明した内容と異なる点を主に説明する。
【0049】
以下、制御装置90による制御に基づく動作である。
この例の場合も、正方向の通常送りで設定ピッチを4[mm]とした場合を例示する。
糸切断の指示がペダルから入力されると、下停止位置(上軸角度230°)において(
図15(A)[230°]参照)、縫いピッチが逆の送り方向のコンデンス縫いピッチPcoに設定される(
図17[1]参照)。
これにより、まず送り歯44の位置が逆の布送り方向側に移動するため最終結節点TLも逆送り方向に移動し、さらに最終結節点TLは送り歯44により逆の布送り方向にコンデンス縫いピッチPcoで送られる(
図15(B)[240°]参照)。
そして、送り歯44が下降して布地Cから離れ(
図15(C)[0°]参照)、再び、送り歯44が上昇して布地Cに接触する(
図15(D)[90°]参照)。
そして、縫い針13が布地Cに突き刺さると(
図15(E)[120°]参照)、最終結節点TLよりも正の布送り方向下流側にコンデンス縫いピッチPcoの最終針落ちが形成される。
さらに、縫い針13が下死点まで到達すると(
図16(F)[180°]参照)、縫いピッチを逆の送り方向の最大ピッチである上限値Pmax(9[mm])に切り換える(
図17[2]参照)。
そして、下停止位置(上軸角度230°)にて、糸切り装置70の糸切りソレノイド76が作動する(
図17[3]参照)。
一方、送り歯44は最大ピッチである上限値Pmaxで逆方向に移動を行い、送り歯44が搬送可能な範囲で固定メス72による切断位置に最も近接する位置まで最終結節点の縫い目を形成する針落ちの次の最終針落ち位置TCを搬送する(
図16(G)[270°]参照)。
さらに、送り歯44が下降して布地Cから離れ(
図16(H)[0°]参照)、上軸角度が送り歯離間位置(0°)に到達すると(
図16(H)[0°]参照)、縫いピッチが正の送り方向の最大ピッチである上限値Pmax(9[mm])に切り換えられる(
図17[4]参照)。
これにより、固定メス72による切断位置から離れる方向に移動していた送り歯44は移動方向が逆転して再び固定メス72による切断位置側へ戻り始める。
そして、上軸角度50°において、糸切り装置70は上糸及び下糸を切断する(
図16(J)[50°]参照)。
【0050】
この例の場合も、(1)最終結節点TL−最終針落ち位置TCの間の距離、(2)最終針落ち位置TC−送り歯44の針穴44aの間の距離、(3)送り歯44の針穴44a−固定メス72による切断位置の間の距離、(4)最終結節点TL−送り歯44の針穴44aの間の距離は、いずれも短縮化されている。
このため、針送りを行うミシンにおいて、縫製中の設定縫いピッチに拘わらず、上糸及び下糸の切断後の残端長さを最大限に短縮化することが可能である。
また、上記の例では、コンデンス縫いピッチPcoでの布地の搬送方向を逆の布送り方向としたが、このコンデンス縫いピッチPcoでの布地の搬送方向を正の布送り方向とした場合も、同様に、上糸及び下糸の切断後の残端長さを最大限に短縮化することが可能である。
【0051】
[その他]
上記実施形態では一本針ミシンを例示したが、二本針ミシンの針送りミシンである場合でも、それぞれの縫い針に対応する糸切り装置における固定メスによる糸切り位置が、いずれも縫い針に対する正の布送り方向下流側に設定されている場合には、
図9及び
図10若しくは
図12及び
図13の切断時の制御により、それぞれの縫い針に対応する縫い糸の残端長さを短縮化することが可能である。
また、同様に二本針ミシンの針送りミシンで、それぞれの縫い針に対応する糸切り装置における固定メスによる糸切り位置が、いずれも縫い針に対する正の布送り方向上流側に設定されている場合には、
図14及び
図15の切断時の制御により、それぞれの縫い針に対応する縫い糸の残端長さを短縮化することが可能である。
【0052】
[送り量調節機構の他の例]
送り調節機構は、前述の構成に限らず、例えば、
図18〜
図22に示す構成としても良い。
この送り調節機構は、前述した送り量変換体52、アーム部材56及びリンク部材57を備えると共に、リンク部材57に連結され、Y軸方向に沿ったレバー軸501に固定支持された送り調節腕502と、送り調節腕502が擁するピン503に係合する正送りカム504と逆送りカム505とを備える送り調節体506と、送り調節腕502及び送り調節体506を通じて送り量変換体52の回動角度を規定する送り調節ダイヤル507と、最大ピッチである上限値Pmaxとなるように送り調節体506に回動を付与する送り調節体ソレノイド508と、正送りから逆送りに切り替わるようにレバー軸501に回動を付与する逆送りソレノイド509と、コンデンス縫いピッチPcoとなるようにレバー軸501に回動を付与するコンデンスソレノイド510と、手動でレバー軸501に回動を付与して正逆の送り方向を切り換えるためのレバー514とを主に備えている。
【0053】
送り調節腕502は、レバー軸501と共に回動を行い、その回動によりY軸方向に沿った丸棒状のピン503をレバー軸501を中心として周回移動させる。
送り調節体506は、ミシンフレームによりY軸回りに回動可能に軸支されており、その上端部はリンク511を介して送り調節体ソレノイド508に連結されている。
また、送り調節体506の下部には、互いに対向し、一方に向かって互いに近接するように傾斜した形状の正送りカム504及び逆送りカム505が形成されており、
図19に示すように、送り調節腕502は、そのピン503が正送りカム504に圧接するように図示しない弾性体により付勢されている。
【0054】
送り調節ダイヤル507は、その先端部が送り調節体506に当接してダイヤル操作により任意の角度に送り調節体506を回動させることができる。
そして、ピン503が正送りカム504に圧接した状態で、送り調節体506が回動を行うと、正送りカム504に沿ってピン503の圧接位置が変化して送り調節腕502も回動し、さらに、アーム部材56及びリンク部材57を介して送り量変換体52が回動する。正送りカム504のいずれの位置にピン503が圧接しているかによって送り量変換体52の回動角度が変化して縫いピッチを変動させことができる。つまり、送り調節ダイヤル507の回転操作により、任意に縫いピッチを調節することが可能となっている。
【0055】
正送りカム504と逆送りカム505とは、前述したように、互いに対向しつ、片側に向かうにつれて相互間隔が狭くなるように形成されている。そして、正送りカム504及び逆送りカム505は、相互間隔が狭くなる方にピン503が移動すると、縫いピッチが小さくなるように形成されており、さらに、正送りカム504と逆送りカム505との境界位置にピン503が位置する時に縫いピッチが0となるように形成されている。
前述した逆送りソレノイド509は、リンク512を介してレバー軸501に連結され、送り調節腕502を弾性体に抗して回動させ、
図20に示すように、ピン503を逆送りカム505に圧接させることができる。
送り調節体506が回動しないように静止した状態で、ピン503が正送りカム504に圧接した状態から逆送りカム505に圧接した状態に移動すると、もとの正送りカム504との圧接位置による正送り方向の縫いピッチと、ピン503の移動後の逆送りカム505との圧接位置による逆送り方向の縫いピッチとは、ピッチ幅が一致するように、相互のカム形状が形成されている。つまり、逆送りソレノイド509に作動により、ピン503が正送りカム504に圧接した状態から逆送りカム505に圧接した状態に移動すると、縫いピッチを維持したまま送り方向のみを正逆に切り換えることが可能となっている。
なお、逆送りソレノイド509は、所定位置で調節腕502の回動が停止するように、そのストローク量を調整されている構成でも良い。即ち、逆送りソレノイド510による調節腕502の回動がアーム部材56及びリンク部材57を介して送り量変換体52を回動させ停止する位置は、逆送り方向の最大ピッチである上限値Pmaxとなるように設定された構成でも良い。
【0056】
コンデンスソレノイド510は、リンク513を介してレバー軸501に連結され、送り調節腕502を弾性体に抗して回動させる。このコンデンスソレノイド510は、所定位置で調節腕502の回動が停止するように、そのストロークが調整されている。即ち、コンデンスソレノイド510による調節腕502の回動がアーム部材56及びリンク部材57を介して送り量変換体52を回動して停止する位置は、
図21に示すように、前述した正送り又は逆送り方向のコンデンス縫いピッチPcoになるように設定されている。
【0057】
送り調節体ソレノイド508は、リンク511を介して送り調節体506に連結され、当該送り調節体506を回動させることで、
図22に示すように、正送りカム504に圧接しているピン503を正送りの最大ピッチである上限値Pmaxとなる位置まで相対的に移動させる。
【0058】
これらの構成により、
図22の送り調節機構は、
図11,14,17に示すミシンの糸切り実行時のいずれの動作も実行することが可能である。
例えば、
図11の動作において、予め送り調節ダイヤル507により設定された通常の縫製の縫いピッチからコンデンス縫いピッチPcoに切り換える際には、送り調節体ソレノイド508、逆送りソレノイド509、コンデンスソレノイド510がいずれも停止して推力0の状態(
図19の状態)からコンデンスソレノイド510のみが作動し、
図21の状態に切り替えを行う。
さらに、
図11の動作において、縫いピッチを正送りの最大ピッチとしての上限値Pmaxに切り換える際には、コンデンスソレノイド510及び逆送りソレノイド509をOFF状態、送り調節体ソレノイド508をON状態にして、
図22の状態に切り換える。
さらに、
図11の動作において、縫いピッチを逆送りの最大ピッチとしての上限値Pmaxに切り換える際には、コンデンスソレノイド510をOFF状態、送り調節体ソレノイド508及び逆送りソレノイド509をON状態として、
図20の状態に切り換える。(逆送りソレノイド509のストローク量を逆送りの最大ピッチとしての上限値Pmaxとなるように予め設定している場合は、逆送りソレノイド509をON状態、コンデンスソレノイド510及び送り調節体ソレノイド510をOFF状態とする)
【0059】
また、
図14の動作を実行する場合には、コンデンスソレノイド510によるピン503の停止位置が逆送り方向のコンデンス縫いピッチPcoになるように設計する必要がある。
この場合において、予め送り調節ダイヤル507により設定された通常の縫製の縫いピッチから逆送りのコンデンス縫いピッチPcoに切り換える際には、送り調節体ソレノイド508、逆送りソレノイド509、コンデンスソレノイド510がいずれも停止して推力0の状態(
図19の状態)からコンデンスソレノイド510のみが作動し、逆送り方向のコンデンス縫いピッチPcoとなる所定位置に切り替えを行う。
さらに、
図14の動作において、縫いピッチを正送りの最大ピッチとしての上限値Pmaxに切り換える際には、コンデンスソレノイド510及び逆送りソレノイド509をOFF状態、送り調節体ソレノイド508をON状態にして、
図22の状態に切り換える。
さらに、
図14の動作において、縫いピッチを逆送りの最大ピッチとしての上限値Pmaxに切り換える際には、コンデンスソレノイド510をOFF状態、送り調節体ソレノイド508及び逆送りソレノイド509をON状態として、
図20の状態に切り換える。(逆送りソレノイド509のストローク量を逆送りの最大ピッチとしての上限値Pmaxとなるように予め設定している場合は、逆送りソレノイド509をON状態、コンデンスソレノイド510及び送り調節体ソレノイド508をOFF状態とする)
【0060】
また、
図17の動作を実行する場合も、コンデンスソレノイド510によるピン503の停止位置が逆送り方向のコンデンス縫いピッチPcoになるように設計する必要がある。
この場合において、予め送り調節ダイヤル507により設定された通常の縫製の縫いピッチから逆送りのコンデンス縫いピッチPcoに切り換える際には、送り調節体ソレノイド508、逆送りソレノイド509、コンデンスソレノイド510がいずれも停止して推力0の状態(
図19の状態)からコンデンスソレノイド510のみが作動し、逆送り方向のコンデンス縫いピッチPcoとなる所定位置に切り替えを行う。
さらに、
図17の動作において、縫いピッチを逆送りの最大ピッチとしての上限値Pmaxに切り換える際には、コンデンスソレノイド510をOFF状態、送り調節体ソレノイド508及び逆送りソレノイド509をON状態として、
図20の状態に切り換える。(逆送りソレノイド509のストローク量を逆送りの最大ピッチとしての上限値Pmaxとなるように予め設定している場合は、逆送りソレノイド509をON状態、コンデンスソレノイド510及び送り調節体ソレノイド508をOFF状態とする)
さらに、
図17の動作において、縫いピッチを正送りの最大ピッチとしての上限値Pmaxに切り換える際には、コンデンスソレノイド510及び逆送りソレノイド509をOFF状態、送り調節体ソレノイド508をON状態にして、
図22の状態に切り換える。
【0061】
このように、
図18に示す送り調節機構は、コンデンスソレノイド510により停止位置の設計変更の必要はあるが、
図11,14,17のいずれの動作も実行することが可能である。
なお、
図18では、送り調節機構の各ソレノイド508,509,510はいずれもロータリーソレノイドを図示しているが、これに限らず、各リンク511,512,513の長手方向に進退動作可能な直動式のソレノイドを使用することも可能である。