【実施例】
【0033】
以下に、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0034】
実施例1
金属濃度が既知の、硝酸ランタン溶液と、硝酸マンガン溶液をLaとMnとがMn/La=2となるようにそれぞれ混合し、最終的に得られるLaMn
2O
5が50g/Lとなるようにイオン交換水で濃度調整したものを原料液とした。2.5%NH
3水溶液26.59mLと、30%過酸化水素水11.33mLを加えてイオン交換水を用いて265.9mLに調整し沈殿剤とした。その後原料液に沈殿剤を滴下し沈殿を生成し、得られた沈殿物をろ過し、洗浄した後、加熱して粉末を得た。
【0035】
硝酸銀0.124gに水37.5gを加え、攪拌して硝酸銀水溶液とし、上記で得られた粉末を1.5g投入し、加熱して、実施例1の排ガス浄化用触媒を得た。得られた排ガス浄化用触媒のAg担持量は金属Ag+担体の合計質量基準で5.57質量%であった。
【0036】
実施例2
金属濃度が既知の、硝酸ランタン溶液と、硝酸マンガン溶液を調製し、LaとMnとがMn/La=2.66(x=2.66)の割合となるようにそれぞれ混合し、最終的に得られるLaMn
xO
5が50g/Lとなるようにイオン交換水で濃度調整したものを原料液とした。一方、2.5%NH
3水溶液32.44mLと、30%過酸化水素水15.07mLとを混合した水溶液にイオン交換水を加えて265.9mLに調製し、沈殿剤とした。
【0037】
その後、原料溶液に沈殿剤を滴下し、沈殿を生成し、沈殿物をろ過し、洗浄した後、加熱して粉末を得た。
【0038】
硝酸銀0.124gにイオン交換水37.5gを加え、攪拌して硝酸銀水溶液としたものに、上記粉末を1.5g投入し、加熱して実施例2の排ガス浄化用触媒を得た。得られた排ガス浄化用触媒のAg担持量は金属Ag+担体の合計質量基準で5.57質量%であった。
【0039】
比較例1
金属濃度が既知の、硝酸ランタン溶液と、硝酸マンガン溶液をLaとMnとがMn/La=1となるように混合し、最終的に得られるLaMnO
3が50g/Lとなるようにイオン交換水で濃度調整したものを原料液とした。2.5%NH
3水溶液15.43mLと、30%過酸化水素水6.53mLを加えて265.9mLに調整し沈殿剤とした。その後原料液に沈殿剤を滴下し沈殿を生成し、得られた沈殿物をろ過し、洗浄した後、加熱して粉末を得た。
【0040】
硝酸銀0.124gにイオン交換水37.5gを加え、攪拌して硝酸銀水溶液としたものに、上記粉末を1.5g投入し、加熱して実施例2の排ガス浄化用触媒を得た。得られた排ガス浄化用触媒のAg担持量は金属Ag+担体の合計質量基準で5.57質量%であった。
【0041】
<XRD測定>
実施例1、2および比較例1の排ガス浄化用触媒について大気中、700℃で30時間の耐久処理を行った後のXRDパターンを
図1に示す。
【0042】
この結果、酸化マンガンが見られないことから実施例1の排ガス浄化用触媒は、結晶性のLaMnO
3とアモルファス成分のLaMn
2O
5が含まれていると考えられる。また、Mn/La比が2.66の実施例2では、DyMn
2O
5構造をとることがわかった。
【0043】
また、
図2に示す通り実施例2では、過剰分のMnに起因するピークが観察されず、且つDyMn
2O
5構造に起因するピークがシフトしていることから、過剰分のMnはすべて結晶に固溶していることが確認された。
【0044】
さらに、
図3に示す通り実施例2では、Agに帰属されるピークが同一量のAg量である比較例1のピークに比較して小さくなっていることも確認されており、これから、Agの少なくとも一部が結晶に固溶していると判断される。
【0045】
<固定床模擬ガス浄化性能評価試験>
実施例1、2および比較例1の排ガス浄化用触媒について大気中、700℃で30時間の耐久処理を行った後の排気ガス浄化用触媒の触媒活性を以下のようにして評価した。
【0046】
まず、固定床流通型反応装置を用い、反応管に触媒粉を0.1gセットし、下記表2の組成から成る模擬排気ガスを1L/minで流通させ、500℃まで昇温後10分間保持し、前処理を行った。その後、一旦冷却後、100℃〜500℃まで10℃/minで昇温し、100〜500℃における出口ガス成分をCO/HC/NO分析計を用いて測定した。得られた浄化性能評価結果より、CO及びHCの50%浄化率に到達する温度(T50)及び400℃におけるNOの浄化率を求めた。その結果は表1に示す通りであった。なお、浄化されたNOのほとんどはNO
2に転化していることがわかった。
【0047】
表1に、耐久処理後の比表面積(BET法で測定)をあわせて示す。
【0048】
<硫黄被毒試験後の固定床模擬ガス浄化性能評価試験>
実施例1、2の排ガス浄化用触媒を、SO
2200ppm、O
210%、H
2O7%、N
2残部の混合ガスを1L/minで導入する雰囲気で、10℃/minで250℃まで昇温後、250℃で20時間保持することで硫黄被毒した後、上述した固定床模擬ガス浄化性能評価試験と同様な試験を行った。
【0049】
この結果も表1に併せて示す。
【0050】
これらの結果、実施例1、2の排気ガス浄化用触媒は、比較例1と比較して触媒活性が高いことがわかった。また、Mnが過剰な実施例2の排気ガス浄化用触媒は、実施例1と比較してさらに触媒活性が高いことがわかった。
【0051】
また、硫黄被毒試験後の浄化性能に関しては、Mn/La比が2の実施例1と比較して、Mn/La比が2.66の実施例2の方が、硫黄被毒による触媒性能の低下が小さく、硫黄被毒性耐性に優れることがわかった。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】