(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925675
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】サニタリー・リテーナー
(51)【国際特許分類】
F16L 23/04 20060101AFI20160516BHJP
F16L 37/10 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
F16L23/04
F16L37/10
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-503733(P2012-503733)
(86)(22)【出願日】2010年4月2日
(65)【公表番号】特表2012-522948(P2012-522948A)
(43)【公表日】2012年9月27日
(86)【国際出願番号】US2010029730
(87)【国際公開番号】WO2010115068
(87)【国際公開日】20101007
【審査請求日】2013年3月12日
(31)【優先権主張番号】61/166,028
(32)【優先日】2009年4月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/752,803
(32)【優先日】2010年4月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(72)【発明者】
【氏名】ワース,アルバート,エイ.
【審査官】
木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−241362(JP,A)
【文献】
米国特許第05060987(US,A)
【文献】
特開2002−210004(JP,A)
【文献】
実開平1−158885(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 23/04
F16L 37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部および第2の端部をそれぞれ有する一対のサニタリー取り付け部品を接続するためのリテーナーであって、
前記第2の端部はそれぞれフランジ部を有し、
前記リテーナーは、
スルー開口を有し、前記フランジ部それぞれの少なくとも一部を受容し、第1の外側縁部と反対側の第2の外側縁部とを有する弾性指部を複数含む第1の部材と、
スルー開口を有し、前記第1の部材に係合可能で、前記第1および第2の部材が組み立て構成の場合に、前記フランジ部を密封接続するための圧縮力を供給する第2の部材と、
を備えるリテーナー。
【請求項2】
ガスケットが、前記一対のサニタリー取り付け部品の前記フランジ部の間に位置する請求項1に記載のリテーナー。
【請求項3】
前記第1の部材は、組み立ての際に、前記第2の部材の内側ねじ切りされた表面と嵌合する、外側のねじ切りされた表面を有する請求項1または2に記載のリテーナー。
【請求項4】
前記第2の部材は、略同心の外面を有する請求項1または2に記載のリテーナー。
【請求項5】
前記第2の部材は、少なくとも一つのスプリングを含み、
前記少なくとも一つのスプリングは、前記同心の外面から外側に突出して、開口を有する弓状部を形成する請求項4に記載のリテーナー。
【請求項6】
前記第1および第2の外側縁部は、連動部を含み、
前記複数の弾性指部のうち少なくとも1つの弾性指部の前記連動部は、組み立ての際に前記複数の弾性指部の隣接する弾性指部の前記連動部を受容する請求項1または2に記載のリテーナー。
【請求項7】
前記第1および第2の部材が組立て構成でない場合に、前記第1および第2の部材は、少なくとも1つのこわれやすい接続部材によって接続されるリテーナーであって、前記こわれやすい接続部材は所定の印加力によって破損することができる請求項1または2に記載のリテーナー。
【請求項8】
前記第1の部材は、第1および第2の端部を有し、
前記第1の端部は半径方向内側に突設している係止棚部を有し、前記第2の端部は半径方向内側に突設している静止棚部を有する請求項1または2に記載のリテーナー。
【請求項9】
前記第1および第2の部材が組立て構成の場合に、前記第2の部材の前記圧縮力は、360度の圧縮を供給して、前記フランジ部を密封接続する請求項1または2に記載のリテーナー。
【請求項10】
第1のサニタリー取り付け部品および第2のサニタリー取り付け部品と、スルー・ホール・開口を備える第1および第2の部材とを有するリテーナーとを密封接続する方法であって、
前記第1および第2のサニタリー取り付け部品は、それぞれ、第1および第2の端部を有し、前記第2の端部はそれぞれフランジ部を有し、
前記方法は、
前記第1のサニタリー取り付け部品の前記第1の端部を前記第1の部材の前記開口に挿入するステップと、
前記第1のサニタリー取り付け部品の前記フランジ部を前記第1の部材に位置付けるステップと、
前記第2のサニタリー取り付け部品の前記フランジ部を前記第1の部材に位置付けるステップと、
圧縮力が前記第1および第2のサニタリー取り付け部品に適用されるように、前記第1の部材上に前記第2の部材を係合するステップと、を含み、
前記第1の部材は、複数の弾性指部を含み、それぞれの弾性指部は、第1の外側縁部と、反対側の第2の外側縁部とを有するものである方法。
【請求項11】
前記一対のサニタリー取り付け部品の前記フランジ部の間にガスケットを位置づけるステップをさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の部材は、外側にねじ切りされた表面を有し、前記第2の部材は、内側にねじ切りされた表面を有し、
前記第1の部材上に前記第2の部材を係合するステップは、
前記外側にねじ切りされた表面が、前記内側にねじ切りされた表面と嵌合するように、少なくとも1つの第1の部材および前記第2の部材を回転させるステップを含む請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の部材および前記第2の部材は、それぞれ略同心の外面を有する請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の部材は、少なくとも1つのスプリングを含み、
前記少なくとも一つのスプリングは、前記同心の外面から外側に突出して、開口を有する弓状部を形成する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1および第2の外側縁部は、連動部を含み、
前記第1の部材の前記第2の部材を係合するステップは、
前記複数の弾性指部のうち少なくとも1つの弾性部材の前記連動部を、前記複数の弾性指部の隣接する弾性部材の前記連動部に受容するステップを含む請求項10または11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1および第2の部材が組立て構成でない場合に、前記第1および第2の部材は、少なくとも1つの接続部材によって接続され、
前記方法は、更に、
前記第2の部材が前記第1の部材上に係合する際に、前記少なくとも1つの接続部材を破壊するステップを含む請求項10または11に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の部材は、第1および第2の端部を有し、
前記第1の端部は半径方向内側に突設している係止棚部を有し、前記第2の端部は半径方向内側に突設している静止棚部を有する請求項10または11に記載の方法。
【請求項18】
それぞれ第1の端部と第2の端部とを有する一対のサニタリー取り付け部品を組立てるためのキットであって、
前記第2の端部はフランジ部を有し、
前記キットは、
前記フランジ部を受容するようにサイズを設定されたスルー開口と、複数の弾性指部を有し、弾性指部のそれぞれは、第1の外側縁部と、反対側の第2の外側縁部とを有し、圧縮される際に前記フランジ部を密封接続する第1の部材と、
略同心の外面とスルー開口と、を有する第2の部材とを備えるキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年4月1日に出願した米国特許出願番号第12/752,803号および2009年4月2日に出願した米国特許仮出願番号第61/166,028号の優先権を主張し、上記両出願はそれらの全部を参照により本明細書に組み込む。
本願発明は、一般に、一対のサニタリー取り付け部品(sanitary fittings)を接続するサニタリー・リテーナー(sanitary retainer)に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックまたはゴムでできている柔軟性を有するチューブは、医療、製薬、バイオ医薬、食品や飲料および他の実験室環境において広く使われている。医療機器から患者への連結部を含む特定の組立品(assemblies)において、柔軟性を有するチューブの両端を共に接続するために、ステンレス・スチール・コネクタ(stainless steel connectors)またはクランプ(clamps)が用いられてきた。ステンレス・スチール・コネクタまたはクランプは、殺菌可能であるため再利用可能であるという利点を有する。しかしながら、ステンレス・スチール・コネクタは、製造するのが高価であり、二次汚染(cross contamination)を完全に防ぐことができない。
【発明の概要】
【0003】
一対のサニタリー取り付け部品を接続するためのリテーナーの実施形態を、本明細書に開示する。サニタリー取り付け部品は、各々第1の端部と第2の端部とを有し、第2の端部はそれぞれフランジ部(flanged portion)を有する。このリテーナーは、スルー・センター・開口(through center aperture)を有する第1の部材を含む。第1の部材は、各フランジ部の少なくとも一部を受容するように構成される。リテーナーは、また、貫通中央開口(through center aperture)を有し、第1の部材の上部に係合可能な第2の部材を含む。第1および第2の部材が組立てられた構成の場合に、第2の部材はフランジ部を密封接続するための圧縮力を印加するように構成されている。
【0004】
第1のサニタリー取り付け部品および第2のサニタリー取り付け部品をリテーナーと密封接続する方法の実施形態についても、本明細書において開示する。リテーナーは、スルー・ホール・開口(through hole aperture)を有する第1および第2の部材を有し、第1および第2のサニタリー取り付け部品はそれぞれ第1の端部と第2の端部とを有し、第2の端部はそれぞれフランジ部を有する。この方法は、第1のサニタリー取り付け部品の第1の端部を第1の部材の開口に挿入するステップと、第1のサニタリー取り付け部品のフランジ部を第1の部材内に位置付けるステップとを含む。この方法はまた、第2のサニタリー取り付け部品のフランジ部を第1の部材内に位置付けるステップを含む。更に、この方法は、圧縮力が第1および第2のサニタリー取り付け部品に印加されるように、第1の部材の上部に第2の部材を係合するステップを含む。
【0005】
加えて、第1の端部と、それぞれフランジ部を有する第2の端部とをそれぞれ有する各一対のサニタリー取り付け部品を組立てるためのキット(kit)の実施形態を本明細書に開示する。このキットは、フランジ部を受容するようにサイズを設定されたスルー・センター・開口(through center aperture)と、圧縮されるときにフランジ部を密封接続する複数の弾性部材とを有する第1の部材とを含む。このキットは、また略同心の外面とスルー・センター・開口とを有する第2の部材を含む。
【0006】
本願発明の他の実施形態は、以下に追加して詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書における説明は、添付の図を参照することにより行われ、複数の図の全体を通して、同様の参照番号は同様の部品を引用している。
【0008】
【
図1】
図1(a)は、本願発明の第1の実施形態に係るサニタリー・リテーナーを含む、組立てられていないサニタリー・アセンブリ(sanitary assembly)の斜視図である。
【0009】
図1(b)は、部分的に組立てられた
図1(a)に示すサニタリー・アセンブリの斜視図である。
【0010】
図1(c)は、完全に組立てられた
図1(a)に示すサニタリー・アセンブリの斜視図である。
【0011】
【
図2】
図2(a)は、
図1(a)に示す、組立てられていないサニタリー・アセンブリの断面図である。
【0012】
図2(b)は、
図1(a)に示す部分的に組立てられたサニタリー・アセンブリの断面図である。
【0013】
図2(c)は、
図1(a)に示す完全に組立てられたサニタリー・アセンブリの断面図である。
【0014】
【
図3】
図3(a)は、
図1(a)に示す、組立てられていないサニタリー・アセンブリの平面図である。
【0015】
図3(b)は、
図1(a)に示す部分的に組立てられたサニタリー・アセンブリの平面図である。
【0016】
図3(c)は、
図1(a)に示す完全に組立てられたサニタリー・アセンブリの平面図である。
【0017】
【
図4】
図4(a)は、
図1(a)に示す、組立てられていないサニタリー・アセンブリの底面図である。
【0018】
図4(b)は、部分的に組立てられた
図1(a)に示すサニタリー・アセンブリの底面図である。
【0019】
図4(c)は、完全に組立てられた
図1(a)に示すサニタリー・アセンブリの底面図である。
【0020】
【
図5】
図1(a)に示すサニタリー・リテーナーのコレットの分解斜視図である。
【0021】
【
図6】
図1(a)に示すコレットの他の分解斜視図である。
【0022】
【
図7】
図1(a)に示すサニタリー・リテーナーのスリーブの分解斜視図である。
【0023】
【
図8】
図1(a)に示すスリーブの他の分解斜視図である。
【0024】
【
図9】本願発明の第2の実施形態に係るサニタリー・リテーナーのスリーブの透視図である。
【0025】
【0026】
【
図11】本願発明の第3の実施形態に係るサニタリー・リテーナーの透視図である。
【0027】
【
図12】
図11に示すサニタリー・リテーナーの正面図である。
【0028】
【
図13】
図11に示すサニタリー・リテーナーの断面図である。
【0029】
【
図14】本願発明の第4の実施形態に係るサニタリー・リテーナーの透視図である。
【0030】
【
図15】
図14に示すサニタリー・リテーナーの正面図である。
【0031】
【
図16】
図14に示すサニタリー・リテーナーの断面図である。
【0032】
【
図17】
図17(a)は、本願発明の第5の実施形態に係るサニタリー・リテーナーを含む、組立てられていないサニタリー・アセンブリの透視図である。
【0033】
図17(b)は、部分的に組立てられた
図17(a)に示すサニタリー・アセンブリの透視図である。
【0034】
図17(c)は、完全に組立てられた
図17(a)に示すサニタリー・アセンブリの透視図である。
【0035】
【
図18】
図18(a)は、
図1(a)に示す、組立てられていないサニタリー・アセンブリの正面図である。
【0036】
図18(b)は、部分的に組立てられた
図17(a)に示すサニタリー・アセンブリの正面図である。
【0037】
図18(c)は、完全に組立てられた
図17(a)に示すサニタリー・アセンブリの正面図である。
【0038】
【
図19】
図17(a)に示すサニタリー・リテーナーの分解斜視図である。
【0039】
【
図20】
図17(a)に示すサニタリー・リテーナーの側面図である。
【0040】
【
図21】
図17(a)に示すサニタリー・リテーナーの他の分解斜視図である。
【0041】
【
図22】本願発明の第6の実施形態に係るサニタリー・リテーナーのコレットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1(a)−1(c)を参照し、第1の実施形態に係るサニタリー・アセンブリ100の、組立てられていない構成(
図1(a))、部分的に組立てられた構成(
図1(b))、完全に組立てられた構成(
図1(c))を示す。通常、サニタリー・アセンブリ(sanitary assembly)100は、一対のサニタリー・コネクタ(sanitary connectors)102、サニタリー・リテーナー(sanitary retainer)103、ガスケット105(
図2(a)−2(c)に示すガスケット)を含むことができる。サニタリー・リテーナー103は、第1の部材またはコレット(collet)104、および第2の部材またはスリーブ106を含むことができる。コレット104およびスリーブ106は両方とも、略同心の外面を有することができる。
【0043】
サニタリー・コネクタ102は、一端部がチューブ(図示せず)との接続用であり、反対側の端部が終端端部114でフランジ部(flanged portion)を有する広がりのある円形開口部を含む漏斗状の構造(funnel formation)112である、バーブ接続(barb connection)110を有する筒状部材108を有している。当然のことがら、異なる構成(例えば漏斗状の構造を有さない)を有することもできる他のサニタリー・コネクタも利用可能である。サニタリー・コネクタ102は、非金属など、いかなる適切な材料で構成することもできるため、コネクタを、例えば、プロプロピレン(propropylene)またはエチレンの医療用または製薬用のバッグに熱溶着することができる。同じ材料または類似の材料を他の用途、例えば、生物工学、製薬、医療、食品の嵌合接続および多岐にわたる用途において使用することができる。サニタリー・コネクタ102は、要望または必要に応じて、他のプラスチック、ステンレス・スチールまたは他のいかなる適切な材料からも製造することもできる。サニタリー・コネクタ102の他の構成も利用可能である。ガスケットは、Oリング・シール等のいかなる適切なシールとすることもでき、いかなる適切な材料から構成することもできる。コレット104およびスリーブ106は、プロプロピレン(propropylene)およびポリ塩化ビニリデン・ジフルオリド(polyvinylidene difluoride)等のいかなる適切な材料からも製造することができる。
【0044】
図5および
図6を参照し、コレット104は基本的には環状の部材であり、ガスケット105とその内部に一対のサニタリー・コネクタ102の終端端部114とを受容するスルー開口(through aperture)116を有する。コレット104は、内側湾曲部(incurved portion)122の固定用端部(securing end)120で、不連続なリングを形成する。内側湾曲部122は、環状縁部126から始まる。環状縁部126のすぐ近くには、環状溝127がある。コレット104も、終端端部114周辺で放射状に収縮する弾性指部(resilient fingers)128を有する受容端部124を含む。指部128は、受容端部24から延在し、基本的に環状縁部126で終端する狭いスルー・スロット(through slots)130により形成される。更に、スロット130は、隣接する指部128の外側縁部との間に延在する。図示するスロット130は円形の終端端部130aを有するが、終端端部130aは山形端部または他のいかなる適切な形状の端部を有してもよい。
【0045】
以下に詳述するように、指部128は、ガスケット105、および漏斗状の構造112の終端端部114の周囲の360°を圧縮することにより、弾性封止を形成する。各指部128は、完全に組立てられる際にスリーブ106がコレット504と接触する停止部129を含む。他の指部28との間ごとに、固定用端部120から関連する指部128の略中間部134まで延在するスルー・スロット(through slot)132を備えることができる。スルー・スロット132は、耐久性を犠牲にすることなくコレット104の固定用端部120に弾性を与えることができる。スルー・スロット132は、円形終端部132aを有することが図においてされるが、円形終端部132aは山形端部または他のいかなる適切な形状の端部をも有することができる。
【0046】
コレット104の内面134は、固定用端部120における係止棚部(locking shelf)136、および受容端部124における静止棚部138を除き、基本的には滑らかである。係止棚部136および静止棚部138は、コレット104のスルー開口116が、更に以下に詳細に述べる理由により、終端端部114よりわずかに小さい直径を有するよう設計しサイズを決定することができる。
【0047】
図7および8を参照し、スリーブ106は、コレット104をその内部で受容するためのスルー開口140を有する環状部材でもある。スリーブ106は、滑らかな外側環状面142と、環状縁部145を始点として内側に延在する内側湾曲部143とを有する。スリーブ106は、コレット104への組立てを容易にするために弓状の基部を形成する受容端部144を有する。内側湾曲部は、環状縁部126から始まる。スリーブ106の内面145は、内面145から延在する環状突起(annular projection)146を除き、スリーブ106の長さ全体にわたって、基本的に滑らかである。環状突起146は、コレット127の環状溝127内に配置するためにサイズを設定しスリーブ20上に位置付けることで、サニタリー・リテーナー103が係合する際の係止(lock)を形成する。従って、環状突起146は、スリーブ106の固定端部148の近くに位置付けることができる。
【0048】
図1(a)−1(c)、2(a)−2(c)、3(a)−3(c)、4(a)−4(c)を参照し、組み立ての間、コレット104は、最初に、一対のサニタリー・コネクタ102のいずれか一方の上部に配置される。コレット104およびスリーブ106は、接続部の上部または下部から搭載することができるので、サニタリー・コネクタ102のバーブ・コネクタ110の1つがチューブ(図示せず)に追加される前または後に、作業者がリテーナーを追加することができる。サニタリー・コネクタ102の終端端部114は、サニタリー・コネクタ102と、サニタリー・コネクタ102の終端端部114との間に配置されるガスケット105とを前もって保持するために、コレット104内に配置することができる。前述したように、そして
図1(b)および
図2(b)に示すように、係止棚部136およびコレット104の内面134上の静止棚部138は、サニタリー・コネクタがコレット104から容易にとび出ないように、サニタリー・コネクタ102とその間に配置されるガスケット105とを保持する。
【0049】
スリーブ106は、次に、例えばツール(図示せず)を用いてコレット104上を摺動することができる。スリーブ106がコレット104上を移動するに従い、スリーブ106の受容端部144が、最初にコレット104の固定用端部144に直面する。コレット104上の指部128はサニタリー・コネクタ102およびガスケット105上で内向きに放射状に押されるため、360°圧縮することによりその間を密封する。スリーブ106の内面145上の環状突起146がコレット106の環状溝127の中に位置するまで、スリーブ106はコレット18上を移動し続ける。サニタリー・リテーナー103を取り外すために、分離(disconnection)や漏れ(leakage)を防止するように、作業者は除去ツール(図示せず)を使用してもよい。
【0050】
図9および
図10は、本願発明の第2の実施形態に係るスリーブ206を例示する。第2の実施形態は、スリーブ206が多数のスプリング208を備えることを除いては、第1の実施形態と同様である。各スプリング208は、表面142から外側に突出して、スルー・センター・開口(through center aperture)214を有する弓状部(arch)212を形成する。各スプリング208は、スリーブ106の受容端部144から環状縁部145まで延在する。スプリング208は、例えば、異なるコレットの製造業者間でのコレットのサイズの相違に適応することができる。スプリング208により、スリーブ206を必要に応じて、拡張するようにすることができるので、特定の閾値内の直径を有するコレットをその内部に受容することができる。3つのスプリングを図示しているが、スリーブ206は他の実施形態においては3つより多くても少なくてもよい。
【0051】
図11および
図12は、本願発明の第3の実施形態に係るサニタリー・リテーナー303を例示する。第3の実施形態は、コレット304およびスリーブ306が複数のこわれやすいタブ(frangible tabs)308によって接続されていること以外は、第1の実施形態と同様である。こわれやすいタブ308は、コレット304の固定用端部120の放射状表面に接続され、かつ水平に延在する。こわれやすいタブ308の反対側の端部は、スリーブ306の内面にも接続している。こわれやすいタブは、垂直に延在することもできるし、スリーブ306に接続するために他のいかなる適切な方向に延在することもできる。こわれやすいタブ308は、例えば、スロット130と一直線上に位置付けることができる。こわれやすいタブ308は、他のいかなる適切な方法で位置合わせすることもできる。複数のこわれやすいタブ308を図示しているが、サニタリー・リテーナー303は、必要あるいは所望に応じて、1つ以上のこわれやすいタブを含むことができる。
【0052】
こわれやすいタブ308がコレット304およびスリーブ306へ接続することにより、スリーブ306の受容端部142およびコレット304の固定用端部122の間に間隙310が形成され、これにより、リテーナー303がロック解除位置にあるときに、こわれやすいタブ308がそれらの間の唯一の接続となる。コレット304およびスリーブ306に対するこわれやすいタブ308の位置により、所定の印加力で、コレット304から、こわれやすいタブ308を破損することができる。
【0053】
組立ての間に、サニタリー・リテーナー303は、最初に、一対のサニタリー・コネクタ102のいずれか一方の上部に配置される。第1の実施形態に関して上述したように、サニタリー・コネクタ102の終端端部114は、コレット304内に位置付けられて、サニタリー・コネクタ102と、サニタリー・コネクタ102の終端端部114との間に配置されるガスケット105とを前もって保持することができる。係止装置は、コレット302およびコレット304の上部のスリーブ306からスリーブ308を分離して、こわれやすいタブ308を破壊するために用いることができる。こわれやすいタブ308はコレット304から取り壊されるにもかかわらず、こわれやすいタブ308の一部をスリーブ306の内面に破損せずに残すことができる。あるいは、こわれやすいタブ308の全てをスリーブ306およびコレット304の両方から取り壊すことができるし、あるいはこわれやすいタブを破損せずにコレット304に残すことができる。前述したように、スリーブ306がコレット304上で係止する際に、サニタリー・コネクタ102とガスケット105との360°で放射状に圧縮接続される。
あるいは、他の実施形態では、こわれやすいタブ308をこわれやすいメニスカス材料(図示せず)と置き換えることができる。こわれやすいメニスカスは、コレットおよびスリーブの両方から取り壊すことができる。こわれやすいメニスカスは、コレットの固定用端部の径方向面(radial surface)に接続し、かつ延在することができる。こわれやすいメニスカスは、径方向面の全長を通って延在することができる。あるいは、こわれやすいメニスカスは、径方向面の一部の長さまでにだけ延在することができる。
【0054】
こわれやすいメニスカス428の反対側の端部は、スリーブの内部に広げられた端部366の壁に配置され接続することができる。
【0055】
図14−
図16は、本願発明の第4の実施形態に係るサニタリー・リテーナー406を例示する。第4の実施形態は、コレット404およびスリーブ406が、複数のこわれやすいタブ408等のこわれやすい接続部材によって接続されることを除いて、第2の実施形態と同様である。複数のこわれやすいタブ408は、第3の実施形態の複数のこわれやすいタブ308と同様である。
【0056】
図17(a)−17(c)および
図18(a)−18(c)を参照し、第5の実施形態に係るサニタリー・アセンブリ500の組立てられていない構成(
図17(a))、部分的に組立てられた構成(
図17(b))、完全に組立てられた構成(
図1(c))を示す。通常、前述の実施形態で述べたように、サニタリー・アセンブリ500は一対のサニタリー・コネクタ102およびサニタリー・リテーナー503およびガスケット(図示せず)を含むことができる。サニタリー・リテーナー503は、コレット504およびスリーブ506を含むことができる。
【0057】
図19−
図21を参照し、コレット504は、基本的には環状部材であり、ガスケットを受容するスルー・開口(through aperture)116と、その内部に一対のサニタリー・コネクタ102の終端端部114とを有する。コレット504は、固定用端部120で不連続なリングを形成する。コレット504もまた、終端端部114周辺で放射状に収縮する弾性指部128を有する受容端部124を含む。指部128は、受容端部124から延在し、基本的にはコレット長の2/3で終端する狭いスルー・スロット(narrow through slot)130によって形成される。スロット130は円形の終端端部130aを有することが図示されているが、終端端部130aは山形端部または他のいかなる適切な形状の端部を有していてもよい。
【0058】
スリーブ506がコレット504にねじ止めされる際に、指部128は、以下に詳述するように、ガスケット105および漏斗状の構造112の終端端部114の周囲360°を圧縮することにより、弾性封止を形成する。各指部128は、完全に組立てられる際にスリーブ506がコレット504と接触する停止部129を含む。他の指部28との間ごとに、固定用端部120から関連する指部128の略中間部134まで延在するスルー・スロット(through slot)132を備えることができる。スルー・スロット132は、耐久性を犠牲にすることなくコレット104の固定用端部120に弾性を与えることができる。スルー・スロット132は、円形終端部132aとともに図に示すが、円形終端部132aは山形端部または他のいかなる適切な形状の端部を有してもよい。
【0059】
スリーブ506の内面はねじ510を含み、コレット504の外側あるいは外面はねじ512を含む。ねじ510および512は、例えば、アクメ(Acme)ねじとすることができる。ねじ510および512は、角ねじ、のこ歯ねじ、テーパー状ねじ、テーパー状管用ねじ等の、他のいかなる適切なねじとすることもできる。
【0060】
ねじ510は、スリーブ506の固定端部148からスリーブ506の受容端部144まで延在することができる。ねじ512は、コレット504の固定用端部120からコレット504の停止部129まで延在することができる。組立ての間に、サニタリー・リテーナー503は、最初に一対のサニタリー・コネクタ102のいずれか一方の上部に配置される。第1の実施形態に関連して上述したように、サニタリー・コネクタ102の終端端部114は、コレット504内に位置付けられて、サニタリー・コネクタ102と、サニタリー・コネクタ102の終端端部114との間に配置されるガスケット105とを前もって保持することができる。次に、スリーブ506はコレット504にねじ止めされ、サニタリー・コネクタ102およびガスケット105を360°の放射状に圧縮接続する。
【0061】
図22は、本願発明の第6の実施形態に係るコレット604を例示する。第6の実施形態は、コレット604が複数の連動装置(interlocks)608を備えていることを除いては、第1の実施形態と同様である。各連動装置208は、突起612を受容する溝610を含む。したがって、弾性指部628の各々は、隣接する指部から突起612および隣接する指部と連動する突起を受容するための溝610を含むことができる。各突起612は、台形に形成された突起として図に示す。しかしながら、これらの突起は、山形の端部、正方形の端部、円形の端部、他のいかなる適切な形状の端部を有してもよい。溝610は通常、突起612と同じ形状を有するので、スリーブ(
図1のスリーブ106等)がコレット604上を移動するに従い連動装置608がコレット604を一緒に保持するようになる。このようなコレット604は、スリーブがコレットの底部と接触していないときに、スリーブ内へ移動する。したがって、(
図1と関連して述べたように)スリーブがコレット上に固定された後は、作業者がコレット604を含むリテーナーを回して閉じる必要がない。
【0062】
本願発明が、現時点で最も実用的かつ好適な実施形態であると考えられることに関連して説明したが、本願発明は開示された実施形態に限定されないことが理解されよう。しかしながら、逆に、添付の請求項の範囲内で、様々な修正および均等配置を含むことが意図されている。この請求の範囲は、法律のもとで許される修正および均等構成の全てを含めるべく、最も幅広い解釈が与えられるべきである。