(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925741
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】物理層パケットにおける多重化プロトコルデータユニットの送信
(51)【国際特許分類】
H04W 28/06 20090101AFI20160516BHJP
H04J 3/00 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
H04W28/06
H04J3/00 A
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-197614(P2013-197614)
(22)【出願日】2013年9月24日
(62)【分割の表示】特願2011-2256(P2011-2256)の分割
【原出願日】2006年8月23日
(65)【公開番号】特開2014-53908(P2014-53908A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2013年10月24日
【審判番号】不服2015-11321(P2015-11321/J1)
【審判請求日】2015年6月16日
(31)【優先権主張番号】11/211,232
(32)【優先日】2005年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100194814
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 元宏
(72)【発明者】
【氏名】ファン・リン
【合議体】
【審判長】
水野 恵雄
【審判官】
近藤 聡
【審判官】
畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2002/64145(US,A1)
【文献】
国際公開第00/69147(WO,A1)
【文献】
特表2002−544717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機および受信機によって用いられる集合体多重化プロトコルデータユニット(MUX−PDU)を生成および処理する方法であって、
少なくとも1つの有効なMUX−PDUを発生させることと、
複数のヌルMUX−PDUを発生させることと、
複数のパディングバイトを発生させることと、
前記少なくとも1つの有効なMUX−PDU、前記複数のヌルMUX−PDU、および前記複数のパディングバイトを単一の物理層(PHY)パケットに挿入することによって、前記集合体MUX−PDUを発生させることと、
前記PHYパケットから前記集合体MUX−PDUを受け取ることと、
前記PHYパケットの前記有効なMUX−PDUからヘッダを抽出することと、
前記有効なMUX−PDUの前記ヘッダに基づいて前記有効なMUX−PDUのサイズを確認することと、
前記PHYパケット上で相補的な処理を実行し、前記PHYパケットから前記有効なMUX-PDUを復元すること、
を備える方法。
【請求項2】
適合層に前記有効なMUX−PDUを送ることと、
前記集合体MUX−PDUに存在する各ヌルMUX−PDUに対するヘッダを抽出することと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各ヌルMUX−PDUを、そのヘッダに基づいて、認識することと、
各ヌルMUX−PDUを廃棄することと、
をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記集合体MUX−PDU内の各パディングバイトを読み取ることと、
各パディングバイトが有効なMUX−PDUでないことを検出することと、
各パディングバイトを廃棄することと、
をさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
各ヌルMUX−PDUは、前記単一の物理層(PHY)パケットのサイズよりも小さい5バイトパディングパターンを備え、前記5バイトパディングパターンの各最後の3バイトがゼロのMUX−PDUペイロードサイズを示すMUX−PDUヘッダに対するものである一方で、前記5バイトパディングパターンの各最初の2バイトはレベル2フラグに対するものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ワイヤレス通信システムにおける装置であって、
少なくとも1つの有効なMUX−PDUを発生させ、
複数のヌルMUX−PDUを発生させ、
複数のパディングバイトを発生させ、
前記少なくとも1つの有効なMUX−PDU、前記複数のヌルMUX−PDU、および前記複数のパディングバイトを単一の物理層(PHY)パケットに挿入することによって、集合体MUX−PDUを発生させる、
ように動作する第1のプロセッサと、
前記PHYパケットから前記集合体MUX−PDUを受け取り、
前記PHYパケットの前記有効なMUX−PDUからヘッダを抽出し、
前記有効なMUX−PDUの前記ヘッダに基づいて前記有効なMUX−PDUのサイズを確認し、
前記PHYパケット上で相補的な処理を実行し、前記PHYパケットから前記有効なMUX-PDUを復元する、
ように動作する第2のプロセッサと、
を備える装置。
【請求項7】
前記第2のプロセッサは
適合層に前記有効なMUX−PDUを送り、
前記集合体MUX−PDUに存在する各ヌルMUX−PDUに対するヘッダを抽出する、
ように動作する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のプロセッサは、
各ヌルMUX−PDUを、そのヘッダに基づいて、認識し、
各ヌルMUX−PDUを廃棄する、
ように動作する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2のプロセッサは、
前記集合体MUX−PDU内の各パディングバイトを読み取り、
各パディングバイトが有効なMUX−PDUでないことを検出し、
各パディングバイトを廃棄する、
ように動作する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
各ヌルMUX−PDUは、前記単一の物理層(PHY)パケットのサイズよりも小さい5バイトパディングパターンを備え、前記5バイトパディングパターンの各最後の3バイトがゼロのMUX−PDUペイロードサイズを示すMUX−PDUヘッダに対するものである一方で、前記5バイトパディングパターンの各最初の2バイトはレベル2フラグに対するものである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
集合体多重化プロトコルデータユニット(MUX−PDU)を生成および処理する装置であって、
少なくとも1つの有効なMUX−PDUを発生させる手段と、
複数のヌルMUX−PDUを発生させる手段と、
複数のパディングバイトを発生させる手段と、
前記少なくとも1つの有効なMUX−PDU、前記複数のヌルMUX−PDU、および前記複数のパディングバイトを単一の物理層(PHY)パケットに挿入することによって、前記集合体MUX−PDUを発生させる手段と、
前記PHYパケットから前記集合体MUX−PDUを受け取る手段と、
前記PHYパケットの前記有効なMUX−PDUからヘッダを抽出する手段と、
前記有効なMUX−PDUの前記ヘッダに基づいて前記有効なMUX−PDUのサイズを確認する手段と、
前記PHYパケット上で相補的な処理を実行し、前記PHYパケットから前記有効なMUX-PDUを復元する手段と、
を備える装置。
【請求項12】
適合層に前記有効なMUX−PDUを送る手段と、
前記集合体MUX−PDUに存在する各ヌルMUX−PDUに対するヘッダを抽出する手段と、
をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各ヌルMUX−PDUを、そのヘッダに基づいて、認識する手段と、
各ヌルMUX−PDUを廃棄する手段と、
をさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記集合体MUX−PDU内の各パディングバイトを読み取る手段と、
各パディングバイトが有効なMUX−PDUでないことを検出する手段と、
各パディングバイトを廃棄する手段と、
をさらに備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
各ヌルMUX−PDUは、前記単一の物理層(PHY)パケットのサイズよりも小さい5バイトパディングパターンを備え、前記5バイトパディングパターンの各最後の3バイトがゼロのMUX−PDUペイロードサイズを示すMUX−PDUヘッダに対するものである一方で、前記5バイトパディングパターンの各最初の2バイトはレベル2フラグに対するものである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
ワイヤレスデバイスのプロセッサに動作を実行させるように構成されたプロセッサ実行可能な命令を記憶したプロセッサ読取可能媒体であって、前記動作は
少なくとも1つの有効なMUX−PDUを発生させることと、
複数のヌルMUX−PDUを発生させることと、
複数のパディングバイトを発生させることと、
前記少なくとも1つの有効なMUX−PDU、前記複数のヌルMUX−PDU、および前記複数のパディングバイトを単一の物理層(PHY)パケットに挿入することによって、集合体MUX−PDUを発生させることと、
前記PHYパケットから前記集合体MUX−PDUを受け取ることと、
前記PHYパケットの前記有効なMUX−PDUからヘッダを抽出することと、
前記有効なMUX−PDUの前記ヘッダに基づいて前記有効なMUX−PDUのサイズを確認することと、
前記PHYパケット上で相補的な処理を実行し、前記PHYパケットから前記有効なMUX-PDUを復元することと、
を備える、プロセッサ読取可能媒体。
【請求項17】
適合層に前記有効なMUX−PDUを送ることと、
前記集合体MUX−PDUに存在する各ヌルMUX−PDUに対するヘッダを抽出することと、
をさらに備える、請求項16に記載のプロセッサ読取可能媒体。
【請求項18】
各ヌルMUX−PDUを、そのヘッダに基づいて、認識することと、
各ヌルMUX−PDUを廃棄することと、
をさらに備える、請求項17に記載のプロセッサ読取可能媒体。
【請求項19】
前記集合体MUX−PDU内の各パディングバイトを読み取ることと、
各パディングバイトが有効なMUX−PDUでないことを検出することと、
各パディングバイトを廃棄することと、
をさらに備える、請求項18に記載のプロセッサ読取可能媒体。
【請求項20】
各ヌルMUX−PDUは、前記単一の物理層(PHY)パケットのサイズよりも小さい5バイトパディングパターンを備え、前記5バイトパディングパターンの各最後の3バイトがゼロのMUX−PDUペイロードサイズを示すMUX−PDUヘッダに対するものである一方で、前記5バイトパディングパターンの各最初の2バイトはレベル2フラグに対するものである、請求項19に記載のプロセッサ読取可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、通信に関し、さらに詳細に述べると、ワイヤレス通信システムにおいて多重化プロトコルデータユニット(MUX−PDU)送受信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
音声、ビデオ、パケットデータ等のようなさまざまな通信サービスを提供するワイヤレス通信システムは、広く採用されている。これらのシステムは、利用可能なシステムリソース(例えば、システム帯域幅および/または送信電力)を共有することによって、複数のユーザに通信を提供できる多元接続システムであってもよい。このような多元接続システムの例は、コード分割多元接続(CDMA)システム、時間分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、および直交周波数分割多元接続(OFDMA)システムを含む。
【0003】
テレビ電話またはテレビ電話方式は、多くのワイヤレス通信システム向けに急速に成長しているアプリケーションである。テレビ電話アプリケーションは、例えば、ITU−T勧告H.223(すなわち簡単に言うと、「H.223」)を用いて、音声およびビデオを同時に送信する。このITU−T勧告H.223は、「低ビットレートのマルチメディア通信用多重化プロトコル」と題されている。H.223は、ビデオ、オーディオ、データおよび制御を別々のメディアストリームとして受け取るプロトコルであり、これらのストリームのすべてに対してMUX−PDUを発生させる。そして、MUX−PDUは、物理層(PHY)におけるパケットであるPHYパケットにマッピングされる、すなわち、PHYパケット内にカプセル化される。さらに、PHYパケットは、ワイヤレスチャネルを通して処理されて、受信機に送信される。
【0004】
一般的に、ワイヤレスチャネルにおけるノイズおよび障害のために、受信機は、何割かのPHYパケットをエラーで受け取る。エラーで受け取られたPHYパケットは、消去されたPHYパケットとしてみなされることが多い。一般的に、消去されたPHYパケットで伝送されたすべてのMUX−PDUも失われる。消去されたPHYパケットは、ワイヤレスシステムでは避けられないので、消去されたPHYパケットが原因で、失われるMUX−PDUの数を減らす技術が技術的に必要である。
【発明の概要】
【0005】
ワイヤレス通信システムにおけるPHYパケット中でMUX−PDUを効率的に送る技術をここで記述する。PHYパケットは、通話セットアップ中に構成または選択される固定サイズであってもよい。すべてまたはかなりの割合のMUX−PDUがPHYパケットサイズに適合するように、MUX−PDUはPHYパケットサイズに基づいて発生される。例えば、ビデオエンコーダは、ビデオ信号をエンコードし、コード化されたビデオスライスを発生させ、各ビデオスライスは、1つのMUX−PDUで送られてもよい。オーディオエンコーダは、オーディオ信号をエンコードして、コード化されたオーディオパケットを発生させ、1つ以上のオーディオパケットは、1つのMUX−PDUで送られてもよい。PHYパケットサイズに適合する各MUX−PDUは、1つのPHYパケットで送られる。
【0006】
送信機では、MUX−PDUは、PHYパケットサイズに基づいて、複数のメディアストリーム(例えば、ビデオ、オーディオ、データおよび/または制御ストリーム)に対して発生される。MUX−PDUは、可変サイズであり、(1)PHYパケットサイズより小さい各MUX−PDUは1つのPHYパケットで送られるように、(2)PHYパケットサイズより大きい各MUX−PDUは最小数のPHYパケットで送られるように、PHYパケットにマッピングされる。必要ならば、PHYパケットサイズを獲得するために、1つ以上のヌルMUX−PDUおよび/または1つ以上のパディングバイトで各MUX−PDUをパディングする。パディングは、MUX−PDUヘッダまたは有効なデータと間違えられないように選択される。各PHYパケットは1つの送信時間間隔(TTI)中で受信機に送られてもよい。
【0007】
受信機は、MUX−PDUを復元させるように、受信されたPHYパケット上で相補的な処理を実行する。受信機は、各有効なMUX−PDUを転送して、遭遇したいずれのパディングを廃棄する。さらに、受信機は、復元されたMUX−PDUにおけるビデオ、オーディオ、データおよび制御をこれらの各メディアストリーム上に多重分離化する。
【0008】
本発明のさまざまな観点および実施形態を以下でさらに詳細に説明する。
【0009】
本発明の特徴および本質は、同じ参照文字が全体を通して対応するものを識別している図面とともに以下に述べられている詳細な説明からさらに明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、テレビ電話通話用の送信機における処理および多重化を示している。
【
図2】
図2は、MUX−PDUの構成を示している。
【
図3】
図3は、PHYパケットに対するMUX−PDUの整列されていないマッピングを示している。
【
図4】
図4は、PHYパケットに対するMUX−PDUの整列されているマッピングを示している。
【
図5】
図5は、5バイトパディングパターンを示している。
【
図6】
図6は、1つ以上のより小さいMUX−PDUを有する集合体MUX−PDUを発生させてパディングするプロセスを示している。
【
図7】
図7は、1つのMUX−PDU、複数のヌルMUX−PDU、および複数のパディングバイトを含むPHYパケットを示している。
【
図8】
図8は、送信機および受信機のブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「例として、事例として、あるいは実例として機能すること」を意味するために、「例示的な」という言葉をここで使用する。「例示的な」ものとして、ここで記述したいずれの実施形態または設計は、他の実施形態または設計と比較して、必ずしも好ましいものとして、または効果的なものとして解釈されるものではない。
【0012】
図1は、ITU−T勧告H.324M(すなわち、簡単に言うと、「H.324M」)を用いるテレビ電話通話用の送信機における処理および多重化のブロック図を示している。H.324Mは、ITU−T勧告H.324の改良されたバージョンであり、「低ビットレートのマルチメディア通信用端末」と題されている。H.324Mは低ビットレート回線交換システム上でのマルチメディア通信の国際標準規格であり、また、H.324Mはデータ伝送/多重化プロトコルとしてH.223を利用している。
【0013】
アプリケーション層110では、テレビ電話通話は、別々のビデオ、オーディオ、データ、および制御信号として処理され、これらは、異なる論理チャネル上で送信される。データは、テキストまたは他の何らかのコンテンツのためのものであってもよい。各論理チャネルは、一意的な論理チャネル番号(LCN)によって識別される。LCN0は、制御チャネルのために使用される。テレビ電話通話に使用する論理チャネルの番号と、各論理チャネルによって伝送されるコンテンツは、通話セットアップ中に規定される。
【0014】
ビデオエンコーダ122が、ビデオ入力/出力(I/O)112からのビデオ信号を処理し、コード化されたビデオストリームを提供する。オーディオエンコーダ124は、オーディオI/O114からのオーディオ信号を処理し、コード化されたオーディオストリームを提供する。アプリケーション116からのデータ信号は、データストリームを発生させるために、データプロトコルによって処理される(ブロック126)。アプリケーション116からの制御信号は、「マルチメディア通信用制御プロトコル」と題されるITU−T勧告H.245(すなわち簡単に言うと、「H.245」)にしたがって処理され(ブロック128)、制御ストリームを発生させるために簡易再送信プロトコル(SRP)にしたがってさらに処理される(ブロック130)。
【0015】
H.223は、適合層140および多重化層150を含む。適合層140は、ビデオストリーム、オーディオストリーム、データストリーム、および制御ストリームを別々に受け取って処理する。エラー検出および/またはエラー訂正、シーケンスナンバリング、および再送信に該当する場合、適合層140は、各メディアストリームに情報を加える。適合層140は、各メディアストリームに対して適合層サービスデータユニット(AL−SDU)を発生させる。ビデオストリームに対する各AL−SDUは、1つのフレーム、1つのスライス、またはビデオの他の何らかのユニットに対して、コード化されたビデオを伝送してもよい。ビデオスライスは、ビデオフレームのいくつかの数の行と、いくつかの数の列とに対応している。より多くのバンドルドオーディオパケットは遅延を増加させることから、一般的に、オーディオストリームに対する各AL−SDUは、3つまでのオーディオパケットを伝送する。
【0016】
多重化層150は、すべてのメディアストリームに対するAL−SDUを受け取り、可変長を有するMUX−PDUを発生させる。各MUX−PDUは、1つ以上のメディアストリームに対する1つ以上のAL−SDUからのデータを伝送してもよい。例えば、単一のMUX−PDUが、ビデオ、オーディオおよび制御を組み合わせたものを伝送してもよい。多重化層150は、多重化テーブルにしたがって多重化を実行する。多重化テーブルは、16個までの異なるMUX−PDUフォーマットに対して16個までのエントリを含んでいる。各MUX−PDUフォーマットは、1つのMUX−PDUにおいて、各メディアストリームに対して伝送されるバイト数を(もしあれば)示す。各MUX−PDUは、多重化テーブルで示されるフォーマットのうちの1つのフォーマット中にある。多重化テーブルは、通話セットアップ中に規定され、通話中に更新されてもよい。
【0017】
物理層160は、MUX−PDUを受け取り、PHYパケット(すなわち簡単に言うと、「パケット」)を発生させる。物理層160による処理は、システム設計によって異なり、一般的に、エンコーディング、インターリービング、シンボルマッピング等を含む。PHYパケットは、ワイヤレスチャネルによって受信機に送信される。
【0018】
H.223では、送信機が、ビデオ、オーディオ、データおよびH.245制御をMUX−PDUに多重化し、これらのMUX−PDUを受信機に送る。受信機は、MUX−PDUを受け取り、これらのMUX−PDUで送られたビデオ、オーディオ、データ、および制御をこれらの別々のメディアストリーム上に多重分離化する。MUX−PDUは、テレビ電話アプリケーションに知られている最低レベルデータユニットである。一般的に、テレビ電話アプリケーションは、MUX−PDUが物理層によってどのように送信されるかの知識を持たない。
【0019】
図2は、H.223のレベル2プロトコルにしたがったMUX−PDUの構成を示している。MUX−PDUの前には、2バイトレベル2フラグが先行している。2バイトレベル2フラグは、H.223によって与えられた2つの2バイト値のうちの1つに設定されてもよい。レベル2フラグは、各MUX−PDUを区切る、すなわち境界を付ける。そして、レベル2フラグは、新しいMUX−PDUを検出するために受信機によって使用される。
【0020】
レベル2では、MUX−PDUは、可変サイズペイロードが続く3バイトヘッダを含む。MUX−PDUヘッダは、4ビット多重化コード(MC)フィールド、8ビット多重化ペイロード長(MPL)フィールド、および12ビットパリティビットフィールドを含む。MCフィールドは、多重化テーブルで規定されたMUX−PDUフォーマットのうちの1つであるMUX−PDUのフォーマットを示す。MPLフィールドは、MUX−PDUペイロードのサイズを示す。パリティビットフィールド12は、MCフィールドおよびMPLフィールドに対して発生された12パリティビットを伝送する。MUX−PDUペイロード゛は0から254バイトに及び、MUX−PDUペイロード゛はMPLフィールドによって示される可変サイズを有する。
【0021】
H.223は、回線交換アプリケーションに対するメディアストリームの多重化をカバーする。一般的に、このようなアプリケーションは、通話に対する専用接続および固定データレートを提供する物理層に依存している。一般的に、メディアストリームは、時間に対して幅広く変化するかもしれないデータレートを有する。ここで記述した多重化技術は、効率的に、MUX−PDUをPHYパケット上に多重化する。
【0022】
ここで記述した多重化技術は、回線交換アプリケーションをサポートするさまざまなワイヤレス通信システムに使用されてもよい。このような1つのシステムは、広帯域CDMA(W−CDMA(登録商標))システムであり、「第3世代パートナーシッププロジェクト」(3GPP)と名付けられているコンソーシアムによる文書に記述されている。W−CDMAにおいて、より高い層データは、例えば、専用トラフィックチャネル(DTCH)および専用制御チャネル(DCCH)のような1つ以上の伝送チャネルで送られてもよい。各伝送チャネルは、通話セットアップ中に選択される1つ以上の伝送フォーマットに関係していてもよい。各伝送フォーマットは、(1)伝送チャネルに対する送信時間間隔(TTI)、(2)データの各伝送ブロックのサイズ、(3)各TTI中で送信されるべき伝送ブロックの数、(4)各コードブロックの長さ、(5)TTIに使用するコーディングスキーム等のような、さまざまな処理パラメータを指定する。1つのTTIのみが各伝送チャネルに使用され、選択されたTTIが1フレーム、2フレーム、4フレーム、または8フレームに及んでもよい。各フレームは、10ミリ秒(ms)時間間隔であり、この時間間隔はシステムフレーム番号(SFN)によって識別される。
【0023】
テレビ電話通話に一般的に使用される伝送フォーマットは、64キロバイト/秒(kbps)のデータレート、20msまたは40msのうちのいずれかのTTI、およびTTIあたり1つの伝送ブロックといったパラメータを有する。各TTIに対する伝送ブロックは、PHYパケットとしてみなされてもよい。各PHYパケットは、20msのTTIに対して160バイトを伝送し、40msTTIに対して320バイトを伝送する。単一の伝送フォーマットが、テレビ電話通話に使用されてもよく、PHYパケットサイズは、通話の間に固定される。
【0024】
図3は、PHYパケットに対するMUX−PDUの整列されていないマッピングを示している。この整列されていないマッピングスキームでは、各MUX−PDUは、必要なだけ多くのPHYパケットで送信され、また、各MUX−PDUは、送られるべき次のPHYパケット中の利用可能な最初のバイトで始まる。MUX−PDUサイズが0から254バイトに及ぶ場合で、かつPHYパケットサイズが160バイトで固定されている場合、各MUX−PDUは、1つまたは2つのPHYパケットで送信される。さらに、所定のPHYパケットは複数のMUX−PDUを伝送してもよい。例えば、PHYパケット4はMUX−PDU2の末尾部分およびMUX−PDU3の開始部分を伝送する。
【0025】
受信機は、PHYパケットを受け取ると、それぞれ受け取ったPHYパケットを別々にデコードする。正常にデコードされた各PHYパケットは、処理および再組立てのために多重化層まで送られる。エラーでデコードされた(すなわち、消去された)各PHYパケットは、廃棄される。ワイヤレスチャネルにおけるノイズおよび障害のために、エラーレートまたは消去されたPHYパケットの割合は、相対的に高いかもしれない。各消去されたパケットに対して、その消去されたパケットによって伝送されたMUX−PDUのすべてが廃棄されるかもしれない。例えば、PHYパケット4がエラーでデコードされた場合、MUX−PDU3のヘッダはPHYパケット4で失われるので、MUX−PDU3全体が廃棄されてもよく、また、MUX−PDU2の末尾部分がなくなるのでMUX−PDU2全体が廃棄されてもよい。多重化層で失われるデータの量は、物理層によって失われるデータの量より多い。その理由は、2つの層に対してMUX−PDUとPHYパケットとが整列されていないからである。
【0026】
図4は、PHYパケットに対するMUX−PDUの整列されているマッピングを示している。この整列されたマッピングスキームについては、すべての時間またはほとんどの時間、各MUX−PDUが1つのPHYパケットで送られるように、MUX−PDUが発生されて、マッピングされる。このマッピングスキームによって、受信機における多重化層は、正常にデコードされた各PHYパケットを十分に使用することができる。また、1つのみのPHYパケットがエラーでデコードされたときに、1つより多いPHYパケット分のデータが多重化層で失われる事態の発生を、このスキームは最小にする。PHYパケット中の最初のバイトで始まるように各MUX−PDUは送られてもよく、PHYパケットの境界はMUX−PDU境界で整列される。ある例では、大きいMUX−PDUを1つのPHYパケットに適合させることは不可能であるかもしれない。このような例では、大きいMUX−PDUは、最小数のPHYパケットで送信されてもよい。
【0027】
MUX−PDUフォーマットおよびサイズは、PHYパケットサイズに基づいて選択される。ビデオエンコーダは、選択されたMUX−PDUサイズに基づいて設計されてもよい。例えば、ビデオエンコーダは、ビデオのフレームまたはビデオのスライスをエンコードすることができる。ビデオデコーダは各ビデオスライスを別個にデコードすることができるので、各MUX−PDUは、1つ以上の完全なビデオスライスを伝送することができる。これは、(1)1つのビデオスライスを適合層に一回で送るようにビデオエンコーダを設計することと、(2)1つ以上の完全なビデオスライスを各MUX−PDUに適合させようと試みる適合層および多重化層を設計することとによって、実現されてもよい。また、1つのPHYパケットで送ることができるコード化されたオーディオパケットを発生させるように、オーディオエンコーダは、選択されたMUX−PDUサイズに基づいて設計されてもよい。多重化層は、PHYパケットサイズに基づいて設計またはカスタマイズされてもよい。
【0028】
大抵のケースでは、MUX−PDUは、PHYパケットサイズより小さいであろう。これらのケースでは、PHYパケットは、単一のMUX−PDU、複数のMUX−PDU、パディングまたはスタッフィングをともなっている単一のMUX−PDU、またはパディングをともなっている複数のMUX−PDUを伝送してもよい。多重化層は、「集合体」MUX−PDUを発生させるように設計されていてもよい。各集合体MUX−PDUは、PHYパケットサイズと同じサイズである。各集合体MUX−PDUは、1つ以上のMUX−PDUおよび(必要ならば)パディングを伝送し、1つのPHYパケットで送信される。
【0029】
図5は、5バイトパディングパターン500を示しており、5バイトパディングパターン500は、PHYパケットサイズより小さいMUX−PDUをパディングするために使用されてもよい。パディングパターン500は5バイトを含む。パディングパターン500の最初の2バイトは、レベル2フラグに対するものである。パディングパターン500最後の3バイトは、ゼロのMUX−PDUペイロードサイズを示すMUX−PDUヘッダ(例えば、0x00、0x00および0x00のMUX−PDUヘッダ、ここで「0x」は16進値が後続することを示す)に対するものである。パディングパターン500は、「ヌル」ヘッダのみを持ち、ペイロードを持たない(すなわち、0の長さのペイロードである)「ヌル」MUX−PDUを表す。PHYパケットが完全にまたは大部分埋め込まれるまで、パディングパターン500は必要な回数だけ反復されてもよい。他の5バイトパディングパターンも、パディング(例えば、レベル2フラグに対して他の可能性ある2バイトの値で形成されるパディングパターン)に使用されてもよい。
【0030】
パディングパターン500は、5バイトの固定長を有する。パディングされるべきエリアのサイズが5バイトの倍数ではない場合、パディングパターン500は、エリアのオーバーフィル(オーバーシュート)またはアンダーフィル(アンダーシュート)のいずれかになるだろう。パディングパターン500によるエリアのオーバーフィル/アンダーフィルを防ぐために、1バイトパディングパターンが、5バイトより小さいスペースをパディングするために使用されてもよい。(パディングバイトとも呼ばれる)この1バイトパディングパターンは、0xFFまたは他の何らかのバイト値であってもよい。一般的に、パディングは、5バイトパディングパターン、1バイトパディングパターン、他の何らかのパディングパターン、あるいはこれらの任意のものを組み合わせたものを使用して実現されてもよい。一般的に、受信機がパディングパターンを有効なMUX−PDUヘッダまたは実データとして解釈しない限り、パディングするためにあらゆるパディングパターンが使用される。
【0031】
図6は、PHYパケットサイズより小さい1つ以上のMUX−PDUを有する集合体MUX−PDUを発生させるプロセス600のフロー図を示している。プロセス600は、送信機における多重化層によって実行されてもよい。集合体MUX−PDUは、1つのPHYパケットで送信される。
【0032】
最初に、集合体MUX−PDU(すなわち言い換えると、PHYパケット)はMUX−PDUで埋められる(ブロック610)。そして、そのPHYパケット中で別のMUX−PDU(例えば、次のMUX−PDU)を送ることができるか否かの決定が行われる(ブロック612)。応答が「はい」の場合、そのPHYパケットはこのMUX−PDUで埋められて(ブロック614)、プロセスはブロック612に戻る。ブロック612および614は、できるだけ多くのMUX−PDUをPHYパケット中に適合させる。
【0033】
ブロック612に対する応答が「いいえ」である場合、MUX−PDUにおける残りのスペース中でヌルMUX−PDU(例えば、パディングバイトパターン500)を送ることができるか否かの決定が行われる(ブロック616)。ブロック616に対する応答が「はい」である場合、ヌルMUX−PDUがPHYパケット中に付加され(ブロック618)、プロセスはブロック616に戻る。ブロック616および618は、PHYパケット中の残りのスペースをできるだけ多くのヌルMUX−PDUでパディングする。
【0034】
ブロック616に対する応答が「いいえ」である場合、PHYパケット中に何らかのスペースが残されているか否かの決定が行われる(ブロック620)。ブロック620に対する応答が「はい」である場合、PHYパケットは1バイト埋め込みパターンでパディングされ、プロセスはブロック620に戻る。そうではなく、ブロック620に対する応答が「いいえ」である場合、プロセスは終了する。ブロック620および622では、PHYパケット中の残りのスペースを必要なだけ多くのパディングバイトでパディングする。
【0035】
図7は、1つの有効なMUX−PDU、複数のヌルMUX−PDU、および複数のパディングバイトを含む集合体MUX−PDU700の例を示している。受信機における多重化層(すなわち言い換えると、受信機多重化層)は物理層から集合体MUX−PDUを受け取り、最初のMUX−PDUのヘッダを抽出し、このヘッダに基づいてこのMUX−PDUサイズを確認し、MUX−PDUを復元させて、適合層までMUX−PDUを送る。また、受信機多重化層は、集合体MUX−PDUで送られた各ヌルMUX−PDUに対するヘッダを抽出し、このヘッダに基づいて各ヌルMUX−PDUを認識し、各ヌルMUX−PDUを廃棄する。受信機多重化層は、最初のパディングバイトに遭遇し、このバイトが有効なMUX−PDUに対するものではないことを検出し、このバイトをエラーとしてみなして、このバイトを廃棄する。それに続く各バイトについては、受信機多重化層は、有効なMUX−PDUヘッダのサーチを続け、遭遇したすべてのパディングバイトを廃棄する。パディングバイトの使用は、受信機多重化層における動作に影響しない。
【0036】
図6および
図7は、最初のMUX−PDUがPHYパケットサイズより小さいケースを示している。MUX−PDUがPHYパケットサイズより大きい場合、MUX−PDUは、最小の数(n)のPHYパケットで送られ、上記の
図6において記述したように、n番目のPHYパケットがパディングされる。
【0037】
図8は、ここで記述した多重化技術を実現できる送信機810および受信機850の実施形態のブロック図を示している。送信機810および受信機850は、それぞれ、セルラ電話機、ハンドセット、加入者ユニット、移動局、ユーザ端末、ワイヤレスデバイス、モデム、または他の何らかの装置の一部分であってもよい。
【0038】
送信機810では、ビデオエンコーダ822が、ビデオ信号を受け取り、エンコードし、コード化されたビデオストリームを送信(TX)データプロセッサ826に提供する。オーディオエンコーダ824は、オーディオ信号を受け取り、エンコードし、コード化されたオーディオストリームをTXデータプロセッサ826に提供する。エンコーダ822および824は、H.324M、あるいは他の何らかの標準規格または設計にしたがってエンコーディングを実行してもよい。TXデータプロセッサ826は、それぞれ、エンコーダ822および824からのコード化されたビデオおよびオーディオストリームと、制御装置840からのデータおよび制御ストリームとを受け取る。TXデータプロセッサ826は、H.223の適合層および多重化層を実現し、受け取ったメディアストリームを処理し、PHYパケットサイズに基づいてMUX−PDUを発生させる。TX PHYプロセッサ828は、物理層に対する処理を実行し、システムにより指定されるように、MUX−PDUを処理(例えば、エンコード、インターリーブ、および変調)して、PHYパケットを発生させる。送信機ユニット(TMTR)830は、PHYパケットを調整(例えば、アナログへの変換、フィルタリング、増幅、および周波数アップコンバート)して、変調された信号を発生させる。そして、変調された信号は、アンテナ832によって送信される。
【0039】
受信機850では、アンテナ852が、送信機810によって送信された変調信号を受け取り、受け取った信号を受信機ユニット(RCVR)854に提供する。受信機ユニット854が、受け取った信号を調整(例えば、フィルタリング、増幅、および周波数ダウンコンバート)し、調整した信号をデジタル化し、データサンプルを提供する。受信機(RX)PHYプロセッサ856は、データサンプルを処理(例えば、復調、デインターリーブ、およびデコード)し、デコードされたPHYパケットをRXデータプロセッサ858に提供する。また、RX PHYプロセッサ856は、エラーでデコードされた各PHYパケットの表示を提供する。RXデータプロセッサ858は、受信機におけるH.223の適合層および多重化層を実現し、デコードされたPHYパケットを処理する。RXデータプロセッサ858は、各デコードされたPHYパケット中の有効なMUX−PDUを抽出し、(適用できるならば)エラー検出および/または訂正を実行し、ヌルMUX−PDUおよびパディングバイトを廃棄して、ビデオ、オーディオ、データ、および制御を個々のメディアストリーム上に多重分離化する。RXデータプロセッサ858は、復元されたビデオストリームをビデオデコーダ860に提供し、復元されたオーディオストリームをオーディオデコーダ862に提供し、復元されたデータおよび制御ストリームを制御装置870に提供する。
【0040】
ビデオデコーダ860は、復元されたビデオストリームを処理して、デコードされたビデオ信号を提供する。オーディオデコーダ862は、復元されたオーディオストリームを処理して、デコードされたオーディオ信号を提供する。制御装置870は、復元されたデータおよび制御ストリームを処理して、デコードされたデータを提供し、デコードされたビデオ、オーディオおよびデータを適切に提示するために制御信号を発生させる。一般的に、RX PHYプロセッサ856、RXデータプロセッサ858、ビデオデコーダ860、オーディオデコーダ862、および制御装置870による処理は、それぞれ、送信機810におけるTX PHYプロセッサ828、データプロセッサ826、ビデオエンコーダ822、オーディオエンコーダ824、および制御装置840によって実行される処理に対して相補的である。
【0041】
また、制御装置840および870は、それぞれ、送信機810および受信機850におけるさまざまな処理ユニットの動作を制御する。メモリユニット842および872は、それぞれ、制御装置840および870によって使用されるデータおよびプログラムコードを記憶する。
【0042】
ここで記述された多重化技術は、さまざまな手段によって実現されてもよい。例えば、これらの技術は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらを組み合わせたもので実現されてもよい。ハードウェアインプリメンテーションについては、送信機において多重化を実行するために使用される処理ユニットは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、制御装置、マイクロ制御装置、マイクロプロセッサ、ここで記述した機能を実行するように設計されている他の電子ユニット、あるいはこれらを組み合わせたもの内で実現されてもよい。また、受信機ユニットにおいて相補的な多重分離化を実行するために使用される処理ユニットは、1つ以上のASIC、DSP、制御装置等内で実現されてもよい。
【0043】
ソフトウェアインプリメンテーションについては、多重化技術は、ここで記述した機能を実行するモジュール(例えば、手順、機能等)で実現されてもよい。ソフトウェアコードは、メモリユニット(例えば、
図8中のメモリユニット842または872)で記憶され、プロセッサ(例えば、制御装置840または870)によって実行されてもよい。メモリユニットは、プロセッサ内部またはプロセッサの外部で実現されてもよい。
【0044】
開示された実施形態の前の記述は、当業者が本発明を作り、または使用できるように提供されている。これらの実施形態に対するさまざま改良は、当業者に容易に明らかとなり、ここに規定された一般的な原理は、本発明の精神または範囲を逸脱することなく、他の実施形態に適用されてもよい。したがって、本発明はここに示された実施形態に限定されることを意図しているものではなく、ここで開示されている原理および新しい特徴と一致した最も広い範囲に一致させるべきである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
ワイヤレス通信システム中の装置において、
複数のメディアストリームに対して複数の多重化プロトコルデータユニット(MUX−PDU)を発生させるように動作する第1のプロセッサと、
物理層(PHY)パケットサイズより小さい各MUX−PDUが1つのPHYパケットで送られるように、複数のMUX−PDUを複数のPHYパケットにマッピングするように動作する第2のプロセッサとを具備し、
MUX−PDUは、予め定められたPHYパケットサイズに基づいて選択された可変サイズを有する装置。
[C2]
第1のプロセッサは、すべてまたはかなりの割合の複数のMUX−PDUがPHYパケットサイズに適合するように、複数のメディアストリームのそれぞれを処理するように動作するC1記載の装置。
[C3]
第2のプロセッサは、PHYパケットサイズより大きい各MUX−PDUが最小数のPHYパケットで送られるように複数のMUX−PDUを複数のPHYパケットにマッピングするように動作するC1記載の装置。
[C4]
第1のプロセッサは、PHYパケットサイズを獲得するために、必要ならば、各MUX−PDUを1つ以上のヌルMUX−PDUでパディングするように動作するC1記載の装置。
[C5]
第1のプロセッサは、PHYパケットサイズを獲得するために、必要ならば、各MUX−PDUを1以上のパディングバイトでパディングするように動作するC1記載の装置。
[C6]
1以上のパディングバイトは、パディングバイトがMUX−PDUヘッダまたは有効なデータと間違えられることがあり得ないように選択されるC5記載の装置。
[C7]
第1のプロセッサは、ビデオ信号をエンコードし、コード化されたビデオスライスを発生させて、各コード化されたビデオスライスを1つのMUX−PDU上に多重化するように動作するC1記載の装置。
[C8]
第1のプロセッサは、オーディオ信号をエンコードし、コード化されたオーディオパケットを発生させて、各オーディオパケットを1つのMUX−PDU上に多重化するように動作するC1記載の装置。
[C9]
複数のメディアストリームは、テレビ電話通話のためのものであるC1記載の装置。
[C10]
第1のプロセッサは、ITU−T勧告H.223にしたがって複数のMUX−PDUを発生させるように動作するC1記載の装置。
[C11]
ワイヤレス通信システムは、広帯域CDMA(W−CDMA)通信システムであるC1記載の装置。
[C12]
1つの送信時間間隔(TTI)中で複数のPHYパケットのそれぞれを送信するように動作する送信機ユニットをさらに具備するC1記載の装置。
[C13]
ワイヤレス通信システム中で複数のメディアストリームを送る方法において、
複数のメディアストリームに対して複数の多重化プロトコルデータユニット(MUX−PDU)を発生させることと、
物理層(PHY)パケットサイズより小さい各MUX−PDUが1つのPHYパケットで送られるように、複数のMUX−PDUを複数のPHYパケットにマッピングすることとを含み、
MUX−PDUは、予め定められたPHYパケットサイズに基づいて選択された可変サイズを有する方法。
[C14]
複数のMUX−PDUを発生させることは、すべてまたはかなりの割合の複数のMUX−PDUがPHYパケットサイズに適合するように、複数のメディアストリームのそれぞれを処理することを含むC13記載の方法。
[C15]
複数のMUX−PDUを複数のPHYパケットにマッピングすることは、さらに、PHYパケットサイズより大きい各MUX−PDUが最小数のPHYパケットで送られるようにするC13記載の方法。
[C16]
複数のMUX−PDUを発生させることは、PHYパケットサイズを獲得するために、必要ならば、各MUX−PDUを1つ以上のヌルMUX−PDUでパディングすることを含むC13記載の方法。
[C17]
複数のMUX−PDUを発生させることは、PHYパケットサイズを獲得するために、必要ならば、各MUX−PDUを1以上のパディングバイトでパディングすることを含むC13記載の方法。
[C18]
ワイヤレス通信システム中の装置において、
複数のメディアストリームに対して複数の多重化プロトコルデータユニット(MUX−PDU)を発生させる手段と、
物理層(PHY)パケットサイズより小さい各MUX−PDUが1つのPHYパケットで送られるように、複数のMUX−PDUを複数のPHYパケットにマッピングする手段とを具備し、
MUX−PDUは、予め定められたPHYパケットサイズに基づいて選択された可変サイズを有する装置。
[C19]
複数のMUX−PDUを発生させる手段は、すべてまたはかなりの割合の複数のMUX−PDUがPHYパケットサイズに適合するように、複数のメディアストリームのそれぞれを処理する手段を備えるC18記載の装置。
[C20]
複数のMUX−PDUを複数のPHYパケットにマッピングする手段は、さらに、PHYパケットサイズより大きい各MUX−PDUが最小数のPHYパケットで送られるようにするC18記載の装置。
[C21]
複数のMUX−PDUを発生させる手段は、
PHYパケットサイズを獲得するために、必要ならば、各MUX−PDUを1つ以上のヌルMUX−PDUでパディングする手段と、
PHYパケットサイズを獲得するために、必要ならば、各MUX−PDUを1以上のパディングバイトでパディングする手段とを備えるC18記載の装置。
[C22]
命令を記憶するためのプロセッサ読取り可能な媒体において、
前記命令は、
複数のメディアストリームに対して複数の多重化プロトコルデータユニット(MUX−PDU)を発生させ、
物理層(PHY)パケットサイズより小さい各MUX−PDUが1つの集合体MUX−PDUで送られるように、複数のMUX−PDUを有する集合体MUX−PDUを複数形成させるようにワイヤレスデバイス中で動作可能であり、
MUX−PDUは予め定められたPHYパケットサイズに基づいて選択された可変サイズを有し、
各集合体MUX−PDUはPHYパケットサイズを有し、1つのPHYパケットで送られるプロセッサ読取り可能な媒体。
[C23]
ワイヤレス通信システム中で複数のメディアストリームを受け取る方法において、
複数の多重化プロトコルデータユニット(MUX−PDU)を伝送する、予め定められたサイズの複数の物理層(PHY)パケットを受け取ることと、
PHYパケットで送られた1つ以上のMUX−PDUを復元させるように各PHYパケットを処理することと、
複数のPHYパケットから獲得された複数のMUX−PDUを複数のメディアストリームに多重分離化することとを含み、
各PHYパケットは1つ以上のMUX−PDUを伝送し、予め定められたサイズより小さい各MUX−PDUは1つのPHYパケットで送られる方法。
[C24]
各PHYパケットを処理することは、
PHYパケットで遭遇した各ヘッダを調べ、有効なMUX−PDUがPHYパケットで送られているか否かを決定することと、
PHYパケットで見つけられた各有効なMUX−PDUを転送することとを含むC23記載の方法。
[C25]
各PHYパケットを処理することは、
有効なMUX−PDUに対するものでない各ヘッダに対して、
ヘッダがヌルMUX−PDUに対するものであるか否かを決定することと、
いずれのヌルMUX−PDUも廃棄することとをさらに含むC24記載の方法。
[C26]
各PHYパケットを処理することは、PHYパケットで遭遇したいずれのパディングバイトも廃棄することをさらに含むC24記載の方法。
[C27]
ワイヤレス通信システム中の装置において、
データサンプルを処理し、複数の多重化プロトコルデータユニット(MUX−PDU)を伝送する、予め定められたサイズの複数の物理層(PHY)パケットを提供するように動作する第1のプロセッサと、
PHYパケットで送られた1つ以上のMUX−PDUを復元させるように各PHYパケットを処理し、複数のPHYパケットから獲得された複数のMUX−PDUを複数のメディアストリームに多重分離化するように動作する第2のプロセッサとを具備し、
各PHYパケットは1つ以上のMUX−PDUを伝送し、予め定められたサイズより小さい各MUX−PDUは1つのPHYパケットで送られる装置。
[C28]
第2のプロセッサは、各PHYパケットで遭遇した各ヘッダを調べ、有効なMUX−PDUがPHYパケットで送られているか否かを決定し、PHYパケットで見つけられた各有効なMUX−PDUを転送するように動作するC27記載の装置。
[C29]
第2のプロセッサは、有効でないMUX−PDUに対するいずれのヘッダと、PHYパケットで遭遇した各パディングバイトとを廃棄するように動作するC27記載の装置。
[C30]
ワイヤレス通信システム中の装置において、
複数の多重化プロトコルデータユニット(MUX−PDU)を伝送する、予め定められたサイズの複数の物理層(PHY)パケットを受け取る手段と、
PHYパケットで送られた、1つ以上のMUX−PDUを復元させるように各PHYパケットを処理する手段と、
複数のPHYパケットから獲得された複数のMUX−PDUを複数のメディアストリームに多重分離化する手段とを具備し、
各PHYパケットは1つ以上のMUX−PDUを伝送し、予め定められたサイズより小さい各MUX−PDUは1つのPHYパケットで送られる装置。