特許第5925804号(P5925804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925804
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】ロータを監視する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 3/26 20060101AFI20160516BHJP
   G01P 3/481 20060101ALI20160516BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20160516BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   G01P3/26
   G01P3/481 A
   F02C7/00 A
   F01D25/00 V
   F01D25/00 W
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-547896(P2013-547896)
(86)(22)【出願日】2012年1月3日
(65)【公表番号】特表2014-507641(P2014-507641A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】FR2012050004
(87)【国際公開番号】WO2012093231
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年9月17日
(31)【優先権主張番号】1150117
(32)【優先日】2011年1月7日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501107994
【氏名又は名称】ターボメカ
【氏名又は名称原語表記】TURBOMECA
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロワイエ,エリツク
(72)【発明者】
【氏名】バロン,アントワン・イバン・アレクサンドル
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−240788(JP,A)
【文献】 特開平06−108993(JP,A)
【文献】 特開2006−161723(JP,A)
【文献】 特開平07−055136(JP,A)
【文献】 特開2008−064696(JP,A)
【文献】 実開平02−057064(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 3/26
G01P 3/481
F01D 25/00
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンロータ(31)を監視するための監視装置(19)であって、前記監視装置(19)は、
音響センサ(25)と、
前記タービンロータ(31)の近傍の検知点に前記音響センサ(25)を接続するための音導波路(24)と、を含み、
音響センサ(25)は、前記検知点の近傍を通過する際のロータ(31)のブレード(20)の吸引および加圧側(20b、20a)の圧力差による圧力変動を音波として検出することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記音響センサ(25)に接続された計算ユニット(27)をさらに含む、請求項1に記載の監視装置(19)。
【請求項3】
前記計算ユニット(27)が、前記音波の周波数に基づいてロータ(31)の回転速度を計算するように構成されており、前記回転速度は、前記周波数に正比例し、前記ロータ(31)のブレード(20)の数に反比例する、請求項2に記載の監視装置(19)。
【請求項4】
前記音導波路(24)が前記検知点の反対側の末端に無響終端(26)を有し、音響センサ(25)は検知点と無響終端(26)との間に位置付けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の監視装置(19)。
【請求項5】
動作中に加圧側(20a)と吸引側(20b)との間の圧力差を有するブレード(20)を備えるロータ(31)と、前記ロータ(31)を監視するために、請求項1から4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの監視装置(19)とを含む、タービン段(13b)。
【請求項6】
軸流タービン段(13b)であること、および検知点がロータ(31)の周りの内壁のオリフィス(23)であることを特徴とする、請求項5に記載のタービン段(13b)。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の少なくとも1つのタービン段(13b)を含む、タービンエンジン(10)。
【請求項8】
前記タービン段(13b)がタービンエンジン(10)の高温部にあり、音響センサ(25)は低温領域に位置付けられる、請求項7に記載のタービンエンジン(10)。
【請求項9】
検知点の近傍を通過するロータ(31)のブレード(20)の吸引および加圧側(20b、20a)の圧力差による圧力変動が、音波として拾い上げられるために音導波路(24)によって音響センサ(25)に伝送される、タービン(13b)のロータ(31)を監視する方法。
【請求項10】
ロータ(31)の回転速度が、音波の周波数をロータ(31)のブレード(20)の数で割ることで、前記音響センサ(25)に接続された計算ユニット(27)によって計算される、請求項9に記載の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンロータを監視する装置、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンエンジンの認証では、回転アセンブリのために高レベルの統合性が実証される必要があるが、ここで「回転アセンブリ」という用語は、タービンおよび圧縮機のロータ、ならびに接続および伝動軸など、エンジンの動作中に回転させられて運動エネルギーを有する、すべての部品を指定する。より正確には、特に航空分野において、認証規制は通常、機械的故障が危険な影響を招く可能性がないことを、要件とする。このため、回転アセンブリ、より具体的にはタービンロータに関する、特に回転速度を含む一連のパラメータを監視できることが重要である。このため、停止しなければ速度超過を生じる可能性のある故障の場合には、エンジンはただちに停止しなければならない。
【0003】
とはいえ、タービンの環境、具体的には約1500℃にもなり得るその温度のため、その回転のパラメータを直接監視すること、具体的にはその速度を監視することは、非常に困難である。このため、通常、タービンロータの速度は、可変磁気抵抗センサ、およびタービンロータに固定された軸によって駆動されるフォニックホイールによって、タービンから離れた低温域において間接的に測定される。この従来型解決法の欠点は、タービンロータとフォニックホイールとの間の機械的接続を提供する軸が破損した場合に、ロータを間接的に監視するためのこの装置がロータの実速度よりも低い速度を表示する可能性があり、エンジンがこの誤った速度測定に基づいて規制される場合に、これによりエンジンの速度超過が始まり、非常に重大な結果となる可能性があることである。
【0004】
タービンエンジンの認証規制はますます安全になる傾向があり、たとえわずかであってもフォニックホイールを駆動する軸が破損する危険性は、もはや許容できない。
【0005】
したがって、具体的にはタービンロータの速度を直接的に測定できるようにする、代替解決法が検討されてきた。この目的のため、容量センサおよび光学センサの両方がすでに提案されている。
【0006】
容量センサは、コンデンサを形成するセンサの2つの電極の間の結合の静電容量を変更することによって、アイテムがセンサの検出域に入ってきたときに、アイテム、具体的にはタービンブレードなどの金属アイテムを検出できるようにする、近接センサである。とはいえ、このようなタービンのコアで見られる温度で動作可能な容量センサは存在するものの、このようなセンサによって伝送される信号のエネルギーは、数ピコファラッド程度で非常に低く、これは確実な測定を困難にする。
【0007】
光学センサは、光ビーム、具体的にはレーザービームを遮断または反射することによってタービンブレードなどのアイテムが検出されることを可能にするセンサである。とはいえ、光学センサは一般的に、高温タービンの厳しい環境で使用するにはあまりにも壊れやすい。
【0008】
あるいは、導波路によってロータのブレードの近傍の検知点に接続されたマイクロ波トランシーバを含むセンサを使用することが、米国特許第5,479,826号明細書において提案されている。本記述の文脈において、「導波路」という用語は、少なくとも1つの所定方向に波の伝播を案内するのに役立つ構造を意味するために使用される。このため、このようなマイクロ波導波路は、マイクロ波の伝播をトランシーバから検知点へ案内し、そして検知点の近傍を通過しているブレード上で反射された後にトランシーバに戻るように案内するのに、役立つ。このため、このセンサは、導波路のインピーダンスを変更するやり方で、ブレードの通過を検出することができる。とはいえ、この装置は比較的複雑なままであり、これに伴う費用および信頼性に関する欠点が残っている。
【0009】
タービンロータを監視するさらに別の装置は、米国特許出願公開第2010/0011868号明細書に開示されている。この先行技術による監視装置は、音響センサ、および前記タービンロータの近傍の検知点に前記音響センサを接続するための第一音導波路を有する。本開示の文脈において、「音波」という用語は、その周波数範囲とは無関係である、その弾性の結果として液体または固体媒質を通って伝播するいかなる種類の機械的縦波も意味するために使用される。したがって「音導波路」という用語は、このような機械的縦波の伝播を案内するようになっている構造を意味するために使用される。通常、このような音導波路は、音波伝播のために所望の方向に長尺である、中空ダクトの形態である。動作中、音響センサは、第一導波路と平行な第二音導波路を通じてやはりタービンロータの近傍に位置付けられる放出点に向かって音響エミッタによって送信された音響信号の振幅の変調によって、ロータブレードの通過を検出する。放出点と検知点との間のブレードの通過は放出点と検知点との間の音響信号の伝送を遮断するので、音響センサはこうしてロータが回転しているときに、ブレードの通過によって振幅変調された信号を受信する。
【0010】
この先行技術による装置は、比較的単純であって低温域に位置付けられるセンサを備えるタービンロータの速度による直接測定を可能にするものの、これは2つの音導波路および音波のエミッタを必要とする。加えて、音波の振幅変調によるブレードの通過の検出は、比較的限られた数のブレードを有するロータにしか適用できない。変調の周波数は、ロータの回転速度とブレードの数の積に等しい。回転速度が毎分20,000回転(rpm)から40,000rpm程度であれば、10枚のブレードを備えるロータは3.3キロヘルツ(kHz)から6.7kHz程度の周波数で音響信号の振幅を変調することになる。振幅変調信号を担持する波は変調の周波数よりも著しく高い周波数を有していなければならないので、このタイプの装置は、通常50から100枚のブレードを有してもよい、航空分野で一般的に使用されるような軸流タービンなど、ロータが多数のブレードを有するタービンに適用されるときに、高周波数(たとえば80kHz超)を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5479826号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0011868号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示では、音響センサおよびタービンロータの近傍の検知点に前記音響センサを接続するための音導波路も有する前記タービンロータを監視する装置を提案することを目的とするが、これは特に単純かつ信頼性が高いままで、多数のブレードを有するタービンロータを監視することを可能にし、また比較的安価でもある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、少なくとも1つの実施形態における監視装置の音響センサが、前記検知点の近傍を通過する際のロータのブレードの吸引および加圧側の圧力差に対応する圧力変動を音波として検出するのに適しているということによって、達成される。
【0014】
ロータ自体が、ブレードの数およびロータの回転速度に正比例する周波数で信号を送達する音響エミッタとして動作するので、この感度を有する音響センサを用いると、ブレードの通過を検出するために搬送波信号を発する必要は全くなくなる。このため、60枚のブレードを有して20,000rpmから40,000rpmの範囲の速度で回転するロータは、20kHzから40kHzの周波数範囲内のままの音響信号を発することになる。
【0015】
有利なことに、装置は前記音響センサに接続された計算ユニットを含んでもよい。このため計算ユニットは、ロータの動作に関する一連のパラメータを計算するために、音導波路によって伝送されて音響センサによって拾われる、ロータによって発せられた音響信号を分析することができる。具体的には、計算ユニットは、前記音波の周波数に基づいてロータの回転速度を計算するように構成されてもよく、前記回転速度は前記周波数に正比例し、前記ロータのブレードの数に反比例する。とはいえ、計算ユニットは代わりにまたは付加的に、ロータの動作に関する別のパラメータを計算するように構成されてもよい。
【0016】
このため、計算ユニットはまた、前記音波の振幅に基づいて検知点からのロータの距離を推定するように構成されてもよく、こうして、たとえば、ロータを包囲するリングに対して検知点が位置付けられるロータの間隙を決定できるようにし、もしリングの周りの異なる角度位置に検知点を有する複数の監視装置がある場合には、摩耗または楕円化など、可能性のあるリングの劣化を検出することも可能である。計算ユニットはまた、音響センサによって拾い上げられた音波が、先行する複数の音波の平均値、所定の基準値、所定の基準値範囲、および/または同じタイプの装置によって異なる位置で拾い上げられた音波とは大きく異なる振幅を有する場合に、ブレードの劣化を示すように構成されてもよく、こうして損傷、さもなければ劣化した1つ以上のブレードを示す。
【0017】
有利なことに、前記音導波路は前記検知点の反対側の末端に無響終端を有し、音響センサは検知点と無響終端との間に位置付けられている。この無響終端はたとえば、渦巻き、らせん、らせん階段、またはピグテールの形態であってもよく、その断面もまた多様であってもよい。したがって、特定の周波数の音波のための導波路に定常波が生じるのを回避することができる。とはいえ、具体的にはロータの動作範囲に対応する周波数範囲が導波路のいずれの共振周波数も含まない場合には、導波路の終端としての音響センサの配置を単に想定することも可能である。
【0018】
本開示はまた、動作中に加圧側と吸引側との間の圧力差を有するブレードを備えるロータと、前記ロータを監視するために、音響センサ、および前記タービンロータの近傍の検知点に前記音響センサを接続するための音導波路を含む少なくとも1つの監視装置とを含むタービン段にも関し、前記音響センサは、前記検知点の近傍を通過する際のロータのブレードの吸引および加圧側の圧力差に対応する圧力変動を音波として検出するのに適している。
【0019】
有利なことに、検知点はロータの周りの内壁にあるオリフィスである。具体的には、これはブレードプロファイルの中央部に対向して位置付けてもよく、検知点の前を通過するブレードの加圧および吸引側の圧力差による圧力変動が最も顕著な場所である。これらの変動がよく定義されることを保証するために、前記オリフィスは、ブレードプロファイルの厚みよりも小さい直径を有してもよい。
【0020】
本開示はまた、このようなタービン段を含むタービンエンジン、ならびにタービンのロータを監視する方法にも関し、検知点の近傍を通過するロータのブレードの吸引および加圧側の圧力差による圧力変動は、音波として拾い上げられるために、音導波路によって音響センサに伝送される。
【0021】
非限定例によって提示される実施形態の以下の詳細な説明を読むことで、本発明がよく理解され、その利点がより明らかとなるだろう。説明は、以下の添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態における監視装置を含むターボシャフトエンジンの模式図である。
図2】吸引側と加圧側との間の圧力差も示す、タービンブレードプロファイルの図である。
図3】一実施形態における監視装置を備えるタービン段の長手方向断面図である。
図3A】監視装置の検知点を示す、線A−Aに沿った図3のタービン段のブレードの断面である。
図4】代替実施形態の詳細を示す図である。
図5図3の監視装置の近傍を通過するブレードによって生じる圧力変動を示す図である。
図6図3に示される装置などの複数の監視装置が、タービンリングの周りに分布しているときにリングの楕円化をどのようにして検出できるかを示す図である。
図7図3の監視装置によって拾い上げられた音波がどのようにしてロータブレードの劣化を検出できるかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
タービンエンジン10、より具体的には回転翼航空機のターボシャフトエンジンが、図1に模式的に示されている。エンジン10は、圧縮機11、燃焼室12、ならびに2つの互いに分離したタービン13aおよび13bを含み、圧縮機11およびタービン13aは共通の軸14aによって互いに結合されている。動作中、圧縮機11によって空気が吸入および圧縮され、燃料が燃焼室12に注入され、そこで燃焼する。タービン13aおよび13bを通る燃焼ガスの膨張は、タービン13aおよび軸14aのロータを通じて圧縮機11を作動させるのみならず、タービン13bのロータを通じて、軸14bならびに軸14b、回転翼、および航空機の二次部材(図示せず)に結合された変速機15も作動させる。
【0024】
タービン10の動作を制御するために、燃焼室12に燃料を供給するためのシステム17が制御ユニット18に接続され、そしてこれはロータの速度を示す信号を受信するためにタービン13bのロータを監視する装置19に接続されている。こうして、ロータの速度を安全にするために、制御ユニット18は、最大承認速度または最大承認加速度をロータが超えた場合に、燃料の流れを遮断する。したがって安全上の理由のため、制御ユニットによって受信される速度信号が信頼できると保証することは、非常に重要である。具体的には、速度を過小評価する監視装置19は、エンジン10の速度超過を招く可能性がある。監視装置19による速度測定が、フォニックホイール32によって従来行われていた速度測定と相関するのは、このためである。
【0025】
タービン13bは、ロータが軸14bの周りで半径方向に配向された複数のブレード20を有する軸流タービンである。各ブレード20は、加圧側20a、吸引側20b、および厚みDを備える、図2に示されるような翼プロファイルを有する。プロファイルを通過して流れる燃焼ガスのストリームは、同図の曲線21によって表されるように圧力差Δpを生じるが、ここで圧力差は燃焼ガスの流れ方向における距離xの関数として描画されている。このように、この圧力差Δpは特に、ブレード20のプロファイルの中央部分Cにわたって際立っていることがわかる。
【0026】
図3は、タービン13bの段の長手方向断面の描写である。このタービン段は、ロータ31の軸14bの周りで半径方向に配向された複数のブレード20を有する。タービンリング22は、タービン13bのブレードの遠位末端20cを、これらに接触することなく包囲する。図3に示される実施形態において、タービンリング22のオリフィス23は、タービン13bの閉鎖環境中に存在する温度に耐えるのに適していないので、タービンリング22を通過する音導波路24を通じて低温域に位置付けられる音響センサ25に接続された検知点を形成する。この音導波路24は、検知点の第一末端と反対側の末端との間の長尺中空ダクトの形態である。検知点の反対側の末端において、音導波路24は、渦巻き状の無響終端26を有する。らせん、らせん階段、またはピグテールの形態の終端など、無響終端のその他の代替形状も考えられる。これらはまた、様々な断面であってもよい。図4に詳細に示される変形例において、導波路24に定常波を発生させる共振を生じる可能性のある監視対象周波数範囲の共振の危険性がなければ、無響終端の代わりに導波路24を終端させるために音響センサ25が配置されてもよい。オリフィス23、導波路24、およびセンサ25は、ともに監視装置19を形成する。図3Aよりわかるように、オリフィス23は、吸引側20bと加圧側20aとの間の最大圧力差Δpがある、ブレード20のプロファイルの中央部Cに対向して位置付けられている。オリフィス23は好ましくは、吸引側20bと加圧側20aの両方を同時に重複することを回避するように、この部分でのブレード20のプロファイルの厚みDよりも小さい直径dを有する。
【0027】
音響センサ25は、制御ユニット18あるいは監視装置19に組み込まれてもよい、計算ユニット27に接続されている。タービン13が動作しているとき、連続的に検知点を通過するブレードは検知点における圧力変動を生じるが、この変動はブレードが通過する際の周波数の音波として伝送され、この波は音導波路24に沿って音響センサ25まで伝わる。センサ25は、これらの音波を検知して、これらを電気信号の形態で計算ユニット27まで伝送するように構成されている。検知点における圧力変動、そして結果的に音響センサ25によって拾い上げられる音波および結果的な電気信号も、図5に一例として示されるような形状を有する。この曲線は、ロータ31の回転速度が、音響センサ25によって送信された信号のこの周波数fをロータ31のブレードの数で割ることで計算ユニットによって推定され得るように、ブレードが通過する際の周波数に対応する周波数fでの、それぞれブレード20の加圧側20aおよび吸引側20bに対応する、最大値28および最小値29の連続を含む。
【0028】
ロータ31の速度に加えて、タービン13のその他の動作パラメータも、この信号から推測され得る。たとえば、検知点における圧力変動の振幅は、ブレード20の先端と吸引点との間の距離の増加とともに減少するので、この距離、または少なくともこれが経時的に変化するさまもまた、音響センサ25によって伝送される信号の波の振幅Aに基づいて、計算ユニット27によって推測され得る。このため、特にブレード20とタービンリング22との間の間隙を測定すること、ひいてはタービンリング22またはブレード20のいかなる劣化も検出することが、可能である。具体的には、ロータ31の周りでタービンリング22内に配置された複数の監視装置19を用いて、図6に示されるようなやり方でタービンリング22の楕円化を検出することが、可能である。監視装置19の各々は、異なる振幅A、A’、A”の信号30を生成する。信号30の振幅が大きいほどロータとリング22との間の間隙が小さいことを示し、振幅が小さいほど間隙が大きいことを示すので、この信号の振幅における差は、ロータ31とリング22との間の間隙がリング22の外周の周りで変化すること、したがってリングは(非常に誇張して)図示されるように楕円化を有していることを、示している。このため計算ユニット27は、監視装置19によって送信された信号に基づいて、このような楕円化を示すように構成されてもよい。
【0029】
監視装置19はまた、ブレード20の劣化を個別にまたはまとめて検出するのにも役立つだろう。本記述の文脈において、「劣化」という用語は、延伸、または実際の摩耗などの、およびブレード20の全体的または部分的破損を含む、その性能を変更する可能性のある、ブレード20のいずれかの変化を意味するために使用される。たとえば、速度超過の具体的な状況において、ブレード20の加熱および遠心力は、その遠位末端20cがタービンリング22および監視装置19の検知点により近づくように、ブレード20を伸長させる可能性がある。したがって、このような長尺化したブレード20が通過する際の検知点における圧力変動の振幅は、正常基準値を上回る。対照的に、個々のブレード20の全体的または部分的破損の場合には、ブレードの吸引側20bと加圧側20aとの圧力差はより小さくなり、これは図7に示されるように、先行する信号の振幅Aよりも著しく小さい振幅A”’の波によって、信号30に現れる。
【0030】
このため計算ユニット27はまた、1つ以上の監視装置19によって送信される信号に基づいて、このような楕円化および/または劣化を示すように構成されてもよい。
【0031】
タービン13aの速度を監視する技術は、特に高温に曝されたタービン13aのブレードの延伸を監視するために、上述の内容と同じやり方でタービン13bに置き換えられてもよい。
【0032】
同様に、ブレードプロファイルの加圧および吸引側の圧力差に基づく測定技術はまた、軸流、ラジアル、遠心のいずれかにかかわらず、圧縮機において測定するためにも使用され得る。
【0033】
本発明は特定の実施形態を参照して記載されてきたが、請求項によって定義される本発明の主な範囲を逸脱することなく、様々な修正および変更がこれらの実施形態に加えられてもよいことは、明らかである。結果的に、本記述および図面は、限定的というよりむしろ説明的であると解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7