【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図3は、従来技術による電線被覆剥離工具の一例を示す斜視図である。本願の
図3は、特許文献1の
図10に相当している。又、
図4は、従来技術によるバインド打ち器の一例を示す図であり、
図4(A)は、バインド打ち器の左側面図、
図4(B)は、バインド打ち器の正面図である。
【0007】
図3を参照すると、電線被覆剥離工具(以下、剥離工具と略称する)7は、電線Wの被覆を剥離できる切断刃7cを本体7bに備えている。又、剥離工具7は、アイハンドル71とアイボルト72を本体7bに備えている。アイハンドル71とアイボルト72は、それらの軸中心が直交するように配置されている。
【0008】
図3を参照すると、アイハンドル71は、送りねじ部71sと蝶形の把持部71cを有している。送りねじ部71sは、本体7bとねじ結合している。把持部71cを回転することで、電線Wをその外周方向から押圧する可動ダイスを移動できる。
【0009】
図3を参照すると、把持部71cは、後述するバインド打ち器8に設けたフック部8aが係合可能な係合穴71hを中央部に開口している。係合穴71hにフック部8aを係止し、把持部71cを軸回りに一方の方向に回転することで、固定ダイスに向かって可動ダイスを進出できる。そして、固定ダイスと可動ダイスが相対的に近づくことで、切断刃7cを電線Wの被覆に食い込ませることができる。次に、剥離工具7を電線Wの回りに360度旋回することで、電線Wの被覆を剥離できる。
【0010】
図3を参照すると、アイボルト72は、円柱状の絶縁シャフト72sと円環状の操作リング72rを備えている。絶縁シャフト72sは、その基端部を本体7bに固定している。又、絶縁シャフト72sは、その先端部に操作リング72rを取り付けている。
【0011】
図3又は
図4を参照すると、バインド打ち器8は、長尺の絶縁操作棒80の先端部に着脱自在に取り付けられている。
図3に示したバインド打ち器8は、ツイストロックと呼ばれる接続金具(図示せず)を基端部に備えている。絶縁操作棒80は、用途の異なる先端工具を交換自在な、いわゆる共用操作棒であって、ツイストロック形のバインド打ち器8を先端部に取り付けている。
【0012】
一方、
図4に示したバインド打ち器8は、円板状の菊座部8bを基端部に備えている。絶縁操作棒80の先端部に設けたツイストロック形の接続金具(図示せず)に雄ねじ部を設け、菊座部8bの中央部に雄ねじ部を挿通すると共に、蝶ナット(図示せず)を雄ねじ部に締結することで、絶縁操作棒80が延びる方向に対して、任意の角度でバインド打ち器8を固定できる(
図3参照)。
【0013】
図3又は
図4を参照すると、バインド打ち器8は、棒状の軸部8sとフック部8aを備えている。フック部8aは、軸部8sから連続して、C字状に屈曲している。又、バインド打ち器8は、円柱状のピン部8pを備えている。ピン部8pは、フック部8aの開口8kと反対側に、軸部8sから突出している。なお、バインド打ち器の名称は、高圧配電線を碍子に支持するバインド線を操作できることに由来している。
【0014】
次に、
図3又は
図4を参照して、電線被覆の剥離方法を説明する。最初に、間接活線工事用の把持工具6を用いて、電線Wを下方から支持する。次に、係合穴71hにフック部8aを係止し、把持部71cを軸回りに一方の方向に回転することで、切断刃7cを電線Wの被覆に食い込ませることができる。
【0015】
次に、
図3を参照して、ピン部8pを操作リング72rに挿入し、剥離工具7が電線Wの回りに時計方向(図中、矢印A参照)に旋回する力に抗して、剥離工具7が電線Wの回りに反時計方向(図中、矢印B参照)に360度旋回することで、電線Wの被覆を剥離できる。そして、例えば、電線Wの被覆を端末から引き抜くことで、電線Wの芯線を露出できる。
【0016】
なお、
図3を参照すると、剥離工具7は、電線Wを把持した状態で、アイボルト72が下方に垂れ下がるように、重心を構成している。これにより、剥離工具7を電線Wの回りに反時計方向に旋回したときに、重心の位置が変わることから、剥離工具7は電線Wの回りに時計方向に旋回する力が発生する。
【0017】
しかしながら、従来技術による電線被覆の剥離方法は、剥離工具7を電線Wの回りに反時計方向に略90度以上旋回させようとすると、フック部8aが絶縁シャフト72sに妨げられて、それ以上の旋回が困難であるという問題があった。
【0018】
このような不具合を解消するため、
図3を参照して、フック部8aを操作リング72rに挿入し、剥離工具7を電線Wの回りに反時計方向に略180度以上旋回し、剥離工具7がその重量バランスから反時計方向に旋回するようになった時点で、反対側からフック部8aを操作リング72rに係止し、更に、剥離工具7を電線Wの回りに反時計方向に略180度旋回することで、電線Wの被覆を剥離していた。
【0019】
しかし、
図3又は
図4を参照すると、前述した電線被覆の剥離方法であっても、軸部8sが延びる方向に対して、フック部8aの先端部側が略直交する方向に大きく飛び出しているので、フック部8aの先端部側が剥離工具7、又は他の絶縁操作棒に妨げられないように、絶縁操作棒80を操作することが困難であった。
【0020】
以上のことから、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具などの係止対象物を確実に操作可能とした間接活線工事用先端工具が求められていた。
【0021】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具などの係止対象物を確実に操作可能とした間接活線工事用先端工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者は、C字状に屈曲されたフック部の先端部に棒状のフック片を回動可能に連結すると共に、フック片が開く方向に力を付勢するように、板ばねを内側に配置し、フック片の先端部とフック部の軸部側との開口をワイヤー部材で張設することで、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具などの係止対象物を確実に操作できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな間接活線工事用先端工具を発明するに至った。
【0023】
(1)本発明による間接活線工事用先端工具は、長尺の絶縁操作棒の先端部に着脱自在に固定され、係止対象物を係止可能な間接活線工事用先端工具であって、前記絶縁操作棒の先端部に着脱自在に固定される接続部を基端部に設けた棒状の軸部、及び前記軸部が延びる方向に対して迂回するように、C字状に屈曲されたフック部を有する先端工具本体と、基端部を前記フック部の先端部と回動可能に連結し、前記軸部の先端部に向かって移動又は前記軸部の先端部から遠ざかるように、先端部が開閉自在な棒状のフック片と、固定端部を前記フック部の先端部側に固定し、自由端部が前記フック片を開く方向に力を付勢するように配置された板ばねと、一端部を前記フック片の先端部に繋留し、他端部を前記フック部の前記軸部側に繋留し、前記フック部と前記フック片で囲われた開口を横断する屈曲自在なワイヤー部材と、を備え、前記開口から係止対象物を導入すると、前記ワイヤー部材を屈曲させて、前記フック片の先端部を前記軸部の先端部に向かって閉じる方向に移動できる。
【0024】
(2)前記係止対象物は、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具を電線の回りに一方の方向に旋回させるアイボルトの先端部に設けた操作リングであることが好ましい。
【0025】
(3)前記接続部は、前記絶縁操作棒が延びる方向に対して、前記軸部を任意の角度で固定できる円板状の菊座部を備えてもよい。
(4)前記接続部は、用途の異なる先端工具を交換自在な共用操作棒に接続可能なツイストロック形の一対の鉤穴を有してもよい。