特許第5925838号(P5925838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925838
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】間接活線工事用先端工具
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20160516BHJP
   B26B 27/00 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   H02G1/02
   B26B27/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-104378(P2014-104378)
(22)【出願日】2014年5月20日
(65)【公開番号】特開2015-220916(P2015-220916A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2015年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】森山 裕之
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−22182(JP,A)
【文献】 特開2008−245340(JP,A)
【文献】 特開2013−158065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
B26B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の絶縁操作棒の先端部に着脱自在に固定され、係止対象物を係止可能な間接活線工事用先端工具であって、
前記絶縁操作棒の先端部に着脱自在に固定される接続部を基端部に設けた棒状の軸部、及び前記軸部が延びる方向に対して迂回するように、C字状に屈曲されたフック部を有する先端工具本体と、
基端部を前記フック部の先端部と回動可能に連結し、前記軸部の先端部に向かって移動又は前記軸部の先端部から遠ざかるように、先端部が開閉自在な棒状のフック片と、
固定端部を前記フック部の先端部側に固定し、自由端部が前記フック片を開く方向に力を付勢するように配置された板ばねと、
一端部を前記フック片の先端部に繋留し、他端部を前記フック部の前記軸部側に繋留し、前記フック部と前記フック片で囲われた開口を横断する屈曲自在なワイヤー部材と、を備え、
前記開口から係止対象物を導入すると、前記ワイヤー部材を屈曲させて、前記フック片の先端部を前記軸部の先端部に向かって閉じる方向に移動できる、間接活線工事用先端工具。
【請求項2】
前記係止対象物は、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具を電線の回りに一方の方向に旋回させるアイボルトの先端部に設けた操作リングである、請求項1記載の間接活線工事用先端工具。
【請求項3】
前記接続部は、前記絶縁操作棒が延びる方向に対して、前記軸部を任意の角度で固定できる円板状の菊座部を備える請求項1又は2記載の間接活線工事用先端工具。
【請求項4】
前記接続部は、用途の異なる先端工具を交換自在な共用操作棒に接続可能なツイストロック形の一対の鉤穴を有する請求項1又は2記載の間接活線工事用先端工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接活線工事用先端工具に関する。特に、絶縁操作棒などを用いて、無停電状態の高圧配電線を間接的に活線作業できる間接活線工事用工具であって、高圧配電線を碍子に支持するバインド線を操作するためのフック形状のバインド打ち器を改良して、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具などを確実に操作可能とした間接活線工事用先端工具の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧配電線を無停電で配電工事を行う活線作業には、直接活線工法と間接活線工法の二通りがある。直接活線工法は、作業者が高圧ゴム手袋などの保護具を着用して、通電中の高圧配電線に直接触れて配電工事を行う。一方、間接活線工法は、作業者が絶縁操作棒(ホットスティック)などを用いて、通電中の高圧配電線に直接触れることなく配電工事を行うことができる。
【0003】
一般に、絶縁操作棒は、長尺の操作棒とこの操作棒の先端部に取り付けた配電作業用工具(以下、先端工具という)で構成している。そして、絶縁操作棒は、高圧配電線を把持、又は切断するなど、作業目的に対応して、先端工具を交換できるように構成している。
【0004】
このような先端工具として、高所に配置された高圧配電線の被覆を剥離可能な、間接活線工事用の電線被覆剥離工具、及びこの電線被覆剥離工具を操作するための間接活線工事用のフック形状のバインド打ち器(先端工具)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−182820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図3は、従来技術による電線被覆剥離工具の一例を示す斜視図である。本願の図3は、特許文献1の図10に相当している。又、図4は、従来技術によるバインド打ち器の一例を示す図であり、図4(A)は、バインド打ち器の左側面図、図4(B)は、バインド打ち器の正面図である。
【0007】
図3を参照すると、電線被覆剥離工具(以下、剥離工具と略称する)7は、電線Wの被覆を剥離できる切断刃7cを本体7bに備えている。又、剥離工具7は、アイハンドル71とアイボルト72を本体7bに備えている。アイハンドル71とアイボルト72は、それらの軸中心が直交するように配置されている。
【0008】
図3を参照すると、アイハンドル71は、送りねじ部71sと蝶形の把持部71cを有している。送りねじ部71sは、本体7bとねじ結合している。把持部71cを回転することで、電線Wをその外周方向から押圧する可動ダイスを移動できる。
【0009】
図3を参照すると、把持部71cは、後述するバインド打ち器8に設けたフック部8aが係合可能な係合穴71hを中央部に開口している。係合穴71hにフック部8aを係止し、把持部71cを軸回りに一方の方向に回転することで、固定ダイスに向かって可動ダイスを進出できる。そして、固定ダイスと可動ダイスが相対的に近づくことで、切断刃7cを電線Wの被覆に食い込ませることができる。次に、剥離工具7を電線Wの回りに360度旋回することで、電線Wの被覆を剥離できる。
【0010】
図3を参照すると、アイボルト72は、円柱状の絶縁シャフト72sと円環状の操作リング72rを備えている。絶縁シャフト72sは、その基端部を本体7bに固定している。又、絶縁シャフト72sは、その先端部に操作リング72rを取り付けている。
【0011】
図3又は図4を参照すると、バインド打ち器8は、長尺の絶縁操作棒80の先端部に着脱自在に取り付けられている。図3に示したバインド打ち器8は、ツイストロックと呼ばれる接続金具(図示せず)を基端部に備えている。絶縁操作棒80は、用途の異なる先端工具を交換自在な、いわゆる共用操作棒であって、ツイストロック形のバインド打ち器8を先端部に取り付けている。
【0012】
一方、図4に示したバインド打ち器8は、円板状の菊座部8bを基端部に備えている。絶縁操作棒80の先端部に設けたツイストロック形の接続金具(図示せず)に雄ねじ部を設け、菊座部8bの中央部に雄ねじ部を挿通すると共に、蝶ナット(図示せず)を雄ねじ部に締結することで、絶縁操作棒80が延びる方向に対して、任意の角度でバインド打ち器8を固定できる(図3参照)。
【0013】
図3又は図4を参照すると、バインド打ち器8は、棒状の軸部8sとフック部8aを備えている。フック部8aは、軸部8sから連続して、C字状に屈曲している。又、バインド打ち器8は、円柱状のピン部8pを備えている。ピン部8pは、フック部8aの開口8kと反対側に、軸部8sから突出している。なお、バインド打ち器の名称は、高圧配電線を碍子に支持するバインド線を操作できることに由来している。
【0014】
次に、図3又は図4を参照して、電線被覆の剥離方法を説明する。最初に、間接活線工事用の把持工具6を用いて、電線Wを下方から支持する。次に、係合穴71hにフック部8aを係止し、把持部71cを軸回りに一方の方向に回転することで、切断刃7cを電線Wの被覆に食い込ませることができる。
【0015】
次に、図3を参照して、ピン部8pを操作リング72rに挿入し、剥離工具7が電線Wの回りに時計方向(図中、矢印A参照)に旋回する力に抗して、剥離工具7が電線Wの回りに反時計方向(図中、矢印B参照)に360度旋回することで、電線Wの被覆を剥離できる。そして、例えば、電線Wの被覆を端末から引き抜くことで、電線Wの芯線を露出できる。
【0016】
なお、図3を参照すると、剥離工具7は、電線Wを把持した状態で、アイボルト72が下方に垂れ下がるように、重心を構成している。これにより、剥離工具7を電線Wの回りに反時計方向に旋回したときに、重心の位置が変わることから、剥離工具7は電線Wの回りに時計方向に旋回する力が発生する。
【0017】
しかしながら、従来技術による電線被覆の剥離方法は、剥離工具7を電線Wの回りに反時計方向に略90度以上旋回させようとすると、フック部8aが絶縁シャフト72sに妨げられて、それ以上の旋回が困難であるという問題があった。
【0018】
このような不具合を解消するため、図3を参照して、フック部8aを操作リング72rに挿入し、剥離工具7を電線Wの回りに反時計方向に略180度以上旋回し、剥離工具7がその重量バランスから反時計方向に旋回するようになった時点で、反対側からフック部8aを操作リング72rに係止し、更に、剥離工具7を電線Wの回りに反時計方向に略180度旋回することで、電線Wの被覆を剥離していた。
【0019】
しかし、図3又は図4を参照すると、前述した電線被覆の剥離方法であっても、軸部8sが延びる方向に対して、フック部8aの先端部側が略直交する方向に大きく飛び出しているので、フック部8aの先端部側が剥離工具7、又は他の絶縁操作棒に妨げられないように、絶縁操作棒80を操作することが困難であった。
【0020】
以上のことから、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具などの係止対象物を確実に操作可能とした間接活線工事用先端工具が求められていた。
【0021】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具などの係止対象物を確実に操作可能とした間接活線工事用先端工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者は、C字状に屈曲されたフック部の先端部に棒状のフック片を回動可能に連結すると共に、フック片が開く方向に力を付勢するように、板ばねを内側に配置し、フック片の先端部とフック部の軸部側との開口をワイヤー部材で張設することで、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具などの係止対象物を確実に操作できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな間接活線工事用先端工具を発明するに至った。
【0023】
(1)本発明による間接活線工事用先端工具は、長尺の絶縁操作棒の先端部に着脱自在に固定され、係止対象物を係止可能な間接活線工事用先端工具であって、前記絶縁操作棒の先端部に着脱自在に固定される接続部を基端部に設けた棒状の軸部、及び前記軸部が延びる方向に対して迂回するように、C字状に屈曲されたフック部を有する先端工具本体と、基端部を前記フック部の先端部と回動可能に連結し、前記軸部の先端部に向かって移動又は前記軸部の先端部から遠ざかるように、先端部が開閉自在な棒状のフック片と、固定端部を前記フック部の先端部側に固定し、自由端部が前記フック片を開く方向に力を付勢するように配置された板ばねと、一端部を前記フック片の先端部に繋留し、他端部を前記フック部の前記軸部側に繋留し、前記フック部と前記フック片で囲われた開口を横断する屈曲自在なワイヤー部材と、を備え、前記開口から係止対象物を導入すると、前記ワイヤー部材を屈曲させて、前記フック片の先端部を前記軸部の先端部に向かって閉じる方向に移動できる。
【0024】
(2)前記係止対象物は、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具を電線の回りに一方の方向に旋回させるアイボルトの先端部に設けた操作リングであることが好ましい。
【0025】
(3)前記接続部は、前記絶縁操作棒が延びる方向に対して、前記軸部を任意の角度で固定できる円板状の菊座部を備えてもよい。
(4)前記接続部は、用途の異なる先端工具を交換自在な共用操作棒に接続可能なツイストロック形の一対の鉤穴を有してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明による間接活線工事用先端工具は、フック部とフック片で囲われた開口から電線被覆剥離工具に設けた操作リングを導入すると、ワイヤー部材を屈曲させて、フック片2の先端部を閉じる方向に移動できる。これにより、本発明による間接活線工事用先端工具は、開口を閉じて、操作リングが外れ難くなると共に、絶縁操作棒を容易に操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を示す斜視図であり、図1(A)は、間接活線工事用先端工具の平面図、図1(B)は、間接活線工事用先端工具の正面図であり、係止対象物をフック部に導入する前の状態図である。
図2】前記実施形態による間接活線工事用先端工具の正面図であり、係止対象物をフック部に導入した状態図である。
図3】従来技術による電線被覆剥離工具の一例を示す斜視図である。
図4】従来技術によるバインド打ち器の一例を示す図であり、図4(A)は、バインド打ち器の左側面図、図4(B)は、バインド打ち器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[間接活線工事用先端工具の構成]
最初に、本発明の一実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を示す斜視図であり、図1(A)は、間接活線工事用先端工具の平面図、図1(B)は、間接活線工事用先端工具の正面図であり、係止対象物をフック部に導入する前の状態図である。
【0030】
図2は、前記実施形態による間接活線工事用先端工具の正面図であり、係止対象物をフック部に導入した状態図である。なお、係止対象物としては、図3に示した操作リング72rを実施例として開示するが、係止対象物は操作リングに限定されない。
【0031】
(全体構成)
図1又は図2を参照すると、本発明の一実施形態による間接活線工事用先端工具(以下、バインド打ち器という)10は、先端工具本体1と棒状のフック片2を備えている。先端工具本体1は、棒状の軸部1sとフック部1hを有している。軸部1sは、その基端部に接続部1bを設けている。接続部1bは、絶縁操作棒80の先端部に着脱自在に固定できる(図3参照)。フック部1hは、軸部1sが延びる方向に対して迂回するように、C字状に屈曲されている。
【0032】
図1又は図2を参照すると、フック片2は、その基端部がフック部1hの先端部と回動可能に連結している。又、フック片2は、軸部1sの先端部に向かって移動、又は軸部1sの先端部から遠ざかるように、先端部が開閉自在に構成されている。
【0033】
又、図1又は図2を参照すると、バインド打ち器10は、板ばね3と屈曲自在なワイヤー部材4を備えている。板ばね3は、その固定端部3aがフック部1hの先端部側に固定されている。又、板ばね3は、その自由端部3bがフック片2を開く方向に力を付勢するように配置されている。
【0034】
図1又は図2を参照すると、ワイヤー部材4は、その一端部をフック片2の先端部に繋留している。又、ワイヤー部材4は、その他端部をフック部1hの軸部1s側に繋留している。そして、ワイヤー部材4は、フック部1hとフック片2で囲われた開口1kを横断している。
【0035】
図1を参照して、開口1kから操作リング72rを導入すると(図3参照)、ワイヤー部材4を屈曲させて、フック片2の先端部を軸部1sの先端部に向かって閉じる方向に移動できる(図2参照)。
【0036】
(先端工具本体の構成)
図1又は図2を参照すると、先端工具本体1は、円板状の菊座部11bを接続部1bに備えている。絶縁操作棒80の先端部に設けたツイストロック形の接続金具(図示せず)に雄ねじ部を設け、菊座部11bの中央部に雄ねじ部を挿通すると共に、蝶ナット(図示せず)を雄ねじ部に締結することで、絶縁操作棒80が延びる方向に対して、任意の角度で軸部1sを固定できる(図3参照)。
【0037】
接続部1bは、用途の異なる先端工具を交換自在な共用操作棒に接続可能なツイストロック形の一対の鉤穴を有するように構成してもよい。
【0038】
図1又は図2を参照すると、先端工具本体1は、円柱状のピン部1pを更に備えている。ピン部1pは、フック部1hとフック片2で囲われた開口1kと反対側に、軸部1sから突出している。例えば、ピン部1pを操作リング72rに挿入し、剥離工具7を電線Wの回りに旋回できる(図3参照)。
【0039】
(フック片の構成)
図1(A)を参照すると、フック部1hは、その先端部を一山クレビス形に形成している。一方、フック片2は、その基端部を二山クレビス形に形成している。図1又は図2を参照すると、フック部1hは、回動ピン2pと回転自在に連結する第1穴(図示せず)を先端部に開口している。フック片2は、回動ピン2pが圧入される第2穴(図示せず)を基端部に開口している。
【0040】
図1を参照して、一山クレビス形のフック部1hの先端部を二山クレビス形のフック片2の基端部に嵌合させると共に、前記第1穴と前記第2穴を一致させて、前記第2穴に回動ピン2pを圧入することで、フック片2の基端部をフック部1hの先端部と回動可能に連結できる。
【0041】
(板ばねの構成)
図1又は図2を参照すると、板ばね3は、その固定端部3aが一組のリベット3rでフック部1hの先端部側の内周に固定されている。固定端部3aは、その両翼を略直角に折り曲げて、剛性を担保している共に、フック部1hの先端部側の外周を保持している。
【0042】
又、図1又は図2を参照すると、板ばね3は、自由端部3bの先端部の両翼を略直角に折り曲げている。そして、自由端部3bの先端部は、フック片2の中間部の外周を保持している。これにより、フック片2の動きに対して、自由端部3bを追従できる。
【0043】
(ワイヤー部材の構成)
図1又は図2を参照すると、ワイヤー部材4は、その一端部に球状部4bを形成している。ワイヤー部材4は、溶接又は成形などの加工手段で一端部を球状に形成できる。フック片2は、ワイヤー部材4が挿通できる第1細孔を先端部に開口している。ワイヤー部材4の他端部を第1細孔に挿通し、球状部4bが前記第1細孔から抜け止めされることで、ワイヤー部材4の一端部をフック片2の先端部に繋留できる。
【0044】
図1又は図2を参照すると、フック部1hは、前記第1細孔と同軸上になるように、第2細孔を軸部1s側に開口している。ワイヤー部材4の他端部を第2細孔に挿通し、ワイヤー部材4の他端部に金属スリーブ4sを圧着し、金属スリーブ4sが前記第2細孔から抜け止めされることで、ワイヤー部材4の他端部をフック部1hの軸部1s側に繋留できる。そして、ワイヤー部材4は、フック片2の先端部とフック部1hの軸部1s側を張設できる。
【0045】
[間接活線工事用先端工具の作用]
次に、実施形態によるバインド打ち器10の作用及び効果を説明する。図1又は図2を参照すると、バインド打ち器10は、C字状に屈曲されたフック部1hの先端部に棒状のフック片2を回動可能に連結すると共に、フック片2が開く方向に力を付勢するように、板ばね3を内側に配置している。
【0046】
又、図1又は図2を参照すると、バインド打ち器10は、フック片2の先端部とフック部1hの軸部1s側との開口1kをワイヤー部材4で張設している。これらの構成により、バインド打ち器10は、開口1kから操作リング72rを導入すると(図3参照)、ワイヤー部材4を屈曲させて、フック片2の先端部を軸部1sの先端部に向かって閉じる方向に移動できる。
【0047】
これにより、開口1kから操作リング72rを導入すると(図3参照)、開口1kを閉じて、操作リング72rが外れ難くなると共に、フック片2が閉じて、剥離工具7又は他の絶縁操作棒に妨げられないように、絶縁操作棒80を容易に操作できる(図3参照)。
【0048】
本発明による間接活線工事用先端工具は、以下の効果が期待できる。
(1)間接活線工事用先端工具を旋回させたときに、他の絶縁操作棒の邪魔にならない。
(2)フック部の外形を縮小できるので、絶縁操作棒の操作性を向上できる。
(3)開口を閉じた状態で間接活線工事用先端工具を旋回できるので、係止対象物が外れ難くなる。
【0049】
本発明は、絶縁操作棒などを用いて、無停電状態の高圧配電線を間接的に活線工事できる間接活線工事用先端工具を開示したが、本発明の先端工具は、間接活線工事用に限定されることなく、他の分野でも応用されることが期待される。
【符号の説明】
【0050】
1 先端工具本体
1b 接続部
1h フック部
1k 開口
1s 軸部
2 フック片
3 板ばね
3a 固定端部
3b 自由端部
4 ワイヤー部材
7 剥離工具(係止対象物)
10 バインド打ち器(間接活線工事用先端工具)
80 絶縁操作棒
図1
図2
図3
図4