(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中空円筒部材内に配置される内側中空円筒部材であって、前記内側中空円筒部材の少なくとも一部に沿って内側フレキシブル領域を有する内側中空円筒部材をさらに備え、
前記中空円筒部材の前記フレキシブル領域の少なくとも一部は、前記内側中空円筒部材の前記内側フレキシブル領域の少なくとも一部とオーバーラップし、
前記中空円筒部材はその遠位端において切除ウインドウを有し、前記内側中空円筒部材は、前記中空円筒部材の内側で回転可能であり、その遠位端において切除面を有し、前記切除ウインドウおよび前記切除面は前記手術器具の動作時において互いに対してアライメントされている、
ことを特徴とする請求項1に記載の手術器具。
前記中空円筒部材の前記フレキシブル領域は、前記中空円筒部材に作成された少なくともひとつの螺旋状カットにより形成され、前記螺旋状カットの少なくともひとつは、前記フレキシブル領域の全長にわたって前記中空円筒部材の円周の回りに伸長する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の手術器具。
前記フレキシブル領域を除いた前記中空円筒部材、および、前記内側フレキシブル領域を除いた前記内側中空円筒部材は、それぞれ堅固なコンジットである、ことを特徴とする請求項2に記載の手術器具。
前記展性チューブの前記中空円筒部材に関する長手軸線方向の移動を防止するべく、前記中空円筒部材と前記展性チューブとを結合する結合部をさらに備え、前記結合部は前記中空円筒部材の前記フレキシブル領域の遠位および近位に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の手術器具。
【背景技術】
【0002】
組織、骨および/または他の人体材料を剃り、切除し、切断し、摩耗しおよび/または除去するのに使用される手術装置は、吸引、焼灼、掴みおよび光源ガイド用の器具として周知である。切除手術装置は、切除ウインドウを有する細長の外側チューブ内で回転する細長の内側チューブ上に配置された回転刃のような切除面を有する。内側および外側チューブはともに手術用切除刃を形成する。概して、細長の外側チューブは(内側チューブの遠位端において)内側チューブの切除面を、組織、骨および/または他の人体材料に対して露出させる、開口または切除ウインドウを画定する遠位端を有する。付勢された持ち手部が外側チューブに対して内側チューブを回転させるのに使用される。外側チューブハブ(外側チューブの近位端に結合された)は持ち手部に堅固に固定され、内側チューブハブ(内側チューブの近位端に結合された)は付勢された持ち手部により緩く保持されて長手軸線方向に動くことができる。
【0003】
手術中に、(切除ウインドウ内に切除面を画定しつつ)手術用切除刃の先端を特定の角度で正確に方向付けることが所望される。この要求のため、固定角度と異なる角度の第1端を有する複数の手術用切除刃を設けることが知られている。手術の要求または必要に応じて、外科医は選択した手術用切除刃を目標位置に正確に方向付けるために、手術中に複数の異なる手術用切除刃を複数回取り替えなければならない。
【0004】
また、これらの手術装置は、切除ウインドウを特定面内で方向付けるために外側チューブの遠位端および近位端のいずれかまたは両方が曲がることも知られている。したがって、外側チューブ内に配置された内側チューブは、外側チューブの湾曲部付近にフレキシブル部を有し、それにより内側チューブは外側チューブ内に挿入されかつ曲がったまま外側チューブ内で回転することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
異なる形状および/または新たな所望のターゲット方向に基づく異なるウインドウ方向の異なる手術用切除刃を交換するのではなく、外科医がひとつの手術用切除刃だけを使用できるようにする信頼性が高いフレキシブルシャフトの手術用切除刃を開発することは多くの困難を伴った。例えば、最初は直線で、次ぎに所望の角度に曲がる手術用切除刃が開発された。この設計の欠点は、手術切除刃が一度曲げられると、異なる角度構成を得るべく手術用切除刃を再度曲げることができないか、または、内側チューブの適切な回転が困難となる点で信頼性に欠けることである。例えば、外側チューブは再度曲げる際(または最初に曲げる際にも)に折れるかまたは壊れてしまう可能性が高い。よって、刃の異なる角度構成が所望されれば、新たな手術用切除刃を使用しなければならない。他の例は、外科医が特定の角度に手術用切除刃を曲げることができ、その角度で手術用器具を保持することができるレバーアームを使用する。しかし、この設計の欠点は、レバーを所定の位置でロックすることができず、所望の角度方向に手術器具を保持するためには、外科医がレバーに連続的に圧力をかけ続けなければならないことである。さらに典型的に、レバーを使用する手術器具の湾曲は、ひとつの方向に制限され(典型的に凹面方向)、2方向に湾曲することができない。他の欠点は、切除刃が過度にフレキシブルの場合、切除刃は使用中にその湾曲角度を一定に保持できないことである。
【0006】
外科医などのユーザが所望するのは、器具の湾曲方向および切除ウインドウの方向が無制限である要求を満たす手術器具である。これらのユーザおよび手術中の外科医の要求を満足させることは、異なる角度構成および/またはウインドウ方向を有する多くの手術器具の使用を要求する。複数の手術器具の使用はコストが高くつき、かつ、手術中に発生するあらゆる要求を満たすために非常に多くの手術器具を確保することを病院/外科医に強いることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すべての手術要求に対して、外科医がひとつの手術器具(または手術用切除刃)のみを使用することができるような構成を与えることが有利である。そこで、展性チューブが設けられ、円筒部材のフレキシブル領域の上に配置される。展性チューブは円筒部材のフレキシブル領域に対して湾曲を与え、かつ湾曲角度を保持することができる。それにより手術器具が施術中に伸びることが防止される。この構成により、多くの異なるタイプの手術に対して外科医はひとつのフレキシブルな部材(例えば、フレキシブルな切除刃)のみを使用することができる。フレキシブルな部材は先端がさまざまな異なる角度だけ曲がるか、さまざまな異なる方向に曲がるように、再方向付けできる。付加的に、この構成により、手術用部材を人体内部に挿入中に部材が伸びる(または再び曲がる)といった心配がなくなり、フレキシブルな部材を使用することができる。
【0008】
実施形態のさまざまな態様において、手術器具は、中空円筒部材であって、該中空円筒部材の少なくとも一部に沿ったフレキシブル領域を有する中空円筒部材と、該中空円筒部材のフレキシブル領域の少なくとも外側面の上に配置された展性チューブとを備える。フレキシブル領域およびフレキシブル領域の上に配置された展性チューブは複数回曲げることが可能である。展性チューブは、展性チューブがユーザにより再度曲げられるまで、曲げ方向を維持する。
【0009】
実施形態のある態様において、手術器具は、中空円筒部材内に配置される内側中空円筒部材であって、内側中空円筒部材の少なくとも一部に沿ってフレキシブル領域を有する内側中空円筒部材をさらに備える。中空円筒部材のフレキシブル領域の少なくとも一部は、内側中空円筒部材のフレキシブル領域の少なくとも一部とオーバーラップする。
【0010】
実施形態のある態様において、中空円筒部材のフレキシブル領域は、中空円筒部材に作成された少なくともひとつの螺旋状カットにより形成され、螺旋状カットの少なくともひとつは、フレキシブル領域の全長にわたって中空円筒部材の円周の回りに伸長する。
【0011】
実施形態のある態様において、展性チューブは陽極酸化なまし金属またはなまし金属からなる。ある実施形態では、金属はアルミニウムである。
【0012】
実施形態のある態様において、展性チューブはアルミニウムまたは銅などの金属からなる。
【0013】
実施形態のある態様において、金属は、なまし金属である。
【0014】
実施形態のある態様において、中空円筒部材のフレキシブル領域は、中空円筒部材に作成されたスリットによって形成される。それぞれのスリットは中空円筒部材の円周の全体ではなく、中空円筒部材の円周の回りの一部に伸長する。
【0015】
実施形態のある態様において、中空円筒部材は、展性チューブおよび中空円筒部材が曲げられたとき、展性チューブがフラッタリングすることを防止するのに十分なフープ強度を有する。
【0016】
実施形態のある態様において、中空円筒部材に関する展性チューブの長手軸方向の移動を防止するための中空円筒部材と展性チューブとの間の結合部をさらに備える。結合部は中空円筒部材のフレキシブル領域の遠位端付近および近位端付近に配置されている。
【0017】
実施形態のある態様において、結合部は、第1および第2のディンプルを有する。第1のディンプルは、中空円筒部材に作成されかつ半径方向内側に伸長する。第2のディンプルは、展性チューブに作成されかつ半径方向内側の中空円筒部材の方向へ伸長する。第2のディンプルは第1のディンプルの内部に伸長し、展性チューブを中空円筒部材に対して堅固に取り付ける。
【0018】
実施形態のある態様において、結合部は、第1および第2のカラーを有する。第1のカラーは、中空円筒部材のフレキシブル領域の遠位端付近で中空円筒部材上に配置された半径方向に突出する。第2のカラーは、中空円筒部材のフレキシブル領域の近位端付近で中空円筒部材上に配置された半径方向に突出する。展性チューブは、第1のカラーおよび第2のカラーが展性チューブに当接し、かつ、中空円筒部材に関する展性チューブの長手軸線方向の移動を制限するように、第1のカラーおよび第2のカラーとの間に配置される。
【0019】
実施形態のある態様において、結合部は、展性チューブを貫通する第1および第2の穴と、第1および第2の穴をそれぞれ貫通して伸長し、中空円筒部材に取り付けられる第1および第2の溶接を有する。
【0020】
実施形態のある態様において、結合部は、収縮ラップカバーを有する。収縮ラップカバーは、少なくとも展性チューブ、および、展性チューブの遠位端付近および近位端付近に配置された中空円筒部材の一部の上に配置される。収縮ラップカバーは、展性チューブの中空円筒部材に関する長手軸線方向および回転方向の移動を制限する。
【0021】
実施形態のある態様において、結合部は、中空円筒部材の隆起したぎざぎざ部を有する。展性チューブは隆起したぎざぎざ部に摩擦係合し、中空円筒部材に関する展性チューブの長手軸線方向および回転方向の移動が制限される。
【0022】
実施形態のある態様において、中空円筒部材は螺旋状スプリングである。
【0023】
実施形態のある態様において、フレキシブル領域を除いた中空円筒部材、および、フレキシブル領域を除いた内側中空円筒部材は、それぞれ堅固なコンジットである。
【0024】
実施形態のある態様において、中空円筒部材は、中空円筒部材の遠位端において切除ウインドウを有する。内側中空円筒部材は中空円筒部材の内側で回転可能であり、内側中空円筒部材の遠位端において切除面を有する。中空円筒部材を通じて吸引しながら内側中空円筒部材が回転するとき、切除ウインドウと切除面とは互いにアライメントされ、組織を切除しかつ除去するように機能する。
【0025】
実施形態のある態様において、中空円筒部材は一つ以上のレイヤーを有するマルチフィラーワイヤコイルである。
【0026】
手術器具のさまざまな実施形態が以下の図面を参照して詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下で説明する実施形態は、耳、鼻および喉の手術、頭部および首ならびに特定の洞手術のような人体手術の文脈で、図面を参照して説明する。以下の実施形態は、脊柱手術、整形外科手術および他のさまざまな手術に使用可能である。すべての実施形態は、応用可能なすべてに対して使用され得る。また、本願発明は手術用切除器具に限定されるものではない。本願は、複数の異なる構成で曲がることができ、使用中はその構成を維持し、その後は異なる構成で再び曲がることができるようなフレキシブル部材(例えば、中空チューブ)を与えることが所望される任意の手術用デバイスに応用可能である。
【0029】
図1〜
図6は本願発明のひとつの実施形態にかかる手術用器具1を示す。手術用器具1は中空円筒部材2および、該中空円筒部材2の外側面5上に配置された展性チューブ3を有する。展性チューブ3は中空円筒部材2の円周の回りに堅固に取り付けられる。その結果、中空円筒部材2に関する長手軸線11方向への展性チューブ3の移動が防止される。展性チューブ3内への中空円筒部材2の挿入が可能となるように、展性チューブ3は中空円筒部材2よりわずかに大きな直径を有する。しかし、中空円筒部材2および展性チューブ3は顧客へ配送される前に予め組み立てられて良いことは言うまでもない。よって、顧客が展性チューブ3内へ中空円筒部材2を挿入することはめったにない。顧客は、中空円筒部材2の切除ウインドウ8を予め配置された面と異なる面で方向付けるように、中空円筒部材2(
図3および4参照)および展性チューブ3のフレキシブル領域4により与えられる柔軟性を利用して、手術器具1の一部を曲げるだけでよい。
【0030】
図2Aは、第1の湾曲部6での、中空円筒部材2および展性チューブ3のフレキシブル領域4の柔軟性を示している。第1の湾曲部6を得るために、ユーザは、中空円筒部材2のフレキシブル領域4を包囲する展性チューブ3へ最低限の圧力を印加しなければならない。中空円筒部材2のフレキシブル領域4を包囲する展性チューブ3が曲げられると、ユーザが展性チューブ3を再び曲げるかまたは伸ばすまで、展性チューブ3により手術器具1は第1の湾曲6を保持することができる。よって、展性チューブ3および中空円筒部材2を同じ位置で複数回曲げることができる。また、
図2Bに示すように、圧力が展性チューブ3に再び印加されるときでも、第1の湾曲部6は維持され、かつ、第1の湾曲部6の遠位(または近位)方向において第2の湾曲部7が形成される。
【0031】
展性チューブ3は、曲げ圧力の開放と同時に湾曲方向を維持しつつ柔軟性を与える金属からなる。当該金属は、ユーザが中空円筒部材2のフレキシブル領域4の一部を覆うか、または、中空円筒部材2のフレキシブル領域4の一部および内側中空円筒部材13のフレキシブル領域14を覆い、柔軟でありかつ湾曲を形成することができ、展性チューブ3へ圧力を印加できるとともに圧力の開放と同時に湾曲を維持するような、任意の金属であってよい。例えば、展性チューブ3は、なまし銅(生体適合性を有するようにコーティングまたは処理された)陽極酸化なましアルミニウム、なましステンレススチール、ニチノール、およびブラスなどの任意の展性金属であってよい。
【0032】
中空円筒部材2は、展性チューブ3および中空円筒部材2が湾曲したとき展性チューブ3のフラッタリングを防止するのに十分なフープ強度を有する。例えば、中空円筒部材2はステンレススチールまたは、十分なフープ強度を有することでフラッタリングを防止しつつフレキシブル領域4の柔軟性を与える他の適当な材料から形成される。展性チューブ3は、中空円筒部材2の上を覆っていなかれば湾曲のときにキンクが生じやすい。中空円筒部材2はデバイス全体に十分なフープ強度を与えることにより湾曲の際にも展性チューブ3がキンクしたり、フラッタリングすることを防止する。よって、中空円筒部材2を展性チューブ3で覆うことにより、展性チューブ3または中空円筒部材2の一方では個別に存在しなかった性質の組み合わせを有するデバイスが生成される。特に、デバイス全体はキンクやフラッタリングの発生がなく、さまざまな構成に曲がることができるので、ユーザはデバイスを再び曲げるまでその湾曲構成を維持することができる(すなわち、曲がった後に十分に堅固である)。
【0033】
図3および4は、中空円筒部材2の少なくともひとつのフレキシブル領域4を示す。しかし、中空円筒部材2は単一のフレキシブル領域4には限定されず、複数のフレキシブル領域4を有してもよい。フレキシブル領域4以外の、中空円筒部材2の残りの部分は堅固なコンジット10である。中空円筒部材2は中空円筒部材2の遠位端21付近において切除ウインドウ8を有する中空円筒部材2の少なくとも一部を含み、中空円筒部材2の近位端20付近に中空円筒部材2の一部を含む。中空円筒部材2のフレキシブル領域4は、中空円筒部材2の遠位端21付近に配置されており、中空円筒部材2の長さ方向に沿ってある長さで伸長する。しかし、本願は
図3および4に示す実施形態の構成に制限されない。中空円筒部材2のフレキシブル領域4は中空円筒部材2の任意の一部に沿ってまたは全長さに沿って配置されても良い。付加的に、中空円筒部材2のフレキシブル領域4は中空円筒部材2に沿って複数の、異なる位置に配置されてもよい。
【0034】
図3に示すように、中空円筒部材2のフレキシブル領域4は中空円筒部材2に作成された螺旋状カット15によって形成され、螺旋状カット15は、フレキシブル領域4の全長さに沿って中空円筒部材2の円周の回りに伸びている。螺旋状カット15は中空円筒部材2の内部に貫通して伸長するが、この構成には限定されない。螺旋状カット15はフレキシブル領域4に対して、長手軸線11に直交する任意の方向において手術器具1の長手軸線11の回りに容易に曲げられる形状を与える。フレキシブル領域4は複数の螺旋状カットにより形成されてもよい。中空円筒部材2は、複数の異なる位置にフレキシブル領域を有してもよい。よって、異なるフレキシブル領域にはそれぞれ異なるまたは複数の螺旋状カットが形成される。螺旋状カットは複数のフレキシブルチューブを保持するべく各フレキシブル部の両端において固定されたアルミニウムチューブとともに使用されるのが好ましい。フレキシブルチューブの複数のスリットが、一端にのみ固定されたアルミニウムチューブとともに使用されるのが好ましい。
【0035】
図4に示すように、中空円筒部材2のフレキシブル領域4は中空円筒部2に作成されたスリット19によって形成されてもよい。スリット19は、中空円筒部材2の円周の回り全体ではなく、中空円筒部材2の円周の一部に伸長している。スリット19は、中空円筒部材2の内部に貫通していてもよいが、この構成に限定されない。スリット19により、螺旋状カット15によって形成されるフレキシブル領域4ほど多くの方向ではないが、フレキシブル領域4は手術器具1の長手軸線11の回りに曲がることができるようになる。本願発明はこのスリット構成に限定されない。中空円筒部材2は、複数の異なる位置にフレキシブル領域を有してもよい。よって、異なるフレキシブル領域はそれぞれ異なるスリットのセットにより形成されてもよい。隣接するスリット19がすべて同じであるとき(
図4に示すように)、中空円筒部材2はひとつの面内で曲がることができる。スリットが異なる半径方向に展性チューブ3を貫通して伸長する場合、中空円筒部材2は半径方向に伸長するスリット19のバリエーションに応じて多くの方向に曲がることができる。
【0036】
図6は、実施形態に従う手術器具1の断面図を示す。手術器具1は、中空円筒部材2、展性チューブ3、および内側中空円筒部材13を備える。本実施形態において、内側中空円筒部材13は中空円筒部材2内に形成された中空円筒部材2の流路12内に挿入されている。その結果、内側中空円筒部材13は中空円筒部材2の内部において同軸に配置される。中空円筒部材2は内側中空円筒部材13の外径よりも大きな内径を有する。よって、中空円筒部材2の内部に内側円筒中空部材13を挿入できる。しかし、内側円筒中空部材13および中空円筒部材2は、顧客に配送される前に予め組み立てられることは言うまでもない。よって、顧客が中空円筒部材2の中に内側中空円筒部材13を挿入することはほとんどない。顧客は、中空円筒部材2の切除ウインドウ8および内側中空円筒部材13の切除面9を、例えば、予め配置された面と異なる面内で方向付けるように、手術器具1の一部を曲げるべく、中空円筒部材2のフレキシブル部4、内側中空円筒部材13のフレキシブル部14、および展性チューブ3によって与えられる柔軟性を利用するだけでよい。
【0037】
内側中空円筒部材13は内側中空円筒部材13の長さ方向に伸長する流体/人体材料除去流路18を有する。内側中空円筒部材13は内側中空円筒部材13の遠位端24において切除面9を有する。内側中空円筒部材13は中空円筒部材2内部に同軸に配置され、その結果、切除面9は切除ウインドウ8において露出する。切除ウインドウ8内に配置された切除面9は切除器具34を形成する。中空円筒部材2内で内側中空円筒部材13を回転させることにより組織を切除することができる。遠位端24において切除器具34を有する手術器具1は、組織、骨、および/または他の人体材料を切除し、剃り、切断するのに使用される。例えば、ここに参考文献として組み込む、米国特許第7,247,161号に開示されるように、手術用切除器具34は付勢された手術器具システム内で使用される。
図6の器具は細長の回転可能な手術器具を駆動しかつ手術サイトから材料を吸引する、内視鏡手術で使用するための手術用シェーバーまたはマイクロデブリーダであってよい。手術中、外科医はペンまたは鉛筆などの筆記用具を握るのと同じようにして、持ち手部の細長い本体を握る。このように持ち手部の本体を握りながら、外科医は切除すべき人体材料に対してシェーバー刃アセンブリの遠位端を方向付けることができる。外科医は切除ウインドウ8が切除すべき組織に隣接配置するようにデバイスを操作し、続いて外科医は流路18を通じて流体を吸引しながら内側中空円筒部材13を回転させる。手術中に流路18を通じて液体が手術サイトに供給されてもよい。しかし、手術器具1は内視鏡手術に限定されず、このような手術器具1の構成が所望される内視鏡手術以外の手術に使用されても良い。
【0038】
中空円筒部材2に関して上述したように、内側中空円筒部材13は少なくともひとつのフレキシブル領域14を有する。しかし、内側中空円筒部材13は単一のフレキシブル領域に限定されず、複数のフレキシブル領域を有してもよい。フレキシブル領域14以外の内側中空円筒部材13の残りの部分は、堅固なコンジット30である。内側中空円筒部材13は、遠位端24において切除面9を含む内側中空円筒部材13の少なくとも一部を有し、近位端25付近に内側中空円筒部材13の一部を有する。内側中空円筒部材13のフレキシブル領域14は内側中空円筒部材13の遠位端24付近に配置されており、かつ、内側中空円筒部材13の長さ方向に沿ってある距離だけ延伸する。しかし、本願発明はこの実施形態の構成に限定されない。内側中空円筒部材13のフレキシブル領域14は内側中空円筒部材13の任意の長さまたは全長さに沿って配置されてもよい。内側中空円筒部材13のフレキシブル領域14は内側中空円筒部材13に沿って複数の異なる位置に配置されてもよい。
【0039】
図3に示す中空円筒部材2のフレキシブル領域4と同様に、内側中空円筒部材13も内側中空円筒部材13に作成された螺旋状カット15(中空円筒部材2の
図3を参照)により形成される。その結果、フレキシブル領域14の全長さにわたって螺旋状カット15が内側中空円筒部材13の円周の回りに伸長する。螺旋状カット15は内側中空円筒部材13の内部に貫通するが、この構成に限定されない。螺旋状カットにより与えられるフレキシブル領域14により、手術器具1は長手軸線11の回りに容易に曲がるようになる。付加的に、本願発明は、単一の螺旋状カット15の構成に限定されない。フレキシブル領域14は複数の螺旋状カットにより形成されてもよい。内側中空円筒部材13は、複数の異なる位置にフレキシブル領域14を有してもよい。よって、異なるフレキシブル領域は、各々単一または複数の螺旋状カットにより形成される。
【0040】
フレキシブルな内側中空円筒部材13を形成するのにさまざまな構造が可能である。例えば、ここに参考文献として組み込む、米国特許第5,707,350号に開示されるように、堅固なチューブに柔軟性を与えるべくレーザカットにより開口部を形成し、レーザカットされたチューブがその後しなやかな材料の層によって覆われて一緒に保持されてもよい。他に、ここに参考文献として組み込む、米国特許第4,646,738号に開示されるように、二つ以上のフレキシブルな金属製ストリップがオーバーラップコイルに巻き付けられ、内側中空円筒部材13のフレキシブル部分を形成してもよい。同様の技術は中空円筒部材2を形成するのにも使用可能である。
【0041】
内側中空円筒部材13のフレキシブル領域14は、中空円筒部材2のフレキシブル領域4よりも長い距離にわたって内側中空円筒部材13に沿って伸長してよい。
図6に示すように、中空円筒部材2のフレキシブル領域4は切除ウインドウ8に近い位置に始まり、一定の距離だけ伸長する。内側中空円筒部材13のフレキシブル領域14は切除面9に近い位置に始まり、より長い距離だけ伸長する。しかし、中空円筒部材2のフレキシブル領域4の少なくとも一部は、内側中空円筒部材13のフレキシブル領域14の少なくとも一部とオーバーラップする。
【0042】
フレキシブル領域4、14は、手術器具1の長手軸線11の回りに、半径方向に対して対称的に曲がることができる。すなわち、フレキシブル領域4、14は任意の方向(上下左右およびそれらの間の方向)に曲げられる。しかし、例えば、展性チューブ3が中空円筒部材2の上に配置されるとき、中空円筒部材2のフレキシブル領域4は実質的に直線方向を向いていると仮定する。
図2Aに示す他の実施形態において、フレキシブル領域4は第1の湾曲6を形成する第1の曲げ方向を有すると仮定する。
図2Bに示す他の実施形態において、同じフレキシブル領域4は第2の湾曲7を形成する第2の曲げ方向を有すると仮定する。
【0043】
展性チューブ3を中空円筒部材2に固定するために、展性チューブ3が中空円筒部材2の長手軸線11方向または回転方向に移動することを防止する、中空円筒部材2と展性チューブ3との間に結合部が形成される。結合部は中空円筒部材2のフレキシブル領域4の遠位端付近および近位端付近に配置される。付加的に、ある実施形態において、中空円筒部材2のフレキシブル領域4は、隣接する堅固なコンジット10より大きい外径を有する。よって、展性チューブ3を、外径のより小さい堅固なコンジット10上において手でかしめることで適所に展性チューブ3を固定することができる。また、ある実施形態において、展性チューブ3を、シアノアクリレートまたはエポキシなどの接着剤によって中空円筒部材2に接着させてもよい。
【0044】
図6は、展性チューブ3を中空円筒部材2に固定する結合部の例を示す。展性チューブ3の第1の穴28は、中空円筒部材2のフレキシブル領域4と中空円筒部材2の切除ウインドウ8との間に配置される。展性チューブ3の第2の穴29は、フレキシブル領域4の近位端付近であって、中空円筒部材2のフレキシブル領域4と中空円筒部材2の遠位端20との間に配置されている。第1の穴28および第2の穴29は、展性チューブ3を貫通して中空円筒部材2の外側面5まで伸長する。第1の28穴および第2の穴29は、その後、溶接される。第1の溶接35が第1の穴28を通じて伸長し、第2の溶接36が第2の穴29を通じて伸長する。第1の溶接35は、中空円筒部材2の遠位端21付近において中空円筒部材2を展性チューブ3に固着する。第2の溶接36は、中空円筒部材2の近位端20付近において中空円筒部材2を展性チューブ3に固着する。本願発明は、
図6に示す構成に限定されない。例えば、第1の溶接35が貫通する第1の穴28は中空円筒部材2のフレキシブル領域4と、中空円筒部材2の切除ウインドウ8との間の任意の位置に配置されてもよい。また、第2の溶接36が貫通する第2の穴29は中空円筒部材2のフレキシブル領域4と中空円筒部材2の近位端20との間の任意の位置に配置されてもよい。
【0045】
図7は、半径方向に突出した第1のカラー26および半径方向に突出した第2のカラー27を有する結合部の他の実施形態を示し、それぞれは展性チューブ3を中空円筒部材2に堅固に結合する。半径方向に突出した第1のカラー26は、中空円筒部材2の外側面5に沿って伸長し、中空円筒部材2のフレキシブル領域4の近位端付近に配置される。半径方向に突出した第2のカラー27は、中空円筒部材2の外側面5に沿って伸長し、中空円筒部材2のフレキシブル領域4の遠位端付近に配置される。展性チューブ3は半径方向に突出した第1のカラー26と半径方向に突出した第2のカラー27との間に配置され、その結果、第1のカラー26および第2のカラー27は展性チューブ3と当接し、かつ中空円筒部材2に関して展性チューブ3の長手軸線11の方向の移動を制限する。第1のカラー26および第2のカラー27は
図7に示すものに限定されない。例えば、第1のカラー26および第2のカラー27は中空円筒部材2の堅固なコンジット10の全長に沿って伸長するか、または、第1のカラー26および第2のカラー27が展性チューブ3に当接する限りにおいて中空円筒部材2の一部に沿って伸長してもよい。
【0046】
図8Aおよび8Bは、展性チューブ3を中空円筒部材2に堅固に結合する第1のディンプル22および第2のディンプル23を含む結合部の他の実施形態を示す。第1のディンプル22は第1の遠位ディンプル22aおよび第1の近位ディンプル22bを有する。第1の遠位ディンプル22aは中空円筒部材2の外側面5において中空円筒部材2のフレキシブル領域4の遠位端付近に形成されており、半径方向内側に伸長する。第1の近位ディンプル22bは中空円筒部材2の外側面5において中空円筒部材2のフレキシブル領域4の近位端付近に形成されており、半径方向内側に伸長する。第2のディンプル23は、第2の遠位ディンプル23aおよび第2の近位ディンプル23bを有する。第2の遠位ディンプル23aは、展性チューブ3において中空円筒部材2のフレキシブル領域4の遠位端付近に形成されており、半径方向内側に中空円筒部材2の方向へ伸長する。第2の近位ディンプル23bは、展性チューブ3において中空円筒部材2のフレキシブル領域4の近位端付近に形成されており、半径方向内側に中空円筒部材2の方向へ伸長する。第2の遠位ディンプル23aは第1の遠位ディンプル22a内に伸長し、かつ、第2の近位ディンプル23bは第1の近位ディンプル22b内に伸長し、展性チューブ3を中空円筒部材2に堅固に固定する。しかし、ディンプルは
図8に示す構成に限定されない。例えば、展性チューブ3および/または中空円筒部材2は2つ以上の近位および/または遠位ディンプルを含んでも良い。ディンプルは形成するのが容易であり、手術器具の全体の直径を増加させないので好ましい。付加的に、ディンプルは、かしめ溝またはコルセットを形成するように、チューブ/部材の円周方向の角度0から360°において半径方向に伸長してもよい。
【0047】
図9は、展性チューブ3を中空円筒部材2に堅固に結合する収縮ラップカバー32を有する結合部の他の実施形態を示す。収縮ラップカバー32は少なくとも展性チューブ3および、展性チューブ3の遠位端および近位端付近に配置された中空円筒部材2の一部の周囲を覆って配置されるか、または切除ウインドウ8を含む中空円筒部材2の部分を除いた中空円筒部材2の実質的に全体を覆う。収縮ラップカバー32は収縮円筒部材2に関して展性チューブ3の長手軸線11方向および回転方向の移動の両方を制限する。
【0048】
図10は、展性チューブ3を中空円筒部材2に関して摩擦により堅固に結合する隆起したぎざぎざ部33を有する結合部の他の実施形態を示す。隆起したぎざぎざ部33は中空円筒部材2の表面に形成されている。展性チューブ3は隆起したぎざぎざ部33に対して摩擦係合し、中空円筒部材2に対する展性チューブ3の長手軸線11方向および回転方向の移動を制限する。
【0049】
隆起したぎざぎざ部33は、例えば、中空円筒部材2のフレキシブル領域4の遠位端付近に配置された第1の隆起したぎざぎざ部33a、中空円筒部材2のフレキシブル領域4の近位端付近に配置された第2の隆起したぎざぎざ部33bを有する。第1の隆起したぎざぎざ部33aは展性チューブ3の完全に下側に伸長するか、または所定の距離だけ展性チューブ3の下側に伸長しかつ展性チューブ3の遠位端からある距離だけ伸長してもよい。第2の隆起したぎざぎざ部22bは展性チューブ3の完全に下側に伸長するか、または展性チューブ3の近位端からある距離だけ伸長してもよい。しかし、本願発明はこの構成に限定されない。例えば、中空円筒部材2のフレキシブル領域4を除いて、隆起したぎざぎざ部33は中空円筒部材2の残りの堅固なコンジット10を覆ってもよい。その結果、展性チューブ3は中空円筒部材2の上に摩擦係合する。さらに、隆起したぎざぎざ部33は中空円筒部材2の円周の回り全体に伸長するか、展性チューブ3の長手軸線11方向および回転方向の移動が防止される限り中空円筒部材2の円周の回りの一部のみに伸長してもよい。
【0050】
図11は、他の実施形態にかかる手術器具を示す。本実施形態において、中空円筒部材2は螺旋状スプリング31からなる。よって、手術器具1は螺旋状スプリング31および螺旋状スプリング31の外側面37上に配置された展性チューブ3を有する。展性チューブ3は螺旋状スプリング31の回りにきつく係合し、螺旋状スプリング31に関する長手軸線方向の展性チューブ3の移動が防止される。展性チューブ3は螺旋状スプリング31よりわずかに大きな直径を有するので、展性チューブ3内部へ螺旋状スプリング31を挿入することができる。しかし、螺旋状スプリング31および展性チューブ3は顧客に配送される前に予め組み立てられる。したがって、顧客が螺旋状スプリング31を展性チューブ3の内部に挿入することはほとんどない。顧客は、手術器具1の一部を曲げるべく、螺旋状スプリング31および展性チューブ3の柔軟性により与えられるフレキシビリティを使って、予め配置された面と異なる面において螺旋状スプリング31または展性チューブ3の先端部を方向付けるだけでよい。しかし、本願発明は中空枝円筒部材または螺旋状スプリングに限定されない。例えば、中空円筒部材または螺旋状スプリングの両方は、曲がることができかつ展性チューブ3が配置可能なフレキシブル領域を与える任意の円筒形部材と置換可能である。
【0051】
図12A、12Bは、本発明のさらに他の実施形態を示す。これらの実施形態において、螺旋状スプリング31はマルチフィラーワイヤコイル131(
図12A)またはマルチレイヤーワイヤコイル231(
図12B)であってよい。マルチフィラーワイヤコイル131は、ひとつの層に一つ以上のワイヤの巻きを有し、マルチレイヤーワイヤコイル231は半径方向に2つ以上のレイヤーのワイヤの巻きを有する。それらはしばしば反対方向に巻かれている。これらのワイヤコイルは、効果的に変更されたフレキシブルなスプリングである(トルクシャフトとして知られる)。
【0052】
図13は、他の実施形態にかかる手術器具を示す。本実施形態において、手術器具1は3ピースで形成される。3ピースデザインの手術器具1は、中空円筒部材2の近位端38、展性チューブ3、および中空円筒部材2の遠位端39を有する。中空円筒部材の遠位端39は展性チューブ3の第1端40に取り付けられ、中空円筒部材2の近位端38は展性チューブ3の第2端41に取り付けられる。よって、展性チューブ3は中空円筒部材2の近位端38と遠位端39との間で伸長する。展性チューブ3は、手術器具1の長手軸線11の回りに曲げられることができる。しかし、展性チューブ3が曲げられたとき、展性チューブ3により、手術器具1はユーザが再び曲げるかまたは展性チューブ3を伸ばすまで湾曲構成を維持することができる。よって、展性チューブ3は同じ場所で複数回曲げられる。
【0053】
展性チューブ3は、例えば、展性チューブ3の第1端40に配置された展性チューブ3の第1の穴28および展性チューブの第2端41に配置された展性チューブ3の第2の穴29によって、中空円筒部材2の遠位端39および近位端38に堅固に固定される。第1の穴28および第2の穴29は遠位端39および近位端38のそれぞれにおいて展性チューブ3を貫通して中空円筒部材2の外側面5まで伸長する。その後、第1の穴28および第2の穴29は溶接される。第1の溶接35は第1の穴28を通じて伸長し、第2の溶接36は第2の穴29を通じて伸長する。第1の溶接35は展性チューブ3の第1端40において中空円筒部材2の遠位端39を展性チューブ3に取り付ける。第2の溶接36は展性チューブ3の第2端41において中空円筒部材2の近位端38を展性チューブ3に取り付ける。しかし、近位端38、遠位端39、および展性チューブ3の間の結合はこの構成に限定されない。3ピースの間の結合は、上述した半径方向突出カラー、ディンプル、収縮ラップカバー、および隆起したぎざぎざ部などのいずれを含んでも良い。
【0054】
上述した手術器具の実施形態は例示に過ぎず、発明を限定するものではない。特許請求の範囲に記載した発明の思想および態様から離れることなくさまざまな修正または変更が可能であることは当業者の知るところである。