(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925908
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】固体界面活性剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/10 20060101AFI20160516BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20160516BHJP
C11D 1/14 20060101ALI20160516BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20160516BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20160516BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20160516BHJP
C11D 1/52 20060101ALI20160516BHJP
C11D 1/10 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
C11D3/10
C11D3/20
C11D1/14
C11D1/29
C11D17/06
C11D1/90
C11D1/52
C11D1/10
【請求項の数】38
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-545343(P2014-545343)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-500369(P2015-500369A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】GB2012053018
(87)【国際公開番号】WO2013088120
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年2月6日
(31)【優先権主張番号】1121258.6
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510307004
【氏名又は名称】コスメティック ウォリアーズ エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】COSMETIC WARRIORS LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン マーク
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン マーガレット ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】アンブロセン ヘレン エリザベス
【審査官】
古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0034174(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/094975(WO,A1)
【文献】
実用新案登録第3150615(JP,Y2)
【文献】
特表2010−511053(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0058855(US,A1)
【文献】
米国特許第04490280(US,A)
【文献】
米国特許第04493786(US,A)
【文献】
特表平05−508176(JP,A)
【文献】
特開2008−088235(JP,A)
【文献】
特表2002−505658(JP,A)
【文献】
特表2012−518625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 3/10
C11D 1/10
C11D 1/14
C11D 1/29
C11D 1/52
C11D 1/90
C11D 3/20
C11D 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)炭酸ナトリウム;
(ii)酒石クリーム;
(iii)グリセリン;
(iv)全組成物の重量に対して3〜15wt%の量のラウリル硫酸ナトリウム、及び
(v)全組成物の重量に対して10〜25wt%の量のラウレス硫酸ナトリウム
を含む固体状の界面活性剤製品。
【請求項2】
全組成物の重量に対して20〜45wt%の量の炭酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の界面活性剤製品。
【請求項3】
全組成物の重量に対して20〜37wt%の量の炭酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の界面活性剤製品。
【請求項4】
全組成物の重量に対して25〜45wt%の量の炭酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の界面活性剤製品。
【請求項5】
全組成物の重量に対して30〜45wt%の量の炭酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の界面活性剤製品。
【請求項6】
全組成物の重量に対して35〜45wt%の量の炭酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の界面活性剤製品。
【請求項7】
全組成物の重量に対して39〜45wt%の量の炭酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の界面活性剤製品。
【請求項8】
全組成物の重量に対して41〜43wt%の量の炭酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の界面活性剤製品。
【請求項9】
全組成物の重量に対して5〜25wt%の量の酒石クリームを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項10】
全組成物の重量に対して5〜21wt%の量の酒石クリームを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項11】
全組成物の重量に対して10〜25wt%の量の酒石クリームを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項12】
全組成物の重量に対して15〜25wt%の量の酒石クリームを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項13】
全組成物の重量に対して10〜21wt%の量の酒石クリームを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項14】
全組成物の重量に対して15〜21wt%の量の酒石クリームを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項15】
全組成物の重量に対して19〜23wt%の量の酒石クリームを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項16】
全組成物の重量に対して15wt%以下の量のグリセリンを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項17】
全組成物の重量に対して5〜15wt%の量のグリセリンを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項18】
全組成物の重量に対して5〜10wt%の量のグリセリンを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項19】
全組成物の重量に対して7〜9wt%の量のグリセリンを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項20】
全組成物の重量に対して3〜12wt%の量のラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項1〜19のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項21】
全組成物の重量に対して3〜5wt%の量のラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項1〜19のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項22】
全組成物の重量に対して10〜20wt%の量のラウレス硫酸ナトリウムを含む、請求項1〜19のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項23】
全組成物の重量に対して15〜17wt%の量のラウレス硫酸ナトリウムを含む、請求項1〜19のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項24】
(vi)発泡性界面活性剤、をさらに含み、前記発泡性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウレス硫酸ナトリウム以外である、請求項1〜23のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項25】
発泡性界面活性剤が、全組成物の重量に対して3〜10wt%の量で存在する、請求項24に記載の界面活性剤製品。
【請求項26】
発泡性界面活性剤が、全組成物の重量に対して3〜7wt%の量で存在する、請求項24に記載の界面活性剤製品。
【請求項27】
発泡性界面活性剤が、ラウリルベタイン、コカミドジエタノールアミン、N−ラウリル−サルコシン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項24〜26のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項28】
(i)全組成物の重量に対して20〜37wt%の量の炭酸ナトリウム;
(ii)全組成物の重量に対して5〜21wt%の量の酒石クリーム;
(iii)全組成物の重量に対して15wt%以下の量のグリセリン、
(iv)全組成物の重量に対して3〜15wt%の量のラウリル硫酸ナトリウム、及び
(v)全組成物の重量に対して10〜25wt%の量のラウレス硫酸ナトリウム
を含む、請求項1に記載の界面活性剤製品。
【請求項29】
油、芳香剤、着色剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される1又は2以上の添加剤をさらに含む、請求項1〜28のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項30】
芳香剤及び着色剤をさらに含む、請求項29に記載の界面活性剤製品。
【請求項31】
全組成物の重量に対して0.2wt%〜5wt%の量の1又は2以上の添加剤をさらに含む、請求項29又は30に記載の界面活性剤製品。
【請求項32】
食器洗浄用洗剤である、請求項1〜31のいずれかに記載の界面活性剤製品。
【請求項33】
a)
(i)炭酸ナトリウム;
(ii)酒石クリーム;
(iii)グリセリン;
(iv)全組成物の重量に対して3〜15wt%の量のラウリル硫酸ナトリウム、及び
(v)全組成物の重量に対して10〜25wt%の量のラウレス硫酸ナトリウム
を含む組成物を調製するステップと;
b)ステップa)の前記組成物を固化させるステップと
を含む、請求項1〜32のいずれかに記載の界面活性剤製品を製造するプロセス。
【請求項34】
ステップa)の混合物を所定の形状に固化させる、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
ステップa)の混合物と請求項29に記載の1又は2以上の添加剤とを組み合わせるステップをさらに含む、請求項33又は34に記載のプロセス。
【請求項36】
請求項33〜35のいずれかに記載のプロセスによって入手可能な製品。
【請求項37】
請求項33〜35のいずれかに記載のプロセスによって調製される製品。
【請求項38】
(i)請求項1〜32のいずれかに記載の界面活性剤製品の有効量を水に溶解させて、水性清浄液を用意するステップと;
(ii)硬質面を前記水性清浄液と接触させるステップと
を含む、硬質面を清浄化する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤製品、前記界面活性剤製品を製造するプロセス、及び界面活性剤製品を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、界面活性剤、特に硬質面の清浄化に使用する界面活性剤、詳細には、食品の調理及び摂取で使用する台所用具などの家庭用品の清浄化に使用する界面活性剤に関する。
【0003】
硬質面を清浄化するための液体製品は何十年間も使用されている。食器及び食卓用刃物を清浄化する分野において、「食器洗浄」液のボトルは、台所のシンクのそばによく見かける光景であり、食事の調理及び摂取に使用する深鍋、平鍋、ナイフ、フォークなどを効率的に清浄化するのに必要な作業を行うものである。このような台所用品を清浄化するための液体は、液体状態を保持するためにプラスチックボトルを必要とする。それらは水を高い割合で含有するので、液体の品質を維持し、有害な微生物が入らないようにしておくための成分も必要とする。
【0004】
食器洗浄液は、料理及び食事からでる大量の汚れ及び油脂を洗い落とすのに必要であり、濃度が非常に濃い。
【0005】
食器を清浄化するための液体製品の欠点は、製品を実用可能にしておくために固形のプラスチック包装、通常はキャップ付きのボトルを必要とすることである。いくつかのタイプのボトルは再利用可能であるが、そうでないものもある。ボトル中に液体を留めるためのキャップは、通常再利用可能ではない。
【0006】
また、このような液体を完全な状態で維持するには保存剤が必要である。保存剤は、シンクから排水管及び廃水システムに排出されたとき、性質上、物質の腐敗を妨げ、そのために生態系において有害になり得るので、環境にとって有害な場合がある。
【0007】
台所用具の清浄化に使用される液体の量は、容易に過剰になり得ることも分かった。しばしば、液体は用具に直接注がれ、それによって必要量よりもはるかに多く使用されることになる。このような液体の使用は、流水に過剰量を添加すると、多くの泡を発生させて、洗い流すのが困難になり、その結果、用具上に残ってしまう場合もある。
【0008】
食器洗浄液は、容易に使用することもでき、しばしば手洗いのために使用されるが、手洗い用の配合にはなっていない。製造者により液体をよりマイルドにする努力がなされているが、皮膚に直接注ぐのは望ましくない。特に過剰量を使用した場合、手を乾燥させるか、又は炎症を起こす可能性がある。
【0009】
本発明は、包装を必要とせず、台所用具などの硬質面を清浄化することができ、使用者の皮膚に過度に強い刺激を与えない界面活性剤製品を提供しようとするものである。
【発明の概要】
【0010】
第1の態様では、(i)炭酸ナトリウム;(ii)酒石クリーム;(iii)グリセリン;(iv)全組成物の重量に対して3〜15wt%の量のラウリル硫酸ナトリウム、及び(v)全組成物の重量に対して10〜25wt%の量のラウレス硫酸ナトリウムを含む固体状の界面活性剤製品を提供する。
【0011】
第2の態様では、a)(i)炭酸ナトリウム;(ii)酒石クリーム;(iii)グリセリン;(iv)全組成物の重量に対して3〜15wt%の量のラウリル硫酸ナトリウム、及び(v)全組成物の重量に対して10〜25wt%の量のラウレス硫酸ナトリウムを含む組成物を調製するステップと;b)ステップa)の組成物を固化させるステップとを含む、本明細書に記載の界面活性剤製品を製造するプロセスを提供する。
【0012】
第3の態様では、(a)(i)炭酸ナトリウム;(ii)酒石クリーム;(iii)グリセリン;(iv)全組成物の重量に対して3〜15wt%の量のラウリル硫酸ナトリウム、及び(v)全組成物の重量に対して10〜25wt%の量のラウレス硫酸ナトリウムを含む固体状の界面活性剤製品の有効量を水に溶解させて、水性清浄液を用意するステップと;(b)硬質面をその水性清浄液と接触させるステップとを含む、硬質面を清浄化する方法を提供する。
【0013】
参照を容易にするために、次に、本発明のこれらの態様及びさらなる態様を、適切な節の見出しのもとに論じる。しかし、各節の教示は、必ずしも特定の節各々に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
本発明者らは、従来技術製品とは対照的に、本発明が、従来の液体の食器及び用具用液体清浄液などの硬質面清浄剤の環境上の欠点に対処するものであることを見いだした。本発明は、製品の形状を維持するための外部包装を必要としない固体状の製品を提供する。したがって、従来のプラスチックボトル又はキャップの必要がない。本組成物は高レベルの水を含有せず、そのため、製品の品質を維持する保存剤成分を必要としない。したがって、保存剤成分を含有する廃水の廃棄は回避され、本製品によって環境への影響はより低くなる。
【0015】
本組成物は固体状で供給されるので、手に未希釈液を直接接触させることなく、用具を効率的に清浄化するのに効果的であるが、最少の量を溶解させながら、その形状(the shape)を、水の中で攪拌させることができる。水で作製した溶液は、濃度が濃過ぎることがないので、手を乾燥させることはない。これは、製品が皮膚に直接注がれておらず、シンクの水に過剰量が投入されてもいないからである。
【0016】
本明細書で論じるように、本界面活性剤製品は、各々が全組成物の重量に対して3〜15wt%の量のラウリル硫酸ナトリウム及び10〜25wt%の量のラウレス硫酸ナトリウムを含有している。本発明者らは、界面活性剤成分のこの選択により、及びこれらの特定の界面活性剤成分の量のこの選択により、台所用具などの硬質面を効果的に清浄化することができることを見いだした。さらに、これらの2種の界面活性剤成分の選択及びバランスにより、使用者の皮膚に溶液の強い刺激をあまり与えることなく、必要な清浄効果が実現される。さらに、組成物にグリセリンを添加することが、本製品の溶液と接触する使用者の皮膚を保護する助けとなる。
【0017】
グリセリンは製造プロセスに役立つので、グリセリンの存在はさらに有利である。グリセリンを添加すると、混合物が固化する速さが遅くなり、混合物が急速に固体状に固化するのを阻止することができる。グリセリンが存在しないと、硬化前に製品を型に圧入するのが困難な場合がある。グリセリンが含有していると、混合物はより長期間にわたってより柔軟に維持される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
組成物
本明細書で論じるように、本発明の一態様では、(i)炭酸ナトリウム;(ii)酒石クリーム;(iii)グリセリン;(iv)全組成物の重量に対して3〜15wt%の量のラウリル硫酸ナトリウム、及び(v)全組成物の重量に対して10〜25wt%の量のラウレス硫酸ナトリウムを含む固体状の界面活性剤製品を提供する。
【0019】
本発明の界面活性剤製品は、外部手段、例えば包装などによって支えられていなくても、その物理的形状を実質上保持できる組成物である。したがって、これは、室温で、固体、固体様、固体状又は固体様状であると見なされる。
【0020】
固体様とは、いくつかの材料が、日々の基準では固体であると見なされるが、極めて長い期間では、形状が変化する場合があり、例えばガラスなどの非晶質材料であると理解される。しかし、そうした材料は、その果たす目的からすると固体であるので、固体様であると見なされる。
【0021】
前述のように、本発明の組成物は固体状であるため、組成物の形状を維持するのに外部包装は必要ない。
【0022】
界面活性剤
本発明の界面活性剤製品は、各々が全組成物の重量に対して3〜15wt%の量のラウリル硫酸ナトリウム及び10〜25wt%の量のラウレス硫酸ナトリウムを含む。
【0023】
本組成物は、所定の界面活性剤に加えて、1又は2以上のさらなる界面活性剤を含有していてもよい。これらのさらなる界面活性剤は、コカミドジエタノールアミン、ラウリルベタイン、N−ラウリル−サルコシン、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0024】
好ましい一態様では、(vi)発泡性界面活性剤をさらに含む本組成物。発泡性界面活性剤が、硬質面を清浄化するためではなく、発泡を生じさせることが主目的の界面活性剤であることを当業者なら理解されよう。したがって、発泡性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウレス硫酸ナトリウム以外であることは理解されよう。
【0025】
好ましくは、発泡性界面活性剤は、全組成物の重量に対して3〜10wt%の量、例えば、全組成物の重量に対して3〜9wt%の量、全組成物の重量に対して3〜8wt%の量、全組成物の重量に対して3〜7wt%の量、全組成物の重量に対して4〜6wt%の量、全組成物の重量に対して約5wt%の量などで存在する。
【0026】
発泡性界面活性剤は、任意の適切な界面活性剤から選択することができる。好ましい一態様では、発泡性界面活性剤は、ラウリルベタイン、コカミドジエタノールアミン、N−ラウリル−サルコシン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましい一態様では、発泡性界面活性剤は、ラウリルベタインである。
【0027】
本発明の界面活性剤製品は、全組成物の重量に対して3〜15wt%の量のラウリル硫酸ナトリウムを含む。好ましい一態様では、本発明の界面活性剤製品は、全組成物の重量に対して3〜12wt%の量、例えば、全組成物の重量に対して3〜10wt%の量、全組成物の重量に対して3〜8wt%の量、全組成物の重量に対して3〜6wt%の量、全組成物の重量に対して3〜5wt%の量、全組成物の重量に対して約4wt%の量などのラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0028】
本発明の界面活性剤製品は、全組成物の重量に対して10〜25wt%の量のラウレス硫酸ナトリウムを含む。好ましい一態様では、本発明の界面活性剤製品は、全組成物の重量に対して10〜20wt%の量、例えば、全組成物の重量に対して12〜20wt%の量、全組成物の重量に対して13〜19wt%の量、全組成物の重量に対して14〜18wt%の量、全組成物の重量に対して15〜17wt%の量、全組成物の重量に対して約16wt%の量などのラウレス硫酸ナトリウムを含む。
【0029】
炭酸ナトリウム
本発明の界面活性剤製品はまた、炭酸ナトリウムを含む。一実施形態では、炭酸ナトリウムは、全組成物の重量に対して20〜45wt%の量で存在する。
【0030】
一実施形態では、炭酸ナトリウムは、全組成物の重量に対して20〜37wt%の量で存在する。
【0031】
一実施形態では、炭酸ナトリウムは、全組成物の重量に対して25〜45wt%の量で存在する。
【0032】
一実施形態では、炭酸ナトリウムは、全組成物の重量に対して25〜37wt%の量で存在する。
【0033】
一実施形態では、炭酸ナトリウムは、全組成物の重量に対して30〜45wt%の量で存在する。
【0034】
一実施形態では、炭酸ナトリウムは、全組成物の重量に対して35〜45wt%の量で存在する。
【0035】
一実施形態では、炭酸ナトリウムは、全組成物の重量に対して30〜37wt%の量で存在する。
【0036】
一実施形態では、炭酸ナトリウムは、全組成物の重量に対して33〜45wt%の量で存在する。
【0037】
一実施形態では、炭酸ナトリウムは、全組成物の重量に対して37〜45wt%の量で存在する。
【0038】
一実施形態では、炭酸ナトリウムは、全組成物の重量に対して39〜45wt%の量で存在する。
【0039】
一実施形態では、炭酸ナトリウムは、全組成物の重量に対して41〜43wt%の量で存在する。
【0040】
一実施形態では、炭酸ナトリウムは、全組成物の重量に対して約42wt%の量で存在する。
【0041】
炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)は、炭酸のナトリウム塩である。これはまた、洗濯ソーダ又はソーダ灰として知られている。これは、多くの産業で食品及び化粧品に使用されている。
【0042】
酒石クリーム
本発明の界面活性剤製品はまた、酒石クリームを含む。酒石クリームはまた、重酒石酸カリウム又は酒石酸水素カリウムとして知られている。これは、2,3−ジヒドロキシブタン二酸の一カリウム塩である。したがって、本発明の界面活性剤製品において使用する酒石クリームは、酒石クリームが実質上酒石酸水素カリウムであるという理由から、酒石クリームと見なされるいずれの製品も包含する。
【0043】
一実施形態では、界面活性剤製品の酒石クリームは、酒石酸水素カリウムである。
【0044】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して5〜25wt%の量で存在する。
【0045】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して5〜21wt%の量で存在する。
【0046】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して10〜25wt%の量で存在する。
【0047】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して15〜25wt%の量で存在する。
【0048】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して10〜21wt%の量で存在する。
【0049】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して15〜21wt%の量で存在する。
【0050】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して17〜25wt%の量で存在する。
【0051】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して17〜21wt%の量で存在する。
【0052】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して19〜25wt%の量で存在する。
【0053】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して19〜23wt%の量で存在する。
【0054】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して19〜21wt%の量で存在する。
【0055】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して20〜22wt%の量で存在する。
【0056】
一実施形態では、酒石クリームは、全組成物の重量に対して約21wt%の量で存在する。
【0057】
グリセリン
本発明の界面活性剤製品はまた、グリセリンを含む。グリセリンはまた、グリセリン、グリセロール、及びプロパン−1,2,3−トリオールとして知られている。
【0058】
本明細書で論じるように、組成物にグリセリンを添加することは、本製品の溶液と接触する使用者の皮膚を保護する助けとなり、さらにグリセリンは製品の製造プロセスに役立ち、具体的には、グリセリンによって、炭酸ナトリウムと酒石クリームの組合せから生じる化学反応の温度がより下げられる。さらに、グリセリンを添加することは、組成物が硬化した場合に本発明の固体製品を型から外すのに役立つ。
【0059】
グリセリンは、本発明の所望の目的の実現に適した任意の量で存在し得る。一態様では、グリセリンは、全組成物の重量に対して15wt%以下の量、例えば、全組成物の重量に対して12wt%以下の量、全組成物の重量に対して10wt%以下の量、全組成物の重量に対して8wt%以下の量などで存在する。
【0060】
一態様では、グリセリンは、全組成物の重量に対して1wt%以上の量、例えば、全組成物の重量に対して2wt%以上の量、全組成物の重量に対して4wt%以上の量、全組成物の重量に対して5wt%以上の量、全組成物の重量に対して7wt%以上の量、全組成物の重量に対して8wt%以上の量などで存在する。
【0061】
一態様では、グリセリンは、全組成物の重量に対して5〜15wt%の量、例えば、全組成物の重量に対して5〜10wt%の量、全組成物の重量に対して7〜9wt%の量などで存在する。
【0062】
好ましい組成物及び追加の構成要素
本発明の界面活性剤製品はまた、1又は2以上の許容される添加剤を含むことができる。当業者なら、このような組成物への組み込みに適した許容される添加剤の範囲を承知している。果実及びハーブ抽出物並びにジュース、植物油及び精油はすべて組成物に適合する。天然由来及び合成の両方の着色剤を使用して、界面活性剤製品を着色することができる。
【0063】
一実施形態では、許容される添加剤は、油、芳香剤、着色剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0064】
一実施形態では、許容される添加剤は、全組成物の重量に対して6wt%以下の量で存在する。一実施形態では、許容される添加剤は、全組成物の重量に対して5wt%以下の量で存在する。一実施形態では、許容される添加剤は、全組成物の重量に対して4wt%以下の量で存在する。一実施形態では、許容される添加剤は、全組成物の重量に対して約0.01wt%〜約5wt%の量で存在する。一実施形態では、許容される添加剤は、全組成物の重量に対して約0.01wt%〜約3wt%の量で存在する。
【0065】
本発明における成分は、保存剤、可溶化剤、又はエタノールなどのアルコールを必要としない。保存剤の使用は、皮膚を刺激する可能性を増大させる可能性がある。アルコールの使用は、皮膚を乾燥させる可能性がある。同様に、芳香剤は可溶化させる必要はなく、したがって、可溶化剤を回避することができる。
【0066】
好ましい一実施形態では、界面活性剤製品は、食器洗浄用洗剤である。
【0067】
好ましい一実施形態では、界面活性剤製品は、
(i)全組成物の重量に対して20〜37wt%の量の炭酸ナトリウム;
(ii)全組成物の重量に対して5〜21wt%の量の酒石クリーム;
(iii)全組成物の重量に対して15wt%以下の量のグリセリン;
(iv)全組成物の重量に対して3〜15wt%の量のラウリル硫酸ナトリウム、及び
(v)全組成物の重量に対して10〜25wt%の量のラウレス硫酸ナトリウム
を含む。
【0068】
上記の範囲は、構成要素各々の好ましい量を規定する。これらの範囲の各々は、単独で使用するか、又は1若しくは2以上の他の構成要素の範囲と組み合わせて、本発明の好ましい態様を実現することができる。
【0069】
プロセス
別の態様では、a)(i)炭酸ナトリウム;(ii)酒石クリーム;(iii)グリセリン;(iv)全組成物の重量に対して3〜15wt%の量のラウリル硫酸ナトリウム、及び(v)全組成物の重量に対して10〜25wt%の量のラウレス硫酸ナトリウムを含む組成物を調製するステップと;b)ステップa)の組成物を固化させるステップとを含む、界面活性剤製品を製造するプロセスを提供する。
【0070】
本発明の界面活性剤製品の形状は、限定されていない。界面活性剤製品は、美観上快いと思われる形状及び/又は製品の使用に役立つ形状を備えることもあり得る。例えば、界面活性剤製品は、それが、使用者に人間工学的に許容される形状に固化するように、製造することもあり得る。
【0071】
したがって、本発明のプロセスの一実施形態では、ステップa)の混合物を所定の形状に固化させる。
【0072】
本発明のプロセスの一実施形態では、ステップa)の混合物を型に圧入し、固化させ、次いで界面活性剤製品を製造する。
【0073】
本明細書に記載するように、界面活性剤製品は、1又は2以上の許容される添加剤をさらに含むことができる。一実施形態では、プロセスは、ステップa)の混合物と上記で定義した1又は2以上の許容される添加剤とを組み合わせるステップをさらに含む。
【0074】
方法
本発明の一態様では、(i)本明細書で定義する界面活性剤製品の有効量を水に溶解させて、水性清浄液を用意するステップと;
(ii)硬質面をその水性清浄液と接触させるステップとを含む、硬質面を清浄化する方法を提供する。
【0075】
さらなる広範な態様
さらなる広範な態様では、本発明は、以下のものを提供する:
態様1.(i)全組成物の重量に対して26〜40wt%の量の界面活性剤、
(ii)全組成物の重量に対して20〜37wt%の量の炭酸ナトリウム;
(iii)全組成物の重量に対して5〜21wt%の量の酒石クリーム;
(iv)全組成物の重量に対して15wt%以下の量のグリセリン
を含む固体状の界面活性剤製品。
態様2.全組成物の重量に対して30〜40wt%の量の界面活性剤を含む、態様1に記載の界面活性剤製品。
態様3.全組成物の重量に対して33〜37wt%の量の界面活性剤を含む、態様2に記載の界面活性剤製品。
態様4.全組成物の重量に対して34〜36wt%の量の界面活性剤を含む、態様3に記載の界面活性剤製品。
態様5.界面活性剤が、ラウレス硫酸ナトリウム、コカミドジエタノールアミン、ラウリルベタイン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、態様1〜4のいずれかに記載の界面活性剤製品。
態様6.全組成物の重量に対して25〜37wt%の量の炭酸ナトリウムを含む、態様1〜5のいずれかに記載の界面活性剤製品。
態様7.全組成物の重量に対して30〜37wt%の量の炭酸ナトリウムを含む、態様6に記載の界面活性剤製品。
態様8.全組成物の重量に対して33〜37wt%の量の炭酸ナトリウムを含む、態様7に記載の界面活性剤製品。
態様9.全組成物の重量に対して10〜21wt%の量の酒石クリームを含む、態様1〜8のいずれかに記載の界面活性剤製品。
態様10.全組成物の重量に対して15〜21wt%の量の酒石クリームを含む、態様9に記載の界面活性剤製品。
態様11.全組成物の重量に対して16〜19wt%の量の酒石クリームを含む、態様10に記載の界面活性剤製品。
態様12.全組成物の重量に対して5〜15wt%の量のグリセリンを含む、態様1〜11のいずれかに記載の界面活性剤製品。
態様13.全組成物の重量に対して5〜10wt%の量のグリセリンを含む、態様12に記載の界面活性剤製品。
態様14.全組成物の重量に対して7〜9wt%の量のグリセリンを含む、態様13に記載の界面活性剤製品。
態様15.油、芳香剤、着色剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される1又は2以上の添加剤をさらに含む、態様1〜14のいずれかに記載の界面活性剤製品。
態様16.芳香剤及び着色剤をさらに含む、態様15に記載の界面活性剤製品。
態様17.全組成物の重量に対して0.2wt%〜5wt%の量の1又は2以上の添加剤をさらに含む、態様15又は16に記載の界面活性剤製品。
態様18.食器洗浄用洗剤である、態様1〜17のいずれかに記載の界面活性剤製品。
態様19.a)(i)全組成物の重量に対して26〜40wt%の量の界面活性剤、(ii)全組成物の重量に対して20〜37wt%の量の炭酸ナトリウム;(iii)全組成物の重量に対して5〜21wt%の量の酒石クリーム;(iv)全組成物の重量に対して15wt%以下の量のグリセリンを含む組成物を調製するステップと、b)ステップa)の組成物を固化させるステップとを含む、態様1〜18のいずれかに記載の界面活性剤製品を製造するプロセス。
態様20.ステップa)の混合物を所定の形状に固化させる、態様21に記載のプロセス。
態様21.ステップa)の混合物と態様15に記載の1又は2以上の添加剤とを組み合わせるステップをさらに含む、態様19又は20に記載のプロセス。
態様22.態様19〜21のいずれかに記載のプロセスによって入手可能な製品。
態様23.態様19〜21のいずれかに記載のプロセスによって調製される製品。
態様24.(i)態様1〜18のいずれかに記載の界面活性剤製品の有効量を水に溶解させて、水性清浄液を用意するステップと;(ii)硬質面をその水性清浄液と接触させるステップとを含む、硬質面を清浄化する方法。
【実施例】
【0076】
次に、本発明を以下の非限定的な例を参照して説明する。
【0077】
以下の組成を有する界面活性剤製品を調製した。
【0078】
組成の配合は以下の通りである;
着色剤 0.5%
芳香剤 3.5%
ラウリル硫酸ナトリウム 4%
ラウレス硫酸ナトリウム 16%
ラウリルベタイン 5%
グリセリン 8%
炭酸ナトリウム 42%
酒石クリーム 21%
合計 100%
【0079】
製造プロセスは、着色剤及び芳香剤を、最初の界面活性剤(即ちラウリル硫酸ナトリウム及びラウレス硫酸ナトリウム)の一部とブレンドする必要がある。これにより、これらの成分が可溶化され、組成物内で、炭酸ナトリウム及び酒石クリームである粉末の間を、これらの成分が効率的に分散できるようになる。
【0080】
最初の界面活性剤(複数可)(ラウリル硫酸ナトリウム及びラウレス硫酸ナトリウム)の残りを、グリセリンとブレンドする。炭酸ナトリウム及び酒石クリームの粉末を混合する。芳香剤、着色剤、及び最初の界面活性剤をこの粉末に添加し、続いて、最初の界面活性剤の残り及びグリセリンを添加する。発泡性界面活性剤(ラウリルベタイン)を添加し、組成物を混合して、滑らかなペーストにする。ある量を適当な形状の型に圧入し、一般に12〜24時間硬化させる。次いで、その形状は型から容易に外れ、使用可能な状態となる。
【0081】
固体製品を水道水の流れの下に置いておくことによって、その製品を部分的に温水のシンク内で溶解させた。又は、固体製品を水中で動かして、泡を生じさせ、界面活性剤を溶解させることができる。界面活性剤製品の溶液を用意した。家庭料理に使用した陶器及び食卓用刃物の混合物をこの界面活性剤溶液で洗浄した。目視検査から、これら一式がきれいになり、油脂が付いていないことを確認できた。
【0082】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない、本発明の様々な改変形態及び変更形態は、当分野の技術者には明らかである。本発明を、特に好ましい実施形態に関して説明してきたが、特許請求の範囲に記載した本発明は、こうした特定の実施形態に必要以上に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、化学、生物学、又は関連する分野の当業者にとって明らかである、記載された本発明を実施するための形態に対する様々な改変は、以下の特許請求の範囲内にあることが意図される。