(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5925911
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】適応サンプル量子化のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/10 20060101AFI20160516BHJP
G01S 19/36 20100101ALI20160516BHJP
【FI】
H04B1/10 L
G01S19/36
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-547383(P2014-547383)
(86)(22)【出願日】2012年12月12日
(65)【公表番号】特表2015-509300(P2015-509300A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】US2012069248
(87)【国際公開番号】WO2013090434
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】61/570,042
(32)【優先日】2011年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591002810
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン ガイダンス アンド エレクトロニクス カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】グナワラデナ、サンジーブ
(72)【発明者】
【氏名】ディックマン、ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】コスグローブ、マシュー エイ.
【審査官】
野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−521677(JP,A)
【文献】
特表2009−515187(JP,A)
【文献】
特表2008−518542(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/090498(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/10
G01S 19/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応サンプル量子化システムであって、
符号化されたデータを含む無線周波数(RF)信号を受信するように構成されたアンテナと、
前記RF信号をアナログ電気信号に変換するように構成されたアナログアンテナ電子機器と、
前記アナログアンテナ電子機器に直接接続され、前記アナログ電気信号の複数の連続デジタルサンプルを生成するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)と、
前記複数の連続デジタルサンプルの特性に基づいてモードを決定し、決定されたモードに応じて少なくとも1つの閾値を選択するように構成された量子化器であって、前記量子化器は、各デジタルサンプルを前記少なくとも1つの閾値と比較して、それぞれのデジタルサンプルと比べて低減されたビット数を有する対応する複数の出力サンプルを生成するようにさらに構成され、前記量子化器は、前記比較に基づいて前記複数の連続デジタルサンプルにそれぞれ関連付けられる前記複数の出力サンプルを生成するように構成された変換ロジックを含み、前記複数の出力サンプルは、前記複数の出力サンプルの第1のセットと、前記複数の出力サンプルの第2のセットとを含み、前記変換ロジックはさらに、前記少なくとも1つの閾値により規定される値の範囲外の大きさを有する前記複数の連続デジタルサンプルのそれぞれに応答して、前記複数の出力サンプルの前記第1のセットをヌル値に設定するためのブランキング制御を行って潜在的干渉を実質的に軽減するように構成されている、前記量子化器と、
前記複数の出力サンプルの前記第2のセットに含まれる情報を確認してデータの抽出を容易化する相関器と、
を備えた適応サンプル量子化システム。
【請求項2】
前記量子化器は前記モードを決定するように構成されたモード制御器を含み、前記モードはRF信号に関連付けられる干渉の種類および無干渉のうちの1つに関連付けられ、前記モード制御器は、所定の期間にわたる前記複数の連続デジタルサンプルのセットに関連付けられるヒストグラムを作成し、該ヒストグラムの分布に基づいて前記モードを決定するように構成されたヒストグラムエンジンを含む、請求項1に記載の適応サンプル量子化システム。
【請求項3】
前記モード制御器は、前記ヒストグラムにおける前記複数の連続デジタルサンプルのセットの振幅の分布に基づいて前記少なくとも1つの閾値を生成するように構成された閾値生成器をさらに含む、請求項2に記載の適応サンプル量子化システム。
【請求項4】
前記ヒストグラムエンジンは、所定の期間にわたる前記複数の連続デジタルサンプルの複数のセットに基づいて複数のヒストグラムを生成するように構成され、前記閾値生成器は、前記複数のヒストグラムの各々に関連付けられる少なくとも1つの閾値を生成するように構成されている、請求項3に記載の適応サンプル量子化システム。
【請求項5】
前記閾値生成器は、前記複数の連続デジタルサンプルのセットに関連付けられる振幅ピークの略平均で第1閾値を生成し、前記第1閾値よりも所定の振幅だけ大きい位置で第2閾値を生成するとともに、前記第1閾値よりも前記所定の振幅だけ小さい位置で第3閾値を生成するように構成されている、請求項3に記載の適応サンプル量子化システム。
【請求項6】
前記量子化器は、
前記複数の連続デジタルサンプルの各々を前記少なくとも1つの閾値と比較して、前記複数の連続デジタルサンプルの各々の比較に関連付けられる比較コードを生成するように構成された比較器システムと、
前記比較コードを前記複数の出力サンプルのそれぞれに変換するように構成された変換ロジックと、
を含む、請求項1に記載の適応サンプル量子化システム。
【請求項7】
前記変換ロジックはさらに、前記少なくとも1つの閾値により規定される値の範囲外の大きさを有する前記複数の連続デジタルサンプルのそれぞれに応答して前記複数の出力サンプルの所与の1つをヌル値に設定するように構成されている、請求項6に記載の適応サンプル量子化システム。
【請求項8】
前記変換ロジックはさらに、前記複数の連続デジタルサンプルのセットに対して数学的アルゴリズムを実行して、前記ブランキング制御を行った後の前記複数の連続デジタルサンプルのセットに関連付けられる熱雑音分布の表現が崩壊した前記複数の出力サンプルを生成するように構成されている、請求項1に記載の適応サンプル量子化システム。
【請求項9】
前記量子化器は、前記複数の出力サンプルに関連付けられる拡張ダイナミックレンジを有する前記複数の連続デジタルサンプルをサンプリングするためにソフトウェア制御型アナログ利得制御を実行するように構成されている、請求項1に記載の適応サンプル量子化システム。
【請求項10】
請求項1に記載の適応サンプル量子化システムを少なくとも1つ備えたGPS受信機システムであって、前記複数の出力サンプルを相関させてGPSデータを確認するように構成されたGPS相関エンジンをさらに備えるGPS受信機システム。
【請求項11】
無線周波数(RF)入力信号を量子化するための方法であって、
符号化されたデータを含むRF入力信号をアンテナで受信すること、
アナログアンテナ電子機器を介して前記RF入力信号をアナログ電気信号に変換すること、
前記アナログ電気信号の複数の連続デジタルサンプルを生成すること、
所定の期間にわたる前記アナログ電気信号の前記複数の連続デジタルサンプルのセットのヒストグラムを生成すること、
前記ヒストグラムに基づいて少なくとも1つの閾値を選択すること、
前記複数の連続デジタルサンプルの各々を前記少なくとも1つの閾値と比較すること、
前記複数の連続デジタルサンプルの各々と前記少なくとも1つの閾値との比較に基づいて複数の出力サンプルを生成することであって、前記複数の出力サンプルの各々が、それぞれのデジタルサンプルと比べて低減されたビット数を有し、前記複数の出力サンプルは、前記複数の出力サンプルの第1のセットと、前記複数の出力サンプルの第2のセットとを含む、前記複数の出力サンプルを生成すること、
前記少なくとも1つの閾値により規定される値の範囲外の大きさを有する前記複数の連続デジタルサンプルのそれぞれに応答して、前記複数の出力サンプルの前記第1のセットをヌル値に設定するためのブランキング制御を行って、潜在的干渉を実質的に軽減すること、
前記複数の出力サンプルの前記第2のセットに含まれる情報を確認してデータの抽出を容易化すること
を備える方法。
【請求項12】
前記ヒストグラムに基づいて前記RF入力信号に関連付けられるモードを決定することをさらに備え、前記モードは前記RF入力信号に関連付けられる干渉の種類および無干渉のうちの1つに関連付けられ、前記少なくとも1つの閾値を選択することは、決定された前記モードに応じて前記少なくとも1つの閾値を選択することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の連続デジタルサンプルの各々を前記少なくとも1つの閾値と比較することは、
前記複数の連続デジタルサンプルの各々を前記少なくとも1つの閾値と比較して、前記複数の連続デジタルサンプルの各々の比較に関連付けられる比較コードを生成すること、
前記比較コードを前記複数の出力サンプルのそれぞれに変換すること、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の出力サンプルを生成することは、さらに、前記複数の連続デジタルサンプルに対して数学的アルゴリズムを実行して、前記複数の連続デジタルサンプルのそれぞれの非ヌル値に関連付けられる熱雑音分布の表現が崩壊した前記複数の出力サンプルを生成することを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの閾値を選択することは、前記ヒストグラムにおける前記複数の連続デジタルサンプルのセットの振幅の分布に基づいて少なくとも1つの閾値を選択することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記ヒストグラムを生成することは、所定の期間にわたる前記複数の連続デジタルサンプルの複数のセットに基づいて複数のヒストグラムを生成することを含み、
前記少なくとも1つの閾値を選択することは、前記複数のヒストグラムの各々に関連付けられる少なくとも1つの閾値を選択することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
適応サンプル量子化システムであって、
符号化されたデータを含む無線周波数(RF)信号を受信するように構成されたアンテナと、
前記RF信号をアナログ電気信号に変換するように構成されたアナログアンテナ電子機器と
前記アンテナに直接接続され、前記RF信号の複数の連続デジタルサンプルを生成するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)と、
量子化器であって、
所定の期間にわたる前記複数の連続デジタルサンプルのセットに関連付けられるヒストグラムを作成するとともに、前記ヒストグラムにおける前記複数の連続デジタルサンプルのセットの振幅の分布に基づいて少なくとも1つの閾値を生成するように構成されたモード制御器と、
前記複数の連続デジタルサンプルの各々を前記少なくとも1つの閾値と比較して、前記複数の連続デジタルサンプルの各々の比較に関連付けられる比較コードを生成するように構成された比較器システムと、
変換ロジックであって、
前記比較コードをそれぞれのデジタルサンプルと比べて低減されたビット数を有する複数の出力サンプルの各々に変換し、
前記比較に基づいて前記複数の連続デジタルサンプルにそれぞれ関連付けられる前記複数の出力サンプルを生成し、ここで、前記複数の出力サンプルは、前記複数の出力サンプルの第1のセットと、前記複数の出力サンプルの第2のセットとを含み、
前記少なくとも1つの閾値により規定される値の範囲外の大きさを有する前記複数の連続デジタルサンプルのそれぞれに応答して、前記複数の出力サンプルの前記第1のセットをヌル値に設定するためのブランキング制御を行って、潜在的干渉を実質的に軽減するように構成された前記変換ロジックと、
前記複数の出力サンプルの前記第2のセットに含まれる情報を確認してデータの抽出を容易化する相関器と
を含む前記量子化器と、
を備えた適応サンプル量子化システム。
【請求項18】
前記変換ロジックは、前記複数の連続デジタルサンプルに対して数学的アルゴリズムを実行して、前記ブランキング制御を行った後の前記複数の連続デジタルサンプルのセットに関連付けられる熱雑音分布の表現が崩壊した前記複数の出力サンプルを生成するように構成されている、請求項17に記載の適応サンプル量子化システム。
【請求項19】
前記ヒストグラムエンジンは、所定の期間にわたる前記複数の連続デジタルサンプルの複数のセットに基づいて複数のヒストグラムを生成するように構成され、前記閾値生成器は、前記複数のヒストグラムの各々に関連付けられる少なくとも1つの閾値を生成するように構成されている、請求項17に記載の適応サンプル量子化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して無線周波数(RF)受信機システムに関し、特に適応サンプル量子化のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全地球測位衛星(GPS)信号のような特定の符号化無線周波数(RF)信号は、雑音および/または他の干渉と比べて弱い振幅を有することがあり、信号を検出し復号することが難しくなる。例えばGPS信号は、熱雑音による強度より約30dB弱い場合がある。したがって、そのような信号は同一周波数帯域のより強い信号の伝送によって容易に妨害され得る。一部の受信機は、信号をアナログデジタル変換器(ADC)によって最適にサンプリングすることができるようにアナログフロントエンド段の利得を調整する自動利得制御(AGC)回路構成を含む。典型的な受信機は、比較的低いダイナミックレンジ(例えば1ビットないし4ビットの分解能)を有するADCを実現する。したがって、そのような受信機が干渉を受けると、AGC回路構成は、受信信号のアナログダイナミックレンジをADCの比較的低いダイナミックレンジ内に収まるように低減することができ、こうしてその中で符号化されるデータを抑制する。その結果、符号化されたデータは、干渉の存在下におけるAGCのそのような動作によって喪失されるか、あるいは厳しく制限され得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つの実施形態は、適応サンプル量子化システムを含む。適応サンプル量子化システムは、符号化されたデータを含む無線周波数(RF)信号を受信するように構成されたアンテナと、RF信号をアナログ電気信号に変換するように構成されたアナログアンテナ電子機器とを含む。システムはまた、アンテナに直接接続され、かつRF信号の複数の連続デジタルサンプルを生成するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)を含む。システムはさらに、複数の連続デジタルサンプルに基づいてモードを決定しかつ決定されたモードに基づいて少なくとも1つの閾値を選択するように構成された量子化器を含む。量子化器は、各デジタルサンプルを少なくとも1つの閾値と比較し、それぞれのデジタルサンプルと比べて低減されたビット数を有する複数の出力サンプルのうちの対応する1つを生成して、潜在的干渉を実質的に軽減すると共にデータの抽出を容易化するように構成することができる。
【0004】
本発明の別の実施形態は、無線周波数(RF)入力信号を量子化するための方法を含む。方法は、符号化されたデータを含むRF入力信号をアンテナで受信すること、RF信号の複数の連続デジタルサンプルを生成することを含む。方法はまた、所定の期間にわたるRF信号の複数の連続デジタルサンプルのセットのヒストグラムを生成することを含む。方法はまた、ヒストグラムに基づいて少なくとも1つの閾値を選択し、かつ複数のデジタルサンプルの各々を少なくとも1つの閾値と比較することを含む。方法はさらに、それぞれの複数のデジタルサンプルの各々と少なくとも1つの閾値との比較に基づいて複数の出力サンプルを生成することを含む。複数の出力サンプルの各々がそれぞれの複数のデジタルサンプルの各々と比べて低減されたビット数を有することで、潜在的干渉を実質的に軽減すると共にデータの抽出を容易化することができる。
【0005】
本発明のさらに別の実施形態は、適応サンプル量子化システムを含む。適応サンプル量子化システムは、符号化されたデータを含む無線周波数(RF)信号を受信するように構成されたアンテナと、RF信号をアナログ電気信号に変換するように構成されたアナログアンテナ電子機器とを含む。システムはまた、アンテナに直接接続され、かつRF信号の複数の連続デジタルサンプルを生成するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)を含む。システムはさらに量子化器を含む。量子化器は、所定の期間にわたる複数の連続デジタルサンプルのセットに関連付けられるヒストグラムを作成し、かつヒストグラムにおける複数の連続デジタルサンプルのセットの振幅の分布に基づいて少なくとも1つの閾値を生成するように構成されたモード制御器を含む。量子化器はまた、複数の連続デジタルサンプルの各々を少なくとも1つの閾値と比較して、複数の連続デジタルサンプルの各々の比較に関連付けられる比較コードを生成するように構成された比較器システムを含む。量子化器はさらに、比較コードをそれぞれのデジタルサンプルと比べて低減されたビット数を有する複数の出力サンプルにそれぞれ変換することで、潜在的干渉を実質的に軽減すると共にデータの抽出を容易化するように構成された変換ロジックを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の態様に係る適応サンプル量子化システムの実施例を示す。
【
図2】本発明の態様に係る量子化器の実施例を示す。
【
図3】本発明の態様に係る全地球測位システム(GPS)信号のタイミングダイヤグラムの実施例を示す。
【
図4】本発明の態様に係るGPS信号のダイヤグラム例を示す。
【
図5】本発明の態様に係る変更GPS信号のダイヤグラム例を示す。
【
図6】本発明の態様に係る別の変更GPS信号のダイヤグラム例を示す。
【
図7】本発明の態様に係るGPS受信機システムの実施例を示す。
【
図8】本発明の態様に係るRF入力信号を量子化するための方法の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は概して無線周波数(RF)受信機システムに関し、特に適応サンプル量子化のためのシステムおよび方法に関する。GPS受信機のようなRF受信機は、適応サンプル量子化システムを含むことができる。適応サンプル量子化システムは、高分解能アナログデジタル変換器(ADC)に提供されるRF信号を受信するように構成されたアンテナを含む。高分解能ADCはしたがって、RF信号に関連付けられる複数の連続デジタルサンプルを生成するように構成される。適応サンプル量子化システムはまた、複数の連続デジタルサンプルを複数の連続デジタルサンプルに相応する複数の出力サンプルに変換するように構成された量子化器を含む。出力サンプルは各々が少なくとも1ビットを有することができ、そのビット数は、連続デジタルサンプルの各々に関連付けられる複数のビット数より少ない。
【0008】
量子化器は、検出された干渉の種類(すなわちモード)に基づいて、少なくとも1つの閾値を設定するように構成されたモード制御器を含むことができる。少なくとも1つの閾値は、連続デジタルサンプルのデータ値のヒストグラムに基づいて、それぞれ1つ以上の大きさに設定することができる。したがって、少なくとも1つの閾値は、ヒストグラムを形成するデジタルサンプルの各セットでプログラム可能にすることができる。したがって連続デジタルサンプルを少なくとも1つの閾値と比較して、比較コードを生成することができる。こうして、比較コードは、出力サンプルを生成するように構成された変換ロジックに提供することができる。変換ロジックは、少なくとも1つの閾値によって設定された振幅の範囲外の振幅を有するそれぞれのデジタルサンプルに応答して、出力サンプルのうちの所与の1つのサンプルの値をヌルにするブランキング制御を実行するように構成することができる。変換ロジックはまた、デジタルサンプルに関連付けられる干渉を実質的に除去する数学的アルゴリズムを実現するように構成することもできる。こうして、ヌル値を含め、出力サンプルの相関を実行して、受信RF信号を復調するために干渉を実質的に緩和することができる。
【0009】
本明細書に記載するシステムは、アナログおよびデジタル両方の利得制御を包含しかつ各々の便益を含むスマート利得制御(SGC)として記載することができる。アナログ利得制御の場合、SGCは、ジャミングの存在下で最高の信号忠実度が得られる(例えば最低雑音指数で線形動作を維持する)ように、広範囲(例えば約72dB)の利用可能なフロントエンドアナログ利得を動的に調整することができる。ジャミング環境に盲目的に応答する従来のGPS受信機における自動利得制御(AGC)とは異なり、関連プロセッサ内の高度アルゴリズムによって指令される高速応答SGCは、現行の軍用ナビゲーションシステムを超えるような追加のアンチジャミング能力を提供することができる。加えて、SGCのアナログ利得制御は、サンプルの線形性を維持するように、適応サンプル量子化システムと連携して動作する。
【0010】
デジタル側では、SGCエンジンは、効果的なデジタルダイナミックレンジ(例えば約60dB)が得られるように、12ビットのサンプルに対しサンプル毎にアンチジャミング処理を実行することができる。この拡張ダイナミックレンジは、高度なサンプルレベルのジャミング軽減技術を実現するために使用され、潜在的に、連続波(CW)、掃引CW、および狭帯域ジャマに対し約10dBの処理利得を生じるだけでなく、パルスジャマに対しても約3dBから約15dBの処理利得を生じることができる。ジャミング(すなわち干渉を含む)条件下で、12ビットの中心量子化を実行することができ、それはサンプルブランキングを可能にする。通常の条件下では、非中心量子化を使用することができ、こうして信号相関結果を最大化する。SGCは量子化器を干渉信号の「上に乗せて」、GPS処理情報を抽出することを可能にする。このエンジンはまた、サンプルレベルのパルスブランキングを可能にし、それによって相関器をブランキングし、ジャミングの影響を軽減することができる。次いで非中心量子化器の出力を再量子化して、相関のためのサンプルを出力することができ、こうして相関器に対する処理の影響が軽減される。
【0011】
図1は、本発明の態様に係る適応サンプル量子化システム10の実施例を示す。適応サンプル量子化システム10は、GPS受信機のような種々の受信機システムでフロントエンドに実現することができる。一例として、適応サンプル量子化システム10は、GPSデジタルビーム形成相関システムのためのデジタルアンテナ電子機器(DAE)用の分離セットの各々に実現することができる。
【0012】
適応サンプル量子化システム10はアンテナ12、アンテナ電子機器13、およびADC14を含む。アンテナ12は、GPS信号のようなRF信号を受信し、かつRF信号をアンテナ電子機器13に提供するように構成される。
図1の実施例では、RF信号はアンテナ12から提供される信号INとして示され、アンテナ電子機器13を介してアナログ電気信号IN_ANに変換される。ADC14はアンテナ電子機器13に直接接続され、アナログ電気信号IN_ANの複数の高分解能連続デジタルサンプルを生成するように構成される。一例として、高分解能デジタルサンプルは各々、少なくとも10より大きい数(例えば12)のビット量を有することができ、高いサンプルレート(例えば数十MHz)で生成することができる。その結果、適応サンプル量子化システム10は自動利得制御(AGC)システムを含まず、代わりに、デジタルサンプルが比較的高いダイナミックレンジ(例えば約72dB)を有するように、アナログRF信号を高い忠実度でサンプリングすることによって、ソフトウェア制御型アナログ利得制御を実現する。したがって、ADC14によって生成されるデジタルサンプルは、受信RF信号INに加えられた干渉を含むことがあり得る。
図1の実施例では、ADC14によって生成されたデジタルサンプルは信号SMPLとして示される。
【0013】
デジタルサンプルSMPLは量子化器16に提供される。量子化器16は、デジタルサンプルSMPLの各々を、
図1の実施例ではQNTとして示される、複数の連続出力サンプルの対応する1つに変換するように構成される。出力サンプルQNTの各々は、デジタルサンプルSMPLの各々のビット数より少ない数のビット量を有することができる。一例として、出力サンプルQNTの各々は3ビットを含むことができ、それは、例えばRF信号IN内の干渉の種類に基づいて、デジタルサンプルSMPLの各々におけるビットのサブセットの量子化とすることができる。量子化器16は、デジタルサンプルにおける干渉が実質的に軽減されるように、出力サンプルQNTを生成することができる。その結果、出力サンプルQNTを相関エンジンに提供して、RF信号INに変調されたデータを確認することができる。
【0014】
図1の実施例では、量子化器16は、デジタルサンプルSMPLを少なくとも1つの閾値と比較するように構成された比較器システム18を含む。少なくとも1つの閾値は、少なくとも1つの閾値を、デジタルサンプルSMPLの新たなセット毎に変更することができるように、デジタルサンプルSMPLのセットのヒストグラムに基づいてプログラムすることができる。したがって、量子化器16は、デジタルサンプルSMPLと少なくとも1つの閾値との比較に基づいて、出力サンプルQNTを生成することができる。加えて、デジタルサンプルSMPLから出力サンプルQNTへの変換は、ヒストグラムにおけるデジタルサンプルSMPLのセットによって決定される、量子化器16の動作モードに基づくことができる。動作モードは、連続波(CW)またはパルス(すなわちクリップ)干渉のような、RF信号IN内の干渉の種類に基づくことができる。量子化器16は、ヌル値が実質的に零に相関されるように、少なくとも1つの閾値によって設定される振幅の範囲外の出力サンプルQNTの値をヌルにするブランキング制御を実現することができる。したがって、出力サンプルQNTを復号する際に、RF信号INに対する干渉を実質的に軽減することができる。
【0015】
図2は、本発明の態様に係る量子化器50の実施例を示す。量子化器50は、
図1の実施例における量子化器16に対応することができる。したがって、
図2の実施例についての以下の説明では、
図1の実施例を参照する。さらに、量子化器50はハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せによって実現することができることを理解されたい。
【0016】
量子化器50は、(例えばADC14から)量子化器50に入力されるデジタルサンプルSMPLを監視するように構成されたモード制御器52を含む。モード制御器52は、ヒストグラムエンジン54および閾値生成器56を含む。ヒストグラムエンジン54は、所定の期間にわたる連続デジタルサンプルSMPLのセットのヒストグラムを生成するように構成される。連続デジタルサンプルSMPLのセットはしたがってデジタルサンプルSMPLの相対振幅を示し、RF信号INにおける干渉の存在を決定し、かつ干渉の種類(例えばCWまたはパルス)に対応するモードを決定することができる。閾値生成器56はしたがって、決定されたモードに基づいて、少なくとも1つの閾値を算出することができる。例えば、閾値生成器56は、ヒストグラムエンジン54によって生成されたヒストグラムにおける振幅の分布に基づいて、少なくとも1つの閾値を算出することができる。加えて、ヒストグラムエンジン54は、所定の期間にわたる後続の連続デジタルサンプルSMPLのセットに基づいて、後続のヒストグラムを連続的に生成するように構成することができるので、閾値生成器56は、後続ヒストグラムにおける連続デジタルサンプルSMPLの振幅の分布に基づいて、閾値を連続的に生成することができる。一例として、連続デジタルサンプルSMPLの各々が単一のヒストグラムだけに含まれるように、各ヒストグラムにおける連続デジタルサンプルのセットは離散させることができる。別の例として、例えば重複するヒストグラムまたは単一の連続的に変化するヒストグラムにおける連続デジタルサンプルSMPLの振幅の分布の統計的変化に基づいて、閾値が連続的に変化することができるように、ヒストグラムは実質的に重複することができる。
【0017】
少なくとも1つの閾値は、デジタルサンプルSMPLの各々におけるビット数に等しいビット数を有するデジタル閾値とすることができる。一例として、デジタルサンプルSMPLのセットに基づいてRF信号INにおけるCW干渉の存在が決定されると、閾値エンジン56は、デジタルサンプルSMPLのセットに関連付けられる振幅ピークの略平均で第1閾値を算出し、かつそれぞれ第1閾値より大きい所定の振幅および小さい所定の振幅(例えば略3標準偏差、または+/−所定の百分率)で第2および第3閾値を算出するように構成することができる。したがって、第1、第2、および第3閾値は、RF信号INに存在する干渉に乗っている熱雑音信号の推定を提供することができる。
【0018】
図2の実施例では、算出された閾値は、信号THRESHとして比較器システム58に提供される。したがって、比較器システム58は、それぞれの1つ以上の閾値が各々にロードされた1つ以上のデジタル比較器を含むことができる。その結果、比較器システム58における各比較器は、各デジタルサンプルSMPLをそれぞれの閾値の各々と比較するように構成することができる。その結果、比較器システム58は、比較コードが閾値THRESHに対するデジタルサンプルSMPLの各々の相対振幅を表すことができるように、デジタルサンプルSMPLと閾値THRESHとの比較に対応する比較コードCMPを生成することができる。
【0019】
比較コードCMPおよびデジタルサンプルSMPLは、デジタルサンプルSMPLの各々に関連付けられる対応する比較コードCMPに基づいて、デジタルサンプルSMPLを対応する出力サンプルQNTに変換するように構成された変換ロジック60に提供される。
図2の実施例では、モード制御器52は、変換ロジック60に干渉の種類を指摘するために、信号MODEを変換ロジック60に提供することができる。一例として、デジタルサンプルSMPLに関連付けられる比較コードCMPから対応する出力サンプルQNTへの変換は、信号MODEによって指摘されるモードに基づくことができる。別の例として、出力サンプルQNTは、モード情報を下流の相関エンジンに提供することができるように、信号MODEによって提供されるモード情報を含むことができる。それに関係なく、閾値はヒストグラムエンジン54によって収集されるデジタルサンプルSMPLのセットの振幅に基づいてプログラムされるので、変換ロジック60は、関連付けられる適応サンプル量子化システム10のAGCを使用することなく、RF信号INに変調されるデータ(例えばGPSデータ)に相応する方法で、出力サンプルQNTを生成することができる。
【0020】
図2の実施例では、変換ロジック60は、例えば信号MODEによって提供されるモード情報に基づいて、RF信号INに存在する干渉によって生じる振幅変動が大きいデジタルサンプルSMPLに対応する出力サンプルQNTに対し、ヌル値を設定するように構成されたブランキング制御62を含む。実質的に安定した振幅を有するデジタルサンプルSMPLの連続グループ化のための値の範囲を規定するために、例えば、少なくとも1つの閾値THRESHを算出することができる。したがって、ブランキング制御62は、少なくとも1つの閾値THRESHによって設定される規定の値の範囲外の振幅を有し、したがって干渉の結果大きい振幅の変動を有するデジタルサンプルSMPLに対応する出力サンプルQNTに対し、ヌル値を設定することができる。したがって、ヌル値の出力サンプルQNTは下流の相関エンジンに対し不可視のようになることができるので、ブランキング制御62は実質的に、RF信号IN内のデータを復号するために、RF信号INに存在する干渉を軽減することができる。
【0021】
図3は、本発明の態様に係るGPS信号102のタイミングダイヤグラム100の一例を示す。タイミングダイヤグラム100におけるGPS信号102は、
図1の実施例におけるアンテナ12によって受信されたRF信号INに対応することができる。タイミングダイヤグラム100は、GPS信号102が、それに重ね合わされた例えばジャミング源からのCW干渉を受けていることを示す。その結果、GPS信号102は、
図3の例で描かれた間隔の約6個分にまたがるものとして示された、CW干渉に基づく振幅の周期的な大きい変動を有する。加えて、GPS信号102は、描かれた振幅の間隔の半分より小さいものとして示された、熱雑音に基づく振幅の小さい変動を有する。GPS信号102は、熱雑音内に符号化されたGPSデータを含むことができる。
【0022】
図4は、本発明の態様に係るGPS信号102のダイヤグラム例150を示す。ダイヤグラム150はまた、GPS信号102の正および負の各ピークに関連付けられる閾値のセットを含む。例えば、ヒストグラムエンジン54は、GPS信号102に対応するデジタルサンプルSMPLのセットを連続的に収集することができる。モード制御器52はこうしてGPS信号102に存在する干渉の種類(例えばCW干渉)を決定することができ、閾値生成器は、例えば様々な所定の間隔の各々で、収集されたデジタルサンプルのセットに基づいて、閾値を算出することができる。
【0023】
図4の例では、閾値t
0は、GPS信号102に関連付けられる正および負の各ピークに略対応する振幅を有するように算出される。一例として、閾値t
0は、GPS信号102のそれぞれの正および負のピークの各々に対し、それぞれのデジタルサンプルSMPLの正および負の最大振幅に対応することができる。別の例として、閾値t
0は、GPS信号102のそれぞれの正および負のピークの各々に対し、デジタルサンプルSMPLのセットのピーク振幅値の数学的評価に対応する振幅を有することができる。加えて、閾値t
1は、閾値t
0の各々より所定の大きさだけ大きい絶対値振幅を有するように算出される。例えば、閾値t
1は、例えばADC12のサンプリングレートに基づいて、略3標準偏差(すなわち3σ)である絶対値振幅または閾値t
0の絶対値より所定の百分率だけ大きい絶対値振幅を有することができる。同様に、閾値t
2は、閾値t
0の各々より所定の大きさだけ小さい絶対値振幅を有するように算出される。閾値t
2は、閾値t
0とt
1との差と等しくかつ逆方向の振幅を有することができ、あるいは閾値t
0とt
1との差とは異なる振幅を有することができる。
図4の例では、閾値t
0、t
1、およびt
2は全て、GPS信号102に関連付けられる正および負のピークの各々で区別できる振幅を有することができ、かつ各々、マルチビット(例えば12ビット)デジタル値として算出することができる。
【0024】
再び
図2の実施例を参照すると、比較器システム58は、デジタルサンプルSMPLを閾値t
0、t
1、およびt
2の各々と比較して、比較コードを生成するように構成することができる。比較コードCMPはしたがって、閾値t
0、t
1、およびt
2に対して相対的な、所与の1つのデジタルサンプルSMPLの振幅の指標を提供することができる。したがって、比較コードCMPは、所与の1つのデジタルサンプルSMPLが、閾値t
0、t
1、およびt
2によって規定される振幅の範囲外の振幅を有するかどうか、例えば閾値t
1より大きいか、または閾値t
2より小さいかどうかを示すことができる。したがって、比較コードCMPは、ブランキング制御62が対応する出力サンプルQNTのためのヌル値を設定することができるように、そのような振幅を示すことができる。加えて、比較コードCMPはまた、閾値t
0とt
1との間(例えば「+1」値)または閾値t
0とt
2との間(例えば「−1」値)にあるデジタルサンプルSMPLの振幅を示すことができ、それはしたがって熱雑音内に符号化されたGPSデータに対応することができる。その結果、変換ロジックは、出力サンプルQNTを相関させてGPSデータを復号することができるように、出力サンプルQNTに「+1」および「−1」の値を提供することができる。
【0025】
別の例として、変換ロジック60は、比較器システム58がブランキング制御62を実現するためにだけ使用されるように、デジタルサンプルSMPLを処理してそれぞれの出力サンプルQNTを直接生成するように構成することができる。そのような実現を
図5に関連して説明する。
図5は、本発明の態様に係る変更GPS信号252のダイヤグラム例250を示す。変更GPS信号252は、
図2の実施例におけるブランキング制御62によって処理されたGPS信号102に対応することができる。一例として、少なくとも1つの閾値は単一閾値(例えば
図4の例に示す閾値t
2)のみを含むことができ、この単一閾値は、当該単一閾値の絶対値振幅よりも低いデジタルサンプルSMPLの許容できない絶対値振幅を規定する。
【0026】
比較器システム58はこうしてデジタルサンプルSMPLを閾値生成器56によって設定された単一閾値と比較して比較コードCMPを生成することができる。こうして、比較コードCMPは、それぞれのデジタルサンプルSMPLに対応する所与の出力サンプルQNTをヌル値に設定すべきか否かを指示することができる。
図5の例では、変更GPS信号252は、
図3および
図4の例におけるGPS信号102のデジタルサンプルSMPLの絶対値振幅が、閾値t
2によって設定される振幅の範囲より低かった位置にヌル値を有することが示される。結果的に得られる変更GPS信号252はしたがってヌル値と、干渉を含む許容可能なデジタルサンプルSMPLの振幅とを含む。
【0027】
変換ロジック60はこうして、変更GPS信号252に対し1つ以上の数学的アルゴリズムを実現して、変更GPS信号252を出力サンプルQNTに変換することができる。一例として、変換ロジック60は、変更GPS信号252のデジタルサンプルSMPLの各々の絶対値の平均を決定することができる。次いで平均をその後に変換ロジック60によって除去して、干渉の上に乗っている熱雑音分布をゼロの大きさ平均に崩壊させ、こうして干渉を軽減することができる。結果的に得られる信号を
図6の例に示す。
図6は、本発明の態様に係る別の変更GPS信号252のダイヤグラム例250を示す。変更GPS信号252は、例えば上述した干渉を実質的に軽減するように、変換ロジック60によって処理された信号に対応することができる。変更GPS信号252はこうして、変換ロジック60から出力サンプルQNTとして出力することができる。したがって、変換ロジック60によって提供された出力サンプルQNTを相関させて、GPSデータを復号することができる。
【0028】
図7は、本発明の態様に係るGPS受信機システム300の実施例を示す。GPS受信機システム300は、航空機、船舶用途、および/または兵器誘導システムのような種々のナビゲーション用途に実現することができる。GPS受信機システム300は、各々がそれぞれの複数個Nのデジタルアンテナ電子機器(DAE)304に接続された複数個Nのアンテナ302を含み、ここでNは正の整数である。アンテナ302は各々が、
図7の例で信号GPS−RF_1ないしGPS−RF_Nとして示されたGPS信号を受信するように構成される。GPS信号GPS−RF_1ないしGPS−RF_Nは各々、空間的に分離した同一のGPS信号GPS−RFに対応することができることを理解されたい。したがって、アンテナ302およびそれぞれのDAE304は、GPS信号GPS−RF内に符号化されたGPSデータのデジタルビーム形成を可能にすることができる。
【0029】
DAE304の各々は、
図1の実施例における適応サンプル量子化システム10と実質的に同様に構成することのできる適応サンプル量子化システム306を含むことができる。したがって、適応サンプル量子化システム306はアンテナ電子機器と、信号GPS−RF_1ないしGPS−RF_Nのそれぞれを12ビットのような高分解能でサンプリングするように構成されたADCとを含むことができる。その結果、適応サンプル量子化システム306はAGCシステムを含まないが、代わりに、アナログ電気信号GPS−RF_1ないしGPS−RF_Nのそれぞれを関連するアンテナ電子機器から直接的に高い忠実度でサンプリングすることによって、ソフトウェア制御型アナログ利得制御を実現するので、デジタルサンプルは比較的高いダイナミックレンジ(例えば約72dB)を有する。適応サンプル量子化システム306はまた、ADCによって生成されたデジタルサンプルを、
図7の実施例にそれぞれの信号GPS−QNT_1ないしGPS−QNT_Nとして示されるそれぞれの出力サンプルに量子化するように構成された、
図2の実施例の量子化器50のような量子化器を含むことができる。出力サンプルGPS−QNT_1ないしGPS−QNT_Nはこうして、GPS信号GPS−RF_1ないしGPS−RF_Nのビット数より少ないビット数を有することができる。
【0030】
一例として、適応サンプル量子化システム306の量子化器は、GPS信号GPS−RFのデジタルサンプルのヒストグラムを生成して、GPS信号GPS−RFに存在する干渉に対応するモードを決定するように構成することができる。量子化器はこうして、モードおよびヒストグラムにおけるデジタルサンプルのセットに基づいて、少なくとも1つの閾値を算出することができる。その結果、量子化器はGPS信号GPS−RFのデジタルサンプルを少なくとも1つの閾値と比較して、比較コードを生成することができる。したがって、量子化器の変換ロジックは、GPS信号GPS−RFのデジタルサンプルを変換コードに基づいてそれぞれの出力サンプルGPS−QNTに変換することができる。出力サンプルGPS−QNTはこうして、少なくとも1つの閾値によって規定される許容可能な振幅範囲外のGPS信号GPS−RFのデジタルサンプルの振幅に対応するヌル値を含むことができる。
【0031】
それぞれのDAE304の各々によって提供された出力サンプルGPS−QNT_1ないしGPS−QNT_Nは、GPS相関エンジン308に提供される。GPS相関エンジン308はこうして、出力サンプルGPS−QNT_1ないしGPS−QNT_Nのそれぞれのセットを相関させるように構成することができる。こうして、GPS信号GPS−RF_1ないしGPS−RF_Nの各々内に符号化されたGPSデータを相関させて、GPS情報を確認することができる。
【0032】
前述したような構造上および機能上の特徴に鑑み、本発明の種々の態様に係る方法は、
図8を参照することにより一層よく理解され得る。説明を簡潔にするために、
図8の方法は順次実行するように示されかつ記載されているが、本発明によると、一部の態様は、本明細書に示しかつ記載したものとは異なる順序で、および/または他の態様と同時に行うことができるので、本発明は示された順序に限定されないことを理解かつ認識されたい。さらに、本発明の態様に係る方法を実現するために、図示した全ての特徴が要求されなくてもよい。
【0033】
図8は、本発明の態様に従ってRF入力信号を量子化するための方法350の一例を示す。352で、RF入力信号はアンテナで受信され、RF入力信号はその中に符号化されたデータを有する。RF入力信号はGPS信号に対応することができる。354で、RF信号は、アナログアンテナ電子機器を介してアナログ電気信号に変換される。356で、RF信号の複数の連続デジタルサンプルが生成される。連続デジタルサンプルは、例えば10以上のビット(例えば12ビット)を有する高忠実度サンプルとすることができる。358で、所定の期間にわたるRF信号の複数の連続デジタルサンプルのセットのヒストグラムが生成される。ヒストグラムは、複数の連続ヒストグラムの1つ、または連続的な一連のデジタルサンプルに基づく連続更新ヒストグラムとすることができる。
【0034】
360で、ヒストグラムに基づいて、少なくとも1つの閾値が選択される。少なくとも1つの閾値は、ヒストグラムにおけるデジタルサンプルのセットに関連付けられる振幅の分布に基づいて選択することができる。少なくとも1つの閾値は、関心範囲外にありしたがってヌル値に設定されるデジタルサンプルの振幅を規定する、単一の閾値を含むことができる。少なくとも1つの閾値はまた、ヒストグラムにおけるピーク振幅の平均に関連付けられる第1閾値のみならず、第1閾値より所定の振幅だけそれぞれ上および下に対応する第2閾値および第3閾値を含むことができる。362で、複数のデジタルサンプルの各々は少なくとも1つの閾値と比較される。デジタルサンプルの各々は、それぞれの閾値の各々と比較することができる。364で、複数の出力サンプルは、それぞれの複数のデジタルサンプルの各々と少なくとも1つの閾値との比較に基づいて生成され、複数の出力サンプルの各々は、それぞれの複数のデジタルサンプルの各々と比べて減少したビット数を有し、潜在的干渉を実質的に軽減し、かつデータの抽出を容易化する。出力サンプルは、比較に応答して生成される変換コードに基づいて生成することができる。
【0035】
以上は本発明の実施例である。言うまでもなく、本発明を説明するために構成要素または方法の考えられる全ての組合せを記載することは不可能であるが、本発明の多くのさらなる組合せおよび置換が可能であることを当業者は理解し得る。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の思想および範囲内に含まれる全てのそのような変形、変更、および変化を包含する。