(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5925947
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】まつげエクステ評価装置、まつげエクステ評価方法、まつげエクステ評価システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/60 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
G06T7/60 150G
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-201617(P2015-201617)
(22)【出願日】2015年10月10日
【審査請求日】2015年10月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515283507
【氏名又は名称】合同会社PIT
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】特許業務法人JAZY国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】友田 美緒
(72)【発明者】
【氏名】小澤 凌太
(72)【発明者】
【氏名】島田 卓也
【審査官】
松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第02/051285(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0309300(US,A1)
【文献】
特開2006−120006(JP,A)
【文献】
特開2009−211721(JP,A)
【文献】
特開2012−038296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 − 7/60
G06T 1/00
G06F 17/50
A41G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
まつげエクステの評価を行う装置であって、
画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データより前記まつげエクステの曲線データを抽出する画像抽出部と、
前記曲線データにより特定される曲線を円弧と仮定したときの当該円弧を一部に有する円の半径を算出する数値演算部と、
前記半径に基づいて前記まつげエクステを評価する評価部と、を備え、
前記数値演算部は、前記円弧を一部とする円の中心とまつげエクステ部分の各画素がなす複数の線分のうち任意の2本の線分を選択したときの円弧の中心角の最大値を前記円弧の中心角として算出し、前記円弧の長さ、前記円弧の太さを更に算出する
まつげエクステ評価装置。
【請求項2】
前記画像抽出部は、前記画像データからまつげエクステ部分の画素を抽出し、当該画素を2次曲線で近似することで得られた座標データを前記曲線データとし、
前記数値演算部は、前記画素と実長との比率に基づいて、前記円弧の長さ、前記円弧の半径、前記円弧の太さの少なくともいずれかを更に算出する
請求項1に記載のまつげエクステ評価装置。
【請求項3】
前記評価とは、まつげエクステを、前記半径に基づいて、Jカール、Cカール、CCカール、及びDカールのいずれかに分類することである
請求項1又は請求項2に記載のまつげエクステ評価装置。
【請求項4】
まつげエクステの評価を行う方法であって、
画像データを取得する第1のステップと、
前記画像データより前記まつげエクステの曲線データを抽出する第2のステップと、
前記曲線データにより特定される曲線を円弧と仮定したときの当該円弧を一部に含む円の半径を算出すると共に、前記円弧を一部とする円の中心とまつげエクステ部分の各画素がなす複数の線分のうち任意の2本の線分を選択したときの円弧の中心角の最大値を前記円弧の中心角として算出し、前記円弧の長さ、前記円弧の太さを算出する第3のステップと、
前記半径に基づいて前記まつげエクステを評価する第4のステップと、を有する
まつげエクステ評価方法。
【請求項5】
前記第2のステップでは、前記画像データからまつげエクステ部分の画素を抽出し、当該画素を2次曲線で近似することで得られた座標データを前記曲線データとし、
前記第3のステップでは、前記画素と実長との比率に基づいて、前記円弧の長さ、前記円弧の半径、前記円弧の太さの少なくともいずれかを更に算出する
請求項4に記載のまつげエクステ評価方法。
【請求項6】
前記評価とは、まつげエクステを、前記半径に基づいて、Jカール、Cカール、CCカール、及びDカールのいずれかに分類することである
請求項4又は請求項5に記載のまつげエクステ評価方法。
【請求項7】
コンピュータを、
画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データより前記まつげエクステの曲線データを抽出する画像抽出部と、
前記曲線データにより特定される曲線を円弧と仮定したときの当該円弧を一部に含む円の半径を算出する数値演算部と、
前記半径に基づいて前記まつげエクステを評価する評価部として機能させ、
前記数値演算部は、前記円弧を一部とする円の中心とまつげエクステ部分の各画素がなす複数の線分のうち任意の2本の線分を選択したときの円弧の中心角の最大値を前記円弧の中心角として算出し、前記円弧の長さ、前記円弧の太さを更に算出する
プログラム。
【請求項8】
前記画像抽出部は、前記画像データからまつげエクステ部分の画素を抽出し、当該画素を2次曲線で近似することで得られた座標データを前記曲線データとし、
前記数値演算部は、前記画素と実長との比率に基づいて、前記円弧の長さ、前記円弧の半径、前記円弧の太さの少なくともいずれかを更に算出する
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記評価とは、まつげエクステを、前記半径に基づいて、Jカール、Cカール、CCカール、及びDカールのいずれかに分類することである
請求項7又は請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
まつげエクステの評価を行うシステムであって、
前記まつげエクステの画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部からの画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データより前記まつげエクステの曲線データを抽出する画像抽出部と、
前記曲線データにより特定される曲線を円弧と仮定したときの当該円弧を一部に含む円の半径を算出する数値演算部と、
前記半径に基づいて前記まつげエクステを評価する評価部と、を備え、
前記数値演算部は、前記円弧を一部とする円の中心とまつげエクステ部分の各画素がなす複数の線分のうち任意の2本の線分を選択したときの円弧の中心角の最大値を前記円弧の中心角として算出し、前記円弧の長さ、前記円弧の太さを更に算出する
まつげエクステ評価システム。
【請求項11】
前記画像抽出部は、前記画像データからまつげエクステ部分の画素を抽出し、当該画素を2次曲線で近似することで得られた座標データを前記曲線データとし、
前記数値演算部は、前記画素と実長との比率に基づいて、前記円弧の長さ、前記円弧の半径、前記円弧の太さの少なくともいずれかを更に算出する
請求項10に記載のまつげエクステ評価システム。
【請求項12】
前記評価とは、まつげエクステを、前記半径に基づいて、Jカール、Cカール、CCカール、及びDカールのいずれかに分類することである
請求項10又は請求項11に記載のまつげエクステ評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつげエクステのカール等を適正に評価する、まつげエクステ評価装置、まつげエクステ評価方法、まつげエクステ評価システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、まつげエクステを分類する1つの指標として、カールの度合いがある。カールについては、一般的には、カールの度合いの弱いものから順に、Jカール、Cカール、CCカール、Dカールと称されることがある。しかしながら、統一された基準に従って分類されているわけではなく、メーカーごとに同じ呼称でもカールの度合いが異なっていることが多い。それは、カールの角度を正確に測定することがなされていなかったことに起因する。
【0003】
今日では、まつげエクステも多種多様なものが市場に出回っているが、ユーザが自己に好適なまつげエクステを選択するにあたり、メーカーごとに同じカールの呼称でも角度が若干異なるといったようなばらつきをなくして、適正に分類されたカールの呼称により商品を正確に特定できるようにすることが嘱望されている。
【0004】
なお、まつ毛の外観をシミュレーションする装置として、ユーザにより変更され得るシミュレーション・パラメータの1の値に依存して、一房のまつ毛の3Dイメージを作成する装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−79619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたものは、まつ毛の化粧的処理を想定したものにすぎず、まつげエクステ自体の評価を行うものではない。従って、まつげエクステをカールにより分類することはできない。
【0007】
前述したようにメーカーごとに同じ呼称でもカールの度合いが異なっていると、多種多様なまつげエクステを取り扱うエステサロンなどの業者は、顧客に対して適正な分類の下で好適なまつげエクステを選択することができず、その実現が嘱望されている。また、製造工場等においても、所定のカールのまつげエクステを製造するにあたり、製造物が当該カールの基準を満たしているか否かの判断をすることは、市場に散見されるカールの表記と実体のばらつきを抑える上でも、重要なことである。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、まつげエクステを円弧と仮定した場合の当該円弧を一部に含む円の半径を正確に測定し、当該半径に基づいてカール別にまつげエクステを適正に分類するための評価を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るまつげエクステ評価装置は、まつげエクステの評価を行う装置であって、画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データより前記まつげエクステの曲線データを抽出する画像抽出部と、前記曲線データにより特定される曲線を円弧と仮定したときの当該円弧を一部に有する円の半径を算出する数値演算部と、前記半径に基づいて前記まつげエクステを評価する評価部と、を備
え、前記数値演算部は、前記円弧を一部とする円の中心とまつげエクステ部分の各画素がなす複数の線分のうち任意の2本の線分を選択したときの円弧の中心角の最大値を前記円弧の中心角として算出し、前記円弧の長さ、前記円弧の太さを更に算出する。
【0010】
本発明の第2の態様に係るまつげエクステ評価方法は、まつげエクステの評価を行う方法であって、画像データを取得する
第1のステップと、前記画像データより前記まつげエクステの曲線データを抽出する
第2のステップと、前記曲線データにより特定される曲線を円弧と仮定したときの当該円弧を一部に含む円の半径を算出
すると共に、前記円弧を一部とする円の中心とまつげエクステ部分の各画素がなす複数の線分のうち任意の2本の線分を選択したときの円弧の中心角の最大値を前記円弧の中心角として算出し、前記円弧の長さ、前記円弧の太さを算出する第3のステップと、前記半径に基づいて前記まつげエクステを評価する
第4のステップと、を有している。
【0011】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データより前記まつげエクステの曲線データを抽出する画像抽出部と、前記曲線データにより特定される曲線を円弧と仮定したときの当該円弧を一部に含む円の半径を算出する数値演算部と、前記半径に基づいて前記まつげエクステを評価する評価部として機能させ、
前記数値演算部は、前記円弧を一部とする円の中心とまつげエクステ部分の各画素がなす複数の線分のうち任意の2本の線分を選択したときの円弧の中心角を前記円弧の中心角として算出し、前記円弧の長さ、前記円弧の太さを更に算出する。
【0012】
本発明の第4の態様に係るまつげエクステ評価システムは、まつげエクステの評価を行うシステムであって、前記まつげエクステの画像を撮像する撮像部と、前記撮像部からの画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データより前記まつげエクステの曲線データを抽出する画像抽出部と、前記曲線データにより特定される曲線を円弧と仮定したときの当該円弧を一部に含む円の半径を算出する数値演算部と、前記半径に基づいて前記まつげエクステを評価する評価部と、を備
え、前記数値演算部は、前記円弧を一部とする円の中心とまつげエクステ部分の各画素がなす複数の線分のうち任意の2本の線分を選択したときの円弧の中心角の最大値を前記円弧の中心角として算出し、前記円弧の長さ、前記円弧の太さを更に算出する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、まつげエクステを円弧と仮定した場合の当該円弧を一部に含む円の半径を正確に測定し、当該半径に基づいてカール別にまつげエクステを適正に分類するための評価を可能とする、まつげエクステ評価装置、まつげエクステ評価方法、まつげエクステ評価システム、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るまつげエクステ評価装置の構成図である。
【
図2】評価DB8に記憶されている評価テーブルの一例を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るまつげエクステ評価装置による処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】数値演算の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るまつげエクステ評価装置の構成図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るまつげエクステ評価装置による処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】(a)及び(b)は、本発明の第3実施形態に係るまつげエクステ評価システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1には本発明の第1実施形態に係るまつげエクステ評価装置の構成を示し説明する。
【0018】
同図に示されるように、まつげエクステ評価装置1は、CPU等の制御部2を備えており、制御部2は入力部3、操作部4、記憶部5、表示部6、通信部7、評価DB8と接続されている。制御部2は、記憶部5に格納されているプログラム10を読み出し実行することで、画像データ取得部2a、画像抽出部2b、数値演算部2c、評価部2d、表示制御部2e、及び主制御部2fとして機能する。
【0019】
入力部3は、外部機器等からの画像データ等の入力を受け付けるインタフェース(I/F)である。操作部4とは、キーボードやマウス等の各種操作部材である。記憶部5はメモリやHDD(Hard Disc Drive)等からなり、まつげエクステの評価に関わるプログラム10が記憶されており、その実行時にはワークエリアを提供する。表示部6は、液晶ディスプレイ等の各種表示デバイスである。通信部7は、外部機器とインターネット等のネットワークを介した通信を行う通信I/Fである。そして、評価DB8は、まつげエクステの評価に用いるテーブルを保持する記憶手段である。
【0020】
制御部2において、各部は以下の役割を担う。画像データ取得部2aは、入力部3又は通信部7を介して入力された画像データを取得する。画像抽出部2bは、画像データよりまつげエクステの曲線データを抽出する。数値演算部2cは、曲線データにより特定される曲線を円弧と仮定したときの円弧のなす角度を算出する。評価部2dは、算出された各値の少なくともいずれかに基づいてまつげエクステを評価する。表示制御部2eは、評価結果等を表示部6に表示するよう制御する。そして、主制御部2fは、その他、統括的な制御を行う。
【0021】
より具体的には、数値演算部2cは、曲線データにより特定される曲線を円弧と仮定したときの円弧の長さ、円弧の半径、円弧の太さの少なくともいずれかを更に算出する。一例を示すと、画像抽出部2bは、画像データからまつげエクステ部分の画素を抽出し、当該画素を2次曲線で近似することで得られた座標データを曲線データとし、数値演算部2cは、画素と実長との比率に基づいて、円弧の長さ、円弧を一部に含む円の半径、円弧の太さの少なくともいずれかを更に算出する。角度算出について、一例を示すと、数値演算部2cは、円弧を一部とする円の中心とまつげエクステ部分の各画素の線分を選択したときに円弧のなす角度の最大値を円弧のなす角度として算出する。そして、評価部2dは、評価DB8の評価テーブルを参照して、まつげエクステを、その円弧を一部に有する円の半径に基づいて、Jカール、Cカール、CCカール、及びDカールのいずれかに分類する。上記順番で、カールが強くなり、カールが強くなるほどまつげエクステは上を向くことになるので、華やか、派手なイメージとなる。
【0022】
図2には、評価DB8に記憶されている評価テーブルの一例を示し説明する。同図に示されるように、この評価テーブルでは、円弧を一部に有する円の半径(R)の範囲と、それに対応するカールの名称とが対応付けられている。対応関係は、次のようになる。
・a1<R≦a2 Jカール
・a3<R≦a4 Cカール
・a5<R≦a6 CCカール
・s7<R≦a8 Dカール
例えば、一例を挙げると、次のように規定することができる。
・6.5<R≦7.0 Jカール
・5.5<R≦6.5 Cカール
・5.0<R≦5.5 CCカール
・4.5<R≦5.0 Dカール
但し、これはあくまでも一例であって、これには限定されない。
【0023】
以下、
図3のフローチャートを参照して、本発明の第1実施形態に係るまつげエクステ評価装置による処理手順を詳細に説明する。この処理手順の少なくとも一部は、第1実施形態に係るまつげエクステ評価方法の一部又は全部に相当する。
【0024】
処理を開始すると、先ず画像データ取得部2aが、入力部3又は通信部7を介して装置に入力された画像データを取得する(S1)。例えば、外部機器であるスキャナにより撮像された画像データが入力される場合、そのデータ形式はJPEG、BMP、TIFF等の形式となるが、これに限定されるものではない。
【0025】
続いて、画像抽出部2bが、画像データよりまつげエクステの曲線データを抽出する(S2)。例えば、画像抽出部2bは、画像データからまつげエクステ部分の画素を抽出し、当該画素を2次曲線で近似することで得られた座標データを曲線データとする。このステップS2の処理の詳細については、
図4で後述する。
【0026】
次いで、数値演算部2cは、曲線データにより特定される曲線を円の一部と仮定したときの円弧のなす角度、円弧の長さ、円弧を一部に有する円の半径、及び円弧の太さを算出する。そして、円弧の長さ、半径、太さについては、画素と実長との比率pにより実際の長さの単位(mm)に変換してまつげエクステの実長に置き換える(S3)。
【0027】
例えば、数値演算部2cは、円弧を一部とする円の中心とまつげエクステ部分の各画素がなす複数の線分のうち任意の2本の線分を選択したときに円弧のなす角度の最大値を円弧のなす角度として算出する。そして、数値演算部2cは、画素と実長との比率pに基づいて、まつげエクステに係る円弧の長さ、半径、太さの実長を算出する。以下、各演算について、更に述べる。
【0028】
円の半径Rは、エクステ画像抽出の際に、画素のデータを最小二乗法等により曲線に近似しているが、その結果に基づいて算出する。円弧の長さLは、角度θと半径Rとから次の計算式により算出する。
L=πRθ/180(π:円周率、θ:度)
円弧の太さTは、円の中心とまつげエクステ部分の各画素の距離に対する最大値と最小値の差の最大値から算出する。画素とまつげエクステの実長の比率pは、画像データに含まれるDPIから求めることができる。
p=0.254/d(d:縦軸、横軸のDPIの相加平均)
【0029】
続いて、評価部2dは、数値演算結果に基づいて、評価DB8の評価テーブルを参照して、まつげエクステを評価する(S4)。例えば、評価部2dは、算出された半径Rに基づいて、評価テーブルを参照し、対応するカールの種別(例えば、Jカール、Cカール、CCカール、及びDカールのいずれか)に分類する。
【0030】
そして、数値演算結果や評価結果を出力する(S5)。このとき、主制御部2fは、数値演算結果や評価結果を評価DB8に格納する。また、表示制御部2eは、表示部6に数値演算結果や評価結果を表示することもできる。こうして、まつげエクステ評価に関わる一連の処理を終了する。
【0031】
ここで、
図4には、
図3のステップS2で実行されるエクステ画像抽出処理の詳細な手順を示し説明する。
【0032】
ここでは、対象画像としてRGB画像データが取得され、対象画像上でのまつげエクステの座標データ(2次元座標の点列)を抽出する。
【0033】
この処理に入ると、平滑化処理を行う(S11)。つまり、平滑化により、意図しない汚れや物体などの、画像に存在する雑音(ノイズ)を除去する。続いて、鮮鋭化処理を行う(S12)。つまり、鮮鋭化により、画像のぼやけてしまっている部分が鮮明に表現できるように、画像色を加工する。尚、画像出力するデバイスとしてスキャナを用いる場合等、対象画像の品質が十分に保たれている場合には、ステップS11,S12の処理は省略することができる。
【0034】
続いて、グレースケール変換処理を行う(S13)。つまり、3チャンネル(3次元)のRGBで表現されている対象画像を1チャンネルのグレースケール画像(白黒画像)に変換する。次いで、2値化処理を行う(S14)。2値化は、1チャンネル0〜255の値で表現されているグレースケール画像の各画素の値を、2つの値に限定する。例えば、0〜255の値のうち一の値を閾値として選び、当該閾値以上の画素と閾値未満の画素とで分離する所謂閾値型の2値化も採用できる。この2値化処理により、グレースケール画像からまつげエクステ部分と、それ以外とに分離することができる。
【0035】
続いて、曲線近似処理を行う(S15)。ここでは、2値化画像から、まつげエクステの部分の画素のデータを検出し、検出された画素のデータを2次元座標の点列とみなし、画素群がなす曲線を表す数式に近似する。
【0036】
この曲線近似処理は、更に以下の手順からなる。先ず、2値化画像上にまつげエクステが複数あることを前提とし、各まつげエクステ部分を検出する。続いて、検出されたまつげエクステ部分ごとに、例えば最小二乗法を用いて、円の方程式への近似を行う。これにより、まつげエクステを円弧と仮定した場合の円の中心座標を求めることができる。そして、極座標系式を用いて円の中心と各座標の距離をある角度ごとに平均することで、画素の集約を行う。以上の処理の後、
図3のステップS2にリターンする。
【0037】
図5には、上記数値演算により算出された結果の表示例を示し説明する。同図に示されるように画面100の領域101には、対象画像が示されており、その画像の中にまつげエクステ部分を強調して示し、更に円弧と仮定した場合の円の様子も示される。領域102には、一覧表形式で、算出されたまつげエクステの角度、長さ、半径、及び太さが実長に置き換えられて示される。評価部2dによる評価を領域102に合わせて表示するようにしてもよいことは勿論である。
【0038】
以上説明したように、本発明の第1実施形態によれば、まつげエクステを円弧と仮定した場合の当該円弧を一部に有する円の半径Rに基づいて、まつげエクステのカールを適正に分類することが可能となる。さらに、算出されたまつげエクステの角度θ、長さL、半径R、及び太さTが実長に置き換えられて示されるので、上記カールと併せて、まつげエクステを適正に評価し、分類することができる。
【0040】
図6には、本発明の第2実施形態に係るまつげエクステ評価装置の構成を示し説明する。ここでは、
図1と同一構成については、同一符号を付し、重複した説明は省略し、異なる部分を中心に説明を進める。
【0041】
このまつげエクステ評価装置20は、制御部2が、記憶部5のプログラム11を読み出し実行することで、更に適合度判定部2gとしても機能する。この適合度判定部2gは各部2aから2eにより算出された、まつげエクステの角度θ、長さL、半径R、及び太さTに基づいて、まつげエクステと顧客の条件との適合度を判定するものである。まつげエクステ評価装置20は、更に顧客情報DB9を備えており、顧客の条件は当該顧客情報DB9にテーブル形式で格納されている。顧客のまつげエクステに係る条件は、例えば表示部6に表示された入力画面にて、操作部4を操作して情報を入力することで、主制御部2fが確定し、当該確定した情報を顧客DB9に適宜格納する。
【0042】
以下、
図7のフローチャートを参照して、本発明の第2実施形態に係るまつげエクステ評価装置による処理手順を詳細に説明する。この処理手順の少なくとも一部は、第2実施形態に係るまつげエクステ評価方法の一部又は全部に相当する。
【0043】
ステップS21〜S25までは
図2のステップS1〜S4と同一であるので、ここでは重複した説明は省略する。
【0044】
ステップS26では、適合度判定部2gは、適合度判定処理を行う。より詳細には、評価DB8より演算結果である各種数値を読み出し、顧客情報DB9より顧客情報を読み出し、例えば長さ、太さ、及び印象について、顧客の条件と、各まつげエクステの数値との適合度を判定する。尚、印象については、自然な印象から派手な印象になるにつれて、Jカール、Cカール、CCカール、及びDカールの順に適合するものとしている。但しこれには限定されない。こうして、判定した結果を出力する(S27)。ここでは、例えば表示制御部2eの制御の下で表示部6に判定結果を表示する。このとき、数値演算結果や表結果を併せて、或は別画面で表示可能としてもよい。こうして、処理を終了する。
【0045】
図8及び
図9には、表示部6による表示例を示し説明する。
【0046】
図8は、表示部6に表示される顧客条件設定画面200の表示を示している。同図に示されるように、顧客IDが表示され、その下の領域で「長さ」を「短い」から「長い」まで5段階で選択できるようになっており、「太さ」を「細い」から「太い」まで5段階で選択できるようになっており、「印象」を「自然」から「派手」まで5段階で選択できるようになっている。
【0047】
図9は、表示部6に表示される適合度判定結果画面201の表示例を示している。同図に示されるように、顧客IDが表示され、その下の領域に、まつげエクステの製品名と長さ、太さ、印象のそれぞれのレベルと、適合度を、適合度の高いものから順に一覧表形式で表示する。従って、顧客、あるいはエステサロンでは、この一覧表の中から顧客の条件に適合したまつげエクステを簡易且つ迅速に選ぶことが可能となる。
【0048】
以上説明したように、本発明の第2実施形態によれば、まつげエクステの角度θ、長さL、半径R、及び太さTに基づいて、まつげエクステと顧客の条件との適合度を判定して最適な製品を紹介することができる。
【0050】
図10(a)及び
図10(b)には、本発明の第3実施形態に係るまつげエクステ評価システムの構成を示し説明する。
【0051】
第3実施形態は、第1実施形態に係るまつげエクステ評価装置1を用いたまつげエクステ評価システムであり、入力側のデバイスを限定している点に特徴がある。
【0052】
図10(a)の構成では、まつげエクステ評価装置1が、撮像手段としてのカメラ30と接続されており、カメラ30からまつげエクステ評価装置1に画像データが出力されることになる。カメラ30は、ベルトコンベア31で搬送される製造工程で、製造されたまつげエクステを所定の撮像範囲で撮像し、画像データを出力する。画像データを受けたまつげエクステ評価装置1側の処理は、第1実施形態で前述した通りである。尚、まつげエクステ評価装置20も、同様に採用できる。
【0053】
図10(b)の構成では、まつげエクステ評価装置1が、撮像手段としてのスキャナ40と接続されており、スキャナ40からまつげエクステ評価装置1に画像データが出力されることになる。スキャナ40は、複数のまつげエクステが貼り付けされた用紙41をスキャンし、画像データを出力する。画像データを受けたまつげエクステ評価装置1側の処理は、第1実施形態で前述した通りである。尚、まつげエクステ評価装置20も、同様に採用できる。
【0054】
以上説明したように、本発明の第3実施形態によれば、製造工場における製造過程で製造されたまつげエクステを撮像し、その評価を適正に行うことができる。あるいは、製造された製品をサンプリングして、所定の用紙に貼り付けて、当該用紙をスキャンすることで、その評価を適正に行うことができる。
【0055】
以上、本発明の第1乃至第3実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能である。
【0056】
例えば、グレースケール変換処理に至る前に、RGBの情報からまつげエクステの色の情報も取得し、併せて出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 まつげエクステ評価装置
2 制御部
2a 画像データ取得部
2b 画像抽出部
2c 数値演算部
2d 評価部
2e 表示制御部
2f 主制御部
2g 適合度判定部
3 入力部
4 操作部
5 記憶部
6 表示部
7 通信部
8 評価DB
9 顧客情報DB
10 プログラム
11 プログラム
20 まつげエクステ評価装置
30 カメラ
40 スキャナ
【要約】 (修正有)
【課題】まつげエクステを円弧と仮定した場合の当該円弧を一部に含む円の半径を正確に測定することで、当該半径に基づいてカール別にまつげエクステを適正に分類するための評価を可能とする。
【解決手段】本発明は、まつげエクステの評価を行う装置であって、画像データを取得する画像データ取得部2aと、画像データよりまつげエクステの曲線データを抽出する画像抽出部2bと、曲線データにより特定される曲線を円弧と仮定したときの当該円弧を一部に含む円の半径を算出する数値演算部2cと、前記半径に基づいてまつげエクステを評価する評価部2dとを備えている。評価とは、まつげエクステを、前記半径に基づいて、分類することである。
【選択図】
図1