特許第5925979号(P5925979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5925979二次電池の中芯製造に係る砥石ガイド、製造ライン、及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5925979
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】二次電池の中芯製造に係る砥石ガイド、製造ライン、及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/06 20060101AFI20160516BHJP
   B27B 11/02 20060101ALI20160516BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   B24B27/06 J
   B27B11/02
   H01M10/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-9556(P2016-9556)
(22)【出願日】2016年1月21日
【審査請求日】2016年1月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520123
【氏名又は名称】株式会社寿精密
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】米倉 勝治
(72)【発明者】
【氏名】小林 淳次
(72)【発明者】
【氏名】久保 修
(72)【発明者】
【氏名】後藤 貴博
(72)【発明者】
【氏名】道上 弘基
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−025764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 27/06
B27B 11/02
H01M 10/00
B28D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数本の材料パイプを樹脂製チューブで束ねた材料パイプ束から二次電池中芯用のワークパイプを切断する切断砥石を案内する砥石ガイドであって、
前記材料パイプ束を一又は複数並べた状態で保持するパイプ束支持具と、
前記切断砥石を案内する案内部材と
を備え、
前記案内部材は、前記切断砥石の側面に当接する一対の案内面を有し、
前記案内面が焼結ダイヤモンド、又は超硬合金で形成され
前記パイプ束支持具は、複数の前記パイプ束を内側に並列して固定する保持枠を有し、
前記案内面は、前記保持枠を囲繞するように切断砥石の反対側に開いたコ字状に配設されている砥石ガイド。
【請求項2】
コ字状に配設された前記案内面は、パイプ束の並列方向の一側をなすL字部と、前記並列方向の他側をなす他側端辺部とからなり、前記L字部と前記他側端辺部とは、前記一対の案内面が対向する方向に互いに独立して摺動可能に構成されている請求項1に記載の砥石ガイド。
【請求項3】
多数本の材料パイプを樹脂製チューブで束ねた材料パイプ束から二次電池中芯用のワークパイプを切断する切断砥石を案内する砥石ガイドと、
ワークパイプの端部に先細りのテーパー部を形成すべく面打ち加工を行う面打ち金型とを備え、
前記砥石ガイドは、前記材料パイプ束を一又は複数並べた状態で保持するパイプ束支持具と、前記切断砥石を案内する案内部材とを備え、
前記案内部材は、前記切断砥石の側面に当接する一対の案内面を有し、前記案内面が焼結ダイヤモンド、又は超硬合金で形成され、
前記面打ち金型の加工面が焼結ダイヤモンド、又は超硬合金で形成されている二次電池中芯の製造ライン。
【請求項4】
請求項1、又は請求項2に記載の砥石ガイドにより前記切断砥石を案内しながら前記パイプ束を切断する二次電池中芯の製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の製造ラインを用いて二次電池中芯を製造する二次電池中芯の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リチウムイオン二次電池の中芯に関し、特に、側面にスリットを有さないパイプ型の中芯を製造する際に用いる装置や方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン二次電池の巻回電極体の中央孔には、巻回電極体が充放電の繰り返しにより中央孔側へ変形することを防止するために、また、電池底部で発生したガスを排気孔のある上部側へ流送するための排気通路とするために、中空円筒状の中芯が挿通されている。
かかる中芯は、電池に加わる衝撃や振動により位置ずれして上記の機能を損なったり巻回電極体の絶縁セパレーターを破損したりする虞があるため、これらを防止する各種の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、矩形の板材を丸めて形成したC字型の中芯において、周面のスリットの両端縁に形成されるバリを、共に筒径の内側に向くように加工する技術が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、断面がC字型のセンターピン(中芯)の一端側を先細りに形成する一方で他端側を末広がりのフランジ状に形成し、このフランジ状部分を巻回電極体の中空孔の下端側開口部に係止してセンターピンの位置ずれを抑制する技術が提案されている。
【0005】
特許文献3では、センターピンが移動して端部が絶縁板に当接した場合に、ガスの出入口である端部開口が塞がらないよう、端部開口の周縁に欠部を設ける技術が提案されている。
【0006】
また、特許文献4では、両端のテーパー部の形成開始部近傍に、溝部もしくは他の部
分の厚みよりも薄い薄肉部を形成することで、ガス発生時に当該テーパー部が開いてガスが流れやすくなるようにしたセンターピンが提案されている。
【0007】
ところが、特許文献1乃至特許文献4のように断面がC字型の中芯では、電池が大きな外部圧力を受けて変形してしまうと、スリットのエッジが突出してセパレーターを破損してしまうという虞があった。
そこで、本発明者は、変形時に問題となるスリットを省略すべく、パイプ部材を切断して中芯を形成する方法に取り組んだものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−317441号公報
【特許文献2】特開2013−137941号公報
【特許文献3】特開2013−191414号公報
【特許文献4】特開2011−228067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、パイプ材を切断して中芯を製造する場合、切断砥石を案内する砥石ガイドが切断砥石により徐々に削られて切断砥石を案内する機能が損なわれるため、パイプの切断面が斜めになって尖ったり、バリが発生したりするという課題がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、二次電池のパイプ型中芯の切断面が斜めになったり、バリが発生したりすることの抑制を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた発明は、多数本の材料パイプを樹脂製チューブで束ねた材料パイプ束から二次電池中芯用のワークパイプを切断する切断砥石を案内する砥石ガイドであって、前記材料パイプ束を一又は複数並べた状態で保持するパイプ束支持具と、前記切断砥石を案内する案内部材とを備え、前記案内部材は、前記切断砥石の側面に当接する一対の案内面を有し、前記案内面が焼結ダイヤモンド、又は超硬合金で形成されていることを特徴とする。
ここで、「ワークパイプ」とは、材料パイプから所定の長さに切断したパイプを言うものとする。
【0012】
このように、砥石ガイドの案内面を焼結ダイヤモンド、又は超硬合金で形成することで案内面が切断砥石により削られることを抑制できるため、切断砥石のぶれを抑制することができる。
【0013】
そして、本発明の砥石ガイドは、前記パイプ束支持具が、複数の前記パイプ束を内側に並列して固定する保持枠を有し、前記案内面は、前記保持枠を囲繞するように切断砥石の反対側に開いたコ字状に配設されている。こうすることで、パイプ束の切断中に、切断砥石の周縁が砥石ガイドの案内面から外れることを抑制できる。
【0014】
本発明の砥石ガイドは、コ字状に配設された前記案内面が、パイプ束の並列方向の一側をなすL字部と、前記並列方向の他側をなす他側端辺部とからなり、前記L字部と前記他側端辺部とは、前記一対の案内面が対向する方向に互いに独立して摺動可能に構成されていることが好ましい。
コ字状に配した案内面は、全体が一様に摩耗するものではなく、特にコ字の中辺と両端辺の摩耗の仕方が異なる。このように、案内面のL字部と他側端辺部とを互いに独立して一対の案内部材が対向する方向に摺動可能とすることで、例えば、L字部より他側端辺部の方が摩耗が激しい場合であっても、L字部と他側端辺部を別々に摺動させることで当該両部とも切断砥石に当接させることができる。
【0015】
本発明に係る二次電池中芯の製造ラインは、多数本の材料パイプを樹脂製チューブで束ねた材料パイプ束から二次電池中芯用のワークパイプを切断する切断砥石を案内する砥石ガイドと、ワークパイプの端部に先細りのテーパー部を形成すべく面打ち加工を行う面打ち金型を備え、前記砥石ガイドは、前記材料パイプ束を一又は複数並べた状態で保持するパイプ束支持具と、前記切断砥石を案内する案内部材とを備え、前記案内部材は、前記切断砥石の側面に当接する一対の案内面を有し、前記案内面が焼結ダイヤモンド、又は超硬合金で形成され、前記面打ち金型の加工面が焼結ダイヤモンド、又は超硬合金で形成されているこのように面打ち金型の加工面を焼結ダイヤモンド、又は超硬合金で形成することで、加工面の摩耗により中芯のテーパー部に生じるバリや傷を抑制することができる。
【0016】
本発明は、本発明に係る砥石ガイドにより前記切断砥石を案内しながら前記パイプ束を切断する二次電池中芯の製造方法と、本発明に係る二次電池中芯の製造ラインを用いて二次電池中芯を製造する二次電池中芯の製造方法を含む。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、二次電池の中芯製造に係る本発明の砥石ガイド、製造ライン、及び製造方法によれば、二次電池中芯の端部が斜めに切断されることや端部やテーパー部にバリや傷が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一の実施形態に係る切断装置の要部斜視図である。
図2図1に示した切断装置の保持枠周辺を表す側面図である。
図3図1に示した砥石ガイドの分解斜視図である。
図4図1の一対のL字ガイドのうち手前側のL字ガイドの(a)側面図、(b)底面図、(c)正面図、(d)(c)の案内片周辺を示す拡大図である。
図5図1の一対のクランプ兼用ガイドのうち奥側のクランプ兼用ガイドの(a)平面図、(b)側面図である。
図6図1に示したバイスの(a)平面図、(b)側面図、(c)背面図である。
図7】本発明の一の実施形態に係る面打ち金型の斜視図である。
図8図6に示した面打ち工具の(a)正面図、(b)平面図、(c)(b)におけるI‐I線断面図である。
図9図7の面打ち工具を用いた面打ち装置である。
図10図9の面打ちプレス機の(a)待機位置、(b)面打ち位置を示す模式的断面図である。
図11】パイプ型の二次電池中芯の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、適宜図面を参照しながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は以下の実施形態に限られるものではない。
図1は、本発明の一の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の中芯Cの製造ライン1の切断装置100、図9は、製造ライン1の面打ち装置200を示している(製造ライン1の全体図は図示せず)。製造ライン1は、図11に示すような、パイプ状の中芯Cを製造するために用いられる。
尚、図1図3図9において、符号100(1)と200(1)は、切断装置100及び面打ち装置200が共に製造ライン1に含まれることを示す。
【0020】
切断装置100は、図2に示すように、原料パイプPから所定長さのワークパイプ(不図示)Aを切断するために用いられ、ワークパイプAは、複数本の原料パイプPをチューブ状の樹脂製チューブTにより断面形状が正六角形となるよう束ねたパイプ束Bを切断して形成される。切断装置100は、図1に示すように、切断砥石10と、砥石ガイド20とを主に備える他、パイプ束Bを保持するバイス23と、支持台24とを備えている。砥石ガイド20は、図3に示すように、下方(特許請求の範囲の「切断砥石の反対側」に相当)に開いたコ字をなすよう配設される案内面30を備えている。
【0021】
切断砥石10としては、金属切断用の砥石であれば特に限定されず、公知の切断砥石を適宜に用いることができる。
【0022】
砥石ガイド20は、図1に示すように、切断装置100の後側(特許請求の範囲のパイプ並列方向の一側、図1では右側)に配設されるL字ガイド21と、切断装置100の手前側(特許請求の範囲のパイプ並列方向の他側、図1では左側)に配設されるクランプ兼用ガイド(案内部材とパイプ束支持具の両方を兼ねる)22とを備えている。L字ガイド21、及びクランプ兼用ガイド22は、切断砥石10を挟んで対向するように、かつ面対称となるように、共に一対が設けられている。
【0023】
L字ガイド21は、超鋼合金から形成され、図4に示すように、矩形板状の水平部21aと、水平部21aの一側の端縁から垂下する鉛直部21bと、切断砥石に対向するL字状の側面21cに設けられる3つの角棒状の案内片31,31,31とを備えている。案内片31は、図4(d)に示すように、超鋼合金の基部31aと基部31aの表面に焼結された焼結ダイヤモンド層31bとからなり、L字状の側面21cに設けられた角溝に嵌入されてロー付されている。焼結ダイヤモンド層31bの表面が切断砥石10を案内する案内面30cとなり、L字に並んだ3つの案内面30c,30c,30cが、特許請求の範囲のL字部30aに相当する。
【0024】
クランプ兼用ガイド22は、SKD11等の合金工具鋼により、図5に示すような角棒状に形成され、一端側(図5の右側)に水平方向にかつ切断砥石10に垂直な方向に延びる正六角柱の3面をなす凹部からなるパイプ束挟持部22aが設けられ、切断砥石10と対向する側の側面(図5(a)の下側の面、図5(b)の紙面手前側の面)には、鉛直方向に延びる角棒状の案内片32が設けられている。案内片32は、超鋼合金の基部32aと焼結ダイヤモンド層32bとからなり、焼結ダイヤモンド層32bの表面に案内面30bを備えている。クランプ兼用ガイド22は、図3に示すように、長円形のボルト孔22bを介してクランプ台25に六角孔ボルト4で固定される。クランプ兼用ガイド22は、六角孔ボルト4に沿って長円形のボルト孔22bを摺動させることで、幅方向(図1の奥行き方向)に摺動可能に構成されている。尚、案内面30bが、特許請求の範囲の他側端辺部に相当する。
【0025】
バイス23は、クランプ兼用ガイド22と同じ合金工具鋼により形成され、図6に示すように、略直方体のブロック状をなし、幅方向(図6(a)の上下方向)の中央に切断砥石10をかわすためのスリット23bが設けられている。バイス23の上部(図6(b)の上部)には、図6(a)に示すように、スリット23bを挟んで一対の水平板部23cが設けられ、水平板部23cの下方に切断砥石10に垂直な方向に延びる凹部からなるパイプ束挟持部23aが設けられている。パイプ束挟持部23aの内面は、扁平な八角柱の6面をなしており、図2に示すようにパイプ束Bを2束収容するよう構成されている。
バイス23の後部(図6(b)の右側部)には、L字ガイド21の鉛直部21bを収容する段部23dと、押さえ板26を収容する段部23eが設けられている。
一対のL字ガイド21,21は、図1に示すように、鉛直部21bが押さえ板26によりボルト5を介して段部23dに押圧されることによりバイス23に固定され、ボルト5を緩めることで互いに接離する方向に摺動可能に構成されている。
【0026】
支持台24は、クランプ兼用ガイド22同様合金工具鋼により形成され、図3に示すように、角ブロック状をなし、上面にパイプ束Bを支持するパイプ束支持部24aとクランプ兼用ガイド22をスライドさせる摺動受面24bと、切断砥石10に散水するパイプ(不図示)を通す溝24cとを備えている。
【0027】
図2に示すように、クランプ兼用ガイド22のパイプ束挟持部22aと、バイス23のパイプ束挟持部23aと、支持台24のパイプ束支持部24aで、パイプ束Bを保持する保持枠27が形成される。クランプ兼用ガイド22は、切断装置100の前後方向(図1図2の左右方向)に摺動し、バイス23と協働して、パイプ束Bを挟持する。クランプ兼用ガイド22は、特許請求の範囲の案内部材とパイプ束支持具を兼ねている。
【0028】
次に、図9に示した、本実施形態に係る面打ち装置200について説明する。
面打ち装置200は、ワークパイプの両端を自動で面打ちしてテーパー部C2を形成するよう構成され、ワークパイプの搬送方向上流側(図9の左側)から順に、自動供給ホッパー201と、パーツフィーダー202と、ワークパイプ送り出し装置203と、複数の搬送台204,204,…と、画像検査装置205と、不合格品排出装置206と、面打ちプレス機207と、シュート兼スルーケージ208と製品ストッカー209とを備えている。
【0029】
面打ちプレス機207は、図10に示すように、ワークパイプの搬送路を挟んで対向する一対の面打ちラム207a,207aと、一対の押えラム207b,207bと、面打ちラム207aに設けられる一対の面打ち金具6,6を備えている。一対の面打ち金具6,6は、面打ちラム207aと押えラム207bが互いに傾斜面を作用させるカム機構の働きにより、互いに接離するよう構成されている。
【0030】
面打ち金型6は、図7図8に示すように、超鋼合金製の円筒の外面をフライスして弓形のフランジ部を設けた基部61と、基部61の貫通孔61aに嵌入される円筒状の焼結ダイヤモンド層62とを備えている。焼結ダイヤモンド層62の内面からなる加工面62aは、図8(c)に示すように、ワークパイプAを挿入する入り口側から奥側にかけて縮径するようテーパーが設けられている。本実施形態の製造ライン1では、6対の面打ち金型を備えている。
【0031】
上述の構成を有する製造ライン1を用いて二次電池中芯Cを製造する際には、まず、
図2に示すように、多数本の材料パイプPを樹脂製チューブTにより断面が略正六角形となるよう束ねてパイプ束Bを形成する。
次に、切断装置100の保持枠27にパイプ束Bを3束ずつ先端側から挿入し、切断砥石10により樹脂製チューブTごと所定長さに切断する。パイプ束Bの切断長さは、不図示の送り装置と制御装置により決定される。
続けて、樹脂製シートTを装着したまま金バフを用いてワークパイプA両端開口C1の内バリを除去し、高圧水洗浄を行ったあと、樹脂製チューブを除去してワークパイプAの束を解く。しかる後、ワークパイプAの遠心脱水を行って、振動バレルで両端開口C1の外バリを除去する。
【0032】
こうして形成されたワークパイプAは、自動供給ホッパー201に貯め置かれ、両端の面打作業の開始に合わせて、図9に2点鎖線で示したように上昇、前進する昇降式スライダ201aにより、適宜パーツフィーダー202に供給される。パーツフィーダー202に供給されたワークパイプAは、水平姿勢に並列されてスライダ状のワークパイプ送り出し装置203を下り、搬送方向に走行する搬送台204上に載置される。ワークパイプAは、搬送台のパイプ収容溝を頼りに、6本ずつ水平にかつ搬送方向に垂直に適宜の間隔を置いて載置される。搬送台204に載置されたワークパイプAは、不図示の補正装置により位置補正されながら下流側の画像検査装置205に搬送されて全長と傷の検査がなされる。ワークパイプAの全長検査の傾向は、不図示の制御装置を通じてパイプ切断装置100へフィードバックされる。
【0033】
ワークパイプAの不合格品は下流側に隣接する不合格品排出装置206で除去されスライダ206aを滑って不合格品ストッカー206bに収容される。検査に合格したワークパイプAが面打ちプレス機207に搬送され位置補正を受けると、図10(b)に示すように押えラム207b,207bが下降して一対の面打ちラム207a,207aが互いに近づく方向へ摺動し、ワークパイプAは、一対の面打ち金具6,6の加工面62a,62aにより両端を押圧されて面打ち加工が施される。面打ち加工を終えたワークパイプA(中芯C)は、シュート兼スルーケージ208を滑り落ちて、製品ストッカー209に収容される。ワークパイプAは、シュート兼スルーケージ208を通過することにより外径と反りの検査が行われる。
【0034】
本実施形態の製造ライン1では、砥石ガイド20の案内面30が焼結ダイヤモンドからなるため、案内面30の摩耗により切断砥石10がぶれることを抑制できる。
【0035】
また、案内面30が下方に開いたコ字状をなし、パイプ保持枠27を囲繞するように設けられていることから、パイプ束Bを切断している間、常に切断砥石がパイプ束Bを切断している場所から近い位置で切断砥石を案内することができるため、切断している場所における切断砥石のぶれをより効果的に抑制できる。さらに、L字部30aは、3つの案内面30c,30c,30cにより形成されるため、案内面30cの摩耗の激しい案内片31のみを交換できる。
【0036】
また、対向する一対の案内面30の位置調節は、切断砥石10の代わりに取り付けた板状の治具に案内面を当接させることにより行うが、本実施形態では、奥側L字部30aと手前側の他側端辺部30bとが互いに独立して摺動可能であるため、両部30a,30bが異なる厚みだけ摩耗している場合であっても、両部ともに治具に当接させて、それぞれ正確に切断砥石を行える位置にスライドさせることができ、両部30a,30bが一体になったものに比べて、より効果的に切断砥石10のぶれを抑制できる。また、他側端部30bを備える案内片32のみを交換することができる。
【0037】
さらに、本発明の製造ライン1では、面打ち金型6の加工面62aが焼結ダイヤモンドからなるため加工面62aの摩耗が生じ難く、中芯Cのテーパー面C2に生じるバリや傷を抑制できる。
【0038】
本発明は、上記の実施形態に限らず、砥石ガイドの案内面、及び面打ち金型の加工面は焼結ダイヤモンドに限らず、超硬合金により形成されていてもよい。超硬合金としては、特に限定されず、公知のものを適宜に用いることができる。案内面は、L字部と他側端辺部が一体的に摺動するよう構成されていてもよいし、案内面がコ字状でなくともよい。保持枠は、パイプ束を2つ以下でも4つ以上でも保持するようにできる。パイプ束は、断面が六角柱に限らず、円形等他の形状に束ねたものでもよい。製造ライン1は、切断装置100と面打ちプレス207以外の装置を備えなくともよい。
【符号の説明】
【0039】
1 製造ライン
10 切断砥石
20 砥石ガイド
21 L字ガイド(案内部材)
22 クランプ(パイプ束支持具)兼ガイド(案内部材)
23 バイス(パイプ束支持具)
24 支持台
27 保持枠
30 案内面
30a L字部
30b 他側端辺部
6 面打ち金型
62a 加工面
B 材料パイプ束
C 二次電池中芯
C1 テーパー部
P 材料パイプ
T 樹脂製チューブ
【要約】
【課題】二次電池用のパイプ型中芯の両端部にバリや傷が発生することを抑制する。
【解決手段】本発明の砥石ガイド20は、二次電池用のパイプ型中芯を製造するに当たりパイプを切断する切断砥石10を案内するためのもので、材料パイプを束ねたパイプ束を一又は複数並べた状態で保持するパイプ束支持具22,23,24と、切断砥石10を案内する案内部材22,23とを備え、案内部材22,23は、切断砥石10の側面に当接する一対の案内面30を有し、案内面30が焼結ダイヤモンド、又は超硬合金で形成されている。パイプ束支持具22,23,24は、複数のパイプ束を内側に並列して固定する保持枠27を有し、案内面30は、保持枠27を囲繞するように切断砥石10の反対側に開いたコ字状に配設されていることが好ましい。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11