特許第5926000号(P5926000)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926000
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】電動車両の充電スケジュールの組立て方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20160516BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160516BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   H02J7/02 G
   H02J7/00 P
   B60L11/18 C
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-119850(P2011-119850)
(22)【出願日】2011年5月30日
(65)【公開番号】特開2012-249444(P2012-249444A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小笹 喜偉
(72)【発明者】
【氏名】東本 清文
(72)【発明者】
【氏名】片平 洋一
(72)【発明者】
【氏名】駒田 圭成
(72)【発明者】
【氏名】有川 清二
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−110173(JP,A)
【文献】 特開2011−078205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12、 7/00−13/00、
15/00−15/42、
H01M 10/42−10/48、
H02J 7/00− 7/12、 7/34− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電動車両に対する充電スケジュールの組立て方法であって、充電の予約がされた複数台の電動車両の充電完了要求時刻から遡って満充電となる充電スケジュールを一旦組立てた後、複数台の車両のうち最も遅い充電完了要求時刻の1時間前から現在時刻まで一定時間づつ遡らせる評価時刻に必要とされる充電電力が契約電力を超えるか否かを判定し、超えない場合は、直前に組立てられた充電スケジュールを維持し、超える場合は、優先順位の高い車両における、評価時刻から前記一定時間内の充電スケジュールを、契約電力を超えない時間帯まで遡らせ、遡らせた結果、契約電力を超えない時間帯が存在しない場合は、次に優先度の高い車両における、評価時刻から前記一定時間内の充電スケジュールを、契約電力を超えない時間帯まで遡らせることを特徴とする電動車両の充電スケジュールの組立て方法。
【請求項2】
複数の電動車両に対する充電スケジュールの組立て方法であって、充電の予約がされた複数台の電動車両の充電完了要求時刻から遡って満充電となる充電スケジュールを一旦組立てた後、複数台の車両のうち最も遅い充電完了要求時刻の1時間前から現在時刻まで一定時間づつ遡らせる評価時刻に必要とされる充電電力が契約電力を超えるか否かを判定し、超えない場合は、直前に組立てられた充電スケジュールを維持し、超える場合は、直前に組立てられた充電スケジュールにおいて充電開始時刻の最も遅い車両における、評価時刻から前記一定時間内の充電スケジュールを、契約電力を超えない時間帯まで遡らさせ、遡らせた結果、契約電力を超えない時間帯が存在しない場合は、次に充電開始時刻の遅い車両における、評価時刻から前記一定時間内の充電スケジュールを、契約電力を超えない時間帯まで遡らせることを特徴とする電動車両の充電スケジュールの組立て方法。
【請求項3】
前記優先順位は、充電完了要求時刻が早い車両から、エントリー時刻が早い車両、充電装置番号が小さい車両へと優先度を下げて決定することを特徴とする請求項1記載の電動車両の充電スケジュールの組立て方法。
【請求項4】
複数の電動車両に対する充電スケジュールの組立て方法であって、予め登録された車両毎の優先充電時間を決定した充電装置において、充電の予約時刻から各々の電動車両が満充電となる充電スケジュールを一旦組立てた後、組立てた充電スケジュールのうち、現在時刻から一定時間づつ進める評価時刻に必要とされる充電電力が契約電力を超えるか否かを判定し、超えない場合は直前に設定された充電スケジュールを維持し、超える場合は、優先順位の低い車両における、評価時刻から前記一定時間内における充電スケジュールを、契約電力を超えない時間帯まで進め、進めた結果、契約電力を超えない時間帯が存在しない場合は、次に優先度の低い車両における、評価時刻から前記一定時間内の充電スケジュールを、契約電力を超えない時間帯まで進めることを特徴とする電動車両の充電スケジュールの組立て方法。
【請求項5】
前記優先順位は、前記評価時刻から前記一定時間内が優先充電時間である車両から、充電完了要求時刻が早い車両、充電予約が早い車両、充電装置番号が小さい車両へと優先度を下げて決定することを特徴とする請求項4記載の電動車両の充電スケジュールの組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の電動車両に駆動用電力を供給する際、契約電力を超過することなく効率的に充電することのできる充電スケジュールの組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電気自動車やハイブリッド自動車の普及に応じて、これら電動車両に駆動用電力を供給する充電装置の普及が拡大しつつある。これら充電装置は、主に共有の駐車場等に複数台設置されて、駐車場の利用者が所有する電動車両に、駆動用電力を供給するものである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−213497号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共有の駐車場に電動車両の充電装置を複数台設置する場合、これら充電装置により多数の車両が同時に充電される状況が想定されるが、この場合、共有駐車場を有する施設が電力会社と事前に契約する契約電力を上回ることのないよう、各充電装置間の充電スケジュールを工夫する必要がある。
【0005】
本発明は、複数台の充電装置によって充電される電動車両への供給電力量を平準化して、充電に必要な電力が契約電力を超えることを確実に回避することのできる充電スケジュールの組立て方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、複数の電動車両に対する充電スケジュールの組立て方法であって、充電の予約がされた複数台の電動車両の充電完了要求時刻から遡って満充電となる充電スケジュールを一旦組立てた後、複数台の車両のうち最も遅い充電完了要求時刻の1時間前から現在時刻まで一定時間づつ遡らせる評価時刻に必要とされる充電電力が契約電力を超えるか否かを判定し、超えない場合は、直前に組立てられた充電スケジュールを維持し、超える場合は、優先順位の高い車両における、評価時刻から前記一定時間内の充電スケジュールを、契約電力を超えない時間帯まで遡らせ、遡らせた結果、契約電力を超えない時間帯が存在しない場合は、次に優先度の高い車両における、評価時刻から前記一定時間内の充電スケジュールを、契約電力を超えない時間帯まで遡らせることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、複数の電動車両に対する充電スケジュールの組立て方法であって、充電の予約がされた複数台の電動車両の充電完了要求時刻から遡って満充電となる充電スケジュールを一旦組立てた後、複数台の車両のうち最も遅い充電完了要求時刻の1時間前から現在時刻まで一定時間づつ遡らせる評価時刻に必要とされる充電電力が契約電力を超えるか否かを判定し、超えない場合は、直前に組立てられた充電スケジュールを維持し、超える場合は、直前に組立てられた充電スケジュールにおいて充電開始時刻の最も遅い車両における、評価時刻から前記一定時間内の充電スケジュールを、契約電力を超えない時間帯まで遡らさせ、遡らせた結果、契約電力を超えない時間帯が存在しない場合は、次に充電開始時刻の遅い車両における、評価時刻から前記一定時間内の充電スケジュールを、契約電力を超えない時間帯まで遡らせることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記優先順位は、充電完了要求時刻が早い車両から、エントリー時刻が早い車両、充電装置番号が小さい車両へと優先度を下げて決定することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、複数の電動車両に対する充電スケジュールの組立て方法であって、予め登録された車両毎の優先充電時間を決定した充電装置において、充電の予約時刻から各々の電動車両が満充電となる充電スケジュールを一旦組立てた後、組立てた充電スケジュールのうち、現在時刻から一定時間づつ進める評価時刻に必要とされる充電電力が契約電力を超えるか否かを判定し、超えない場合は直前に設定された充電スケジュールを維持し、超える場合は、優先順位の低い車両における、評価時刻から前記一定時間内における充電スケジュールを、契約電力を超えない時間帯まで進め、進めた結果、契約電力を超えない時間帯が存在しない場合は、次に優先度の低い車両における、評価時刻から前記一定時間内の充電スケジュールを、契約電力を超えない時間帯まで進めることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記優先順位は、前記評価時刻から前記一定時間内が優先充電時間である車両から、充電完了要求時刻が早い車両、充電予約が早い車両、充電装置番号が小さい車両へと優先度を下げて決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至請求項5記載の発明によれば、複数の電動車両への充電電力が契約電力を超過することを確実に回避できるので、電流制限器が作動して電気の供給が停止されることを防止できる。
【0012】
また、請求項1乃至請求項5記載の発明によれば、充電の予約をした時間帯が遅い利用者の電動車両に対しても充電を効率的に行うことができる。
【0013】
さらに、請求項1乃至請求項5記載の発明によれば、負荷平準化を図ることによって、契約電力の稼働率を高めることができ、電力契約の基本料金を実質的に下げることができる。
【0014】
請求項3及び請求項5記載の発明によれば、充電の優先順位を定めることにより、充電装置の利用者間に不公平感を感じさせることなく、多数の利用者が納得のいく充電スケジュールの組み立てが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の充電スケジュールの組立て方法に係る第1実施例を説明するフローチャートである。
図2】前記第1実施例における充電スケジュールの具体例を時系列的に示す図である。
図3】本発明の充電スケジュールの組立て方法に係る第2実施例を説明するフローチャートである。
図4】前記第2実施例における充電スケジュールの具体例を時系列的に示す図である。
図5】本発明の充電スケジュールの組立て方法に係る第3実施例を説明するフローチャートである。
図6】前記第3実施例における充電スケジュールの具体例を時系列的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図1乃至図6を用いて説明する。本発明の充電装置は、例えば、集合住宅等の共有駐車場に複数台設置されて、居住者の所有する電動車両に駆動電力を充電するものである。
【0017】
その利用方法の一例としては、利用者が図示しない充電装置の操作パネルを操作して、自己の電動車両の充電完了要求時刻を予約するものであり、複数台設置した充電装置によって同時に複数台(例えば、10台)の充電予約が可能である。
【0018】
また、本発明に係る充電方法の特徴として、複数台の電動車両の充電予約がされた場合においても、充電電力が契約電力を超過することのないよう、各充電装置の充電スケジュールを組立てることができることにある。
【0019】
図1は充電スケジュールの組立て方法の一例(以下、第1実施例という)を示すフローチャートである。なお、図1に示す充電スケジュールの組立ては、電動車両が充電装置に接続され、充電の予約(以下、エントリーという)が行われれる毎に実施される。
【0020】
例えば、15時に一台目の電動車両に対し、充電装置に付属する充電コネクタを接続し、利用者が充電装置の操作パネルを操作することにより充電完了要求時刻(例えば23時)を設定し予約すると、充電装置は充電完了要求時刻(23時)から満充電に必要な時間(例えば、7時間)遡って充電スケジュールを設定する。
【0021】
この状態で、他にエントリーする車両がない場合は、図1のステップS1でエントリーした車両の充電完了要求時刻の1時間前(22時)を評価時刻に設定し、ステップS2で評価時刻(22時)と現在時刻(15時)を比較する。
【0022】
その結果、ステップS3に移行して、評価時刻(22時)における使用電力が契約電力を超過するか否かが判定される。ここで、電動車両1台当たりの充電に要する電力が3kWであり、契約電力が9kWである場合、ステップS3における比較の結果、使用電力は契約電力を超過することはなく、ステップS4へ進む。
【0023】
ステップS4では、評価時刻が1時間前(21時)に変更され、再度、ステップS2の現在時刻(15時)との比較が行なわれる。以上の動作はステップS4で評価時刻が1時間づつ戻される結果、ステップS2で評価時刻が現在時刻(15時)以前となるまで繰り返し実行され、評価時刻が現在時刻(15時)以前となることにより、ステップS5に移行して充電スケジュールの組立てを終了する。
【0024】
このような充電スケジュールの組立て動作は、充電装置に電動車両が3台エントリーされるまでは、何れの時間帯(評価時刻)においても使用電力が契約電力を超過することがないため同様に行われ、最終的に図2(a)に示す充電スケジュールが組立てられる。このスケジュールにしたがって車両5,8,10の充電が行われる。
【0025】
次に、図2(b)に示すように、車両1,車両2,車両6が18時にエントリーされた場合、図1のステップS1で設定される評価時刻は、充電完了要求時刻の最も遅い時刻である8時の1時間前である7時に設定される。そして、前述したと同様に、7時から1時間づつ評価時刻を遡らせながら、評価時刻における使用電力と契約電力の比較を行う(ステップS3)。
【0026】
そして、評価時刻が3時となったとき、使用電力(12kW)が契約電力(9kW)を超過するので、ステップS6に移行し、優先度の高い車両から充電スケジュールのチェックが行われる。
【0027】
ここで、優先度は、以下の基準に従って決定される。
(1)充電完了要求時刻が早い車両
(2)エントリー時刻が早い車両
(3)車両番号が小さい車両
【0028】
図2(b)の場合、評価時刻(3時)において最も優先度の高い車両は車両2となるので、ステップS6では車両2の充電スケジュールがチェックされ、ステップS7において、車両2の充電スケジュールの早い時間帯に空きがないかチェックする。
【0029】
図2(b)の場合、20時の時間帯に空きがあり、この時間帯に車両2を充電するスケジュールを組んだ場合、使用電力が契約電力を超過するか否かがステップS8で判定されるが、結果として超過することはないので、ステップS9において、3時における車両2の充電スケジュールを20時の時間帯に移動させる(図2(c))。
【0030】
その後、ステップS3まで戻り、3時における使用電力が9kWに変化することによって契約電力である9kWを超過することがなくなるので、ステップS4に移行して、評価時刻を1時間戻して2時とする。
【0031】
評価時刻が2時の場合も同様に、図2(c)に示すように、使用電力(15kW)が契約電力(9kW)を超過するので(ステップS3)、ステップS6で2時における優先度の最も高い車両8の充電スケジュールがチェックされ、ステップS7で車両8の充電スケジュールの早い時間帯に空きがあるかチェックされる。
【0032】
図2(c)の場合、19時に空きがあるので、ステップS8で車両8の2時における充電スケジュールを19時に移動させた場合に、19時の使用電力が契約電力を超過するか否かが判定されるが、結果として超過しないので、ステップS9において、車両8の2時の充電スケジュールを19時に移動させる(図2(d)(1))。
【0033】
その後、ステップS3に戻るが、2時の使用電力(12kW)は契約電力(9kW)をまだ超過するので、ステップS6において、次に優先度の高い車両2の充電スケジュールをチェックする。
【0034】
そして、ステップS7で車両2の充電スケジュールの早い時間帯に空きがあるか否かがチェックされるが、19時に空きがあるので、ステップS8で車両2の2時における充電スケジュールを19時に移動させた場合に、19時の使用電力が契約電力を超過するか否かが判定されるのであるが、結果として超過しないので、ステップS9において、車両2の2時の充電スケジュールを19時に移動させる(図2(d)(2))。
【0035】
その後は、ステップS3に戻り、2時における使用電力が契約電力を超過しないこととなる結果、ステップS4に進み、評価時刻を1時間戻して1時とし、再度、ステップS2以降の動作を実行する。1時において、使用電力(15kW)が契約電力(9kW)を超過するが(ステップS3)、1時において優先度の最も高い車両8(ステップS6)の充電スケジュールの早い時間帯のうち18時に空きがあるので、車両8の1時の充電スケジュールを18時に移動させ(図2(e)(1))、また、1時において次に優先度の高い車両2の1時の充電スケジュールを空きのある18時に移動させる(図2(e)(2))。この結果、1時における使用電力は9kWとなり契約電力(9kW)を超過せず、移動させた18時の使用電力も同様に契約電力を超過することはない。
【0036】
さらに、ステップS4で評価時刻が0時となった場合、図2(e)に示すように、0時における使用電力(12kW)も契約電力(9kW)を超過するので、ステップS6で、0時において最も優先度の高い車両8の充電スケジュールの早い時間帯に空きがあるかチェックされるが、現在時刻である18時以降に空きがなく(図2(f)(1))、また、次に優先度の高い車両2の充電スケジュールの早い時間帯にも空きがない(図2(f)(2))。
【0037】
さらに、次に優先度の高い車両10の充電スケジュールの早い時間帯に空きがあるか否かがチェックされるのであるが、車両10には23時に空きがあるので(ステップS7)、ステップS8において、車両10の0時における充電スケジュールを23時に移動させた場合に、23時の使用電力が契約電力を超過するか否かがチェックされる。
【0038】
その結果、23時における使用電力は9kWとなり契約電力(9kW)を超過しないので、ステップS9において、車両10の0時の充電スケジュールを23時に移動させる(図2(f)(3))。
【0039】
これにより、ステップS3において、0時における使用電力が契約電力を超過しないこととなり、ステップS4に移行して、評価時刻を1時間戻して23時とする。その後は、ステップS4で評価時刻を1時間づつ戻しながら、ステップS2以降の動作を、評価時刻が現在時刻(18時)以前となるまで繰り返し実行する(ステップS2,S5)。
【0040】
次に、図2(g)に示すように、1時に車両3及び車両4が充電完了要求時刻を15時としてエントリーされた場合は、何れの時間帯においても使用電力が契約電力を超過することはないので、充電スケジュールの組み直しは行われず、図2(g)に示す充電スケジュールを維持する。
【0041】
最後に、図2(h)に示すように、2時に車両7が充電完了要求時刻を12時としてエントリーされた場合、6時における使用電力(12kW)が契約電力(9kW)を超過するので、ステップS6において、6時において最も優先度の高い車両10の充電スケジュールの早い時間帯に空きがあるか否かがチェックされる(ステップS6,S7)。
【0042】
しかし、現在時刻(2時)以降に空きが存在しないので(図2(i)(1))、次に優先度の高い車両1の充電スケジュールの空きがチェックされる(ステップS10,S6,S7)。しかし、車両1の充電スケジュールにおいても現在時刻(2時)以降に空きがないので(図2(i)(2))、次に優先度の高い車両6の充電スケジュールの空きがチェックされるが、車両6についても結果は同様である(図2(i)(3))。
【0043】
そこで、次に優先度の高い車両7の充電スケジュールがチェックされるが、車両7の充電スケジュールには現在時刻(2時)以降に空きが存在するものの、6時における充電スケジュールを移動させた時に、使用電力が契約電力を超えない時間帯がしないので(図2(i)(4))、評価時刻(6時)の充電は、この時間帯において最も優先度の低い車両7の充電は行わないこととし、ステップS4で評価時刻を1時間戻して5時とし、ステップS2以降の動作を繰り返す。この結果、最終的に、5時と6時において車両7の充電が行われない充電スケジュールが決定する(図2(i))。
【0044】
以上説明したように、第1実施例の充電パターンにおいては、エントリーされた車両の優先順位に従い充電スケジュールを組立てることにより、優先度に応じて効率的に複数台の車両の充電を、契約電力を超過することなく行うことができる。
【0045】
図3は本発明に係る充電スケジュールの組立て方法の第2実施例を説明するためのフローチャートである。例えば、15時に1台目の車両がエントリーされ、充電完了要求時刻が23時であった場合、充電完了要求時刻から遡って充電に必要な時間(7時間)の充電スケジュールが組立てられる。
【0046】
このとき、図3のステップS21において、評価時刻が充電完了要求時刻の23時の1時間前(22時)に設定され、次に、ステップS22で評価時刻(22時)と現在時刻(15時)の比較が行われる。その結果、ステップS23に移行し、評価時刻(22時)における使用電力と契約電力が比較される。
【0047】
22時において使用される電力は3kWであり、契約電力(9kW)を超過しないので、ステップS24に進み、評価時刻を1時間戻す。この結果、評価時刻は21時となり、再び、ステップS22において、現在時刻(15時)との比較が行われる。
【0048】
この動作を現在時刻である15時まで行うのであるが(ステップS25)、何れの時間帯においても使用電力は3kWであり契約電力(9kW)を超過しないので、充電スケジュールの組み直しが行われることはなく、当初設定された充電スケジュールに従って、車両の充電が行われる。
【0049】
このような充電スケジュールの組立ては、充電装置に電動車両が3台エントリーされるまで同様であり、図4(a)に示すように充電スケジュールが組み立てられ、車両5,8,10の充電が行われる。
【0050】
一方、図4(b)に示すように、18時に車両1,車両2がエントリーされた場合、車両1,2の充電スケジュールは、それぞれの車両の充電完了要求時刻6時,4時から遡って、充電に必要な時間(7時間)の充電スケジュールが組立てられる。
【0051】
このとき、図3のステップS21において、評価時刻は、車両1,2,5,8,10の充電完了要求時刻のうち最も遅い時刻である6時の1時間前である5時に設定され、ステップS22において、評価時刻(5時)と現在時刻(18時)の比較が行われる。
【0052】
そして、ステップS23に移行し、評価時刻(5時)における使用電力と契約電力が比較された結果、使用電力(6kW)が契約電力(9kW)を超えていないので、ステップS24に移行して評価時刻が1時間戻される。これにより、評価時刻は4時となり、再度、ステップS22以降の動作を繰り返し実行する。
【0053】
その後、評価時刻が2時まで戻されたとき、ステップS23において2時の使電力と契約電力を比較すると、使用電力は12kWであり契約電力は9kWであるので、ステップS26に進み、2時の時間帯に充電スケジュールが組まれている車両のうち、充電開始時刻が最も遅い車両1の充電スケジュールがチェックされる。
【0054】
車両1の充電スケジュールは、図4(b)に示すように、現在時刻(18時)以降は18時から23時まで空きがあるので(ステップS28)、ステップS29において、車両1の2時の充電スケジュールを20時に移動させた場合に、20時の使用電力が契約電力を超過するか否かがチェックされるが、結果として超過しないので、ステップS30において、車両1の2時の充電スケジュールを20時に移動させる(図4(c))。
【0055】
その後、ステップS23まで戻り、2時における使用電力が契約電力を超過しなくなることをもって、ステップS24に移行して、評価時間を1時間戻し1時とする。
【0056】
1時においては、図4(c)に示すように、使用電力(12kW)が契約電力(9kW)を超過するので(ステップS23)、ステップS26において、1時に充電スケジュールが組まれている車両のうち、充電開始時刻が最も遅い車両10の充電スケジュールがチェックされる。
【0057】
車両10の充電スケジュールは、現在時刻(18時)以降には、図4(c)に示すように、18時から23時まで空きがあるので(ステップS28)、ステップS29において、1時の充電スケジュールを19時の時間帯に移動させた場合に使用電力が契約電力を超過するか否かを判定される。
【0058】
この結果、19時に移動させた場合の使用電力は9kWであり契約電力を超過しないので、ステップS30で、車両10の1時の充電スケジュールを19時に移動させる(図4(d))。その後は、ステップS23に戻り、1時における使用電力が契約電力を超過しないことをもって、ステップS24に移行して評価時刻を0時とする。
【0059】
そして、図4(d)に示すように、0時の使用電力も12kWであり契約電力9kWを超過するので(ステップS23)、ステップS26において、0時に充電スケジュールが組まれている車両の内、充電開始時刻の最も遅い車両2の充電スケジュールがチェックされる。
【0060】
車両2の充電スケジュールのうち、現在時刻である18時以降は18時から21時までの時間帯に空きがあるので(ステップS28)、ステップS29において、車両2の0時における充電スケジュールを空きのある時間帯に移動させた場合に契約電力を超過するか否かがチェックされる。
【0061】
その結果、19時の時間帯に移動させた場合、使用電力は9kWであり契約電力を超過しないので、ステップS30において、図4(e)に示すように車両2の0時における充電スケジュールを19時に移動させる。
【0062】
その結果、ステップS23において、0時の使用電力が契約電力を超過しなくなることにより、ステップS24に移行して、評価時刻を1時間戻し23時とする。23時においても、同様の動作を繰り返すことにより、図4(f)に示すように、23時に充電スケジュールが組まれている車両のうち、充電開始時刻の最も遅い車両1の23時の充電スケジュールが、18時の時間帯に移動される。以降、評価時刻を1時間づつ戻しながら、評価時刻が現在時刻(18時)以前となるまで同様の動作を繰り返し実行する。
【0063】
次に、図4(g)に示すように、19時に充電完了要求時刻を8時として車両6がエントリーされた場合、3時における使用電力(12kW)が契約電力(9kW)を超過するので(ステップS23)、ステップS26において、3時において充電スケジュールが組まれている車両のうち、充電開始時刻が最も遅い車両6の充電スケジュールがチェックされる。そして、ステップS28で車両6の充電スケジュールの早い時間帯に空きがあるか否かがチェックされる。
【0064】
車両6の充電スケジュールには、19時から1時までの時間帯に空きがあるが、車両6の3時の充電スケジュールを空きの時間帯(19時から1時)に移動させた場合、何れの時間帯においても使用電力が契約電力を超過するので(図4(h)(1))、ステップS28に戻り空きなしと判定される。
【0065】
その結果、ステップS26において、3時において次に充電開始時刻の遅い車両2の充電スケジュールがチェックされ、ステップS28で空きの時間帯があるか否かがチェックされる。しかし、車両2においても、空きの時間帯(20時と0時)に3時の充電スケジュールを移動させた場合、使用電力が契約電力を超過するので(図4(h)(2))、ステップS28に戻って空きなしと判定される。
【0066】
このことは、次に充電開始時刻の遅い車両10及びその次に充電開始時刻の遅い車両1においても同様であり、何れの車両においても2時の充電スケジュールを空きの時間帯に移動させることはできず、ステップS27において、3時に充電スケジュールが組まれている車両の全てについてチェックしたことをもってステップS24に移行し、評価時刻を1時間戻し2時とする。そして、3時においては、優先度の最も低い車両6の充電を行わないこととし、3時において使用電力が契約電力を超過しないよう調整する。
【0067】
図4(i)に示すように、2時の使用電力も12kWであり契約電力を超過するので(ステップS23)、ステップS26において、2時に充電スケジュールが組まれている車両のうち、充電開始時刻が最も遅い車両6の充電スケジュールがチェックされる。
【0068】
車両6の充電スケジュールには、19時から1時までの時間帯に空きがあるが、車両6の2時の充電スケジュールを空きの時間帯(19時から1時)に移動させた場合、何れの時間帯においても使用電力が契約電力を超過するので(図4(i)(1))、ステップS28に戻り空きなしと判定される。
【0069】
その結果、ステップS26において、2時において次に充電開始時刻の遅い車両8の充電スケジュールがチェックされ、ステップS28で空きの時間帯があるか否かがチェックされる。しかし、車両2においても、空きの時間帯(19時)に2時の充電スケジュールを移動させた場合、使用電力が契約電力を超過するので(図4(i)(2))、ステップS28に戻って空きなしと判定される。
【0070】
このことは、次に充電開始時刻の遅い車両2及びその次に充電開始時刻の遅い車両10においても同様であり、何れの車両においても2時の充電スケジュールを空きの時間帯に移動させることはできず、ステップS27において、2時に充電スケジュールが組まれている車両の全てについてチェックしたことをもってステップS24に移行し、評価時刻を1時間戻し1時とする。そして、2時においては、優先度の最も低い車両6の充電を行わないこととし、2時において使用電力が契約電力を超過しないよう調整する。
【0071】
その後、ステップS22に戻り、評価時刻を1時に設定し、ステップS23以降の動作を評価時刻が現在時刻(19時)以前となるまで繰り返し実行する。その結果、図4(j)に示すように、1時から3時の時間帯においては最も優先度の低い車両6の充電を行わない充電スケジュールを決定し、充電スケジュールの組立てを終了する(ステップS25)。
【0072】
図5は本発明の第3実施例に係る充電スケジュールの組立て方法を説明するためのフローチャートである。第3実施例の充電スケジュールの組立て方法は、第1実施例や第2実施例とは異なり、充電装置に予め利用者が所有する車両の車種を登録しておく必要がある。
【0073】
これは、車種毎の後述する優先充電時間を設定するためであり、優先充電時間は、契約電力を、登録車両の総台数と1台当たりの使用電力を乗じて計算される登録車両同時充電容量で除して算出されるものである。
【0074】
例えば、契約電力が9kWであり、充電時間が7時間の車両が2台(車両2,車両5)、充電時間が8時間の車両が1台(車両8)、充電時間が1.5時間の車両が2台(車両1,車両10)が予め登録してある場合、充電時間が7時間の車両の優先充電時間は4時間であり、充電時間が8時間の車両の優先充電時間は5時間であり、充電時間が1.5時間の車両の優先充電時間は1時間となる。
【0075】
第3実施例においては、図6(a)に示すように、15時に車両5のエントリーが行われると、充電完了要求時刻が5時であったとしても、車両5の充電スケジュールはエントリーした15時から充電に必要な時間(7時間)が設定される。なお、7時間のうち15時から19時までの4時間が優先充電時間となる。
【0076】
次に、ステップS31において、充電開始時刻(現在時刻と等しい)が評価時刻として設定され、ステップS32で、評価時刻(15時)と予め任意に設定した時刻(図5では、翌日の14時)とを比較する。その結果、ステップS33に移行して、評価時刻(15時)における使用電力と契約電力を比較するが、15時の使用電力は3kWであり、契約電力9kWを超過しないので、ステップS34に移行して、評価時刻を1時間進め16時とし、ステップS32に戻って同様の動作を繰り返し実行する。
【0077】
繰り返し実行した結果、評価時刻が翌日の14時以降となった場合、ステップS39に移行して充電スケジュールの組立てを終了する。つまり、充電スケジュールが図6(a)に示すように確定し、15時から7時間をかけて車両5を充電する。
【0078】
このような動作は、図6(b)に示すように、16時に車両8がエントリーされた場合においても同様に行われ、この状況では何れの時間帯においても使用電力が契約電力を超過することがないので、充電スケジュールの組み直しは行われず、エントリー直後に設定された充電スケジュールに従って充電される。
【0079】
一方、図6(c)に示すように、19時に車両2と車両10のエントリーが行われた場合、評価時刻(19時:現在時刻)から1時間づつ使用電力と契約電力の比較(ステップS33)が行われるのであるが、評価時刻である19時において使用電力(12kW)が契約電力(9kW)を超過するので、ステップS35に移行して、評価時刻(19時)における優先度の最も低い車両の充電スケジュールがチェックされる。
【0080】
ここで、優先度は、以下の基準に従って決定される。
(1)優先充電時間がその他の時間に優先
(2)充電完了要求時刻が早い車両
(3)エントリー時刻が早い車両
(4)車両番号が小さい車両
【0081】
上記優先度の基準に従うと、19時において最も優先度の低い車両は車両5であるので、図5のステップS36で車両5の充電スケジュールの後方に空きがあるか否かをチェックする。
【0082】
図6(c)では、22時から5時まで空きがあるので、ステップS37において、19時の充電スケジュールを22時に移動させる(図6(d)参照)。これにより、19時における使用電力は契約電力を超過しなくなるので(ステップ33)、ステップS34に移行して、評価時刻を1時間進めて20時とする。
【0083】
20時における使用電力は12kWであり契約電力を超過している(図6(d))。したがって、ステップS35において、20時における優先度の最も低い車両10の充電スケジュールがチェックされ、ステップS36において車両10の充電スケジュールの後方に空きがあるか否かチェックされる。
【0084】
図6(d)においては、20時30分から7時まで空きがあるが、22時までは使用電力が契約電力を超過してしまうので、ステップS37において、車両10の20時の充電スケジュールを23時まで移動させる(図6(e))。
【0085】
この結果、ステップS33において、評価時刻である20時の使用電力が契約電力を超過することはなくなるので、ステップS34に移行して、評価時刻を21時とし、以降、1時間づつ評価時刻を進めながら充電スケジュールを組み直す。
【0086】
最後に、図6(f)に示すように、23時に車両1がエントリーされた場合、評価時刻である23時において、使用電力は12kWであり、契約電力を超過している(ステップS33)。よってステップS35において、評価時刻(23時)における優先順位の最も低い車両2の充電スケジュールをチェックし、充電スケジュールの後方に空きがあるか否かをチェックする(ステップS36)。
【0087】
図6(f)の場合、2時以降に空きがあるので、車両2の23時の充電スケジュールを2時に移動させることにより、23時における使用電力が契約電力を超過することをなくし(ステップS33)、ステップS34において、評価時刻を1時間進めて0時とする。
【0088】
以降、評価時刻を翌日の14時まで1時間づつ進めながら(ステップS34)、評価時刻における使用電力が契約電力を超過しない場合は、現状の充電スケジュールを維持し、超過する場合は、超過する時間帯の最も優先度の低い車両の充電スケジュールを超過しない時間帯に進めることによって、登録された車両の充電スケジュールの組み立てを行う。
【0089】
以上説明したように、本発明に係る電動車両の充電スケジュールの組立て方法によれば、複数台の電動車両の充電を契約電力を超過させることなく、利用者間の公平性を担保しながら充電完了要求時刻までに可能な限り充電することができる。
【0090】
なお、本発明は、前述した第1乃至第3の実施例の各々によって構成される充電スケジュールの組立て限定することなく、第1乃至第3の実施例を含む充電スケジュールの組立て方法を包含するものでる。つまり、第1乃至第3の実施例を適宜組合わせた充電スケジュールの組立て方法にも本発明の技術的範囲は及ぶことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
電動車両の駆動用電力の充電に利用するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6