特許第5926076号(P5926076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926076
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】信号レベル測定装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/426 20110101AFI20160516BHJP
【FI】
   H04N21/426
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-53372(P2012-53372)
(22)【出願日】2012年3月9日
(65)【公開番号】特開2013-187840(P2013-187840A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113665
【氏名又は名称】マスプロ電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】足立 憲治
【審査官】 矢野 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−134831(JP,A)
【文献】 特開2003−298537(JP,A)
【文献】 特開2007−198936(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0190668(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルテレビ放送の放送電波を受信する受信アンテナから受信信号を取得し、測定対象となる放送チャンネル内の特定周波数の信号が基準周波数となるよう、前記受信信号を周波数変換する周波数変換手段と、
前記周波数変換手段にて周波数変換された受信信号のうち、前記基準周波数を中心とする1セグメント分の周波数帯域の信号成分を選択的に通過させるバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタを通過した1セグメント分の周波数帯域内の信号を検波する検波手段と、
前記周波数変換手段に対し、前記測定対象となる放送チャンネルでワンセグ放送に利用される特定セグメントの中心周波数が前記基準周波数となるよう前記受信信号を周波数変換させ、該周波数変換後に前記検波手段を介して得られる検波電圧を、前記特定セグメントの信号レベルとして検出する第1レベル検出手段と、
前記周波数変換手段に対し、前記測定対象となる放送チャンネルで前記特定セグメントとは異なるセグメントである比較用セグメントの中心周波数が前記基準周波数となるよう前記受信信号を周波数変換させ、該周波数変換後に前記検波手段を介して得られる検波電圧を、前記比較用セグメントの信号レベルとして検出する第2レベル検出手段と、
前記第1レベル検出手段にて検出された前記特定セグメントの信号レベルが、前記第2レベル検出手段にて検出された前記比較用セグメントの信号レベルに比べ、所定の閾値以上高いか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて前記特定セグメントの信号レベルが前記比較用セグメントの信号レベルに比べ前記閾値以上高くないと判断されると、予め設定されるか、あるいは、前記第1レベル検出手段にて検出された前記検波電圧に所定の比率を乗じることで算出される第1補正値を、前記第1レベル検出手段にて検出された信号レベルから減じることで、該信号レベルから前記特定セグメントに隣接する隣接セグメントの信号成分を除去する第1補正手段と、
を備えたことを特徴とする信号レベル測定装置。
【請求項2】
前記判定手段にて前記特定セグメントの信号レベルが前記比較用セグメントの信号レベルに比べ前記閾値以上高いと判断されると、予め設定されるか、あるいは、前記第1レベル検出手段にて検出された前記検波電圧に所定の比率を乗じることで算出される第2補正値を、前記第1レベル検出手段にて検出された信号レベルに加算することで、前記バンドパスフィルタの減衰特性による前記信号レベルの測定誤差を補正する第2補正手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の信号レベル測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルテレビ放送の一つのセグメントを利用して行われるワンセグ放送の信号レベルを測定する信号レベル測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地上局からの送信電波を利用して受信端末に配信されるデジタルテレビ放送では、テレビ放送の1チャンネル毎に割り当てられる6MHzの周波数帯域内に、周波数帯域幅が約428kHzのセグメントを13個割り当て、中央の1セグメントを使用して、車載テレビや携帯電話等のポータブル受信機に対し移動中でも映像や音声を安定して受信し得るワンセグ放送を行い、残りの12セグメントを使用して、固定受信機向けのテレビ放送を行っている。
【0003】
このため、こうしたデジタルテレビ放送の放送電波の信号レベルを測定する装置においては、単にテレビ放送1チャンネル分の放送信号の信号レベルだけでなく、ワンセグ放送が行われる特定セグメントの放送信号の信号レベルを測定できるようにする必要がある。
【0004】
ここで、ワンセグ放送の信号レベルは、テレビ放送1チャンネル分の放送信号の信号レベル(詳しくは電力若しくは電界強度)を測定し、その測定結果を1/13に演算することで、求めるようにしてもよい。
【0005】
しかし、このように算出されるワンセグ放送の信号レベルは、放送電波がマルチパス等の影響を受けて、テレビ放送1チャンネル分の帯域内で信号レベルが変化すると、正規の信号レベルからずれてしまう。
【0006】
そこで、こうした問題を防止するため、ワンセグ放送に対応した1セグメント分の信号レベルを実測し、その実測値と、テレビ放送1チャンネル分の測定結果を1/13した理論値と実測値との差を、表示することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
この提案の装置によれば、使用者が表示結果を見ることにより、ワンセグ放送の信号レベル(実測値)だけでなく、その放送信号がマルチパス等の影響を受けているか否かを判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−198936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、ワンセグ放送の信号レベルを実測する場合、デジタルテレビ放送の放送電波を受信する受信アンテナからの受信信号の中から、測定対象となる放送チャンネルでワンセグ放送が行われている特定セグメントを選局する必要がある。
【0010】
そして、その選局には、特定セグメントの信号のみを選択的に通過させるバンドパスフィルタが使用され、このバンドパスフィルの帯域幅は、ワンセグ放送に使用される1セグメント分の周波数帯域に合わせて、約428kHzに設定されることになる。
【0011】
ところで、バンドパスフィルタは、上下のカットオフ周波数が適正であっても、カットオフ周波数付近での減衰特性を急峻に変化させることはできないことから、バンドパスフィルタからは、特定セグメントの信号だけでなく、特定セグメントに隣接した隣接セグメントの信号の一部が出力されることになる。
【0012】
このため、バンドパスフィルタを用いて特定セグメントの信号を選局し、その信号レベルを測定した際には、測定結果に、隣接セグメントの信号成分が含まれることになる。
一方、この問題を防止するには、特定セグメントの信号レベルの測定結果から、バンドパスフィルタを通過した隣接セグメントの信号成分に対応する補正値を減じるようにすればよい。
【0013】
しかし、このようにすると、ワンセグ放送だけを行うデジタルテレビ放送では、そのワンセグ放送の信号レベルを正常に測定することができず、測定結果に誤差が生じるという問題がある。
【0014】
つまり、デジタルテレビ放送では、放送エリアを制限して、ワンセグ放送を行う、所謂エリアワンセグが提案されているが、このエリアワンセグが実施される地域では、そのエリアワンセグの信号レベルを測定する必要がある。
【0015】
しかし、エリアワンセグを行うデジタルテレビ放送では、エリアワンセグ用のセグメントに隣接するセグメントは存在しないことから、上記のように特定セグメントの信号を選局して、その信号レベルを測定した後、その測定結果から、隣接セグメントの信号成分に対応する補正値を減じるようにすると、信号レベルの測定結果が、実際の信号レベルよりも低くなってしまう。
【0016】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、地上波を利用したデジタルテレビ放送において、通常のテレビ放送と共に実施されるワンセグ放送の信号レベルと、ワンセグ放送だけが実施されるエリアワンセグの信号レベルとを、それぞれ、精度よく測定することのできる信号レベル測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる目的を達成するためになされた本発明の一局面の信号レベル測定装置は、
デジタルテレビ放送の放送電波を受信する受信アンテナから受信信号を取得し、測定対象となる放送チャンネル内の特定周波数の信号が基準周波数となるよう、前記受信信号を周波数変換する周波数変換手段と、
前記周波数変換手段にて周波数変換された受信信号のうち、前記基準周波数を中心とする1セグメント分の周波数帯域の信号成分を選択的に通過させるバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタを通過した1セグメント分の周波数帯域内の信号を検波する検波手段と、
前記周波数変換手段に対し、前記測定対象となる放送チャンネルでワンセグ放送に利用される特定セグメントの中心周波数が前記基準周波数となるよう前記受信信号を周波数変換させ、該周波数変換後に前記検波手段を介して得られる検波電圧を、前記特定セグメントの信号レベルとして検出する第1レベル検出手段と、
前記周波数変換手段に対し、前記測定対象となる放送チャンネルで前記特定セグメントとは異なるセグメントである比較用セグメントの中心周波数が前記基準周波数となるよう前記受信信号を周波数変換させ、該周波数変換後に前記検波手段を介して得られる検波電圧を、前記比較用セグメントの信号レベルとして検出する第2レベル検出手段と、
前記第1レベル検出手段にて検出された前記特定セグメントの信号レベルが、前記第2レベル検出手段にて検出された前記比較用セグメントの信号レベルに比べ、所定の閾値以上高いか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて前記特定セグメントの信号レベルが前記比較用セグメントの信号レベルに比べ前記閾値以上高くないと判断されると、予め設定されるか、あるいは、前記第1レベル検出手段にて検出された前記検波電圧に所定の比率を乗じることで算出される第1補正値を、前記第1レベル検出手段にて検出された信号レベルから減じることで、該信号レベルから前記特定セグメントに隣接する隣接セグメントの信号成分を除去する第1補正手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の他の局面の信号レベル測定装置は、更に、
前記判定手段にて前記特定セグメントの信号レベルが前記比較用セグメントの信号レベルに比べ前記閾値以上高いと判断されると、予め設定されるか、あるいは、前記第1レベル検出手段にて検出された前記検波電圧に所定の比率を乗じることで算出される第2補正値を、前記第1レベル検出手段にて検出された信号レベルに加算することで、前記バンドパスフィルタの減衰特性による前記信号レベルの測定誤差を補正する第2補正手段、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の信号レベル測定装置によれば、第1レベル検出手段が、周波数変換手段に対し、測定対象となる放送チャンネルでワンセグ放送に利用される特定セグメントの中心周波数が基準周波数となるよう、受信信号を周波数変換させる。そして、第1レベル検出手段は、周波数変換手段による受信信号の周波数変換後に検波手段を介して得られる検波電圧を、特定セグメントの信号レベルとして検出する。
【0020】
また、第2レベル検出手段は、周波数変換手段に対し、測定対象となる放送チャンネルで特定セグメントとは異なるセグメントである比較用セグメントの中心周波数が基準周波数となるよう、受信信号を周波数変換させる。そして、第2レベル検出手段は、周波数変換手段による周波数変換後に検波手段を介して得られる検波電圧を、比較用セグメントの信号レベルとして検出する。
【0021】
また、このように、第1レベル検出手段及び第2レベル検出手段にて、特定セグメント及び比較用セグメントを信号レベルが検出されると、判定手段が、その検出結果に基づき、特定セグメントの信号レベルは比較用セグメントの信号レベルに比べて所定の閾値以上高いか否かを判定する。
【0022】
そして、判定手段にて特定セグメントの信号レベルが比較用セグメントの信号レベルに比べ閾値以上高くないと判断されると、第1補正手段が、第1レベル検出手段にて検出された信号レベルから、第1補正値を減じることで、特定セグメントに隣接する隣接セグメントの信号成分を除去する。
【0023】
つまり、特定セグメントの信号レベルが比較用セグメントの信号レベルに比べ閾値以上高い場合、判定手段では、測定対象となる放送チャンネルは、ワンセグ放送専用の放送チャンネル(例えば、上述したエリアワンセグ用の放送チャンネル)であると判定できる。
【0024】
そして、この場合、所謂選局用のバンドパスフィルタを通過する受信信号は、ワンセグ放送1セグメント分の受信信号であることから、第1レベル検出手段にて検出される特定セグメントの信号レベルは、特定セグメントに隣接した隣接セグメントの影響を受けることはない。
【0025】
しかし、特定セグメントの信号レベルが比較用セグメントの信号レベルに比べ閾値以上高くない場合(つまりこれら各信号レベルが略同レベルである場合)、測定対象となる放送チャンネルは、ワンセグ放送を含む通常のテレビ放送(所謂フルセグ放送)を行う放送チャンネルであると判定できる。
【0026】
そして、この放送チャンネルでは、選局用のバンドパスフィルタを通過する受信信号は、ワンセグ放送1セグメント分の受信信号に隣接セグメントの信号成分を加えた信号となる。
【0027】
そこで、本発明では、判定手段にて、特定セグメントの信号レベルが比較用セグメントの信号レベルに比べ閾値以上高くない(つまり測定対象となる放送チャンネルは通常のフルセグ放送を行う放送チャンネルである)と判定されたときにだけ、第1補正手段を動作させるのである。
【0028】
この結果、本発明の信号レベル測定装置によれば、測定対象となる放送チャンネルが、エリアワンセグのようなワンセグ放送専用の放送チャンネルであっても、或いは、ワンセグ放送と通常のテレビ放送とを行うフルセグ放送用の放送チャンネルであっても、ワンセグ放送の信号レベルを精度よく測定することができるようになる。
【0029】
ところで、ワンセグ放送の選局に用いられるバンドバスフィルタは、1セグメント分の周波数帯域内で通過ロスをなくすことはできず、特に、上下のカットオフ周波数付近では通過ロスが大きくなる。
【0030】
このため、測定対象となる放送チャンネルが、ワンセグ放送専用の放送チャンネル(例えば、上述したエリアワンセグ用の放送チャンネル)である場合に、バンドパスフィルタを通過するワンセグ放送1セグメント分の受信信号は、バンドパスフィルタを通過する際に一部が減衰され、第1レベル検出手段にて検出される特定セグメントの信号レベルは、実際の信号レベルよりも低くなることが考えられる。
【0031】
そこで、本発明の信号レベル測定装置においては、判定手段にて特定セグメントの信号レベルが比較用セグメントの信号レベルに比べ閾値以上高いと判断された際には、第2補正手段にて、第1レベル検出手段にて検出された信号レベルに第2補正値を加算することで、バンドパスフィルタの減衰特性による測定誤差を補正するようにしてもよい。
【0032】
そして、このようにすれば、特定セグメントの信号レベルをより精度よく測定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施形態のレベルチェッカの構成を表すブロック図である。
図2図1の制御部にて実行される信号レベル測定処理を表すフローチャートである。
図3図2の信号レベル測定処理の動作を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1に示すように、本実施形態の信号レベル測定装置(以下、レベルチェッカという)2は、地上局(詳しくは放送局若しくは中継局)から送信されたデジタルテレビ放送の電波(UHF帯)を受信可能なアンテナ4を備え、このアンテナ4からの受信信号から、特定放送チャンネルのワンセグ放送の信号レベルを測定するためのものである。
【0035】
このため、レベルチェッカ2には、アンテナ4から受信信号を取り込むための入力端子6と、入力端子6を介して入力された受信信号の中から、特定放送チャンネルのワンセグ放送を選局するための選局部10と、選局部10にて選局されたワンセグ放送の信号を包絡線検波することで、その信号レベルを検出する検波部20と、が備えられている。
【0036】
また、選局部10は、受信信号を増幅する増幅回路12と、受信信号を周波数変換するための高周波信号を発生する発振器14と、発振器14からの高周波信号と受信信号とを混合することで受信信号を周波数変換するミキサ16と、ミキサ16から出力される周波数変換後の受信信号のうち、基準周波数frを中心とするワンセグ放送1セグメント分の帯域幅(約428kHz)の信号を通過させるバンドパスフィルタ(以下、BPFという)18と、を備える。
【0037】
ここで、発振器14は、制御部30からの制御信号(電圧)により発振周波数を制御可能な可変発振器にて構成されている。
そして、制御部30は、発振器14に対し、特定放送チャンネルの特定周波数faの信号を基準周波数frに周波数変換するのに必要な高周波信号fb(=fa−fr)を発生させる制御信号を出力する。
【0038】
この結果、ミキサ16では、特定周波数faの信号が、基準周波数frに周波数変換(ダウンコンバート)され、BPF18からは、そのダウンコンバートされた基準周波数frを中心とする1セグメント分の帯域幅の信号が出力されることになる。
【0039】
次に、制御部30は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されており、選局部10に選局させる放送チャンネル(測定対象となる放送チャンネル、以下、測定チャンネルともいう)は、操作部24からの指令に従い設定する。
【0040】
また、制御部30のROM内には、選局部10にて選局可能なUHF帯のテレビ放送チャンネル毎に、ワンセグ放送に利用されるセグメントの中心周波数が記憶されており、制御部30(詳しくはCPU)は、特定放送チャンネル(測定チャンネル)のワンセグ放送の信号レベルを測定する際には、ROMから、そのワンセグ放送の中心周波数f0を読み出し、その中心周波数が基準周波数frとなるように、発振器14の発振周波数を制御する。
【0041】
また、制御部30には、操作部24に加えて、ワンセグ放送の信号レベルの測定結果を表示するための表示部22が接続されている。なお、表示部22は、液晶表示パネル等にて構成されており、操作部24の近傍に配置されている。
【0042】
次に、制御部30のCPUにて、ワンセグ放送の信号レベルを測定する際に実行される、信号レベル測定処理について、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
なお、この信号レベル測定処理は、操作部24を介して、測定対象となる所望の放送チャンネルにおけるワンセグ放送の信号レベルの測定指令が入力されたときに、起動される処理である。
【0043】
図2に示すように、この信号レベル測定処理が起動されると、まず、S110(Sはステップを表す)にて、操作部24を介して設定された測定チャンネルを読み込む。
そして、続くS120では、選局部10に対し、その測定チャンネルのワンセグ放送を選局させ、その後、検波部20から、その選局させたワンセグ放送1セグメント分の検波電圧を読み込む。
【0044】
なお、図3(a)に示すように、13セグメントからなる通常のデジタルテレビ放送信号において、ワンセグ放送には、中央のセグメントが利用されることから、S120では、その中央のセグメントの中心周波数f0を、基準周波数frに周波数変換すべき信号の周波数(特定周波数)としてROMから読み込む。
【0045】
そして、発振器14に対し制御信号を出力することで、発振器14から、その特定周波数f0の信号を基準周波数frに周波数変換するのに必要な高周波信号fb(=f0−fr)を発生させる。
【0046】
この結果、選局部10では、ワンセグ放送用のセグメントの中心周波数f0が基準周波数frとなるように受信信号が周波数変換され、その周波数変換された受信信号の内、ワンセグ放送1セグメント分の信号が、BPF18を介して、検波部20に出力されることになる。
【0047】
すると、検波部20は、BPF18を介して入力された信号を包絡線検波することで、その信号レベル(電力)を表す検波電圧を出力することから、S120では、その検波電圧を読み込むことで、ワンセグ放送の信号レベルを検出する。
【0048】
次に、S130では、図3(a)に示すように、測定チャンネル内で、S120にて選局部10に選局させたワンセグ放送よりも所定周波数(例えば1.5MHz)だけ周波数が高く、1セグメント分の周波数帯域を有する信号を、比較用セグメントとして、選局部10に選局させ、その後、検波部20から、その選局させた比較用セグメントの検波電圧を読み込む。
【0049】
つまり、S130では、選局部10に対し、S120にて選局させたワンセグ放送の中心周波数f0よりも所定周波数(例えば、1.5MHz)だけ高い周波数f1の信号が基準周波数frとなるよう、受信信号を周波数変換させることで、検波部20に対し、BPF18を介して、測定チャンネル内で周波数f1を中心とする1セグメント分の帯域幅の受信信号を、比較用セグメントとして出力させ、その比較用セグメントの検波電圧を、検波部20から読み込む。
【0050】
次に、S140では、S120にて読み込んだワンセグ放送の検波電圧と、S130で読み込んだ比較用セグメントの検波電圧とを比較し、ワンセグ放送の検波電圧が比較用セグメントの検波電圧に比べ、所定の閾値以上高いか否かを判断することにより、測定チャンネルは、13セグメントからなる通常のデジタルテレビ放送(所謂フルセグ放送)を行う通常チャンネル(図3(a)参照)であるか、ワンセグ放送だけを行うワンセグ放送専用のチャンネル(図3(b)参照)であるかを判断する。
【0051】
そして、S140では、ワンセグ放送の検波電圧が比較用セグメントの検波電圧よりも閾値以上高くなければ(つまり、検波電圧の差が小さければ)、測定チャンネルでは、通常のフルセグ放送がなされていると判断して、S150に移行する。
【0052】
すると、S150では、S120にて読み込んだワンセグ放送の検波電圧から、フルセグ用の第1補正値Aを減じることで、ワンセグ放送の検波電圧を補正する。
これは、測定チャンネルがフルセグ放送の場合、図3(a)に示すように、測定チャンネルの周波数帯域(6MHz)内に、13セグメント分の放送信号(OFDM信号)が配列され、BPF18を介して検波部20に出力されるワンセグ放送1セグメント分の信号には、隣接セグメントの信号成分が含まれるためである。
【0053】
つまり、BPF18の上下のカットオフ周波数(詳しくは、高周波側及び低周波側のカットオフ周波数)は、1セグメント分の信号(帯域幅約428kHzの信号)を通過できるように設定される。
【0054】
しかし、図3に点線で示すように、BPF18において、上下のカットオフ周波数で信号の通過損失を急峻に変化させることは困難であり、信号の通過損失が小さい通過帯域よりも外側の周波数帯域では、通過損失が緩やかに増大する。
【0055】
このため、測定チャンネルがフルセグ放送の場合、BPF18を介して検波部20に出力される信号には、ワンセグ放送の信号に加えて、ワンセグ放送のセグメントに隣接する隣接セグメントの信号の一部が含まれ、検波部20を介して得られる検波電圧は、ワンセグ放送単体の正規の検波電圧に比べ大きくなる。
【0056】
そこで、本実施形態では、その検波電圧の誤差分を、実験・シミュレーション等で予め求め、これを第1補正値Aとして、ROMに記憶しておくことで、S150にて、ワンセグ放送の検波電圧を、第1補正値Aを用いて減算補正するようにしているのである。
【0057】
このように、S150にて、S120で測定された検波電圧がワンセグ放送単体の検波電圧として補正されると、S170に移行し、その補正後の検波電圧を、ワンセグ放送の信号レベルとして表示部22に表示し、当該信号レベル測定処理を終了する。
【0058】
この結果、測定チャンネルが通常のフルセグ放送である場合、表示部22には、隣接セグメントの影響を受けることなく、ワンセグ放送単体の信号レベルが表示されることになり、使用者は、ワンセグ放送の信号レベルを正確に把握することができる。
【0059】
なお、S170において、表示部22に信号レベルを表示する際には、測定チャンネルが通常のフルセグ放送であるかワンセグ放送専用の放送であるかを表す放送種別情報も表示する。
【0060】
一方、ワンセグ放送の検波電圧が、比較用セグメントの検波電圧に比べ閾値以上高い場合、S140では、測定チャンネルはワンセグ放送専用のチャンネルであると判断され、S160の処理が実行される。
【0061】
そして、S160では、S120にて読み込んだワンセグ放送の検波電圧に、ワンセグ放送専用の第2補正値Bを加算することで、ワンセグ放送の検波電圧を補正し、S170に移行する。
【0062】
つまり、図3に点線で示すように、BPF18において、上下のカットオフ周波数よりも内側の周波数帯域内で、信号の通過損失を一定にするのは難しく、上下のカットオフ周波数近傍では、中心周波数近傍に比べて通過損失が大きくなる。
【0063】
このため、図3(b)に示すように、測定チャンネルがワンセグ放送専用のチャンネルで、BPF18を通過する信号がワンセグ放送の信号だけである場合、その信号の一部がBPF18を通過する際に減衰され、検波部20を介して得られる検波電圧は、ワンセグ放送単体の正規の検波電圧に比べ小さくなる。
【0064】
そこで、本実施形態では、その検波電圧の誤差分を、実験・シミュレーション等で予め求め、これを第2補正値Bとして、ROMに記憶しておくことで、S160にて、ワンセグ放送の検波電圧を、第2補正値Bを用いて加算補正するようにしているのである。
【0065】
この結果、測定チャンネルがワンセグ放送専用のチャンネルである場合、表示部22には、BPF18での信号通過特性(換言すれば選局部10でのワンセグ放送の選局特性)の影響を受けることなく、ワンセグ放送単体の信号レベルが表示されることになり、使用者は、ワンセグ放送の信号レベルを正確に把握することができる。
【0066】
従って、本実施形態のレベルチェッカ2によれば、測定チャンネルが、エリアワンセグのようなワンセグ放送専用の放送チャンネルであっても、通常のフルセグ放送を行う放送チャンネルであっても、ワンセグ放送の信号レベルを精度よく測定することができるようになる。
【0067】
ここで、本実施形態では、発振器14及びミキサ16が、本発明の周波数変換手段に相当し、BPF18が、本発明のバンドパスフィルタに相当し、検波部20が、本発明の検波手段に相当する。
【0068】
また、本実施形態において、本発明の第1レベル検出手段、第2レベル検出手段、判定手段、第1補正手段、及び、第2補正手段としての機能は、制御部30にて実行される信号レベル測定処理にて実現される。
【0069】
つまり、本発明の第1レベル検出手段としての機能は、図2のS120にて実現され、第2レベル検出手段としての機能は、図2のS130にて実現され、判定手段としての機能は、図2のS140にて実現され、第1補正手段としての機能は、図2のS150にて実現され、第2補正手段としての機能は、図2のS160にて実現される。
【0070】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施形態では、S150、S160にて検波電圧を補正するのに用いる第1補正値A、第2補正値Bは、予めROM内に格納されているものとして説明したが、これら各補正値A、Bは、S120で求めたワンセグ放送の検波電圧に所定の比率を乗じることで算出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
2…レベルチェッカ(信号レベル測定装置)、4…アンテナ、6…入力端子、10…選局部、12…増幅回路、14…発振器、16…ミキサ、18…PBF(バンドパスフィルタ)、20…検波部、22…表示部、24…操作部、30…制御部。
図1
図2
図3