(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[第1の実施形態]
以下、
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るデシカント空調システムについて説明する。図示のデシカント空調システムは、空調対象空間(例えば、室内空間)5の天井などに設置される装置ハウジング(図示せず)を備え、この装置ハウジングに、第1デシカントロータ1、第1顕熱交換器2、第2デシカントロータ3、第2顕熱交換器4、及び加熱手段6が内蔵されている。
【0020】
このデシカント空調システムは更に、空調用空気流通ライン(空調用空気流通手段)A、第1冷却用媒体流通ライン(第1冷却用媒体流通手段)B、第2冷却用媒体流通ライン(第2冷却用媒体流通手段)C、及び再生用気体流通ライン(再生用気体流通手段)Dを備える。
【0021】
空調用空気流通ラインAは、外部から導入された外気を空調用空気として、各機器に流通させたのちに空調対象空間5に供給するための経路であり、図示しない外気導入部から第1デシカントロータ1の吸湿部1a及び第1顕熱交換器2を通って第2デシカントロータ3の吸湿部3aに至り、この第2デシカントロータ3の吸湿部3a及び第2顕熱交換器4を通り、更に第1デシカントロータ1の再生部1bを通って空調対象空間5に至る。また、空調用空気流通ラインAの上流側端部には電動式のファン7Aが設置されている。
【0022】
第1冷却用媒体流通ラインBは、外気を第1冷却用媒体として第1顕熱交換器2に供給するための経路であり、ファン7Aと第1デシカントロータ1との中間位置において空調用空気流通ラインAから分岐し、第1顕熱交換器2を通って外部まで延出されている。
【0023】
第2冷却用媒体流通ラインCは、空調対象空間5から導入された室内空気を第2冷却用媒体として第2顕熱交換器4に供給するための経路であり、空調対象空間5から第2顕熱交換器4に至る。また、第2冷却用媒体流通ラインCの上流側端部には電動式のファン7Bが設置されている。
【0024】
再生用気体流通ラインDは、第2デシカントロータ3に再生用気体を流通させるための経路であり、第2顕熱交換器4から加熱手段6を通って第2デシカントロータ3の再生部3bに至り、この第2デシカントロータ3の再生部3bを通って外部まで延出されている。
【0025】
第1及び第2デシカントロータ1,3は円板状を有し、それらの全体がハニカム状構造に形成されて多数の通気孔が設けられ、これらハニカム状構造の表面に通気性吸湿材が塗布されている。
【0026】
第1デシカントロータ1は、空調用空気流通ラインAの上流側部(具体的には、ファン7Aと第1顕熱交換器2との間の部位)とその下流側部(第2顕熱交換器4の配設部位よりも下流側の部位)にまたがって配設される。第1デシカントロータ1における空調用空気流通ラインAの上流側部に位置する部位は吸湿部1aとして機能し、この吸湿部1aにおいて吸湿材が気体に含まれる水分を吸湿する。また、第1デシカントロータ1における空調用空気流通ラインAの下流側部に位置する部位は再生部1bとして機能し、この再生部1bにおいて吸湿された水分が奪い取られて吸湿材が再生される。
【0027】
この第1デシカントロータ1には、例えば電動モータから構成される第1駆動源8が駆動連結され、第1駆動源8によって第1デシカントロータ1が、例えば1時間に数10回転で一定に回転駆動される。第1デシカントロータ1が第1駆動源8により回転駆動されると、吸湿部1aに相当する部位及び再生部1bに相当する部位が回転方向に連続的に変化する。
【0028】
また、第2デシカントロータ3は、空調用空気流通ラインAの中間部(具体的には、第1顕熱交換器2と第2顕熱交換器4との間の部位)と再生用気体流通ラインD(加熱手段6の配設部位よりも下流側の部位)にまたがって配設される。第2デシカントロータ3における空調用空気流通ラインAの中間部に位置する部位は吸湿部3aとして機能し、この吸湿部3aにおいて吸湿材が気体に含まれる水分を吸湿する。また、第2デシカントロータ3における再生用気体流通ラインDに位置する部位は再生部3bとして機能し、この再生部3bにおいて吸湿された水分が奪い取られて吸湿材が再生される。
【0029】
第2デシカントロータ3には、例えば電動モータから構成される第2駆動源9が駆動連結され、第2駆動源9によって第2デシカントロータ3が、例えば1時間に数10回転で一定に回転駆動される。第2デシカントロータ3が第2駆動源9により回転駆動されると、吸湿部3aに相当する部位及び再生部3bに相当する部位が回転方向に連続的に変化する。
【0030】
第1顕熱交換器2は、流通される気体を冷却用媒体との熱交換により冷却させるものであり、熱伝導性の高い金属(アルミニウム、銅、鉄、これらを含む合金)や樹脂系材料にて形成した熱伝導用板状体を積層して構成されている。例えば、厚さ0.1mmの樹脂製コルゲート板を積層して立方体形状となるように構成されている。第2顕熱交換器4は、流通される気体を冷却用媒体との熱交換により冷却させるものであり、第1顕熱交換器2と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0031】
加熱手段6は、再生用気体を加熱するものであり、本実施形態では、供給される温水により再生用気体を加熱する温水熱交換器にて構成されている。この加熱手段6に関連して、温水を生成するための図示しない熱源機が設けられており、熱源機にて生成された温水が温水循環ラインE及び加熱手段6を通して循環され(例えば、60℃の温水が2リットル/分の流量で循環され)、これにより再生用気体が連続的に加熱される。なお、加熱手段6は電気ヒータ等の電気的加熱手段であってもよい。
【0032】
このように構成されたデシカント空調システムでは、外気はファン7Aによって空調用空気流通ラインAに導入され、空調用空気流通ラインAに導入された外気の一部は、空調用空気として、空調用空気流通ラインAに沿って第1デシカントロータ1の吸湿部1a、第1顕熱交換器2、第2デシカントロータ3の吸湿部3a、第2顕熱交換器4、第1デシカントロータ1の再生部1bの順に通過し、空調対象空間5に供給される。また、空調用空気流通ラインAに導入された外気の残部は、第1冷却用媒体として第1冷却用媒体流通ラインBに沿って流れる。更に、空調対象空間5の室内空気はファン7Bによって第2冷却用媒体流通ラインCに導入され、第2冷却用媒体として第2冷却用媒体流通ラインCに沿って流れ、第2顕熱交換器4を通過する。第2顕熱交換器4を通過した第2冷却用媒体は、再生用気体流通ラインDに沿って加熱手段6及び第2デシカントロータ3の再生部3bの順に通過し、屋外へ排出される。
【0033】
より具体的に、空調用空気流通ラインAに導入された空調用空気は、第1デシカントロータ1の吸湿部1aに流れ、この吸湿部1aを流れる間に、第1デシカントロータ1の吸湿材に水分が吸着されてその温度が上昇する。そして、除湿された高温の空気が第1顕熱交換器2に流れ、この第1顕熱交換器2において、第1冷却用媒体流通ラインBを流れる外気即ち第1冷却用媒体との間で熱交換が行われ、この熱交換によって空調用空気の温度が低下する。その後、温度が低下し除湿された空調用空気が第2デシカントロータ3の吸湿部3aに流れ、この吸湿部3aを流れる間に、第2デシカントロータ3の吸湿材に水分が更に吸着されて過剰に除湿されてその温度が上昇する。
【0034】
この過剰に除湿された高温の空調用空気は、第2顕熱交換器4に流れ、この第2顕熱交換器4において、第2冷却用媒体流通ラインCを流れる室内空気即ち第2冷却用媒体との間で熱交換が行われ、この熱交換によって空調用空気の温度が低下し、第1デシカントロータ1の再生部1bに流れる。この再生部1bを通して流れる間に、過剰に除湿された空調用空気が、第1デシカントロータ1の吸湿材に吸着された水分を奪い取り(この水分の奪い取りにより、第1デシカントロータ1の吸湿材の再生が行われる)、奪い取った水分によって空調用空気の湿度が上昇する一方、この水分の脱着に伴う気化熱によって空調用空気が冷却され、冷却された空調用空気が空調対象空間5へ供給され、これにより空調対象空間5の除湿及び冷房が行われる。このように空調対象空間5の空調を行う場合には、ファン7Aを連続的に作動させて、例えば100m
3/hの流量で空調用空気を空調対象空間5に連続的に供給するように構成されている。
【0035】
一方、第1冷却用媒体流通ラインBに導入された外気即ち第1冷却用媒体は、上述したように、第1顕熱交換器2を通過するときに空調用空気との熱交換により加温され、その後屋外に排出される。
【0036】
また、第2冷却用媒体流通ラインCに導入された室内空気即ち第2冷却用媒体は、上述したように、第2顕熱交換器4を通過するときに空調用空気との熱交換により加温され、その後再生用気体流通ラインDに供給される。再生用気体流通ラインDに供給された第2冷却用媒体は、再生用空気として加熱手段6及び第2デシカントロータ3の再生部3bの順に通過し、その後屋外に排出される。再生用空気は、加熱手段6を通過するときに加熱され、第2デシカントロータ3の再生部3bを通過するときに第2デシカントロータ3の吸湿材に吸着された水分を奪い取り(この水分の奪い取りにより、第2デシカントロータ3の吸湿材の再生が行われる)、奪い取った水分によって再生用空気の湿度が上昇する。
【0037】
このように、本実施形態によれば、外部から導入された外気を第1冷却用媒体として第1顕熱交換器2へ供給し、空調対象空間5から導入された室内空気を第2冷却用媒体として第2顕熱交換器4へ供給する構成とされており、第1冷却用媒体を第2冷却用媒体として再利用しないので、室内空気を第1冷却用媒体として用いた後に第2冷却用媒体として再利用する従来の空調システムに比べて、熱交換による空調用空気の冷却効果を向上できる。
【0038】
また、第1冷却用媒体流通ラインBは、ファン7Aの下流側部位において空調用空気流通ラインAから分岐するように設けられているので、単一のファン7Aにより空調用空気流通ラインA及び第1冷却用媒体流通ラインBの双方に外気を導入でき、構成の簡素化を図ることができる。
【0039】
更に、第2冷却用媒体流通ラインCの下流側に再生用気体流通ラインDを設け、第2顕熱交換器4を通過した第2冷却用媒体を再生用気体として再生用気体流通ラインDへ供給するように構成されているので、単一のファン7Bにより第2冷却用媒体流通ラインCに沿って第2冷却用媒体を流通させると共に再生用気体流通ラインDに沿って再生用気体を流通させることができ、構成の簡素化を図ることができる。
【0040】
ここで、通気性吸湿材としては、吸湿特性の高い通気性吸湿体であれば特に制限なく用いることができ、例えばポリアクリル酸ナトリウム等の吸湿性高分子や、ポリアクリルアミド等の感温性高分子を用いることができる他、イソブチレン/マレイン酸塩系、デンプン/ポリアクリル酸塩系、PVA(ポリビニルアルコール)/ポリアクリル酸塩系、デンプン/アクリルアミド/ポリアクリル酸塩系、架橋PVA系、架橋CMC(Sodium
Carboxymethylcellulose)系等を用いることができる。
[第2の実施形態]
以下、
図2を参照して、本発明の第2の実施形態に係るデシカント空調システムについて説明する。なお、
図1に示すデシカント空調システムと実質同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0041】
本実施形態におけるデシカント空調システムは、
図1に示すデシカント空調システムと略同一であるが、第1冷却用媒体流通ラインB及び第2冷却用媒体流通ラインCに代えて、第1冷却用媒体流通ラインB1及び第2冷却用媒体流通ラインC1を備える点で異なる。
【0042】
第1冷却用媒体流通ラインB1は、空調対象空間5から導入された室内空気を第1冷却用媒体として第1顕熱交換器2へ供給するものであり、空調対象空間5から第2顕熱交換器2を通過して外部まで延出されている。また、第1冷却用媒体流通ラインB1の上流側端部にはファン7Bが設置されている。
【0043】
第2冷却用媒体流通ラインC1は、外気を第2冷却用媒体として第2顕熱交換器4に供給するものであり、ファン7Aと第1デシカントロータ1との中間位置において空調用空気流通ラインAから分岐し、第2顕熱交換器4に至る。
【0044】
このように構成されたデシカント空調システムでは、空調用空気流通ラインAに導入された空調用空気は、第1顕熱交換器2において第1冷却用媒体流通ラインB1を流れる室内空気即ち第1冷却用媒体との間で熱交換が行われて冷却され、第2顕熱交換器4において第2冷却用媒体流通ラインC1を流れる外気即ち第2冷却用媒体との間で熱交換が行われて冷却される。
【0045】
一方、第1冷却用媒体流通ラインB1に導入された第1冷却用媒体は、第1顕熱交換器2を通過するときに空調用空気との熱交換により加温され、その後屋外に排出される。また、第2冷却用媒体流通ラインC1に導入された第2冷却用媒体は、第2顕熱交換器4を通過するときに空調用空気との熱交換により加温され、その後再生用気体流通ラインDに供給される。
【0046】
このように、本実施形態によれば、空調対象空間5から導入された室内空気を第1冷却用媒体として第1顕熱交換器2へ供給し、外部から導入された外気を第2冷却用媒体として第2顕熱交換器4へ供給するので、熱交換による空調用空気の冷却効果を向上できる。
【0047】
また、第2冷却用媒体流通ラインC1は、空調用空気流通ラインAのファン7Aの下流側部位において空調用空気流通ラインAから分岐するように設けられているので、単一のファン7Aにより空調用空気流通ラインA及び第2冷却用媒体流通ラインC1の双方に外気を導入でき、構成の簡素化を図ることができる。
【0048】
更に、第2冷却用媒体流通ラインC1の下流側に再生用気体流通ラインDを設け、第2顕熱交換器4を通過した第2冷却用媒体を再生用気体として再生用気体流通ラインDへ供給するように構成されているので、再生用気体流通ラインDに沿った再生用気体の流通もファン7Aによって行うことができ、構成の簡素化を図ることができる。
[第3の実施形態]
以下、
図3を参照して、本発明の第3の実施形態に係るデシカント空調システムについて説明する。なお、
図1に示すデシカント空調システムと実質同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0049】
本実施形態に係るデシカント空調システムは、
図1に示すデシカント空調システムと略同一であるが、第1冷却用媒体流通ラインB、第2冷却用媒体流通ラインC、及び再生用気体流通ラインDに代えて、第1冷却用媒体流通ラインB2、第2冷却用媒体流通ラインC2、及び再生用気体流通ラインD2を備える点で異なる。
【0050】
第1冷却用媒体流通ラインB2は、外気を第1冷却用媒体として第1顕熱交換器2へ供給するものであり、ファン7Aと第1デシカントロータ1との中間位置において空調用空気流通ラインAから分岐し、第1顕熱交換器2に至る。
【0051】
第2冷却用媒体流通ラインC2は、空調対象空間5から導入された室内空気を第2冷却用媒体として第2顕熱交換器4に供給するものであり、空調対象空間5から第2顕熱交換器4を通過して外部まで延出されている。また、第2冷却用媒体流通ラインC2の上流側端部にはファン7Bが設置されている。
【0052】
再生用気体流通ラインD2は、第2デシカントロータ3に再生用気体を流通させるものであり、第1顕熱交換器2から加熱手段6及び第2デシカントロータ3の再生部3bを通過して外部まで延出されている。
【0053】
このように構成されたデシカント空調システムでは、空調用空気流通ラインAに導入された空調用空気は、第1顕熱交換器2において第1冷却用媒体流通ラインB2を流れる第1冷却用媒体との間で熱交換が行われて冷却され、第2顕熱交換器4において第2冷却用媒体流通ラインC2を流れる第2冷却用媒体との間で熱交換が行われて冷却される。
【0054】
一方、第1冷却用媒体流通ラインB2に導入された第1冷却用媒体は、第1顕熱交換器2を通過するときに空調用空気との熱交換により加温され、その後再生用気体流通ラインD2へ供給される。また、第2冷却用媒体流通ラインC2に導入された第2冷却用媒体は、第2顕熱交換器4を通過するときに空調用空気との熱交換により加温され、その後屋外へ排出される。
【0055】
第1顕熱交換器2を通過した第1冷却用媒体は、再生用空気として再生用気体流通ラインD2へ供給され、加熱手段6を通過するときに加熱され、第2デシカントロータ3の再生部3bを通過するときに加湿され、その後屋外に排出される。
【0056】
このように、本実施形態においても、外部から導入された外気を第1冷却用媒体として第1顕熱交換器2へ供給し、空調対象空間5から導入された室内空気を第2冷却用媒体として第2顕熱交換器4へ供給するので、熱交換による空調用空気の冷却効果を向上できる。
【0057】
また、第1冷却用媒体流通ラインB2は、ファン7Aの下流側部位において空調用空気流通ラインAから分岐するように設けられ、第1冷却用媒体流通ラインB2の下流側に再生用気体流通ラインD2を設け、第1顕熱交換器2を通過した第1冷却用媒体を再生用気体として再生用気体流通ラインD2へ供給するように構成されているので、単一のファン7Aにより空調用空気、第1冷却用媒体、及び再生用気体を流通させることができ、構成の簡素化を図ることができる。
[第4の実施形態]
以下、
図4を参照して、本発明の第4の実施形態に係るデシカント空調システムについて説明する。なお、
図1又は
図3に示す第1又は第3の実施形態に係るデシカント空調システムと実質同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0058】
本実施形態に係るデシカント空調システムは、
図3に示すデシカント空調システムと略同一であるが、第1冷却用媒体流通ラインB2及び第2冷却用媒体流通ラインC2に代えて、第1冷却用媒体流通ラインB3及び第2冷却用媒体流通ラインC3を備える点で異なる。
【0059】
第1冷却用媒体流通ラインB3は、空調対象空間5の室内空気を第1冷却用媒体として第1顕熱交換器2へ供給するものであり、空調対象空間5から第1顕熱交換器2まで至る。また、第1冷却用媒体流通ラインB3の上流側端部にはファン7Bが設置されている。
【0060】
第2冷却用媒体流通ラインC3は、外気を第2冷却用媒体として第2顕熱交換器4に供給するものであり、ファン7Aと第1デシカントロータ1との中間位置において空調用空気流通ラインAから分岐し、第2顕熱交換器4を通過して外部まで延出されている。
【0061】
このように構成されたデシカント空調システムでは、空調用空気流通ラインAに導入された空調用空気は、第1顕熱交換器2において第1冷却用媒体流通ラインB3を流れる第1冷却用媒体との間で熱交換が行われて冷却され、第2顕熱交換器4において第2冷却用媒体流通ラインC3を流れる第2冷却用媒体との間で熱交換が行われて冷却される。
【0062】
一方、第1冷却用媒体流通ラインB3に導入された第1冷却用媒体は、第1顕熱交換器2にて空調用空気との熱交換により加温され、その後再生用気体流通ラインD2へ供給される。また、第2冷却用媒体流通ラインC3に導入された第2冷却用媒体は、第2顕熱交換器4を通過するときに空調用空気との熱交換により加温され、その後屋外へ排出される。
【0063】
このように、本実施形態によれば、空調対象空間5から導入された室内空気を第1冷却用媒体として第1顕熱交換器2へ供給し、外部から導入された外気を第2冷却用媒体として第2顕熱交換器4へ供給するので、熱交換による空調用空気の冷却効果を向上できる。
【0064】
また、第2冷却用媒体流通ラインC3は、ファン7Aの下流側部位において空調用空気流通ラインAから分岐するように設けられているので、単一のファン7Aにより空調用空気流通ラインA及び第2冷却用媒体流通ラインC3の双方に外気を導入でき、構成の簡素化を図ることができる。
【0065】
更に、第1冷却用媒体流通ラインB3の下流側に再生用気体流通ラインD2を設け、第1顕熱交換器2を通過した第1冷却用媒体を再生用気体として再生用気体流通ラインD2へ供給するように構成されているので、単一のファン7Bにより第1冷却用媒体及び再生用気体を流通させることができ、構成の簡素化を図ることができる。
[実施例及び比較例]
本発明の効果を確認するために、次の通りの実験を行った。実施例1〜4として
図1〜
図4に示すデシカント空調システムを用いると共に、比較例として
図6に示す従来のデシカント空調システムを用いて次の条件で空調対象空間5の空調を行った。
【0066】
屋外空気:温度33℃、絶対湿度14.2g/kg’
室内空気:温度26℃、絶対湿度10.5g/kg’
第1デシカントロータ1の除湿量:3g/kg’
第2デシカントロータ3の除湿量:7g/kg’
第1顕熱交換器2の冷却効率(温度交換率):85%
第2顕熱交換器4の冷却効率(温度交換率):85%
なお、絶対湿度は、1(kg)の乾燥空気に含まれる水蒸気の質量を示したものである。
【0067】
図5に、
図1〜
図4及び
図6に示す各計測箇所P1〜P6において空調用空気の温度及び絶対湿度を計測した結果を示す。
図5から明らかなように、空調用空気が第1デシカントロータ1の再生部1bを通過した後の計測箇所P6において、実施例1〜4のデシカント空調システムの方が空調用空気の温度が低く、高い冷却効果が得られ、冷房用空気として利用できることが確認できた。特に、実施例1及び3においては計測箇所P6の空気温度(空調対象空間に供給される空気の温度)が22、4℃と低く、冷房用空気として利用することが可能である。
【0068】
以上、本発明に従うデシカント空調システムの実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0069】
例えば、上記実施形態では、第1デシカントロータ1、第2デシカントロータ3、第1顕熱交換器2、第2顕熱交換器4として、デシカントロータを2つ、顕熱交換器を2つ備えた空調システムについて説明したが、3つ以上のデシカントロータ及び3つ以上の顕熱交換器を備えた空調システムとして構成することもできる。
【0070】
また、上記実施形態では、第1顕熱交換器2若しくは第2顕熱交換器4を通過した冷却用媒体を再生用気体として用いるようにしているが、当該冷却用媒体とは別の気体を再生用気体として用いることもでき、どのような気体を再生用気体として用いるかは適宜変更が可能である。
【0071】
更に、上記実施形態では、第1デシカントロータ1及び第2デシカントロータ3として、ハニカム状構造の表面に通気性吸湿材が塗布されたものを例示したが、第1デシカントロータ1及び第2デシカントロータ3の構成は適宜変更が可能である。例えば、流通される気体の流路に設けた容器に通気性吸湿体を充填したものや、流通される気体の流路及びその流路の壁面部を通気性吸湿体を主成分として形成することもできる。
また、ファン7A、7Bの設置位置は、各ラインの上流側端部に限定されず、空調用空気や冷却用媒体等を良好に導入及び流通できれば良く、各ラインの中途部や下流側端部に設置しても良い。